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審決分類 審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  C09D
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C09D
管理番号 1079551
異議申立番号 異議2000-74083  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-11-08 
確定日 2003-05-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3040094号「金属含有樹脂組成物」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3040094号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 (I)手続きの経緯
本件特許第3040094号の請求項1、2に係る発明は、昭和61年5月16日(優先権主張:昭和60年5月17日)に出願した特願昭61-113124号の一部を平成10年8月3日に新たな特許出願とした出願に係るものであり、平成12年3月3日に特許権の設定登録がなされ、その後、当該請求項1、2に係る発明の特許について、扇化学工業株式会社(以下、申立人という。)から、特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、訂正請求(その後、取り下げられた。)がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年3月28日に訂正請求がなされたものである。

(II)訂正について
(II-1)訂正事項
(A)特許請求の範囲の記載を次のとおり訂正する。
「【請求項1】少なくとも1つの側鎖の末端部に式 -X-〔-O-M-R〕X (式中Xは、【化1】(省略)、(省略)、(省略)、あるいは、【化2】(省略);Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;Xは1〜2の整数;Rは【化3】(省略)、(省略)、-O-R1 、-S-R1 、【化4】(省略)、および【化5】(省略)からなる群より選ばれる有機酸残基;R1 は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;Rは-O-C(=O)-CH3 で表される基を除く。)で表される基[但し、式【化6】(省略){式中Mは亜鉛あるいは銅原子;R1 は、式【化7】(省略)、(省略)、-R5 -R6 あるいは-R6 (式中R2 は水素または炭素数1〜12の炭化水素;R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素;R5 は、炭素数1〜4の炭化水素;R6 は炭素数5〜12の環状炭化水素残基をそれぞれ示す。)で表される有機残基、又は、ナフテン酸残基}で表される基を除く。]を少なくとも1つ有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂と、該樹脂が可溶な有機溶剤とからなるポリシング型防汚性金属含有樹脂組成物。 【請求項2】少なくとも1つの側鎖の末端部に式 -X-〔-O-M-R〕X (式中Xは、【化8】(省略)、(省略)、(省略)、あるいは、【化9】(省略);Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;Xは1〜2の整数;Rは【化10】(省略)、(省略)、-O-R1 、-S-R1 、【化11】(省略)、および【化12】(省略)から選ばれる有機酸残基;R1 は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;Rは-O-C(=O)-CH3 で表される基を除く。)で表される基[但し、式【化13】(省略){式中Mは亜鉛あるいは銅原子;R1 は、式【化14】(省略)、(省略)、-R5 -R6 あるいは-R6 (式中R2 は水素または炭素数1〜12の炭化水素;R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素;R5 は、炭素数1〜4の炭化水素;R6 は炭素数5〜12の環状炭化水素残基をそれぞれ示す。)で表される有機残基、又は、ナフテン酸残基}で表される基を除く。]を少なくとも1つ有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂、および該樹脂が可溶な有機溶剤からなる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含むことを特徴とするポリシング型防汚塗料組成物。 【請求項3】添加防汚剤を添加してなる請求項2記載の組成物。」
(ただし、前記「(省略)」という表記は、訂正に係る1つの官能基の表記を省略したことを示す)
(B)段落番号0013の記載を、「から選ばれる有機酸残基;R1 は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;Rは-O-C(=O)-CH3 で表される基を除く。)で表される基を少なくとも1つ有する樹脂および該樹脂が可溶な有機溶剤からなる金属含有樹脂組成物ならびに前記の金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含む塗料組成物を提供することにより達成せられる。」と訂正する。

(II-2)訂正の適否
訂正事項(A)について:
請求項1、2における「R1 は一価の有機残基」を「R1 は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基」とする訂正は、段落番号0019の記載に基づいてその内容を減縮したものであり、請求項1における「防汚性金属含有樹脂組成物」を「ポリシング型防汚性金属含有樹脂組成物」とする訂正は、請求項2および段落番号0113の記載に基づいてその内容を減縮したものであり、請求項2における「アクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂」を「アクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂」とする訂正は、請求項1および段落番号0050の記載に基づいてその内容を減縮するものであるから、前記訂正は、いずれも、特許請求の範囲の減縮に該当するものである。
また、前記訂正は、願書に添付した明細書および図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものでない。

訂正事項(B)について:
訂正事項(B)は、訂正事項(A)に係る訂正と整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当し、訂正事項(A)と同様に、願書に添付した明細書および図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものでない。

むすび:
したがって、前記(A)、(B)に係る訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書および同条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(III)特許異議の申立てについて
(III-1)本件発明
本件特許に係る発明は、前記訂正後の願書に添付された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものである(前記(II-1)参照。それぞれの発明を、以下、「本件発明1」、「本件発明2」という。)。

(III-2)特許異議の申立理由
申立人は、証拠方法として、甲第1号証(特開昭52-32928号公報)、甲第2号証(特開昭50-160336号公報)、甲第3号証の1(昭和59年4月18日に中国塗料株式会社に頒布されたことの証明書(受領証)付きの製品案内:昭和55年8月10日、浅田化学工業株式会社)、甲第3号証の2(昭和55年8月10日から昭和63年3月10日頃までの間に多くの顧客に頒布されたことの証明書付きの製品案内:昭和55年8月10日、浅田化学工業株式会社)、甲第4号証(平成12年10月17日付の実験報告書)、甲第5号証(米国特許第3740366号明細書)および甲第6号証(特開昭58-125774号公報)を提示して、(イ)本件発明1、2は、甲第1号証と甲第2号証又は甲第3号証の1(又は2)に記載された発明、或いは、甲第1号証と甲第5号証又は甲第6号証とに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、(ロ)本件明細書の記載は、効果について当業者が容易に理解できる程度になされておらず、特許法第36条第4項および第5項の規定を満足するものでない、旨を主張する。

(III-3)甲各号証の記載
甲第1号証(特開昭52-32928号公報)
(A)成分(a)、(b)及び(c)を共重合してなるカルボキシル基を有するアクリル共重合体80〜98重量部と(B)カルボキシル基とキレート化できる金属化合物2〜20重量部を有する船底塗料組成物(第1頁左下欄特許請求の範囲参照)。
本発明は、毒物の使用を必要としない防汚防虫効果の優れた硬化型の船底塗料用組成物を提供するものである(第2頁左上欄8〜11行参照)。
(B)成分として酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物があげられること(第3頁右上欄9〜20行参照)。
エチレングリコールモノブチルエーテルを含有し、メタアクリル酸ラウリル、アクリル酸及びメタクリル酸メチルの共重合体に酢酸亜鉛を添加してなる船底塗料用組成物の塗膜は、カキ、フジツボ、セルブラ等の付着が長期間みられなかったこと(第3頁右下欄6行〜第4頁左上欄2行の実施例2参照)。

甲第2号証(特開昭50-160336号公報)
表面のあらさ並びに腐食を減少させる為に、水中にある物体の表面を処理する方法(第1頁右下欄2〜4行参照)。
有効な殺生物剤として、亜鉛ステアレートやZnポリアクリレートなどがあること(3頁右下欄16行〜4頁左上欄17行参照)。
ポリメタクリル酸に硫酸亜鉛を添加してポリ(亜鉛メタクリレート)を製造すること(7頁左下欄の実施例13参照)

