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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16K
管理番号 1081169
審判番号 不服2001-6844  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-26 
確定日 2003-08-07 
事件の表示 平成9年特許願第337035号「電磁弁マニホールド」拒絶査定に対する審判事件[平成10年5月22日出願公開、特開平10-132128]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、出願日が平成5年10月6日である実願平5-54361号を平成9年12月8日に特許出願に変更したものであって、本願の請求項1〜4に係る発明は、平成13年5月28日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次のとおりのもの(以下請求項1に係る発明を、「本願発明」という。)と認める。
「【請求項1】 複数の給排ポート(21)と、各給排ポート(21)からの流体の供給を制御するべく各給排ポート(21)に対応して設けられた電磁弁(18a,18b)とを備えた電磁弁マニホールドにおいて、
電磁弁マニホールド本体にブロック(3)を設け、そのブロック(3)に、前記各電磁弁(18a,18b)からの配線コード(20a,20b)が接続される集中配線部(24)を備えたハウジング(23)を配設し、前記ブロック(3)に収容部(22a)を凹ませるように設け、その収容部(22a)内で前記ハウジング(23)が、前記集中配線部(24)が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能に収容されつつ、該ハウジング(23)の回動が前記第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で、前記給排ポート(21)が設けられる側面と同じ側面の方から前記ハウジング(23)の内部へ挿通されているねじ(31)によって回動不能に固定されることを特徴とする電磁弁マニホールド。
【請求項2】 複数の給排ポート(21)と、各給排ポート(21)からの流体の供給を制御するべく各給排ポート(21)に対応して設けられた電磁弁(18a,18b)とを備えたバルブブロック(2)を複数並設し、そのバルブブロック(2)列に更に並設されたコネクタブロック(3)に、前記各電磁弁(18a,18b)からの配線コード(20a,20b)が接続される集中配線部(24)を備えたハウジング(23)を配設した電磁弁マニホールドにおいて、
前記コネクタブロック(3)に収容部(22a)を凹ませるように設け、その収容部(22a)内で前記ハウジング(23)が、前記集中配線部(24)が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能に収容されつつ、該ハウジング(23)の回動が前記第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で、前記給排ポート(21)が設けられる側面と同じ側面の方から前記ハウジング(23)の内部へ挿通されているねじ(31)によって回動不能に固定されることを特徴とする電磁弁マニホールド。
【請求項3】 複数の給排ポート(21)と、各給排ポート(21)からの流体の供給を制御するべく各給排ポート(21)に対応して設けられた電磁弁(18a,18b)とを備えた電磁弁マニホールドにおいて、
電磁弁マニホールド本体にブロック(3)を設け、そのブロック(3)に収容部(22a)を凹ませるように設け、その収容部(22a)内に、前記各電磁弁(18a,18b)からの配線コード(20a,20b)が接続される集中配線部(24)を備えたハウジング(23)を配設し、そのハウジング(23)を、前記集中配線部(24)が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能に設けつつ、該ハウジング(23)の回動が前記第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で、前記給排ポート(21)が設けられる側面と同じ側面の方から前記ハウジング(23)の内部へ挿通されるねじ(31)によって回動不能に固定されるとともに、前記ブロック(3)には、前記ハウジング(23)の第1の位置と第2の位置とにそれぞれ対応し、各位置においてハウジング(23)の回動を規制する規制部(22d,22e)を設けたことを特徴とする電磁弁マニホールド。
【請求項4】 複数の給排ポート(21)と、各給排ポート(21)からの流体の供給を制御するべく各給排ポート(21)に対応して設けられた電磁弁(18a,18b)とを備えたバルブブロック(2)を複数並設し、そのバルブブロック(2)列に更に並設されたコネクタブロック(3)に収容部(22a)を凹ませるように設け、その収容部(22a)内に、前記各電磁弁(18a,18b)からの配線コード(20a,20b)が接続される集中配線部(24)を備えたハウジング(23)を配設した電磁弁マニホールドにおいて、
前記ハウジング(23)を、前記集中配線部(24)が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能に設けつつ、該ハウジング(23)の回動が前記第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で、前記給排ポート(21)が設けられる側面と同じ側面の方から前記ハウジング(23)の内部へ挿通されるねじ(31)によって回動不能に固定されるとともに、前記ブロック(3)には、前記ハウジング(23)の第1の位置と第2の位置とにそれぞれ対応し、各位置においてハウジング(23)の回動を規制する規制部(22d,22e)を設けたことを特徴とする電磁弁マニホールド。」

