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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  F25B
審判 一部申し立て 2項進歩性  F25B
管理番号 1079654
異議申立番号 異議2001-73555  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-08-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-12-27 
確定日 2003-05-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3187588号「車両用空調装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3187588号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3187588号に係る手続きの経緯の概要は、以下のとおりである。
(1)本件特許の出願:平成5年2月4日
(2)審査請求:平成11年12月16日
(3)拒絶理由通知:平成12年8月2日(発送日:平成12年8月8日)
(4)意見書の提出:平成12年10月10日
(5)手続補正書の提出:平成12年10月10日
(6)特許査定:平成13年4月6日
(7)特許権の設定登録:平成13年5月11日
(8)特許公報の発行:平成13年7月11日
(9)特許異議の申立:平成13年12月27日
(異議申立人株式会社ゼクセルヴァレオクライメートコントロール)
(10)口頭審理陳述要領書(特許権者):平成14年12月11日提出
(11)口頭審理陳述要領書(異議申立人):平成14年12月11提出
(12)口頭審理陳述要領書(その2)(特許権者):平成14年12
月11日提出
(13)口頭による審尋:平成14年12月11日
(14)口頭審理:平成14年12月11日
(15)上申書(異議申立人):平成14年12月27日提出
(16)取消理由通知:平成15年1月10日(発送日:平成
15年1月24日)
(17)特許異議意見書(特許権者):平成15年3月7日提出
(18)訂正請求書:平成15年3月7日提出


2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が上記平成15年3月7日付け訂正請求書で求めている訂正の内容は、同訂正請求書に添付された全文訂正明細書に記載された、以下のa〜cである。
a.特許請求の範囲に記載されていた
「【請求項1】 冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、その圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。」
を、
「【請求項1】 エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、前記電磁クラッチのオフにより前記エンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。」
に訂正する。

b.発明の詳細な説明の段落【0009】における記載を、
「【0009】
【作用】第1発明の車両用空調装置では、冷媒圧縮機が制御弁の作動により最小吐出容量状態となって電磁クラッチのオフにより作動を停止するとき、吐出室、クランク室、吸入室が連通するにもかかわらず、凝縮器側にある高温・高圧の冷媒ガスは逆止弁によって冷媒圧縮機の吐出室へ流れるのを阻止される。これにより、凝縮器側にある高温・高圧の冷媒ガスが蒸発器に影響しなくなる。したがって、蒸発器が加熱される虞れは回避され、冷媒圧縮機がすぐにまた作動を開始してしまう虞れも回避される。これにより動力損失が低減する。」
に訂正する。

c.発明の詳細な説明の段落【0025】における記載を、
「【0025】
【発明の効果】第1発明の車両用空調装置によれば、クランク室圧を制御して吐出容量を変えるとともに、電磁クラッチのオフによりエンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に強制的に開放される制御弁を備えたものにおいて、冷媒圧縮機の吐出室と凝縮器とを接続する通路上に凝縮室より吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられているため、冷媒圧縮機の作動停止時における蒸発器の温度上昇を防止することができ、これにより動力損失の低減を図ることができる。」
に訂正する。


(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
イ.上記aの訂正について
上記aの訂正は、元の請求項1に記載されていた「冷媒圧縮機」を「エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される冷媒圧縮機」と限定し、また元の請求項1に記載されていた「圧縮機の作動停止時」を「前記電磁クラッチのオフにより前記エンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時」と限定するものである。
この訂正は、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

ロ.b及びcの訂正について
上記b及びcの訂正は、上記aにおける特許請求の範囲の訂正と整合をとるため、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明に該当する。
そして、このb及びcの訂正は、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内において訂正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号、以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.本件発明
したがって、本件の請求項1に係る発明は上記訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものである。
「【請求項1】 エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、前記電磁クラッチのオフにより前記エンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。」


4.特許異議申立て理由の概要
特許異議申立人は、
甲第1号証:特公平3-53472号公報
を引用して、本件の請求項1に係る発明は、この甲第1号証に記載された発明、あるいは、同号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第1項3号あるいは同条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものであり、この発明の特許は取り消されるべきものである旨を述べている。


5.当審が通知した取消理由通知の概要
当審が、平成15年1月10日付けで通知した取消理由通知では、
刊行物1:特公平3-53472号公報(上記甲第1号証と同じ。)
を引用し、本件発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであって、本件発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされており、取り消されるべきものである旨が述べられている。


6.引用刊行物記載の発明
(1)甲第1号証に記載された発明
上記甲第1号証には、次のa〜jの記載がなされている。
a.「(産業上の利用分野)
本発明は、主として車輌用空気調和装置に使用する可変容量型揺動板式圧縮機に関し、特にクランク室の圧力を制御して吐出量を可変にする可変容量型揺動板式圧縮機に関する。」(第4欄15〜19行)

b.「(従来技術及びその問題点)
可変容量型揺動板式圧縮機において、吐出量を制御するために揺動板の傾斜角度を変化させる手段として、クランク室内の冷媒圧力を制御する方法は・・・公知である。
・・・・・
しかして、上述の・・・揺動板式圧縮機においては、
・・・・・
冷凍サイクルの熱負荷の増加により導管内の冷媒圧力が上昇すると・・・クランク室内の圧力が減少し揺動板の傾斜角度が増加し吐出量が増加するようになっている。
このため急速に吐出量を減少させたい時、(例えば圧縮機を車載のエンジンに直結した場合、加速、登坂時など一時的に圧縮機負荷を遮断し、全エンジン出力を車輌の駆動力にふり向けたい時、) 導管の中途に介されている開閉弁、(零ストローク弁)を閉じ、クランクケースと低圧力との連通を遮断すればよいが、この場合、遮断してからシリンダとピストンとの間からクランク室に洩れるブローバイガスによりクランク室圧が上昇するのを待つことになり急速な圧縮機容量減少が得られないという欠点がある。」(第4欄20行〜第5欄32行)

