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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H02N |
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管理番号 | 1079615 |
異議申立番号 | 異議2002-71136 |
総通号数 | 44 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-09-19 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-26 |
確定日 | 2003-04-07 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3226409号「振動波モータの駆動回路」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3226409号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
【1】手続の経緯 本件特許第3226409号の請求項1ないし5に係る特許は、平成6年3月3日に出願され、平成13年8月31日に設定の登録がなされ、平成13年11月5日にその特許公報が発行された。これに対し、平成14年4月26日にキャノン株式会社より特許異議の申立がなされ、平成14年8月30日付で取消理由が通知され、同年11月11日に訂正請求がなされたものである。 【2】訂正の適否についての判断 上記平成14年11月11日になされた訂正請求による訂正の適否につき、以下に検討する。 (1)訂正の要旨 ア.訂正事項a 特許請求の範囲(請求項1ないし5)を、 「【請求項1】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の近傍に設けられ、該発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、 このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。」 と訂正する。 (なお、請求項2ないし5は訂正されていないので内容は省略する。) イ.訂正事項b 明細書段落番号【0011】を、 「【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために本発明による第1の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の近傍に設けられ、該発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備することを特徴とし、また、 上記の目的を達成するために本発明による第2の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする。」 と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記訂正事項aは、発明を特定する事項である「バッファ手段」を更に限定したものであって、その訂正された事項である「発振手段の近傍に設けられ」は特許明細書の段落【0020】に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項bは、上記訂正事項aとの整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いづれも、新規事項の追加に該当せず、又、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものでもない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】特許異議の申立てについての判断 (1)申立ての理由の概要 申立人は、下記甲第1乃至4号証を提出し、本件発明(請求項1に係る特許発明)は、甲第1号証に記載の発明に周知技術(甲第2、第3号証)を採用し、さらに甲第4号証に記載の発明を適用することにより、当業者であれば容易に想到できるものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第2号の規定により取り消すべきものである旨主張している。 (2)本件の請求項1に係る発明(本件発明) 前述のとおり本件訂正は認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は本件訂正に係る訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定される上記【2】(1)に示したとおりのものと認める。 (3)引用刊行物 1.甲第1号証:特開平2-184277号公報 2.甲第2号証:「プロセッサ」、第21号、(株)技術評論社、昭和61年12月4日、P.83-84 3.甲第3号証:特開平5- 61564号公報 4.甲第4号証:特開平4-355272号公報 (1)当審で通知した取消理由に引用した上記刊行物1(甲第1号証)には、少なくとも以下の発明(以下、引用発明1という。)