2.引用刊行物およびその記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願平2-119812号(実開平4-77073号)のマイクロフィルム(以下、「第1引用例」という。)には電磁弁組立体の給電装置に関して、第1図、第2図とともに以下の記載がある。
A)「本考案の電磁弁組立体の給電装置は、マニホールドベース上に、複数個の電磁弁を、電磁部をマニホールドベースの前面から突出させて設置した電磁弁組立体において、上記マニホールドベースの長手方向端に連設した給排気ブロックが、マニホールドベースと略同形の連設面を有し、前面に側方が開口する端子箱を、上面に上方が開口する端子箱をそれぞれ備え、給電線によって複数の電磁部と電気的に接続する多数のピンを有する多極コネクタを、上記2つの端子箱に付け替え可能に構成した」(第3頁4〜14行)
B)「レール5に沿って複数個のマニホールドブロック6,‥を連接したマニホールドベース1、該マニホールドベース1長手方向端に連設する給排気ブロック2、及び電磁弁3,‥を備え、マニホールドブロック6,‥と給排気ブロック2の連設面は略同形で、マニホールドブロック6の上面に上記電磁弁3が電磁部3aをその前面から突出させた状態で設置され、前面に配線箱15,‥が取付けられる。」(第4頁11行〜第5頁1行)
C)「マニホールドブロック6,‥と給排気ブロック2は、連設により相互に連通する圧力流体の供給流路13及び排出流路14a,14bを備え、各マニホールドブロック6の弁設置面に、電磁弁3の各ポートに連通する供給口、2個の出力口及び排出口が開口し、供給口と2個の排出口は通路によって上記供給流路13と排出流路14a,14bにそれぞれ連通し、2個の出力口は、弁設置面と直交する面に開設した出力ポート(図示省略)にそれぞれ連通している。また、給排気ブロック2の供給流路13と排出流路14a,14bは、通路によって圧力流体の供給ポートPと排出ポートRに連通している」(第5頁10行〜第6頁3行)
D)「上記給排気ブロック4(「給排気ブロック2」の誤記と認める。)には、前面に側方が開口する端子箱17が、上面に上方が開口する端子箱18がそれぞれ取付けられており、多極コネクタ19は、端子箱17と18の各開口に付け替え可能に構成され、そのピン20,‥は、端子箱17,18と配線箱15,‥を通るフラットケーブル(給電線)21を介して配線箱15に取付けた給電端子(図示省略)に接続され、マニホールドブロック6に電磁弁3を設置すると、その受電端子3bが給電端子に接続される。そして、多極コネクタ19が端子箱17に取付けられたときは端子箱18の開口はカバー(図示省略)で閉鎖され、端子箱18に、箱の側板22とともに取付ねじ23,23で取付けられたときは、端子箱17の開口はカバー24で閉鎖される。」(第6頁5〜18行)
E)「多極コネクタ19を、2つの端子箱17,18に付け替え可能としたので、1個の多極コネクタ19によって電磁弁組立体に2方向から選択的に給電することができる。」(第7頁15〜18行)