c.「(本発明の目的)
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、クランク室の高圧側から高圧を直接導入することにより極めて迅速にカットオフすることが可能な可変容量型揺動板式圧縮機を提供することを目的とするものである。」(第5欄33〜38行)

d.「以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
先ず、第1図及び第2図は空気調和装置に適用した本発明の可変容量型揺動板式圧縮機の水平横断面図及び垂直縦断面を夫々示し、両図中1はハウジングで、円筒形のケース1aとシリングヘッド1bとを接合してなるもので、該ケース1aの内部にはシリンダブロック2が一体に形成され、該シリンダブロック2の端面と前記ケース1aの内壁間にはクランク室3が画成されている。前記シリンダブロツク2の内部には前記ハウジング1の略中心軸線上にある駆動軸4を中心として且つ該駆動軸4と軸線を平行にして互いに円周方向に所定間隔を存して並列した複数のシリンダ5が形成され、これら各シリンダ5は夫々ピストン6が摺動自在に嵌入されている。」(第6欄25〜40行)

e.「前記駆動軸4の反シリンダブロツク側の軸端部は前記ケース1aの前側面(図において右方)を貫通して外部に臨み、その露出端部にプーリ10が嵌着されている。前記腕部材8のボス部8bにメカニカルシール11が嵌装され、前記ボス部3bとケース1a間の気密が保持されている。前記プーリ10は図示しない車載エンジンの出力軸と駆動ベルトによって連結され、エンジンの回転が前記駆動軸4に伝えられる。」(第7欄5〜13行)

f.「一方、前記シリンダブロック2のシリングヘッド1b側の端面には前記各シリンダ5毎に吸入弁(図示せず)及び吐出弁27aを配した弁板27が装着され、前記各吸入弁は前記シリンダヘッド1bに形成された吸入室28に、各吐出弁27aは同吐出室29に通じている。該吐出室29は該室29内の圧力が所定値以上となったとき開け逆止弁29aを介して空気調和装置の冷媒回路(図示せず)に接続される吐出口29bに通じている。」(第10欄34〜43行)

g.「第6図はこの圧縮機の制御系の構成を示しており、前記クランク室3と低圧側空間281とはオリフイス(絞り)35を介在した第1通路36によって連通されている。該オリフイス35の断面積は圧縮行程にある前記シリンダ5とピストン6との間隙を通って前記クランク室3に漏洩するブローバイガスの流量の可能な最大値に少なくとも等しい流量、または好ましくは僅かに超える流量でクランク室3から低圧側空間281〔例えば吸入室28)にブローバイガスを流出させ得るような値に設定される。従って、このオリフイス35の存在により圧縮機のあらゆる運転状態においてクランク室3の内圧は揺動板14の傾斜角度を制御すべく変化可能であり、また、後述する電磁弁37が閉塞状態にあるときは常にクランク室3の内圧が減少方向にある。尚、第6図においては上記ブローバイガスの流路に符号35aを付して図式的に示してある。また前記クランク室3は途中に電磁弁37を介装した第2通路38によって高圧側空間291(例えば吐出室29)に連通されている。そして前記ポテンシヨメータ34の出力部は電子制御手段をなす電子制御装置(ECU)39の入力部に、該電子制御装置39の出力部は前記電磁弁37のソレノイドに接続されている。該電磁弁37は常開型で、電子制御装置39がソレノイドを消勢する時第2通路38を全開し、電子制御装置39がソレノイドを付勢する時第2通路38を全閉する。」(第11欄20行〜第12欄3行)

h.「以上の如く構成された本発明の圧縮機の作動について次に述べる。
まず、電子制御装置39が電力を供給していない時電磁弁37は開弁状態にありクランク室3は第2通路38によって高圧空間291に連通されている。また、圧縮機が停止されていればスライダ12はコイルスプリング20に押圧されて第6図において左方に偏倚され、揺動板14は最小傾斜角度に保持されている。ここで図示しない車載エンジンよりベルトを介してプーリ10が回転され駆動軸4に回転が伝えられると駆動軸4はこれと一体の腕部材8と共に回転し、腕部材8はその腕部8aの先端に係合された揺動板14のの案内部14e,14eを介して揺動板14を回転させる。前述したように、揺動板14は最小傾斜角度にある時ピストン6のその最大ストロークの数パーセントの微少ストローク運動を与えるからピストン6のストローク運動は低圧側空間281の圧力を低下させ、高圧側の圧力を上昇させる。そして低圧側空間281の低圧はオリフイス35を通じてクランク室3に導かれるが、一方、高圧空間291の高圧が第2通路38を通じてクランク室3に導かれるためクランク室3の内圧は低下せず、この時第3図に示すように揺動板14のピストン方向に作用するクランク室3の内圧による各ピストン6の背圧の合力f2のモーメントと、これに対抗する揺動坂14に反ピストン方向に作用する各ピストン6により与えられる反力の合力f1のモーメントとがバランスし揺動板14はスプリング20の弾性力で前記最小傾斜角度を保持し圧縮機はアイドル回転される。」(第12欄8〜38行)