甲第3号証の1及び2(製品案内:昭和55年8月10日、浅田化学工業株式会社)
含金属モノマーと水溶性モノマーを共重合させた樹脂は水に対する膨潤性を付与でき、船底塗料、目地材としても検討されていること(1頁23〜24行参照)。
含金属モノマーと親水性モノマーを共重合させることにより水に対する膨潤性のある樹脂を作ることができ、布のサイジング剤、船底塗料、止水材、目止剤への応用が可能であること(10頁20〜22行参照)。
金属モノマー製品として、ステアリール・ジンク・メタアクリレートC18H37COOZnOOCCH3C=CH2があること(12頁上から3つ目の表(c)参照)。
甲第3号証の1の製品案内が昭和59年4月18日に中国塗料株式会社に頒布され、甲第3号証の2の製品案内が昭和55年8月10日から昭和63年3月10日頃までの間に多くの顧客に頒布されていたこと(証明書参照)。

甲第4号証(実験報告書)
亜鉛含有樹脂をワニスとして含有する防汚塗料において、樹脂に付加されている側鎖が酢酸残基であるかステアリン酸残基であるかにより、防汚効果、ポリッシング効果、塗膜状態に差異がないこと(5頁結論の欄、9〜24頁の表4〜7及び添付の写真参照)。

甲第5号証(米国特許第3740366号明細書)
カルボン酸基と多価金属を含有する感圧接着剤(第10欄の特許請求の範囲の請求項1及び発明の名称)。
樹脂が形成される機構は、polymer-COOH+Zn(OOCR)2 → polymer-COOZnOOCR+HOOCR であること(2欄、第4欄45〜50行参照)。
好ましい多価金属化合物、複合体及びキレート剤に、酢酸亜鉛、グリコール酸亜鉛があること(5欄47〜51行)。

甲第6号証(特開昭58-125774号公報)
カルボン酸基を有する有機ポリマーと混和性金属塩を含有する感圧接着剤(発明の名称及び特許請求の範囲の第1項参照)。
アクリルポリマーやメタクリルポリマーなどのカルボン酸基を有する有機ポリマーと酢酸亜鉛やオクタン酸亜鉛を含有する感圧接着剤(特許請求の範囲の第14項、10頁右下欄12行参照)。

(III-4)申立理由の検討
(III-4-1)申立理由(イ)について
本件発明1、2は、ポリシング型防汚性金属含有樹脂組成物において、側鎖の末端に請求項1、2で特定された金属エステル基を有するアクリル樹脂またはポリエステル樹脂を用いるという構成(以下、「本件構成A」という。)を採用することにより、ポリシング性と防汚性に優れた組成物を得るという明細書に記載の効果を奏するものであるところ、甲第1〜6号証には、ポリシング型の防汚性組成物について記載も示唆もない。
すなわち、甲第1号証には、キレート化合物で硬化した硬化型の塗料組成物が記載され、甲第2号証には、海水中の物体の表面のあらさや腐蝕を減少するために用いる、蝋と有機酸塩とからなる組成物が記載され、甲第3号証には、船底塗料に用いる、金属エステル基を有し膨潤性を有する樹脂が記載され、甲第4号証には、防汚性や塗膜消耗性において同等の効果を有する樹脂ワニスとして、酢酸残基を有する樹脂ワニスとステアリン酸残基を有する樹脂ワニスとが記載され、甲5、6号証には、感圧接着剤において酢酸亜鉛と均等に使用されるものとして、グリコール酸亜鉛やオクタン酸亜鉛が記載されているものの、ポリシング型の防汚性組成物については記載がなく、前記した本件構成Aがポリシング性と防汚性を兼ね備えるという効果をもたらすことを示唆する記載はない。
したがって、本件発明1、2が、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者に容易に発明され得たものであるとすることはできない。
よって、申立理由(イ)は採用することができない。

(III-4-2)申立理由(ロ)について
申立理由(ロ)は、次の内容を前提とするものである。
すなわち、本件明細書の段落番号0019には「一価有機酸の沸点が低い場合(例えば酢酸等)加熱で酸が系外に出、樹脂間で金属エステル結合を生じるおそれがあるので反応を注意深く進行せしめる必要がある。」と記載されているが、当該記載は、甲第1号証や甲第4号証の、酢酸を用いてもゲル化することなく樹脂溶液が得られるとの記載と矛盾する内容であるうえに、当該記載によれば、酢酸以外であっても、低沸点一価有機酸を用いた場合には、目的とする効果が得られないと予想されるとの前提。
しかし、段落番号0019の「樹脂間で金属エステル結合を生じるおそれがあるので反応を注意深く進行せしめる必要がある。」との記載は、「注意深く進行せしめる必要がある。」としているのみで、ゲル化することなく樹脂溶液をうることができないとするものでないから、当該記載が甲第1号証や甲第4号証の記載と矛盾するとすることはできず、低沸点一価有機酸を用いた場合に、目的とする効果が得られないと予想されるものでもない。
してみると、申立理由(ロ)は、その前提において誤りであり、採用することができない。

(III-5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由および証拠によっては、本件発明1、2に係る特許が拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるとすることはできない。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
金属含有樹脂組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1つの側鎖の末端部に式
-X-〔-O-M-R〕X
(式中Xは、
【化1】

、あるいは、
【化2】

;Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;
Xは1〜2の整数;
Rは
【化3】

、-O-R1、-S-R1、
【化4】

、および
【化5】

からなる群より選ばれる有機酸残基;
R1は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;
Rは-O-C(=O)-CH3で表される基を除く。)で表される基
[但し、式
【化6】

{式中Mは亜鉛あるいは銅原子;
R1は、式
【化7】

、-R5 -R6あるいは-R6
(式中R2は水素または炭素数1〜12の炭化水素;R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素;R5は、炭素数1〜4の炭化水素;R6は炭素数5〜12の環状炭化水素残基をそれぞれ示す。)で表される有機残基、又は、ナフテン酸残基}で表される基を除く。]
を少なくとも1つ有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂と、該樹脂が可溶な有機溶剤とからなるポリシング型防汚性金属含有樹脂組成物。
【請求項2】少なくとも1つの側鎖の末端部に式
-X-〔-O-M-R〕X
(式中Xは、
【化8】

、あるいは、
【化9】

;Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;
Xは1〜2の整数;
Rは
【化10】

、-O-R1、-S-R1、
【化11】

、および
【化12】

から選ばれる有機酸残基;
R1は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;
Rは-O-C(=O)-CH3で表される基を除く。)で表される基
[但し、式
【化13】

