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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04F
管理番号 1081353
異議申立番号 異議2002-72101  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-04-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-23 
確定日 2003-05-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3277248号「配線用フロアーパネルのボーダブロック」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3277248号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3277248号の発明についての出願は、平成8年9月30日に出願され、平成14年2月15日にその発明についての特許権の設定登録がなされ、その後、江井浩孝より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年3月10日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成15年3月10日付けの訂正請求に係る訂正事項は、以下のとおりである。

a.明細書の「特許請求の範囲」の欄を下記の通り訂正する。
「【請求項1】
配線を収容して隠蔽するために敷設されたフロアーパネルの敷設床面や壁面との間に生じた隙間部分に、嵌込んで使用するためのボーダブロックであって、
ブロック本体は、支持板の裏面に、複数のリブ柱を、所定の間隙を保持して、縦横に格子状に配列して突設するとともに、支持板の上面には、上記間隙に対応した切込み溝を形成し、
この切込み溝は、異なる寸法の枡目が形成されるように断面V字状に形成され、上記リブ柱を枡目に対応して突設させており、
上記切込み溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用するようにした、配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項2】
請求項1において、上記リブ柱は、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものよりも大きい寸法に形成されている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項3】
請求項2において、上記リブ柱は、ブロック本体の上面に形成される枡目が大きいものには、大きいリブ柱が形成され、枡目の小さいものには、小さいリブ柱が形成された構造となっている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、上記リブ柱は、X字状に形成されている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、ブロック本体は、その支持板の裏面には、リブ柱が突設されていない隙間によって形成された配線挿通路を設けている構造としている配線用フロアーパネルのボーダブロック。」

b.明細書の段落[0007]の「埋め合わせ材として使用される」を「埋め合わせ材として、切込み溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用される」と訂正する。

c.明細書の段落[0013]を削除する。

d.明細書の段落[0014]の「したがって、このボーダブロックでは、小さい隙間に対しては、ブロック本体の周囲から切り取って行けばよいので、容易に対応でき、作業性がよい。請求項3の」を「請求項2の」と、「基本構造に、更に請求項2において引用されているリブ柱を」を「基本構造に、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものより大きい寸法に形成されているリブ柱を」と訂正する。

e.明細書の段落[0015]の「請求項4の」を「請求項3の」と訂正する。

f.明細書の段落[0017]の「請求項5の」を「請求項4の」と、「請求項1〜4の」を「請求項1〜3の」と訂正する。

g.明細書の段落[0018]の「請求項6の」を「請求項5の」と、「請求項1〜5の」を「請求項1〜4の」と訂正する。

h.明細書の段落[0038]の「請求項2、3の」を「請求項2の」と訂正する。

i.明細書の段落[0039]の「請求項4の」を「請求項3の」と訂正する。

j.明細書の段落[0040]の「請求項5の」を「請求項4の」と訂正する。

k.明細書の段落[0041]の「請求項6の」を「請求項5の」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、あるいは、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記訂正事項b〜kは、訂正事項aに整合させたものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜5に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2.(1)訂正事項a.参照。以下、請求項1〜5に係る発明をそれぞれ「本件発明1」〜「本件発明5」という。)

