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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B62D
管理番号 1079580
異議申立番号 異議2002-72186  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-11-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-04 
確定日 2003-04-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3265550号「ゴムクロ-ラの構造」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3265550号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1. 手続の経緯
特許第3265550号は、平成5年4月22日に出願された特願平5-120638号に係り、平成14年1月11日に設定登録(請求項の数3、特許公報発行日平成14年3月11日)され、その後、平成14年9月4日付で表記特許異議申立人より全請求項に関して特許異議の申立てがあったので、当審において当該申立の理由について検討のうえ、取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成15年3月19日付で、特許異議意見書の提出と共に、訂正請求がされたものである。

第2. 訂正請求の適否についての判断
1 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のイ〜ニのとおりである。
イ 特許請求の範囲の請求項1において、
「抗張体」という記載を、「熱伝導率のよいスチールコード列」という記載に訂正し、
「ゴムクローラにあって、」という記載を、「芯金が埋設されないゴムクローラにあって、」という記載に訂正し、
「角部に対向して窪みを形成し、」という記載を、「角部に対向してゴムクローラの外周側より加硫成形時にモールド膨突部にて窪みを形成し、」という記載に訂正する。
ロ 同じく、請求項2、3を削除する。
ハ 図6、図7を削除して、図8を新たに図6とする訂正(図面の削除と図番の繰り上げ)をする。
ニ 発明の詳細な説明及び図面の簡単な説明に関して、上記イ〜ハの訂正事項の趣旨に合致する訂正(段落【0004】〜【0012】の訂正、【0013】の削除、【図面の簡単な説明】の訂正)をする。
2 訂正の目的の適否、新規事項及び拡張・変更の存否
上記イ、ロの訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。そして、上記ハ、ニの訂正事項は、図面、発明の詳細な説明及び図面の簡単な説明において、上記訂正事項イ、ロの訂正事項と同趣旨となる訂正をして、明細書と図面との対応関係及び明細書の前後における齟齬の解消を図るもので、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書及び図面の訂正に該当する。
また、上記の各訂正事項は、いずれも願書に添付された明細書及び図面に記載されている事項の範囲内でするものと認められるし、その訂正の趣旨からみて特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものでもない。
3 訂正請求の認容
以上のとおりであるから、上記イ〜ニの訂正事項は、特許法第120条の4第2項第1、3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第3項で準用され、平成6年法律第116号附則第6条第1項で、なお従前の例によるとされることにより適用される、同法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、同条第2項の規定に適合するので、当該訂正の請求を認める。

第3.特許異議の申立てについての判断
1 本件特許発明
上記第2.で示したように上記訂正請求が認められるから、特許異議申立てに係る本件特許発明は、上記訂正に係る明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 無端状ゴム弾性体中にその長手方向に向って、かつ、その幅方向の左右に振り分けて熱伝導率のよいスチールコード列が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成された芯金が埋設されないゴムクローラにあって、角部に対向してゴムクローラの外周側より加硫成形時にモールド膨突部にて窪みを形成し、該窪みが前記熱伝導率のよいスチールコード列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していることを特徴とするゴムクローラの構造。」