{式中Mは亜鉛あるいは銅原子;
R1は、式
【化14】

、-R5 -R6あるいは-R6
(式中R2は水素または炭素数1〜12の炭化水素;R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素;R5は、炭素数1〜4の炭化水素;R6は炭素数5〜12の環状炭化水素残基をそれぞれ示す。)で表される有機残基、又は、ナフテン酸残基}で表される基を除く。]
を少なくとも1つ有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂、および該樹脂が可溶な有機溶剤からなる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含むことを特徴とするポリシング型防汚塗料組成物。
【請求項3】添加防汚剤を添加してなる請求項2記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なる金属含有樹脂組成物に係り、さらに詳しくは側鎖末端に特定の基を有する加水分解型樹脂からなる金属含有樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物をビヒクルとして含む防汚塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機あるいは無機系防汚剤をビニル系樹脂、アルキド樹脂等のバインダーと共に塗料化し、船底塗料などとして塗装することが今日広く行なわれているが、この場合防汚効果は塗膜面から溶出する防汚剤にのみ依存し、防汚剤の溶出速度はその濃度勾配による拡散現象に主として基づくものであるから、長時間安定した防汚効果は期待できないし、また防汚剤が塗膜面から溶出したあと水不溶性の樹脂成分がスケルトン構造を形成するため船舶と水との摩擦抵抗の増大、速度低下、燃費増大など多くの問題が派生する。そこで防汚剤と加水分解型樹脂ビヒクルからなる防汚塗料で比較的強じんな塗膜を作り、海水中で徐々に加水分解をうけ樹脂が溶融せられる型の防汚塗料が脚光をあびるに至った。
【0003】
本発明者らはさきにポリエステル主鎖中に金属-エステル結合が多数組み入れられた加水分解型のポリエステル樹脂がポリシング型防汚塗料のビヒクルとして極めて有用であることを知り、特願昭56-165922号、58-196900号などとして特許出願を行なった。かかる樹脂は海水中等アルカリ条件下で容易に金属-エステル部が加水分解を受け分子量の小さなセグメントに分解されて樹脂が溶出して行くものであるが、樹脂自体元来分子量の比較的小さなもので(例えば2000程度まで)あって造膜性が悪く、塗膜のクラツク、剥離等を生じ易いといった問題をかかえている。
【0004】
ポリエステル樹脂の分子量を大にすれば造膜性はたしかに改善されるが、加水分解性が極端に悪くなるし、その欠点をおぎなう為ポリエステル主鎖中の金属-エステル濃度を大にすれば極性溶剤にしかとけないという溶剤不溶性の新たな問題を生じ海水中での塗膜の膨潤を生じ、望ましくない。
【0005】
加水分解型の樹脂として例えばトリアルキル錫エステルを側鎖末端に有し、該エステル部の加水分解で樹脂の極性を徐々に大となし、溶解溶出をはかることも試みられている。その代表的なものはα,β-不飽和塩基酸の三有機錫塩を構成単位として含むアクリル樹脂である。この場合樹脂が安定強じんな塗膜を作るためには可及的に親水基の含まれない高分子体であることが望ましく、又分解された樹脂が水に溶解せしめられるためには分解後の樹脂にある臨界値以上の親水基濃度が与えられるようにしなくてはならない。そのため通常α,β-不飽和塩基酸の三有機錫塩とアクリル系ビニルモノマーを共重合させ、前者を高濃度に存在させ、後者からは親水基を可及的に排除する工夫がなされ、例えば55〜70Wt%のα,β-不飽和-塩基酸三有機錫塩を含むアクリル酸エステル、アクリルアミド、スチレン等との共重合体が実用化されている。かかる樹脂は主鎖中に金属エステル結合を含むポリエステル型樹脂とことなり側鎖のトリ有機錫部が加水分解で放出された時、親水性のカルボキシル基が生成せられ、その濃度がある臨界値に到して始めて樹脂が溶出せられる好ましい形の塗膜を与えることができるが、高価な有機錫化合物を多量に使用せねばならず、また公衆衛生的見地からもできるだけその減量乃至は使用の回避が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の主目的は、樹脂の側鎖部に加水分解により親水基が生成せられるような基を有し、海水中で適度の加水分解を受け溶出する型の造膜性に優れた樹脂であり、高価で且つ公衆衛生的見地からその使用が望ましくないとされている三有機錫塩に依存せぬ新規な加水分解型樹脂組成物ならびに防汚塗料を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、少なくとも1つの側鎖の末端部に式
-X-〔-O-M-R〕X
(式中Xは、
【0008】
【化15】

【0009】
、あるいは、
【0010】
【化16】

【0011】
;Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;
Xは1〜2の整数;
Rは
【0012】
【化17】

