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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1078955
審判番号 不服2001-16360  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-04-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-13 
確定日 2003-06-18 
事件の表示 平成11年特許願第267779号「エアゾール容器のガス抜きキャップ」拒絶査定に対する審判事件[平成13年 4月 3日出願公開、特開2001- 88879]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年9月21日の出願であって、平成13年8月13日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

2.平成13年9月13日付の手続補正についての補正却下の決定[補正却下の決定の結論]
平成13年9月13日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項2は、
「 エアゾール容器に対して係合可能な係合部を備えた円筒状側面と、該円筒状側面に対して傾斜して設けられた平坦な傾斜面とを備えたキャップであって、該傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面であって傾斜面の下端方向をキャップの前方とした場合にキャップの中心軸から後方にずれた位置にエアゾール容器内部に充填された内容物を噴出させるためのガス抜き機構が形成され、前記傾斜面の上端部は平坦面を介することなく直接円筒状側面へと繋がっており、該傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面の一部であってエアゾール容器のステム周囲に設けられた巻締部の内側に係合可能な係合突部によって挟まれた部分にキャップ下端の開放面と略平行な水平面が形成され、該水平面にエアゾール容器のステムが挿入可能とされた挿入孔が設けられてなることを特徴とするエアゾール容器のガス抜きキャップ。」
と補正された。
上記補正は、請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「巻締部の外側又は内側に係合可能な係合突部」について「巻締部の内側に係合可能な係合突部」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用した、本願の出願前に国内において頒布された実用新案登録第3061378号公報(以下「引用例1」という。)には、エアゾール容器のキャップに関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1a)「 この考案のキャップを用いてエアゾール容器の内容物を抜き取る作業は、たとえば次のようにして行われる。すなわち、着脱部をエアゾール容器の縁枠部から離脱させることによってエアゾール容器から取り外したカバー部を、床面や地面の上に置き、そのカバー部に設けられているノズルの差込み口に、倒立させたエアゾール容器から突き出ているステムの先端を差し込むことによってそのステムの先端外周部をノズルの当り部に突き当てる。その後、エアゾール容器を押し下げることによりステムを押し込むという操作を行うと、エアゾール容器に残っている加圧用ガスなどの内容物がステムから噴出した後、ノズルの内部通路を通ってそのノズルの噴出口からカバー部の内部空間に噴出する。」(【0008】)
(1b)「 この考案のキャップにおいては、上記カバー部が、上記着脱部を備えた筒状の胴体部と、この胴体部の一端側に傾斜して連接された平坦な上板部とを有していると共に、上記ノズルは、先端が閉塞された筒状のノズル壁を有してそのノズル壁に上記噴出口が開設されていると共に、そのノズルの上記基部が上記上板部の頂部に位置しかつそのノズルの上記噴出口が、傾斜した上記上板部の下端よりも上位に位置している、という構成を採用することが可能である。」(【0009】)
(1c)「 この考案のキャップにおいては、上記ノズルの基部に、上記差込み口から遠ざかるほど径大になった外拡がりのステム案内面が設けられていることが望ましい。このようになっていると、ノズルの差込み口に、エアゾール容器から突き出ているステムの先端を差し込むときに、そのステムの先端がステム案内面によって差込み口に導かれるので、ステムの先端を差込み口に差込みやすくなる。」(【0011】)

同じく、上記拒絶理由に引用した、本願の出願前に国内において頒布された特開平8-324661号公報(以下「引用例2」という。)には、エアゾール容器のガス抜き具、ガス抜き装置、兼用キャップ、及びガス抜き方法に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)「次に図15(A)(B)に示すガス抜き兼用エアゾールキャップ40はいずれも、上記エアゾールキャップ10において受筒底面部11の中央部に凹部13を形成しないで、逆に受筒底面部41の中央部を受筒形の外方に突出させ、かつエアゾール容器50のノズル孔59内に嵌入するように突出部42を形成すると共に、突出部42の中心部に受筒形内外に通じる貫通孔43を形成し、さらに図15(A)に示すガス抜き兼用エアゾールキャップ40では、周側面部44の受筒形底面側端縁部に上記係止爪26を適宜間隔において複数個所(図では3箇所)に形成してなり、また図15(B)に示すガス抜き兼用エアゾールキャップ40では、前記突出部42の突出面42aの周縁部に上記係止爪26を適宜間隔をおいて複数個所(図では3箇所)に形成してなっている。」(【0037】)
(2b)「 図18(B)に示すように、噴射ボタン58を噴射ノズル53から取り外し、エアゾールキャップ70を逆にして、底面部71の外側をエアゾール容器50に向け、噴射ノズル53の先端部を係合貫通孔15内に突入させつつスパウト60の上面開口部63内に底面部71を圧入させて係合溝部74をスパウト上面部62の内周縁部に係合させることにより、エアゾールキャップ70をエアゾール容器50に装着すれば、噴射ノズル53を押圧状態として噴射状態を維持させることができる。」(【0039】)

