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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) A63F
管理番号 1082075
審判番号 無効2000-35521  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-05-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-09-26 
確定日 2003-06-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2761843号発明「遊技設備」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2761843号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 (1)手続の経緯
本件特許第2761843号発明は、昭和62年5月27日に出願された特願昭62-130086号発明の一部を平成6年5月25日に特願平6-111363号として分割し、新たな出願としたものであって、平成10年3月27日に設定登録がなされ、その後、クリエイションカード情報システム株式会社より特許無効審判の申立てがなされ、訂正請求(平成13年1月15日付)がなされたものである。
(2)訂正の適否の判断
1.訂正の内容 (ア)特許請求の範囲を以下のとおりに訂正する。
【請求項1】所要の情報を記憶可能な情報記憶部を有する記憶媒体が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置と、記憶手段を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置とを備え、上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備において、 上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報を記憶させ、上記遊技装置には、上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段と、上記記憶媒体の金額情報を表示する金額情報表示手段と、上記記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段と、少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段と、を設け、上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなることを特徴とする遊技設備。
(イ)明細書の発明の詳細な説明の訂正
平成9年11月5日付手続補正書第5頁7行目〜10行目の「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報を上記管理装置へ送信する送信手段(例えばユニットメモリ170)を設け、」とあるのを、
「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段(例えばユニットメモリ170)を設け、」と訂正する。
(ウ)明細書の発明の詳細な説明の訂正
同手続補正書第24頁27行目〜29行目の「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、」とあるのを、
「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項(ア)は、特許請求の範囲に記載された「制御手段」に設けられた「送信手段」が管理装置へ送信する情報を、「記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報」に加えて、「遊技装置を特定する情報」を追加するもので、遊技装置の制御手段から管理装置へと送信される情報の内容をより具体的に明示するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当する。以上の事項は、明細書の第68頁第18行〜第69頁第4行目の段落【0179】並びに図39及び図40に記載されているものである。
また、訂正事項(イ)、(ウ)は、上記特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の詳細な説明の欄をそれと整合させるためのものであるので、明りょうでない記載の釈明に相当する。 そして、上記訂正事項(ア)、(イ)、(ウ)は新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は平成6年法改正前の特許法第134条第2項ただし書きの規定及び同法第134条第5項において準用する第126条第2、3項の規定に適合するものである。
(3)特許無効についての判断
1.請求の趣旨
(ア)第1の無効理由
本件発明は甲第1号証に記載された考案と同一であり、甲第1号証記載の考案の考案者は本件発明の発明者と同一でなく、しかも甲第1号証の出願人と本件発明の出願人とは同一の者でないから、本件発明は特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は無効とすべきである。
(イ)第2無効理由
本件発明に係る特許出願は、特願昭62-130086号を原出願とする分割出願であるが、その分割出願は不適法であるから、出願日は原出願の出願日(昭和62年5月27日)ではなく、分割出願の出願日(平成6年5月25日)である。したがって、本許発明は、その出願日が分割出願の出願日が繰り下がる結果、甲第1号証(実願昭61-80646号(実開昭62-192770号)のマイクロフィルム)に記載された考案と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、また、甲第1号証に記載された考案および甲第2号証(本件発明の原出願の公開公報・・特開昭63-292986号公報)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は無効とすべきである。
2.本件発明
訂正後の請求項1に係る発明を分説して記載すると、
(A)(A1)所要の情報を記憶可能な情報記憶部を有する記憶媒体が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置と、
(A2)記憶手段を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置とを備え、
(A3)上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる
遊技設備において、
(B)上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報を記憶させ、
(C)上記遊技装置には、
(C1)上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段と、
(C2)上記記憶媒体の金額情報を表示する金額情報表示手段と、
(C3)上記記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段と、
(C4)少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段と、
を設け、
(D)上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、
(E)上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなることを
(A)特徴とする遊技設備。
3.第2の無効理由について
(ア)本件特許発明の分割の適否
1)請求人の主張
本件特許明細書には、「上記実施例ではカードに識別符号(カード番号)のみを記憶させカードが保有すべき有価データは管理装置の側で管理するようにしているが、カードに識別符号とともに有価データを記憶させるようにしてもよい。」(甲第3号証第49頁第98欄第41〜45行)との記載もある。しかし、この記載は原出願の当初明細書には存在せず、本件発明が分割出願として特許出願されたとき(平成6年5月25日)に、本件特許明細書の段落番号【0330】【0331】の全体が追加されることによって加えられたものである。
そして分割出願時に追加された上記箇所以外には、記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させるようにしてもよい旨の記載はない。
以上の明細書の発明の詳細な説明の記載に基づくと、本件発明の構成要件C2,C3に記載された上記の「記憶媒体の金額情報を表示する・・・」「記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる・・・」における「記憶媒体の金額情報」は、以下の2つの意味に解釈することができる。
すなわち、原出願の当初明細書に明確に開示されている「カードには金額や持玉数は記録されない」ことに基づけば、「記憶媒体の金額情報」とは「記憶媒体に記憶された固有識別情報が読み取られ、その読み取られた固有識別情報に対応して管理装置に記憶されている記憶媒体の金額情報」であると解することができる。
一方、分割出願により追加された「カードに有価データを記憶させるようにしてもよい」との記載に基づけば、「記憶媒体の金額情報」は「記憶媒体に記憶されている金額情報」「記憶媒体から読み取られた金額情報」も含むと解することができる。
このように本件発明の構成要件C2,C3は、上記2つの解釈が可能な表現になっているから、上記2つの意味を含んでいると解さざるを得ない。
その結果、本件発明は、原出願の当初明細書には存在しない、分割出願により追加された事項をその要旨に含む発明であるから、本件特許出願は特許法第44条第2項本文の規定の適用を受けることができず、その出願日は分割出願が行われた平成6年5月25日である。
2)被請求人の主張
本件発明の発明の詳細な説明の【実施例】の欄には、カードには金額や持玉数が記録されない実施例が記載されているが(甲第3号証第3頁左欄第36行〜49行)、上記の実施例による場合は、請求人が主張するとおり、「記憶媒体の金額情報」とは「記憶媒体に記憶された固有識別情報が読み取られ、その読み取られた固有識別情報に対応して管理装置に記憶されている記憶媒体の金額情報」をいう。
そして、上記の実施例では、本件発明に係る遊技設備のうち、カードに金額や持玉数が記録されない実施例が記載されているにすぎず、この場合は、上述のように、「記憶媒体の金額情報」とは「記憶媒体に記憶された固有識別情報が読み取られ、その読み取られた固有識別情報に対応して管理装置に記憶されている記憶媒体の金額情報」のことをいうのである。
一方、本件発明の「上記実施例ではカードに識別符号(カード番号)のみを記憶させカードが保有すべき有価データは管理装置の側で管理するようにしているが、カードに識別符号とともに有価データを記憶させるようにしてもよい。」との記載は、原出願の発明の詳細な説明の【実施例】の欄には記載されていない。
しかし、原出願の当初明細書の特許請求の範囲には「・・・前記記憶媒体に保持された金銭と実質的に等価な第1の有価データ・・・」(甲第2号証第1頁左欄第9行〜11行)と記載されており、その文言どおり、記憶媒体(カード)には有価データが記憶されているものが記載されている。
したがって、上記の記載は、原出願の発明の詳細な説明の【実施例】の欄には記載されていないが、原出願の当初明細書の特許請求の範囲には明確に記載されているものである。
よって、「上記の記載が原出願の当初明細書には存在せず、本件発明が出願されたときに追加されることによって加えられたものである。」という請求人の主張は失当である。
すなわち、本許発明の構成要件C2,C3に記載された上記の「記憶媒体の金額情報を表示する…」「記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる…」における「記憶媒体の金額情報」は、その文言どおり、「記憶媒体に記憶されている金額情報」「記憶媒体から読み取られた金額情報」であるとともに、原出願の当初明細書の実施例に記載されているように、「記憶媒体に記憶された固有識別情報が読み取られ、その読み取られた固有識別情報に対応して管理装置に記憶されている記憶媒体の金額情報」をも含むものであることは明白である。
以上より、本件発明は、適法に分割された出願であって、請求人の不適法な分割出願である旨の主張は根拠のないものであり、到底認めることはできない。
3)当審の判断
確かに、本件発明の構成要件C2,C3に記載された上記の「記憶媒体の金額情報を表示する…」「記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる…」における「記憶媒体の金額情報」については、請求人、被請求人両者の主張通り二とおりの意味のものを含むと解することができるものと認められる。
しかし、上記被請求人の主張によれば、「原出願の当初明細書の特許請求の範囲には「・・・前記記憶媒体に保持された金銭と実質的に等価な第1の有価データ・・・」(甲第2号証第1頁左欄第9〜11行)と記載されており、その文言どおり、記憶媒体(カード)には有価データが記憶されているものが記載されている。」としているので、この原出願の記載について検討する。
原出願の特許請求の範囲には、
「自己の識別符号を記憶する記憶媒体を金額に対応して発行する記憶媒体発行装置と、前記記憶媒体の読取装置を有し、所定の有価価値により遊技が可能となり特定の状態の発生によって付加価値を遊技者に与えるようにされた遊技機と、前記記憶媒体に保持された金銭と実質的に等価な第1の有価データおよびこの第1の有価データから変換された遊技権利と実質的に等価な第2の有価データとを前記識別符号を用いて前記記憶媒体ごとに記憶する記憶手段を備えた管理装置」(甲第2号証第1頁第5〜14行)、
原出願の発明の詳細な説明には、
「この発明の目的は、遊技客が安心して高額のカードを購入することができ、これによって玉切れによる遊技中断の回数を減少させるとともに、カードコピーによる不正を防止することにある。」(甲第2号証第2頁左下欄第14〜17行)、
「本発明は、記憶媒体としてのカードには持玉数を記録する代わりに識別符号を記憶し、持玉数はこの識別符号を用いて管理装置内の記憶手段に記憶させるようにするとともに、カード購入に際しては購入金額を金額のまま払戻し可能な第1の有価データとして記録し、パチンコ機にはこの第1の有価データから持玉数と等価な第2の有価データに変換するための変換機能とその操作手段を設けるようにした。」(甲第2号証第2頁左下欄第19行〜右下欄第7行)、
「カード内に記憶されるのは有価データを呼び出すための識別符号であるので、カードコピーによる不正を防止するという上記目的を達成することができる。」(甲第2号証第3頁左上欄第8〜11行)、
と記載されている。
これらの記載、及び実施例等のその他の原出願の発明の詳細な説明の記載によれば、原出願の発明の詳細な説明には、カード内に記憶されている識別符号を使って、管理装置に記録されている購入金額や持玉数のデータを引き出し可能にしているもの以外の記載はなく、また、被請求人が主張するように特許請求の範囲が上記のようにカードに有価データが記憶されているとするように解釈できる記載はない。
してみると、上記原出願の当初明細書の特許請求の範囲に記載される文言は、原出願の発明の詳細な説明に記載されているような、カード内に記憶されている有価データを呼び出すために識別符号を使って、管理装置に記録されている購入金額や持玉数のデータを引き出し可能にしているものと解すること以外の解釈ができない以上、カード内に記憶されている識別符号は、管理装置に記憶媒体を特定させるためのものであるとともに管理装置に記録されている有価データを呼び出すためのものといわざるを得ない。即ち原出願の明細書におけるカード内に記憶されている識別符号は、有価データを呼び出すためのものとして記載されているのである。
そして、このように解することができる以上、上記原出願の当初明細書の特許請求の範囲の文言を、その発明の詳細な説明の記載を無視し、その文言のみをもって被請求人の主張通り記憶媒体(カード)に金額情報が記憶されているものであると解することはできない。
以上の点を考慮に入れて本件発明をみると、
「【発明の解決しようとする課題】従来、パチンコ遊技設備において各パチンコ機の稼働情報を収集する技術が提案されている。これによって、遊技店側は各パチンコ機の稼働情報を分析し、営業方針の決定に反映させることが可能になるという利点があった。一方、記憶媒体(カード)を用いた遊技設備においては、各パチンコ機の稼働情報の他に各記憶媒体の情報をも収集、記憶できると、遊技店側においてはさらに適切な営業方針を決定するのに貢献できることが明らかになった。・・・この発明の目的は、記憶媒体の情報記憶部に各記憶媒体に対応して固有の固有識別情報を記憶させ、当該固有識別情報に基づいて各記憶媒体の所要の情報を記憶手段に記憶媒体毎に記憶することができるようにして、遊技店の経営者が適切に営業方針を決定できるようにすることにある。」(段落【0005】〜【0011】)、
「【作用】本発明によれば、記憶媒体の情報記憶部に各記憶媒体に対応して固有の固有識別情報を記憶させ、遊技装置の記憶媒体読取手段において上記固有識別情報を読み取り可能とし、当該固有識別情報に基づいて各記憶媒体の所要の情報を管理装置の記憶手段に記憶媒体毎に記憶することができるようにして、記憶媒体の信憑性を向上させることにより不正記憶媒体の使用を未然に防止することができるとともに、記憶媒体の使用動向を把握することも可能となるため、遊技店の経営者が記憶手段に記憶されている記憶媒体の所要の情報を参照することによって、適切な営業方針を決定することも可能となる。」(段落【0016】、また、【発明の効果】の欄にも同様な記載がある)、
「上記実施例ではカードに識別符号(カード番号)のみを記憶させカードが保有すべき有価データは管理装置の側で管理するようにしているが、カードに識別符号とともに有価データを記憶させるようにしてもよい。」(段落【0331】)、等
の記載を分割出願時に加え、特許請求の範囲の記載を、
「記憶媒体の金額情報を表示する・・・」(構成要件C2)、「記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる・・・」(構成要件C3)とし、記憶媒体(カード)に金額情報が記憶されている場合をも含むと解することができるような記載とすることは、原出願の当初明細書に記載されていない事項を含むというべきであるので、本件特許出願は特許法第44条第2項の規定の適用を受けることができず、その出願日はその実際の出願日(平成6年5月25日)に繰り下がることになる。
4.刊行物記載の発明
上記のとおり本件出願の出願日が繰り下がると、請求人の提出した甲第1号証(実願昭61-80646号(実開昭62-192770号)のマイクロフィルム)及び甲第2号証(本件発明の原出願の公開公報・・特開昭63-292986号公報)は本件出願前公知のものとなる。
甲第1号証(実願昭61-80646号(実開昭62-192770号公報)のマイクロフィルム)は、本件特許発明の出願前である昭和61年5月28日に出願され、昭和62年12月8日に出願公開されたものである。
甲第1号証には、本件発明の上記構成要件A〜Eに関して、以下の記載がある。
構成要件Aに関して:第4頁第16〜18行に「ゲーム機に1対1で対応して設けられ、前記遊技券が挿入された状態でのみ対応するゲーム機を遊技可能状態に切換える記憶データ読取り装置。」とあり、第7頁第10〜12行に「上記遊技券9は、記憶媒体として例えば磁性体を利用した磁気カードによって構成されている。」、
第17頁第16〜20行に「記憶データ読取り装置13は、挿入された遊技券9の記憶残高金額及び識別コードを示す外部出力信号、並びに貸出パチンコ玉の価額を示す外部出力信号を順次発生するように構成されている。」、
第22頁第8〜16行には「以上述べた発券機1,記憶データ読取り装置13及び精算機21からの各外部出力信号は、第1図に示すように管理装置29に集中的に入力されるようになっている。この管理装置29は、発券機1の発券価額,玉貸機12による貸出価額及び精算機21による精算価額の集計及び記憶等を、各遊技券9に示された識別コード並びに内部時刻信号に基づいて各遊技券9毎(遊技客1人毎)に時間に対応させて行なう」と記載されている。
構成要件Bに関して:第9頁第9〜16行に「発券用磁気カードに対して、少なくとも当該パチンコホール独自の暗号コード、有効期限を示す例えば当日の日付、及び前述のように記憶した投入金額から所定の保証料G(例えば200〜500円)を差引いた金額、並びに当該磁気カード固有の識別コードを夫々含むデータを記憶させた遊技券9を作成する」と記載されている。
構成要件Cに関して:第12頁第8〜10行に「第4図にはパチンコゲーム機11,貸出機たる玉貸機12及び記憶データ読取り装置13の配置が示されており」、
第12頁第17〜20行に「各玉貸機12は2個ずつの操作部18を有し、その操作部18を各パチンコゲーム機11の上部にこれと1対1で対応させて配置している。」、
第13頁第17〜20行に「記憶データ読取り装置13は各パチンコゲーム機11に1対1で対応して設けられており、夫々パチンコゲーム機11の上部に位置されたカード挿入口19及び残高表示部20を有する。」と記載されている。
また、それらの動作に関しては、第15頁第1〜5行に「カード挿入口19に遊技券9が挿入された状態では、まず挿入された遊技券9を挿入状態に保持する(ステップB3)と共に、その遊技券9に記憶されたデータを読取る」とあり、第15頁第20行〜第16頁第1行に「その遊技券9の記憶残高金額を残高表示部20に表示させる」、
第16頁第9行〜第17頁第8行には「残高表示部20が表示動作を行なっている状態では、カード返却スイッチ18a及びセレクトスイッチ18b〜18dがオン操作されたか否かが判断され・・・カード返却スイッチ18aがオン操作されることなくセレクトスイッチ18b〜18dの何れかがオン操作されたときには、玉貸機12内の図示しないパチンコ玉供給機構を動作させて所定個数のパチンコ玉をパチンコ玉放出口15に放出する・・・具体的には、「100円」の表示が施されたセレクトスイッチ18bがオン操作された場合には、100円の価額に対応した数のパチンコ玉を放出させ、「200円」,「400円」の表示が施されたセレクトスイッチ18c,18dがオン操作された各場合には、夫々200円,400円の価額に対応した数のパチンコ玉を放出させる。」と記載されている。
構成要件Dに関して:第17頁第16〜20行に「記憶データ読取り装置13は、挿入された遊技券9の記憶残高金額及び識別コードを示す外部出力信号、並びに貸出パチンコ玉の価額を示す外部出力信号を順次発生するように構成されている。」と記載されている。
構成要件Eに関して:第22頁第8〜16行に「発券機1,記憶データ読取り装置13及び精算機21からの各外部出力信号は、第1図に示すように管理装置29に集中的に入力されるようになっている。この管理装置29は、発券機1の発券価額,玉貸機12による貸出価額及び精算機21による精算価額の集計及び記憶等を、各遊技券9に示された識別コード並びに内部時刻信号に基づいて各遊技券9毎(遊技客1人毎)に時間に対応させて行なう」とあり、
第26頁第5〜13行に「各遊技客の遊技結果、即ち各遊技客がどのパチンコゲーム機11でどの程度の利益を上げ若しくは損失を受けたか、或はそのパチンコゲーム機でどの程度の時間遊技したのかの追跡(但し、この場合にはパチンコホール用集中管理コンピュータ32において、各パチンコゲーム機11のアウト玉、セーフ玉等のデータ或いは時刻データと、カード挿入口20に挿入された遊技券9の識別コードとを突合わせて集計・記憶する必要がある)」と記載されている。
以上の記載によれば、甲第1号証には、(分説して記載)
a)a1)記憶残高及び識別コード等の情報を記憶可能な磁性体を有する遊技券9が挿入された状態でのみ対応するゲーム機と、
a2)発券機1の発券価額,玉貸機12による貸出価額及び精算機21による精算価額の集計及び記憶等を、各遊技券9に示された識別コード並びに内部時刻信号に基づいて各遊技券9毎(遊技客1人毎)に時間に対応させて行なう記憶手段を有する管理装置29とを備え、
a3)上記ゲーム機と上記管理装置29とが通信可能に構成されてなる
パチンコゲーム機11において、
b)上記遊技券には、少なくとも遊技券ごとに付与される固有の識別コードを記憶させ、