が記載されているものと認められる。 「電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号(V0)を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータ(進行波型超音波モータ5A)の駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段(発振器1)と、 この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段(分周器2)と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段(マイクロコンピュータ18)と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。」 (2)同じく当審で通知した取消理由に引用した上記刊行物2(甲第2号証)のP.836VOICE FM音楽ボード全回路図に、4MHzのクロックモジュールの出力(クロック信号)をインバータ(10)を介してIC1及びIC4に入力することが記載されているものと認められ、また、刊行物3(甲第3号証)には、「クロック信号に対する入力及び出力特性が実質的に相互に等しく且つ入力端が共通に接続されると共に相互に近接して配された所定数のユニットクロックバッファ(B1〜Bn)から成る組合せバッファ(1)を複数備えて成る半導体集積回路」(請求項1)が記載されている。 (3)同じく当審で通知した取消理由に引用した上記刊行物4(甲第4号証)には、ディスクドライブのクロック発生回路(発明の名称)に係る「源クロック発振器1(発振手段)の出力周波数を制御回路8(演算制御手段)が動作可能な周波数に分周する分周回路2(分周手段)を具備する」発明(以下、引用発明2という。)が記載されているものと認められる。 (4)対比 上記本件発明と刊行物1に記載された発明(引用発明1)とを対比すると、両者は、「電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。」の点で一致し、 以下の2点で相違する。 ・相違点1: 本件発明は発振手段の出力をバッファするバッファ手段を発振手段の近傍に設け、その時間設定カウンタ手段はこのバッファ手段の出力を所定数カウントするのに対し、引用発明1はかかるバッファ手段を具備せず、時間設定カウンタ手段(分周器2)は直接発振手段(発振器1)の出力を所定数カウントする点。 ・相違点2: 本件発明は発振手段の出力周波数を(時間設定カウンタ手段を制御する)演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段を具備するのに対し、引用発明1はかかる(本件発明が具備する)分周手段を具備しない点。 (5)当審の判断 ・相違点1について: 本件発明が上記相違点1の構成を採る意義は、その特許明細書に「なお、信号fcは、該インバータIV1によってバッファされるため、該インバータIV1と分周カウンタ3とが離間した位置に配置され、インバース信号fc’のラインが長大となる場合においても、動作が不安定になることはない。」(【0020】)と記載され、又、審判請求人が平成14年11月11日に提出した意見書に「発振手段の近傍にバッファ手段を設けることで、外部から混入するノイズに対してのノイズマージンが比較的小さい、発振手段とバッファ手段との間の信号ラインの距離を極力短くすることができ・・(略)・・超音波モータ駆動回路全体としてのノイズマージンを高くし、安定した動作を確保することを可能としたものである。」(5頁27行-6頁3行)と記載されているとおりのものと認められる。 しかし、一般に発振器からの出力信号をカウンタ(分周回路)等の発振器外部の機器に出力する場合に、当該出力信号をバッファ手段(インバータ・バッファ)を介して出力することは、例えば前記刊行物2及び3(他に要すれば、特開平4-287420号公報、特開平4-355515号公報、特開平4-308482号公報参照。)に示されているように本件出願前周知の技術であると認められる。そして、前記周知技術のように発振手段からの発振(出力)信号をインバータなどのバッファ手段を介して出力する場合に、その発振信号を送られる側の機器(分周回路等)から見たインピーダンスは、そのバッファ手段において発振手段の高インピーダンスからバッファ手段の低インピーダンスへの変換が行われることとなるから、当該バッファ手段出力以降の信号ライン(出力配線)については例えその長さが長大となっても外部ノイズ等の混入に対して比較的高いノイズマージンが確保されるため動作が不安定になることがなくなる一方、当該バッファ手段に入力する以前の信号ライン(入力配線)についてはその信号ライン(入力配線)に対してノイズマージンは比較的小さくなること、したがって又、ノイズの影響を少なくするために外部ノイズ等が混入しやすくなる前記の入力配線を極力短くすることは、当業者の通常の技術常識に属することと認められる{この技術常識に関し、例えば実願平4-9332号(実開平5-70015号)のCD-ROM、段落【0005】参照。}から、外部ノイズ等の混入を防止して動作の安定を図るためには、そのバッファ手段をできるだけ発振手段の近傍に設けて入力配線を短くすれば良いことは、当業者が容易に理解できるところである。 