(2)引用刊行物に記載された発明
当審が平成14年12月16日付けで通知した取消理由において引用した本件出願前に頒布された刊行物1及び2には、それぞれ以下の事項が記載されている。
ア.刊行物1:特開平5-18095号公報(甲第3号証。)
上記刊行物1には、床面配線施工法に関する発明について以下のように記載されている。
「本発明によって床面配線を施工するには、図2の(イ)に示すように、床面上に上記配線用パネルを床面中央部から周辺部に向かって敷き詰めていく。」(段落【0014】)
「図2の(ロ)において、42は最終的に残った幅がA/2以下の床面周辺スペースを示し、寸法出しを容易に行い得るプラスチック製スペーサーを、その最終スペースの幅に合わせて切断し、図2の(ハ)に示すようにその寸法出したスペーサーA’,B’,・・・B”をその最終スペース42に嵌め込んでいく。このスペーサーには、横幅が一定で縦幅を切断用溝での切断によって容易に所定縦幅に寸法出しできる電線挿通用のスペーサーAと横幅並びに縦幅とも切断用溝での切断によって容易に寸法出しできるスペーサーBとが用いられる。」(段落【0016】)
「図4の(イ)はスペーサーBの平面図を、図4の(ロ)は図4の(イ)におけるロ-ロ断面図をそれぞれ示し、プラスチック製であり、複数本の横方向溝72,・・・並びに複数本の縦方向溝71,・・・を有し、選択した横方向切断用溝での切断によって縦幅を所定幅に寸法出しでき、選択した縦方向切断用溝での切断によって横幅を所定幅に寸法出しできる。」(段落【0018】)
そして、【図4】には、縦方向溝と横方向溝で異なる寸法の枡目が形成されることが記載されている。
上記記載を含む刊行物1全体の記載、そして、配線用パネルは配線を収容して隠蔽するものであり、床面周囲には壁が形成されることは明らかであるり、選択した切断用溝での切断によって1つまたは複数の枡目を切り取って使用することは明らかであるから、刊行物1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「配線を収容して隠蔽するために敷設された配線用パネルの壁面との間に生じた隙間部分に、嵌込んで使用するためのスペーサーであって、
スペーサー本体は、上面に溝を形成し、
この溝は、異なる寸法の枡目が形成されるように形成されており、
上記溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用するようにした、配線用パネルのスペーサー。」

イ.刊行物2:実願昭58-105615号(実開昭60-11946号)のマイクロフィルム
上記刊行物2には、建物用床板に関する発明について以下のように記載されている。
「1 板体とその隅部に設けられた脚部とからなる建物動用床板において、板体(1)に切断講(3)を設けて複数に分画して分画部(4)を形成し、各分画部(4)間及び各分画部の隅部に形成された脚部(2)間を切離し可能に連結してなることを特徴とする建物用床板。」(実用新案登録請求の範囲)
「板体(1)に切断溝(3)を設けて複数に分画して分画部(4)を形成している。各分画部(4)にはその隅部に脚部(2)が設けられている。そして分画部(4)間は切離し可能に連結している。この連結は種々の方法によることができ、その例を第3図〜第10図に示した。第3図の例は、板体(1)の分画部(4)(4)間及び脚部(2)(2)間の切断構(3)内に薄肉部(5)を設けている。薄肉部(5)は連続的又は間欠的に設ける。」(第3頁第1〜10行)
「第7図〜第10図に示したのは脚部で連結しないで切断溝(3)の部分で連結した例である。第7図の例は切断講(3)が完全には切断されず薄い状態で連結されている。」(第4頁第3〜6行)
「各分画部間を切断溝(3)部分で分離させたり屈曲させる。」(第4頁第18〜19行)
そして、第2図には、板体1の裏面に複数の脚部2を所定の間隙を保持して縦横に格子状に配列するとともに、切断溝3は分画部を形成し、脚部2は分画部4に対応して突設されていることが記載され、第7図には、板体1の上面に脚部2間の間隙に対応して溝が形成されていることが記載されている。
上記記載を含む刊行物2全体の記載から、刊行物2には、次の発明が記載されているものと認められる。
「板体1の裏面に、複数の脚部2を、所定の間隙を保持して、縦横に格子状に配列して突設するとともに、板体1の上面には、上記間隙に対応した溝を形成し、上記脚部を溝で形成された分画部に対応して突設させている建物用床板。」

(3)対比、判断
(a)本件発明1について
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「配線用パネル」及び「スペーサー」は、それぞれ本件発明1の「フロアーパネル」及び「ボーダブロック」に相当し、切り込み溝は溝であるから、両発明は、
「配線を収容して隠蔽するために敷設されたフロアーパネルの壁面との間に生じた隙間部分に、嵌込んで使用するためのボーダブロックであって、
ブロック本体は、上面に溝を形成し、
この溝は、異なる寸法の枡目が形成されるように形成されており、
上記溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用するようにした、配線用フロアーパネルのボーダブロック。」
の点で一致しており、以下の点で相違している。