c)上記パチンコホール用貸出システムには、
c1)上記の情報を読み取り可能な記憶データ読取り装置13と、
c2)上記遊技券に記憶されている記憶残高金額を表示する残高表示部20と、
c3)上記遊技券に記憶されている記憶残高金額に基づいて所定個数のパチンコ玉に変換する手段と、
c4)少なくとも上記記憶データ読取り装置13を制御する手段と、
を設け、
d)上記記憶データ読取り装置13は、上記遊技券より読み取られた当該遊技券の固有の識別コード等を上記管理装置29へ外部出力信号として順次発生する手段を設け、
e)上記管理装置29は、上記遊技券の固有の識別コードの入力に基づいて各遊技券毎に時間に対応させて、価額の集計及び記憶等を行うように構成されてなることを
a)特徴とするパチンコホール用貸出システム。」(以下、「甲第1号証記載の発明」という。)、
甲第2号証は、本件発明の原出願の公開公報であるから、本件の分割出願時に付け加えられた技術的事項以外については本件発明と同じであり、特に第28頁右上欄第8行〜同左下欄第8行に、
「外部よりパチンコ機上部の制御ユニット160のカード挿排口161よりカードCDが挿入されると、カードリーダ180がカードの磁気面に記録されている情報を読み取って、先ずここで年月日と識別コード(店番号)を確認して、日付またはコードが一致しないときにはそのままカードを排出し、一致した場合にはカード番号をユニットコントローラ190へ転送する(S3101)。すると、ユニットコントローラ190はカード番号を受け取ってユニットメモリ170のコマンドレジスタCR1にカードが挿入されたことを示すコマンドを、また送信データエリアにカード番号を書き込む(S3102,S3103)。それから、データ伝送コントローラ551がヘッド部に“カードイン”なるメッセージを持ち、データ部にカード番号とアドレス(台番号、通し番号、チャネル番号)を入れた第22図に示すようなパケットを形成して送信し、NAU530がそれを受信して、高層ネットワーク用のヘッドを頭に付けて高層ネットワーク520上に送信する(S3104,S3105)。
管理装置400がNAU530からカード番号を受け取るとカード番号から発行通し番号nを算出し、主記憶装置M-MEM内のカードファイルFL3より、該当するカードのデータを読み取る・・・カードが適正なものと確認されると、カードファイルFL3とP機ファイルFL4・・・の更新、すなわちカード状態を「フリー状態」から「遊技中」に更新し、また、カードの所在する端末(パチンコ機)の台番号やカード番号を、該当するテーブルに書き込んだ後、カードの所在する端末(パチンコ機)の台番号やカード番号を、該当するテーブルに書き込んだ後、カードテキスト(金額、持玉数等)を付けて応答信号たる“ACK”パケットを送信する」と記載されている。
5.対比・判断
本件発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、
甲第1号証記載の発明の「ゲーム機」及び「パチンコゲーム機11」、「遊技券9」、「管理装置29」、「識別コード」、「記憶データ読取り装置13」、「残高表示部20」、「外部出力信号を順次発生させるように構成」、「パチンコホール用貸出システム」は、各々本件発明の「遊技装置」、「記憶媒体」、「管理装置」、「識別情報」、「記憶媒体読取手段」、「金額情報表示手段」、「送信手段」、「遊技設備」に相当し、甲第1号証記載の発明の上記構成要件c3)に関する第16頁第9行〜第17頁第8行の記載は、本件発明の「変換操作手段」に相当するものが記載されているものと認められ、また、甲第1号証記載の発明の構成要件e)は各遊技券毎に時間に対応させて、価額の集計及び記憶等を行うように構成されているので、本件発明の構成要件(E)に相当する。
本件発明と甲第1号証記載の発明は、
「所要の情報を記憶可能な情報記憶部を有する記憶媒体が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置と、記憶手段を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置とを備え、上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備において、
上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報を記憶させ、上記遊技装置には、上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段と、上記記憶媒体の有する金額情報を表示する金額情報表示手段と、上記記憶媒体の有する金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段と、少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段と、を設け、上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなることを特徴とする遊技設備。」で一致し、
相違点1・・本件発明の構成要件(C2)、(C3)では「記憶媒体の金額情報」であるのに対し、甲第1号証記載の発明の対応する構成要件c1)、c2)では「記憶媒体の情報記憶部に記憶されている金額情報」である点、
相違点2・・本件発明の構成要件(D)では送信手段が「記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する」のに対し、甲第1号証記載の発明の対応する構成要件d)の送信手段が、管理装置へ送信情報として固有識別情報のみを送信する点、
で相違するものの、そのほかの本件発明の構成要件を備えているものと認められる。
上記相違点1は、本件発明の対応する部分が上記(3)3.(ア)3)判断に記載のとおりに二通りの意味を含むと解することができるので実質的に相違しない。
上記相違点2は、原出願である甲第2号証に、記憶媒体読取手段によって記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報(カード番号)に加えて、遊技装置を特定する情報(台番号等のアドレス)を固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成された管理装置へ送信する点が記載されているので、遊技設備で共通する甲第2号証の上記点を甲第1号証の発明に適用することは当業者が容易に想到し得る程度のことというべきである。
したがって、本件発明は、上記甲第1、2号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
6.むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当する。審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技設備
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 所要の情報を記憶可能な情報記憶部を有する記憶媒体が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置と、記憶手段を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置とを備え、上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備において、
上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報を記憶させ、
上記遊技装置には、
上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段と、
上記記憶媒体の金額情報を表示する金額情報表示手段と、
上記記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段と、
少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段と、
を設け、
上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、
上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなることを特徴とする遊技設備。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は磁気カードや電子カード等の記憶媒体を用いたパチンコ機あるいはアレンジボール、スロットマシン等の遊技装置と、この遊技装置と通信可能に構成された管理装置とを備えてなる遊技設備に利用して有効な技術に関し、特に記憶媒体に関する所要の情報を記憶可能とした遊技設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カード状の記憶媒体を媒介として遊技を行なうようにした代表的な例としてカード式のパチンコ遊技システムが提唱されている。カード方式は、遊技客が記憶媒体であるカードのみを持ち歩けばよく、落下し易いパチンコ球を大量に持ち運ぶ手間を軽減することができるという利点がある。従来提案されているカード式パチンコ遊技システムには、大きく分けると次の2つの方式がある。
【0003】
第1の方式は、カードの発行に際して購入金額に対応した持玉数データをカードに記憶し、この持玉数データの範囲内でパチンコ遊技を行ない、遊技過程において増減した持玉数データをカードに記憶するというものである(特公昭47-42227号参照)。
【0004】
カード方式の第2の方式は、カードの購入の際にコード番号だけを記録したカードを発行し、持玉数は集中管理装置に記憶し、カードをパチンコ機のカード読取装置に挿入することによって記憶された持玉数を呼び出して遊技を行なえるようにするものである。その場合、カード発行時に購入金額をすべて持玉に変換し、その持正数を管理装置側に記憶するようになっていた(実公昭61-32709号、特公昭51-17106号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、パチンコ遊技設備において各パチンコ機の稼働情報を収集する技術が提案されている。これによって、遊技店側は各パチンコ機の稼働情報を分析し、営業方針の決定に反映させることが可能になるという利点があった。一方、記憶媒体(カード)を用いた遊技設備においては、各パチンコ機の稼働情報の他に各記憶媒体の情報をも収集、記憶することができると、遊技店側においてはさらに適切な営業方針を決定するのに貢献できることが明らかになった。
【0006】
この発明の目的は、記憶媒体の情報記憶部に各記憶媒体に対応して固有の固有識別情報を記憶させ、当該固有識別情報に基づいて各記憶媒体の所要の情報を記憶手段に記憶媒体毎に記憶することができるようにして、遊技店の経営者が適切に営業方針を決定できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所要の情報を記憶可能な情報記憶部(例えば磁気面)を有する記憶媒体(カードCD)が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置(遊技機本体110と制御ユニット160とにより構成されるパチンコ機100)と、記憶手段(例えば主記憶装置M-MEM)を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置(400)とを備え、上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備において、上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報(カード番号)を記憶させ、上記遊技装置には、上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段(カードリーダ180)と、上記記憶媒体の金額情報を表示する金額情報表示手段(金額表示器162)と、上記記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段(購入スイッチ113)と、少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段(例えばユニットコントローラ190)とを設け、上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段(例えばユニットメモリ170)を設け、上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなるようにしたものである。
【0008】
【作用】
本発明によれば、記憶媒体の情報記憶部に各記憶媒体に対応して固有の固有識別情報を記憶させ、遊技装置の記憶媒体読取手段において上記固有識別情報を読み取り可能とし、当該固有識別情報に基づいて各記憶媒体の所要の情報を管理装置の記憶手段に記憶媒体毎に記憶することができるようにして、記憶媒体の信憑性を向上させることにより不正記憶媒体の使用を未然に防止することができるとともに、記憶媒体の使用動向を把握することも可能となるため、遊技店の経営者が記憶手段に記憶されている記憶媒体の所要の情報を参照することによって、適切な営業方針を決定することも可能となる。
【0009】
【実施例】
図1に本発明に係る遊技設備の一実施例として、遊技装置の代表的な例としてパチンコ機を用いた遊技システムの一実施例を示す。
【0010】
この実施例のパチンコ遊技システムは、遊技装置としてのパチンコ機100と、各パチンコ機における遊技を開始させるためローカルな有価価値を有する記憶媒体としてのカードCDを発行する記憶媒体発行装置としての発行機200と、遊技の結果得られた賞品球および遊技に使用せずに残った購入金を精算するための記憶媒体精算装置としての精算機300と、上記各種端末機を集中的に管理し、制御する管理装置400と、この管理装置400と各端末機を有機的に結合するデータ伝送路500とからなり、これらによって、有機的結合体が構成される。この有機的結合体は、上記カードCDによってのみ介入が可能とされ、かつ有機的結合体によってのみカードの運用とその有価データの変換が可能となっている。そのため、有機的結合体の各構成要素たるパチンコ機100、発行機200、精算機300および管理装置400には、それぞれ記憶媒体読取装置としてのカードドライバ(カードリーダとカードライタ)が設けられているとともに、カードの情報および各端末機の情報は、管理装置400の記憶装置内にファイルの形で記憶されるようになっている。
【0011】
次に、上記有機的結合体の各構成要素についての具体的な説明に入る前に、本実施例のシステムに使用されるカードについて説明する。
本実施例のシステムに使用されるカードCDは、例えば図2(A),(B)に示すように、使用可能なエリアすなわち遊技店名HALLや購入金額AM、カード挿入方向DIR、発行年月日DATE等遊技客にとって必要な情報および破損カードの復活の際に必要な発行通し番号n等が、カードCDの表面に印刷されている。さらに、購入金額をすべて使い切り、かつ持玉数が零になった場合には、×印のようなカード無効表示INVも印字されるようになっている。
【0012】
一方、カードCDの裏面は、磁性材が全面に塗布された情報記憶部としての磁気面とされており、この磁気面にはカード挿入方向に沿って3つのブロックBL1,BL2,BL3が設けられ、これらのブロックの各々に同一情報が重複して記録され、再生の際に多数決原理でデータが決定されるようになっている。しかもこの実施例のカードの磁気面に記録される情報は、カードの使用エリアを特定するための識別コードと、カードの有効期間を示すための発行年月日と、発行通し番号nから適当な関数もしくは変換方式を使って得られる固有識別符号としてのカード番号と、エラー検出用のチェックコードのみであり、購入金額や持玉数は記録されないようになっている。これらは、上記カード番号によって管理装置400のデータファイルからリアルタイムで引出し可能な構成にしてある。これによって、カードのコピーによる不正を防止し、かつ不正による被害を最小限にとどめることができる。つまり、カードがコピーされてもデータファイル内に登録されている購入金額と獲得玉数以上の被害は生じないので、カードをコピーするのは全くの無駄な行為となる。
【0013】
さらに、上記カードは使い捨て方式とすることにより、カード回収設備を不用にしてシステムの簡略化およびカードの管理を容易にするとともに、使い捨てに伴う経費節減を図るため、カードの大きさを縦86mm横54mmのスタンダードとし、かつカードの材質として紙を選択してある。
【0014】
図3に上記カード発行機200の構成例を示す。
この実施例のカード発行機200は、カード購入のための紙幣を識別する紙幣識別装置210と、購入金に対応した金額を印刷し、カード番号を記録するカードリーダライタ220と、つり銭を排出するための残金払出装置230と、各種表示器241〜245および、発行機200全体の制御を行なう制御ユニット250等により構成されている。
【0015】
上記紙幣識別装置210に対応して、前面パネル201には紙幣挿入口211と、購入金額選択スイッチ群212および金額表示器213が設けられている。従って、遊技客は、先ず紙幣挿入口211より紙幣を投入して、選択スイッチ群212の中から所望の購入金額に対応するスイッチを押圧する。すると、金額表示器213に投入金額が表示され、所望の購入金額に相当するカードが上記カードリーダライタ220のカード排出口202より発行される。また、上記金額選択スイッチ群212は、各々ランプ内蔵型スイッチで構成されており、スイッチを操作すると対応する内蔵ランプが点灯されるようになっている。そして、投入された紙幣は、紙幣収納タンク214内に回収される。
【0016】
カードリーダライタ220は、カードタンク221内にストックされている白紙状態のカードを1枚ずつ取り出して、表面に購入金額と、発行年月日および管理装置400より付与される発行通し番号nを印刷するとともに、カード裏面の磁気面に制御ユニット250により演算されたカード番号および識別コード(店コード)、発行年月日コード、チェックコードを記録して、前面パネル201に設けられたカード排出口202より排出する。上記発行通し番号nは、カード発行機200からカード購入の申込を受けた管理装置400が、自己の制御下にある複数のカード発行機からの購入申込みに対し、その受付け順に発行通し番号nを決定し、各カード発行機に付与する番号であって、カードのコピーによる不正を防止するため、カードの磁気面には、上記発行通し番号nに対して所定の関数f(n)を用いた演算もしくはビットの並び換え等のコード変換処理を行なって得られたコードをカード番号として記録するようになっている。上記発行通し番号nからカード番号の算出を可能にするため、管理装置400の制御プログラムには、関数f(n)もしくはコード変換手続きが予め与えられているともに、カードから読み出されたカード番号と発行通し番号nとの一致を確認するため逆関数もしくは逆変換手続きが用意されている。
【0017】
図4(A)に上記カードリーダライタ220の構成の概略を示す。
すなわち、カードリーダライタ220は、カードタンク221内からカードを一枚ずつ取り出すカード取出装置222と、搬送モータ223と、カードの位置検出を行なうカードセンサ224a,224bと、カード番号等の記録用磁気ヘッド225と、印字装置(マーキング装置)226とにより構成されている。また、実施例のカードライタは、ベリファイ機能すなわち書込みデータのチェックを行なうため、再生ヘッド227を有しており、上記各駆動手段は、センサの検出信号に基づいて制御基板(コントローラ)228によって制御され、カードへの記録、印字、排出を行なう。
【0018】
一方、紙幣挿入口211より挿入され、金額選択スイッチ212により購入金額が決定され、残金が生じたときに、それを払い戻すための残金払出装置230は、紙幣をストックしておく紙幣タンク231を備えており、残金に相当する紙幣を前面パネル201に設けられた紙幣排出口232により排出するように構成されている。
【0019】
さらに、上記カード発行機200の前面パネル201には、カード発行可能な状態にあることを示す発行中ランプ241、カード発行不能状態を示す発行中止ランプ242、紙幣挿入口211より投入された紙幣でタンク214が満杯になったことを知らせる紙幣プールオーバ表示器243、カードタンク221内の未発行カードが空になったことを知らせるカード不足表示器244、残金払出装置の紙幣タンク231内のストック紙幣がなくなったことを知らせるつり銭不足表示器245が設けられている。また、上記状態を検出して対応する表示器を点灯させるため、紙幣タンク214,231およびカードタンク221にはセンサ261,262,263がそれぞれ設けられている。
【0020】
さらに、この実施例のカード発行機200には、遊技店に設置される複数(数10台)の発行機200の各々を区別して、特定のカードを発行した発行機を管理装置400において把握できるようにするため台番号設定器205が内部に設けられており、この設定器205により設定された台番号は管理装置400に送られて、データ通信の際の伝送アドレスの生成および各発行機ごとのデータファイルの作成に供される。
【0021】
なお、特に限定されないが、設定器205によって設定される台番号と同じ番号が、発行機の前面パネル201の上部に付着された銘板206に表示されるようになっている。
【0022】
図5には、上記のごとく構成されたカード発行機200の制御システムの構成例が示されている。
なお、同図において、符号L1〜L5で示されているのが、購入金額の選択スイッチ群212に内蔵されたランプで、オンされたスイッチに対応するランプが点灯されて操作ボタンを後方から照明するようになっている。
【0023】
このシステムでは、図4(A)に示すカードライタ220の各構成部品は、CPU(マイクロコンピュータ)等からなるようなコントローラ228によって制御され、このコントローラ228および発行機に設けられた各種センサや表示器、紙幣識別器210、残金払出装置230が、同じくマイクロコンピュータからなる制御ユニット250内のユニットコントローラ251によって制御されるようになっている。
【0024】
ユニットコントローラ251は、上記構成部品の制御やカード番号の受信を行なってカード発行処理を実行するとともに、稼動データを収集し、それをデュアルポートメモリからなるパラレル通信手段としてのユニットメモリ270内の送信データエリアSDAに書き込む。ユニットメモリ270に書き込まれた稼動データは、後述の伝送コントローラとネットワーク制御手段(NAU)とにより伝送ケーブル(ネットワーク)を介して管理装置400との間のデータ交信によって管理装置に送られる。また、管理装置400から送られて来るデータも一旦ユニットメモリ270内の受信データエリアRDAに書き込まれ、ユニットコントローラ251がこれを読み取ることによってデータの受信が行なわれる。ユニットメモリ270には送信データや受信データがメモリ内にあることを相手方のコントローラに伝えるためのコマンドやステータス情報の入る共有データエリアCDAが設けられている。
【0025】
表1、表2および表3に、各々上記ユニットメモリ270内の送信データエリアSDA、受信データエリアRDAおよび共有データエリアCDAの構成例を示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
上記表1に示されているホットコードは、システムの立上りのときに管理装置がユニットメモリ270の送信エリア内に、例えば010101‥‥01なるコードを書き込んでおいて、定期的に管理装置におくって、静電気等のノイズによるRAMデータの破壊の有無をチェックし、送信データの異常を速やかに検出できるようになっている。
【0030】
なお、上記表1に示されているモニタ情報1は、表4に示すようにシステム立上り時のテスト実行中を示すビット、初期値設定/未設定を示すビット、ホットコードエラーを示すビット、ローカルネットワーク(伝送ケーブル500)の異常を示すビット(低層用と高層用の2ビット)、発行機異常を示すビット等により構成されている。
【0031】
また、モニタ情報2は、表5に示すようにカードライタの異常を示すビット、カードの有無を示すビット、同紙幣タンク内の状態を示すビット、紙幣詰まりを示すビット、紙幣の強制引き抜きを示すビット、残金払出器の紙幣タンク内の状態を示すビット、残金払出器の異常を示すビット等により構成されている。
【0032】
【表4】