i.「次に電子制御装置39が電力を供給していると電磁弁37は開弁しクランク室3と高圧側空間291との連通は遮断され、ピストン6のストロークによって生じる低圧側空間281の低圧のみがオリフイス35からクランク室3に導かれてクランク室3の内圧は減少し始めると共に高圧側空間291の圧力は上昇し揺動坂14に作用するクランク室3の内圧による各ピストン6の背圧の合力f2のモーメントは各ピストン8の反力の合力f1のモーメント以下に減少していき揺動板14は傾斜角度を増加し、ピストン6のストローク運動を増加させ圧縮機の吐出容量を増加させる。
逆止弁29aは小さな差圧を発生させて始動を助ける。即ち、この差圧は高圧側空間291に十分な圧力増加を引き起こし、このため逆止弁29aが開弁して圧縮機から空気調和装置への冷媒ガスの流れを許容するに至るまでに揺動板14が傾斜角度増加方向に相当量移動するものである。揺動板14の傾斜角度の変化は、これに伴なって駆動軸4の軸孔4a内を軸方向に移動する内部スライダ12とこれに連動するロッド34cを介してポテンシヨメータ34の摺動子34aに伝えられる。そして揺動板14の傾斜角度に対応するボテンシヨメータ34の出力信号は電子制御装置39に入力され、電子制御装置39はポテンシヨメータ34の出力信号と空気調和装置の熱負荷、エンジンの回転数等種々のパラメータとに応じて電磁弁37に制御信号を出力する。即ち前記揺動板14の傾斜角度はポテンショメータ34によって検知され、この頃斜角度に対応する圧縮機の吐出容量が、圧縮機に要求される吐出量と等しくなった時、電子制御装置39は電磁弁37を開弁する。よってクランク室3は高圧側空間291と通路38を介して連通され高圧側空間291の高圧がクランク室3内に導かれてクランク室3の内圧の減少は止まり、オリフイス35の傾斜角度の増加も止まる。高圧導入によりクランク室3の内圧が上昇し揺動板14の傾斜角度が減少すればポテンシヨメータ34がこれを検知し、電子制御装置39は電磁弁37を開弁してクランク室3と高圧側空間291との連通を遮断する。このためクランク室3の内圧はオリフイス35より低圧側空間281に流出されて減少し揺動板14は傾斜角度増加の方向に作動される。上記作動が繰り返されて圧縮機はその吐出容量が空気調和装置の熱負荷と対応するように運転される。」(第12欄39行〜第13欄40行)

j.「ここで車輌の加速時または登坂時等において車載エンジンの出力の一部をすべて車輌の駆動力にふり向けたい場合、電子制御装置39は電力の供給を停止して電磁弁37は開弁され高圧側空間291の高圧は第2通路38を通じて即座にクランク室3に導入されてクランク室3の内圧は上昇し揺動板14は急速に最小傾斜位置に変化され、圧縮機はアイドル状態になって圧縮機に消費されるべきエンジンの駆動力は車輌の駆動力に加勢され、よって車輌の加速性または登坂性が増大される。」(第14欄9〜19行)



7.異議申立理由の検討
(1)対比
本件の請求項1に係る発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、
甲第1号証に記載された
・揺動板14
・シリンダ5
・低圧側空間281(例えば吸入室28)、
・高圧側空間291(例えば吐出室29)、
・第1通路36、
・第2通路38、
・電磁弁37、
・逆止弁29a、
は、本件請求項1に記載された、
・斜板、
・ボア、
・吸入室、
・吐出室、
・逃がし通路、
・供給通路、
・制御弁、
・逆止弁
にそれぞれ相当すると認められる。
甲第1号証第10欄41行に記載された「空気調和装置の冷媒回路」は、本件請求項1に記載された「冷凍回路」に相当すると認められる。また、この「空気調和装置の冷媒回路」が凝縮器、膨脹弁及び蒸発器を持つことは自明である。
甲第1号証第12欄37,38行には「圧縮機はアイドル回転される。」と記載されているが、このようなアイドル回転をしている状態とは圧縮機本来の機能を停止している状態と認められる。それゆえ、この圧縮機がアイドル回転をしている状態は、本件請求項1に記載されている「圧縮機の作動停止時」に相当すると認められる。
また、甲第1号証に記載された発明でも、圧縮機のアイドル回転時に電磁弁37が強制的に開放されていることは、甲第1号証第12欄10,11行の「電子制御装置39が電力を供給していない時電磁弁37は開放状態にあり」より明らかである。
しかし、本件請求項1には「エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達され」と記載されているが、甲第1号証の上記引用個所6.(1)b.には、
「急速に吐出量を減少させたい時、(例えば圧縮機を車載のエンジンに直結した場合、加速、登坂時など一時的に圧縮機負荷を遮断し、全エンジン出力を車輌の駆動力にふり向けたい時、) 導管の中途に介されている開閉弁、(零ストローク弁)を閉じ、クランクケースと低圧力との連通を遮断すればよい」
と記載されており、同号証に「電磁クラッチを介して伝達され」は記載されていない。(下線は当審が付した。以下、同じ。)


《一致点》
したがって、両発明は、
「 冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、その圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。」
で一致し、下記のA,Bの2点で相違する。

《相違点》
本件の請求項1に係る発明では、冷媒圧縮機に、
「 エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達され」、
また、
「電磁クラッチのオフにより前記エンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に」
とされているが、これに対し、甲第1号証に記載された発明では、圧縮機に
“エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達されず”、
また、
“圧縮機をアイドル回転とすることにより作動停止に”
している。
両発明は、この点で相違している。

