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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1079140
審判番号 不服2002-24712  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-24 
確定日 2003-07-22 
事件の表示 平成 4年特許願第192851号「故障保護回路」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 8月13日出願公開,特開平 5-207313,請求項の数(2)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 1.手続きの経緯,本願発明
本願は,平成4年6月25日(パリ条約による優先権主張1991年6月27日,(GB)グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)の出願であって,その特許請求の範囲の請求項1,2に係る各発明は,平成14年7月19日付け,及び平成15年1月22日付けの各手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,各請求項にそれぞれ記載されるとおりの「ビデオ表示装置」(請求項1)と「ビデオディスプレイ」(請求項2)であると認める。

2.原査定の理由
原査定は,次の理由1及び2により本願を拒絶するというものである。
【理由1】本願の請求項1,2に係る各発明は,特願平2-191531号(特開平4-79583号)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であるから,特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。
【理由2】本願明細書の特許請求の範囲記載の各技術手段は,その構成やそれらの相互関係もしくは作用,特に「待機モード状態」へのリセットと「故障検出」時のリセットとで,制御回路がどの様に異なる動作をし,その結果「電源」,「偏向回路」等はどの様に異なる動作に制御されるのかが明確でなく,この点は,発明の詳細な説明の記載を参酌しても明確に解釈し得ないから,本願明細書の特許請求の範囲及び詳細な説明の記載は,特許法36条4項及び5項に規定する要件を満たしていない。

3.判断
(1) 原査定の理由1について
ア 原査定挙示の上記特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下図面を含めて「先願明細書」という。)には,テレビジョン受像機の過電圧過負荷保護に関する発明について,
(a)テレビジョン受像機のマイクロコンピュータ(選局動作や主電源回路のオンオフを制御)に,検知器で検知した電源電圧出力値(上記主電源回路の電圧出力値)を出力し,マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という。)は,上記電源電圧出力値が所定範囲を外れたときに,上記主電源回路をオフとしてテレビジョン受像機を保護するようにするとともに,このマイコンによる保護動作が所定回数に達した時に上記主電源回路を再びオンとすることを禁止するようになすこと(特許請求の範囲(1)項),
(b)そのために,マイコンは上記保護動作の発生回数をカウントするが(先願明細書13頁下から6〜5行目),マイコン自体への供給電源(マイコンに常時供給されている補助電源)を一旦停止した後復旧させる(受像機のACプラグを一旦抜いた後差し込む)ことで,マイコンは再始動(自己リセット)し,上記保護動作の発生回数のカウント値も「0」にリセットされ,上記主電源回路を再びオンとすることができるようにすること(15頁14行目〜16頁5行目),
が記載されている。
イ しかしながら,本願の請求項1に係る発明のビデオ表示装置は,その制御回路(先願明細書でいう上記マイコンに対応)が有するリセット入力端子に,「第1のリセット信号」(交流電力の印加の検出に応答して発生するリセット信号)と「第2のリセット信号」(ビデオ表示装置内部の検出された故障に応答して発生するリセット信号)とを接続し,「ビデオ表示装置の動作は,前記第1のリセット信号と前記第2のリセット信号のいずれか一方に応答して待機モードに選択される」点を要件とするものであって,同要件により,上記制御回路(マイコン)のリセット入力が2つの機能,すなわち交流電源との接続初期におけるリセット機能と故障状態の検出時におけるリセット機能(待機モードへのリセット機能)を果たすようにすることができるという,明細書記載の技術的効果を奏し得ると認められるところ,そのような点は先願明細書には記載がなく,また,同明細書の記載から自明の事項とも認められない。
また,本願の請求項2に係る発明のビデオディスプレイは,「垂直偏向回路における故障状態を検出して,前記垂直偏向回路における前記故障状態に応じてリセット信号を発生する故障検出回路」を備え,制御回路が「垂直偏向回路において検出された故障に応答して前記待機モードを始動」する点を要件とするものであるところ,先願明細書に記載された発明は,上記のように,主電源回路の電圧出力値の異常を検出対象とするもので,上記のような本願請求項2の発明の要件については先願明細書に何等記載がない。
ウ したがって,本願の請求項1,2に係る各発明は,いずれも先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。

(2) 原査定の理由2について
原査定の前記理由2は,本願の請求項1,2に係る発明でいうビデオ表示装置又はビデオディスプレイでの“故障保護”を行うためには,故障検出時に,制御回路が通常の「待機モード状態」へのリセット制御とは異なる特別のリセット制御を行うべきところ,そのようなリセット制御を行うための構成が請求項1,2及び詳細な説明において明確に記載されていない,という趣旨のものと解されるところ,本願請求項1,2でいう故障保護を行う上で,制御回路が故障検出時にも通常の待機モードへのリセット制御を行えば足り,特にこれとは異なる特別のリセット制御を必要とするものではないことは,明細書の発明の詳細な説明から十分理解されるところであり,請求項1,2の記載でも,そのようなリセット制御を行うための各技術手段の構成やそれら相互の関係が,原査定でいうように特に不明確であるとは認められない。

4.むすび
以上のとおりであるから,原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-07-08 
出願番号 特願平4-192851
審決分類 P 1 8・ 16- WY (H04N)
P 1 8・ 534- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 達也  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 小林秀美
酒井朋広
発明の名称 故障保護回路  
代理人 伊東 忠彦  

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