【0033】
【表5】

【0034】
次に、本来の遊技を提供する遊技装置としてのパチンコ機100の構成例について図6を用いて説明する。
この実施例の遊技装置としてのパチンコ機100は、遊技機本体110と、遊技機と1対1で対応されて遊技機本体上方の島設備等に装着され、主としてカードに関する処理と遊技中の稼動データの収集を司るユニットとしての制御ユニット160とにより構成される。
【0035】
制御ユニット160は、この実施例では遊技機本体110と別個に構成され、カード挿排口161と、カードの有する金額を表示する金額情報表示手段としての金額表示器162、遊技者の持玉数をディジタル数字で表示する持玉表示器163、複数個のランプが一列に整列されてなるアナログ表示器164、係員呼出し用の呼出しスイッチ165等を前面に有している。上記アナログ表示器164は、遊技中の持玉数をアナログ的に表示したり、打止め状態やフリー状態を同時点滅と移動点滅で表示するのに用いられる。
【0036】
また、特に限定されないが、制御ユニット160の前面には、図7に示すように、入賞球発生表示用のセーフランプ166や遊技中であることを示す遊技表示ランプ167、効果音および警告発生用のスピーカ168が設けられている。さらに、制御ユニット160の側面の島設備内部に位置される部位には、パチンコ機100を管理装置400と切り離した特異状態で、後述のテストカードを用いて遊技動作を可能にさせるためのテストスイッチ171が、また制御ユニット前面には当該パチンコ機に与えられる台番号を明示する銘板172がそれぞれ設けられている。
【0037】
そして、制御ユニット160の内部には、上記カード挿排口161に対応して記憶媒体読取手段としてのカードリーダ180が、また台番号の銘板172の後方に台番号設定スイッチ173が、さらにこの制御ユニット160全体の制御を司る制御手段としてのユニットコントローラ190が各々設けられている。ユニットコントローラ190は、光ファイバもしくは同軸ケーブルのような伝送路191によって、遊技機本体110の制御装置150に、また後述の伝送コントローラおよびローカルネットワーク(伝送ケーブル)を介して管理装置400に接続される。カードリーダ180は、図4(A)に示されている発行機用カードライタ220と略同じ構成であり(図4(B)参照)、カードタンク221および記録ヘッド225を省略し、カード取出装置222の代わりに強制排出装置181を設けた構成にされている。
【0038】
一方、本実施例の遊技機本体110は、機内に封入された遊技球を循環使用する密閉型遊技機として構成されており、封入球を循環させる循環装置120を有している。また遊技機本体110の下部には、上記封入球を一個ずつ遊技領域内に発射する発射装置111とその操作ダイヤル112および前記カードCDを使用した遊技の手続きを可能にするため所要の金額情報を所定数の遊技媒体へ変換させる指令を与えるための変換操作手段としての購入スイッチ113、終了スイッチ114、中断スイッチ115が設けられている。遊技領域の構成は従来のものと同じである。購入スイッチ113は、カード挿排口161へのカードの挿入を前提としてカードCDの有する所要の金額情報の範囲内で、200円等の単位でこれを遊技媒体としての所定数の遊技球に変換するための指示スイッチで、本実施例においては変換された遊技球が持玉数となる。持玉数は持玉表示器163に表示され、打球発射装置により遊技球一つ発射されるごとに持玉数が一つ減算され、入賞球が発生すると賞品球数の分だけ加算表示される。尚、本実施例のように所定数の遊技媒体は必ずしも持玉数データとしての持玉数にすることなく、所定数の遊技媒体としての遊技球に変換するものであっても良い。
【0039】
終了スイッチ114は遊技者が遊技を終了させたくなったとき(遊技台を変更したい場合を含む)にいつでもこれをオンさせることで、使用中のカードを制御ユニット160より排出させることができる。そのときユニットコントローラ190はその時点で遊技客の持玉数(購入玉と獲得球の和)を、管理装置400のファイル内に登録してからカードを挿排口161より排出する。また、中断スイッチ115は、遊技者が現在遊技中の遊技機での遊技を止める意思はないが、休憩のため一時的に遊技を中断させるために使用するスイッチで、このスイッチが操作されると、ユニットコントローラ190は一旦カードを排出して再び同一カードが挿入されるまで待機状態となり、その間他のカードを受け付けないようになる。なお、上記各スイッチのうち購入スイッチ113と中断スイッチ115はランプ内蔵型で、持玉数が「0」になると購入スイッチ113内のランプが点滅されるとともに、中断スイッチ115が押されると中断が解除されるまで内蔵ランプが点灯される。
【0040】
図8に遊技機本体110の裏面の構成例を示す。
遊技盤101前面の遊技領域内に設けられた入賞領域に対応して遊技盤を貫通するように形成された複数の入賞球導出孔121を覆う入賞球集合樋122が、遊技盤101の裏面に取り付けられている。入賞球集合樋122の底壁は中央に向かって下り傾斜されて案内棚122a,122bとされ、その流下端部に第1誘導樋123が接続されており、入賞球集合樋122内に流入した入賞球は、案内棚122a,122b上に流下して集合され、第1誘導樋123を流下する途中でセーフセンサ131により検出される。また、遊技領域の下部に設けられたアウト穴102に対応して遊技盤の裏面には、回収樋124が設けられており、この回収樋124の終端は上記第1誘導樋123の終端部に合流されている。
【0041】
さらに、この実施例では遊技領域に設けられた大型の変動入賞装置に入賞した遊技球を回収する第2誘導樋125が設けられ、この第2誘導樋125の終端は上記回収樋124の終端部に合流されている。上記回収樋124および第2誘導樋125には、アウトセンサ132とセーフセンサ133が設けられていて、そこへ流入した遊技球を検出する。第1誘導樋123と第2誘導樋125とを設けることにより、それぞれの入賞領域に入賞して得られる賞品球数を異ならせて遊技者に提供することができる そして、上記各樋の合流部は、連通口127にて、回収した遊技球を打球発射装置111まで案内する案内樋126の途中に連通されている。
【0042】
上記案内樋126は、図9に示すように、打球発射装置111によって発射された遊技球を、遊技領域上部まで案内する円弧状のガイドレール103の途中に設けられたファール球取込口104に接続された樋であり、ファール球、セーフ球(入賞球)およびアウト球は、すべて最終的にこの案内樋126によって回収され、打球発射装置111まで誘導される。案内樋126の途中には、ファール球取込口104より回収された遊技球を検出するファールセンサ134、案内樋に回収された遊技球を整列させる球ナラシ105、封入球を外部へ抜き取るための玉抜きレバー106が設けられている。ファールセンサ134により検出された球は持玉数に再び加算され、実際に遊技領域に打ち込まれた打球数が正確に計数される。また、ガイドレール103の始端部には打球発射装置111により発射された打球を検出するための発射センサ135,136が設けられ、空打ちを発射球として計数しないようになっているとともに、発射センサ135側から発射センサ136側への打球の移動をもって発射数として計数し、逆方向の打球の移動をもってファール球(戻り球)として計数している。玉抜きレバー106は、案内樋126の底壁の一部を構成するように設けられた回転可能な回動プレート107の回転を阻止して遊技球を打球発射装置側へ供給させ、玉抜きレバー106を図10(A)のごとく上方へスライドさせると回動プレート107が自重で下方へ回動して案内樋126内の遊技球を排出するように構成されている。
【0043】
一方、案内樋126の下端には、図10(B)に示すごとく玉受け部128aを有する玉送り128が揺動可能に取り付けられており、これが揺動することにより案内樋126内の遊技球を一個ずつ分離してガイドレール103の発射始端位置に移動させるようになっている。玉送り128は、打球発射装置111の発射杆111aに連動して上方へ回動される。案内樋126とガイドレール103の始端部との境界には分離壁109が形成されており、玉送り128が上方へ回動されると、先端の玉受け部128aに係合している遊技球が一つだけ分離壁109を乗り越えることにより、球の移動が行なわれる。なお、玉送り128内には円柱状のウェイト129が内蔵されており、このウェイトの自重によって玉送り128の回動復帰が円滑に行なわれる。
【0044】
図11にパチンコ機100の制御システムの構成例が示されている。
このシステムにおいては、カードリーダ180の各構成部品たるカードセンサ224a、磁気ヘッド225、穿孔装置227および搬送用モータ223は、コントローラ188によって制御される。そして、このカードリーダコントローラ188および制御ユニット160に設けられた各種スイッチ165,171,173や表示器162,163,164,166,167、スピーカ168は、同じくマイクロコンピュータからなるユニットコントローラ190によって制御されるようになっている。
【0045】
また、特に制限されないが、この実施例では光ケーブル191を介して、遊技機本体110の制御装置150や各種センサ、表示器等が上記ユニットコントローラ190に接続される。光ファイバケーブルによる通信を可能にするため、パラレルデータとシリアルデータの変換を行なう並-直列変換器や電気信号と光信号との変換を行なう光-電変換器等からなる光多重データリンク(インタフェース)192と193が、ユニットコントローラ190と光ファイバケーブル191との間および光ファイバケーブルと制御装置150との間に設けられている。
【0046】
なお、光ファイバケーブル191をユニットコントローラ190とパチンコ機の制御装置150との間のデータ通信に使用することにより、従来パチンコ機の裏側にて複雑に配設されていた多数の配線をすっきりさせ、保守、管理を容易にするとともに、誤った配線接続を防止することができる。
【0047】
図12に遊技機本体110の制御システムの構成例が示されている。
上記光多重データリンク193および光ケーブル191を介してユニットコントローラ190の制御下には、上記制御装置150とともに、打球発射装置111と購入スイッチ113内蔵の購入可表示ランプ113a、中断スイッチ115内蔵の中断表示ランプ115aがドライバ195を介して設置されている。また、購入スイッチ113や遊技終了スイッチ114、中断スイッチ115からの信号が光多重データリンク193および光ファイバケーブル191を介して、前記ユニットコントローラ190に伝送される。
【0048】
上記制御装置150もマイクロコンピュータにより構成されており、この制御装置150には、発射センサ135,136およびセーフセンサ131,133、ファールセンサ134、アウトセンサ132からの検出信号に入力されており、これらの信号に基づいて入賞球やファール球、アウト球等を判定してユニットコントローラ190に知らせる。
【0049】
一方、ユニットコントローラ190は、これらの遊技球に関する検出信号や購入スイッチ113からの信号等に基づいて、出玉数、アウト玉数、持玉数、売上金額等の稼動データを演算したり、パチンコ機に関する稼動情報(遊技状熊)やモニタ情報等を生成し、それらをデュアルポートメモリからなる送信手段としても機能するユニットメモリ170の送信データエリアSDAに書き込む。
【0050】
ユニットメモリ170に書き込まれた稼動データ等は、後述の伝送コントローラによる管理装置400との間のデータ交信によって管理装置に送られる。また、管理装置400から送られてくるデータも一旦ユニットメモリ170内の受信データエリアRDAに書き込まれ、ユニットコントローラ190がこれを読み取ることによってデータの受信が行なわれる。ユニットメモリ170には送信データや受信データがメモリ内にあることを相手方のコントローラに伝えるためのコマンドやステータス情報の入る共有データエリアCDAが設けられている。
【0051】
表6、表7および表8に、各々上記ユニットメモリ170内の送信データエリアSDA、受信データエリアRDAおよび共有データエリアCDAの構成例を示す。
【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
【表8】

【0055】
【表9】

【0056】
【表10】

【0057】
なお、表6において示されているモニタ情報1は、表9に示すようにシステム立上り時のテスト実行中を示すビット、初期値設定/未設定を示すビット、ホットコードエラーを示すビット、ローカルネットワーク(伝送ケーブル500)の異常を示すビット(低層用と高層用の2ビット)、遊技機異常を示すビット等により構成されている。また、モニタ情報2は、表10に示すようにカードリーダの異常を示すビットを有している。
【0058】
さらに、稼動情報は、表11のごとく打止め状態を示すビット、遊技中断中であることを示すビット、通信異常あるいは不正検出等に基づく管理装置もしくはコントローラによる強制終了状態を示すビット、遊技中であることを示すビット、遊技機が遊技客のついていないフリー状態にあることを示すビット等により構成されている。
【0059】
【表11】

【0060】
上記表11より、実際のパチンコ機の状態は、
フリー状態が、 0000000000000001
遊技中が、 0000000000000010
強制終了受信時が、 0000000000000100
中断時が、 0000000000001000
打止発生時が、 0000000000010000
で表わされる。
【0061】
図13に、前述した精算機300の構成例を示す。
この実施例の精算機300は、挿入されたカードCDのカード番号を読み取るカードリーダ310と、そのカードについて使用されずに残った未購入金額に相当する金額を払い戻すための残金払出装置としての紙幣払出器320および硬貨払出器326と、遊技により獲得した持玉数を印刷したレシートを発行するプリンタ330と各種表示器340〜342および、精算機300全体の制御を行なう制御ユニット350等により構成されている。
【0062】
上記カードリーダ310に対応して、前面パネル301にはカード挿入口311と、獲得した賞球数(持玉数)を表示する玉数表示器312および未購入金額を表示する金額表示器313が設けられている。遊技客が、先ずカード挿入口311よりカードを投入すると、カードリーダ310がカード裏面の磁気面に記録されているカード番号を読み取って管理装置400に送り、そのカードに関するデータを受け取る。そして、金額表示器313に未購入金額が表示されるとともに、玉数表示器312に獲得玉数が表示され、挿入されたカードはマーキング装置により、無効印の印刷もしくはパンチングがなされてからカード収納タンク314内に回収(没収)される。
【0063】
これによって精算済カードの悪用が防止される。カードリーダ310の構成は、カード発行機200のカードライタ220(図4(A)参照)とほぼ同一であり、カードタンク221とカード取出し装置222および記録用磁気ヘッド225が不要である(図4(C))。
【0064】
プリンタ330は、ロール状態でストックされている白紙のシートを引き出して、その表面に発行年月日と、獲得玉数および未使用残金額さらにはカード来歴等を印刷し、レシート発行口331より排出する。
【0065】
これとともに、未購入金額に相当する金銭が残金払出装置としての紙幣払出器320および硬貨払出器326より払い出される。紙幣払出器320は、紙幣をストックしておく紙幣タンク321と紙幣排出口322とからなる。また、精算の際には1000円未満の端数が生じるので、100円単位の硬貨を収納する硬貨タンク324と硬貨払出口325とからなる硬貨払出器326が設けられている。
【0066】
さらに、上記精算機300の前面パネル301には、カード精算中であることを示す精算中ランプ341、カード精算不能状熊を示す精算中止ランプ342、カード挿入口311より投入されたカードでタンク314が満杯になったことを知らせるカードオーバフロー表示器L11や紙幣払出器320の紙幣タンク321内のストック紙幣がなくなったことを知らせる紙幣不足表示器L12、硬貨払出器326の硬貨タンク324内のストック硬貨がなくなったことを知らせる硬貨不足表示器L13、プリンタ330内のロール紙がなくなったことを表示する紙なし表示器L14等からなるモニタ表示ランプ群340が設けられている。また、上記各状態を検出して対応する表示器を点灯させるため、カードタンク314、紙幣タンク321、硬貨タンク324、およびプリンタ330にはセンサ361,362,363,364がそれぞれ設けられている。また、硬貨払出器326には硬貨抜取スイッチ327が設けられている。
【0067】
さらに、この実施例の精算機300には、遊技店に設置される複数の精算機の各々を区別して、特定のカードの精算を行なった精算機を管理装置400において把握できるようにするため台番号設定器305が内部に設けられており、この設定器305により設定された台番号は管理装置400に送られて、データ通信の際の伝送アドレスの生成および各精算機ごとのデータファイル作成に供される。なお、特に限定はされないが、設定器305によって設定される台番号と同じ番号が、精算機の前面パネル301の上部に付着された銘板306に表示されるようになっている。
【0068】
図14には、上記のごとく構成された精算機300の制御システムの構成例が示されている。
なお、同図において、符号L11〜L14で示されているのが、上記モニタ表示ランプ群340を構成するランプである。
【0069】
このシステムでは、カードリーダ310を構成するカードセンサ224a,224b、再生ヘッド227、マーキング装置226および搬送用モータ223は、CPU(マイクロコンピュータ)からなるコントローラ319によって制御され、このコントローラ319および精算機に設けられた各種センサや表示器、紙幣払出器320、硬貨払出器326、プリンタ330が、同じくマイクロコンピュータからなる制御ユニット350内のユニットコントローラ351によって制御されるようになっている。
【0070】
ユニットコントローラ351は、上記構成部品の制御やカード番号のチェック、カードデータの受信、表示等を行なって精算処理を実行するとともに、稼動データを収集し、それをデュアルポートメモリからなるユニットメモリ370内の送信データエリアSDAに書き込む。ユニットメモリ370に書き込まれた稼動データは、伝送コントローラによる伝送ケーブルを介した管理装置400との間のデータ交信により管理装置に送られる。また、管理装置から送られて来るデータも、一旦ユニットメモリ370内の受信データエリアRDAに書き込まれ、ユニットコントローラ351がこれを読み取ることによってデータの受信が行なわれる。ユニットメモリ370には送信データや受信データがメモリ内にあることを相手方のコントローラに伝えるためのコマンドやステータス情報の入る共有データエリアCDAが設けられている。
【0071】
表12、表13および表14に、各々上記ユニットメモリ370内の送信データエリアSDA、受信データエリアRDAおよび共有データエリアCDAの構成例を示す。
【0072】
【表12】

【0073】
【表13】

【0074】
表13に示すようにこの実施例ではカードの来歴データも受信して、これを時刻データとともにレシートに印刷して排出することにより、遊技客に対し信頼度の高い精算データであることを印象づけることができる。ただし、来歴データはカードファイル内に入っている最高20回までのデータである。
【0075】
【表14】

【0076】
なお、上記表12に示されているモニタ情報1は、表15に示すようにシステム立上り時のテスト実行中を示すビット、初期値設定/未設定を示すビット、ホットコードエラーを示すビット、ローカルネットワーク(伝送ケーブル500)の異常を示すビット(低層用と高層用の2ビット)、精算機異常を示すビット等により構成されている。
【0077】
【表15】

