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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1079387
審判番号 不服2001-10263  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-09-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-06-18 
確定日 2003-07-09 
事件の表示 平成 5年特許願第 59740号「複写装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 9月 9日出願公開、特開平 6-253071]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年2月24日の出願であって、その請求項1-6に係る発明は、平成13年4月17日付け及び平成13年7月18日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1-6に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「原稿の両面画像を記録媒体の両面に自動複写可能で、且つ原稿を複写する際に強制的に原稿の画像情報以外の付加情報を書き込み、複数色のトナーを重ね合わせて複写を行う複写装置において、
前記記録媒体の両面複写を判断する両面複写判断手段と、
この両面複写判断手段で両面複写の判断が行われると前記記録媒体の表面または裏面のいずれか一方にのみ前記付加情報を書き込む付加情報書込手段と、
を備えることを特徴とする複写装置。」

2.引用刊行物
(引用例1)
これに対し、原審の拒絶の理由で引用した特開平3-83079号公報(平成3年4月9日出願公開。)(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(ア)「(前略)
2)同一複写用紙の両面に複写するための両面複写制御手段、同一複写用紙の同一面に複数回の多重複写を行うための多重複写制御手段、原稿を走査して画像を形成するアナログ画像形成手段、ディジタル情報に応じて画像を形成するデジタル画像形成手段、特定情報、パターンを記憶するデジタル情報記憶手段、特定情報の種類、位置等を指定するディジタル情報指定手段および両面複写の少なくとも一方の面に多重複写を行うことによって前記ディジタル画像を前記アナログ画像に重ね合わせ合成を行う両面、多重複合複写制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
(中略)
8)前記ディジタル情報指定手段の指定が表裏両面に対して成されていない時は、表面に対してのみ前記指定されたと判定する判定手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。」(第1〜2頁の特許請求の範囲)

(イ)「[従来の技術]
文字、画像を含む原稿を複写する際、原稿に記載されている事項のみでなく、日付、注記その他の付加情報(アドオン情報)が印字された複写画像が求められることがある。アドオン情報の内容にも、スタンプ等の定形的なパターンだけでなく、任意の文字情報が要求される。従来、片面複写に対してアドオン情報を印字する方法および装置は種々提案されている。」(第2頁下左欄第7〜15行)

(ウ)「[発明が解決しようとする課題]
しかし、従来の装置は複写画像の片面にのみアドオン情報を印字できるものであって、今日のように両面複写の使用頻度が高くなる中で増加している両面に対するアドオン情報印字の要望に応え得るものではなかった。
(中略)
さらに、アドオン情報として定形パターンだけでなく、文字情報を複写用紙の表裏両面に印字するのは非常に困難であった。
本発明は、このような従来の欠点を克服して、容易に表裏両面に多重複写が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。」(第2頁下左欄第17行〜同頁下右欄第11行)

(エ)「また、レーザユニットは画像中に任意の場所にレーザビームを照射して画像の一部を消去できるとともに、操作部41から入力された第1アドオン情報(例えばページ番号、日付、ヘッダ)および第2アドオン情報となるスタンプ情報(重要、至急、回覧、コピー禁止、秘等)に応じたレーザビームを照射し、カットシートSHの要部に全ての原稿または特定の原稿に対して重ね複写することが可能となっている。」(第5頁上左欄第13行〜同頁上右欄第1行)

(オ)「原稿排出時には実線位置にて原稿を原稿積載台55方向へと誘導し、原稿反転時にはフラッパソレノイドの通電により破線位置に変位して原稿を反転経路69をプラテンガラス52方向へと誘導する。」(第7頁上右欄第6〜10行)

