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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1078982
審判番号 不服2000-17810  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-04-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-09 
確定日 2003-06-19 
事件の表示 平成 6年特許願第238304号「画像データ転送システム及びその方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 4月23日出願公開、特開平 8-106442]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年10月3日の出願であって、平成12年9月29日付けで拒絶の査定がなされ、この査定を不服として同年11月9日に審判の請求がなされるとともに、特許法第17条の2第1項第5号に規定する期間内である同年12月11日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成12年12月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年12月11日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件手続補正
平成12年12月11日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、平成12年9月11日付け手続補正により補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)を、次のとおり(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)補正するものを含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)
「 【請求項1】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから少なくとも所望の端末が処理対象なるファイルを検索するファイル検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて格納する転送規則格納手段と、該転送規則格納手段に格納された転送規則によって定められた転送情報を前記ネットワークを介して前記所望の端末に送信する転送規則管理手段とを備え、
所望の端末が起動した際に前記所望の端末から送られる転送要求に基づいて前記ネットワークを介して前記所望の端末に前記ファイル検索手段で検索されたファイルに関係する画像データを転送するように構成したことを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項2】
前記転送規則格納手段に格納する転送規則として、少なくとも前記複数の端末に転送する順序を含むことを特徴とする請求項1記載の画像データ転送システム。
【請求項3】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから少なくとも所望の端末が処理対象なるファイルを検索するファイル検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて格納する転送規則格納手段と、該転送規則格納手段に格納された転送規則によって定められた転送情報を前記ネットワークを介して前記所望の端末に送信する転送規則管理手段とを備え、
前記各端末には、前記サーバの転送規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送情報を受信して該転送情報に基づいて転送要求を送信し、該転送要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索されたファイルに関係する画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルに関係する画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積されたファイルに関係する画像データから少なくとも所望の画像データを表示する表示手段とを備え、
前記各端末が起動した際に、前記検索/転送制御手段は前記サーバの転送規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送情報を受信して該転送情報に基づいて転送要求を送信し、該転送要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索されたファイルに関係する画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルに関係する画像データを蓄積することを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項4】
前記各端末において、前記表示手段に表示される所望の画像データに対して所望の処理を施す処理手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の画像データ転送システム。
【請求項5】
前記各端末において、前記検索/転送制御手段には、前記サーバの転送規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送規則に関する情報を格納する情報格納手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の画像データ転送システム。
【請求項6】
前記各端末において、前記情報格納手段に格納された転送規則に関する情報を表示する情報表示手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の画像データ転送システム。
【請求項7】
前記画像データは、文書画像データであることを特徴とする請求項3記載の画像データ転送システム。
【請求項8】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから少なくとも所望の端末が処理対象なるファイルを検索するファイル検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて格納する転送規則格納手段と、該転送規則格納手段に格納された転送規則によって定められた転送情報を前記ネットワークを介して前記所望の端末に送信する転送規則管理手段とを備え、