【0078】
また、モニタ情報2は、表16に示すようにプリンタの異常を示すビット、カードリーダ310の異常を示すビット、硬貨タンク324内の状態を示すビット、硬貨払出器326の硬貨詰まりを示すビット、硬貨払出器326の異常を示すビット、紙幣払出器320の紙幣タンク内の状態を示すビット、紙幣払出器320の異常を示すビット等により構成されている。
【0079】
【表16】

【0080】
次に、前述のごとく構成されたパチンコ機100、カード発行機200および精算機300を統括的に制御するとともに稼動データをリアルタイムに収集して、停電や故障が発生しても復旧時に直ちに元のデータ状態を復活させてシステム各部の動作を再開させ、また遊技店の経営に必要なデータの集計を可能にする管理装置400について説明する。
【0081】
図15に管理装置400の具体的な構成を、また図16に管理装置のシステム構成を示す。
管理装置400は、オフィスコンピュータとほぼ同等な構成とされている。すなわち、中央処理装置CPUや半導体メモリ(RAM)からなる記憶手段としての主記憶装置M-MEM、タイマ(カレンダを含む)TMR、通信制御装置SCC等が格納されたコントロールボックス401と、このコントロールボックス401の上部に設けられた補助記憶装置としてのフロッピディスク記憶装置402、ハードディスク記憶装置403と、収集データ等を印字するためのプリンタ404と、メッセージや収集データを表示するCRT表示装置405と、オペレータが中央処理装置に対し指令や設定データを与えるためのコンソール406とにより、管理装置400が構成されている。
【0082】
上記プリンタ404は、管理装置400のスループットを向上させるため、印字されるデータを一時的に格納するバッファ404aを備えている。
さらに、この管理装置400には、パチンコ遊技システムに特有なものとして、各端末からシステムにアクションを起こさせる媒体としてのテスト用カードを発行するカードリーダライタ407やパチンコ機で発生する“打止め”等、システムで発生した緊急情報をリアルタイムで印字する補助プリンタ408が上記コントロールボックス401の上部に設けられている。
【0083】
また、停電発生時に、主記憶装置M-MEMに揮発的に保持されている全ての端末の稼動データや、発行した全てのカードのデータをハードディスク記憶装置403に移して保護できるようにするため、最低でも10分間程度は管理装置を動作できるようにする補助電源装置409が、上記コントロールボックス401の下方に設けられている。
【0084】
なお、本実施例においては、主としてパチンコ機とカード発行機、精算機および管理装置からなるシステムについて説明するが、この発明は図16に破線X,Y,Zで示すように店内放送装置や景品交換装置、自動販売機等をも管理装置400の制御下におくようにしたシステムにまで拡張することができる。特に景品交換装置は、カードを使って精算機300を通さずに直接景品と交換できるような方式を容易に適用する可能性がある。
さらに、管理装置400を構成するコンソール406も、本実施例のパチンコ遊技システムに最も適した独特のキー構成となっている。
【0085】
図17に、コンソール406の構成例を示す。
図17において、421はシステムの各端末に対する営業開始を指示するための開店スイッチ、422は同じく営業終了を指示するための閉店スイッチで、開店スイッチ421がオンされた後、閉店スイッチ422がオンされるまでの間、各端末機におけるカードの運用が可能となる。また、423は営業終了後に全端末機の稼動データをフロッピディスク記憶装置402に格納し、管理装置へ動作の停止を指示するための終了スイッチ、424は破損したカードの復活処理を指示するためのカード復活スイッチである。
【0086】
なお、上記開店スイッチ421、閉店スイッチ422、終了スイッチ423およびカード復活スイッチ424の4つのスイッチは、本システムにとって特に重要なスイッチであり、システム稼動中安易に操作されるのを防止するため、その後方(図では上方)に設けられたキースイッチ420に連動されており、キースイッチ420を回してオンさせた状態でないと各スイッチ421〜424を操作してオンさせることができないようになっている。
【0087】
425,426,427は、通常のパーソナルコンピュータ等のコンソールに設けられているのと同種のテンキー、リターンキーおよびデリートキーである。一方、428はカードに関するデータや各端末の稼動データ等をCRT表示装置405の画面上に表示させる指令を与える表示メニュースイッチ、429はCRT表示装置に表示されたデータの消去を要求するCRTクリアスイッチである。また430はカードに関するデータや各端末の稼動データ等をプリンタ404によって印字させる指令を与える印字メニュースイッチ、431はプリンタ404による印字の中止を要求する印字ストップスイッチである。
【0088】
432はパチンコ機における打止数や打止モード等の設定を要求するための設定スイッチ、433は、設定された打止数の賞品球が払い出されて打止すなわち遊技継続不能状態になっているパチンコ機の打止状態の解除指令を与えるための打止解除スイッチ、434は、通信ネットワークの異常等に伴い正常な制御やデータ収集が不能になった場合、あるいは遊技客の不正を発見した場合に特定端末もしくは全端末に対する強制停止を要求するための強制終了スイッチ、435は強制停止された端末の停止を解除させるための終了解除スイッチ、439は日時設定用スイッチである。また、実施例のコンソール406には、パチンコ機での打止等緊急事態が発生した場合にオペレータの喚起を促す音を発生するブザー440と、その発音停止を指示するブザーストップスイッチ436とが設けられている。
【0089】
上記各スイッチのうち、図中2重枠で示されているスイッチ421〜424,432〜436は、ランプ内蔵型のスイッチで、これらのスイッチがオンされて対応する処理の実行中もしくは状態継続中内蔵ランプが点灯される。ただし、ブザーストップスイッチ436内のランプは、ブザーと連動し、ブザー発音中点灯され、ストップスイッチ436が押されると消灯する。
【0090】
さらに、この実施例のコンソール406には、その背面に、テストカード発行指令を与えるためのテストカードスイッチ437と、システム導入時に購入玉の交換レートや店コード、端末機の総台数、入賞球1個当たりの賞品球数等の設定値の設定要求を行なうためのビルトインスイッチ438が設けられている。これらのスイッチ437と438は、他のスイッチと異なり、通常はほとんど使用しないスイッチであり、かつ特定の者(遊技店の支配人等)が存在を知っていればよいスイッチであるため、コンソールの背面に設けられている。
【0091】
ここで、上記テストカードについて言及する。既に説明した構成より明らかなように、この実施例の遊技システムは、すべての端末機(パチンコ機、カード発行機、精算機)が管理装置の制御下にあり、カード番号等のやり取りによって稼動可能な状態に移行するようになっており、端末単独では動作不能である。しかるに、パチンコ機は使用頻度が高いため、玉詰まりやいわゆるチューリップなどの役物が故障したりすることが多いとともに、出玉率の調節のため遊技領域内の釘調整が必要である。その場合、修理や釘調整後に試し打ちを行なうことになるが、システム全体を立ち上がらせてしかも購入カードによってのみパチンコ機を作動させる方式では非常に不便である。そこで、本実施例では、前述した各パチンコ機の制御ユニット160内のテスト用スイッチ171をオンさせ、かつ管理装置によって発行された特殊なテスト用カードを制御ユニット160のカード挿排口161より挿入すると、一定の持玉数が与えられてパチンコ機単独で遊技動作が実行可能になるように構成されている。
【0092】
なお、管理装置400に設けられたカードリーダライタ407は図4(A)に示すカード発行機内のカードリーダライタ220と略同じ構成である(図4(D)参照)。ただし、カード発行機と異なり、内部に白紙カードを有さず、外部から白紙カードを挿入して所定のコードを記録する方式を採っているため、カードタンク221やカード取出装置222を持っていない。また、管理装置400により発行される前記テストカードや復活カードは必ずしも他の一般カードのように使用年月日や番号等を明記する必要がないので、マーキング装置226も省略してある。ただしベリファイ用の再生ヘッド227は有している。
【0093】
上述したようにこの実施例の端末機100,200,300はすべて管理装置400の管理下に置かれ、管理装置400が起動されていないと、原則として単独で動作できない。従って、システムの立上り時には管理装置400によってすべての端末機に設定値を与えてイニシャライズを行なう。しかも、このイニシャライズに先立って、データ伝送を可能にするため各端末機から台番号を吸い上げて1つ1つの伝送アドレスを形成する。そして、システム稼動中はすべての端末機の稼動データをリアルタイムで収集して主記憶装置M-MEMに保持するようになっている。
【0094】
このように、本実施例では管理装置400の取扱うデータの量は膨大なものとなる。そこで、実施例ではこれらのデータをファイル管理により整理して取扱いを容易にしている。
【0095】
表17に管理装置400によって管理されるデータのファイル構成例を示す。
これらのファイルは通常主記憶装置M-MEM内に記録されるが、すべてのファイルは停電時にハードディスク記憶装置403にセーブされる。また、端末機に関するデータファイルすなわちパチンコ機ファイル(以下P機ファイルと称する)、発行機ファイルおよび精算機ファイルは、営業終了時にフロッピーディスク記憶装置402に記憶され、月別の稼動データ集計等に供される。
【0096】
【表17】

【0097】
次に、表17に示されている各ファイルについて更に詳しく説明する。
同表における設定値ファイルFL1は、システム導入時にコンソールの入力によって予めハードディスクに記憶される購入玉の交換レートや店コード、端末台数、賞品球数、打止数等のシステムの特性や構成に応じて変動する設定値である。この設定値ファイルは通常営業開始時にハードディスクHDDより主記憶装置M-MEMにロードされる。また、設定値ファイルFL1は、パチンコ機の入替えの際等にビルトインスイッチ438を押してコンソールより更新できるようになっている。
【0098】
表18に設定値ファイルFL1の構成例を示す。
【0099】
【表18】

【0100】
同表において、購入玉交換レートとは、購入金額単位(例えば200円)に対する貸玉数すなわち最初の持玉数であり、NAU台数とは、データ伝送システムとしての高層ネットワークと低層ネットワークとの連結部に設けられるネットワークアダプタユニット(通信制御装置)の総数である。また、符号iで示されるテーブルには、あるパチンコ機からあるパチンコ機までの賞品球数が設定される。この賞品球数には1台につき2種類の賞品球数が設定できるようになっている。しかも、i=1〜16で示されるようにこの実施例では、遊技店の全パチンコ機を16のグループに分割して、各々メインとサブの2つの賞品球数を別個に設定できるようになっている。ただし同一の設定値のパチンコ機には連続した台番号が与えられ、その先頭番号と末尾番号とによって対象範囲が指定される。
【0101】
さらに、jで示されるテーブルには打止数が設定され、kで示されるテーブルには打止モードが設定される。ここで、打止モードとは、打止数の算出の仕方(演算式)を示し、例えば単純に払出し賞品球数が打止数に達したときをもって打止とするモードや、払出し賞品球数から打込球数を引いたものが打止数に達したときをもって打止めとするモード等がある。特に限定はされないが、この実施例ではj=1〜16,k=1〜16で示されるように、各々16のグループに分けて独立に打止数および打止モードを設定できる。
【0102】
表19に、データ伝送に使用される伝送アドレスのファイルFL2の構成例を示す。
【0103】
【表19】

【0104】
表19において、種別フラグは端末の種類を示すためのフラグで、「1」がパチンコ機、「2」がカード発行機、「4」が精算機であることを、そして、「0」が端末の不存在を各々示す。台番号および通し番号は「4」と「9」を除いて作られた端末機の番号とその通し番号であり、ユニット番号は、端末の種類にかかわらず一つのNAU(ネットワークアダプタユニット)の下に置かれた各端末機の番号、またチャネル番号は、管理装置から見た各端末機のアドレスとなる番号である。
【0105】
NAU番号と台番号は既に述べたように設定スイッチ(173,205,305,561)で与えられる番号で、パチンコ店の場合「4」と「9」を除いた数字で与えられる飛び番号である。ここで「4」と「9」を使用しないということは8進法表現が可能であることが分かる。そこで、10進数表示された台番号を表20に示す変換テーブルを使って0〜7の数字のみで表現する。これに従うと、例えば「258」なる台番号は「247」と表記される。
【0106】
【表20】

【0107】
これを2進化8進法によりバイナリコードで表現すると、「010・100・111」となる。このコードは10進法の「167」を示しており、これによって「4」「9」の抜けたパチンコ機等の台番号が連続した通し番号となる。一方、上記コードの下位6ビットをとって、これを2進化10進法で表されたコード「10・0111」とみなし、これをHEXA表現すると、「27H」となる。この実施例ではこれをユニット番号とするものである。そして、さらにこのユニット番号の頭にNAU番号を付けた「NAU番号+ユニット番号」をチャネル番号としている。このような方法により、「4」と「9」を使用しない台番号を有するパチンコ遊技店の慣例において、2進法のみを使ってデータ処理を行なうマイクロコンピュータの特性に合致した効率の良いアドレス処理が可能となる。
【0108】
上記ファイルは、回線テスト後の管理装置によるユニットテーブル要求の返答データに基づいて全端末機について作成されている。
【0109】
表21にカードファイルFL3の構成例を示す。カードファイルFL3には、各カードごとの情報が入る。
【0110】
【表21】

【0111】
同表において、カード番号は発行通し番号nから関数f(n)を用いて得られる番号であり、持玉数と金額、カード状態は発行通し番号nとカード番号で 特定されるカードの現在状態を示す情報で、この実施例では以下カードテキストと称する。なお、ここでカード状態とは、表22に示すように、遊技に使用されていないフリー状態を示すビット、遊技中を示すビット、遊技機から一時的に離れる中断中を示すビット、既に精算機における精算を行なったカードであることを示すビット、カードの持玉数および残金がともにゼロになったことを示すビット、過去に1回以上打止めを発生したことを示すビット、強制終了されたパチンコ機で使用されたカードであることを示すビット、復活されたカードであることを示すビット等により構成されている。
【0112】
【表22】

【0113】
一方、表21に戻って、カードファイルFL3には、カードの現在存在している端末の位置を示す所在端末通し番号と、所在端末番号が登録される。パチンコ機遊技店では慣例として、「4」と「9」の数字を台番号として用いないので、裏と表の2種類の端末番号が発生する。
【0114】
また、表21においてiカウンタとはカードがアクションを起こした数すなわち、カードが有機的結合体たるシステムから外部へ排出動作された回数を示すもので、この回数に対応して、そのときの台番号、持玉数、金額、時刻等のカード情報すなわちカードの来歴が時系列的に記録される。統計的に見て遊技者は1日20台以下のパチンコ機で遊技するのがほとんどであるので、この実施例では最高20回までカード来歴を記録することとした。ただし、20回を超えた場合には、i=20で示されるテーブルを更新する形で記録される。なお、上記の場合、iカウンタは遊技中断を計数しない。つまり、中断時に各カード情報を新しいエリアに記録するが、中断解除後の遊技終了スイッチオン時にカウンタを更新せず同一エリアに重ねてカード情報を記録することによりiカウンタの値を実質的な遊技台数と一致させている。
【0115】
ここで、カードの状態およびアクションとカードファイルFL3へのカード情報の登録について図18を用いて説明する。
先ず、カード発行機200においてカードの発行が行なわれると、カードが排出されて、カードは未発行(白紙)状態SS0からフリー状態SS1に移行する。それから、所望のパチンコ機100にカードを挿入すると、遊技状態SS2へ移行する。ここで遊技によってカードの持玉および金額がゼロになると、カードが排出されて帰零状態SS3に移る。また、遊技中に中断スイッチ115が押されると、カードが排出されて、中断状態SS4へ移行し、同一カードの再投入により再び遊技状態SS2へ戻る。
【0116】
そして、遊技中に遊技を終了させるべく終了スイッチ114を押すと、カードが排出されてフリー状態SS1に移行する。CPUによる強制終了または打止発生によってもカードが排出されて遊技状態SS2からフリー状態SS1へ移る。そのフリー状態のカードを持って精算機300に行き精算処理を行なうと、無効マークが付されてからカードが回収され精算済の状態SS5へ移る。この実施例のシステムでは、中断状態SS4のカードを持ってパチンコ機に戻らずそのまま精算機300に行き、精算処理を行なうことも可能でありその場合、中断状態SS4から精算済状態SS5へ移行する。
【0117】
上記状態遷移図において、遷移方向を示す矢印に○が付されているのがカードファイルFL3へのカード情報の記録を伴うアクションである。また、各ブロック内にて、××Hで示されている符号は、表22のカード状態を示すコードを用いて対応する状態を16進数字で表現(HEXA表現)したものである。
【0118】
次に、表23にP機ファイルFL4の構成例を示す。
同図において、台番号からカード状態までの項目は、表6に示されている送信データエリアSDAに保持されているデータであり、これらは1秒に1回管理装置400によってサンプリングされ、ファイルに登録される。また、メイン賞球数、サブ賞球数、打止数および打止モードは、システム立上り時に表18に示されている設定値ファイルFL1に基づいてP機ファイルFL4に登録される。
【0119】
【表23】

【0120】
表24および表25に発行機ファイルFL5と精算機ファイルFL6をそれぞれ示す。表24に示すデータ項目は、表1に示されている発行機の送信データエリアSDAに保持されているデータ、また、表25に示すデータの項目は表12に示されている送信データエリアに保持されているデータと各々一致する。これらは、1秒間に1回管理装置によってサンプリングされる。
【0121】
【表24】