【0013】
から選ばれる有機酸残基;
R1は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;
Rは-O-C(=O)-CH3で表される基を除く。)
で表される基を少なくとも1つ有する樹脂および該樹脂が可溶な有機溶剤からなる金属含有樹脂組成物ならびに前記の金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含む塗料組成物を提供することにより達成せられる。
【0014】
本発明に係る新規な金属含有樹脂組成物は上記式で表わされる基を側鎖末端に少なくとも1つ有することを特徴とするものであり、例えば下記いづれかの方法により容易に製造せられる。すなわち、あらかじめ末端に有機酸の金属エステル部を有する重合性不飽和単量体を合成し、他の重合性不飽和単量体と共重合させる方法;あるいは重合性の不飽和有機酸単量体を他の重合性不飽和単量体と共重合させて得た樹脂に金属の酸化物、塩化物、あるいは水酸化物と一価の有機酸を反応させるか、または一価有機酸の金属エステルを用いエステル交換せしめる方法などである。より具体的には本発明の樹脂組成物は次のようにして製造せられる。
【0015】
(1) (a)金属の酸化物、水酸化物、硫化物あるいは塩化物と、(b)一価の有機酸またはそのアルカリ金属塩と、(c)重合性不飽和有機酸またはそのアルカリ金属塩と所望金属エステル生成物の分解温度以下で加熱、攪拌し、所望により副生物のアルカリ金属塩化物、水、一価有機酸の金属エステル化物、二官能重合性不飽和有機酸の金属エステル化物を分離し、精製して重合性不飽和有機酸と一価有機酸の金属エステルを得る。上記反応で(a)と(b)と(c)の量は必ずしも等当量である必要はなく、(a)1当量に対し(b)を0.8〜3当量、(c)を0.8〜2当量用い目的物を得ることもできる。
【0016】
かくして得られた重合性不飽和有機酸と一価有機酸との金属エステル化物あるいは該金属エステルと一価有機酸金属エステルとの混合物はそれの単独重合あるいは他の共重合可能単量体との共重合により目的とする側鎖末端に金属エステル部を有する樹脂に導かれる。あるいは
【0017】
(2) (d)側鎖に有機酸もしくはそのアルカリ金属塩を含む樹脂と、(e)金属の酸化物、水酸化物、硫化物あるいは塩化物と、(f)一価の有機酸を所望金属エステル含有樹脂の分解温度以下で加熱攪拌し、所望により副生物を分離精製して、樹脂側鎖に金属エステル部を有する樹脂を得ることができる。この反応における原料の使用割合は樹脂(d)の中の有機酸1当量に対し、(e)が0.8〜1.5当量(特に好ましくは1.0〜1.2当量)、(f)が0.8〜2当量(特に好ましくは1.0〜1.5当量)であることが好ましい。
【0018】
尚低沸点の一価有機酸を選択し、脱水反応を伴う反応形式をとる場合には、水と共に一価の有機酸が系外に留出し樹脂間で金属エステル結合が生じ粘度上昇あるいはゲル化を生じる危険性があるので(f)量を前記以上使用することが好ましい。あるいは
【0019】
(3) 側鎖に有機酸を有する樹脂(g)に一価有機酸の金属エステル(h)を所望生成物の分解温度以下の温度で反応させ、エステル交換反応により樹脂側鎖末端に金属エステル部を導入する。この反応で一価有機酸の沸点が低い場合(例えば酢酸等)加熱で酸が系外に出、樹脂間で金属エステル結合を生じるおそれがあるので反応を注意深く進行せしめる必要がある。通常(h)量は樹脂(g)中の有機酸1当量に対し0.3〜3当量、好ましくは0.4〜2.5当量である。上記方法で使用せられる重合性不飽和有機酸(c)としては例えばメタクリル酸、アクリル酸、p-スチレンスルホン酸、2-メチル-2-アクリルアミドプロパンスルホン酸、メタクリル酸アシドホスホオキシプロピル、メタクリル酸3-クロロ-2-アシドホスホオキシプロピル、メタクリル酸アシドホスホオキシエチル、イタコン酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸モノアルキル(例えばメチル、エチル、ブチル、2-エチルヘキシル等)、マレイン酸モノアルキル(例えばメチル、エチル、ブチル、2-エチルヘキシル等);OH基含有重合性不飽和単量体と酸無水物のハーフエステル例えば(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルの無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等のハーフエステルなどがあげられ、これらの1種あるいは2種以上の組合せを用いることができる。一価の有機酸(b)としては任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸が用いられその代表的なものは下記の通りである。
【0020】
酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル酸、乳酸、3,5-ジクロル安息香酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ニトロ安息香酸、リノール酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、フルオロ酢酸、パルビン酸、アビエチン酸、メルカプトベンゾチアゾール、o-クレソチン酸、ナフトール-1-カルボン酸、パラフェニルベンゼンスルホン酸、p-オキシ安息香酸、クロル酢酸、ジクロル酢酸、ナステン酸、β-ナフタレンスルホン酸、ナフトール-1-スルホン酸、5-クロル-α,α-ビス(3.5-ジクロル-2-ヒドロキシフェニル)トルエンスルホン酸、p-フェニル安息香酸、p-トルエンスルホン酸、p-ベンゼンクロルスルホン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、リトコール酸、フェノキシ酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ピバール酸、吉草酸など。
【0021】
尚、本発明においては加水分解で防汚性の金属イオンが放出されるため有機酸は上記の如く任意のものが使用せられるが、所望によりこの有機酸自体も防汚に関与せしめることができ、その場合には防汚性能を有する一価の有機酸が選択使用せられる。かかる有機酸としては公知の農薬、医薬、忌避剤、殺菌剤、防バイ剤、防腐剤等から例えば凹所を有する試験板の凹みに試料を入れ、金あみの覆いをつけ海水中に一定期間浸漬保持し、金あみ上の海中棲息物の付着状態をしらべるような簡単な試験により防汚性能を有する化合物である限り任意の有機酸を選択することができる。具体的に例示すれば、
【0022】
【化18】

【0023】
結合を有するもの
例えばレブリン酸等の脂肪族酸;ナフテン酸、チアウルム-グリック酸、ヒドノカルプス酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、パラストリン酸、2-メチル-ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン-2-カルボン酸など脂環族カルボン酸;サリチル酸、クレソチン酸、α-ナフトエ酸、β-ナフトエ酸、p-オキシ安息香酸など芳香族系カルボン酸;モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸などハロゲン含有脂肪族系カルボン酸;2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、3,5-ジクロル安息香酸などハロゲン含有芳香族系カルボン酸;キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸など有機含窒素系カルボン酸;プルビン酸、ブルピン酸などラクトン系カルボン酸等;ウラシル-4-カルボン酸、5-フッ化ウラシル-4-カルボン酸、ウラシル-5-カルボン酸のようなウラシル誘導体;ペニシリンV、アンピリシン、ペニシリンBT、ペニシラニック酸、ペニシリンG、ペニシリンOのようなペニシリン骨格を有するカルボン酸;各種合成脂肪酸等、その他リファマイシンB、ルセンソマイシン、ザルコマイシン、クロラムフェニコール、バリオチン、トリパシジン等がある。
【0024】
また、アルコール性水酸基含有防汚剤も酸無水物(例えば無水ハコク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)でハーフエステル化させることにより、防汚性能を有する一価の有機酸として使用でき、これらのアルコール性水酸基含有防汚剤としてはテストステロン、ウリジン、チミジン、L-メントール、ケイ皮アルコール、シトロネロール、ゲラニオール、β-フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、マルトール、リナロール、ジメチルベンジルカルビノール、ロジノール等がある。
【0025】
【化19】

【0026】
結合を有するもの
ジメチルジチオカーバメートなどジチオカーバメート類
【0027】
【化20】

【0028】
結合を有するもの
1-ナフトール-4-スルホン酸、パラフェニルベンゼンスルホン酸、β-ナフタレンスルホン酸、キノリンスルホン酸などの含硫黄芳香族系化合物
【0029】
【化21】

【0030】
結合を有するもの
トリエチルピロリン酸、リン酸ジメチルアミノその他各種有機リン酸化合物
【0031】
(5) -S-結合を有するもの
【0032】
【化22】

【0033】
基を有する化合物
【0034】
【化23】

【0035】
結合を有するチオカルボン酸塩類
【0036】
(7) -O-結合を有するものとしては、フェノール、クレゾール、キシレノール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、グアヤコール、ブチルスチルベン、(ジ)ニトロフェノール、ニトロクレゾール、サルチル酸メチル、サルチル酸ベンジル、(モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ)クロロフェノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クロロチモール、p-クロロ-o-シクロヘキシルフェノール、p-クロロ-o-シクロペンチルフェノール、p-クロロ-o-n-ヘキシルフェノール、p-クロロ-o-ベンジルフェノール、p-クロロ-o-ベンジル-m-クレゾールのようなフェノール類の他、β-ナフトール、8-ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
【0037】
かかる有機酸を用いることにより、前述の如き式
【0038】
【化24】

【0039】
の有機酸残基が金属に結合せしめられた形で、樹脂側鎖末端に組み入れられる。既に述べた如く、上記R1は任意の一価の有機残基であり得るが、本発明者らは特にこのR1が