(2)判断
《相違点についての検討》
上記相違点について検討すると、この相違点における、
“電磁クラッチを介してエンジン駆動力が伝達され、このクラッチのオフにより圧縮機を作動停止時とする”
という事項は、甲第1号証に記載されていない。そして、本件の請求項1に係る発明では、この事項により、次のような効果を達成できる。
すなわち本件明細書には、段落【0005】後半〜【0006】には、
「したがって、冷媒圧縮機1が再びクラッチのオンにより始動する際には、最小吐出容量状態であることから負荷が小さくなるため、大きなショック等が発生することなく円滑な始動が可能となる。
・・・・・
ところが、上記の冷媒圧縮機1を使用した車両用空調装置では、冷媒圧縮機1が作動を停止する直前にその制御弁19が開放されると、凝縮器2側にある高温・高圧の冷媒ガスが吐出室13から供給通路18、クランク室11、逃がし通路14、吸入室12を経て蒸発器4へと差圧によって流れ、蒸発器4が加熱されてしまう。その結果、車室内には温風が流れることによりすぐにまたクラッチがオンとなってしまい、動力損失が大きくなるという問題が発生する。」
と記載されている。
こういった、高圧冷媒の逆流の問題は、甲第1号証に記載された発明ではエンジンが停止されて初めて生じる。圧縮機がアイドル回転となり作動停止となっただけでは生じない。これに対し、本件請求項1に係る発明では、電磁クラッチのオフにより圧縮機が作動停止となるたびに頻繁に生じる。そして、この問題を解決し、本件明細書段落【0025】に記載された
「【発明の効果】第1発明の車両用空調装置によれば、クランク室圧を制御して吐出容量を変えるとともに、電磁クラッチのオフによりエンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に強制的に開放される制御弁を備えたものにおいて、冷媒圧縮機の吐出室と凝縮器とを接続する通路上に凝縮室より吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられているため、冷媒圧縮機の作動停止時における蒸発器の温度上昇を防止することができ、これにより動力損失の低減を図ることができる。」
という発明の効果を達成することができる。
こうした高圧冷媒の逆流を防止できるという効果は、甲第1号証に記載されていないが、甲第1号証の車両用空調装置には、逆止弁29aが設けられている以上、この効果は副次的なものとはいえ存在してはいると考えられる。しかし、上記のような問題発生の頻度からみて、その重要性は大きく異なる。
したがって、本件の請求項1に係る発明は、上記の、
“電磁クラッチを介してエンジン駆動力が伝達され、このクラッチのオフにより圧縮機を作動停止時とする”
という事項により、甲第1号証に記載された発明にはない格別の効果を達成できるのであり、同号証記載の発明とは異なるものである。

《容易性に関する検討》
しかし、このような、
“電磁クラッチを介してエンジン駆動力が伝達され、このクラッチのオフにより圧縮機を作動停止時とする”
という車両用空調装置のシステムは、8.(1)に後述する文献ニ.にも記載されているように周知の技術にすぎない。
そこで、次に、クラッチを持たない甲第1号証の車両用空調装置に、この周知技術を適用し、電磁クラッチを有する上記のようなシステムに変更し、本件請求項1に係る発明に到達することが容易であるかどうかについて検討する。
ところで、甲第1号証に記載されている「逆止弁29a」は、
“圧縮機をアイドル回転し、作動停止にする”
ために用いられることは甲第1号証の上記引用個所6.(1)h.末尾〜i.における、
「揺動板14はスプリング20の弾性力で前記最小傾斜角度を保持し圧縮機はアイドル回転される。
次に電子制御装置39が電力を供給していると電磁弁37は開弁(注.「閉弁」の誤記)しクランク室3と高圧側空間291との連通は遮断され、ピストン6のストロークによって生じる低圧側空間281の低圧のみがオリフイス35からクランク室3に導かれてクランク室3の内圧は減少し始めると共に高圧側空間291の圧力は上昇し揺動坂14に作用するクランク室3の内圧による各ピストン6の背圧の合力f2のモーメントは各ピストン8の反力の合力f1のモーメント以下に減少していき揺動板14は傾斜角度を増加し、ピストン6のストローク運動を増加させ圧縮機の吐出容量を増加させる。
逆止弁29aは小さな差圧を発生させて始動を助ける。即ち、この差圧は高圧側空間291に十分な圧力増加を引き起こし、このため逆止弁29aが開弁して圧縮機から空気調和装置への冷媒ガスの流れを許容するに至るまでに揺動板14が傾斜角度増加方向に相当量移動するものである。
・・・・・
前記揺動板14の傾斜角度はポテンショメータ34によって検知され、この頃斜角度に対応する圧縮機の吐出容量が、圧縮機に要求される吐出量と等しくなった時、電子制御装置39は電磁弁37を開弁する。
・・・・・
上記作動が繰り返されて圧縮機はその吐出容量が空気調和装置の熱負荷と対応するように運転される。」
という、
「逆止弁29a」は、アイドル運転から熱負荷に対応した運転への移行を助ける
旨の記載から明らかである。
また、8.(1)に後述する、
文献イ.第9欄39行〜第10欄5行
文献ロ.第9欄11〜21行
文献ハ.第10欄41行〜第11欄17行
等の記載からも明らかである。

このように、「逆止弁29a」は、
“圧縮機をアイドル回転し、作動停止にする”
ために用いられるのであるから、甲第1号証の車両用空調装置に、文献ニ.等の上記周知技術を適用し、電磁クラッチを有する上記のようなシステムに変更すると、アイドル回転を行わない新システムでは、甲第1号証の空調装置に当初から存在していた「逆止弁29a」は必然的に不要になる。不要なものを残すのは不自然であり、「逆止弁29a」を省いてしまうと、本件の請求項1に係る発明には到達できない。
しかも、「冷媒圧縮機の作動停止時における蒸発器の温度上昇を防止することができ、これにより動力損失の低減を図ることができる。」という本件請求項1に係る発明の効果は、文献ニ.に記載されておらず、上記の適用にあたり、「逆止弁29a」を残そうという動機も見あたらない。
(なお、甲第1号証に記載された発明において、「逆止弁29a」が、逆流防止というよりも、順方向流れのコントロールで設けられていることは、
甲第1号証第13欄7〜12行、
文献イ.第7欄18〜21行,第10欄23〜25行
文献ロ.第5欄31〜34行
文献ハ.第11欄12〜17行
等の記載からも明らかであり、この「逆止弁29a」から、蒸発器への高圧冷媒の逆流防止を連想することが容易であるとは言えず、この弁の名称「逆止弁」が動機付になるとは認められない。)

