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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1080584
審判番号 不服2001-5996  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-16 
確定日 2003-07-16 
事件の表示 平成9年特許願第268608号「表面実装用パッケージとその製造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成10年7月31日出願公開、特開平10-200024]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成9年10月1日(パリ条約による優先権主張1996年10月1日、米国)の出願であって、平成13年1月24日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

[2]平成13年4月16日付手続補正についての補正却下の決定

<補正却下の決定の結論>
平成13年4月16日付手続補正を却下する。

<理由>
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項10、11を削除するとともに、請求項1を以下のとおりに補正したものである。
「【請求項1】成形ハウジングに封止された、半導体装置を支持する導電性リードフレームであって、
上面と下面とを有し、前記上面で半導体ダイを支持し、前記上面とは反対側の前記下面が表面実装のために前記成形ハウジングから外部に露現していると共に、その縁部から成形ハウジング(請求項1に記載の「成形ハウジグ」は「成形ハウジング」の誤記と認める。)の外方へと延出する部分を有する主パッド部と、
前記主パッド部の反対縁に沿って(請求項1に記載の「反対縁の沿って」は「反対縁に沿って」の誤記と認める。)配置され、前記成形ハウジングから外方に延在する部分と、その幅よりも大きい幅を有するボンディングパッド部とを備えた少なくとも二個の独立したピンと、
前記ピンの間において前記成形ハウジングに形成したスロットとからなり、
前記ピンはそれぞれ前記主パッド部と同一厚みを有すると共に、前記成形ハウジング内にその曲折部を有しており、前記ボンディングパッド部は前記主パッド部から盛り上がっており、また、前記成形ハウジングから外方に延出する部分が前記主パッド部と共通する高さにあることを特徴とする導電性リードフレーム。」

上記補正の内、請求項10、11の削除は特許法第17条の2第4項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当し、上記補正の内、請求項1の補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「成形ハウジングから露現している・・・主パッド部」について、「露現している」を「外部に露現している」に限定したものであり、また、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「成形ハウジングから外方に延在する部分と、ボンディングパッド部とを有する少なくとも二個の独立ピンとからなり」について、「ボンディングパッド部」を「その幅よりも大きい幅を有するボンディングパッド部」に限定するとともに、「有する」を「備えた」に、「独立ピンとからなり」を「独立ピンと」に表現を替え、さらに、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項であるとして、「前記ピンの間において前記成形ハウジングに形成したスロットからなり、」を附加したものであって、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同条同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
そこで、本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「補正後の本願発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下検討する。

(2-1)補正後の本願発明1
補正後の本願発明1は、平成12年10月24日付手続補正書及び平成13年4月16日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記[2](1)に記載されたとおりのものである。

(2-2)刊行物に記載された事項
これに対し、原査定の拒絶の理由2に引用された刊行物の特開昭60-183755号公報(以下、「引用例」という。)には、高周波高出力トランジスタに関する発明が第3〜5図とともに開示され、さらに以下の技術的事項が記載されている。