前記各端末には、前記サーバの転送規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送情報を受信して格納する情報格納手段と、該情報格納手段に格納された転送情報に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索するファイルの画像データの要求を決定する決定手段と、該決定手段で決定された要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積されたファイルの画像データから所望の画像データを表示する表示手段とを備え、
前記各端末が起動した際に、前記情報格納手段は前記サーバの転送規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送情報を受信して格納し、前記決定手段は前記情報格納手段に格納された転送情報に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索するファイルの画像データの要求を決定し、前記検索/転送制御手段は該決定手段で決定された要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積することを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項9】
前記各端末において、前記表示手段に表示される所望の画像データに対して所望の処理を施す処理手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の画像データ転送システム。
【請求項10】
前記画像データは、文書画像データであることを特徴とする請求項8記載の画像データ転送システム。
【請求項11】
前記各端末において、前記情報格納手段に格納された転送情報を表示する情報表示手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の画像データ転送システム。
【請求項12】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、所定の端末に設けられた画像データ入力手段から入力されて前記ネットワークを通して得られる複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから少なくとも所望の端末から要求されたファイルの画像データを検索する画像データ検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて格納する転送規則格納手段と、該転送規則格納手段に格納された転送規則により定められた転送順序に関する情報を前記ネットワークを介して前記所望の端末に送信する転送順序管理手段とを備え、
前記各端末には、前記サーバの転送順序管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送順序に関する情報を受信して該転送順序に関する情報に基づいて転送を受けるファイルの画像データを要求し、該要求に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積されたファイルの画像データから所望の画像データを表示する表示手段とを備え、
前記各端末が起動した際に、前記検索/転送制御手段は前記サーバの転送順序管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送順序に関する情報を受信して該転送順序に関する情報に基づいて転送を受けるファイルの画像データを要求し、該要求に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該要求に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受けることを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項13】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから少なくとも所望の端末から要求されたファイルの画像データを検索する画像データ検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて格納する転送規則格納手段と、該転送規則格納手段に格納された転送規則により定められた転送順序に関する情報を前記ネットワークを介して前記所望の端末に送信する転送順序管理手段とを備え、
前記各端末には、前記サーバの転送順序管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送順序に関する情報を受信して該転送順序に関する情報に基づいて転送を受けるファイルの画像データを要求し、該要求に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積されたファイルの画像データから所望の画像データを表示する表示手段と、該表示手段に表示される所望の画像データに対して所望の処理を施して前記画像データ蓄積手段に蓄積する処理手段とを備え、
前記各端末が起動した際に、前記検索/転送制御手段は前記サーバの転送順序管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送順序に関する情報を受信して該転送順序に関する情報に基づいて転送を受けるファイルの画像データを要求し、該要求に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積し、 前記各端末の表示手段で表示された画像データに対して、前記処理手段で処理された画像データを前記検索/転送制御手段によって前記ネットワークを介して前記サーバの画像データベース蓄積手段に転送して蓄積するように構成したことを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項14】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから所望の端末から指定されたファイルの画像データを検索する画像データ検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送条件を格納する転送条件格納手段と、該転送条件格納手段に格納された転送条件により定められた転送情報を前記ネットワークを介して前記所望の端末に送信する転送条件管理手段とを備え、