上記B)、C)の記載からみて、上記第1引用例の電磁弁組立体は、複数個のマニホールドブロック6を連接したマニホールドベース1と、該マニホールドベース1の長手方向端に連設した給排気ブロック2と、各マニホールドブロック6の上面に設置された電磁弁3とを備えた電磁弁マニホールドであって、各電磁弁3は各マニホールドブロック6の供給口、2個の出力口及び排出口に連通するポートを備え、各マニホールドブロック6の供給口と2個の排出口は、給排気ブロック2に形成した圧力流体の供給ポートPと排出ポートRにそれぞれ連通しているものと認める。そして残りの2個の出力口は、マニホールドベース1の弁設置面と直交する面に開設した出力ポートに、各電磁弁3毎に連通しているものと認められるから、これらは電磁弁3によって供給を制御される流体の出力口であるものと認められる。したがって、マニホールドベース1は、複数の出力ポートと、各出力ポートからの流体の供給を制御するべく各出力ポートに対応して設けられた電磁弁3とを備えているものと認める。
また、上記A)、D),E)の記載からみて、給排気ブロックの前面と上面には、側方が開口する端子箱17と上方が開口する端子箱18がそれぞれ設けられ、各電磁弁3からの給電線21が接続される多極コネクタ19が、設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で、上記2つの端子箱17,18に付け替え可能に構成されているものと認める。
したがって、上記第1引用例には、
「複数の出力ポートと、各出力ポートからの流体の供給を制御するべく各出力ポートに対応して設けられた電磁弁3とを備えた電磁弁マニホールドにおいて、
電磁弁マニホールド本体に給排気ブロック2を設け、その給排気ブロック2に、前記各電磁弁3からの給電線21が接続される多極コネクタ19を備えた端子箱17,18を配設し、前記多極コネクタ19が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で、2つの端子箱17,18に付け替え可能に構成される電磁弁マニホールド。」
の発明が記載されている。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平3-190072号公報(以下、「第2引用例」という。)には多接点コネクタに関して、第1図〜第9図とともに以下の記載がある。
F)「従来のこの種のコネクタは、接点の方向とコネクタを固定するピンの突出方向とがそれぞれ一定の方向であったため、接続されるケーブルの引出し方向・・・が一方に固定されてしまい、方向を変えるときはアダプタを用いるかブラケットを用いてコネクタの装着方向を変えてやる必要があった。」(第1頁左下欄19行〜右下欄4行)
G)「本発明の多接点コネクタ2は、多数の接点3‥を備えたコネクタの接点ハウジング5とピンハウジング6とを接点3‥の配列長手方向と平行な軸7まわりに回動可能かつ回動角を固定可能に連結したものである。接点ハウジング5とピンハウジング6とを回動可能かつ回動角を固定可能に連結する構造としては、両ハウジング5、6を枢着軸7部分でネジ18により締結する構造・・・を採用できる。」(第2頁左上欄12行〜右上欄4行)
H)「ケーブル・・・の装着方向を異なる方向にしたいときは、ピンハウジング6と接点ハウジング5との固定を解いて回動させる・・・ことにより、接点ハウジング5を所望の方向に向け、該方向で接点ハウジング5を固定すればよい。」(第2頁右上欄11〜16行)
I)「第1図はこの発明のコネクタの一実施例の外観を示す図で、1はプリント配線板、2はこの発明のコネクタ、3‥は接点、4‥はリードピン、5は接点3‥を保持している接点ハウジング、6はリードピン4‥を保持しているピンハウジング、7は接点ハウジング5とピンハウジング6を回動自在に連結している枢着軸、8は接点ハウジング5とピンハウジング6の回動角を固定する回り止めキーである。コネクタ2は、リードピン4‥をプリント配線板1の配線パターンにハンダ付けして固定されており、接点3‥側に図示しないフラットケーブル・・・が接続される。
第2図ないし第5図は、接点3‥とリードピン4‥の基端相互の接続構造の例を示したものである。第2図のものは、可撓性のある細い撚り線10で接点3の基端とリードピン4の基端をつないだもので、撚り線10と接点3及びリードピン4とは、ハンダ付け11等で接続されている。」(第2頁左下欄3行〜右下欄1行)
J)「第6図のものは、接点ハウジング5の一端をピンハウジング6の一方のブラケット15にストレートピン16で枢着し、接点ハウジング5の他端と他方のブラケット17とをネジ18で枢着したもので、ネジ18を緩めることによって接点ハウジング5が回動可能となり、ネジ18を締めることによって接点ハウジング5が固定されるようにしたものである。」(第3頁左上欄11〜18行)

上記F)〜J)の記載からみて、上記第2引用例の多接点コネクタは、プリント配線板1にリードピン4をハンダ付けしてピンハウジング6を固定し、そのピンハウジング6にリードピン4からの撚り線10が接続される多数の接点3を備えた接点ハウジング5を配設し、前記接点ハウジング5が、所望の方向(所望の方向であるから、前記接点3が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた位置も、それに当然含まれるものと認める。)に回動可能にピンハウジング6に保持されつつ、該接点ハウジング5の回動が任意の位置で、ピンハウジング6の側面の方から前記接点ハウジング5の内部へ挿通されているネジ18によって回動不能に固定され、これにより接続されるケーブルの引き出し方向を変えることができるようになっているものと認める。

