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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23G
審判 全部申し立て 特39条先願  A23G
管理番号 1079688
異議申立番号 異議2001-70345  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-31 
確定日 2003-06-30 
異議申立件数
事件の表示 特許第3071386号「飴菓子及び飴菓子の製造方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについてした平成13年7月30日付けの特許異議の決定に対し、東京高等裁判所において「特許庁が異議2001-70345号事件について平成13年7月30日にした異議の決定を取り消す。」との判決(平成13年(行ケ)第406号、平成15年4月22日判決言渡)があったので、次のとおり決定する。 
結論 特許第3071386号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
(1)本件特許第3071386号に係る出願は、平成7年10月4日に出願され(特願平7-258042号)、平成12年5月26日に特許の設定の登録がなされた。
(2)その後、平成13年1月31日に本件特許の請求項1及び2に対して鈴木裕子より特許異議の申し立てがなされ、平成13年7月30日に本件請求項1ないし2に係る発明の特許を取消すとする異議の決定がなされた。
(3)特許権者は、これを不服として、東京高等裁判所に特許取消決定の取消を求める訴訟(平成13年(行ケ)第406号)を提起する一方、当該訴訟の継続中の平成15年2月14日に、本件特許明細書の訂正を求める審判を請求した(訂正2003-39027号)ところ、平成15年3月25日に上記訂正を認める旨の審決がなされ、当該審決が確定した。
(4)当該訂正により本件特許に係る特許請求の範囲が減縮されたことをうけ、東京高等裁判所は、「結果として、各請求項のいずれについても判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり、この誤りが各請求項のいずれについても決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。」として、当該特許取消の決定を全部取消す旨の判決を行った(平成15年4月22日判決言渡)。
(5)そこで、本件についてさらに審理する。

2.本件発明
本件請求項1及び2に係る発明(以下、本件発明1及び2という。)は、平成15年2月14日に請求された上記訂正審判の請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された、以下のとおりのものである。
【請求項1】 内核部分と外被部分とよりなる飴菓子であって、上記内核部分は、精製されたままで他の成分が混入されていない、セ氏50度〜200度に加熱された固形の生の黒砂糖であり、上記外被部分は、少なくとも黒砂糖と水飴とを加熱溶融混合した飴であり、セ氏100度〜300度に加熱されかつ流動性を持たせた後、冷却され粗熱が取られて練合され、粘度が高くなってまだ流動性を有する状態で上記内核部分に被覆されるものであって、この被覆は当該粗熱が取られて当該内核部分の固形の黒砂糖を溶かす程の高温ではない状態で行われ、これら内核部分の上記固形の黒砂糖と、上記黒砂糖と水飴とが加熱溶融混合された後、冷却され粘度が高くなってこの黒砂糖を溶かす程ではない状態の上記外被部分の黒飴とが混ざり合って、当該内核部分と外皮部分との境に両者が混じり合った混合部分が形成されることを特徴とする飴菓子。
【請求項2】 少なくとも黒砂糖と水飴とをセ氏100度〜300度で加熱溶融混合して高温にしかつ流動性を持たせる第1の工程と、この第1の工程でできた黒飴を冷却して粗熱を取る第2の工程と、この第2の工程で冷却された黒飴を練合する第3の工程と、この第3の工程でできた黒飴であって、上記第2の工程の冷却によって、粘度が高くなってまだ流動性を有する状態の当該黒飴の中に、精製されたままで他の成分が混入されていない、セ氏50度〜200度に加熱された固形の状態の生の黒砂糖を巻き込んで棒状に整形する第4の工程であって、当該黒飴は上記冷却によって当該黒砂糖を溶かす程の高温ではない状態で当該黒砂糖を巻き込み、この第4の工程で棒状に整形された飴を複数の小塊に切断して整形して冷却する第5の工程と、を備え、この第4の工程または第5の工程において、上記冷却され粘度が高くなって黒砂糖を溶かす程ではない状態の黒飴と、この黒飴の中に巻き込まれた上記生の黒砂糖とが混ざり合って、当該黒飴と生の黒砂糖との境に両者が混じり合った混合部分が形成されることを特徴とする飴菓子の製造方法。