以上のように、本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に上記の周知技術を適用しても容易に到達されるものではない。



8.他の理由の検討
(1)異議申立人の提出した参考文献について
平成14年12月27日付け上申書において、異議申立人は、
イ.特公平2-8154号公報
ロ.特公平3-44234号公報
ハ.特公平3-47438号公報
ニ.特開平1-257777号公報
ホ.特開平1-210761号公報
を提出し、本件の請求項1に係る発明は、これらの発明、または、これらの発明から容易になされたものであり、本件の特許は取り消されるべきものである旨申し立てている。
異議申立期間は既に経過しているので、新たな証拠の提出はできないが、これらの文献に対し、参考文献として、当審の見解を以下述べる。
《文献イ〜ハについて》
上記イ〜ハの文献には、甲第1号証と同様に、上記相違点における、
“電磁クラッチを介してエンジン駆動力が伝達され、このクラッチのオフにより圧縮機を作動停止時とする”
という事項が記載されていない。したがって、これらの文献に記載された発明には、本件の請求項1に係る発明のシステムに特有な問題の解消という効果を達成できず、上記の異議申立人の申し立ては採用できない。

《文献ニ.について》
この文献ニ.には、異議申立人が上記上申書第9頁14行〜第10頁17行で述べるように、
A1発明(文献ニ.記載の第1実施例:バランス時間短縮のため
「逆止弁29」を有する。)
A3発明(文献ニ.記載の第3実施例:バランス時間短縮のため
「電磁開閉弁63」を有する。)
が記載されており、そして、これら2発明を組み合わせれば、本件請求項1に係る発明と同様なものとなる。
しかしながら、文献ニ.第4頁左下欄10〜13行に、
「限られた容積分の高圧冷媒がピストン3とシリンダ2間の隙間からピストン背面圧側16に漏洩することにより、圧縮室1の圧力とピストン3の背面圧とが短時間でバランスする。」
と記載されているように、上記A1発明では、圧縮室1や高圧室25内の高圧冷媒圧が上記隙間を通り、クランク室16に入り連通孔35を通り、低圧側にすべて抜け切ると初めてバランスすると認められる。(連通孔35については、文献ニ.第3頁右下欄9,10行および第4頁左上欄8〜11行参照)
これに対し、A3発明では、文献ニ.第5頁左下欄3〜12行に、
「この実施例においても、電磁クラッチ遮断信号S1により圧縮機停止時には、制御手段65より送られる信号S4により開閉弁63は開き、圧縮機100の高圧室25は低圧のクランク室16に連通する。これにより圧縮室1の高圧はクランク室16に導かれ、圧縮室1の圧力が低下すると共に、クランク室16の圧力即ちピストン背面圧が上昇し、圧力バランス時間が短縮する。」
と記載されているように、高圧冷媒が開閉弁63を通り一気にクランク室16に流入しクランク室16の圧力即ちピストン背面圧が上昇し、圧縮室1の圧力とバランスする。
このように、A1発明とA3発明とでは、圧力をバランスさせるメカニズムが異なっており、A1発明では高圧冷媒圧が低圧側にすべて抜け切るのを待たないとバランスしないが、A3発明では開閉弁63の開により即座にピストン背面圧が上昇しバランスするので、A3発明の方がはるかに早くバランスする。
然るに、文献ニ.第4頁左下欄2〜4行に、
「圧縮機停止後、5〜10秒程で再起動する加速カット制御においては、」
と記載されているように、圧力のバランスはこの時間内に完了すればよい。この時間より短くしてもあまり意味がない。そして、同文献同欄14〜18行に、
「第4図に破線で示すように、時刻T1でPc-Psがゼロになり、ピストンのストロークは・・・最小容量状態に可変する。2〜3L乗用車での実験によれば、T1=5〜10secほどになる。」
と記載されているように、A1発明でも上記時間内に圧力バランスが完了する。 ところが、上記のようにA3発明の方が、A1発明よりはるかに早く圧力がバランスするのであるから、「電磁開閉弁63」を用いるA3発明では十分過ぎる位迅速に(上記時間内に)圧力のバランスが完了する。
そうすると、このように迅速にバランスが完了するA3発明に、A1発明の逆止弁29を組み込み、さらにバランス時間を短縮する必要があるとは考えられない。
したがって、両発明の組み合わせは容易ではない。

《文献ホ.について》
異議申立人は上申書第10頁18〜30行で、
文献ホ.の逆止弁を上記A3発明に付加することは容易である旨述べている。
しかし、文献ホ.第2頁右上欄17行〜左下欄5行に、
「圧縮機が、スクリュー式やスクロール式のような高圧チャンバ方式の場合は・・・・・種々問題点が多く・・・・・運転停止時、高圧チャンバ内の圧力が低圧側に流入し、・・・・・圧縮機が停止しても又すぐ運転開始となってしまう。又、高圧側管路にバルブが無いため、凝縮機から高圧チャンバ内に冷媒液が流入してくる場合がある。」
と記載されているように、文献ホ.の逆止弁は、スクリュー式やスクロール式の圧縮機に特有な問題を解決するために用いられており、上記のA3発明に組み合わせることが容易であるとはいえない。