【0122】
【表25】

【0123】
表23〜表25において、セーブ欄に○印が付されているデータは、営業終了時にフロッピディスクFDDにセーブされるデータである。
【0124】
次に上記のごとく構成された端末機としてのカード発行機100、パチンコ機200、精算機300およびそれらの端末機の集中制御を行なう管理装置400を有機的に結合して、データ伝送およびカードの運用を可能にするデータ伝送路(ローカルエリアネットワーク)について説明する。図19に階層的データ伝送路を用いたパチンコ遊技システムの構成例を示す。
【0125】
すなわち、100〜1000台の端末機は、例えば遊技店の島設備のような単位で20〜40台ずつグループ化され、各群の端末機は、リング状の伝送路上を高速で巡回するトークンと呼ばれるアクセス権をつかまえたノード(端末機)がパケットの形でデータの送受信を行なう権利を有するようにされたトークンパッシング方式の低層ネットワーク(トークンバス)510によってネットワークアダプタユニット(以下、NAUと称する)530に接続されている。
【0126】
そして、各低層ネットワーク(トークンバス)510を制御する複数個のNAU530は、CSMA/CD方式の高層ネットワーク520を介して管理装置400に接続されている。
上記低層ネットワーク510は2.5Mbps(メガビット/秒)のような伝送速度を有し、高層ネットワーク520は、10Mbpsのような伝送速度を有するように制御され、NAU530は両者の伝送速度の差を吸収して円滑なデータ伝送を可能とするバッファとして作用し、これによって、管理装置400の負担を軽減し、大量の稼動データの収集を可能にしている。
【0127】
図19において符号Pで示されているのが端末機としてのパチンコ機、符号Hで示されているのがカード発行機、また符号Sで示されているのが精算機である。
各端末機P,H,Sは、図3、図6および図13に示すようなケーブル分岐回路540によって低層ネットワーク510から分岐された分岐線に接続されている。各分岐線の終端に各々の端末機の制御ユニット160,250および350が接続されている。図19において符号Uで示すのが、各端末機の制御ユニットである。
【0128】
図20に、各端末機に共通の制御ユニットの構成例を示す。
すなわち、各端末機の制御を行なうユニットコントローラ190(251,351)と低層ネットワーク510との間には、パラレル通信手段としてのユニットメモリ170(270,370)と、ユニットコントローラ190(251,351)の動作を妨げることなくデータの送受信を行なうデータ伝送コントローラ551と、データ伝送の高速化を図るため送受信データをパケットの形で保持する緩衝用パケットメモリ552と、低層ネットワーク(トークンバス)510での送受信権を確立するとともに、送信するパラレルデータをシリアルデータに変換したり、受信したシリアルデータをパラレルデータに変換する通信制御用のネットワークコントローラ553と、送受信データ信号のレベル変換を行なう信号変換回路554と、送信信号と受信信号の分離および結合を図るためのケーブル分岐回路540とが接続されている。上記コントローラ551と553は各々マイクロコンピュータで構成され、パケットメモリ552は、ユニットメモリ170と同じくデュアルポートメモリにより構成されている。ただし、パケットメモリ552内にはコマンドの入る共有データエリアはなく、データ伝送コントローラ551とネットワークコントローラ553との間の送信、受信の要求のやり取りは、コントローラ間で直接行なわれるようになっている。
【0129】
図21に、上記低層ネットワーク510と高層ネットワーク520間のデータ伝送の緩衝を行なう上記NAU(ネットワークアダプタユニット)530の回路構成例を示す。
この実施例のNAU530は、低層ネットワーク510における送受信権の確立およびデータの直並列変換を行なう低層ネットワークコントローラ533と、CSMA/CD方式の高層ネットワークにおける送受信権の確立およびデータの直並列変換を行なう高層ネットワークコントローラ537と、これらのネットワークコントローラ533と537との間のデータ転送を制御するデータ伝送コントローラ535とを備えている。上記コントローラのうち、低層ネットワークコントローラ533は、トークンパッシング専用の通信用LSIからなり、高層ネットワークコントローラ537とデータ伝送コントローラ535は、汎用マイクロコンピュータによって構成されている。
【0130】
そして、これらの低層ネットワークコントローラ533とデータ伝送コントローラ535との間およびデータ伝送コントローラ535と高層ネットワークコントローラ537との間には、低層ネットワーク510と高層ネットワーク520のデータ伝送速度の違いを吸収するための緩衝用パケットメモリ534と536とがそれぞれ接続されている。上記パケットメモリ534,536はデュアルポートメモリにより構成され、送信データエリアと受信データエリアとを有する。また、上記低層ネットワークコントローラ533と低層ネットワーク(トークスバス)510との間には、送信信号と受信信号の分離および結合を行なう分岐回路531と、送受信データ信号のレベル変換を行なう信号変換回路532が接続されている。また同様に、高層ネットワークコントローラ537と高層ネットワーク520との間には信号変換回路538と分岐回路539が接続されている。
【0131】
さらに、この実施例のNAU530には、複数個接続されているNAUを互いに区別するための番号を設定するNAU番号設定器561と、各NAU530の制御下にある低層ネットワーク510上に存在する端末機のうち最小台番号を設定する最小台番号設定器562と、低層ネットワーク上に存在する端末機の台数を設定する台数設定器563とが設けられている。各設定器561〜563の設定値は、NAU530内のデータ伝送コントローラ535に入力され、NAU番号は高層ネットワーク520における各NAUの伝送アドレスの形成に使用される。また、最小台番号と台数とにより低層ネットワーク510における各端末機の伝送アドレスが形成される。
【0132】
上記階層的ローカルネットワーク500(図19)においては、システム立上り時に管理装置400が各NAU530を通じて回線テストと、各端末機に対する設定値の設定を行なうとともに、システム稼動中にはNAU530が低層ネットワーク510を使用して1秒間に1回ずつ端末機P,H,Sから稼動データを収集して自己のメモリ内に蓄積する。そして、蓄積データは、管理装置400からの要求に応じて同じく1秒間に1回ずつ高層ネットワーク520を通して各NAU530から管理装置400内のデータファイル内にストックされる。
【0133】
上記のごとく、通信ネットワークがNAU530をバッファとする階層的構成にされ、高層ネットワーク520が低層ネットワーク510の伝送速度2.5Mbpsの4倍の伝送速度を有するようにされているため、100〜1000台の端末機を有するシステムにおいても、各端末機から表1、表6、表12に示すような大量の稼動データを1秒間に1回管理装置へ収集することができる。
表26には、上記データ伝送システムにおいて使用されるパケットの種類すなわちCPUからCPUへのメッセージの種類が示されている。
【0134】
【表26】

【0135】
同表において、ユニットとは各端末機(パチンコ機、カード発行機、精算機)の制御ユニットのことであり、例えば管理装置400から各NAU(ネットワークアダプタユニット)530に対して「ユニットテーブル要求」なるパケットが送信されると、NAUはそれを受けて自己の制御下にある端末機から吸い上げた台番号等を管理装置に返送し、管理装置はこれに基づいて伝送アドレスを知り、アドレスファイルを形成して保持する。
【0136】
また、表26に掲記されている“カード・イン”パケットは、パチンコ機100の制御ユニット160にカードが挿入されたときに、ユニット側から管理装置400に対してそのカードに関する情報“カードテキスト”を要求するためのパケットである。ここでカードテキストとは、カード番号、持玉数、金額(未使用分)およびカード状態の4つの情報の入ったテキストである。「帰零」なるパケットは、あるパチンコ機で遊技中にカードの持玉数および金額が共に零になった場合に、パチンコ機の制御ユニット160から管理装置400に対してカードテキストを送信するためのパケットである。
【0137】
一方、「中断終了」なるパケットは、遊技客が中断スイッチ115を押してカードを受取ってパチンコ機を離れ、その後、中断中のパチンコ機に戻らずそのまま精算機にカードを入れて精算を行なった場合に、管理装置が中断中のパチンコ機の中断状態を解除するための指令を行なうパケットである。これによって遊技客はわざわざ中断中のパチンコ機へ戻って遊技終了スイッチ114を押さなくても精算を行なうことができるようになる。
【0138】
また、ACKおよびNAKなるパケットは、管理装置400とネットワークアダプタユニット530間で、送信要求を受けたときに相手に対して要求に応じた旨の応答をする場合と要求に応じられない旨の応答をする場合に使用されるパケットで、このうちACKを返送する場合には、カードテキスト等要求されたデータが付加されることもある。さらに、この実施例では回線テストやモニタ異常、トークンバス異常等に基づいて管理装置400の判断で、各端末機を個別に、もしくは種別毎に動作の停止指令を与えるための“強制終了要求”パケットとともに、各端末機の制御ユニット側の判断で、例えば自己の制御下の端末機が制御不能になったような場合に、制御を停止してそれを管理装置に通知できるようにする“強制終了通知”パケットが用意されている。
【0139】
なお、表26に示されているパケットコード8OH〜8AHは、16進数で表示したものであり、そのコードは一例であってこれに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0140】
次に、上記データ伝送システム(ローカルネットワーク)において使用されるパケットのフォーマットを、“定時データ要求”とその応答たる“定時データ送信”および“カードイン”を例にとって説明する。
図22にはパチンコ機に関する“定時データ要求”パケットの構造(他の端末と共通)を、また、図23にはNAUがパチンコ機から収集した稼動データを送信する“ACK”パケットの構造を示す。
【0141】
さらに、図24にパチンコ機の制御ユニット160から管理装置400に送られる“カードイン”パケットの構造、図25および図26にそのパケットのメッセージに対する肯定応答パケット、図27にその拒否応答パケットを示す。
【0142】
そして、表27には、上記各パケットのヘッド部にレイアウトされた固有データの定義を掲記した。
【0143】
図23において、HHDで示されているのは高層ネットワーク520で使用されるパケットヘッドで、LHDで示されているのは低層ネットワーク510で使用されるパケットヘッドである。
【0144】
【表27】