3.申立の理由の概要
異議申立人 鈴木裕子は、訂正前の本件請求項1及び2に係る発明について、
(1)本件の特許出願と同日になされた実用新案登録出願に係る考案(登録実用新案第3020571号、甲第1号証を引用)の請求項1及び請求項5とそれぞれ同一であり、特許法第39条第4項の規定により特許を受けることができない発明に該当するので、特許を取り消すべきものである旨主張し、また、
(2)甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明に該当するので、特許を取り消すべきものである旨主張している。
甲第2号証:特開昭61-289841号公報
甲第3号証:「菓子・飴・砂糖 理論と実際」昭和29年4月15日発行
甲第4号証:特開昭60-2146号公報
甲第5号証:特開昭63-3757号公報
甲第6号証:特開昭52-10452号公報

4.当審の判断
(1)上記訂正審判による訂正後の請求項1に係る本件発明1が、訂正前の本件特許について申し立てられた、本件異議の申立の理由により特許を受けることができないものであるか、否かを、以下、検討する。
(1-1)特許法第39条第4項について
本件異議の証拠とされた、本件の特許出願と同日に出願され、平成7年9月6日付けで補正された後、登録された、登録実用新案第3020571号は、平成10年10月12日付け及び平成15年1月8日付の訂正により、請求項1、2及び5が削除され、請求項3、4、6のみが残されているところ、当該請求項3、4、6は以下のとおりである。
「【請求項3】上記外被部分の飴は、少なくとも黒砂糖と水飴と、場合によってグラニュー糖を加えて、加熱溶融混合して高温にしかつ流動性を持たせる第1の工程と、この第1の工程でできた黒飴を冷却する第2の工程と、この第2の工程で冷却された黒飴に場合によって香料を加えて練合する第3の工程とによって製造されたものであることを特徴とする請求項1記載の飴菓子。
【請求項4】上記外被部分とこの上記外被部分が被覆された固型の黒砂糖からなる内核部分とは、上記黒砂糖と水飴とを加熱溶融混合した黒飴の中に固型の状態の生の黒砂糖を巻き込んで棒状に整形する第4の工程と、上記棒状に整形された飴を複数の小塊に切断して整形して冷却する第5の工程とによって、固型の状態の黒砂糖からなる内核部分に上記黒飴が加熱されて流動性を有する状態で被覆されて上記外被部分が形成されることによって製造されたものであることを特徴とする請求項1記載の飴菓子。
【請求項6】上記外被部分の飴は、少なくとも黒砂糖と水飴と、場合によってグラニュー糖を加えて、加熱溶融混合して高温にしかつ流動性を持たせる第1の工程と、この第1の工程でできた黒飴を冷却する第2の工程と、この第2の工程で冷却された黒飴に香料を加えて練合する第3の工程とによって製造されたものであり、
上記外被部分とこの上記外被部分が被覆された固型の黒砂糖からなる内核部分とは、これらの工程によって製造された黒飴の中に固型の状態の生の黒砂糖を巻き込んで棒状に整形する第4の工程と、上記棒状に整形された飴を複数の小塊に切断して整形して冷却する第5の工程とによって、固型の状態の黒砂糖からなる内核部分に上記黒飴が加熱されて流動性を有する状態で被覆されて上記外被部分が形成されることによって製造されたものであることを特徴とする請求項2記載の飴菓子。」
また、当該請求項で引用する請求項1、2は以下のとおりである。
「【請求項1】内核部分と外被部分とよりなる飴菓子であって、上記内核部分は、固型の黒砂糖であり、上記外被部分は、少なくとも黒砂糖と水飴とを加熱溶融混合した飴であり、加熱されて流動性を有する状態で上記内核部分に被覆されるものであることを特徴とする飴菓子。
【請求項2】上記内核部分は、ほぼ常温にて固型の状態の生の黒砂糖の状態で上記飴菓子に加工され、上記外被部分は、さらにグラニュー糖または香料をも加熱溶融混合されていることを特徴とする請求項1記載の飴菓子。」