2 引用刊行物の記載事項
これに対し、当審からの取消理由通知で引用した、本件特許に係る出願前に頒布された刊行物である、実願平1-143679号(実開平3-82287号)のマイクロフィルム(甲第5号証、以下、「第1引用例」という)には、次のイ〜ハの記載がある。
<イ> 「帯状本体(6)の内周面(7)にガイド突起(8)を、外周面(9)にラグ(10)を、夫々帯状本体(6)と同一弾性材料で一体成形した弾性無限軌道帯において、
前記ガイド突起(8)にはその頂部(8b)から基部(8a)側へ凹部 (13)が形成されていることを特徴とする弾性無限軌道帯。」(明細書部分第1頁第5〜11行)
「無限軌道帯には、ガイド突起を帯状本体と同一材料で一体形成するものと、帯状本体に埋設された芯金で形成するものとがあり、本考案は前者に属する。」(同第2頁第2〜5行)
<ロ> 「前記ガイド突起は脱輪防止及び駆動輪係合等の機能を有するものであるが、それらの機能を向上させるには、可及的に大きくしなければならず、このガイド突起が高く且つボリュームが大であると、加硫時間が長くなり、生産効率が悪くなる。」(同第2頁第13〜17行)
「無限軌道帯5は帯状本体6とガイド突起8とラグ10とが同一弾性材料で一体成形される際、ガイド突起8は外側から中心側へ熱伝導があると共に、中心側の凹部13からも熱伝導があり、ガイド突起8が大きくとも短時間で加硫される。」(同第3頁第17行〜第4頁第1行)
<ハ> 「第1〜3図に示す第1実施例において、無限軌道帯5Aの帯状本体6はその内部にスチールコード、強力繊維等で形成された周方向抗張材12が埋入されており、幅方向の補強材である芯金は埋入されていなく、内外周のガイド突起8及びラグ10と共に、ゴム、合成樹脂等の弾性材料で一体成形されている。」(同第4頁第17行〜第5頁第3行)

3 発明の対比
上記1で認定した本件特許発明(以下、「本件発明」という)と、第1引用例の記載事項とを対比すると、同引用例記載の「帯状本体(6)の内周面(7)にガイド突起(8)を、外周面(9)にラグ(10)を、夫々帯状本体(6)と同一弾性材料で一体成形した弾性無限軌道帯」(イ)は、本件発明でいう「芯金が埋設されないゴムクローラ」に相当しており、当該軌道帯の本体を構成している「弾性材料」から成る「帯状本体」は、本件発明でいう「無端状ゴム弾性体」に相当する。そして、同引用例(上記ハ)で「スチールコード、強力繊維等で形成された周方向抗張材」と記載されているが、当該技術分野における周方向抗張材としての「スチールコード」は、通常、長手方向に向って列状に配置して用いられるものであるから、同引用例には「長手方向に向って、スチールコード列が埋設」されることについても実質上の開示があるといえる。
また、上記「帯状本体」の内周面に一体成形される「ガイド突起」(イ)は、「駆動輪係合等の機能を有する」(ロ)とされていることに加えて、同引用例の第1図に示されている状態もあわせ参酌すると、本件発明でいう、「内周面側の幅方向中央」に形成される「スプロケットとの係合部となるゴム製角部」に相当し、同様に「外周面」に成形される「ラグ」は、「外周面側」の「ゴムラグ」に相当する。
<一致点>
以上対比したところから明らかなように、第1引用例にも、「無端状ゴム弾性体中にその長手方向に向って、スチールコード列が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成された芯金が埋設されないゴムクローラの構造」が、実質上記載されているとみることができ、この点では本件発明と一致しているといえる。
<相違点>
しかし、本件発明における「幅方向の左右に振り分けて熱伝導率のよい」スチールコード列が埋設されること、またこれとあわせて「角部に対向してゴムクローラの外周側より加硫成形時にモールド膨突部にて窪みを形成し、該窪みが前記熱伝導率のよいスチールコード列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していること」(以下、「相違点の構成」という)については、第1引用例には言及されていない。

4 相違点の検討
そこで、第1引用例で言及されていない上記相違点の構成について、他の引用例(甲号証)をみると、当審からの取消理由通知において第2引用例とした、特公昭49-29654号公報(甲第4号証)には、スプロケットとの係合部となる<ゴム製角部>に対向する窪みを「ゴムクローラの外周側」に設ける構成が開示されているといえるが、スチールコード列が「幅方向の左右に振り分けて」埋設されているわけではないし、上記の窪みは「スチールコード列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達している」ものでもない。