そうすると、本件発明や引用発明1のような振動波モータの駆動回路の技術分野に携わる当業者であって、超音波モータ駆動回路全体のノイズマージンを高くし、安定した動作を確保しようとする者であれば、引用発明1において、その発振器1(発振手段)の近傍にバッファ手段を設け、その分周器2(時間設定カウンタ)がこのバッファ手段の出力を所定数カウントする構成、即ち、本件発明の上記相違点1の構成を想到することは、前記周知技術及び技術常識に基づく設計的事項として適宜容易になし得る程度のことにすぎず、これによる効果も当業者の予測できる範囲内のものであり、上記相違点1は格別なものとはいえない。 ・相違点2について: 前記のとおり、発振手段(源クロック発振器1)の出力周波数を演算制御手段(制御回路8)が動作可能な周波数に分周する分周手段を具備する技術は上記刊行物4(引用発明2)に開示されている。この引用発明2はディスクドライブのクロック発生回路に係るものであって、引用発明1の超音波モータの駆動回路に係るものとは、その駆動回路が駆動するモータが超音波モータでなく、スピンドルモータである点で異なるものの、引用発明1のマイクロコンピュータ18も引用発明2の制御回路8も、共に発振手段が出力するクロック信号により動作してモータ駆動の演算制御を行うという機能・作用の点で共通するものであるから、引用発明1の発振器1とマイクロコンピュータ18に前記引用発明2の技術を適用して本願発明1の前記相違点2の構成を想到することは、その適用を阻害すべき格段の要因も見出せない以上、当業者が適宜容易になし得る程度のものというべきである。 【4】むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1及び4に記載された発明と上記周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 振動波モータの駆動回路 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の近傍に設けられ、該発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、 このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項2】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、 上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項3】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、 このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、 上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項4】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 クロック発生回路を備え、自らクロックの発振許可・禁止を制御可能なワンチップマイクロコンピュータと、 このワンチップマイクロコンピュータ内に設けられ、上記クロック発生回路の出力を分周してCPUコアに入力する分周回路と、 上記クロック発生回路の出力を分周することなく取り込み、その出力クロックをカウントして上記駆動周波数に相当する周波数のディジタル信号を生じさせる周波数信号出力回路と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項5】 上記周波数信号出力回路は、上記クロック発生回路の出力をバッファ手段を介して取り込むことを特徴とする請求項4記載の振動波モータの駆動回路。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、振動波モータの駆動回路、詳しくは、高周波クロックを分周してモータの駆動周波数を決定する、振動波モータの駆動回路に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、超音波モータの駆動制御方法は種々提案されており、特開平3-289376号公報には、CPU等でディジタルカウンタを制御し、超音波モータの駆動周波数を決定する技術手段が開示されている。 【0003】 この技術手段に代表される振動波モータの駆動回路の一例を図11を参照して説明する。 【0004】 図11は、従来の振動波モータの駆動回路の一例を示す電気回路ブロック図である。以下、信号の流れに沿って該駆動回路を説明する。 【0005】 図に示すように、演算制御を行う制御手段のCPU1′内には、該CPU1′の中核を成し、演算処理等を行うCPUコア1a′と、発振回路の一部を構成するナンドゲートNAND1および帰還抵抗Rf0が備えられている。該ナンドゲートNAND1および帰還抵抗Rf0には、該CPU1′外部に配設された発振子OSC1,発振用コンデンサCf11,Cf12が接続され、これらナンドゲートNAND1,帰還抵抗Rf0,発振子OSC1,発振用コンデンサCf11,Cf12で第1の発振回路を構成する。そして、該第1の発振回路の出力は上記CPU1′に供給されるようになっている。 