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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1080687
審判番号 不服2001-8194  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-17 
確定日 2003-07-18 
事件の表示 平成 5年特許願第 83540号「コメント入力装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月28日出願公開、特開平 6-301698]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本件審判請求に係る出願は、平成5年4月9日の出願であって、特許を受けようとする発明は、平成12年12月18日付、平成13年6月18日付及び平成15年4月14日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「行為のコメントを入力するコメント入力装置において、
行為コードに対応づけて名称、または名称とコメントと、名称、または名称とコメントの各文字の位置にカーソルを位置づけて入力可にする可変項目あるいはカーソルをスキップさせて入力不可にする固定項目を表す文字制御フラグとを設定して登録する行為マスタと、
行為コードの入力に対応して、上記行為マスタから該当する行為コードの名称、または名称とコメントを画面上に表示し、画面上でコメントが追加されたときに、当該追加されたコメントに対応づけた文字制御フラグについて、上記可変項目あるいは上記固定項目に設定されたことに対応して、上記行為マスタを更新するマスタ登録機能と、
行為コードの入力に対応して、上記行為マスタから該当する行為コードの名称、または名称とコメントを画面上に表示すると共に文字制御フラグが上記可変項目と設定されている位置にのみカーソルを位置づけ、入力されたことに対応して、このカーソル位置に入力されたコメントを当該位置に設定し、実施行為マスタに保存する入力機能と
を備えたことを特徴とするコメント入力装置。」

2.当審における拒絶理由の概要
当審における拒絶の理由は「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。」というもので、その内容は概略、次のとおりである。
(1)発明の詳細な説明の記載によれば、行為マスタに登録されているコメントとは「月・日」のこと(段落番号0025参照)であるから、行為コード「092」の入力により、名称として「慢性疾患指導」およびコメントとして「月・日」が表示されるものと認められる。
してみると、画面に「092 慢性疾患指導 月 日」と表示された場合、「画面上でコメントを追加・変更」(請求項1第7〜8行)することについて検討すると、コメントの追加とは、具体的に日にちを入力すること等が考えられるところ、具体的な月日の数字が入力されたものは、「入力機能」により「実施行為マスタ」に保存されるもの(段落番号0033〜0036参照)であるから、マスタ登録機能により追加されるコメントが何であるか不明であり、本願発明における「コメントの追加」の意味、ひいては、「行為マスタの更新」の意味が不明である。
(2)発明の詳細な説明に記載された「マスタ登録機能」に関する実施例は、請求項1に係る発明の実施例とは認められず、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが対応せず、不明である。
(3)請求項1に係る発明の構成の内、「コメントの追加・変更」及び「行為マスタの更新」の意味が不明ではあるが、これら構成を、請求項1に記載のとおりの文言上の意味として、請求項1に係る発明を理解すると、発明の詳細な説明には、当業者が容易にその実施をすることができる程度に、発明の構成が記載されていない。

3.請求人の意見書における主張
当審の拒絶理由に対して、請求人は、平成15年4月14日付けで手続補正書を提出し、本願明細書を補正すると同時に、同日付意見書において、「補正後の本願明細書は、請求項1の構成が発明の詳細な説明に記載されていない点は解消し、特許法第36条第5項に規定する要件を満たすようにした。」(同意見書第2頁第20〜23行)旨、主張している。

4.判断
本願明細書が、上記1.に記載したとおりに補正されたので、当審における拒絶理由の(1)及び(3)の点は、一応解消したものと認められる。
そこで、同(2)の点について、検討する。
本願発明の「マスタ登録機能」に関する事項は、平成15年4月14日付手続補正書により、「行為コードの入力に対応して上記行為マスタから該当する行為コードの名称、または名称とコメントを画面上に表示し、画面上でコメントが追加されたときに、当該追加されたコメントに対応づけた文字制御フラグについて、上記可変項目あるいは上記固定項目に設定されたことに対応して、上記行為マスタを更新するマスタ登録機能」と補正された。
この補正によれば、「マスタ登録機能」は、次の2つの作用の何れかをなすものである。
(イ)行為コードの入力に対応して、行為マスタから該当する行為コードの名称を画面上に表示し、画面上でコメントが追加されたときに、当該追加されたコメントに対応づけた文字制御フラグについて、可変項目あるいは固定項目に設定されたことに対応して、行為マスタを更新する。
(ロ)行為コードの入力に対応して、行為マスタから該当する行為コードの名称とコメントを画面上に表示し、画面上でコメントが追加されたときに、当該追加されたコメントに対応づけた文字制御フラグについて、可変項目あるいは固定項目に設定されたことに対応して、行為マスタを更新する。
上記(イ)の作用は、本願明細書の段落番号【0022】第5行〜【0031】第2行に記載された事項であるから、特許を受けようとする発明、即ち、請求項1に係る発明は、(イ)の作用の範囲において、発明の詳細な説明に記載されたものと言える。
次に、上記(ロ)の作用が、発明の詳細な説明に記載されたものか否か検討する。
上記(ロ)の作用に関して、行為コードの入力により画面上に表示されるものは、「行為マスタ」に登録されている「名称とコメント」であり、この「名称とコメント」には、「名称とコメント」の各文字の位置に「文字制御フラグ」が設定されて登録されているものであることは、上記補正書により補正された請求項1第2〜10行の記載に照らして明らかである。
つまり、画面に表示される「名称とコメント」とは、既に「文字制御フラグ」が設定されて「行為マスタ」に登録されているものであるから、本願明細書の段落番号【0020】第1行〜【0021】第3行、及び図1(b)、(c)の記載からみて、具体的に、名称が「慢性疾患指導」、コメントが「 月 日」であることは明らかである。
そして、そのように表示されている画面上で「追加されるコメント」とは何であるかを更に検討すると、上記記載に続く、段落番号【0021】第3行〜【0022】第4行の記載からみて「12 23」という数字が、追加されるコメントであることは明らかであるから、該数字を追加(入力)し、該数字に対して「文字制御フラグ」を設定して登録することが、行為マスタを更新することであると認められる。
即ち、該作用が、本願発明の(ロ)の作用である。
他方、本願明細書の記載によれば、コメントとして(日にちを表す)数字が追加されたものは「実施行為マスタ」に保存されるものであり(段落番号【0034】参照)、その際、文字制御フラグの設定などは行わない。
なお、コメントを追加して、文字制御フラグを設定し、行為マスタを更新するものは、段落番号【0022】第5行〜【0031】第2行に記載されているが、これは、上記したとおり、(イ)の作用である。
そして、他に明細書の記載を参酌しても、上記(ロ)に対応するような実施例等は記載されていない。
したがって、コメントが表示されている画面上で、更にコメントを追加し、文字制御フラグを設定するという、上記(ロ)の作用は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、当審の拒絶理由(2)の「特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが対応せず、不明である。」という点は、依然として不明である。

5.むすび
以上のとおり、本願明細書は、上記(ロ)に関して、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものではないから、本願は、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-05-01 
結審通知日 2003-05-13 
審決日 2003-05-27 
出願番号 特願平5-83540
審決分類 P 1 8・ 534- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 智康松田 直也  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 岡 千代子
久保田 健
発明の名称 コメント入力装置  
代理人 岡田 守弘  

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