相違点:ブロック本体に関して、本件発明1が、支持板の裏面に、複数のリブ柱を、所定の間隙を保持して、縦横に格子状に配列して突設するとともに、支持板の上面には、上記間隙に対応した切込み溝を形成し、上記リブ柱を断面V字状の切り込み溝で形成された枡目に対応して突設させているのに対し、刊行物1記載の発明は、そのような構成になっていない点。

上記相違点に関し検討する。
刊行物2には、支持板(板体1が相当する。)の裏面に、複数の柱(脚部が相当する。)を、所定の間隙を保持して突設するとともに、支持板の上面には、上記間隙に対応した溝を形成し、上記柱を溝で形成した枡目(分画部が相当する。)に対応して突設させている建物用床板が記載されており、柱をリブ柱とする点は周知技術(例えば、実願昭62-95143号(実開昭64-10140号)のマイクロフィルム(甲第1号証)、実願昭58-138671号(実開昭60-44947号)のマイクロフィルム(甲第2号証)、特開平8-28009号公報(甲第4号証))であり、溝をV字状の切り込み溝とする点は単なる設計事項であり、さらに刊行物1記載の発明も刊行物2記載の発明もいずれも溝で分割して敷設される床材の点で共通するから、刊行物2記載の発明を刊行物1記載の発明に適用し、本願発明1の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本件発明1の構成によってもたらされる効果も、刊行物1、2記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測しうる程度のものである。

(b)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を引用し、本件発明1の構成を「リブ柱は、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものよりも大きい寸法に形成されている」と技術的に限定したものであるので、この限定した事項について検討する。
中央に突設されたリブ柱の寸法が、その外周に突設されたものよりも大きい寸法に形成される点は、単に柱寸法を変更したにすぎず、当業者が容易になし得る程度の事項であり、この点で格別の効果を奏するものではない。

(c)本件発明3について
本件発明3は、本件発明2を引用し、本件発明2の構成を「リブ柱は、ブロック本体の上面に形成される枡目が大きいものには、大きいリブ柱が形成され、枡目の小さいものには、小さいリブ柱が形成された構造となっている」と技術的に限定したものであるので、この限定した事項について検討する。
枡目の大きさに合わせてリブ柱の大きさを寸法変更することは当業者が容易になし得る程度の事項であり、この点で格別の効果を奏するものではない。

(d)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1〜3のいずれかを引用し、本件発明1〜3の構成を「リブ柱は、X字状に形成されている」と技術的に限定したものであるので、この限定した事項について検討する。
リブ柱をX字状に形成することは周知技術(例えば、実願昭62-95143号(実開昭64-10140号)のマイクロフィルム、特開平8-28009号公報)であり、該技術を適用し、本件発明4の上記限定事項に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本件発明4の構成によってもたらされる効果も、刊行物1、2記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測しうる程度のものである。