9.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由によっては、本件の請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件の請求項1に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
車両用空調装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、前記電磁クラッチのオフにより前記エンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
冷媒圧縮機の吸入室と蒸発器とを接続する通路上には、前記吸入室より前記蒸発器への冷媒ガスの流れを阻止する第2逆止弁が設けられている請求項1記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車室内の冷房に供して好適な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の一般的な車両用空調装置は、エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される冷媒圧縮機を冷凍回路に接続したものである。冷媒圧縮機は、電磁クラッチのオン時に駆動軸が駆動され、これによりボアの容積変化を通じて冷媒ガスの圧縮仕事を行なう。図7に示す冷凍回路において、冷媒圧縮機1の吐出室13から吐出された高温・高圧の圧縮冷媒ガスは、凝縮器2で液化され、膨張弁3で膨張させることにより低温・低圧の霧状とされ、そして蒸発器4で潜熱により周囲の空気を冷却することにより車室内の冷房に供され、しかる後に再び冷媒圧縮機1の吸入室12に吸入される。
【0003】
ここで使用される冷媒圧縮機1は可変容量型斜板式圧縮機であって、軸心と平行な複数のボア(図示せず)を有するシリンダブロック(図示せず)と、該シリンダブロックの一端にクランク室11を形成して連結されたハウジング(図示せず)と、クランク室11を貫通して前記ハウジングに回転自在に支承された駆動軸(図示せず)と、クランク室11で前記駆動軸と共動する斜板(図示せず)に連係されて前記ボア内を直動するピストン(図示せず)と、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室12及び吐出室13とを備え、クランク室11と吸入室12及び吐出室13とを連通する逃がし通路14及び供給通路15を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御するように構成されている。
【0004】
この場合、逃がし通路14には絞り弁16が配設されるとともに、供給通路15には制御弁17が配設されており、吐出容量を小さくするときには制御弁17を介して冷媒ガスの供給量を逃がし量よりも多くし、クランク室圧力を高めることにより吐出容量が制御される。なお、このような吐出容量の制御は、制御弁17を逃がし通路14及び供給通路15の少なくとも一方に配設することにより同様に行うことができる。
【0005】
また、この冷媒圧縮機1のクランク室11と吐出室13とを連通する供給通路18には制御弁19が配設されており、この制御弁19はクラッチのオフ信号を受けた制御アンプ20により冷媒圧縮機1の作動停止直前に強制的に開放される。これにより、冷媒圧縮機1は斜板の傾斜角を小さくして最小吐出容量状態で作動を停止する。したがって、冷媒圧縮機1が再びクラッチのオンにより始動する際には、最小吐出容量状態であることから負荷が小さくなるため、大きなショック等が発生することなく円滑な始動が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の冷媒圧縮機1を使用した車両用空調装置では、冷媒圧縮機1が作動を停止する直前にその制御弁19が開放されると、凝縮器2側にある高温・高圧の冷媒ガスが吐出室13から供給通路18、クランク室11、逃がし通路14、吸入室12を経て蒸発器4へと差圧によって流れ、蒸発器4が加熱されてしまう。その結果、車室内には温風が流れることによりすぐにまたクラッチがオンとなってしまい、動力損失が大きくなるという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み案出されたものであって、上記冷媒圧縮機を用いた車両用空調装置において冷媒圧縮機の作動停止時における蒸発器の温度上昇を防止し、動力損失の低減を図ることを解決すべき課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため第1発明は、冷媒圧縮機の吐出室と凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられているという新規な構成を採用している。そして第2発明は、第1発明において、冷媒圧縮機の吸入室と蒸発器とを接続する通路上には、前記吸入室より前記蒸発器への冷媒ガスの流れを阻止する第2逆止弁が設けられているという新規な構成を採用している。
【0009】
【作用】
第1発明の車両用空調装置では、冷媒圧縮機が制御弁の作動により最小吐出容量状態となって電磁クラッチのオフにより作動を停止するとき、吐出室、クランク室、吸入室が連通するにもかかわらず、凝縮器側にある高温・高圧の冷媒ガスは逆止弁によって冷媒圧縮機の吐出室へ流れるのを阻止される。これにより、凝縮器側にある高温・高圧の冷媒ガスが蒸発器に影響しなくなる。したがって、蒸発器が加熱される虞れは回避され、冷媒圧縮機がすぐにまた作動を開始してしまう虞れも回避される。これにより動力損失が低減する。
【0010】
そして、第2発明の車両用空調装置にあっては、第1発明における逆止弁が凝縮器側から冷媒圧縮機の吐出室への冷媒ガスの逆流を阻止すると同時に、第2逆止弁よって吸入室から蒸発器への冷媒ガスの逆流が阻止される。これにより、上記第1発明の作用に加えて、第2逆止弁によって吸入室から冷媒ガスが流出しないので、制御弁の開弁によるクランク室内の圧力上昇が速やかとなり、冷媒圧縮機は最小吐出容量状態へより確実に移行する。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
(実施例1)
図1は本実施例に係る車両用空調装置を模式的に示す構成図である。図1に示すように、本実施例の車両用空調装置は、可変容量型斜板式の冷媒圧縮機1と、凝縮器2と、膨張弁3と、蒸発器4とを順に配管7a、7b、7cにより接続して冷媒ガスの冷凍サイクルを形成するとともに、冷媒圧縮機1の吐出室13と凝縮器2との間に逆止弁5を配設したものである。ここでの冷媒圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3及び蒸発器4は、前記従来のものと同じであるため、同じ部材等は符号を援用して詳しい説明は省略する。
【0012】
冷媒圧縮機1の吐出室13の出口には、凝縮器2より吐出室13への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁5が設けられている。この逆止弁5は、図2に示すように、一端に流入口51をもつ円筒状の弁座52を有し、この弁座52は冷媒圧縮機1のハウジング10に形成された出口孔に他端がハウジング10の外側に突出するよう嵌合固着されている。
【0013】
弁座52の他端側外周には、円筒状のケース53の一端部が同軸状に嵌合されている。ケース53の他端にはフランジ54を介して開口55が形成され、その側周壁中央部には窓状の複数の流出口56が形成されている。ケース53の外側には、凝縮器2と接続された配管7aの一端がケース53の外周と離間して連結されており、開口52及び各流出口56は配管7aを介して凝縮器2と連通している。
【0014】