そこで、本件発明1と上記登録実用新案の請求項3、4及び6に係る考案とを対比すると、本件発明1においては、黒飴に被覆される内核部分の黒砂糖が「セ氏50度〜200度に加熱」されたものであるのに対し、登録実用新案の請求項3、4及び6に係る考案では、そのような特定はされていない点で、少なくとも両者は相違する。そして、この相違は飴菓子の製造工程におけるものであるが、できあがった飴菓子の表面のひび割れのできにくさに関係し、できあがった飴菓子自体に影響を与えるものと認められる。また、当該登録実用新案の考案の詳細な説明を見ても、加熱された黒飴により被覆する際に、黒砂糖を必ずこのように加熱しておかなければならないものとも認められない。
従って、本件発明1は、上記登録実用新案に係る考案と同一とはいえない。
(1-2)特許法第29条第2項について
本件発明1は、黒飴に被覆される内核部分の黒砂糖として「セ氏50度〜200度に加熱」されたものを用いることをその特徴の一つとするものであるが、本件異議の証拠とされた、本件出願前に頒布された刊行物である、特開昭61-289841号公報、高陽書院「菓子・飴・砂糖 理論と実際」128〜158頁(昭和29年4月15日発行)、特開昭60-2146号公報、特開昭63-3757号公報、および、特開昭52-10452号公報のいずれにも、黒砂糖を飴菓子の内核とすることを直接示す記載はなく、加熱された飴により被覆する際に、黒砂糖を加熱しておくことは記載も示唆もされていない。そして、本件発明1は、このことにより、黒砂糖に触れた黒飴の表面が急に冷却されてひび割れることを防止できるという、本件明細書記載の効果を有するものである。
従って、本件発明1は、上記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)次に、上記訂正後の請求項2に係る本件発明2が、訂正前の本件特許について申し立てられた、本件異議の申立の理由により特許を受けることができないものであるか、否か、検討する。
(2-1)特許法第39条第4項について
本件発明2と本件異議の証拠とされた登録実用新案の請求項3、4及び6に係る考案とを対比すると、本件発明1と同様に、本件発明2においては、黒飴に被覆される内核部分の黒砂糖が「セ氏50度〜200度に加熱」されたものであるのに対し、登録実用新案の請求項3、4及び6に係る考案では、そのような特定はされていない点で、少なくとも両者は相違しており、当該登録実用新案の考案の詳細な説明を見ても、加熱された黒飴により被覆する際に、黒砂糖を必ずこのように加熱しておかなければならないものとも認められない。
従って、本件発明2は、上記登録実用新案に係る考案と同一とはいえない。
(2-2)特許法第29条第2項について
本件発明2は、黒飴に被覆される内核部分の黒砂糖として「セ氏50度〜200度に加熱」されたものを用いることをその特徴の一つとするものであるが、(1-2)で上述のとおり、本件異議の証拠とされた、本件出願前に頒布された刊行物のいずれにも、黒砂糖を飴菓子の内核とすることを直接示す記載はなく、加熱された飴により被覆する際に、黒砂糖を加熱しておくことは記載も示唆もされていない。そして、本件発明2は、このことにより、黒砂糖に触れた黒飴の表面が急に冷却されてひび割れることを防止できるという、本件明細書記載の効果を有するものである。
従って、本件発明2は、上記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明1及び2についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-07-30 
出願番号 特願平7-258042
審決分類 P 1 651・ 4- Y (A23G)
P 1 651・ 121- Y (A23G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 冨士 良宏中木 亜希引地 進  
特許庁審判長 種村 慈樹
特許庁審判官 河野 直樹
田中 久直
登録日 2000-05-26 
登録番号 特許第3071386号(P3071386)
権利者 松屋製菓株式会社
発明の名称 飴菓子及び飴菓子の製造方法  
代理人 若原 誠一  
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