(e)本件発明5について
本件発明5は、本件発明1〜4のいずれかを引用し、本件発明1〜4の構成を「ブロック本体は、その支持板の裏面には、リブ柱が突設されていない隙間によって形成された配線挿通路を設けている構造としている」と技術的に限定したものであるので、この限定した事項について検討する。
支持板の裏面のリブ柱が突設されていない隙間を配線挿通路とすることは周知技術(例えば、実願昭62-95143号(実開昭64-10140号)のマイクロフィルム)であり、該技術を適用し、本件発明5の上記限定事項に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本件発明5の構成によってもたらされる効果も、刊行物1、2記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測しうる程度のものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件発明1〜5は、その出願日前に頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜5についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
したがって、本件発明1〜5についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
配線用フロアーパネルのボーダブロック
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を収容して隠蔽するために敷設されたフロアーパネルの敷設床面や壁面との間に生じた隙間部分に、嵌込んで使用するためのボーダブロックであって、
ブロック本体は、支持板の裏面に、複数のリブ柱を、所定の間隙を保持して、縦横に格子状に配列して突設するとともに、支持板の上面には、上記間隙に対応した切込み溝を形成し、
この切込み溝は、異なる寸法の枡目が形成されるように断面V字状に形成され、上記リブ柱を枡目に対応して突設させており、
上記切込み溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用するようにした、配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項2】
請求項1において、上記リブ柱は、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものよりも大きい寸法に形成されている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項3】
請求項2において、上記リブ柱は、ブロック本体の上面に形成される枡目が大きいものには、大きいリブ柱が形成され、枡目の小さいものには、小さいリブ柱が形成された構造となっている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、上記リブ柱は、X字状に形成されている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、ブロック本体は、その支持板の裏面には、リブ柱が突設されていない隙間によって形成された配線挿通路を設けている構造としている配線用フロアーパネルのボーダブロック。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線を収容して隠蔽するために敷設されたフロアーパネルの隙間部分に、嵌込んで使用するための配線用フロアーパネルのボーダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスのOA化が進んだ近時においては、オフィスの床面に通信線やOA機器の配線が露出しないようにフロアーパネルを敷設することが広く行われているが、このようなフロアーパネルは規格のサイズに形成されているため、床面に敷設した際には、必ず隙間を生じてしまう。そのため、フロアーパネルどうしの間やフロアーパネルと壁面との間に生じた隙間には、フロアーパネルと同じ高さ寸法のボーダブロックが使用されている。
【0003】
図12や図13は、従来公知のボーダブロックを示している。
【0004】
このボーダブロックcは、フロアーパネルと同じ合成樹脂で形成されており、底部を開口dさせ、底面まで達する程度の深い溝eを形成して薄肉連結部bで連結した、同じ寸法の凸部aを、上面fに支持部として形成した構造となっており、床面の不陸に対応して変形して対応できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造のものでは、支持部となる上面fの凸部aは、同じ寸法に形成されているため、床面の不陸に十分に対応させようとすれば、全体として薄肉となって床面に対して十分な荷重に耐えられず、また十分な荷重に耐えられるようにするため、上面fの凸部aの部分のみを肉厚にすれば、全体として重量になってしまい、形成も困難になるなどの問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の問題を解消し、フロアーパネルと柱又は壁面等との間の間隙に合致した寸法に容易に切断して使用することができてフロアーパネル設置面や壁面との間に生じた隙間に嵌め入れることができて作業性がよく、床面の荷重も十分に支持することができ、床の不陸に対しても適度に変形させて対応することがでる。外観上も優れた配線用フロアーパネルのボーダブロックを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、請求項1の配線用フロアーパネルのボーダブロックは、配線を収容して隠蔽するために敷設されたフロアーパネルの敷設床面や壁面との間に生じた隙間部分に、嵌込んで使用するためのボーダブロックであって、ブロック本体は、支持板の裏面に、複数のリブ柱を、所定の間隙を保持して、縦横に格子状に配列して突設するとともに、支持板の上面には、上記間隙に対応した切込み溝を形成しており、この切込み溝は、異なる寸法の枡目が形成されるように断面V字状に形成されるとともに、上記リブ柱を枡目に対応して突設した構造としており、フロアーパネルを敷設した床面の一部に形成された隙間の埋め合わせ材として、切込み溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用される。