【0145】
高層ネットワーク520内での管理装置400とNAU530との間のデータ伝送は、パケットヘッドHHDを用いて行なわれ、低層ネットワーク510内でのNAU530と各端末機との間のデータ伝送は、パケットヘッドLHDを用いて行なわれる。
【0146】
また、管理装置400からNAU530を介して各端末機へのデータの伝送は、2つのパケットヘッドHHDとLHDを使って行なわれる。この場合、上位のパケットヘッドHHDによって、伝送先の端末機の属するネットワークアダプタが指定され、そこにパケットが取り込まれると、上位のパケットヘッドHHDが外され、下位のパケットヘッドLHDのみをヘッドとして低層ネットワーク510上に送り出され、指定された端末機にパケットが伝送される。
【0147】
一方、各端末機から管理装置400に対してデータを伝送する場合、先ず端末機は低層ネットワーク用のパケットヘッドLHDのみをデータの頭に付けて低層ネットワーク510上に送り出す。すると、そのパケットはNAU530によって取り込まれ、そこでパケットヘッドLHDの頭にさらに高層ネットワーク用パケットヘッドHHDを付けて高層ネットワーク520上に送り出し、管理装置400へ伝送されるようになっている。
【0148】
さらに、図22〜図27の各パケットの末尾に付加されている“PADDING”なる部分は、パケットデータの長さを所定の長さに合せるために付加されたダミーのデータフィールドである。
また、図23に示されている“定時データ要求”に対する応答パケットにおいて、上位のパケットヘッドHHDの下には、一つのNAU530に属する全パチンコ機の稼動データが連結されるようになっており、*1で示すヘッドとデータは最初のパチンコ機に関するもの、*2で示すヘッドとデータは2番目のパチンコ機に関するもので、以下同様にして全てのパチンコ機のデータが続いている。
【0149】
なお、図22〜図27に示されているパケットは、各ネットワークにのせられる本来のパケットの全体でなく要部のみであり、その他に伝送元を示すソースアドレスフィールドや伝送先を示すデスティネーションアドレス等からなるヘッダ部と、誤り検出用のチェックコード部がある。これらは、各端末機の制御ユニットやネットワークアダプタユニット内のネットワークコントローラ553,533,537(図20、図21参照)によって自動的に生成されて付加されるようになっている。
【0150】
次に、表26に示す各パケットを用いたデータ伝送によるパチンコ遊技システムの動作について説明する。
図28および図29に、管理装置400による各端末機の初期化およびネットワークの回線テストの手順の流れを示す。
【0151】
システムの電源が投入されると、管理装置400では、先ず主記憶装置内の全てのファイルFL1〜FL6をゼロにクリアしてから、ハードディスク(補助記憶装置1)から端末機の台数や賞球数、打止数等の設定値を読み出して表17に示すような設定値ファイルFL1を確立し、この設定値ファイルFL1からNAU530の台数を読み出してNAUアドレスを演算した後、このNAUアドレスを使って回線テスト処理を行なう(S2501〜S2505)。すなわち、高層ネットワーク520を使って各NAU530へ“回線テスト”パケットを送信するとともに、管理装置のCRT表示器405に「回線テスト中」なるメッセージを表示する(S2506,S2507)。“回線テスト”パケットには、パケットヘッドとともにタイマより得られる年月日および識別コード(店番号)が付加されて伝送される。
【0152】
一方、電源投入によりNAU530においては、先ずNAU番号設定器561〜563から設定値(NAU番号、最小台番号、端末台数)を読み出して各端末の伝送アドレスを算出してユニットアドレステーブルを作成し、各ユニット(端末)およびNAU自身の伝送アドレスを認知する(S2511〜S2514)。設定器からの設定値に基づいてここで認知されたNAUアドレスは、ステップS2504で管理装置400が設定値ファイルFL1のデータから認知したNAUアドレスと一致する。各々が互いに同一のアドレスを認知することにより相互通信が可能になる。
【0153】
その後、管理装置400から“回線テスト”パケットが送られてくると、NAU530はパケットの受信を確認してから応答信号として“ACK”パケットを送信する。この“ACK”を管理装置400の通信制御装置SCCが受信することにより対応するNAUとの間の回線異常がないことを認知することができ、上記手続き(S2507〜S2510)をNAUの数だけ繰り返すことにより全回線のチェックが終了し、その後ユニットテーブル要求処理S2601(図30)へ移行する。
【0154】
一方、各端末機の制御ユニット160,250,350は、電源が投入されると、先ずユニット内のデータ伝送コントローラ551が、ユニットメモリ170,270,370の全データエリアをクリアしてから共有エリアに割込みコマンドを入れてスタート要求を行なう(S2521〜S2523)。すると、各端末機のユニットコントローラ190,251,351がスタート要求を確認して台番号設定器から設定値(台番号)を読出し、通し番号とチャネル番号の下位の算出を行なってから、それをユニットメモリの送信データエリアに書き込み、それをデータ伝送コントローラ551が読み取ることで制御ユニット側でのユニットアドレスの認知が行なわれる(S2524〜S2528)。これによってトークンバスを使ったNAU530と各端末機との間のデータ伝送が可能となる。
【0155】
その後、NAU530が各ユニット(端末)に対して既に管理装置400より受信したデータ(年月日と識別コード)を付加した“回線テスト”パケットを送信すると、ユニット側のデータ伝送コントローラ551が“回線テスト”の受信を確認してから、受信データとともにステップS2528で得られた台番号、通し番号およびチャネル番号(下位)を付加してNAUに送信し、NAUがこれを確認する(S2531〜S2534)。これを全ユニットについて繰り返すことにより低層ネットワーク510の回線テストが終了する。
【0156】
すると、NAU530は受信した台番号等から伝送アドレスを算出し、自己の制御下のユニット(端末)に関するユニットテーブルを作成してから、管理装置400からのユニットテーブル要求に応じたユニットテーブル送信処理S2604へ移行する。このユニットテーブルには、処理S2531の受信確認の結果すなわち表4、表9、表15に示すモニタ情報1も入れておく。一方、NAU530からの“回線テスト”パケットを受け取ったユニット側の伝送コントローラ551は、ユニットメモリ170,270,370内の共有データエリアのコマンドレジスタCR2に“回線テスト”を示すコマンドを書き込む(S2551)。これを各端末機のユニットコントローラ190,251,351が読み取ることにより回線が正常に接続されたことを確認し(S2552)、初期値設定処理S2701へ移行する。
【0157】
図30に、管理装置400における伝送アドレスファイルの作成手順を示す。伝送アドレスファイルを作成する場合、管理装置400はユニットテーブル要求処理を開始して、先ず通信制御装置SCCが各NAU530に対して“ユニットテーブル要求”パケット(表26)を送信する(S2602)。すると、NAU530はそのパケットを受信(S2603)して、図31に示すようにPACKET$TYPE部に“ACK”(=08H)の入ったヘッド部HHDの次に、NAU番号とNAUステータス(トークンバス異常、開店コード受信済み、NAU正常を示すビット等からなる)および前述したユニットテーブルのデータ(各ユニットについてのユニット番号と種別フラグ、台番号、通し番号、チャネル番号とモニタ情報1)をユニット数だけ付加してなる“ACK”パケットを送信する(S2604)。
【0158】
管理装置400がこのユニットテーブルを受信すると、表17に示すような伝送アドレスファイルFL2を作成してから、図28の回線テストで各端末機からの受信データの受信確認(S2534)により形成されたモニタ情報1を見て、回線モニタを確認(S2607)し、異常がなければ、初期値設定処理(S2701)へ移行する。しかして、ここで各端末機から送られてきたモニタ情報1を見て異常があった場合にはCRT表示装置405の画面上に、異常端末の表示を行なう。
【0159】
図32および図33に回線テスト終了後に行なわれる管理装置400から各端末機の制御ユニット160,250,350に対する初期値設定の手順を示す。初期値を設定する場合、先ず管理装置400の中央処理装置CPUは、第25図の処理S2502で作成した設定値ファイルFL1を主記憶装置M-MEMから読み出して通信制御装置SCCに渡し、ここで“初期値設定”パケットのデータ部に、年月日、識別コード、購入玉交換レート、メイン賞球数、サブ賞球数、打止数、打止モード等の初期値とホットコード(ユニットメモリ内のデータの信頼性を後に確かめるためのコード)を入れて、高層ネットワーク用ヘッド部と低層ネットワーク用ヘッド部をパケットの頭につけて送信する(S2701,S2702)。
【0160】
すると、NAU530がそのパケットを受け取って、高層ネットワーク用ヘッド部を除去して、低層ネットワーク上へ“初期値設定”パケットを送り出すとともに、高層ネットワークへは応答信号たる“ACK”パケットを送信する(S2703,S2704)。管理装置400は、この“ACK”を受信すると、S2705から再びS2701の処理に戻り、伝送先アドレスを変更してS2701〜S2705の手続きを繰返し、全端末機の制御ユニットに対する初期値の送信を行なう。
【0161】
一方、低層ネットワーク510側では、NAU530から送信されたパケットを、指定された制御ユニットが受け取って、ユニットメモリ(170,270,370)内のコマンドレジスタCR2に初期値設定コマンドを書き込み、受信データエリアに受信した初期値を書き込む(S2711,S2712)。そして、ユニットコントローラ190,251,351が、ユニットメモリ170,270,370内のコマンドとデータを読み込んで、初期値の受信確認をするとともに、年月日と識別コードを、端末機に設けられているカードリーダ(カードライタを含む)180,220,310に転送し、カードリーダ側の制御装置がこれを記憶する(S2713,S2714)。
【0162】
また、上記処理とは別個に、管理装置400のコンソール406上の初期値設定スイッチ432がオンされて、設定値更新処理(S2720)が実行されると、CRT表示装置405の画面DSP上に設定値が表示されるとともに、主記憶装置M-MEM内の設定値ファイルFL1が更新され、このファイルから設定値が読み出されて上記手続きS2701〜S2714に従って新しい初期値が設定される。
【0163】
図34に、営業開始後に各端末機から稼動データの定期的収集を行なう手順を示す。
各端末機の制御ユニット160,250,350内の伝送コントローラ551は、自己の持つタイマからの割込みによって例えば1秒ごとの定時時刻を確認すると、ユニットメモリ170,270,370内の送信データエリアSDAに書き込まれている稼動データを読み出して、それを“定時データ送信”パケットに入れて低層ネットワーク510上にのせ、NAU530に送る(S2801〜S2803)。NAU530は、各ユニットから定時データを受信すると、自己のメモリ内に形成されている各ユニットごとの稼動データを格納するデータテーブルを更新する(S2804,S2805)。なお、NAU530によって収集される定時データは、各端末機のユニットコントローラ190,251,351がリアルタイムで端末機の稼動データを吸い上げて次々とユニットメモリ170,290,370内に書き込んでおくようにされている。
【0164】
一方、管理装置400の側でも、中央処理装置CPUが自己のタイマからの割込みによって1秒ごとの定時時刻を確認して、定時データ要求処理を開始し、通信制御装置SCCから各NAU530に対して“定時データ要求”パケットを送信する(S2811〜S2813)。すると、指定されたNAU530がそのパケットを受信して、“ACK”パケットに、S2801〜S2805の手続きで収集したデータテーブルを入れて送信する(S2814,S2815)。これを管理装置400が受信して表23〜表25に示す該当端末機のファイルFL4〜FL6を更新する(S2816,S2817)。
【0165】
図35および図36に、管理装置400による各端末機への初期値設定後の開店処理の流れを示す。
管理装置400のコンソール406上の開店スイッチ421がオンされると、中央処理装置CPUは、回線テストおよび初期値設定等の準備処理が終了したことを確認してから、開店処理を開始し、先ず通信制御装置SCCによって“開店コード”パケットを送信する(S2901,S2902)。すると、NAU530がそのパケットを受け取って高層ネットワーク用ヘッド部を除去して、低層ネットワーク上へ“開店コード”パケットを送り出すとともに、高層ネットワーク520へは応答“ACK”パケットを送信する(S2903,S2904)。
【0166】
管理装置400は、すべてのNAU530から“ACK”を受信すると、通常の営業処理へ移行し、CRT表示装置405の画面DSPには営業中なるメッセージや操作可能なコンソール上のスイッチ名や操作方法を示す文等を表示するノーマル表示をおこなう(S2905,S2906)。
【0167】
一方、NAU530から送信された“開店コード”パケットを、各端末機のデータ伝送コントローラ551が受け取ると、各制御ユニット160,250,350内のユニットメモリ170,270,370のコマンドレジスタCR2に“開店コード”が書き込まれ、これをユニットコントローラ190,251および351が読み取ることで、カードリーダ180,220,310にはカード受付けおよび発行を許可するとともに、カード発行機の紙幣識別機210を紙幣受付け可能状態とし、かつ各端末機外部の表示器164,242,342を点灯させ、遊技客に対して端末機が稼動状態にあることを知らせるようになっている(S2911〜S2914,S2921〜S2924,S2931〜S2934)。
【0168】
図37および図38に、1日の営業終了後における管理装置400による閉店処理の手順を示す。
閉店処理は、管理装置側のコンソール406上の閉店スイッチ422がオンされることにより開始されるが、遊技中のパチンコ機があるとき(営業中)に誤って閉店スイッチがオンされても処理は開始されない。閉店処理の手順は、ほぼ開店処理の場合と同じであり、手続きS3001〜S3006は、図35および図36の手続きS2901〜S2906に対応し、S3011〜S3014はS2911〜S2914に、S3021〜S3024はS2921〜S2924に、またS3031〜S3034はS2931〜S2934の手続きにそれぞれ対応する。これによって、各端末機の稼動中を示すランプ164,241,341が消灯され、代わりに、稼動中止を示すランプ242や342が点灯されるとともに、カード発行機200では紙幣識別器210が受付け不能状態にされる。またCRT表示装置405の画面DSP上には営業終了表示がなされる。
【0169】
図39および図40には、遊技を始めるためパチンコ機100にカードCDが挿入されてから遊技が開始されるまでの手順が示されている。
外部よりパチンコ機上部の制御ユニット160のカード挿排口161よりカードCDが挿入されると、カードリーダ180がカードの磁気面に記録されている情報を読み取って、先ずここで年月日と識別コード(店番号)を確認して、日付またはコードが一致しないときにはそのままカードを排出し、一致した場合にはカード番号をユニットコントローラ190へ転送する(S3101)。すると、ユニットコントローラ190はカード番号を受け取ってユニットメモリ170のコマンドレジスタCR1にカードが挿入されたことを示すコマンドを、また送信データエリアにカード番号を書き込む(S3102,S3103)。それから、データ伝送コントローラ551がヘッド部に“カードイン”なるメッセージを持ち、データ部にカード番号とアドレス(台番号、通し番号、チャネル番号)を入れた第22図に示すようなパケットを形成して送信し、NAU530がそれを受信して、高層ネットワーク用のヘッドを頭に付けて高層ネットワーク520上に送信する(S3104,S3105)。
【0170】
管理装置400がNAU530からカード番号を受け取ると、カード番号から発行通し番号nを算出し、主記憶装置M-MEM内のカードファイルFL3より該当するカードのデータを読み取る(S3106,S3107)。そして、該当するカード番号がない場合、あるいはカードデータの中のカード状態(表19)を確認して、遊技を開始させるのが妥当でないと判断した場合(精算済カード等の場合)には、応答拒否信号たる“NAK”パケット(第24図参照)を送信する(S3108,S3111)。すると、NAU530がそのパケットを受信して高層ネットワーク用のヘッド部を除去して低層ネットワーク510に送り、指定されたユニットの伝送コントローラ551が“NAK”を受信して、ユニットメモリ170内のコマンドレジスタCR2に応答が拒否されたことを示すコマンドを書き込む(S3112〜S3114)。これをユニットコントローラ190が読み取って応答拒否を確認し、カードリーダ180からカードを排出させる(S3115,S3116)。
【0171】
一方、S3108の処理において、カードが適正なものと確認されると、カードファイルFL3とP機ファイルFL4(表21、表23)の更新、すなわちカード状態を「フリー状態」から「遊技中」に更新し、また、カードの所在する端末(パチンコ機)の台番号やカード番号を、該当するテーブルに書き込んだ後、カードテキスト(金額、持玉数等)を付けて応答信号たる“ACK”パケットを送信する(S3121,S3122)。
【0172】
指定されたNAU530がこのパケットを受信すると、高層ネットワーク用のヘッド部を除去して低層ネットワーク510に送り出し、指定された制御ユニット190がこれを受信する。すると、ユニットメモリ内のコマンドレジスタCR2に「カードイン」なるメッセージを入れ、受信データエリアにカードテキストを入れる(S3123〜S3125)。
【0173】
そして、ユニットコントローラー190がユニットメモリ170の内のメッセージを読み取って応答があったことを確認すると、カードリーダ180内にカードを保持させたまま、ユニットメモリ170の送信データエリアSDA内の稼動情報を「遊技中」に変更すると共に、玉表示器163と金額表示器162にカードの持玉数と金額を表示させ、また金額がゼロでない場合には購入可表示ランプ113aを点灯させて購入可能状態を表示させる(S3126,S3127)。
【0174】
図41および図42に遊技中にパチンコ機100の中断スイッチ115(図6参照)がオンされた場合の処理の手順が示されている。
中断スイッチ115が押されると、ユニットコントローラー190はユニットメモリ170の送信データエリアに入っているカードテキストのうちカード状態を「中断中」に変更し、共有データエリアのコマンドレジスタCR1には“中断スイッチ・オン”なるメッセージを書き込む(S3201,S3202)。すると、データ伝送コントローラ551がこれを読み取って、“中断スイッチ”パケットにカードテキストを入れてNAU530へ送信する(S3203)。NAU530はそのパケットを受信すると高層ネットワーク用のヘッドを頭に付けてカードテキストを管理装置400へ送る(S3204)。
【0175】
管理装置400はそれを受信すると、カードテキスト内のカード番号から関数f(n)を使って発行通し番号nを算出し、主記憶装置M-MEM内のカードファイルFL3の該当するカードのデータを更新する(S3205〜S3207)。それから、応答信号として“ACK”パケットにカードテキストを付けて送信し、NAU530がこれを受けとって高層ネットワーク用ヘッドを外して低層ネットワーク510上へ送り出す(S3208,S3209)。
【0176】
すると、伝送先の制御ユニット160がこの“ACK”パケットを受信してユニットメモリ170内のコマンドレジスタCR2に「中断スイッチ」なるメッセージを入れ、受信データエリアにカードテキストを書き込む(S3210,S3211)。これによってユニットコントローラ190が受信を確認して、カードリーダ180よりカードを排出するとともに、ユニットメモリの送信データエリアSDA内の稼動情報を「中断中」に変更する(S3212〜S3214)。また、パチンコ機100に設けられている購入スイッチ113内のランプ113aを消灯し、中断スイッチ115内のランプ115aを点灯する。
【0177】
次に、図43および図44に中断中のパチンコ機100にカードCDが挿入された場合の処理の手順を示す。
この場合の手順は図39および図40に示されているカードインの場合の手順とほぼ同一である。すなわち、パチンコ機から管理装置400へカードが挿入されたことを伝える処理S3301〜S3308は、図39および図40の処理S3101〜S3108に対応し、その肯定応答たる“ACK”の伝送処理S3321〜S3327は、図39および図40の処理S3121〜S3127に、また、否定応答たる“NAK”の伝送処理S3311〜S3316は図39および図40の処理S3111〜S3116にそれぞれ対応する。
【0178】
異なる点は送信パケットとして、“カードイン”パケットの代わりに“中断カードイン”パケットを用いる点と、カードが挿入された時点でカード番号が中断前のものと異なる場合に直ちにカードリーダ180よりカードを排出させる(S3302→S3316)点および管理装置400の側でP機ファイルFL4の更新を行なわない点である。P機ファイルの更新は、既に最初にそのカードが挿入されたときに行なわれているからである。なお、カードファイルFL3はカード状態を「中断中」から「遊技中」に更新する。また、持玉数、金額表示の代わりに中断中表示ランプ115aの消灯がなされる。
【0179】
遊技中に終了スイッチ114がオンされた場合の処理手順(図示省略)は、図41および図42に示されている中断スイッチオンの場合の処理手順と全く同じである。異なるのは、ユニットコントローラ190によるカード状態の変更(S3201)と稼動情報の変更(S3214)が「中断」でなく「フリー」になる点と、カードテキストの送信に“終了スイッチ”パケットが使用される点および中断表示ランプ点灯の代わりに持玉数、金額の表示がゼロにされる点だけである。
【0180】
図45および図46に、遊技中に持玉数と未購入金額が共にゼロになった場合(帰零と称する)の処理の手順が示されている。この場合の処理は、図41および図42に示されている中断スイッチオンの場合の手順とほぼ同じである。すなわち、処理要因がパチンコ機100側で発生したのに起因してそれを管理装置400へ知らせる処理S3403〜S3406は、図41および図42の処理S3203〜S3206に対応し、管理装置におけるファイル更新および応答“ACK”の送信処理S3407〜S3413は、図41および図42の処理S3207〜S3214に対応する。異なるのは、帰零が発生したことをユニットコントローラ190が判定した場合に、ユニットメモリ170内に「帰零」なるメッセージを入れ(S3401,S3402)、かつ送信には“帰零”パケットを使用する点と、ACK確認後にカードに無効を示すマーキングを行なって排出させると共に(S3412,S3413)、送信データエリアSDAの稼動情報を「中断中」でなく「フリー」にし、また中断中ランプ115aを点灯する代わりに持玉数、金額表示をゼロにする点である。
【0181】
図47および図48に、遊技中にユニットコントローラ190が、初期設定された打止モードに従って賞球排出数等が打止数に達し、打止状態になったと判定した場合の処理の手順を示す。この場合の処理は図45および図46の帰零処理の手順とほぼ同じである。
【0182】
すなわち、処理要因がパチンコ機100側で発生したのに起因してそれを管理装置400へ知らせる処理S3503〜S3506は、図45および図46の処理S3403〜S3406に対応し、管理装置におけるファイル更新および応答“ACK”の送信処理S3507〜S3513は、図45および図46の処理S3407〜S3414に対応する。異なるのは、打止が発生したことをユニットコントローラ190が判定した場合に、ユニットメモリ170内に「打止」なるメッセージを入れ(S3501,S3502)、かつ送信には“打止”パケットを使用する点と、ACK確認後にユニットメモリの送信データエリアSDA内の稼動情報を「フリー」でなく「打止」にし、また購入可ランプ113aを消灯して持玉数、金額の表示をゼロにクリアするとともにアナログ表示器164を打止表示(点滅)させる点にある。
【0183】
その他、カードリーダ180ではカード排出後、次のカードの受付けを不能にする(S3521)とともに、CRT表示装置405に打止台の割込みメッセージを表示させ、かつプリンタ408によって打止情報を印字させる(S3531,S3532)。また、カードファイルFL3の更新と同様P機ファイルFL4にもパチンコ機の状態が「打止」に変わったことを登録する(S3507)。