また、甲第1号証(特開平3-227783号公報)及び甲第2号証(実願昭56-63029号(実開昭57-174287号)のマイクロフィルム)には、スチールコード列を「幅方向の左右に振り分けて」埋設する構成の開示があり、更に、甲第3号証(特開昭60-61378号公報)には、「従来技術」として、駆動輪と噛み合う突起101を「ゴム製」としたものが紹介されているが、上記甲第1〜3号証に記載されたものも、やはり、上記相違点の構成を開示あるいは示唆しているとはいえない。
そして、本件発明では、上記相違点の構成を備えることにより、「熱伝導率のよいスチールコード列21と、これ又熱伝導率のよいモールド11の膨突部16によって、ゴムクローラの加硫成形時の熱に対する厚みを比較的平均的なものとするものであって、このため、ゴムの加硫成形時間が従来のものより短縮される」(【0015】)という、独自の作用効果を奏することが可能となっていると認められる。
したがって、本件発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 明細書の記載不備について
特許異議申立人は、本件特許明細書及び図面の記載では、特許請求の範囲の記載事項との対応関係が明瞭でなく、また、特許を受けようとする発明の構成も明確とはいえない旨の主張をしている。
しかし、上述第2のとおり、本件特許明細書の訂正請求が認容されて、請求項に記載された事項が明確にされると共に、当該請求項の記載に対応しない図面や発明の詳細な説明の記載は削除されているので、本件特許明細書の記載に特許異議申立人が主張する不備があるとすることはできない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、本件特許は、特許異議申立人の主張する理由およびその提出した証拠によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ゴムクロ-ラの構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 無端状ゴム弾性体中にその長手方向に向って、かつ、その幅方向の左右に振り分けて熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成された芯金が埋設されないゴムクロ-ラにあって、角部に対向してゴムクロ-ラの外周側より加硫成形時にモ-ルド膨突部にて窪みを形成し、該窪みが前記熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していることを特徴とするゴムクロ-ラの構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はゴムクロ-ラの構造に関し、特に言えば、芯金が埋設されていないタイプのゴムクロ-ラの構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴムクロ-ラは、農業機械をはじめとして建設機械や土木作業機械に広く使用されている。ゴムクロ-ラの構造については2通りあり、ゴムクロ-ラの内周面側に突出する角部をスプロケットの係合部として推進力を伝えるゴムクロ-ラがある。このタイプのゴムクロ-ラの角部はゴム部よりなっており、通常は芯金がゴム中に埋設することがないので、ゴムクロ-ラの軽量化が図れるといわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、このゴムクロ-ラの角部の剛性を確保するために、ゴムボリュ-ムを多くしているのが通例である。このため、ゴムクロ-ラの製造の際には、ゴムの熱伝導率が低いことと熱伝導率の高い芯金が埋設されてないこともあり、通常の芯金入りゴムクロ-ラより加硫成形時間が長いという欠点があった。本発明は、かかる従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであって、ゴムクロ-ラの軽量化と共に加硫成形時の成形時間の短縮をねらったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるゴムクロ-ラの構造は、無端状ゴム弾性体中にその長手方向に向って、かつ、その幅方向の左右に振り分けて熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成された芯金が埋設されないゴムクロ-ラにあって、角部に対向してゴムクロ-ラの外周側より加硫成形時にモ-ルド膨突部にて窪みを形成し、該窪みが前記熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していることを特徴とするものである。
【0005】
【作用】