【0006】 上記CPUコア1a′は、プルアップ抵抗RPを介して電源Vccに接続されており、回転式のオン・オフスイッチSW0によりオン・オフする信号が入力されるようになっている。また、CPUコア1a′からは、上記ナンドゲートNAND1に対して上記信号に基づく制御信号が送出されるようになっている。 【0007】 一方、帰還抵抗Rf1,発振子OSC2,発振用コンデンサCf21,Cf22,インバータIV2で構成される第2の発振回路からの出力がシュミットトリガSM1を介して分周カウンタ3に入力されるようになっている。該分周カウンタ3には、上記第2の発振回路からの信号が入力すると共に、上記CPUコア1a′からの制御信号が入力するようになっている。該分周カウンタ3は、該制御信号によりカウント数が決定され、該カウント数に対応した出力信号φUSRを出力する。なお、該信号φUSRは、超音波モータ(USM)7の駆動周波数の約4倍の周波数をもつディジタル信号である。 【0008】 上記信号φUSRはパルス変換回路4に入力され、該パルス変換回路4でφUSRは分周され4相のパルス信号(φ1〜φ4)として出力される。該4相のパルス信号(φ1〜φ4)は電力増幅回路5に入力され、同4相のパルス信号に基づく2相の交流信号φA,φBが発生、出力される。この2相の交流信号φA,φBが、超音波モータ(USM)7に印加され、該超音波モータ7は駆動状態になる。この超音波モータ7の回転数は、該超音波モータ7の近傍に配設されたエンコーダ6で検出され、該回転数に基づく信号が上記CPUコア1a′に入力されるようになっている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記振動波モータの駆動回路では、CPU1′と分周カウンタ3とへ供給する異なる2つの発振子が必要となるため、コストの増大となり、また、これらの発振子を共用しようとすると、CPUが高周波で動作するため消費電流が大きくなり、場合によっては動作不能に陥ってしまう。 【0010】 本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、安価で確実に動作する振動波モータの駆動回路を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために本発明による第1の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の近傍に設けられ、該発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段とを具備することを特徴とし、また、 上記の目的を達成するために本発明による第2の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする。 【0012】 更に、上記の目的を達成するために本発明による第3の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とし、また、 上記の目的を達成するために本発明による第4の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、クロック発生回路を備え、自らクロックの発振許可・禁止を制御可能なワンチップマイクロコンピュータと、このワンチップマイクロコンピュータ内に設けられ、上記クロック発生回路の出力を分周してCPUコアに入力する分周回路と、上記クロック発生回路の出力を分周することなく取り込み、その出力クロックをカウントして上記駆動周波数に相当する周波数のディジタル信号を生じさせる周波数信号出力回路と、を具備することを特徴とする。そして、上記周波数信号出力回路は、上記クロック発生回路の出力をバッファ手段を介して取り込むことを特徴とする。 【0013】 【作 用】 本発明による第1の振動波モータの駆動回路は、発振手段で振動波モータに印加する交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生し、この発振手段の出力をバッファ手段でバッファし、時間設定カウンタ手段で上記バッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる。また、演算制御手段で上記時間設定カウンタ手段を制御し、分周手段で上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する。 また、本発明による第2の振動波モータの駆動回路は、発振手段で振動波モータに印加する交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生し、時間設定カウンタ手段で該発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる。また、演算制御手段で上記時間設定カウンタ手段を制御し、分周手段で上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する。また、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御する。 