そして、ケース53内には、有底円筒状の弁体57が弁座52の一端面と対向してケース53内周面と摺動自在に配設されているとともに、この弁体57とフランジ54との間には弁体57を弁座52に着座させて閉弁するように付勢するばね58が配設されている。以上のように構成された車両用空調装置において、クラッチのオンによりエンジンの駆動力が冷媒圧縮機1に伝達されると、冷媒圧縮機1の吐出室13から吐出された高温・高圧の圧縮冷媒は、凝縮器2で液化され、膨張弁3で膨張させることにより低温・低圧の霧状とされた後、蒸発器4で潜熱により周囲の空気を冷却することにより車室内の冷房に供され、しかる後に冷媒圧縮機1の吸入室12に吸入されて再び吐出室13から吐出され、上記冷凍回路での循環を繰返す。
【0015】
このとき、冷媒圧縮機1の吐出室13に配設されている逆止弁5は、図3に示すように、吐出室13内の圧力が凝縮器2側の圧力よりも高圧になると、弁体57がばね58の付勢力に抗してケース53内で摺動し、流出口56が開放される。これにより、吐出室13内の冷媒ガスは、逆止弁5の流入口51及び流出口56を通って配管7aより凝縮器2に吐出される。
【0016】
そして、クラッチのオフにより冷媒圧縮機1へのエンジンの駆動力の伝達が停止されると、制御アンプ20により制御弁19が開弁して吐出室13から流入する冷媒ガスによりクランク室11内が高圧となり、これにより斜板の傾斜角が小さくなって冷媒圧縮機1は最小吐出容量状態で停止する。そして、制御弁19の強制的開放により吐出室13、クランク室11、吸入室12は連通状態になって凝縮器2の状況が蒸発器4に影響しようとする。このとき、冷媒圧縮機1の吐出口13の出口に配設されている逆止弁5は、ばね58の付勢力により弁体57が弁座52に着座した状態となって流出口56が閉塞し(図2参照)、凝縮器2側にある高温・高圧の冷媒ガスが吐出口13側へ流れるのを阻止する。これにより、凝縮器2側にある高温・高圧の冷媒ガスが蒸発器4に影響しなくなり、蒸発器4が加熱される虞れが回避され、車室内に温風が流れることによりすぐにまたクラッチがオンとなる虞れは回避される。
【0017】
したがって、本実施例の車両用空調装置によれば、冷媒圧縮機1の作動停止時に高温・高圧の冷媒ガスが凝縮器2側から冷媒圧縮機1に逆流するのを逆止弁5によって阻止することにより蒸発器4が加熱されるのを防止することができるため、動力損失を著しく低減することができる。なお、本実施例における逆止弁5は、冷媒圧縮機1の吐出室13の出口に直接設けられているが、凝縮器2の入口に直接設けたり、吐出室13と凝縮器2とを接続する配管7aの途中に設けてもよい。
【0018】
また、クラッチのオフ時に開放される制御弁19は、本実施例では独立して構成されかつ供給通路15と別の供給通路18に配設されているが、供給通路15に配設される吐出容量制御用の制御弁17をクラッチのオフ時に制御アンプ20により強制的に開放するように構成して兼用することもできる。
(実施例2)
図4は本実施例に係る車両用空調装置を模式的に示す構成図である。図1に示すように、本実施例の車両用空調装置は、上記実施例1における逆止弁5に加えて、冷媒圧縮機1の吸入室12と蒸発器4との間に第2逆止弁6を配設したものである。したがって、上記実施例1と異なる点を中心に説明し、同じ部材等は符号を援用して詳しい説明は省略する。
【0019】
第2逆止弁6は、吸入室12より蒸発器4への冷媒ガスの流れを阻止するように冷媒圧縮機1の吸入室12の入口に設けられている。この第2逆止弁6は、図5に示すように、一端にフランジ61を介して形成された開口62と、側周壁中央部に窓状に形成された複数の流入口63とをもつ円筒状のケース64を有する。このケース64は、吸入室12内に突出した状態でその他端部が冷媒圧縮機1のハウジング10に取付けられており、開口62及び各流出口63は吸入室12と連通している。
【0020】
ケース64の他端側の内周には、円筒状に形成された弁座65の一端部が同軸状に嵌合されている。流入口66を形成する弁座65の他端部は、ケース64の他端より更にハウジング10の外側に突出しており、この突出した他端部には蒸発器4と連通する配管7cが連結されている。そして、ケース64内には、有底円筒状の弁体67が弁座65の一端面と対向してケース64内周面と摺動自在に配設されているとともに、この弁体67とフランジ61との間には弁体67を弁座65に着座させて閉弁するように付勢するばね68が配設されている。
【0021】
以上のように構成された第2逆止弁6は、冷媒ガスが冷媒圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3及び蒸発器4を順に循環して車両用空調装置が作動するときには、吐出室13の出口に配設された逆止弁5とともに開弁状態となる。すなわち、図6に示すように、冷媒圧縮機1の吸入室12内の圧力が蒸発器4側の圧力よりも低圧になると、弁体67がばね68の付勢力に抗してケース64内で摺動し、流出口63が開放される。これにより、蒸発器4の冷媒ガスは、第2逆止弁6の流入口66及び流出口63を通って冷媒圧縮機1の吸入室12に吸入される。
【0022】
そして、クラッチのオフとともに制御アンプ20により制御弁19が開弁し、冷媒圧縮機1が最小吐出容量状態となって停止する際には、逆止弁5が凝縮器2側から冷媒圧縮機1の吐出室13への高温・高圧となった冷媒ガスの逆流を阻止すると同時に、第2逆止弁6は吸入室12から蒸発器4への冷媒ガスの逆流を阻止する。すなわち、第2逆止弁6の弁体67は、ばね68の付勢力により弁座65に着座した状態となって流出口63を閉塞するため(図5参照)、吸入室12の冷媒ガスは蒸発器4側へ流出するのを阻止される。これにより、制御弁19の開弁によるクランク室11内の圧力上昇が速やかとなり、冷媒圧縮機1は最小吐出容量状態へより確実に移行する。
【0023】
したがって、本実施例の車両用空調装置によれば、逆止弁5に加えて、冷媒圧縮機1の作動停止時に吸入室12から蒸発器4側への冷媒ガスの逆流を阻止する第2逆止弁6が設けられているため、蒸発器4が加熱されるのをより確実に防止し、動力損失をより一層低減することができるとともに、冷媒圧縮機1の最小吐出容量状態への移行をより確実にすることができる。
【0024】
なお、本実施例における第2逆止弁6は、冷媒圧縮機1の吸入室12の入口に直接設けられているが、蒸発器4の出口に直接設けたり、吸入室12と蒸発器4とを接続する配管7cの途中に設けてもよい。
【0025】
【発明の効果】
第1発明の車両用空調装置によれば、クランク室圧を制御して吐出容量を変えるとともに、電磁クラッチのオフによりエンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に強制的に開放される制御弁を備えたものにおいて、冷媒圧縮機の吐出室と凝縮器とを接続する通路上に凝縮室より吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられているため、冷媒圧縮機の作動停止時における蒸発器の温度上昇を防止することができ、これにより動力損失の低減を図ることができる。
【0026】
そして、第2発明の車両用空調装置によれば、さらに冷媒圧縮機の吸入室と蒸発器とを接続する通路上に吸入室より蒸発器への冷媒ガスの流れを阻止する第2逆止弁が設けられているため、上記第1発明の効果に加えて、冷媒圧縮機の作動停止時における最小吐出容量状態への移行をより確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る車両用空調装置を模式的に示す構成図である。
【図2】実施例1に係る逆止弁の閉弁状態の断面図である。
【図3】実施例1に係る逆止弁の開弁状態の断面図である。
【図4】実施例2に係る車両用空調装置を模式的に示す構成図である。
【図5】実施例2に係る第2逆止弁の閉弁状態の断面図である。
【図6】実施例2に係る第2逆止弁の開弁状態の断面図である。
【図7】従来の車両用空調装置を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
1…冷媒圧縮機
2…凝縮器
3…膨張弁
4…蒸発器
5…逆止弁
6…第2逆止弁
11…クランク室
12…吸入室
13…吐出室
14…逃がし通路
15、18…供給通路
17、19…制御弁
52、65…弁座
53、64…ケース
57、67…弁体
58、68…ばね
 