【0008】
このようなボーダブロックによれば、その上面にV字状の切込み溝を形成し、床面に突設させた支持リブどうしの間隙に応じて形成しているので、切断が容易であり、ブロック本体の上面に形成されたV字状の切込み溝によって区画される枡目には、必ずリブ柱が存在する。
【0009】
そのため、ブロック本体の底面を見なくても、床面の隙間に応じた枡目を切り取れば、そのままリブ柱の存在する隙間補填材として使用できるため、作業性がよい。
【0010】
ここに、リブ柱は、隣接するものどうしの間隙を適度にとれば、方形、三角形、井桁など支持柱として望ましい任意の形状に形成される。
【0011】
ブロック本体の底面は開口させて軽量化を図っているが、その内部にはリブ柱を所定間隔で突設して形成しているので、床面の荷重は十分に支持できる。
【0012】
更に、このようなボーダブロックは、合成樹脂の一体成型品として製造できるので、安価に提供できる。
【0014】
請求項2の配線用フロアーパネルのボーダブロックは、請求項1の基本構造に、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものより大きい寸法に形成されているリブ柱を備えた構造になっているので、両者の作用と効果が同時に得られる。
【0015】
請求項3の配線用フロアーパネルのボーダブロックは、上記リブ柱は、ブロック体の上面に形成される枡目が大きいものには、大きいリブ柱が形成され、枡目の小さいものには、小さいリブ柱が形成された構造となっている。
【0016】
このボーダブロックでは、床面の不陸の影響が大きい面積の大きい個所に対しては、大きい枡目に対応した大きい寸法のリブ柱で支持し、リブ柱どうしの間隙を十分に確保して、床の不陸に対して変形しやすい構造になっており、また、床面の不陸の影響の少ない面積の小さい個所に対しては、小さい枡目に対応した小さい寸法のリブ柱で支持している。
【0017】
請求項4の配線用フロアーパネルのボーダブロックは、請求項1〜3のいずれかにおいて、下記リブ柱をX字状に形成している。このようなリブ柱をX字状に形成したものでは、成型樹脂量を少なくして構造的にも強く、軽量化を図れる。また、リブ柱どうしの間隙も十分に採ることができるので、床の不陸に対しても、ブロック本体を適度に変形させて対応することができる。
【0018】
請求項5の配線用フロアーパネルのボーダブロックは、請求項1〜4のいずれかにおいて、支持板の裏面には、リブ柱が突設されていない隙間を形成し、その部分を配線挿通路に形成した構造としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る配線用フロアーパネルのボーダブロックについて、図を参照しつつ説明する。
【0020】
このボーダブロック1は、図8に示すように、通信線やOA機器などの配線Hを収容して隠蔽するために敷設されたフロアーパネルFの敷設床面Uや壁部との間に生じた隙間部分S,Sに、嵌込んで埋め合わせ材として使用するものである。
【0021】
このボーダブロック1のブロック本体2は、図1〜図7に示すように、その開口させた底面の内部には、複数のX字状のリブ柱3a、3bを、所定の間隙4を保持して、縦横に格子状に配列して突設するとともに、上面には、間隙4に対応した切込み溝5を形成し、この切込み溝5には、異なる寸法の枡目が形成されるように断面V字状に形成された、リブ柱3a,3bを枡目に対応して突設した構造となっている。
【0022】
更に、X字状のリブ柱3a、3bは、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものよりも大きい寸法に形成されている。
【0023】
ブロック本体2の底面における長手方向2箇所に、H字状のリブ柱3cで区画されたリブ柱が突設されていない隙間6,6が形成されており、この隙間6,6に配線を通して施工することができるようになっている。
【0024】
そして、X字状のリブ柱3a、3bは、ブロック本体2の上面に形成される枡目7aが大きいものには、大きいX字状のリブ柱3aが形成され、枡目7bの小さいものには、小さいX字状のリブ柱3bが形成された構造となっている。
【0025】
このボーダブロック1は、フロアーパネルFの敷設床面Uや壁面との間に生じた隙間部分Sの大きさに対応して、所定寸法の大きさに、その切込み溝5を切断してから、隙間部分Sに嵌め込まれて使用する。
【0026】
ここで、上面の切込み溝5は、底面に突設したリブ柱3a、3b、3cどうしの間隙に応じて形成されているので、切断も容易であり、床面Uに生じた隙間部分Sに応じた寸法に容易に切断して使用できる。
【0027】
また、ブロック本体2の底面は、開口させて軽量化を図っているが、その内部には、X字状、H字状のリブ柱3a、3b、3cを所定間隔で突設して形成しているため、床面に加わる荷重は十分に支持できるようになっている。