前記各端末には、前記サーバの転送条件管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送情報を受信して該転送情報に基づいて転送を受けるファイルの画像データを指定し、該指定に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、該画像データ蓄積手段に蓄積されたファイルの画像データから所望の画像データを表示する表示手段とを備え、
前記各端末が起動した際に、前記検索/転送制御手段は前記サーバの転送条件管理手段から前記ネットワークを介して転送される転送情報を受信して該転送情報に基づいて転送を受けるファイルの画像データを指定し、該指定に基づいて前記サーバの画像データ検索手段で検索されたファイルの画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルの画像データを蓄積することを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項15】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから所望の端末に適合するファイルの画像データを振り分けて前記ネットワークを介して前記所望の端末に転送する転送管理手段とを備え、前記所望の端末が起動した際に前記画像データの転送を行うことを特徴とする画像データ転送システム。
【請求項16】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送方法において、
前記サーバに備えられた画像データ蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて前記サーバに備えられた転送規則格納手段に格納し、前記複数の端末の各々が起動した際に該格納された転送規則により定められた転送情報を前記ネットワークを介して所望の端末に送信し、該送信された所望の端末から要求されたファイルの画像データを前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから検索して所望の端末に前記ネットワークを介して転送して格納することを特徴とする画像データ転送方法。
【請求項17】
複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送方法において、
前記サーバに備えられた画像データ蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースに対して少なくともファイル毎に前記ネットワークを経由して複数の端末の各々に転送する少なくとも転送規則を予め定めて前記サーバに備えられた転送規則格納手段に格納し、前記複数の端末の各々が起動した際に該格納された転送規則により定められた転送情報を前記ネットワークを介して所望の端末に送信し、該送信された所望の端末から要求されたファイルの画像データを前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから検索して所望の端末に前記ネットワークを介して転送して該所望の端末に備えられた画像データ蓄積手段に蓄積し、画像データの表示が指示されたときに該蓄積されたファイルに関係する画像データから少なくとも所望の画像データを前記所望の端末に備えられた表示手段に表示することを特徴とする画像データ転送方法。」

(補正後の特許請求の範囲)
「 【請求項1】
複数のクライアントとサーバとの間をネットワークで接続して前記サーバに蓄積された文書の画像データを文書フローの規則に従って前記ネットワークを介して複数のクライアントに転送することによって処理を行なうワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システムにおいて、
前記サーバには、複数のファイルから構成された文書の画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数のファイルから構成された文書の画像データベースから少なくとも所望のクライアントが処理の対象となるファイルについての文書の画像データを検索するファイル検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数のファイルから構成された文書の画像データベースに対して少なくとも処理の対象となるファイル毎に前記ネットワークを経由して複数のクライアントの各々に転送する少なくとも文書フローの規則を予め定めて格納する文書フロー規則格納手段と、該文書フロー規則格納手段に格納された文書フローの規則に従って定められた処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を前記ネットワークを介して前記所望のクライアントに送信する文書フロー規則管理手段とを備え、
前記各クライアントには、前記サーバの文書フロー規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を受信して該ファイルの文書名のリストに関する情報に基づいて選択された処理の対象となるファイルの文書名について転送要求を送信し、該転送要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索された処理の対象となるファイルについての文書の画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきた処理の対象となるファイルについての文書の画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積された処理の対象となるファイルについての文書の画像データから少なくとも所望の文書の画像データを表示する表示手段とを備え、
前記各クライアントが起動した際に、前記検索/転送制御手段は前記サーバの文書フロー規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を受信して該ファイルの文書名のリストに関する情報に基づいて選択された処理の対象となるファイルの文書名について転送要求を送信し、該転送要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索された処理の対象となるファイルについての文書の画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該検索/転送制御手段による転送されてきたファイルについての文書の画像データを蓄積するように構成したことを特徴とするワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。
