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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C11B |
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管理番号 | 1079728 |
異議申立番号 | 異議2002-72496 |
総通号数 | 44 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-06-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-10-10 |
確定日 | 2003-07-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3287359号「ハス様香料組成物」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3287359号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件発明 本件特許第3287359号(平成2年5月11日出願、平成14年3月15日設定登録)の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりである。 「【請求項1】1,4-ジメトキシベンゼンを10重量%以上と、ジイソブチルアジペートおよび/またはトリエチルシトレートを5〜20重量%とを含有することを特徴とするハス様香料組成物。」 2.申立ての理由の概要 特許異議申立人日本香料工業会は、証拠として本件出願前に頒布されたことが明らかな刊行物である甲第1号証(11TH INTERNATIONAL CONGRESS OF ESSENTIAL OILS, FRAGRANCES AND FLAVOURS、New Delhi, India, 12-16 November, 1989、Proceedings:Volume4、CHEMISTRY ANALYSIS AND STRUCTURE 第43〜48頁)、甲第3号証(特公昭54-27407号公報)、甲第4号証(印藤元一著、「香料の実際知識」第2版、東洋経済新報社、昭和60年7月11日発行、第185〜186頁)、及び本件出願の公開公報である甲第2号証(特開平4-159399号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明は、上記甲第1号証、甲第3号証、及び甲第4号証に記載された発明及び技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件請求項1に係る特許は取り消されるべきであると主張している。 3.証拠の記載 甲第1号証には、ハスの花の香りに関する記述があり、ハスの花の雄しべからは、サビネン、ミルセン、α-テルピネン、リモネン、1,8-シネオール、γ-テルピネン、テルピノレン、リナロール、1,4-ジメトキシベンゼン、テルピネン-4-オール、α-テルピネオール、カリオフィレン、テトラデカン、ペンタデセン、ペンタデカン、ヘプタデセン、ヘプタデカンが抽出成分として確認されたことが記載され(第44頁下から7行〜下から5行参照)、1,4-ジメトキシベンゼン、リモネン、リナロール及びテルピネン-4-オールがハスの花の香りの重要な成分であったことが記載されている(第43頁下から2行〜末行参照)。 甲第3号証には、有効成分がジイソブチルアジペート(DIBA)である香料用調整剤が記載されており(特許請求の範囲第2項参照)、該香料用調整剤は香料の芳香特性又は芳香安定性を向上させるために使用されるものであることが記載され(公報第1頁第2欄3行〜4行参照)、実施例においては各種香料にDIBAを配合した場合の溶解性、香気変化、香料保留性について検討した結果が示されている(公報第3頁表I及び表II参照)。また、従来より用いられていた香料調整剤としてトリエチルシトレートが例示されている(公報第2頁第3欄12行参照)。 甲第4号証には、調合香料に係る記述があり、調合香料はベース、調和剤、変調剤、及び保留剤の4種の香料を適当に組み合わせ、さらに熟成させて製品とすることが記載されている(第184頁下から7行〜末行参照)。 4.対比・判断 本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、1,4-ジメトキシベンゼンと、ジイソブチルアジペートおよび/またはトリエチルシトレートとを組み合せた点に特徴を有し、これらの相乗作用によって優れたハス様香気を呈するものである(本件特許公報第2頁第3欄16行〜20行、及び第3頁表-2参照)。 これに対して、甲第1号証には、1,4-ジメトキシベンゼンがハスの花の香りの重要な成分であることが記載されているものの、その他の成分としてジイソブチルアジペート、あるいはトリエチルシトレートが含まれている旨の記載はなく、また、1,4-ジメトキシベンゼンを配合したハスの花の香りの香料を調合することについても何も記載されておらず、示唆もされていない。また、甲第3号証には香料調整剤としてジイソブチルアジペート及びトリエチルシトレートを各種香料に配合することが記載されているが、1,4-ジメトキシベンゼンを配合した香料に係る記載はない。さらに、甲第4号証には何種かの香料を組み合せて調合香料を得ることが記載されているが、具体的な香料の組合せを示唆するものではない。 したがって、これらの甲号各証の記載を組み合せて勘案しても、1,4-ジメトキシベンゼンと、ジイソブチルアジペートおよび/またはトリエチルシトレートとを組み合せ、かつそれらの配合量を有効な範囲に特定するという、本件発明のハス様香料組成物の構成を導き出すことはできない。 そして本件発明は、上記のような組合せの構成を備えることにより、特に香り評価が向上し、優れたハス様の香りが得られるという明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明は、上記刊行物1、3、4に記載された発明及び技術的事項に基づいて当業者が容易になし得た発明とは認められない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、本件請求項1に係る発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めないから、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2003-06-18 |
出願番号 | 特願平2-122256 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(C11B)
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最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
鐘尾 みや子 |
特許庁審判官 |
鈴木 紀子 井上 彌一 |
登録日 | 2002-03-15 |
登録番号 | 特許第3287359号(P3287359) |
権利者 | 株式会社資生堂 |
発明の名称 | ハス様香料組成物 |
代理人 | 舘野 千恵子 |