【0014】 本発明による第3の振動波モータの駆動回路は、発振手段で振動波モータに印加する交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生し、この発振手段の出力をバッファ手段でバッファし、時間設定カウンタ手段で上記バッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる。また、演算制御手段で上記時間設定カウンタ手段を制御し、分周手段で上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する。また、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御する。 また、本発明による第4の振動波モータの駆動回路は、クロック発生回路を備えたワンチップマイクロコンピュータで自らクロックの発振許可・禁止を制御し、このワンチップマイクロコンピュータ内に設けられた分周回路で、上記クロック発生回路の出力を分周してCPUコアに入力する。また、周波数信号出力回路で上記クロック発生回路の出力を分周することなく取り込み、その出力クロックをカウントして駆動周波数に相当する周波数のディジタル信号を生じさせる。そして、上記周波数信号出力回路は、上記クロック発生回路の出力をバッファ手段を介して取り込む。 【0015】 【実施例】 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。 【0016】 図1は、本発明の第1実施例である振動波モータの駆動回路の構成を示す電気回路ブロック図である。以下、信号の流れに沿って該駆動回路を説明する。 【0017】 図に示すように、演算制御を行う制御手段のCPU1内には、該CPU1の中核を成し、演算処理等を行うCPUコア1aと、該CPUコア1aに対して分周したクロックを供給するクロック分周回路2と、発振回路の一部を構成するナンドゲートNAND1および帰還抵抗Rf0が備えられている。該ナンドゲートNAND1および帰還抵抗Rf0には、該CPU1外部に配設された発振子OSC0,発振用コンデンサCf1,Cf2が接続され、これらナンドゲートNAND1,帰還抵抗Rf0,発振子OSC0,発振用コンデンサCf1,Cf2で発振回路を構成する。そして、該発振回路の出力は上記CPU1および後述する分周カウンタ3に供給されるようになっている。 【0018】 上記CPUコア1aは、プルアップ抵抗RPを介して電源Vccに接続されており、回転式のオン・オフスイッチSW0によりオン・オフする信号S0が入力されるようになっている。また、CPUコア1aからは、上記ナンドゲートNAND1に対して上記信号S0に基づく制御信号が送出されるようになっている。 【0019】 なお、ここでいうCPUコア1aは、演算制御機能を有する、CPUユニットの中枢であって、ロジック回路からなり、ROM等に書き込まれたプログラムに従って動作し、演算制御を行う素子または素子の一部分である。 【0020】 上記発振回路で発生した駆動周波数fcの信号(以下、信号fcという)は、上記クロック分周回路2に入力されると共に、該上記発振子OSC0の近傍に配設されたインバータIV1に入力される。上記クロック分周回路2に入力された信号fcは、分周されCPUコア1aに供給される。一方、インバータIV1に入力された信号fcは、反転されインバース信号fc′として分周カウンタ3に入力される。なお、信号fcは、該インバータIV1によってバッファされるため、該インバータIV1と分周カウンタ3とが離間した位置に配置され、インバース信号fc′のラインが長大となる場合においても、動作が不安定になることはない。 【0021】 上記分周カウンタ3には、上記インバース信号fc′が入力すると共に、上記CPUコア1aからの制御信号が入力するようになっている。分周カウンタ3は、該制御信号によりカウント数が決定され、該カウント数に対応した出力信号φUSRを出力する。なお、該信号φUSRは、超音波モータ(USM)7の駆動周波数の約4倍の周波数をもつディジタル信号である。 【0022】 上記信号φUSRはパルス変換回路4に入力され、該パルス変換回路4でφUSRは分周され4相のパルス信号(φ1〜φ4)として出力される。該4相のパルス信号(φ1〜φ4)は電力増幅回路5に入力され、同4相のパルス信号に基づく2相の交流信号φA,φBが発生、出力される。この2相の交流信号φA,φBが、たとえば進行波型の超音波モータで構成される超音波モータ(USM)7に印加され、該超音波モータ7は駆動状態になる。この超音波モータ7の回転数は、該超音波モータ7の近傍に配設されたエンコーダ6で検出され、該回転数に基づく信号が上記CPUコア1aに入力されるようになっている。 【0023】 次に、上記分周カウンタ3とパルス変換回路4について詳しく説明する。 【0024】 図2は、上記第1実施例における分周カウンタ3およびパルス変換回路4を詳しく示した電気回路図である。以下、信号の流れに沿って該分周カウンタ3およびパルス変換回路4を説明する。 【0025】 上記発振回路からの原振となる信号fcのインバース信号fc′がプリセッタブル同期ダウンカウンタ(DCN)11に入力し、端子D0〜D7に入力される信号に相当する値だけカウントされ、所定周期の信号φUSRを出力する。このダウンカウンタ11はCO出力(φUSR出力)に同期して上記端子D0〜D7に入力する値をプリセットする。