【0028】
リブ柱は、任意の形状に形成されるが、図例のように、X字状に形成すれば、樹脂量を少なくして軽量化が図れる上に、リブ柱どうしの間隙を十分に採ることができるため、床の不陸に対しても、ブロック本体2を十分に変形させて対応することができる。
【0029】
また、このボーダブロック1は、ブロック本体2とリブ柱3a、3b、3cが一体に形成されているので、合成樹脂の一体成型品として製造できるので安価に提供することができる。
【0030】
また、図例のように、小さい枡目7aを周囲に形成しておけば、小さい隙間に対しては、ブロック本体2の周囲から切り取って行けばよいので、作業性がよい。
【0031】
図9〜図11は、別例のボーダブロック1Aを示しており、これにおいては、切込み溝5は、異なる寸法の枡目7a、7b、7cが形成されるように断面V字状に形成され、リブ柱3a、3b、3cを枡目に対応して突設している。
【0032】
この別例のボーダブロック1Aでは、ブロック本体2Aの上面に形成されたV字状の切込み溝5によって区画される枡目7a、7b、7cには、空隙部6,6を除いて、その底面に必ずリブ柱3a、3b、3cが存在するので、ブロック本体2Aの底面を見なくても、床面の隙間部分Sに応じた枡目7a、7b、7cを切り取れば、そのままリブ柱3a、3b、3cの存在する隙間補填材として使用できるので、作業性がよい。
【0033】
このものでは、ブロック本体2Aの上面を見て枡目7a、7b、7cがあれば、その枡目7a、7b、7cの裏には必ずリブ柱3a、3b、3cがあるので、その部分を抜き取れば、隙間補填材として使用できる。なお、枡目のない部分にはリブ柱がなく、隙間6,6になっており、リブ柱のない部分6,6には、配線を通して使用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の配線用フロアーパネルのボーダブロックによれば、ブロック本体の上面に形成された切込み溝を、底面に突設させたリブ柱どうしの間隙に応じて形成しているので、切断が容易であり、フロアーパネルを敷設した床面や壁面との間に生じた間隙に応じた寸法に切断して使用できる。
【0035】
また、軽量でありながら表面のブロック本体をリブ柱で頑丈に支持した状態で間隙に嵌め入れることができるので作業性がよく、床面の荷重も十分に支持することができる。
【0036】
更に、床の不陸に対しても適度に変形させて対応することができ、かつ外観上優れたものである。
【0037】
更に、ブロック本体の上面に形成されたV字状の切込み溝によって区画される枡目には、その底面に必ずリブ柱が存在するので、ブロック本体を裏返してその底面を見なくても、床面の隙間に応じた枡目を切り取ることによって、そのままリブ柱の存在する隙間補填材として有効に使用でき、作業性がよい。
【0038】
請求項2の配線用フロアーパネルのボーダブロックによれば、大きい寸法の枡目を中央にしてその周囲に小さい枡目を形成しているため、小さい枡目に対しては、ブロック本体の周囲から切り取って行けばよいので、作業性がよい。
【0039】
請求項3の配線用フロアーパネルのボーダブロックによれば、ブロック本体の上面に形成される大きい枡目の底面には、大きいリブ柱が形成され、小さい枡目の底面には小さいリブ柱が形成されているため、床面の不陸の影響が大きい面積の個所に対しては、大きい寸法のリブ柱で支持でき、かつリブ柱どうしの隙間を十分に確保して、床の不陸に対して変形しやすい構造となっており、更に、床の不陸を十分に吸収することができ、また、床面の不陸の影響の少ない面積の小さい個所に対しては、小さい寸法のリブ柱で支持することができるので、床面の不陸の大小に対応して使用することができる。
【0040】
したがって、床面の隙間の広い箇所には、大きいリブ柱で支持し、床面の隙間の小さい箇所には、小さいリブ柱で支持するので、支持板を薄肉に形成でき、全体として軽量化が図れ、床面の荷重にも十分に耐えられる。請求項4の配線用フロアーパネルのボーダブロックによれば、リブ柱は、X字状になっているため、樹脂量を少なくして軽量化が図れる。また、リブ柱どうしの間隙も十分に採ることができるので、床の不陸に対して、ブロック本体を十分に変形させて対応することができる。
【0041】
請求項5の配線用フロアーパネルのボーダブロックによれば、支持板の裏面には、配線挿通路が形成されているので、この配線挿通路に配線を通して施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配線用フロアーパネルのボーダブロックの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】ボーダブロックの平面図である。
【図3】ボーダブロックの正面図である。
【図4】ボーダブロックの底面図である。
【図5】ボーダブロックの図2におけるA-A線断面図である。
【図6】ボーダブロックの側面図である。
【図7】ボーダブロックの図2におけるB-B線断面図である。
【図8】床面に敷設されたフロアーパネルの隙間にボーダブロックを埋め合わせた状態の斜視図である。
【図9】他の例のボーダブロックの平面図である。
【図10】他の例のボーダブロックの正面図である。
【図11】他の例のボーダブロックの底面図である。
【図12】従来のボーダ材の一例を示す斜視図である。
【図13】図12のC-C線縦断面図である。
【符号の説明】
1,1A ボーダブロック
2,2A ブロック本体
3a、3b リブ柱
4 間隙
5 切込み溝
7a,7c,7c 枡目
F フロアーパネル
U 床面
S 隙間部分
 