【請求項2】
前記各クライアントにおいて、前記表示手段に表示される所望の文書の画像データに対して所望の処理を施す処理手段を備え、該処理手段によって所望の処理を施した所望の文書の画像データを前記ネットワークを介して前記サーバの画像データベース蓄積手段に蓄積するように構成したことを特徴とする請求項1記載のワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。
【請求項3】
前記各クライアントにおいて、前記検索/転送制御手段には、前記サーバの文書フロー規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を格納する未処理文書名格納手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。
【請求項4】
前記各クライアントにおいて、前記未処理文書名格納手段に格納された処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を表示する情報表示手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。
【請求項5】
複数のクライアントとサーバとの間をネットワークで接続して前記サーバに蓄積された文書の画像データを文書フローの規則に従って前記ネットワークを介して複数のクライアントに転送することによって処理を行なうワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システムにおいて、
前記サーバには、複数のファイルから構成された文書の画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数のファイルから構成された文書の画像データベースから少なくとも所望のクライアントが処理の対象となるファイルについての文書の画像データを検索するファイル検索手段と、前記画像データベース蓄積手段に蓄積された複数のファイルから構成された文書の画像データベースに対して少なくとも処理の対象となるファイル毎に前記ネットワークを経由して複数のクライアントの各々に転送する少なくとも文書フローの規則を予め定めて格納する文書フロー規則格納手段と、該文書フロー規則格納手段に格納された文書フローの規則に従って定められた処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を前記ネットワークを介して前記所望のクライアントに送信する文書フロー規則管理手段とを備え、
前記各クライアントには、前記サーバの文書フロー規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を受信して格納する未処理文書名格納手段と、該未処理文書名格納手段に格納された処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索する処理の対象となるファイルについての文書の画像データの要求を決定する事前検索実行手段と、該事前検索実行手段で決定された要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索された処理の対象となるファイルについての文書の画像データを前記ネットワークを介して転送を受ける検索/転送制御手段と、該検索/転送制御手段による転送されてきた処理の対象となるファイルについての文書の画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積された処理の対象となるファイルについての文書の画像データから所望の画像データを表示する表示手段とを備え、
前記各クライアントが起動した際に、前記未処理文書名格納手段は前記サーバの文書フロー規則管理手段から前記ネットワークを介して転送される処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を受信して格納し、前記事前検索実行手段は前記未処理文書名格納手段に格納された処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索する処理の対象となるファイルについての文書の画像データの要求を決定し、前記検索/転送制御手段は該事前検索実行手段で決定された要求に基づいて前記サーバのファイル検索手段で検索された処理の対象となるファイルについての文書の画像データを前記ネットワークを介して転送を受け、前記画像データ蓄積手段は該検索/転送制御手段による転送されてきた処理の対象となるファイルについての文書の画像データを蓄積するように構成したことを特徴とするワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。
【請求項6】
前記各クライアントにおいて、前記表示手段に表示される所望の文書の画像データに対して所望の処理を施す処理手段を備え、該処理手段によって所望の処理を施した所望の文書の画像データを前記ネットワークを介して前記サーバの画像データベース蓄積手段に蓄積するように構成したことを特徴とする請求項5記載のワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。
【請求項7】
前記各クライアントにおいて、前記未処理文書名格納手段に格納された処理の対象となるファイルの文書名のリストに関する情報を表示する情報表示手段を備えたことを特徴とする請求項5記載のワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム。」

また、請求人は上記特許請求の範囲についてする補正に関して以下の主張をしている。
「即ち、請求項1に係る発明は、拒絶査定時の請求項1および3に係る発明を減縮したものであり、請求項2に係る発明は、拒絶査定時の請求項4に係る発明を減縮したものであり、請求項3に係る発明は、拒絶査定時の請求項5に係る発明を減縮したものであり、請求項4に係る発明は、拒絶査定時の請求項6に係る発明を減縮したものであり、請求項5に係る発明は、拒絶査定時の請求項1および8に係る発明を減縮したものであり、請求項6に係る発明は、拒絶査定時の請求項9に係る発明を減縮したのであり、請求項7に係る発明は、拒絶査定時の請求項11に係る発明を減縮したのであり、特許法第17条の2第3項第1号および第2号の規定を満足するものと確信します。」

