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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1079401 |
審判番号 | 審判1999-7223 |
総通号数 | 44 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-10-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-04-30 |
確定日 | 2003-07-09 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 85645号「興行場予約システムおよび興行場予約方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年10月20日出願公開、特開平 7-271871]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成6年3月31日の出願であって、その請求項1ないし6に係る発明は、平成10年10月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたところのものであり、その請求項2は、以下のとおりのものである。 「データ記憶部およびデータ処理部を有し、データ処理部を介してデータ記憶部に対してデータの読み書きを行う可搬型データ担体と、 興行場の予約データおよび入場料金データを通信系に送出する発券センタ側コンピュータと、 予約データおよび入場料金データを通信系を介して受信し、可搬型データ担体に予約データを書き込む個人端末と、 可搬型データ担体に書き込まれた予約データに基づき、興行場への入場の許否を判断する興行場側コンピュータとを備え、 上記発券センタ側コンピュータは、可搬型データ担体所持者の口座から入場料金を引き落とす処理を行う興行場予約システム。」 2.引用例記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-60100号公報(以下「引用例」という。)には、次のとおりの事項が図面とともに記載されている。 (ア)「【産業上の利用分野】本発明は、劇場のチケットや指定乗車券等のチケットを、ICカードや磁気カードなどの情報記憶カードにより簡易に予約発行を可能にするチケット予約発行システムに関する。」(第2頁段落【0001】) (イ)「図1は、本発明の原理的構成を例示的方法で示したものである。図1において、1は、チケット予約センタであり、チケットの予約管理を集中的に行う。 2は、チケット予約センタ内の予約管理ファイルであり、チケット予約状況を示すデータが格納されている。3は、ホストコンピュータであり、端末からの予約照会、予約、解約等の要求を処理し、予約管理ファイル2の参照、更新等を行う。 4は、利用者の自宅等に設けられるチケット予約端末であり、チケット予約要求処理機能5とICカード入出力機能6とを備えている。7は、チケット利用場所に設けられるチケット発行端末であり、ICカード入出力機能8とチケット発行処理機能9とを備えている。 10は、チケット予約に用いられたICカードである。11は、発行されたチケットである。チケット予約端末4はチケット予約センタ1と公衆回線網を介して接続されるが、チケット発行端末7はチケット予約センタ1と専用回線で接続されていてもよい。 【作用】図1の構成の機能動作を説明する。ICカードを所有する利用者がチケット予約を行う場合、ICカードをチケット予約端末4に挿入し、チケット予約要求処理機能5を起動して、所望のチケットの予約照会要求を行う。予約照会要求は、チケット予約センタ1との間に回線を確立した後、所望のチケットの予約要求を行う。 チケット予約センタ1のホストコンピュータ3は、予約照会要求を受け付けると予約管理ファイル2を参照し、要求されたチケットの予約状況をチケット予約端末4へ通知する。利用者はチケットの予約状況が空きのとき予約要求を行い、ホストコンピュータ3はその時点で予約が実行可能であるとき予約処理を行って、予約管理ファイル2のデータを更新する。この結果はチケット予約端末4へ通知され、ICカード入出力機能6が起動されて、ICカード10に、所定の規約(プロトコル)に基づく手順とデータ形式とによって、その予約情報が書き込まれる。 予約情報を書き込まれたICカード10は、利用者によってそのまま保有され、チケットの利用を行う時点でチケット発行要求が行われる。その場合、ICカード10はチケット発行端末7に挿入され、ICカード入出力機能8によって所定の規約に基づく予約情報の読み出しが行われる。次にチケット発行処理機能9に基づき予約情報を解析して、対応するチケット11をプリンタ(図示省略)から出力する。 利用者は、出力されたチケットを受け取り、またチケット発行端末7からチケット予約センタ1へは、チケットの予約が終了し、チケットが発行されたことを報告する。 このようにして利用者は、手近の端末でチケットの予約をとり、ICカードに予約情報を書き込んだ後は、チケットの利用を行う時点まで何もする必要がなく、また特別の規約を採用することによってICカード内の予約情報を保護できるので、不正な書き込みによる利用を排除することができる。」(第2頁段落【0005】〜第3頁段落【0013】) (ウ)「26は、ICカードリーダライタ制御部であり、ICカードの入出力処理機能をもつ。27は、プロセッサとメモリを備えたICカードであり、予約情報の保持に用いられ、ホームユース端末16から入場端末14への情報伝達媒体となる。