(カ)「「両面原稿から両面コピー」へのアドオン印字
第19図(a1)、(b1)および(c1)は原稿を、(a2)、(b2)および(c2)は複写出力形態を示した模式図である。図中矢印はスタンプ指定位置を示す。まず、オペレータは操作部より「両面原稿→両面コピー」のモードを選択する。さらにエディタ43でスタンプモード設定キー130を押下してスタンプモードを設定する。(中略)
そして、ペン113により原稿セット面111にあらかじめ印刷されたスタンプ情報140,例えば「重要」を指示する。このようにして複写された出力が第19図(b2)であり、第19図(a2)、(c2)は1面にのみアドオン情報を印字した例を示す。
スタートキーが入力された後のフローを第20図を用いて説明する。
ステップS81で原稿を原稿積載台より裏面給紙し、S82でアナログコピーを行う。S83で文字入力等を全原稿に対して行うか判断し、行う場合はS84,S85で多重複写で文字入力のためのディジタル画像形成を行う。文字入力を全原稿に対して行わない場合はS86へ分岐し、ラスト原稿、すなわち原稿1ページ目かを判断する。ラストの時S87で原稿裏面にスタンプ指定があり、スタンプを実行したかを判断する。YESなら再度多重経路S84に戻り、S85でスタンプを形成した後、S88の両面経路にスイッチバックされ、中間トレイに収納される。次に、S89で原稿を表面給紙し、S90でアナログコピーを行う。S91で文字入力等を全原稿に対して行うか判断し、行う場合はS92およびS93で多重複写で文字入力のためのデジタル画像形成を行う。文字入力を全原稿に対して行わない場合はS94へ分岐し、ラスト原稿、すなわち原稿1ページ目かを判断し、ラストの時S95で原稿表面にスタンプ指定があり、スタンプを実行したかを判断する。YESなら再度多重経路S92に戻り、S93でスタンプを形成した後、S96で機外へ排紙して複写を終了する。S94でラスト原稿でない時は、S97を経由して次の原稿に対してS81へと戻る。」(第13頁上左欄第6行〜同頁下左欄第10行)

以上の記載よりみて、引用例1には、
「両面原稿から複写用紙に両面複写を行う際に、原稿の画像情報以外のアドオン情報を、複写用紙の表面または裏面の少なくとも一方の面に多重複写する画像形成装置。」が記載されている。

(引用例2)
また、同じく原審の拒絶の理由で引用した特開平4-294682号公報(平成4年10月19日出願公開。)(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(キ)「【請求項1】フルカラー画像信号を電気的に処理し出力画像信号を得る、画像処理装置において、前記出力画像信号に、人間の目には識別しにくい特定パターンを付加することを特徴とする画像処理装置。」(特許請求の範囲)

(ク)「【0021】ここで、特定原稿の判定手段409は、原稿台上に置かれた原稿が所定の複数の特定原稿のうち少なくともひとつである可能性の判定を行い、その可能性を示す判定信号Hが多値2ビットで出力される。即ち、複数の特定原稿のうち少なくともひとつである可能性が最も強い場合には、H=“3”を出力し、その可能性が最も少ない場合には、H=“0”を出力する。
(中略)
【0024】410は、パターン付加回路であり,CPU414が指定する2ビットのパターンレベル選択信号PSに応じ、複写画像に人間の目には識別し難いパターンを付加する。」(段落番号【0021】〜【0024】参照。)

(ケ)「【0046】ここで付加するパターンは、人間の目で識別し難い様に、イエローのトナーのみで付加されるが、これは、人間の目が、イエローのトナーで描かれたパターンに対して識別能力が弱いことを利用したものである。更に、入力画像中に、特定原稿の存在する可能性に応じて、付加するパターンのレベルを可変することで、通常の複写物では、パターンが人間の目では殆ど識別できない様にし、特定原稿が存在する可能性が高くなるほど、くっきりとパターンが付加する。
【0047】[複写結果]図10に本実施例における複写結果の例を示す。1001で示されるの画付加されたパターンであり、ROM903に保持されている内容が付加される。図10に示す例では、“ABCD123”なるパターンが、人間の目には識別し難い様に、64画素×64画素のパターンで付加され、主走査512画素、副走査512ライン毎に繰り返される。そこで、これを、機械固有の製造番号もしくは、製造番号を符号化したものとしておくことで、複写物を鑑定することで、複写した装置を限定することができる。
(段落番号【0046】〜【0047】参照。)

(コ)「【0057】以上説明した様に、本発明の上記実施例によれば、複写物のなかに、装置を特定するための方法として、人間の目では識別し難い特定パターンを付加することで、本来複写されるべきでない特定原稿(例えば紙幣)が複写された場合、複写した装置を限定する手がかりとすることができる。更に、特定パターンを、紙幣の短手方向の長さよりも短いピッチで繰り返し付加することで、複写物の一部分を切りとって、悪用された場合においても、複写物の中には必ず特定パターンが付加され、これを限定することで、複写した装置もしくは複写した人物を割り出す。または絞り込むことができる。」(段落番号【0057】参照。)

以上の記載よりみて、引用例2には、
「複数色のトナーを重ね合わせて複写を行うフルカラー複写装置を用いて原稿の複写を行うとき、その原稿が紙幣や有価証券等の特定原稿である可能性が高い場合には、強制的に人間の目では識別し難い特定パターンを書き込むフルカラー複写装置」が記載されている。