【0184】
図49および図50に、管理装置400のコンソール406からの打止解除指令に基づく打止解除処理の手順を示す。
【0185】
コンソール406上の打止解除スイッチ433がオンされると、CRT表示装置405の画面DSP上に打止台のリストが表示され、それを見ながらオペレータが打止を解除したいパチンコ機の台番号をコンソール406上のテンキー425等を使って入力すると、CPUがその指令を受付けて通信制御装置SCCより、“打止解除”パケットを送信する(S3601〜S3605)。このパケットには、台番号とともに通し番号やチャネル番号を入れて送る。すると、指定されたNAU530がそのパケットを受信して高層ネットワーク用のヘッド部を除去して低層ネットワーク510上へ送り出し、そのパケットを受け取った制御ユニット160のデータ伝送コントローラ551がユニットメモリ170内のコマンドレジスタCR2に「打止解除」メッセージを書き込む(S3606〜S3608)。そして、これをパチンコ機のユニットコントローラ190が読み取って打止解除指令が入ったことを確認して、ユニットメモリ内の送信データエリアにある打止演算レジスタをゼロにクリアして、送信データエリア内のパチンコ機稼動情報を「フリー」に変更するとともに、カードリーダ180に対してはカードの受付けを許可するように指令を与え、かつアナログ表示器164をスクロールさせる(S3609〜S3612)。
【0186】
一方、“打止解除”パケットを受信したNAU530は、応答パケット“ACK”を管理装置400に対して送信し、管理装置がこれを送信すると、P機ファイルFL4内の稼動情報を「フリー状態」に変更する(S3621〜S3623)。
【0187】
図51および図52に、管理装置400の側から端末機を強制終了させる場合の処理手順が示されている。
遊技店の営業は閉店によって終了するが、従来は店内放送および係員により営業終了通知が行なわれていた。しかるに、終了間際になって玉を購入する遊技客がいたり、出玉の良好な状態にあるパチンコ機100にいる遊技客はなかなか遊技を止めようとせず、定時に営業を終了させることが困難であった。
【0188】
この実施例ではコンソール406上の強制終了スイッチ434を操作し、種別選択を行なうと端末の種別ごとに動作を停止させることができるため、先ず閉店の30分程度前にカード発行機200によるカードの発行を停止させ、また営業終了時刻には全パチンコ機の動作を停止させ、最後の遊技客が精算終了してから精算機300の動作を停止させることで営業終了を円滑に行なうことができる。
【0189】
この場合、強制終了スイッチ434がオンされると、CRT表示装置405の画面DSP上に強制終了メニューが表示される(S3701)。このメニューに従って終了させる端末機の種別をテンキー425(全台終了指定)により選択すると強制終了台番号の入力を促す表示がなされる(S3702)。この実施例では、各端末機の種別(パチンコ機、カード発行機、精算機)ごとに全機同時に終了させることができるようになっており、ここで種別ごとの一括終了をコンソールより指定すると、種別強制終了処理が開始され、表25に示されている“強制終了要求(種別)”パケットが高層ネットワーク520上に送出される(S3703,S3704)。
【0190】
NAU530がこのパケットを受信すると、高層ネットワーク用ヘッドを外して該当する同種の全端末機に対して、“強制終了要求”パケットを送信し、管理装置400に対しては応答信号“ACK”を返し、管理装置がこれを受信して応答を確認する(S3705〜S3708)。
【0191】
一方、NAU530からの“強制終了要求”パケットを受け取った各端末機の制御ユニット160,250,350は、ユニットメモリ170,270,370のコマンドレジスタCR2にそれぞれ受信したメッセージを書き込み、ユニットコントローラ190,251,351がこれを読み取ることで強制終了動作に移行する(S3711〜S3713,S3721〜S3723,S3731〜S3733)。
【0192】
これによって、パチンコ機100ではアナログ表示器164を消灯するとともに、遊技中および中断中は“終了スイッチ”パケットの送信処理を行なってカードの情報を管理装置400に渡してから、カードリーダ180内のカードを排出し、かつ以後カードの受付けを不能にする(S3714〜S3716)。
【0193】
一方、カード発行機200では、カードライタ220による新たなカードの発行を不能にする(S3724)とともに、紙幣識別機210における紙幣の受付けを拒否させ、かつ発行中止ランプ242を点灯させる。
【0194】
また、精算機300では、カードリーダ310によるカードの受付けを不能にする(S3734)とともに、精算中止ランプ342を点灯させる。
この実施例のシステムでは強制終了を各端末機に対し個別に行なうことができるようにしてあり、図51の処理S3702で表示されたCRT画面を見て、テンキー425より台番号を指示すると、S3703以降の処理と同じ処理に従って表26に示されている“強制終了要求(個別)”パケットに台番号が付加されて指定された端末機に送信され、それを受信した端末機では、上述したのと同じ処理(S3711〜S3716,S3721〜S3724,S3731〜S3734)が実行される。
【0195】
さらに、この実施例の伝送システムでは、管理装置400の側から強制終了中の端末機の動作停止を解除させる指令を伝送するための“強制終了解除”なるパケットも種別用のものと個別用の2種類が用意されている。
【0196】
図53および図54には、種別ごとに強制終了状態を解除させる場合の手順が示されている。
この場合の手順は図51および図52に示されている強制終了要求の場合の手順とほぼ同一である。すなわち、管理装置400のCRT表示装置405を見ながらコンソール406から強制終了解除の指令を入力する処理および管理装置400からNAU530に対してパケットを送信してその応答“ACK”を受け取るまでの処理S3801〜S3808は、図51の処理S3701〜S3708に、また各端末機の制御ユニット160,250,350において、NAU530からの“強制終了解除”パケットを受信して、データ伝送コントローラ551からユニットコントローラ190,251,361に伝え、それを確認して対応する動作を開始するまでの処理S3811〜S3813,S3821〜S3823およびS3831〜S3833は、図52に示されている処理S3711〜S36713,S3721〜S3723およびS3731〜S3733に、それぞれ対応する。
【0197】
異なる点は送信パケットとして“強制終了要求”の代わりに“強制終了解除”を用いる点と、各端末機の動作が逆になる点である。すなわち、パチンコ機においては強制終了解除の確認によってカードリーダ180によるカード受付けを可能にし(S3814)、かつアナログ表示器164をスクロール(点灯するランプの移動)させていわゆる客待ちの状態を表示させる。またカード発行機200においては、紙幣識別器210による購入紙幣の受付けを可能にし、かつ発行中ランプ241を点灯させる。さらに、精算機300においては、カードリーダ310によるカードの受付けを可能にし(S3834)、かつ精算中ランプ341を点灯させる。
各端末機を個別に終了解除させる処理(図示省略)は、図53および図54と略同様の手順によって個別に行なわれる。
【0198】
図55および図56に、パチンコ機100において遊技終了スイッチ114が押された場合の遊技終了処理の手順を示す。
パチンコ機100下部に設けられている遊技終了スイッチ114が押されると、ユニットコントローラ190がこれを検出してユニットメモリ170内のカードテキストのカード状態を「遊技中」から「フリー」に書き換えるとともに、ユニットメモリ170内のコマンドレジスタCR1に終了スイッチがオンされたことを示すメッセージを書き込む(S3901,S3902)。すると、データ伝送コントローラ551がこれを読み取って、“終了スイッチ”パケットにカードテキストを入れ、低層ネットワーク510を介してNAU530へ送信する(S3903)。NAU530は、そのパケットを受け取ると、高層ネットワーク用のヘッドを頭に付けてカードテキストを管理装置400へ送る(S3904)。その後は、パチンコ機100の中断スイッチ115がオンされた場合の処理手順(図41および図42S3205〜S3212参照)と同じ手順に従って制御ユニット160に“ACK”が返送され(S3905〜S3912)、カードリーダ180からカードが排出され(S3913)、ユニットメモリ170内のパチンコ機に関する稼動情報が「フリー状態(客待ち状態)」に変更される。また、玉数表示器163および金額表示器162の表示が「0」にクリアされるとともに、購入スイッチ内の購入可能を示すランプ113aが消灯される。
【0199】
一方、この実施例のシステムでは、前述した中断処理(図41および図42参照)によって遊技が中断され、他のカードの受付けを拒否している中断中のパチンコ機100が、その中断機から開放されたカードを精算機300に挿入して精算処理を行なわせると、管理装置400からの指令によって中断が解除されるようになっている。
【0200】
図57および図58にその場合の処理手順を示す。
カードが精算機に挿入されると、精算機300と管理装置400との間のデータ伝送によって精算処理(第42図参照)が実行され、その終了を管理装置400が確認すると、カード情報に基づいて対応する中断中のパチンコ機100に向けて“中断終了”パケットを送信する(S4001,S4002)。このパケットは一旦NAU530によって受信され、高層ネットワーク用ヘッドが外されてから対応するパチンコ機100の制御ユニット160に対して送信される(S4003)。このパケットをデータ伝送コントローラ551が受信すると、ユニットメモリ170内のコマンドレジスタCR2に「中断終了」なるメッセージが書き込まれ、これをユニットコントローラ190が読み取って確認すると、カードリーダ180によるカードの受付けが可能にされるとともに、ユニットメモリ170内のパチンコ機に関する稼動情報を「中断中」から「フリー状態」に変更する(S4011〜S4015)。またパチンコ機前面の玉数表示器163と金額表示器162の表示を「0」にクリアするとともに、中断中を示すランプ115aを消灯し、アナログ表示器164をスクロールさせて、客待ち状態とする。
【0201】
一方NAU530は、管理装置400からの“中断終了”パケットを受信した時点で応答信号たる“ACK”パケットを送信し、これを管理装置400が受信すると、P機ファイルFL4内の稼動情報を「中断中」から「フリー状態」に変更する(S4021〜S4023)。
【0202】
図59および図60に、カード発行機200に紙幣が挿入されてからカードCDが発行されるまでの処理手順が示されている。
発行機200の紙幣挿入口211に紙幣が投入されると、紙幣識別器210がこれを識別してユニットコントローラ251に知らせ、購入選択スイッチ内のランプL1〜L5を点灯して選択を促す表示を行なうとともに、投入金額を金額表示器213に表示させる(S4101)。それから、購入選択スイッチ212の一つがオンされて購入金額が指定されると、ユニットコントローラ251がその金額を確認して、ユニットメモリ270内のコマンドレジスタCR1に「カード購入」メッセージを、また、送信データエリアにカードの購入金額と発行受付け番号を書き込む(S4102,S4103)。発行受付け番号は、発行機200ごとに受付け順序を示す番号として与えられる。
【0203】
次にデータ伝送コントローラ551がこれを読み取って“カード購入”パケットを形成し、これに購入金額と発行受付け番号を入れてNAU530に送信し、NAU530がこれに高層ネットワーク用ヘッドを付けて管理装置400へ伝送する(S4104,S4105)。管理装置400がこの“カード購入”パケットを受信すると、カードの発行通し番号nを決定し、かつこの発行通し番号nから例えば関数f(n)を使ってカード番号を算出して、これに基づいて購入金額等のカードテキストと初期値およびカード来歴欄とからなるカードファイルFL3(表18参照)を作成し、カードテキスト、発行受付け番号およびチェックコードを入れた“ACK”パケットを送信する(S4106〜S4109)。
【0204】
この“ACK”パケットは一旦NAU530によって受信されて高層ネットワーク用ヘッドが外されて低層ネットワーク510へ送られ、指定された発行機200のデータ伝送コントローラ551によって受信される(S4110,S4111)。すると、伝送コントローラ551によってユニットメモリ270のコマンドレジスタCR2に「カード購入」メッセージが、また受信データエリアに発行受付け番号とカードテキストが書き込まれる(S4112)。そして、ユニットコントローラ251が返送された発行受付け番号を確認すると、カードライタ220によって、表面に購入金額等が印字され、磁気面にはカード番号が記録されたカードを発行し、これを排出する(S4113〜S4115)。また、この時つり銭があれば残金払出器230によって払い出されるとともに、購入選択スイッチ内のランプL1〜L5が消灯され、金額表示器213の表示が「0」にクリアされる。
【0205】
上記のように、カード発行に際して発行受付け番号を発行機200から管理装置400へ送り、それを再び発行機に返送しそれを確認してからカードを発行する手続きによって、伝送エラーによるカードの2重発行を防止することができる。
【0206】
図61および図62に、精算機300におけるカードの精算処理の手順を示す。精算機300のカードリーダ310にカードCDが挿入されると、カードの磁気面に記録されている情報を読み取って、年月日と識別コードを確認し、一致すればカード番号をユニットコントローラ351に転送する(S4201)。ユニットコントローラ351は、ユニットメモリ370内のコマンドレジスタCR1に「カード精算」なるメッセージを、また送信データにカード番号を書き込む(S4202,S4203)。すると、データ伝送コントローラ551がそれを読み取って、“カード精算要求”パケットを形成し、カード番号を入れて低層ネットワーク510上に伝送する(S4204)。そして、NAU530がそれを受信して高層ネットワーク用ヘッドをパケットの頭に付けて管理装置400へ送信する(S4505)。管理装置400がそのパケットを受信すると、カード番号から逆関数を用いて発行通し番号(n)を算出し、それに基づいてカードファイルFL3を検索し、対応するカードテキスト(カード情報)を読み出して、カード状態を確認する(S4206〜S4208)。ここで、カード状態が適切でない場合、例えば既に精算済であるとか、帰零(持玉と金額がともにゼロ)状熊である場合には、精算拒否を示す“NAK”パケットを形成して送信する(S4211)。すると、NAU530がそれを受信して高層ネットワーク用ヘッドを外し、要求元の精算機300の制御ユニット250に伝送する(S4212)。そして、データ伝送コントローラ551がそれを受信して、ユニットメモリ270内のコマンドレジスタCR2に「応答拒否」メッセージを書き込み、それをユニットコントローラ251が読み取って確認し、カードリーダ310からカードを排出させる(S4213〜S2416)。
【0207】
一方、管理装置400が上記処理S4208において、カード状態が適切であると判定した場合には、応答信号たる“ACK”パケットを形成し、それにカードファイルより読み出した精算データ(持玉数および未使用金額)やカード来歴、精算受付時刻等を入れて送信し、NAU530がそのパケットから高層ネットワーク用ヘッドを除去して制御ユニット350へ伝送する(S4221,S4222)。すると、データ伝送コントローラ551がそれを受信してユニットメモリ370内のコマンドレジスタCR2に「カード精算」メッセージを、また受信データエリアRDAに精算データ等受信したデータを書き込み、ユニットコントローラ351がそれを読み取って肯定応答があったことを確認して、玉数表示器312に持玉(獲得玉を含む)数を、また金額表示器313に未使用金額をそれぞれ表示させるとともに、プリンタ330によって精算データ等の明細を印字したレシート(景品引換券)を発行するとともに、紙幣払出器320および硬貨払出器326より未使用残金を排出する(S4223〜S4225)。これとともに、ユニットコントローラ351はカードリーダ310に投入されているカードに無効表示を印字してカードタンク314内に精算済カードとして没収し、ユニットメモリ370のコマンドレジスタCR1に「精算終了」を示すメッセージを、また送信データエリアにカードテキストを書き込む(S4226,S4227)。そして、データ伝送コントローラ551がこれを読み出して“精算終了”パケットを形成して送信し、NAU530がそのパケットの頭に高層ネットワーク用ヘッドを付けて管理装置400に送る(S4228,S4229)。“精算終了”パケットを受信した管理装置400は、パケット内のカード番号から再び発行通し番号nを逆算し、それに基づいてカードファイルFL3内の対応するカードの状態を「精算済」に変更するとともに、カード来歴を更新した後、中断カードを精算した場合には図57および図58に示すパチンコ機100の中断終了処理S4001〜S4023を実行してから“ACK”パケットをNAU530に対して送信する(S4230〜S4234)。
【0208】
上記のように、精算機300からのカード精算要求に応じて管理装置00より精算データを送り、精算が終了した時点で再び精算終了を管理装置へ知らせるようにし、その時点で初めて精算が処理したものを取扱っているので、例え精算機における精算の途中で停電等の事故が発生しても精算データはカードファイルのFL3中に保全されており、停電復帰後速やかに精算処理を続行できるようになる。これによって遊技客に対し不利益を与えるおそれがなく、システムに対する信頼性が向上される。しかも、上記実施例では精算レシート(景品引換券)に来歴データをも印字させるようにしているため、印字された精算データ(持玉数)の信憑性が高くなり、システムへの信頼感が高められるようになる。
【0209】
図63および図64に、端末機側でユニットコントローラによる制御が不能になった場合とか、バス異常が検出されたというようなトラブルが発生し、制御ユニット160,250または350の判断で端末機の動作を強制終了させる場合の処理の手順が示されている。
【0210】
この場合、各端末機の制御ユニット160,250または350のユニットコントローラ190,251または351が強制終了要因が発生したと判断すると(S4301,S4311,S4321)、各々カードリーダ180,220,310によるカードの受付けもしくは発行を不能にする(S4302,S4312,S4322)とともに、パチンコ機100が遊技中であった場合にはカードリーダ180によりカードを排出させ(S4303)、アナログ表示ランプ164を消灯する。また、発行機200では紙幣識別器210による紙幣の受付けを不能にし、発行中止ランプ242を点灯させる。さらに、精算機300では精算中止ランプ342を点灯させる。そしてユニットメモリ170,270,370内のコマンドレジスタCR1に「強制終了通知」なるメッセージを書き込み、また送信データエリア内の稼動情報(表11参照)の強制終了ビットに「1」を立て、モニタ情報1または2(表9、表10参照)の異常発生の原因に対応したビットに「1」を立てる(S4304,S4314,S4324)。すると、データ伝送コントローラ551がそれを読み出して、“強制終了通知”パケットを形成し、それにユニットメモリ内の稼動情報とモニタ情報1,2を入れて送信する(S4305,S4315,S4325)。NAU530がこれを受信して、パケットの頭に高層ネットワーク用ヘッドを付けて管理装置400へ送り、管理装置400がこれを受信して「強制終了通知」を確認すると、CRT表示装置405の画面上に割込みメッセージを表示させ、かつプリンタ404によりその明細を印字させた後、NAUに対して応答“ACK”パケットを送信する(S4331〜S4337)。
【0211】
このように、実施例のシステムでは、管理装置400の側から各端末機に対する強制終了の他、各端末機が自らの判断で動作を停止することができるようにされているため、システムの柔軟性が高くなるとともに、強制終了通知に稼動情報とモニタ情報を付加して送信しているため管理装置の側においてその原因を容易に把握することができる。
【0212】
図65および図66には、定時データ収集によって収集した端末機の稼動データ中のホットコードが、初めに設定した値と一致しているか管理装置400がチェックすることによってユニット側のデータの異常を発見した場合に、各端末機の制御ユニット内の稼動データを破棄させ、代わりに管理装置400のファイル内の登録しておいた異常発生直前のデータを端末機に送ってユニットのデータを復旧させるためのデータ復旧処理の手順が示されている。
【0213】
この場合、管理装置400のCPUがユニット(端末機)の異常を検出すると、そのユニットに関するファイルを、主記憶装置M-MEM内のP機ファイルFL4、発行機ファイルFL5または精算機ファイルFL6から読み出して、“ユニット復旧データ”パケットを形成し、その中にファイルから読み出した稼動データと年月日、識別コード等の設定値データ(以下復旧データと称する)を入れて送信する(S4401,S4402)。
【0214】
すると、指定されたNAU530がそれを送信して高層ネットワーク用ヘッドを外して低層ネットワーク510上へ送り出し、対応する端末機のデータ伝送コントローラ551がそのパケットを受信して、ユニットメモリ170,270または370内のコマンドレジスタCR2に「ユニット復旧データ」なるメッセージを書き込み、受信データエリアRDAには復旧データを書き込む(S4403〜S4405)。それをユニットコントローラ190,251または351が読み取って、端末機の動作を停止させるとともに、カードリーダ180,220,310には年月日と識別コードを与えて記憶させる(S4406〜S4408)。パチンコ機では、動作停止命令を実行するときに遊技中であればカードリーダからカードを排出させるようにしてもよい。
【0215】
その後、ユニットコントローラ190,251または351が、ユニットメモリ170,270,370内のコマンドレジスタCR1に「ユニット復旧データ」メッセージを、また送信データエリアSADに受信した復旧データのうち稼動データを書き込み、データ伝送コントローラ551がそれを読み取って“ACK”パケットを形成し、その中に稼動データを入れて送信する(S4409,S4410)。そして、そのパケットを受け取ったNAU530が高層ネットワーク用ヘッドを頭に付けて送信し、管理装置400がそれを受信すると稼動データ内の台番号からP機ファイルFL4、発行機ファイルFL5または精算機ファイルFL6を参照して相当する端末機の稼動データを読み出してきて、受信した稼動データと比較する(S4411〜S443)。
【0216】
その結果、内容が一致すると、リスタート処理S4501(図67および図68参照)へ移行する。
【0217】
なお、停電によりまたは誤って電源スイッチをオフしてしまって全端末機の稼動データが破壊されたような場合における全端末機へのデータの復旧も、この“ユニット復旧データ”パケットを用いて上記処理S4401〜S4413をユニットごとに繰り返すことにより行なわれる。この場合、管理装置400のCPUは停電があったことをフラグ等により覚えておいて、プログラムに従って電源立上り後に全ユニットに対するデータ復旧を自動的に行なう。
【0218】
次に、ユニットのデータ復旧処理後にユニットに対して動作の再開を指令するリスタート処理の手順を図67および図68を用いて説明する。なお、このリスタート処理は、各端末機個々に対して行なうことも、端末機の種別(パチンコ機、発行機、精算機)ごとに行なうこともできるようになっている。
【0219】
図67および図68には、このうち種別のリスタート処理の手順が示されている。
図65および図66に示されているユニットのデータ復旧処理S4401〜S4413が終了すると、管理装置400のCPUがリスタート処理プログラムを開始し、先ず“種別リスタート”パケットを形成して該当するNAU530へ送信する(S4501,S4502)。この場合、対象となるユニットが異なるNAU530下の低層ネットワーク510にまたがっている場合には、該当する全てのNAUに対して同じパケットを送信する。NAU530はこのパケットを受信すると、高層ネットワーク用ヘッドを外して該当するユニットにパケットを送信するとともに、管理装置400に対しては応答“ACK”パケットを送信する(S4503〜S4506)。
【0220】