本発明のゴムクロ-ラは以上の構造を有するものであり、一口で言えばゴム材料の最も厚い角部の部位に対し、外周側より窪みを形成し、熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列の埋設位置と同等乃至はこれよりも内側に位置させ、ゴム材料をできるだけ薄くかつ均一化して熱伝導率の差による欠点を解消したものである。このため、ゴムクロ-ラを形成する際のモ-ルドの形状を、角部に対向する部位に所定の大きさ・高さの膨突部を備えたものである。
【0006】
このことを更に製法的に言えば、上下に開放するモ-ルドを合わせ、両モ-ルドにて形成されたキャビテイ内にゴム材料を充満させて加硫成形してなるものであって、ゴムクロ-ラの内周側に突出する角部を形成する凹部をモ-ルド面に形成し、これに対向するモ-ルド面に膨突部を形成し、角部を形成する両モ-ルド面の間隔をせまくしたものである。
【0007】
従って、熱伝導率にすぐれたモ-ルドの膨突部がゴムの厚みの大きい角部の外周側に近づくこととなるため、加硫成形の際の時間が短かくてすむこととなったものである。勿論、ゴムクロ-ラの大きさによって、加硫成形の条件は異なるが、通常行われている160度で60分の加硫成形条件であったものが、40分程度ですむこととなり、生産性が高くなることは明らかである。更にゴムクロ-ラ全体を考えれば、この部位のゴムが省略されることとなり、材料の軽減による軽量化を図られることともなる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。
図1は本発明のゴムクロ-ラの第1実施例を示す内周面の平面図、図2はその外周面の平面図、図3はその側面図である。又、図4は図1におけるA-A線での断面図であり、図5はB-B線での断面図である。図において、1はゴムクロ-ラの基本をなす無端状のゴム弾性体であり、その内周面側の中央に一定間隔をもち弾性体1と同体をなす角部2、2…が形成されている。又、無端状のゴム弾性体1の外周側には、これ又弾性体1と同体のゴムラグ3、3…が形成されている。
【0009】
そして、ゴム弾性体1の長手方向に向かって抗張体としてのスチ-ルコ-ド列4が左右に振り分けられて一列に並べられて埋設されている。前記した角部2は図示しないスプロケットとの係合部となり、或いはスプロケットや転輪との脱輪防止用係合部となるものである。
【0010】
さて、図示するように角部2の部位はゴムラグ3の位置にもよるが、ゴムクロ-ラ全体としては最も厚さの厚い個所である。しかるに、本発明のこの例にあっては、ゴムクロ-ラの外周側よりこの部位2に向って窪み5を形成したものである。この窪み5は、ゴム材料の使用量の低減となることは勿論であるが、ゴムクロ-ラの加硫成形時にあって、熱伝導率のよいモ-ルドの膨突部がここに挿入されることとなり、成形時間の短縮がもたらされるものである。
【0011】
そして、窪み5は図示するようにスチ-ルコ-ド列4より内方のゴムクロ-ラの内周面を越えて角部2内に入り込んだものであり、このようにすることにより、いずれも熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列4と、モ-ルドの膨突部との存在により、成形時間の短縮が確実になされることとなるのである。
【0012】
この窪み5の深さは、そのゴムクロ-ラの形状及び使用予定状態等により選択されるが、スチ-ルコ-ド列4の配置部位と略同じ位置におかれ、或いはこれよりも深い(内周側)位置に置かれることとなる。
【0013】
【0014】
さて、図6はゴムクロ-ラを加硫成形する際に用いられるモ-ルドの断面図を示すが、上モ-ルド11にはゴムラグを形成する凹部12が備えられ、一方、下モ-ルド13には角部が形成される凹部14が備えられていて、これら上下モ-ルド11、13が合せられ、ゴムクロ-ラを形成するキャビテイ15を形取ることとなる。
【0015】
しかるに、上モ-ルド11には、下モ-ルド13の凹部14に対向して膨突部16が形成され、これが前記したゴムクロ-ラの窪み5を形成することとなる。図中、21はキャビテイ15内に予め張設されたスチ-ルコ-ド列であり、この熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列21と、このスチ-ルコ-ド列21の配置を越えて下モ-ルド13側に突出したこれ又熱伝導率のよいモ-ルド11の膨突部16によって、ゴムクロ-ラの加硫成形時の熱に対する厚みを比較的平均的なものとするものであって、このため、ゴムの加硫成形時間が従来のものより短縮されることとなったものである。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上の通りのゴムクロ-ラの構造であって、製法の面から言えばゴム材料にかかる熱伝導面での改善によって加硫成形時間が短縮されるメリットがあると共に、ゴム材料の使用量が低減され軽量化が図られることとなり、ゴムクロ-ラのコストの低減効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は本発明のゴムクロ-ラの第1実施例を示す内周面の平面図である。