そして、補正前の特許請求の範囲の記載と補正後の特許請求の範囲の記載を対比すると、補正後の特許請求の範囲の請求項1は、補正前の特許請求の範囲の請求項3に対応するものであり、本件手続き補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、請求人の主張するように、補正前の特許請求の範囲の請求項3を補正後の特許請求の範囲の請求項1とする補正(以下、「本件補正」という。)を含むものと認められる。

(2)本件補正の目的
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされていると認められる。そこで、本件補正が特許法第17条の2第3項に掲げる事項を目的としたものであるかを検討する。
補正前の請求項3と補正後の請求項1を対比すると、本件補正は、特許法第17条の2第3項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正、第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的としたものに該当しないことは明らかである。
また、補正前の請求項3の「複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システム」と補正後の「「複数のクライアントとサーバとの間をネットワークで接続して前記サーバに蓄積された文書の画像データを文書フローの規則に従って前記ネットワークを介して複数のクライアントに転送することによって処理を行なうワークフローにおけるクライアント/サーバ型の計算機システム」を対比すると、補正前の特許請求の範囲の請求項3には、画像データの転送を行うことまでしか記載されておらず、画像データに対して処理を行う構成は存在しないのに対し、補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載では、画像データに対して処理を行うシステムとなっている。してみると、補正後の特許請求の範囲の請求項1は、補正前の特許請求の範囲の請求項3の構成に欠くことができない事項の全部又は一部を減縮するものではなく、画像データに対して処理を行うという事項が加えらている。したがって本件補正は特許法17条の2第3項第2号に掲げる事項を目的としたものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成12年12月11日付けの手続補正は上記のとおり決定をもって却下されたので、本願の請求項15に係る発明は、平成12年9月11日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項15に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「複数の端末とサーバとの間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記サーバには、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから所望の端末に適合するファイルの画像データを振り分けて前記ネットワークを介して前記所望の端末に転送する転送管理手段とを備え、前記所望の端末が起動した際に前記画像データの転送を行うことを特徴とする画像データ転送システム。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-69953号公報(平成6年3月11日出願公開、以下「引用例1」という。)には、情報自動配信方法に関して次の事項が記載されている。
1)「【作用】本発明においては、情報センタ内の蓄積データを相手端末に即時に配信せず、相手端末から送信された要求情報を情報センタ内に記憶し、要求されたデータを検索して蓄積しておき、その要求情報に含まれる指定時刻になると、情報センタ内に予め蓄積しておいたデータを相手端末に自動配信する。このように、情報センタの稼働負荷や配信する契機が従来方法と異なるため、相手端末数や検索するデータの件数や送出する情報量に制限を受けることはない。」(段落番号【0005】)
2)「【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明する。図2は、本発明の一実施例における通信ネットワークシステムの一部を示すブロック図である。図2において、101は制御部であり、コマンド通知処理、受信したコマンドに応じた処理等を行ない、本システム全体の制御を行なう。」(段落番号【0006】)
3)「また、102は記憶媒体である。なお、記憶媒体として磁気ディスク、光磁気ディスク等が該当するが、文字、音声、静止自然画像、動画像等の各データを蓄積できるものであれば、何れの媒体を用いてもよい。また、103は顧客管理部であり、端末から受信した要求情報を基に端末ID、キーワード、指定時刻等で構成した顧客情報を持つ。また、104はデータ管理部であり、記憶媒体102内に蓄積されている各データのキーワードテーブル、ファイル名、データサイズ、ファイルが作成された年月日等から構成したデータ管理情報を持つ。」(段落番号【0006】)
4)「また、107,111は通信部であり、ISDN108との接続および切断処理等を行なう。また、108はISDN網(ISDN)である。」(段落番号【0006】)
5)「ここで、データ管理部104内に存在するデータ管理情報について述べる。本実施例のデータ管理情報には、図3に示すように、キーワードテーブル201の各キーワード毎に、ファイル名202、データサイズ203、およびファイルの作成日付等の情報204が登録されている。なお、ファイル名は画像、音声、文字の各データを格納し一つのファイルとして称している。」(段落番号【0006】)