【0040】
【化25】

【0041】
、-R5 -R6 あるいは-R6
(式中R2は水素または炭素数1〜12の炭化水素、R3およびR4は夫々炭素数1〜12の炭化水素、R5は炭素数1〜4の炭化水素;R6は炭素数5〜12の環状炭化水素残基を夫々を示す。)
で表わされる基である場合に、得られる加水分解金属含有樹脂のガラス転移温度が低下し、可塑効果により塗膜強度が大となり塗膜の耐クラック性が良好になること、樹脂のフィルム形成能の改善にも役立つことが期待されることを知った。 かかる意味に於て、上記の基を有する一価有機酸が特に好ましく推奨せられる。
【0042】
また本発明で用いられる金属種としては少なくとも1つの亜鉛、銅、テルルを含むものであり、必要により周期律表のIIb族(例えば、Cd、Hg)、IIIa族(例えばAl)、IV族(例えばSn、Pv、Si)、VIa族(例えばSe)、VIb族(例えばCr、Mo)、VIIb族(例えばMn)、VIII族(例えばFe、Co、Ni)と併用してもよい。要は、アルカリ金属よりイオン化傾向の低い金属の亜鉛、銅、テルルなどを使用することを特徴とするものである。これら金属は通常酸化物、水酸化物、塩化物として使用せられるが、所望により塩化物以外のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩などを用いることもできる。
【0043】
また、エステル交換反応に用いる有機酸の金属塩としては、前述せる一価の有機酸と金属塩のほかに所望によりラウリン酸ジブチルスズ、ステアリン酸ジブチルスズラウリン酸ジオクチルスズ、ステアリン酸ジオクチルスズ等の使用を妨げるものではない。
【0044】
共重合せしめる際に使用せられる他の重合性不飽和単量体としては特に限定されるものではなく当業者衆知の任意の共重合性モノマーが用いられるが、それらには例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸-ジ-2-エチルヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ(2-エチルヘキシル)、エチレン、プロピレン、塩化ビニル等があげられ、また所望によりOH含有単量体例えば(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等を用いることもできる。
【0045】
本発明で用いられる側鎖に有機酸を有する樹脂(d)(g)としてはビニル系樹脂のみならず、ポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、脂肪酸変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂等有機酸を有する樹脂が包含せられる。
【0046】
本発明で用いられる側鎖末端に一価有機酸金属エステルを有する樹脂において、樹脂側鎖の有機酸が全てこのような金属エステル結合をもつ必要はなく、所望により遊離有機酸基のままある程度残存させておいてもかまわない。
【0047】
上記方法で得られる本発明の樹脂の分子量に関しては特に制限されるものではないが、防汚塗料用の樹脂組成物として用いられる場合には、数平均分子量で4000〜40000のものが好ましく、特に好ましいのは6000〜35000の範囲である。というのは4000以下では塗料の造膜性が不充分でクラック、剥離を生じるおそれがあり、また4000をこえると塗料の貯蔵安定性が悪くなり実用に適さぬばかりか、塗装時に大量の希釈溶剤を必要とし、公衆衛生、経済性などの点で好ましくないからである。
【0048】
本発明の樹脂組成物は海中構築物の被覆に使用でき、塗膜あるいはフイルムがアルカリ雰囲気に於て徐々に加水分解され溶出する特徴があり、例えば漁網用塗料用樹脂、農薬カプセル等多岐にわたる用途が期待されるものである。しかしながら極めて重要な用途として船舶等の防汚塗料及び漁網用防汚塗料があげられる。
【0049】
既に述べた如く、金属エステル部を主鎖中に多数有するポリエステル系樹脂とことなり、本発明の樹脂は側鎖末端に金属エステル結合を有し、アルカリ雰囲気で加水分解された時、樹脂が小さなセグメントに分解され一気に溶出するのではなく、側鎖部に親水基が生成されその濃度がある臨界値に達し、始めて溶出してゆく形式をとる。従って船底塗料用ビヒクルとして用いた場合防汚期間を長期にわたり制御しうる特徴をもつ。
【0050】
樹脂が海水中に溶出するのに必要な金属含有量として、樹脂中0.3wt%〜20wt%の範囲が好ましく、特に0.5wt%〜15wt%が最適であることも見出されている。というのは樹脂中の金属含有量が0.3wt%未満では、金属エステル部が加水分解しても樹脂中の溶出が極めておそく、また20wt%をこえると溶出速度が速すぎて共に好ましくないからである。
【0051】
本発明の金属含有樹脂中の酸価、水酸基価は必ずしも0である必要はなく、水中で樹脂が溶解〜溶出しない程度であればある程度までは許容せられる。
【0052】
より具体的には酸価は40KOHmg/gまで、好ましくは30KOHmg/gまで水酸基価は200KOHmg/gまで、好ましくは150KOHmg/gまでが許容範囲である。
【0053】
本発明の防汚塗料では、上記加水分解型樹脂の内、金属がアルカリ金属よりイオン化傾向の低いもの、すなわち亜鉛、銅、テルルである樹脂組成物をビヒクルとして含むことを特徴とする。
【0054】
塗料化にさいしては、従来公知の任意の有機、無機系の防汚剤、顔料、溶剤、低分子、高分子可塑剤及び添加剤などが適宜選択され、常法により防汚塗料が作られる。特に漁網用防汚塗料では必要により更に染料等の使用も可能である。
【0055】
本発明の樹脂組成物は加水分解により防汚性を有する金属イオンを放出し、また好ましい具体例では有機酸にも防汚性をもたせることが可能である。更に有機酸としてペニシリン系のような抗生物質を用いた樹脂組成物を漁網用に使用した時、魚病の予防、治療を可能とする。従って、塗料化に際し別途防汚剤を添加する必要はない。しかしながら所望により他の公知の防汚剤および殺菌剤の混合を妨げるものではなく、例えば、ビス(トリブチルスズ)オキサイド、トリブチルスズクロライド、トリブチルスズフルオライド、トリブチルスズアセテート、トリブチルスズニコチニート、トリブチルスズバーサテート、ビス(トリブチルスズ)α,α′-ジブロムサクシネート、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズニコチニート、トリフェニルスズバーサテート、ビス(トリフェニルスズ)α,α′-ジブロムサクシネート、ビス(トリフェニルスズ)オキサイド等の有機スズ化合物との併用も可能である。その他に通常使用されている着色顔料、体質顔料、有機溶剤等を自由に選択し、使用できる。
【0056】
本発明の組成物は、塗料製造技術分野においてそれ自体公知の方法により調製することができる。調合に際しては公知の機械、例えばボールミル、ヘブルミル、ロールミル、スピードランミル等を使用できる。
【0057】
本発明の樹脂組成物を用いて作られた防汚塗料は長時間安定した防汚効果を示し、従来公知の三有機錫含有アクリル樹脂ベースの防汚塗料に比し性能上全く遜色がなく、しかも高価な三有機錫にたよらぬためコストが大巾にさがり公衆衛生上の問題が回避せられる特徴を有す。
【0058】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。例中特にことわりなき限り、部および%に重量による。
【0059】
ワニス製造例1
攪はん機、還流冷却機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシロール120部、n-ブタノール30部を加え110℃から120℃に保つ。この溶液中にアクリル酸エチル60部、アクリル酸2-エチルヘキシル25部、アクリル酸15部、アゾビスイソブチロニトリル2部の混合溶液を3時間に渡り等速滴下し、滴下後2時間保温する。得られた樹脂溶液の固形分は39.8%、粘度2.2ポイズのワニスAを得た。
【0060】
ワニス製造例2
ワニス製造例1と同じ反応容器中に、キシロール75部、n-ブタノール75部を加え、110℃に保つ。この溶液中にメタクリル酸n-ブチル50部、メタクリル酸メチル45部、メタクリル酸5部、過酸化ベンゾイル2部の混合溶液を3時間にわたり滴下し、2時間保温する。この固形分は39.8%、粘度0.8ポイズであった。この中に水酸化ナトリウムのメタノール5wt/wt%溶液46gを加えワニスBを得た。
【0061】
ワニス製造例3
ワニス製造例1と同じ反応容器中にキシロール100部を加え、100℃〜110℃に保つ。この溶液中にメタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル42.4部、メタクリル酸ヒドロキシエチル7.6部、アゾビスイソブチロニトリル1.6部を加え3時間にわたり滴下し、2時間保温する。この溶液に無水フタル酸8.4部、キシロール8.4部を加え、120℃で2時間保温した。このワニスの固形分50.2%、粘度2.2ポイズであった。このワニスをワニスCとする。