【図2】
図2は図1のゴムクロ-ラの外周面の平面図である。
【図3】
図3は図1のゴムクロ-ラの側面図である。
【図4】
図4は図1におけるA-A線での断面図である。
【図5】
図5は図1におけるB-B線での断面図である。
【図6】
図6はゴムクロ-ラを加硫成形する際に用いられるモ-ルドの断面図である。
【符号の説明】
1‥‥ゴムクロ-ラの基体をなす無端状のゴム弾性体、
2‥‥ゴム弾性体の内周面に設けられた角部、
3‥‥ゴム弾性体の外周側のゴムラグ、
4‥‥ゴム弾性体中に埋設されたスチ-ルコ-ド列、
5‥‥角部に向かって構成された窪み、
11‥‥上モ-ルド、
12‥‥ゴムラグを形成する凹部、
13‥‥下モ-ルド
14‥‥角部を形成する凹部、
15‥‥上下モ-ルドにて形成されるキャビテイ、
16‥‥上モ-ルドに形成された膨突部、
21‥‥キャビテイ内に張設されたスチ-ルコ-ド列。
【図面】

 
訂正の要旨 (1)訂正事項・1
平成13年01月22日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の第1項(特許公報第1頁第1欄第2行〜9行目)の記載「無端状ゴム弾性体中にその長手方向に向って、かつ、その幅方面の左右に振り分けて抗張体が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成されたゴムクロ-ラにあって、角部に対向して窪みを形成し、該窪みが前記抗張体の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していることを特徴とするゴムクロ-ラの構造。」を、『無端状ゴム弾性体中にその長手方面に向って、かつ、その幅方向の左右に振り分けて熱伝導性のよいスチ-ルコ-ド列が埋設され、その内周面側の幅方面中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成された芯金が埋設されないゴムクロ-ラにあって、角部に対面してゴムクロ-ラの外周側より加硫成形時にモ-ルド膨突部にて窪みを形成し、該窪みが前記熱伝導牲のよいスチ-ルコ-ド列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していることを特徴とするゴムクロ-ラの構造。』と訂正する。
(2)訂正事項・2
平成13年01月22日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の第2項を削除する。
(3)訂正事項・3
平成13年01月22日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の第3項を削除する。
(4)訂正事項・4
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0004の「【課題を解決するための手段】本発明におけるゴムクロ-ラの構造は、無端状ゴム弾性体中にその長手方面に向って、かつ、その幅方面の左右に振り分けて抗張体が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成されたゴムクロ-ラにあって、角部に対向して窪みを形成し、該窪みが前記抗張体の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達しているゴムクロ-ラの構造であり、好ましくは、窪みがゴムクロ-ラの外周側より構成され、或いは窪みが角部を貫通しているものである。」を、『【課題を解決するための手段】本発明におけるゴムクロ-ラの構造は、無端状ゴム弾性体中にその長手方向に向って、かつ、その幅右向の左右に振り分けて熱伝導性のよいスチ-ルコ-ド外が埋設され、その内周面側の幅方向中央にスプロケットとの係合部となるゴム製角部と、外周面側にゴムラグと、が形成された芯金が埋設されないゴムクロ-ラにあって、角部に対向してゴムクロ-ラの外周側より加硫成形時にモ-ルド膨突部にて窪みを形成し、該窪みが前記熱伝導性のよいスチ-ルコ-ド列の埋設部位と同等或いはこれよりも内周側に達していることを特徴とするものである。』と訂正する。
(5)訂正事項・5