3.対比
そこで、本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、
引用例1に記載された発明の「アドオン情報」と本願発明の「付加情報」とは、その書き込み方は別として原稿に付け加える情報であるという点で差異はない。
そして、引用例1には、両面記録モードを選択すると原稿の両面画像を記録媒体の両面に自動複写することが記載されており(前記(ア)〜(ウ)及び(カ)参照。)、本願発明も両面複写モードの指定に基づいて両面複写を行うものであるから、引用例1に記載された発明と本願発明とは、原稿の両面画像を記録媒体の両面に自動複写可能とする点で差異はない。
また、引用例1には、両面記録モードを選択しかつ合成モードを選択したとき、アドオン情報(本願発明の付加情報に相当)を記録媒体の少なくとも一方の面に書込むこと、すなわち、(i)表面と裏面の両面に、(ii)表面にのみ、(iii)裏面にのみ書込むことが開示されており(前記(カ)及び図面第19図参照)、この記載に鑑みれば、記録媒体の少なくとも一方に書込むことができるということは、オペレータが必要に応じて表面または裏面のいずれかを設定すれば、記録媒体の表面または裏面のいずれか一方にのみ書込むことができることである。
しかも、引用例1の特許請求の範囲第8項には、表裏両面に対してアドオン情報を書込む指定が成されていない時は、片面に対してのみ強制的にアドオン情報を書込むことが記載されている(前記(ア)参照。)から、 引用例1に記載された発明と本願発明とは、原稿の画像情報以外の付加情報を、前記記録媒体の表面または裏面のいずれか一方にのみ書き込む付加情報書込手段を有する点で差異はない。

そうすると、引用例1に記載された発明と本願発明とは、
「原稿の両面画像を記録媒体の両面に自動複写可能で、且つ原稿を複写する際強制的に原稿の画像情報以外の付加情報を書き込み、複写を行う複写装置において、
前記記録媒体の表面または裏面のいずれか一方にのみ前記付加情報を書き込む付加情報書込手段を備えることを特徴とする複写装置。」
である点で一致し次の2点で相違する。

(相違点1)
本願発明は、複写装置が複数色のトナーを重ね合わせて複写を行う装置であるのに対して、
引用例1に記載された発明は、複写装置が複数色のトナーを重ね合わせて複写を行う装置であるとの明記がない点。

(相違点2)
本願発明は、記録媒体の両面複写を判断する両面複写判断手段を備え、この両面複写判断手段で両面複写の判断が行われると付加情報を書き込む付加情報書き込み手段を設けたのに対して、
引用例1に記載された発明は、オペレータの指示に基づきディジタル情報指定手段の判定によりアドオン情報(本願発明の付加情報に相当)を書き込む点。

4.当審の判断
以下、前記相違点について検討する。
(相違点1について)
複数色のトナーを重ね合わせて複写を行う複写装置、すなわちカラー複写装置自体は周知慣用されており、またカラー複写装置を用いて記録媒体に複写を行う際、原稿の画像情報以外の付加情報を書込むことも周知である(前記(キ)〜(コ)参照。)から、引用例1に記載された発明の複写装置を複数色のトナーを重ね合わせて複写を行う複写装置、すなわちカラー複写装置となし付加情報を書き込むようようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
本願発明の両面複写判断手段とは、本願明細書の記載(段落番号【0033】等)から見て、両面複写モードの指定に基づいて、あるいは、記録媒体の反転の検出に基づいて、記録媒体の両面複写を判断する手段であると認められるが、
引用例1に記載されたものも、両面複写モードの指定に基づいて両面複写を行っている(前記(カ)参照。)から、両面複写モードの指定に基づいて記録媒体の両面複写を判断するということでは、本願発明と引用例1に記載された発明とは差異がない。
また、引用例1には、その目的として、
「本発明はこのような従来の欠点を克服して、容易に表裏両面に多重複写が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。」(前記(ウ)参照。)と記載されており、また、引用例1の特許請求の範囲の記載を見ても、両面複写時に原稿の少なくとも一方の面に多重記録するものであり、かつ、ディジタル情報指定手段の指定が表裏両面に対して成されていない時は表面に対してのみ指定されたと判定する判定手段を有するものであるから、両面複写モードの指定時に原稿の少なくとも一方の面に多重複写するようにする手段を設けること、すなわち、両面複写の判断が行われると記録媒体の表面または裏面のいずれか一方にのみ付加情報を書き込む付加情報書込手段を設けることは当業者が適宜なし得ることであると認められる。

5.むすび
以上から明らかなとおり、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-04-21 
結審通知日 2003-04-30 
審決日 2003-05-15 
出願番号 特願平5-59740
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 立川 功加内 慎也  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 加藤 恵一
関川 正志
発明の名称 複写装置  

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