ICカードのプロセッサは、予約情報の書き込みと読み出しにおいて、予め設定された1つの特別なプロトコルで動作するようになっており、プロトコルを知らない第三者による予約情報の書き込みと読み出しは確実に阻止される。」(第3頁段落【0021】) (エ)「図4は、ICカード34に記憶される情報の構成を示す。図中の36は個人識別番号領域であり、個人を識別特定するためのIDコードが記憶される。37は個人情報領域であり、使用済み後消去される予約受付番号などの情報が記憶されるスクラッチ・パッド領域と、電子サイフやスタンプ(ポイント)など元の金額や点数を更新して保持するデータを記憶する半固定領域と、消去不可の個人情報である銀行口座番号、個人登録番号などを記憶する固定領域とを含む。38はシステム制御情報領域であり、端末制御や通信制御などのプログラムや情報を用途別に組込むためのものである。」(第3頁段落【0026】) 上記(ウ)の記載より、「ICカード」は「メモリ」および「プロセッサ」を有し、プロセッサを介してメモリに対して情報の読み書きを行っていることが明らかである。 また、上記(イ)の記載より、「チケット予約センタのホストコンピュータ」は、チケットの予約状況を通信系に送出しており、「チケット予約端末」は、チケットの予約状況を通信系を介して受信していることが明らかである。 更に、チケットは、座席位置等により異なる料金が設定されているのが普通であるから、予約情報に入場料金データを付すことは、技術常識である。 そうすると、引用例には、 メモリおよびプロセッサを有し、プロセッサを介してメモリに対して情報の読み書きを行うICカードと、 劇場の予約情報および入場料金データを通信系に送出するチケット予約センタのホストコンピュータと、 予約情報および入場料金データを通信系を介して受信し、ICカードに予約情報を書き込むチケット予約端末と、 ICカードに書き込まれた予約情報に基づき、チケットを発行するチケット発行端末とを備えた劇場チケット予約システム、 が記載されているといえる。 3.対比・判断 本願の請求項1に係る発明(以下、「前者」という。)と上記引用例に記載された発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、 後者の「メモリ」、「プロセッサ」、「情報」、「ICカード」、「劇場」、「予約情報」、「チケット予約センタのホストコンピュータ」は、それぞれ、前者の「データ記憶部」、「データ処理部」、「データ」、「可搬型データ担体」、「興行場」、「予約データ」、「発券センタ側コンピュータ」に相当する。 また、後者の「チケット予約端末」は、上記(イ)の「4は、利用者の自宅等に設けられるチケット予約端末であり」との記載から、前者の「個人端末」に相当する。 そうすると、両者は、 データ記憶部およびデータ処理部を有し、データ処理部を介してデータ記憶部に対してデータの読み書きを行う可搬型データ担体と、興行場の予約データおよび入場料金データを通信系に送出する発券センタ側コンピュータと、予約データおよび入場料金データを通信系を介して受信し、可搬型データ担体に予約データを書き込む個人端末とを備えた興行場予約システム、 である点で一致し、次の点で相違している。 (1)興行場への入場の許否を判断する構成に関して、前者では、興行場側コンピュータにより、可搬型データ担体に書き込まれた予約データに基づき判断しているのに対して、後者では、可搬型データ担体に書き込まれた予約データに基づきチケット発行端末でチケットを発行し、興行場で人間が判断するようにしている点。 (2)入場料金の徴収に関して、前者では、発券センタ側コンピュータが、可搬型データ担体所持者の口座から入場料金を引き落とす処理をしているのに対して、後者では、入場料金をどのように徴収するのか不明な点。 上記相違点(1)について検討すると、 後者の可搬型データ担体には、上記(イ)の記載から、予約データが格納されていることが明らかであり、可搬型データ担体に予約データが格納されていれば、チケットを発行せずに、この予約データを直接利用して、興行場への入場の許否を行うようにすること、すなわち、興行場側コンピュータによりこの予約データを読み取り、入場の許否を行うようにすることは、当業者であれば容易に想到するものと認められる。 上記相違点(2)について検討すると、 個人が、個人端末を利用してセンタから商品を購入する場合、センタ側コンピュータは購入する個人の所有している銀行口座から、購入する商品の料金を引き落とす処理をすることが、この種の電子商取引においては普通に行われていることである。 したがって、可搬型データ担体に興行所の予約データを書き込んで予約を取得する場合に、発券センタ側コンピュータが、可搬型データ担体所持者の口座から入場料金を引き落とす処理を行うようにすることは、当業者であれば容易になし得るものと認める。 また、本願の請求項2に係る発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 4.むすび したがって、本願の請求項2に係る発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-04-24 |
結審通知日 | 2003-05-09 |
審決日 | 2003-05-20 |
出願番号 | 特願平6-85645 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 相田 義明 |
特許庁審判長 |
佐藤 荘助 |
特許庁審判官 |
久保田 健 岡 千代子 |
発明の名称 | 興行場予約システムおよび興行場予約方法 |
代理人 | 安倍 逸郎 |