6)「図5のように、情報センタはUUI情報を用いた電源オンコマンドをISDN108を介して受信端末109に通知する(ステップ501)。なお、電源オンコマンドは、受信端末109の端末IDとコマンドからなる。一方、受信端末109では、電源オフ状態にある場合(ステップ502)、電源オンコマンドを通信部111で受信し、プリヒート状態である電源制御部110が電源オンコマンドを認識して、電源オンコマンド内の端末IDと自端末IDを照合し同一であればリレースイッチを動作させ、受信端末109の電源を立ち上げる(ステップ503)。そして電源立ち上げ完了時、情報センタにUUI情報を用いて電源確認コマンドを通知する(ステップ504)。また、受信端末109が電源オンであり、他端末と通信中でない場合は(ステップ502,505)、電源オンコマンドを破棄して端末IDを照合し(ステップ506)、電源確認コマンドを情報センタに通知する(ステップ504)。また、受信端末109が電源オンであり、他端末と通信中でない場合は(ステップ502,505)、電源オンコマンドを破棄して端末IDを照合し(ステップ506)、電源確認コマンドを情報センタに通知する(ステップ504)。なお、ステップ505で受信端末109が他端末と通信中の場合は、何も通知しない。一方、情報センタでは、電源確認コマンドを受信できない場合(ステップ507)、数分後何回かまで、電源オンコマンド通知を繰返しリトライする(ステップ508)。なお、このリトライ時間および回数は任意に設定できるものとする。また、最終リトライ後にまだ電源確認コマンドを受信できない場合には、受信端末109が故障であると判断し配信を中止する。しかし、ステップ507で電源オンコマンドを受信した場合には、図1のステップ411に進む。」(段落番号【0008】。なお、「ステップ507で電源オンコマンドを受信した場合には」の「電源オンコマンド」は「電源確認コマンド」の誤記と認められる。)
7)「ステップ411において、制御部101は、提供情報蓄積部105内の各データをISDN108を介して受信端末109に配信する。これにより、受信端末109では、受信した各データを蓄積し(ステップ412)、情報センタは配信終了後に受信端末109と切断して(ステップ413)、処理を終了する。」(段落番号【0009】)

上記記載2)の通信ネットワークシステムは情報自動配信方法を実現するシステムであるから、引用例1には実質的に情報自動配信システムが記載されている。
上記記載1)から、引用例1には情報センタと端末が存在し、また相手端末数に制限を受けることがないことが記載されているから、端末は複数であることは明らかである。そして上記記載4)から情報センタと端末はISDNで接続されている。
上記記載3)から記憶媒体は画像等の各データを蓄積しており、データ管理部は、記憶媒体102内に蓄積されている各データのデータ管理情報を持つ。また、上記記載5)及び図3から画像などの各データを蓄積したファイルは複数である。
上記記載1)から、引用例1では、相手端末から送信された要求情報を情報センタ内に記憶し、要求されたデータを検索して蓄積しておき、その要求情報に含まれる指定時刻になると、情報センタ内に予め蓄積しておいたデータを相手端末に自動配信する。
上記記載6)及び記載7)から、引用例1では、端末は電源立ち上げ完了時、情報センタにUUI情報を用いて電源確認コマンドを通知し、情報センタは電源確認コマンドを受信すると各データを端末に配信している。
したがって、上記記載からみて、引用例1には、
「複数の端末と情報センタとの間をISDNで接続して画像等の各データの配信を行う情報自動配信システムにおいて、
前記情報センタには、複数ファイルを蓄積する記憶媒体と、該ファイルを管理するデータ管理部と、相手端末から要求されたデータを検索して蓄積しておき、その要求に含まれる指定時刻になると、相手端末に該データを自動配信する手段とを備え、上記相手端末は電源立ち上げ完了時、上記情報センタに電源確認コマンドを通知し、上記情報センタは当該電源確認コマンドを受信した場合には上記要求されたデータを上記相手端末に配信することを特徴とする情報自動配信システム。」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)対比
本願発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明の情報センタと本願発明のサーバとは、その機能からみてデータ提供装置である点では一致する。引用例1に記載された発明のISDNはIntegrated Services Digital Networkの意であり、ネットワークの一種であるから、本願発明のネットワークに相当する。引用例1に記載された発明の画像などの各データは、画像を含んでいるのであるから、引用例1に記載された発明の画像データに相当する。
引用例1に記載された発明の情報自動配信システムは実質的に画像データを配信しており、データの配信はデータの転送に包摂される概念であるから、引用例1に記載された発明の自動情報配信システムは本願発明の画像データ転送システムに相当する。
引用例1に記載された発明の記録媒体とデータ管理部とをあわせたものは、検索可能にデータを蓄積しているのであるから、本願発明の画像データベース蓄積手段に相当する。引用例1に記載された発明の、相手端末から要求されたデータを検索して蓄積しておくことは、検索結果は相手端末からの要求に適合しているといえるし、検索結果を蓄積しておくことは一種の振り分けといえるので、本願発明の所望の端末に適合するファイルの画像データを振り分けることに相当する。引用例1に記載された発明の、上記相手端末は電源立ち上げ完了時、上記情報センタに電源確認コマンドを通知することは、本願発明の所望の端末が起動することに相当する。
してみると両者は、「複数の端末とデータ提供装置との間をネットワークで接続して画像データの転送を行なう画像データ転送システムにおいて、
前記データ提供装置には、複数ファイルから構成された画像データベースを蓄積する画像データベース蓄積手段と、該画像データベース蓄積手段に蓄積された複数ファイルから構成された画像データベースから所望の端末に適合するファイルの画像データを振り分けて前記ネットワークを介して前記所望の端末に転送する手段とを備え、前記所望の端末が起動した際に前記画像データの転送を行うことを特徴とする画像データ転送システム。」である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
データ提供装置が、本願発明はサーバであるのに対して、引用例1に記載された発明は情報センタである点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
引用例1に記載された発明の情報センタの機能を実現する際に周知のサーバを採用することは当業者が容易になし得たことである。

(4)むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-04-15 
結審通知日 2003-04-22 
審決日 2003-05-07 
出願番号 特願平6-238304
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 茂和  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 辻本 泰隆
平井 誠
発明の名称 画像データ転送システム及びその方法  
代理人 小川 勝男  

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