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0005の「【作用】本発明のゴムクロ-ラは以上の構造を有するものであり、一口で言えばゴム材料の最も厚い角部の部位に対し、好ましくは外周側より窪みを形成し、熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列の埋設位置と同等乃至はこれよりも内側に位置させゴム材料をできるだけ薄くかつ均一化して熱伝導率の差による欠点を解消したものである。このため、ゴムクロ-ラを形成する際のモ-ルドの形状を、角部に対向する部位に所定の大きさ・高さの膨突部を備えたものである。」を、『【作用】本発明のゴムクロ-ラは以上の構造を有するものであり、一口で言えばゴム材料の最も厚い角部の部位に対し、外周側より窪みを形成し、熱伝導率のよいスチ-ルコ-ド列の埋設位置と同等乃至はこれよりも内側に位置させ、ゴム材料をできるだけ薄くかつ均一化して熱伝導率の差による欠点を解消したものである。このため、ゴムクロ-ラを形成する際のモ-ルドの形状を、角部に対向する部位に所定の大きさ・高さの膨突部を備えたものである。』と訂正する。
(6)訂正事項・6
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0007の「従って、熱伝導率にすぐれたモ-ルドがゴムの厚みの大きい角部の外周側に近づくこととなるため、加硫成形の際の時間が短かくてすむこととなったものである。勿論、ゴムクロ-ラの大きさによって、加硫成形の条件は異なるが、通常行われている160度で60分の加硫成形条件であったものが、40分程度ですむこととなり、生産性が高くなることは明らかである。更にゴムクロ-ラ全体を考えれば、この部位のゴムが省略されることとなり、材料の軽減による軽量化を図られることともなる。」を『従って、熱伝導率にすぐれたモ-ルドの膨突部がゴムの厚みの大きい角部の外周側に近づくこととなるため、加硫成形の際の時間が短かくてすむこととなったものである。勿論、ゴムクロ-ラの大きさによって、加硫成形の条件は異なるが、通常行われている160度で60分の加硫成形条件であったものが、40分程度ですむこととなり、生産性が高くなることは明らかである。更にゴムクロ-ラ全体を考えれば、この部位のゴムが省略されることとなり、材料の軽減による軽量化を図られることともなる。』と訂正する。
(7)訂正事項・7
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0008の「【実施例】以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。図1は本発明の第1におけるゴムクロ-ラの第1実施例を示す内周面の平面図、図2はその外周面の平面図、図3はその側面図である。又、図4は図1におけるA-A線での断面図であり、図5はB-B線での断面図である。図において、1はゴムクロ-ラの基本をなす無端状のゴム弾性体であり、その内周面側の中央に一定間隔をもち弾性体1と同体をなす角部2、2…が形成されている。又、無端状のゴム弾性体1の外周側には、これ又弾性体1と同体のゴムラグ3、3…が形成されている。」を、『【実施例】以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。図1は本発明のゴムクロ-ラの第1実施例を示す内周面の平面図、図2はその外周画の平面図、図3はその側面図である。又、図4は図1におけるA-A線での断面図であり、図5はB-B線での断面図である。図において、1はゴムクロ-ラの基本をなす無端状のゴム弾性体であり、その内周面側の中央に一定間隔をもち弾性体1と同体をなす角部2、2…が形成されている。又、無端状のゴム弾性体1の外周側には、これ又弾性体1と同体のゴムラグ3、3…が形成されている。』と訂正する。
(8)訂正事項・8
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0009の「そして、ゴム弾性体1の長手方向に向かって抗張体としてのスチ-ルコ-ド列4が一列に並べられて埋設されている。前記した角部2は図示しないスプロケットとの係合部となり、或いはスプロケットや転輪との脱輪防止用係合部となるものである。」を、『そして、ゴム弾性体1の長手方同に向かって抗張体としてのスチ-ルコ-ド列が左右に振り分けられて一列に並べられて埋設されている。前記した角部2は図示しないスプロケットとの係合部となり、或いはスプロケットや転輪との脱輪防止用係合部となるものである。」と訂正する。
(9)訂正事項・9
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0010の「さて、図示するように角部2の部位はゴムラグ3の位置にもよるが、ゴムクロ-ラ全体としては最も厚さの厚い個所である。しかるに、本発明のこの例にあっては、ゴムクロ-ラの外周側よりこの部位2に向って窪み5を形成したものである。この窪み5は、ゴム材料の使用量の低減となることは勿論であるが、ゴムクロ-ラの加硫成形時にあって、熱伝導率のよいモ-ルドの部位がここに挿入されることとなり、成形時間の短縮がもたらされるものである。」を、『さて、図示するように角部2の部位はゴムラグ3の位置にもよるが、ゴムクロ-ラ全体としては最も厚さの厚い個所である。しかるに、本発明のこの例にあっては、ゴムクロ-ラの外周側よりこの部位2に向って窪み5を形成したものである。この窪み5は、ゴム材料の使用量の低減となることは勿論であるが、ゴムクロ-ラの加硫成形時にあって、熱伝動率のよいモ-ルドの膨突部がここに挿入されることとなり、成形時間の短縮がもたらされるものである。』と訂正する。