【0062】
ワニス製造例4
ワニス製造例1と同じ反応容器にキシロール50部、メチルイソブチルケトン50部を加え、90℃〜100℃に保温する。この溶液中にスチレン5部、無水レイン酸5部、酢酸ビニル90部、過酸化ベンゾイル1.5部を加え5時間にわたり滴下し、4時間保温した。このワニスの固形分48.2%、粘度3.6ポイズであった。このワニスをワニスDとする。
【0063】
ワニス製造例5
ワニス製造例1と同じ反応容器にキシロール70部、n-ブタノール30部を加え、100〜110℃に保温する。この溶液中にメタクリル酸メチル50部、メタクリル酸n-ブチル35部、パラスチレンスルホン酸15部、アゾビスイソブチロニトリル1.2部の混合溶液を3時間にわたり滴下し、2時間保温する。このワニスの固形分は50.2%、粘度3.2ポイズであった。このワニスをワニスEとする。
【0064】
ワニス製造例6
ワニス製造例1と同じ反応容器にキシロール80部、n-ブタノール20部を加え100〜110℃に保温する。この溶液中にメタクリル酸メタル50部、メタクリル酸3-クロロ-2-アジドホスホオキシプロピル10部、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル5部、メタクリル酸n-ブチル35部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を3時間にわたり滴下し、2時間保温した。このワニスの固形分は49.9%、粘度4.3ポイズであった。このワニスをワニスFとする。
【0065】
実施例1
攪拌機、還流冷却器、デカンターを備えた4つ口フラスコに、ワニスA100部、ナフテン酸(酸価200KOHmg/g)20部、水酸化銅7部を加え、120℃に昇温し、2時間保温した。この間生成する水を除去した。(脱水量2.5)得られたワニスは緑色を呈し固形分51.3%、ワニスの粘度2.2ポイズのワニスV-1を得た。このワニスをホワイトスピリットより再沈し、得られた緑色を呈する樹脂中の銅はケイ光X線法により定量し、6.8wt%含有していた。
【0066】
実施例2
攪拌機、還流冷却器、を備えた4つ口フラスコ中にワニスA100部、ナフテン酸銅25部を加え、80℃で2時間攪拌し、キシロール38部を加えた。このワニスの固形分は39.9%、ワニス粘度1.1ポイズのワニスV-2を得た。このワニスも実施例1と同様に銅含有量を定量し、樹脂中に銅は5.8wt%含有していた。
【0067】
実施例3
ワニス製造例2と同様の反応容器に、トルエン100部、水酸化銅100部、メタクリル酸86部、ナフテン酸275部を加え、空気バブル下で120℃で3時間反応させ生成する水を除去した。次に不溶解物をろ別した。得られたトルエン溶液は緑色を呈し、この固形分はIRよりビニル基及び銅カルボン酸塩を確認した。
【0068】
このトルエン溶液100部をワニス製造例1と同じ反応容器中に、キシレン110部と共に加え、100℃に昇温する。この中にメタクリル酸メチル150部、アゾビスイソブチロニトリル2部を3時間に滴下し、2時間保温した。このワニスの固形分は48.8%、粘度1.8ポイズのワニスV-3を得た。このワニスを実施例2と同様に銅含有量を定量し、銅含有は1.8wt%であった。
【0069】
実施例4
攪拌機、還流冷却器を備えた4つ口フラスコにワニスB100部、ステアリン酸5.5部、塩化第2銅1.7部、塩化ニッケル1.0部を加えて、120℃で2時間反応させ、ろ過し、ワニスV-4を得た。このワニスは淡緑色を呈し、固形分38.2%、粘度1.2ポイズであった。実施例2と同様にこのワニスの金属含有量を定量し、Cu含有は0.5wt%、Ni含有は0.4wt%であることを確認した。
【0070】
実施例5
実施例2と同じ反応容器中にワニスA100部、ステアリン酸亜鉛23部を加え、120℃で2時間攪拌し、その後キシロール35部を加えた。このワニスの固形分は39.2%、ワニス粘度1.3ポイズのワニスV-5を得た。このワニスも実施例1と同様に亜鉛含有量を定量し、樹脂中の亜鉛は5.2wt%であった。
【0071】
実施例6
実施例2と同じ反応容器を用い、ワニスA100部、ナフテン酸銅15部、ラウリン酸ジブチルスズ10部を加え、80℃で2時間攪拌し、キシロール33部を加え、淡黄色の固形分39.2%、粘度1.1ポイズのワニスV-6を得た。このワニスを実施例1と同様に樹脂中の金属含有量につき定量し、樹脂中の錫は2.3wt%、銅は2.1wt%であった。
【0072】
実施例7
実施例2と同じ反応容器にワニスA100部、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩39部を加え、120℃で2時間攪拌した。次にキシロール31部を加え、固形分46.4%、粘度1.3ポイズの淡黄色のワニスV-7を得た。このワニスをメタノール中で再沈させ、実施例1と同様樹脂中の亜鉛含有量を定量し、樹脂中の亜鉛含有量は4.8wt%であった。
【0073】
実施例8
実施例2と同様の反応容器を用いワニスC100部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛20部を加え120 で2時間攪拌した。次にキシロール20部を加え淡褐色のワニスV-8を得た。このワニスの固形分は51.2%、粘度2.1ポイズであった。このワニスを実施例1と同様に樹脂中の亜鉛含有量を定量し3.2wt%の結果を得た。
【0074】
実施例9
実施例2と同様の反応容器を用いワニスD100部、テルリウムジエチルジチオカーバメート22部、n-ブタノール20部を加え、実施例8と同様方法により赤とう色のワニスV-9を得た。ワニスの固形分は50.2%、粘度3.2ポイズであつた。実施例7と同様樹脂中のテルリウムを定量し6.0wt%の結果を得た。
【0075】
実施例10
実施例2と同様の反応容器中にワニスD100部、サリチル酸亜鉛の3水塩15部、n-ブタノール15部を加え120℃で2時間攪拌し淡褐色のワニスV-10を得た。このワニスの固形分は49.8%、粘度3.6ポイズで、樹脂中の亜鉛含有量は実施例7と同様に定量を行ない、5.7wt%であった。
【0076】
実施例11
実施例2と同様の反応容器にワニスE100部、ナフテン酸銅35部、キシロール35部を加え、80℃で2時間攪拌し緑色のワニスV-11を得た。このワニスの固形分は50.2%、粘度2.8ポイズであった。樹脂中の銅含量は実施例1と同様に定量を行ない、1樹脂中に5.2wtの銅を含有していた。
【0077】
実施例12
実施例1と同様の反応容器にワニスF100部、パラトルエンスルホン酸5.8部、水酸化銅3.6部を加え実施例1と同様に反応を行なった。得られたワニスは緑色を呈し、固形分52.7%、粘度4.8ポイズのワニスV-12を得た。樹脂中の銅含有量は実施例7と同様に定量を行ない、樹脂中に銅は3.2wt%含有していた。
【0078】
実施例13
デカンター、冷却管、攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に無水トリメット酸20.4部、無水フフタル酸6.8部、ブチルカルビトール9.7部、ヤシ油モノグリセライド57.3部、ヤシ油脂肪アルコール11.8部、ジブチルスズオキサイド0.2部、キシロール5部を加え180℃〜220℃で9時間脱水の下で反応を行なった。この反応溶液を160℃に冷却し、無水コハク酸12.5部を加え1時間反応、160℃で攪拌し、シロール50部、n-ブタノール10部を加えた。この溶液中に水酸化銅13部、ピロバリン酸28部を加え110℃で3時間脱水下で反応を行なった。この反応溶液をろ過し、得られたワニスは固型分55.3wt%、樹脂固型分中の銅含有量は4.2wt%であった。このワニスをV-13とする。
【0079】
比較ワニス製造例
比較例1ワニス製造例1のワニスAを比較ワニスAとする。
【0080】
比較例2
攪はん機、環流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシロール100部を加え80℃から85℃に保つ。この溶液中にメタクリル酸メチル50部、アクリル酸エチル40部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部の混合溶液を3時間に渡り等速滴下し滴下後2時間保温する。次にナフテン酸銅10部を加え70℃で2時間攪拌し、得られた樹脂溶液の固形分は50.2%、粘度は5.2ポイズの比較ワニスBを得た。このワニスを実施例1と同様両沈し樹脂中の銅含有量を定量したが、銅含有量は0.01wt%以下であった。
【0081】
比較例3
実施例2と同様の反応容器にワニスA100部、ナフテン酸マグネシウム24部を加え、80℃で2時間攪拌し、キシロール38部を加えた。このワニスの固形分は38.8%の比較ワニスCを得た。このワニスを実施例1と同様に金属量を定量し、樹脂中にマグネシウムが5.6wt%含有していた。
【0082】
実施例14〜28および比較例4〜6
第1表、第2表記載の原料を夫々表示量用い、ボールミルで5時間分散処理を