なお、上記端子D0〜D7はプリセッタブル同期アップカウンタ12のQ0〜Q7に接続される。 【0026】 また、上記信号φUSRはプリセッタブルシフトレジスタ13に入力し、位相のずれた4相のパルス信号φ1〜φ4に変換されて出力される。該信号φUSRは超音波モータ7の約4倍の周波数を有し、パルス信号φ1〜φ4の周波数の設定分解能を上げるため、データセレクタ14がGNDまたは信号φ1〜φ3をプリセッタブル同期アップカウンタ12のCE(カウントイネーブル端子)に、端子A,Bの入力に基づき選択的に出力し、信号φUSR4周期中0〜3周期がカウント数を+1できるようになっている。 【0027】 図3ないし図6は、上記分周カウンタ3およびパルス変換回路4における各信号を示したタイムチャートである。 【0028】 信号DT0〜DT7の値がnであるとき、信号SELA,SELBの出力により、図3ないし図6に示す状態を選択でき、駆動周波数を4n〜4n+3の間で微調整できる。また回路の起動に際して信号SFLDによりプリセッタブルシフトレジスタ13の値が1000にセットされるので、図7に示すようにパルス信号φ1〜φ4の周波数信号が発生する。なお、図7は、上記分周カウンタ,パルス変換回路,電力増幅回路の出力信号をそれぞれ示したタイミングチャートである。 【0029】 図8は、本第1実施例における電力増幅回路5の構成を詳しく示す電気回路図である。 【0030】 図に示すように、中間タップ付の5端子トランスTr1,Tr2を、スイッチングトランジスタQ11〜Q14でスイッチングすることにより、2相の交流信号φA,φBを発生させるようになっている。すなわち、上記パルス変換回路4からのパルス信号φ1〜φ4がそれぞれスイッチングトランジスタQ11〜Q14に入力し、該トランジスタQ11〜Q14でトランスTr1,Tr2を、スイッチングする。これにより、該トランスTr1,Tr2からは図7に示すような交流信号φA,φBが発生し、超音波モータ7に印加される。 【0031】 次に、本実施例の振動波モータの駆動回路の動作について説明する。 【0032】 図1に示すように、上記スイッチSW0は、超音波モータ7の停止時はオフ状態となっており、これによりCPUコア1aの入力信号S0は“H”になっている。なお、このとき、電流低減のため上記NAND1にはCPUコア1aから“L”信号が入力されており、発振回路は発振状態でなく信号fcは“H”の状態で停止している。この状態のとき、上記スイッチSW0がオンされるとCPUコア1aに“L”の信号S0が入力し、CPUコア1aからNAND1への信号は“H”となる。これにより発振回路が発振状態となり、上述したように該発振回路から駆動周波数fcの信号がクロック分周回路2および分周カウンタ3に対して出力される。 【0033】 図9は、上記信号S0と信号fcの関係を示した線図であり、上記スイッチSW0がオンされ、CPUコア1aに“L”の信号S0が入力すると、発振回路が発振状態となり、信号fcが出力される様子を示している。 【0034】 この後、分周カウンタ3に対して、初期周波数に相当するディジタルデータが信DT0〜7,SELA,SELBの形で印加され、OENを“H”にしてQ0〜Q3の出力を許可する。これにより、これら各信号対応した周波数の信号φUSR,φ1〜φ4が発生し、交流信号φA,φBが生成されて超音波モータ7に印加され、該超音波モータ7が駆動を開始する。該超音波モータ7が回転すると、該回転数に相当するパルス信号がエンコーダ6から発生し、CPUコア1aに入力される。該CPUコア1aは、回転速度を所定値に保つように上記ディジタルデータを制御する。 【0035】 上記スイッチSW0がオフされると信号S0は“H”となり、CPUコア1aはOENを“L”にしてQ0〜Q3を“L”とし、交流信号φA,φBの発生を止めると同時に、NAND1に対して“L”を出力して発振回路の発振を停止させ、超音波モータ7の駆動を停止させる。 【0036】 なお、上記発振子OSC0の発振周波数は、40kHzの駆動周波数を0.1kHz程度の精度で制御するため、例えば16MHzの固有振動数である。しかし、CPUコア1aのマシンサイクルは処理速度と消費電流、ハードウェア的制約で例えば1MHzである。このため、クロック分周回路2で1/16以上に分周する。例えばCPU1は、1/4,1/8,1/16,1/32の4通りの分周がプログラマブルに可能であり、CPUコア1aはソフトウェアにて1/4,1/8分周を禁止し、1/16,1/32のみの分周を許可している。 【0037】 本実施例によれば、図11に示す従来例のように、必要な周波数が異なるCPUコア1a(または1a′)用と、分周カウンタ3用とに、それぞれ専用のクロック発生回路を設ける必要がなく、かつCPU1のCPUコア1aにより直接制御可能な、すなわち発振の開始/停止が可能な発振回路を用いるので、電源が電池等であっても駆動停止時に電流をカットし、電池寿命を長くすることができる。また、CPUコアも、消費電流をおさえた状態で使用できる。さらに、信号fcをインバータIV1でバッファした後に分周カウンタ3に出力しているため、実装スペース等の制約で発振回路と分周カウンタ3とが離れた位置に配置され、該信号fcの配線が長大となり容量が増えても、動作が不安定になることはない。 【0038】 次に、本発明の第2実施例について説明する。 