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、引用発明における「筒壁12a」、「上板部13」はそれぞれ本願補正発明における「円筒状側面」「傾斜面」に相当し、引用発明における「差込み口42」は本願補正発明における「挿入孔」に相当するから、両者は、
「 エアゾール容器に対して係合可能な係合部を備えた円筒状側面と、該円筒状側面に対して傾斜して設けられた平坦な傾斜面とを備えたキャップであって、該傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面であって傾斜面の下端方向をキャップの前方とした場合にキャップの中心軸から後方にずれた位置にエアゾール容器内部に充填された内容物を噴出させるためのガス抜き機構が形成され、前記傾斜面の上端部は平坦面を介することなく直接円筒状側面へと繋がっており、該傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面位置にエアゾール容器のステムが挿入可能とされた挿入孔が設けられてなることを特徴とするエアゾール容器のガス抜きキャップ。」
である点において一致し、次の相違点(ア)、(イ)で相違する。
<相違点>
(ア)本願補正発明においては、ガス抜き機構が、キャップ上面部外側をエアゾール容器に向け、係合突部をエアゾール容器のステム周囲に設けられた巻締部の内側に係合することにより、手で押さえなくともガス抜きが行えるように、巻締部の内側に係合可能な係合突部を有するのに対して、引用発明においてはこのような係合突部がない点。
(イ)本願補正発明においては、傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面の一部であって係合突部によって挟まれた部分にキャップ下端の開放面と略平行な水平面が形成され、エアゾール容器のステムが挿入可能とされた挿入孔が、この水平面に設けられているのに対して、引用発明においては差込み口が傾斜面の上端部に設けられている点。

(4)判断
次に、これらの相違点について検討する。
<相違点(ア)について>
引用例2には、エアゾールキャップ40に、エアゾール容器50のノズル孔59(本願補正発明のステム周囲に設けられた巻締部に相当)内に嵌入するように突出部42を形成し、突出部42の中心部に貫通孔43を形成するとともに、図15(B)に示すように、突出部42の突出面42aの周縁部に係止爪26を複数ヶ所形成したものが記載されており、エアゾールキャップの底面部外側をエアゾール容器に向け、突出部をノズル孔に嵌合させ、嵌合状態を係止爪で保持することにより、手で押さえておかなくても、ガス抜きを行えるようにした、エアゾール容器のガス抜き装置が記載されている。
そこで、かかる突出部を、引用例1記載のキャップのノズル4の位置に設け、エアゾール容器のノズル孔に突出部が嵌合するように構成して、倒立させたエアゾール容器を押さえていなくてもガス抜きを行えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

<相違点(イ)について>
引用例1記載のキャップの傾斜した上板部13に、引用例2記載の突出部42を設けるにあたっては、引用例1のノズル4に相当する引用例2の貫通孔43を、倒立したエアゾール容器の垂直なステムに合わせて垂直に設ける必要があるので、突出部42は、キャップ下端の水平な開放面に対して垂直に設けることとなるから、貫通孔43と直交する突出面42aは、当然、キャップ下端の水平な開放面と平行な水平面となる
そして、この水平な突出面42aは、その周縁部に設けた複数の係止爪26(本願補正発明の係合突部に相当)によって、囲まれる位置にあるから、結局、相違点(イ)に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成13年9月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年7月19日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 エアゾール容器に対して係合可能な係合部を備えた円筒状側面と、該円筒状側面に対して傾斜して設けられた平坦な傾斜面とを備えたキャップであって、該傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面であって傾斜面の下端方向をキャップの前方とした場合にキャップの中心軸から後方にずれた位置にエアゾール容器内部に充填された内容物を噴出させるためのガス抜き機構が形成され、前記傾斜面の上端部は平坦面を介することなく直接円筒状側面へと繋がっており、該傾斜面の中心よりやや上方位置から傾斜面の上端部に至るキャップ上面の一部であってエアゾール容器のステム周囲に設けられた巻締部の外側又は内側に係合可能な係合突部によって挟まれた部分にキャップ下端の開放面と略平行な水平面が形成され、該水平面にエアゾール容器のステムが挿入可能とされた挿入孔が設けられてなることを特徴とするエアゾール容器のガス抜きキャップ。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明を特定するために必要な事項である「巻締部の内側に係合可能な係合突部」を「巻締部の外側又は内側に係合可能な係合突部」としたものである。 そうすると、本願発明の特定要件をさらに特定したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1、引用例2、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、引用例1及び引用例2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
(3)むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-04-17 
結審通知日 2003-04-21 
審決日 2003-05-06 
出願番号 特願平11-267779
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 貴俊倉田 和博  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 祖山 忠彦
山崎 豊
発明の名称 エアゾール容器のガス抜きキャップ  
代理人 清原 義博  
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