なるようテスト板に塗布し、このテスト板をディスクローター板にとりつけ海水中(水温18〜23℃)で一定速度(周速約35ノット)で3ヵ月間昼夜回転させ溶出膜厚を測定しその結果を第3表に示した。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
塗膜消耗試験
【0087】
【表4】

【0088】
塗料比較例3は3ヶ月後すべて溶出していた。
次に実施例14〜28および比較例4〜6の塗料をサンドブラスト処理鋼板にあらかじめ防錆塗料を塗布してある塗板に、乾燥膜厚が100μになるよう2回はけ塗りし試験板を作り、兵庫県相生湾内のテスト用筏で浸漬試験による防汚性能試験を行なった。
その結果を第4表に示す。
【0089】
【表5】

【0090】
塗膜消耗試験、防汚性能試験結果より、本発明により得られた樹脂組成物は、海水中で加水分解し、塗膜が海水中に溶出することが明らかとなった。すなわち、樹脂側鎖末端に金属有機酸エステルを有しない比較ワニスA(塗料比較例4)は、樹脂自体溶出もしくは溶解する為、塗膜が海水に溶出し、長期防汚が不可能となる。又、樹脂側鎖に有機酸を有しない樹脂系(比較ワニスB、塗料比較例5)においては塗膜溶出が認められず、防汚性不良であった。またイオン化傾向の高い金属を使用した樹脂系(比較ワニスC、塗料比較例6)においては塗膜消耗は認められず、防汚性不良であった。
【0091】
実施例29
実施例1と同様の反応容器に、ワニスA100部、5-キノリンカルボン酸14.4部、水酸化銅7.4部を加え、120℃に昇温し、2時間保温した。この間生成する水を除去した。
得られたワニスは淡緑色を呈し固形分50.4%、ワニスの粘度2.5ポイズのワニスV-14を得た。このワニスをホワイトスピリットより再沈し、得られた樹脂中の銅は実施例1と同様に定量し、3.1wt%含有していた。
【0092】
実施例30
実施例4と同様の反応容器にワニスB100部、トリエチルピロリン酸Na塩6.5部、塩化銅3.3部を加え、120℃に昇温し、2時間保温した。この間生成する水を除去した。ろ過後、得られたワニスの固形分41.4%、ワニスの粘度2.4ポイズのワニスV-15を得た。このワニスの樹脂中の銅は実施例1と同様に定量し、1.0wt%含有していた。
【0093】
実施例31
実施例1と同様の反応容器にワニスA100部、L-メントール/無水コハク酸ハーフエステル化物21部、水酸化銅8.0部を加え、120℃に昇温し、2時間保温した。この間生成する水を除去した。
得られたワニスの固形分51.8%、ワニスの粘度2.1ポイズのワニスV-16を得た。このワニスをn-ヘキサンより再沈し、得られた樹脂中の銅は実施例1と同様に定量し、7.4wt%含有していた。
【0094】
実施例32
実施例1と同様の反応容器にワニスA100部、5-フッ化ウラシル-4-カルボン酸14部、水酸化銅8.0部を加え、120℃に昇温し、2時間保温した。この間生成する水を除去した。
得られたワニスの固形分50.9%、ワニスの粘度2.4ポイズのワニスV-17を得た。このワニスをメタノールより再沈し、得られた樹脂中の銅は実施例1と同様に定量し、6.9wt%含有していた。
【0095】
実施例33
実施例1と同様の反応容器にワニスA100部、ペニシリンV28.8部、水酸化銅8部を加え、120℃に昇温し、2時間保温した。この間生成する水を除去した。
得られたワニスの固形分51.2%、ワニスの粘度2.6ポイズのワニスV-18を得た。このワニスをメタノールより再沈し、得られた樹脂中の銅は実施例1と同様に定量し、7.2wt%含有していた。
【0096】
実施例34〜38
実施例29〜33のワニスを用い第5表記載の各原料と共にボールミルで5時間分散処理し、夫々塗料組成物を得た。
これら塗料をそれぞれ実施例14〜28と同様テスト板に塗布し、デイスクローター板にとりつけ、海水中で回転させ塗膜の溶出速度を調べ、その結果を第6表に示した。
【0097】
さらに実施例14〜28の場合と同様、海水中への実際の浸漬試験を実施し、その結果を第7表に示した。
【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
実施例39
ワニスA100部、ジ-n-プロピル酢酸18部、水酸化銅7部を加え、実施例1と同様に反応を行なった。このワニスは緑色を呈し、固形分52.6wt%、ワニス粘度2.8ポイズ、固形分中の銅含有量7.2wt%のワニスV-19を得た。
【0102】
実施例40
実施例39のジ-n-プロピル酢酸の代わりに、イソノナン酸15部を用いるほかは実施例39と同様で、固形分51.2wt%、ワニス粘度2.6ポイズ、固形分中の銅含有量7.1wt%のワニスV-20を得た。
【0103】
実施例41
実施例39のジ-n-プロピル酢酸の代わりに、ピバリン酸10部を用いるほかは実施例39と同様で、固形分50.8wt%、ワニス粘度3.2ポイズ、固形分中の銅含有量7.2wt%のワニスV-21を得た。
【0104】
実施例42
実施例39と同様方法で、但しジ-n-プロピル酢酸18部の代わりに2,4-ジグロロフェノキシ酢酸24部を用い、固形分51.6wt%、粘度4.2ポイズのワニスV-22を得た。含有樹脂の銅含量は6.4wt%であった。
【0105】
実施例43〜47
実施例1のナフテン酸の代わりに下記の各種合成脂肪酸を用い、実施例1と同様方法でワニスV-23〜27を各々得た。
【0106】
【表9】