訂正の要旨 a.特許請求の範囲の請求項1において、「突設させている配線用」とあるのを「突設させており、上記切込み溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用するようにした、配線用」と訂正する。
b.特許請求の範囲の請求項2を削除する。(クレーム対応表参照)

c.特許請求の範囲の請求項3を請求項2とする。
d.特許請求の範囲の請求項4を請求項3とし、「請求項2、3のいずれか」とあるのを「請求項2」と訂正する。
e.特許請求の範囲の請求項5を請求項4とし、「請求項1〜4のいずれか」とあるのを「請求項1〜3のいずれか」と訂正する。
f.特許請求の範囲の請求項6を請求項5とし、「請求項1〜5において」とあるのを「請求項1〜4のいずれかにおいて」と訂正する。
g.特許請求の範囲の請求項1の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、段落番号0007において、「埋め合わせ材として使用される」とあるのを「埋め合わせ材として、切込み溝に沿って1つまたは複数の枡目を切り取って使用される」と訂正する。
h.段落番号0013を削除する。
i.段落番号0014において、「したがって、このボーダブロックでは、小さい隙間に対しては、ブロック本体の周囲から切り取って行けばよいので、容易に対応でき、作業性がよい。請求項3の」とあるを「請求項2の」と、「基本構造に、更に請求項2において引用されているリブ柱を」とあるのを「基本構造に、その中央に突設されたものの寸法が、その外周に突設されたものより大きい寸法に形成されているリブ柱を」と訂正する。
j.段落番号0015において、「請求項4の」とあるのを「請求項3の」と訂正する。
k.段落番号0017において、「請求項5の」とあるのを「請求項4の」と、「請求項1〜4の」とあるのを「請求項1〜3の」と訂正する。
l.段落番号0018において、「請求項6の」とあるのを「請求項5の」と、「請求項1〜5の」とあるのを「請求項1〜4の」と訂正する。
m.段落番号0038において、「請求項2、3の」とあるのを「請求項2の」と訂正する。
n.段落番号0039において、「請求項4の」とあるのを「請求項3の」と訂正する。
o.段落番号0040において、「請求項5の」とあるのを「請求項4の」と訂正する。
p.段落番号0041において、「請求項6の」とあるのを「請求項5の」と訂正する。
異議決定日 2003-03-31 
出願番号 特願平8-259907
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (E04F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 七字 ひろみ  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 鈴木 憲子
長島 和子
登録日 2002-02-15 
登録番号 特許第3277248号(P3277248)
権利者 株式会社ライオン事務器
発明の名称 配線用フロアーパネルのボーダブロック  
代理人 中井 宏行  
代理人 中井 宏行  

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