「第3図に示すように、略矩形形状のレジンパッケージ9の一側から平行に2本のリード13を突出させた構造となっている。・・・また、このエミッタリード10とベースリード11との中間の延長上には幅広のヘッダ8が配設されている。このヘッド8の主面(上面)にはチップ(トランジスタ素子)7が固定されている。エミッタ・ベースリード10,11のレジンパッケージ9の内部に延在する内端は途中で上方に一段折れ曲がり、その先端をヘッダ8の一段上方に臨ませている。そして、これら先端部とチップ7の対応する図示しない電極部はワイヤ14で電気的に接続している。また、ヘッダ8のリード13に対面しない他端部分はレジンパッケージ9の一側から突出している。なお、このトランジスタは面実装型であることから、ヘッダ8およびリード13の最下面は同一面となり、レジンパッケージ9から露出している。また、ヘッダ8のリード13に対面する一端部からは細く短い突片15が突出している。この突片15は上方に階段状に一段折れ曲がっていて、ヘッダ8がレジンパッケージ9から抜けたり、あるいはヘッダ8とレジン派ケージ9とが外力によって相互に剥離したりしないようになっている。・・・
・・・この実施例で用いるリードフレーム16は、第5図で示すように、一対の平行に延在する2本の細い外枠17と、この外枠17を定間隔個所で連結する内枠18と、外枠17および内枠18とによって囲まれる領域内に配置されるリード13およびヘッダ8とからなっている。リード13は一方の外枠17の内側から内枠18に沿って平行に2本延在している。これらリード13の中間位置の延長上には幅広のヘッダ8が位置している。このヘッダ8は他方の外枠17の内側から突出する細い支持片19によって支持されている。また、このヘッダ8はその他端中央から細い突片15を突出させている。この突片15はその付け根部分で上方に階段状に一段延びている。・・・なお、前記突片15はたとえば、従来におけるコレクタリードの一部と考えてもよい。したがって、この突片15はたとえば長く、一方の外枠17と繋がっていて、後述するレジンモールド前に切断除去されるようであってもよい。また、このヘッダ8はその主面(上面)に半導体素子(チップ)7を固定するようになっている。・・・
一方、一対のリード13・・・は途中で一段折れ曲がりその先端はヘッダ8の他端上方に位置している。」(3頁左上欄9行〜4頁左上欄10行)
「つぎに、このようなリードフレーム16を用いて、トランジスタを組立てる方法について説明する。まず、最初にヘッダ8の主面にチップ7が半田等の接合材によって接合される。その後、チップ7の電極とエミッタリード10およびベースリード11の先端とはワイヤ14によって電気的に接続される。その後、このリードフレーム16はトランスファ レジンモールド装置によってレジンモールドされる。この際、リードフレーム16はその下面がモールド下型のパーティング面に載るようにしてモールドされるため、ヘッダ8およびリード13の下面はレジンパッケージ9の下面から露出する。なお、レジンパッケージ9はリード13の内端部、ヘッダ8の一部、チップ7、ワイヤ14に亘る領域を被う。つぎに、前記ダム片20は切断除去され、ヘッダ8は支持片19の付け根から切断され、リード13は所定部で切断され、ヘッダ8の一面が露出したトランジスタが製造される。」(4頁左上欄19行〜 右上欄17行)
「リードフレームはヘッダの突片が外枠に連結状態となっていてもよい。この場合、突片はあらかじめレジンモールド前には外枠から切断しておき、レジンモールドによって形成されるレジンパッケージによって内部に奥深く被われるようにすることによって、前記実施例と同様な効果が得られる。」(4頁右下欄3〜9行)

(3)対比・判断
補正後の本願発明1と引用例に記載の発明とを対比すると、引用例に記載の「レジンパッケージ」、「チップ」、「ヘッダ」、及び「リード」は、補正後の本願発明1の「成形ハウジング」、「半導体ダイ」、「主パッド部」、及び「ピン」に相当する。
そして、引用例に記載のヘッダは、リードとともにリードフレームから構成され、このヘッダの下面がレジンパッケージの下面から外部に露出しており、第3、5図の記載からみて、ヘッダの縁部から外方へフレームの外枠の内側まで延出して、ヘッダを支持する支持片を有していることは明らかである。
さらに、2本のリードは、ヘッダとともにリードフレームにより構成されていることからみて、ヘッダと同一厚みを有し、しかも、第3、5図の記載からみて、レジンパッケージ内で折れ曲がり、その先端部はヘッダから盛り上がっており、レジンパッケージから外方に延出する部分がヘッダと共通する高さにあることは明らかである。
してみると、両者は、補正後の請求項1の記載に沿って記載すると、「成形ハウジングに封止された、半導体装置を支持する導電性リードフレームであって、上面と下面とを有し、前記上面で半導体ダイを支持し、前記上面とは反対側の前記下面が表面実装のために前記成形ハウジングから外部に露現していると共に、その縁部から成形ハウジングの外方へと延出する部分を有する主パッド部と、前記主パッド部の反対縁に沿って配置され、前記成形ハウジングから外方に延在する部分を備えた二個の独立したピンと、前記ピンはそれぞれ前記主パッド部と同一厚みを有すると共に、前記成形ハウジング内にその曲折部を有しており、前記ボンディングパッド部は前記主パッド部から盛り上がっており、また、前記成形ハウジングから外方に延出する部分が前記主パッド部と共通する高さにある導電性リードフレーム。」の点で一致するものの、以下の点で相違する。