【0107】
実施例48〜56
実施例39〜47のワニスを用い、第8表記載の各原料と共にボールミルで5時間分散処理し、塗料組成物を得た。これら塗料組成物を用い実施例14〜28と同様、塗膜の消耗試験および海水中への浸漬による防汚試験を行い、それらの結果を第9表および第10表に示した。
【0108】
【表10】

【0109】
塗膜消耗試験
【0110】
【表11】

【0111】
【表12】

【0112】
塗膜状態評価試験
実施例14、15、17〜19、48〜56の塗料を「防汚性能試験」と同様の試験板を作成し、5ヵ月間にわたり海水に浸漬させた。この試験板を水洗後、一昼夜放置し、塗膜状態を評価した。実施例14、15、48〜56の塗膜には異常が認められなかったが実施例17〜19の塗膜にはわずかに塗膜表面にクラックが生じた。
【0113】
これらの試験結果はいづれも本発明の防汚塗料が長期間優れたポリシング防汚効果を有していることを示している。
【0114】
【発明の効果】
本発明によって得られた樹脂側鎖末端に有機酸の金属エステルを有する樹脂組成物は、加水分解型樹脂として知られる防汚塗料用樹脂として用いられている高分子トリアルキルスズ系と同等の塗膜消耗度を与えるすぐれた樹脂組成物であるといえる。
 
訂正の要旨 (a)請求項1を、次の通りに訂正する。
「[請求項1]少なくとも1つの側鎖の末端部に式
-X-〔-O-M-R〕X
(式中Xは、
[化1]

、あるいは、
[化2]

;Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;
Xは1〜2の整数;
Rは
[化3]

、-O-R1、-S-R1、
[化4]

、および
[化5]

からなる群より選ばれる有機酸残基;
R1は、1価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;
Rは-O-C(=O)-CH3で表される基を除く。)で表される基
[但し、式
[化6]

{式中Mは亜鉛あるいは銅原子;
R1は、式
[化7]

、-R5 -R6あるいは-R6
(式中R2は水素または炭素数1〜12の炭化水素;R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素;R5は、炭素数1〜4の炭化水素;R6は炭素数5〜12の環状炭化水素残基をそれぞれ示す。)で表される有機残基、又は、ナフテン酸残基}で表される基を除く。]
を少なくとも1つ有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂と、該樹脂が可溶な有機溶剤とからなるポリシング型防汚性金属含有樹脂組成物。」
(b)請求項2を、次の通りに訂正する。
「[請求項2]少なくとも1つの側鎖の末端部に式
-X-〔-O-M-R〕X
(式中Xは、
[化8]

、あるいは、
[化9]

;Mは亜鉛、銅あるいはテルル原子;
Xは1〜2の整数;
Rは
[化10]

、-O-R1、-S-R1、
[化11]

、および
[化12]

から選ばれる有機酸残基;
R1は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基;
Rは-O-C(=O)-CH3で表される基を除く。)で表される基
[但し、式
[化13]

{式中Mは亜鉛あるいは銅原子;
R1は、式
[化14]

、-R5 -R6あるいは-R6
(式中R2は水素または炭素数1〜12の炭化水素;R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素;R5は、炭素数1〜4の炭化水素;R6は炭素数5〜12の環状炭化水素残基をそれぞれ示す。)で表される有機残基、又は、ナフテン酸残基}で表される基を除く。]
を少なくとも1つ有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂であり、その金属含有量が0.3〜20wt%である樹脂、および該樹脂が可溶な有機溶剤からなる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含むことを特徴とするポリシング型防汚塗料組成物。
(c)明細書[0013]を、次の通りに訂正する。
「[0013]
から選ばれる有機酸残基;
R1は、一価の、任意の脂肪族、芳香族、脂環族、複素環式有機酸の有機残基
Rは-O-C(=O)-CH3で表される基を除く。)
で表される基を少なくとも1つ有する樹脂および該樹脂が可溶な有機溶剤からなる金属含有樹脂組成物ならびに前記の金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含む塗料組成物を提供することにより達成せられる。」
異議決定日 2003-04-03 
出願番号 特願平10-232260
審決分類 P 1 651・ 531- YA (C09D)
P 1 651・ 532- YA (C09D)
P 1 651・ 121- YA (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 谷口 浩行松井 佳章近藤 政克  
特許庁審判長 雨宮 弘治
特許庁審判官 佐藤 修
後藤 圭次
登録日 2000-03-03 
登録番号 特許第3040094号(P3040094)
権利者 日本ペイント株式会社
発明の名称 金属含有樹脂組成物  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 中村 稔  
代理人 村社 厚夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 古谷 信也  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 梅井 美佐  
代理人 梅井 美佐  
代理人 野田 慎二  
代理人 箱田 篤  
代理人 玉井 敬憲  
代理人 工藤 愛子  
代理人 小川 信夫  
代理人 村上 加奈子  
代理人 古谷 信也  
代理人 渡辺 みのり  
代理人 野田 慎二  
代理人 大塚 文昭  
代理人 佐藤 明子  
代理人 諸田 勝保  
代理人 竹内 英人  
代理人 工藤 愛子  
代理人 諸田 勝保  
代理人 八木 敏安  
代理人 安富 康男  
代理人 渡辺 みのり  
代理人 玉井 敬憲  
代理人 八木 敏安  
代理人 佐藤 明子  
代理人 安富 康男  
代理人 村上 加奈子  
代理人 今城 俊夫  
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