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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60S
管理番号 1080686
審判番号 不服2001-5326  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-06-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-05 
確定日 2003-07-18 
事件の表示 平成5年特許願第338954号「ヒーター付ミラー」拒絶査定に対する審判事件[平成7年6月20日出願公開、特開平7-156758]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年12月2日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成13年1月11日付け及び平成13年5月1日付けの手続補正書により補正された明細書と出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という)。
「基板上に発熱抵抗体よりなる反射膜及びこの反射膜に通電加温するための電極を設けたヒーター付ミラーにおいて、
前記発熱抵抗体兼反射膜がチタンよりなり、且つ、電極が薄層電極であり、少なくとも前記薄層電極が絶縁層によりコーティングされていることを特徴とするヒーター付ミラー。」

【2】引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前に頒布された特開昭61-173485号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
(イ)「透明基板上に金属を酸素と反応させながら真空蒸着することにより金属酸化物製の着色薄膜を形成する工程と、この後に前記着色薄膜上に金属のみを真空蒸着することにより反射膜兼用の金属ヒータ膜を形成する工程を経て成る着色ミラーの製造方法。」(特許請求の範囲)
(ロ)「1はガラス製の透明基板、2はこの透明基板1上に添設された膜厚10〜100Å程度の着色薄膜で、……。3はこの着色薄膜2上に添設された膜厚数百〜数千Å程度の反射膜兼用の金属ヒータ膜であり、この金属ヒータ膜3に電源4から通電して発熱させることによって透明基板1の表面1aでの曇り止めを図ることができる。尚、5,5は金属ヒータ膜3と電源4との間を繋ぐターミナルである。」(公報第2頁左上欄第7行〜第16行)
(ハ)「着色膜2及び金属ヒータ膜3をイオンプレーティング法により形成するようにしたが、これに代えてスパッタリング法或いは通常の真空蒸着法を採用しても良い。また、蒸着物質としては、鉄に限らず……チタン等を採用しても良く、」(公報第2頁左下欄第11行〜第17行)
上記(イ)〜(ハ)の記載事項及び図面の記載事項等を参照すると、引用例には、
「透明基板1上に反射膜兼用の金属ヒータ膜3及びこの反射膜兼用の金属ヒータ膜3に通電加温するためのターミナル5,5を設けたヒーター付ミラーにおいて、
前記反射膜兼用の金属ヒータ膜3がチタンよりなるヒーター付ミラー。」の発明(以下、「引用例記載の発明」という)が記載されているものと認める。

【3】対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「透明基板1」は本願発明の「基板」に相当し、以下同様に、「反射膜兼用の金属ヒータ膜3」は「発熱抵抗体よりなる反射膜」、または「発熱抵抗体兼反射膜」に、「ターミナル5,5」は「電極」に相当するから、両者は、
「基板上に発熱抵抗体よりなる反射膜及びこの反射膜に通電加温するための電極を設けたヒーター付ミラーにおいて、前記発熱抵抗体兼反射膜がチタンよりなるヒーター付ミラー」
の点で一致し、次の点で相違する。
(1)本願発明は、電極が薄層電極であるのに対し、引用例記載の発明では、この点が明らかでない点
(2)本願発明は、少なくとも前記薄層電極が絶縁層によりコーティングされているのに対し、引用例記載の発明では、このような構成に言及されていない点

【4】当審の判断
そこで、これらの相違点について以下に検討する。
(1)の相違点について
本願発明及び引用例記載の発明と同じ技術分野に属するヒーター付ミラーにおいて、本願発明と同じ働きをする一対の電極を、真空蒸着により形成する或いは銅箔の電極というように、薄層電極にすること自体が従来周知、かつ通常採用されている技術である(参考例 特開昭59-214183号公報、実願昭61-98064号(実開昭63-6968号)のマイクロフィルム、特開昭63-284048号公報)から、この相違点における本願発明の構成に格別の創意は見出せない。
(2)の相違点について
電極を絶縁層で覆うようにするという技術事項は技術分野を問わない技術常識であり、しかも、上述したとおりに、電極が薄層電極である点に格別なものが認められないばかりでなく、このような薄層電極を絶縁層によりコーティングすること自体もヒーター付きミラーの技術分野において従来周知の技術である(参考例 特開昭63-284048号公報、実願昭61-98064号(実開昭63-6968号)のマイクロフィルム)から、この相違点における本願発明の構成に格別の創意は見出せない。
そして、本願明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された構成によって得られる効果も、引用例記載の発明及び従来周知の技術から当業者であれば予測できる程度のものであり、格別なものとはいえない。

【5】むすび
したがって、本願発明は、前述した周知技術を考慮に入れることにより、引用例記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-05-07 
結審通知日 2003-05-13 
審決日 2003-05-26 
出願番号 特願平5-338954
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 八日市谷 正朗
特許庁審判官 神崎 潔
出口 昌哉
発明の名称 ヒーター付ミラー  

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