訂正の要旨 訂正の要旨
a.特許請求の範囲に記載されていた
「【請求項1】 冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、その圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。」
を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】 エンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍回路を備え、前記冷媒圧縮機は、クランク室内を貫通してハウジングに回転自在に支承された駆動軸と、前記クランク室内で前記駆動軸と共動する斜板に連係されてボア内を直動するピストンと、該ピストンの直動を介して前記ボアと選択的に連通する吸入室及び吐出室とを備え、前記クランク室と前記吸入室とを連通する逃がし通路及び前記クランク室と前記吐出室とを連通する供給通路を介してクランク室圧力を変化させることにより前記斜板の傾斜角とともにピストンストロークを調節して吐出容量を制御し、前記電磁クラッチのオフにより前記エンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に前記供給通路に配設された制御弁を強制的に開放して最小吐出容量状態で停止させるように構成されている車両用空調装置において、
前記冷媒圧縮機の吐出室と前記凝縮器とを接続する通路上には、前記凝縮器より前記吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。」
に訂正する。
b.発明の詳細な説明の段落【0009】における記載を、明瞭でない記載の釈明を目的にして、
「【0009】
【作用】第1発明の車両用空調装置では、冷媒圧縮機が制御弁の作動により最小吐出容量状態となって電磁クラッチのオフにより作動を停止するとき、吐出室、クランク室、吸入室が連通するにもかかわらず、凝縮器側にある高温・高圧の冷媒ガスは逆止弁によって冷媒圧縮機の吐出室へ流れるのを阻止される。これにより、凝縮器側にある高温・高圧の冷媒ガスが蒸発器に影響しなくなる。したがって、蒸発器が加熱される虞れは回避され、冷媒圧縮機がすぐにまた作動を開始してしまう虞れも回避される。これにより動力損失が低減する。」
に訂正する。
c.発明の詳細な説明の段落【0025】における記載を、明瞭でない記載の釈明を目的にして、
「【0025】
【発明の効果】第1発明の車両用空調装置によれば、クランク室圧を制御して吐出容量を変えるとともに、電磁クラッチのオフによりエンジンの駆動力の伝達が停止される、圧縮機の作動停止時に強制的に開放される制御弁を備えたものにおいて、冷媒圧縮機の吐出室と凝縮器とを接続する通路上に凝縮室より吐出室への冷媒ガスの流れを阻止する逆止弁が設けられているため、冷媒圧縮機の作動停止時における蒸発器の温度上昇を防止することができ、これにより動力損失の低減を図ることができる。」
に訂正する。
異議決定日 2003-04-09 
出願番号 特願平5-17426
審決分類 P 1 652・ 113- YA (F25B)
P 1 652・ 121- YA (F25B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小野 孝朗  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 会田 博行
櫻井 康平
登録日 2001-05-11 
登録番号 特許第3187588号(P3187588)
権利者 株式会社豊田自動織機
発明の名称 車両用空調装置  
代理人 小竹 秋人  
代理人 中村 敬  
代理人 大貫 和保  
代理人 中村 敬  

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