3.本願発明と第1引用例に記載された発明との対比
本願発明と上記第1引用例に記載された発明とを対比すれば、上記第1引用例に記載された発明の「出力ポート」、「電磁弁3」、「給電線21」、「多極コネクタ19」は、それぞれ本願発明の「給排ポート(21)」、「電磁弁(18a,18b)」、「配線コード(20a,20b)」、「集中配線部(24)」に相当しており、さらに、上記第1引用例に記載された発明の「端子箱17,18」は、多極コネクタ19を備える部分である限りにおいて本願発明の「ハウジング(23)」に対応しており、同じく「給排気ブロック2」は、該端子箱17,18を配設する機能を備える限りにおいて本願発明の「ブロック(3)」に対応している。
したがって、本願発明と上記第1引用例に記載された発明は、
「複数の給排ポートと、各給排ポートからの流体の供給を制御するべく各給排ポートに対応して設けられた電磁弁とを備えた電磁弁マニホールドにおいて、
電磁弁マニホールド本体にブロックを設け、そのブロックに、前記各電磁弁からの配線コードが接続される集中配線部を備えたハウジングを配設した電磁弁マニホールド。」
である点で一致し、以下の相違点で相違している。
<相違点>
本願発明の電磁弁マニホールドは、ブロック(3)を凹ませるように設けられた収容部(22a)内に、集中配線部(24)を備えた1個のハウジング(23)が収容され、該ハウジング(23)が、前記集中配線部(24)が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能となっており、該ハウジング(23)の回動が第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で、給排ポート(21)が設けられる側面と同じ側面の方からハウジング(23)の内部へ挿通されているねじ(31)によって回動不能に固定されるのに対し、上記第1引用例の電磁弁マニホールドは、給排気ブロック2に2つの端子箱が配設され、多極コネクタ19を、設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で2つの端子箱17,18に付け替え可能に構成したものであって、多極コネクタ19を備えた1個の端子箱が、給排気ブロック2を凹ませるように設けられた収容部内に、多極コネクタ19が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能となるように収容されたものでなく、また、端子箱が、出力ポートが設けられる側面と同じ側面の方から端子箱の内部へ挿通されているねじによって任意の位置で回動不能に固定されるものでもない点。

4.相違点の検討
第2引用例には、多接点コネクタ(多極コネクタと同じ。)を有する装置において、接続されるケーブルの引き出し方向を変えることができるようにするために、該装置にピンハウジングを固定し、多数の接点を備えた1個の接点ハウジングを、該接点が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた位置とを含む所望の方向に回動可能になるようにピンハウジングに保持し、該接点ハウジングの回動を任意の位置で、ピンハウジングの側面の方から前記接点ハウジングの内部へ挿通されているネジによって回動不能に固定する発明が記載されている。そして第2引用例の発明は、多極コネクタを、接続されるケーブルの引き出し方向を変えることができるように装置に設置する技術である点で第1引用例の発明と共通するから、この発明を第1引用例の発明の多極コネクタに適用することには格別な困難性が認められない。
しかも、多極コネクタを接点の方向が変更可能となるように装置に取り付けるとき、装置に多極コネクタの収容部を凹ませるように設け、その収容部内で多極コネクタが前記接点が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能になるように収容して、これによりスペースを省くことは、原査定で引用した特開昭58-153395号公報にもみられるように周知技術であり、さらに、多極コネクタの回動を任意の位置で固定するネジを設けるとき、これを操作が最も容易な位置に設けることは設計における常套手段であるから、第1引用例に記載された発明において、多極コネクタを、設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で2つの端子箱に付け替え可能に構成する代わりに、多極コネクタ19を備えた1個の端子箱を、給排気ブロック2に凹ませるように設けられた収容部内に、多極コネクタ19が設置面に対してほぼ垂直方向を向いた第1の位置と、設置面に対してほぼ水平方向を向いた第2の位置との間で回動可能となるように収容して、これを、操作が最も容易な位置である出力ポートが設けられる側面と同じ側面の方から端子箱の内部へ挿通されているねじによって、任意の位置で回動不能に固定することは、第1引用例に記載された発明に、第2引用例に記載された発明と上記周知技術を適用することにより、当業者が容易に行うことができたものである(審判請求人は、平成13年5月28日付けの審判請求書の補正書で、特開昭58-153395号公報のものは、コネクタ9を直立させて接続可能状態とすると、オーディオ機器の上面からコネクタ9が突出してしまい、収容部内での回動は達成できない、と主張しているが、上記のものにおいて、オーディオ機器の上面から突出するのはコネクタ9のターミナルの部分だけであるから、この点において、集中配線部(24)が突出する本願発明のものと何ら異なるものではない。)。

そして、本願発明が奏する作用効果は、第1引用例、第2引用例に記載された発明と上記周知技術に示唆された事項から予測される程度以上のものではない。
したがって、本願発明は、第1引用例に記載された発明に、第2引用例に記載された発明と上記周知技術を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上詳述したとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記第1引用例に記載された発明と第2引用例に記載された発明とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、このような進歩性を有しない発明を包含する本願は、特許請求の範囲の請求項2〜4に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-06-03 
結審通知日 2003-06-10 
審決日 2003-06-25 
出願番号 特願平9-337035
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 哲男稲垣 浩司  
特許庁審判長 八日市谷 正朗
特許庁審判官 鈴木 久雄
ぬで島 慎二
発明の名称 電磁弁マニホールド  
代理人 恩田 博宣  

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