【0039】 図10は、上記第2実施例の振動波モータの駆動回路の構成を示す電気回路ブロック図である。 【0040】 この第2実施例の振動波モータの駆動回路は、基本的には上記第1実施例とほぼ同一の構成をなすが、分周カウンタ3,パルス変換回路4がCPUコアを含む1チップICであるCPU21として構成されており、外部インバータIV1のかわりに、内部インバータIV3が設けられている。その他の構成は上記第1実施例と同等であるのでここでの説明は省略する。 【0041】 本第2実施例によれば、高周波クロックである信号fcのラインを外部に引き回す必要がないため、ノイズの発生が少なくてすみ、回路スペースも少なくてすむ。 【0042】 なお、上記第1および第2実施例において、クロックとなる信号fcを分周して超音波モータの駆動周波数を設定する回路は、パルス信号φ1〜φ4を直接別個のカウンタで発生させる等の他のディジタル分周方式を採用してもよい。また、超音波モータも2相交流信号を印加する進行波型に限らず、他の形式のものでもよい。さらに、超音波モータの駆動周波数を制御するためのモニタはエンコーダ以外に、振動検出電極を用いたり駆動電流をモニタする等他の方法でもよい。さまた、CPUコアは超音波モータの制御に限らず、他の機能を併せもたせてもよい。 【0043】 以上のように、上記実施例の振動波モータの駆動回路は、分周カウンタを制御する演算制御手段が低速クロックのものであっても発振手段が1つで済むため安価であり、また演算制御手段のコスト、消費電流を抑えることができるという効果を奏する。 【0044】 [付記] 以上詳述した如き本発明の実施態様によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、 (1)電気-機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 このカウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、 を具備する振動波モータの駆動回路。 【0045】 (2)電気-機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の出力を所定数カウントし、上記交流信号の周波数を設定する周波数カウンタ手段と、 この周波数カウンタ手段のカウント数を制御することにより、該周波数カウンタ手段の出力周波数を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、 を具備する振動波モータの駆動回路。 【0046】 (3)電気-機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する単一の発振手段と、 この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動周波数に相当する信号を生成するカウント手段と、 上記発振手段の出力に基づいて動作すると共に上記カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 を具備する振動波モータの駆動回路。 【0047】 (4)上記(1)乃至(3)の少なくとも一つにおいて、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始及び発振停止を制御する。 【0048】 (5)上記(1)乃至(3)の少なくとも一つにおいて、上記演算制御手段は、発振用のゲートを内蔵したワンチップマイクロコンピュータである。 【0049】 (6)上記(2)において、上記演算制御手段は発振用のゲートを内蔵したワンチップマイクロコンピュータであり、該マイクロコンピュータは発振の停止・開始を制御可能であり、上記周波数カウンタ手段のクロックは、上記発振用のゲートの外部端子より、発振手段の近傍に置かれた他のゲートを用いて出力される。 【0050】 (7)上記(2)において、上記周波数カウンタ手段、演算制御手段及び分周手段はワンチップ化されている。 【0051】 (8)上記(1)において、時間設定カウンタ手段、演算制御手段そして分周手段はワンチップ化されている。 【0052】 【発明の効果】 以上説明したように本発明によれば、安価で確実に動作する振動波モータの駆動回路を提供できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1実施例である振動波モータの駆動回路の構成を示す電気回路ブロック図である。 【図2】 上記第1実施例における分周カウンタおよびパルス変換回路の構成を詳しく示した電気回路図である。 【図3】 上記第1実施例における、分周カウンタおよびパルス変換回路の各信号を示したタイムチャートである。 【図4】 上記第1実施例における、分周カウンタおよびパルス変換回路の各信号を示したタイムチャートである。 【図5】 上記第1実施例における、分周カウンタおよびパルス変換回路の各信号を示したタイムチャートである。 【図6】 上記第1実施例における、分周カウンタおよびパルス変換回路の各信号を示したタイムチャートである。 【図7】 上記第1実施例における、分周カウンタ,パルス変換回路,電力増幅回路の出力信号をそれぞれ示したタイミングチャートである。 【図8】 上記第1実施例における電力増幅回路5の構成を詳しく示す電気回路図である。 【図9】 上記第1実施例における、信号S0と信号fcの関係を示した線図である。 【図10】 本発明の第2実施例である振動波モータの駆動回路の構成を示す電気回路ブロック図である。 【図11】 従来の振動波モータの駆動回路の一例を示す電気回路ブロック図である。 【符号の説明】 1…CPU la…CPUコア 2…クロック分周回路 3…分周カウンタ 4…パルス変換回路 5…電力増幅回路 6…エンコーダ 7…超音波モータ OSC0…発振子 IV1…インバータ |