(10)訂正事項・10
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0012の「この窪み5の深さは、そのゴムクロ-ラの形状及び使用予定状態等により選択されるが、スチ-ルコ-ド列4の配置部位と略同じ位置におかれ、或いはこれよりも深い(内周側)位置に置かれることとなる。場合によっては、図6の実施例2に示すように窪み5が角部2をつらぬいた形状であってもよい。」を、『この窪み5の深さは、そのゴムクロ-ラの形状及び使用予定状態等により選択されるが、スチ-ルコ-ド列4の配置部位と略同じ位置におかれ、或いはこれよりも深い(内周側)位置に置かれることとなる。」と訂正する。
(11)訂正事項・11
平成13年01月22日の手続補正書により補正された段落番号・0013の「図7は、本発明のゴムクロ-ラの別例を示す断面図であり、この例では成形時に加熱に時間がかかる部位、即ち角部4にその頂部より窪み51を形成した例である。こうすることにより、成形時にゴム材料への熱伝導が比較的均一化されるものであり、ゴム材料の使用量の低減ともなるものである。かかる窪み51は、モ-ルドの角部を形成する凹み内に突出部をもうけることで簡単にできることとなる。」を、削除する。
(12)訂正事項・12
平成13年01月22日の手続補正書により補正された【図面の簡単な説明】の項、即ち、「【図面の簡単な説明】【図1】図1は本発明のゴムクロ-ラの第1実施例を示す内周面の平面図である。【図2】図2は図1のゴムクロ-ラの外周面の平面図である。【図3】図3は図1のゴムクロ-ラの側面図である。【図4】図4は図1におけるA-A線での断面図である。【図5】図5は図1におけるB-B線での断面図である。【図6】図6は本発明のゴムクロ-ラの第2実施例を示す断面図である。【図7】図7は本発明のゴムクロ-ラの第3実施例を示す断面図である。【図8】図8はゴムクロ-ラを加硫成形する際に用いられるモ-ルドの断面図である。【符号の説明】 1‥‥ゴムクロ-ラの基体をなす無端状のゴム弾性体、2‥‥ゴム弾性体の内周面に設けられた角部、3‥‥ゴム弾性体の外周側のゴムラグ、4‥‥ゴム弾性体中に埋設された抗張体(スチ-ルコ-ド列)、5、51‥‥角部に向かって構成された窪み、11‥‥上モ-ルド、12‥‥ゴムラグを形成する凹部、13‥‥下モ-ルド、14‥‥角部を形成する凹部、15‥‥上下モ-ルドにて形成されるキャビテイ、16‥‥上モ-ルドに形成された膨突部、21‥‥キャビテイ内に張設されたスチ-ルコ-ド列。」を、『【図面の簡単な説明】【図1】図1は本発明のゴムクロ-ラの第1実施例を示す内周面の平画図である。【図2】図2は図1のゴムクロ-ラの外周面の平面図である。【図3】図3は図1のゴムクロ-ラの側面図である。【図4】図4は図1におけるA-A線での断面図である。【図5】図5は図1におけるB-B線での断面図である。【図6】図6はゴムクロ-ラを加硫成形する際に用いられるモ-ルドの断面図である。【符号の説明】1‥‥ゴムクロ-ラの基体をなす無端状のゴム弾性体、2‥‥ゴム弾性体の内周面に設けられた角部、3‥‥ゴム弾性体の外周側のゴムラグ、4‥‥ゴム弾性体中に埋設されたスチ-ルコ-ド列、5‥‥角部に向かって構成された窪み、11‥‥上モ-ルド、12‥‥ゴムラグを形成する凹部、13‥‥下モ-ルド、14‥‥角部を形成する凹部、15‥‥上下モ-ルにて形成されるキャビテイ、16‥‥上モ-ルドに形成された膨突部、21‥‥キャビテイ内に張設されたスチ-ルコ-ド列。』と訂正する。
(13)訂正事項・13
図6を訂正する。
(14)訂正事項・14
図7を削除する。
(15)訂正事項・15
図8を削除する。
異議決定日 2003-04-03 
出願番号 特願平5-120638
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B62D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 村上 聡川村 健一  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 出口 昌哉
鈴木 法明
登録日 2002-01-11 
登録番号 特許第3265550号(P3265550)
権利者 株式会社ブリヂストン
発明の名称 ゴムクロ-ラの構造  
代理人 鈴木 悦郎  
代理人 鈴木 悦郎  
代理人 中野 収二  

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