相違点1:補正後の本願発明1は、ピンの幅よりも大きい幅を有するボンディングパッド部を備えているのに対し、引用例に記載の発明はこのようなものを備えていない点。
相違点2:補正後の本願発明1は、ピンの間において成形ハウジングにスロットを形成したのに対し、引用例に記載の発明はこのようなものを形成していない点。

そこで、上記相違点1、2ついて検討する。
相違点1について:樹脂封止半導体装置において、成形ハウジング内のリードの先端部と半導体ダイとをワイヤで接続する場合に、リードの先端部をリードの幅よりも大きい幅に形成してワイヤをボンディングすることは、本願出願前周知の技術にすぎない(必要ならば、特開平8-64736号公報、特開平5-304245号公報参照。)から、引用例に記載のワイヤをボンディングするリードの先端部をその幅よりも大きい幅に形成して補正後の本願発明1の相違点1とする程度のことは、上記周知の技術から容易に想到することができたものである。
相違点2について:樹脂封止半導体装置において、リード間にある成形ハウジングに凹凸を形成することにより、リード間の沿面距離を大きくして漏電を防止することは、本願出願前周知の技術にすぎない(必要ならば、特開平8-97333号公報、実開平2-62727号公報参照。)から、引用例に記載の2本のリード間にあるレジンパッケージにスロットを形成して補正後の本願発明1の相違点2とする程度のことは、上記周知の技術から容易に想到することができたものである。

そして、補正後の本願発明1の、ボンディングパッドの幅を大きくすることにより複数本のワイヤをボンディングすることができるので、接続に伴う抵抗を減らすことができ、またスロットを設けることによりピン間の沿面距離を大きくすることができるので、漏電電流を可及的に減少することができる等の上記相違点1、2に基づく作用効果も格別顕著なものとは認められない。

したがって、補正後の本願発明1は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

[3]本願発明
平成13年4月16日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1〜9に係る発明(以下、「本願発明1〜9」という。)は、平成12年10月24日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その内の本願発明1は次のとおりである。

「【請求項1】成形ハウジングに封止された、半導体装置を支持する導電性リードフレームであって、
上面と下面とを有し、前記上面で半導体ダイを支持し、前記上面とは反対側の前記下面が表面実装のために前記成形ハウジングから露現していると共に、その縁部から成形ハウジングの外方へと延出する部分を有する主パッド部と、
前記主パッド部の反対縁に沿って(請求項1に記載の「反対縁の沿って」は「反対縁に沿って」の誤記と認める。)配置され、前記成形ハウジングから外方に延在する部分とボンディングパッド部とを備えた少なくとも二個の独立したピンとからなり、
前記ピンはそれぞれ前記主パッド部と同一厚みを有すると共に、前記成形ハウジング内にその曲折部を有しており、前記ボンディングパッド部は前記主パッド部から盛り上がっており、また、前記成形ハウジングから外方に延出する部分が前記主パッド部と共通する高さにあることを特徴とする導電性リードフレーム。」

[4]引用例に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例に記載された事項は、上記「[2](2-2)」に記載したとおりである。

[5]対比・判断
本願発明1は、上記「[2]」において検討した補正後の本願発明1から、「成形ハウジングから外部に露現している・・・主パッド部」について、「外部に」を削除して、「成形ハウジングから露現している・・・主パッド部」としたものであり、また、「成形ハウジングから外方に延在する部分と、その幅よりも大きい幅を有するボンディングパッド部とを備えた少なくとも二個の独立したピンと」について、「、その幅よりも大きい幅を有する」を削除するとともに、「備えた」を「有する」に替えて、「成形ハウジングから外方に延在する部分とボンディングパッド部とを有する少なくとも二個の独立したピンとからなり」にしたものであり、さらに、「前記ピンの間において前記成形ハウジングに形成したスロットからなり、」を削除したものである。
そうすると、本願発明1の特定するために必要な事項を全て含み、さらに他の特定するために必要な事項を附加したものに相当する補正後の本願発明1が、上記「[2](3)」に記載したとおり、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1についても、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明2〜9については、上記のとおり本願発明1が特許を受けることができないため、検討する必要を認めない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-10-30 
結審通知日 2002-11-05 
審決日 2003-03-05 
出願番号 特願平9-268608
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 浩一田中 永一  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 三崎 仁
市川 裕司
発明の名称 表面実装用パッケージとその製造方法  
代理人 河宮 治  
代理人 青山 葆  

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