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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1080818
審判番号 不服2002-5569  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-03 
確定日 2003-07-24 
事件の表示 特願2001- 11146「遊戯装置、広告システムおよび遊戯装置の制御方法」拒絶査定に対する審判事件[平成14年 1月11日出願公開、特開2002- 7627]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年10月24日にした特願平2000-324332号の一部を平成13年1月19日(優先権主張平成12年4月17日)に新たな特許出願としたものであって、平成14年2月27日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月30日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年4月30日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のとおりに補正された。

「カメラにより撮影された装置の利用者の画像を表示するディスプレイと、
前記利用者の画像を表示するディスプレイを用いて、装置の利用者に対し広告を行なう広告手段と、
前記利用者の画像を表示するディスプレイを用いて、前記広告に関する質問を前記利用者へ提示する提示手段と、
前記質問に対する回答を装置の利用者から入力する入力手段と、
前記入力手段による入力に基づいて、遊戯の対価を決定する決定手段とを備えた、遊戯装置。」

上記補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に従来より広く知られた技術事項として引用された特開平10-274806号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下のア〜ウが記載されている。

ア.「従来では、上記2つの遊戯は、各々専用機で楽しむものであったため、遊戯提供のサービス業者は、それぞれの装置を用意する必要があり、設置スペースが大きくなり、設備コストやランニングコストが高くついていた。そこで、この問題を解消するために、本出願人は、1台の遊戯装置に上記シールプリント遊戯とホームページ遊戯の2つの機能を持たせることを考えた。」(段落【0004】及び【0005】)
イ.「図2は映像プリント遊戯装置1のブロック図である。映像プリント遊戯装置1は、遊戯機能の制御を司るコンピュータ12を有し、このコンピュータ12には、制御用のプログラムや、映像の背景となる複数種類のフレーム画像データ等を格納したメモリ(記憶手段)が内蔵されている。コンピュータ12には、遊戯者所望の被写体像を撮像するカメラ13(撮像手段)、撮像した被写体像とフレーム画像データと入力された文字情報とを合成した映像を画面表示するCRT14(表示手段)、」(段落【0016】)
ウ.「ホームページデータを放課後画像用サーバ5に送信し、ホームページ登録する(#11)、その後、このホームページの映像はシールにプリント出力される(#6)。こうして、インターネットにアクセスしてホームページを公開して楽しんだ後に、ホームページをシールにプリントして出力でき、楽しさが増大する。」(段落【0020】)

上記アの「1台の遊戯装置に上記シールプリント遊戯とホームページ遊戯の2つの機能を持たせることを考えた。」と上記ウの「ホームページデータを放課後画像用サーバ5に送信し、ホームページ登録する(#11)、……こうして、インターネットにアクセスしてホームページを公開して」との記載から、映像プリント遊戯装置の利用者は、他者のホームページを閲覧できることは明らかである。
したがって、上記ア〜ウの記載から、引用例1には、
カメラにより撮影された映像プリント遊戯装置の利用者の画像を表示するCRTを用いて、当該遊戯装置の利用者に対してホームページを閲覧する手段を備えた当該遊戯装置(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-289356号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下のアが記載されている。

ア.「広告部28、出題部30及び回答ボタン32より構成される回答部48が接続されている。上記構成の自動販売機10の販売状態について図3のフローチャートに基づいて説明する。まず、販売待機状態においては、液晶パネルよりなる広告部28で、常に商品の広告を行っている。……ステップ2において、出題部30において、商品に関するクイズを出題する。このクイズは、広告部28によって宣伝広告されている内容に関するものである。そしてステップ3に進む。ステップ3において、客が回答ボタン32を押すとステップ4に進み、……ステップ4において、押された回答ボタン32が正解の場合にはステップ5に進み、……ステップ5において、回答が正解であるため、客にメリットを提供するようにする。このメリットとしては、例えば、客が購入する商品の価格を割引いたりするものである。」(段落【0011】〜【0018】))

上記アの記載から、引用例2には、
液晶パネルよりなる宣伝広告を表示する広告部28を用いて、この広告に関するクイズを出題する出題部と、そのクイズに対する回答する回答ボタンと、該回答ボタンによる入力に基づいて、客が購入する商品の価格を決定する決定手段とを備えた自動販売機が記載されているものと認められる。

(2)対比判断
本願補正発明(以下、「前者」という。)と引用例1記載の発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、
後者の「映像プリント遊戯装置」及び「CRT」は、それぞれの機能からみて、前者の「装置」及び「ディスプレイ」に相当する。
ところで、後者のホームページを閲覧する手段は、ディスプレイに表示する情報の対象がホームページであるのに対して、前者のディスプレイに表示する情報の対象が広告である点で相違はするが、情報をディスプレイに表示する点で一致している。
したがって、両者は、
「カメラにより撮影された装置の利用者の画像を表示するディスプレイと、前記利用者の画像を表示するディスプレイを用いて、装置の利用者に対し情報をディスプレイに表示する手段」 の点で一致し、
以下の点で相違している。

相違点1
ディスプレイに表示する情報に関して、
前者が広告であるのに対して、
後者はホームページである点。

相違点2
前者が提示手段、入力手段及び決定手段とを備えるのに対して、
後者は、かかる手段を備えていない点。

(3)容易性の判断
相違点1について
後者のホームページは個人用のものであるが、多くの場合、ホームページに広告機能を備えて用いられるのが一般的であるから、後者のホームページを広告に代えることは、当業者が容易に推考できたものと認める。

相違点2について
従来、自動販売機に遊技装置としての機能を備えられたものが良く知られていることから、引用例2に接した遊戯装置分野の当業者が、後者に引用例2記載の発明を適用して本願発明のようにすることは、当業者が容易に推考できたものと認める。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1、引用例2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1及び引用例2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)補正の可否について
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下する。

3.本願発明について
平成13年4月27日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成12年3月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「カメラにより撮影された装置の利用者の画像を表示するディスプレイと、
前記利用者の画像を表示するディスプレイを用いて、装置の利用者に対し広告を行なう広告手段と、
前記利用者の画像を表示するディスプレイを用いて、前記広告に関する質問を前記利用者へ提示する提示手段と、
前記質問に対する回答を装置の利用者から入力する入力手段と、
前記入力手段による入力に基づいて、遊戯の対価を決定する決定手段とを備えた、遊戯装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、本願補正発明と同じものであるから、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用例1及び引用例2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1及び引用例2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-05-02 
結審通知日 2003-05-13 
審決日 2003-06-06 
出願番号 特願2001-11146(P2001-11146)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰伊藤 健太郎関 博文  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 辻本 泰隆
山本 穂積
発明の名称 遊戯装置、広告システムおよび遊戯装置の制御方法  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  
代理人 酒井 將行  
代理人 野田 久登  
代理人 仲村 義平  
代理人 椿 豊  

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