訂正の要旨 |
▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲(請求項1ないし5)を、 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の近傍に設けられ、該発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、 このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項2】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、 上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項3】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、 この発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、 このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、 この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、 上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、 上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項4】 電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、 クロック発生回路を備え、自らクロックの発振許可・禁止を制御可能なワンチップマイクロコンピュータと、 このワンチップマイクロコンピュータ内に設けられ、上記クロック発生回路の出力を分周してCPUコアに入力する分周回路と、 上記クロック発生回路の出力を分周することなく取り込み、その出力クロックをカウントして上記駆動周波数に相当する周波数のディジタル信号を生じさせる周波数信号出力回路と、 を具備することを特徴とする振動波モータの駆動回路。 【請求項5】 上記周波数信号出力回路は、上記クロック発生回路の出力をバッファ手段を介して取り込むことを特徴とする請求項4記載の振動波モータの駆動回路。」 と訂正する。 ▲2▼訂正事項b 明細書段落番号【0011】を、 「【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために本発明による第1の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の近傍に設けられ、該発振手段の出力をバッファするバッファ手段と、このバッファ手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段とを具備することを特徴とし、また、 上記の目的を達成するために本発明による第2の振動波モータの駆動回路は、電気ー機械エネルギー変換素子に所定の駆動周波数の交流信号を印加することにより振動波を発生させ、被駆動部材を駆動する振動波モータの駆動回路において、上記交流信号の周波数よりも充分に高い周波数の周波信号を発生する発振手段と、この発振手段の出力を所定数カウントし、上記振動波モータの駆動制御に必要な時間信号を発生させる時間設定カウンタ手段と、この時間設定カウンタ手段を制御する演算制御手段と、上記発振手段の出力周波数を上記演算制御手段が動作可能な周波数に分周する分周手段と、を具備し、上記演算制御手段は、上記発振手段の発振開始および発振停止を制御することを特徴とする。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2003-02-19 |
出願番号 | 特願平6-33818 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
ZA
(H02N)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 下原 浩嗣 |
特許庁審判長 |
城戸 博兒 |
特許庁審判官 |
牧 初 岩本 正義 |
登録日 | 2001-08-31 |
登録番号 | 特許第3226409号(P3226409) |
権利者 | オリンパス光学工業株式会社 |
発明の名称 | 振動波モータの駆動回路 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 伊藤 進 |
代理人 | 小花 弘路 |
代理人 | 水本 敦也 |
代理人 | 伊藤 進 |