一方、NAU530から送信されたパケットを受信した制御ユニット160,250または350では、データ伝送コントローラ551が、ユニットメモリ170,270,370内のコマンドレジスタCR2に「種別リスタート」なるメッセージを書き込む(S4511,S4512,S4521,S4522)。すると、リスタート待ち状態にあったユニットコントローラ190,251または351がそれを読み込んで確認し、動作を再開する(S4513,S4514,S4523,S4524)。このとき、パチンコ機100および精算機300では、カードリーダ220,310に対して、カードに記録されている情報の再読み込み(S4515)を指令し、カードリーダからカード番号を受信してから動作を再開するようになっている。
【0221】
なお、データ復旧処理されたユニット(端末機)を個別に動作を再開させる処理(図示省略)は、図67および図68に示されている処理とほぼ同じである。異なる点は、管理装置400から送信されるパケットとして、“個別リスタート”パケットが使用される点と、対象となるユニット一つに対して個別にメッセージが送信される点のみである。
【0222】
図69および図70に、端末機の側で各種スイッチやセンサ等の信号を監視していて異常を検出した場合に、それを管理装置400に通知するモニタ異常処理の手順が示されている。
端末機のユニットコントローラ190,251または351がスイッチやセンサなどの信号またはカードリーダ180,220,310からのモニタ情報を監視してその異常を検出すると、ユニットメモリ170,270または370内のコマンドレジスタCR1に「モニタ異常」なるメッセージを、また送信データエリアには、モニタ情報1,2と稼動情報を書き込む(S4601,S4602)。そして、これをデータ伝送コントローラ551が読み取って、“モニタ異常”パケットを形成し、その中にモニタ情報1,2と稼動情報を入れて送信し、NAU530がそのパケットを受信してその頭に高層ネットワーク用ヘッドをつけて管理装置400へ送る(S4603,S4604)。管理装置400は、“モニタ異常”パケットを受信し、それを確認するとCRT表示器405の画面上に割込みメッセージとユニットの台番号を表示し、かつプリンタ404によって異常内容を記載した明細書を印字する(S4605〜S4608)。これとともに、管理装置400はP機ファイルFL4、発行機ファイルFL5または精算機ファイルFL6内の該当するファイルのデータのうち、モニタ情報1,2および稼動情報を更新し、パケットを送ってきたNAU530に対しては応答“ACK”パケットを送信する(S4609〜S4611)。
【0223】
上記“モニタ異常”パケットにより、管理装置400はシステム稼動中常に各端末機の状態を知ることができる。
【0224】
図71および図72には、低層ネットワーク510(トークンバス)に断線等の異常があって、NAU530と各ユニット間の通信が不能になったことをNAU530および各端末機のデータ伝送コントローラ551が検出した場合の処理の手順が示されている。
【0225】
この場合、NAU530がトークンバスの異常を検出すると、“トークンバス異常”パケットを形成し、それに高層ネットワーク用ヘッドを付け、データ部には通信異常のあるユニットに関する稼動情報およびモニタ情報1,2と台番号を入れて管理装置400へ送信する(S4701,S4702)。すると、管理装置400は、このパケットを受信してトークンバスの異常を確認してCRT表示装置405の画面上に割込みメッセージと異常端末の台番号を表示し、かつプリンタ404によって異常内容を記載した明細書を印字する(S4703〜S4706)。これとともに、管理装置400はP機ファイルFL4、発行機ファイルFL5または精算機ファイルFL6内の該当するファイルのデータのうち、モニタ情報1,2および稼動情報を更新し、パケットを送ってきたNAU530に対しては応答“ACK”パケットを送信する(S4707〜S4709)。
【0226】
一方、トークンバスの異常を検出した端末機側のデータ伝送コントローラ551は、ユニットメモリ170,270または370内のコマンドレジスタCR2に前述した「個別強制終了要求」メッセージを入れて、ユニットコントローラ190,251または351に知らせ、端末機の動作を停止させるようになっている(S4711〜S4713)。
【0227】
以上説明したように本実施例のデータ伝送システムは、高層ネットワーク520と低層ネットワーク510との階層的構成からなり、低層ネットワークは専用のNAU530によって制御されるようになっているので、500〜1000台の端末機が接続されるシステムにおいても管理装置400の負担がそれほど増大せず、しかも多量のデータの伝送を高速で行なえるため、例えば1秒に1回、各端末機の稼動データを収集するようなことが余裕をもって実行できるようになる。
【0228】
また、パチンコ遊技システムに適した多数の通信パケットを用意し、管理装置400との間でメッセージおよびデータを交換することで端末機の稼動を可能にし、端末機単独では何ら有効な動作が実行できない有機的結合体を構成しているので、例えば端末機を1台だけ手に入れ、それを使って(カードのコピー)不正を行なおうとしても何ら利益を得ることができない。そのため、不正行為の介入を全く許さないとともに、稼動データを1秒ごとに収集し、管理装置400の側でバックアップできるようにしているため、停電等が発生してシステムがダウンしても速やかにデータを復旧し、システムを立ち上げることができ、信頼性の高いシステムを得ることができる。
【0229】
以上、図19に示す遊技システムにおけるデータ伝送に使用される個々のパケットの処理について説明した。
次に、上述した各種パケットを用いてシステムを動作させる場合の開店から閉店までシステム全体の動作の流れを各端末機ごとに説明する。
【0230】
図73および図74には、カード発行機200と管理装置400との相互関係に関する動作フローが、また図75にはカード発行機200におけるカード発行動作のフローがそれぞれ示されている。
【0231】
図73に示すように、システムの電源が投入されると、管理装置400、NAU530、発行機の制御ユニット250およびカードライタ220のコントローラ228内の各種レジスタやフラグ、カウンタ等のイニシャライズ(第25図参照)が実行される(S401,S501,S201,S601)。それから、管理装置400より“回線テスト”パケットが送信され、NAU530を介して制御ユニット250に伝送される(S402,S502,S202)。すると、制御ユニット250が受信データとともに自己の台番号、通し番号、チャネル番号を送信し、NAU530がこれを受信してユニットテーブルを作成する(S503,S203)。一方、管理装置400は“ユニットテーブル要求”パケットを送信し、NAU530がこれを受信すると、作成したユニットテーブルを送信して、管理装置400によって受信される(S403,S504,S404)。 続いて、管理装置400が、“初期値設定”パケットを使って初期値を送信すると、NAU530を介して制御ユニット250およびカードライタのコントローラ228に伝送される(S405,S505,S204,S602)。しかる後、管理装置400が“開店コード”パケットを、NAU530を介して制御ユニット250へ送信し、これによってカード発行機200はカード発行準備が終了して紙幣受付可能な状態に移行する(S406,S506,S205)。
【0232】
この状態で、カード発行機200に購入紙幣が投入されると、制御ユニット250からNAU530を介して管理装置400へ“カード購入”パケットが送信される(S210,S510,S410)。管理装置がこれを受信すると、カードに関するデータの入ったカードテキストを作成して発行通し番号とともに送信し、NAUを介して発行機の制御ユニットに伝送され、制御ユニットがこれを受信すると、カード番号をカードライタのコントローラに渡し、カードライタが所定のカードを発行する(S410,S510,S210,S620)。また、制御ユニット250は、残金払出装置を駆動して、つり銭を返却する(S210)。
【0233】
システム稼動中に、カード発行機200の動作を強制停止させたい事態が生じた場合、管理装置から対応する発行機に対して“強制終了”パケット(個別もしくは種別)が送信され、NAU530を介して発行機の制御ユニットに伝えられ、カードの発行不能な状態に移行される(S481,S581,S281)。また、強制終了の原因が解消されて、カード発行機200の動作を再開させる場合には、“強制終了解除”パケットが管理装置400からカード発行機に対して送信される(S482,S582,S282)。
【0234】
さらに、閉店時刻になってシステムの稼動を終了させる場合には、“閉店コード”パケットが管理装置400からカード発行機200に対して送信される(S490,S590,S290)。
【0235】
次に、カード発行機200における紙幣投入からカード発行までの処理(図74に示すステップS210に相当)の詳細な動作手順を図75を用いて説明する。
カード発行機200に紙幣が投入されると、紙幣投入待ち状態(S211)にあったユニットコントローラ251が紙幣識別器210に投入された紙幣を識別して、異常紙幣と判断した場合にはそのままその紙幣を排出してカードの発行を拒否する(S212)。一方、正常な紙幣であると判定すると、受入金額を金額表示器213に表示させ、かつ購入選択スイッチ212に内蔵のランプを、購入可能な金額範囲まで表示させる(S213,S214)。
【0236】
次に、購入選択スイツチ212により購入金額が指定されると、その金額を確認して、ユニットメモリ270内の発行機200に関する稼動データ(受入金額、預り金額、発行金額)を更新してから、“カード購入”パケットを管理装置400に向かって送信する(S215〜S217)。
【0237】
そして、管理装置400からその応答信号としてカードテキストの送信を受けると、発行データ(カード番号、発行通し番号n、発行金額)をカードライタのコントローラ228に送信する(S218)。すると、カードライタがホッパー(カード収納タンク221)からカードを取り出して磁気面にカード番号、年月日、識別コード、チェックコードを記録し、再生ヘッドで書込みデータを読み取ってベリファイ(正常に書き込まれたか否か)を行なった後、発行金額、年月日、通し番号を印字してカードを排出し、実行結果をユニットコントローラに送信する(S221〜S227)。
【0238】
ユニットコントローラ251は、カードライタからカード発行終了通知を受けると、ユニットメモリ270内の稼動データのうち発行回数(枚数)を更新し、つり銭がある場合には残金払出器230よりつり銭を払い出す(S231,S232)。それから、金額表示器213の表示を「0」にクリアし、購入選択スイッチ内蔵のランプを消灯して一連のカード発行処理が終了する(S233,S234)。
【0239】
図76および図77には精算機300と管理装置400との相互関係に関する動作フローが、また第51図には、精算機300における精算動作のフローをそれぞれ示す。
図76において、システムの電源が投入されてから、精算機300の初期化、回線テスト、初期値の設定を行ない、開店コードを送信して精算機をカード受付け可能な状態にさせるまでの手順(S301〜S305)は、図73に示したカード発行機200に関する準備動作(S201〜S205)と同じである。ただし、開店コード受信によってカード発行機200では紙幣識別機における紙幣の受付けが可能にされたのに対し、精算機300では、カードリーダ310によるカードの受付けが可能にされる(S603)。閉店コード送信の際にも、紙幣受付け不能の代わりに、カードリーダによるカードの受付けが不能にされる(S660)。
【0240】
また、システム稼動中における精算機に対する強制終了手続き(S451,S551,S351)およびその解除手続き(S452,S552,S352)も図73および図74に示したカード発行機200の場合と同じである。この手続きによってカードリーダ310は、カードの受付けを不能にしたり(S651)、カードの再受付けを可能にしたりする(S652)。
【0241】
一方、精算機300がカード精算可能な状態にされてから、カードリーダ310にカードが挿入されると、磁気面に記録されているカード番号、年月日、識別コードをカードリーダが読み取ってコードを確認し、正規のカードならば、カード番号を制御ユニット350に渡す(S630)。すると、制御ユニット350は“カード精算”パケットを、NAU530を介して管理装置400へ送信し、管理装置がこれを受信すると、カードファイルFL3からカードの来歴等のデータを読み出して制御ユニット350へ送信する(S310,S520,S420)。そして、制御ユニット350がプリンタ330を駆動して獲得玉数や未使用金額、来歴等の明細を印字したレシート(景品引換券)を発行すると共に、未使用金額相当分を紙幣払出器320および硬貨払出器326より払い出す(S310)。さらに、カードリーダ310に対してカード没収指令を出して、カードを没収する(S630)。そして、精算処理が終了した時点で管理装置400に対し精算終了を送信して、一連の手続きが終わる(S310,S520,S420)。
【0242】
次に、精算機300におけるカード挿入から精算終了までの処理(図77のステップS630とS310に相当)の詳細な動作手順を図78を用いて説明する。
カード待ち状態(S631)にあった精算機300のカードリーダ310にカードCDが挿入されると、再生ヘッドでカードに記憶されているコードを読み取って(S632)、年月日と識別コードを確認し、一致しないときはそのままカードを排出し(S633)、一致すると読み取ったコードのうちカード番号を制御ユニット350内のユニットコントローラ351に転送する(S634)。すると、制御ユニット350が“カード精算”パケットを形成し、その中にカード番号を入れて管理装置400へ送信する(S311)。そして、応答信号(ACK)を受信すると、その中に含まれているカードデータに基づいて精算可能なカードか否か判定し、不能ならばカードリーダよりカードを排出させる(S312,S635)。また、カードデータに基づいて玉数表示器312および金額表示器313に獲得玉数(持玉数)と未使用金額を表示させる(S313)。それから、プリンタ330を駆動させて獲得玉数とカードの来歴等を印字したレシートを発行する(S314)。そして、未使用金額があった場合には、紙幣払出器320と硬貨払出器326より、未使用金額に、相当する紙幣と硬貨を排出させてから(S315)、玉数表示器と金額表示器の表示を「0」にクリアする。
【0243】
しかる後、制御ユニット350がカードリーダに対してカード没収指令を送り、管理装置400に対しては“精算終了”パケットを送信する(S317,S318)。制御ユニット350からのカード没収指令を受けたカードリーダでは、印字装置により無効表示を印字してから、カードをカードタンク314内に没収して次のカードの挿入待ち状態に移行する(S636,S637)。
【0244】
図79〜図81にはパチンコ機100と管理装置400との相互関係に関する動作フローが、また図82〜図88にはパチンコ機における遊技制御動作のフローを示す。
【0245】
図79〜図81において、システムの電源が投入されてから、パチンコ機100等の初期化、回線テスト、初期値の設定を行ない、開店コードを送信してパチンコ機を遊技可能な状態にさせるまでの手順(S101〜S105)は、図73に示したカード発行機200に関する準備動作(S201〜S205)と同じである。ただし、開店コード受信によりカード発行機200では紙幣識別機における紙幣の受付けが可能にされたのに対し、パチンコ機100では、カードリーダ180によるカードの受付けが可能にされる(S703)。閉店コード送信の際にも、紙幣受付け不能の代わりに、カードリーダによるカードの受付けが不能にされる(S790)。
【0246】
また、システム稼動中におけるパチンコ機100に対する強制終了手続き(S481,S581,S181)およびその解除手続き(S482,S582,S182)も図74に示したカード発行機200の場合と同じである。この手続きによってカードリーダ180は、カードの受付けを不能にしたり(S781)、カードの再受付けを可能にしたりする(S782)。
【0247】
一方、パチンコ機100が遊技可能な状態にされてから、カードリーダ180にカードが挿入されると、カードリーダが磁気面に記録されているコードを読み取って確認し、正規のカードならばカード番号を制御ユニット160に渡す(S710)。すると、制御ユニット160は“カードイン”パケットを、NAU530を介して管理装置400へ送信し、管理装置がこれを受信すると、カードファイルFL3からカードテキスト(カード番号、持玉数、金額およびカード状態)を読み出して制御ユニット160へ送信する(S110,S540,S440)。そして、制御ユニット160がこれを受信すると、ユニットメモリ140内にカードテキストを保持して遊技を開始する(S110)。
【0248】
そして、遊技中に中断スイッチ115がオンされ、制御ユニット160がそれを確認すると、カードテキストを入れた“中断スイッチ”パケットを送信し、管理装置400からの応答信号(ACK)を受けて、パチンコ機100を「遊技中断中」にし、カードリーダからカードを排出させる(S120,S542,S442,S720)。また、遊技中断中のパチンコ機にそのカードCDが再び挿入されると、カードリーダがカード番号を読み取ってそれを制御ユニット160に転送する(S730)。すると、制御ユニット160は“中断カードイン”パケットを形成して管理装置400へ送信し、カードテキストを含んだ応答信号(ACK)を受けて遊技を再開させる(S130,S544,S444)。
【0249】
次に、遊技中にカードの持玉および金額が共に零になったことを制御ユニット160が検出すると“帰零”パケットを形成し、NAU530を介して管理装置400へ送信し、その応答(ACK)を受けてカードリーダからカードを排出させる(S140,S546,S446,S740)。
【0250】
また、遊技中に終了スイッチ114がオンされ、制御ユニット160がそれを確認すると、“終了スイッチ”パケットを管理装置400へ送信し、その応答(ACK)を受けてカードリーダからカードを排出させ、次のカードの挿入待ち状態になる(S150,S548,S448,S750)。
【0251】
さらに、遊技中に制御ユニット160が打止数に達したと判断すると、“打止”パケットを管理装置400へ送信し、その応答(ACK)を受けてパチンコ機100での遊技の継続を不能にし、かつカードリーダよりカードを排出させ、以後カードの受付けを拒否する状態になる(S160,S550,S450,S760)。
【0252】
そして、管理装置400のコンソール406からの入力によって打止解除指令がなされると、“打止解除”パケットがNAU530を介して指定されたパチンコ機に送信され、パチンコ機100を遊技可能な状態へ移行させるとともに、カードリーダに対してはカードの受付けを可能にする(S470,S570,S170,S770)。
【0253】
また、中断中のカードが精算機300にて精算された場合には、管理装置400から中断中のパチンコ機100に対して、“中断終了”パケットが送信され、中断状態が解除される(S475,S575,S175)。
【0254】
なお、上記動作フローにおける中断処理S120,130、帰零処理S140、遊技終了処理S150、および打止処理S160,S170は、必ずしも図80〜図81に示されている順番に従って実行されるものでなく、遊技の進行状況に応じてそれらの処理が相前後したり、あるいは全く実行されずに閉店処理(S190)に至ることもある。
【0255】
次に、上記動作フロー(図80〜図81)中におけるパチンコ機100の各種処理(S110〜S175)のより詳細な動作手順を図82〜図88を用いて説明する。
図82にパチンコ機100にカードCDが挿入されてから遊技制御が開始されるまでの手順を示す。
【0256】
カード待ち状態(S711)にあったカードリーダ180にカードが挿入されると、磁気面に記憶されているコード(カード番号、発行年月日、識別コード)が読み取られ(S712)、このうち発行年月日と識別コードをチェックしてコードが一致しないときにはカードがそのままカードリーダから排出され(S713)、コードが一致するとカード番号が制御ユニット160に転送される(S714)。
【0257】
制御ユニット160は、カード番号を受け取ると、“カードイン”パケットを形成し、その中にカード番号を入れて管理装置400へ送信する(S111)そして、管理装置から応答拒否パケット(NACK)を受信すると、カードリーダに対してカード排出指令を与え、カードを排出させる(S119,S715)。
【0258】
一方、“カードイン”パケット送信に対し、管理装置400から肯定応答(ACK)を受信する(S112)と、“ACK”パケットにより送られてきたカードテキストの情報から持玉数と金額を確認し、玉数表示器163および金額表示器162に表示させる(S113)。それから、アナログ表示器164を駆動して持玉数をアナログ的に表示させ(S114)、パチンコ機100の制御装置150に対して発射許可信号を与える(S115)。そして、ユニットメモリ170内の稼動情報を「遊技中」に変更して(S116)から、遊技処理S800へ移行する。
【0259】
図83に、中断中のパチンコ機100にカードCDが挿入されてから遊技制御が開始されるまでの手順を示す。
カード待ち状態(S731)にあったカードリーダ180にカードが挿入されると、磁気面に記録されているコードが読み取られ(S732)、発行年月日と識別コードをチェックしてコードが一致しないと、カードはそのままカードリーダから排出され(S733)、コードが一致すると読み取ったカード番号が制御ユニット160のユニットコントローラ190へ転送される(S731)。
【0260】
制御ユニット160は、カード番号を読み取ると、ユニットメモリ170内に保持しているカード番号と照合し(S131)、中断カードの番号と一致しないときは、カードリーダに対して排出指令を与えて、カードを排出させ(S139,S735)、一致したときは“中断カードイン”パケットを形成してカード番号を入れて管理装置400へ送信する(S132)。管理装置400から“NAK”が帰ってくると、カードリーダに対しカード排出指令を与え(S139,S735)、“ACK”が帰ってくると、持玉数と金額の表示を行ない、制御装置150に対して発射許可を与えてから稼動情報を「遊技中」に変更する(S133〜S137)。そして、中断表示スイッチ内のランプを消灯させて(S138)から遊技処理S800へ移行する。
【0261】
遊技処理とは、例えば、パチンコ機100の制御装置150から送られてくる各種遊技球(発射球、入賞球、アウト球等)の検出信号に基づいて、持玉数や打止め判定のための差数等をリアルタイムで演算して、それをユニットメモリ170内の送信データエリアに書き込んだり、購入スイッチ113、中断スイッチ115、終了スイッチ114がオンされたときに対応する処理を実行したり、持玉が零になった場合に遊技球の購入を促す等の処理である。
【0262】
図84には、中断スイッチ115がオンされた場合の処理の手順と、管理装置400から中断解除の指令が入った場合の処理手順を示す。
制御ユニット160が、中断スイッチ115がオンされたことを確認すると、パチンコ機100の制御装置150に対する発射許可信号を取り消して打球の発射を禁止するとともに、ユニットメモリ170内のカード状態を「中断中」に変更してから“中断スイッチ”パケットを管理装置400に送信する(S121〜S124)。そして、管理装置400から“ACK”パケットが帰ってくると、ユニットメモリ170内の稼動情報を中断中に変更して、中断スイッチ内蔵のランプを点灯させてからカードリーダ180に対して排出指令を与え、カードリーダが内部に保持しているカードを排出する(S125〜S128,S720)。
【0263】
一方、中断中のカードが精算機300によって精算されたことに起因して、管理装置400から“中断終了”パケットがパチンコ機の制御ユニット160に送られてくると、それを受信した制御ユニットは、玉数表示器163と金額表示器162の表示を「0」にクリアし、かつユニットメモリ170内の稼動情報を「フリー」状態に変更した後、中断表示ランプ115aを消灯し、アナログ表示器164による持玉量の表示を止めて、「客待ち」表示(点灯するランプの移動表示)を行なう(S175〜S179)。
【0264】
図85には、カードの持玉数と未使用金額がともに零になった場合(帰零発生の場合)の制御ユニット160における処理手順の詳細を示す。
制御ユニット160が、カードの持玉数と未使用金額がともに零になったと判定する(S141)と、ユニットメモリ170内のカード状態を「帰零」に変更(S142)してから、“帰零”パケットを形成して管理装置400へ送信する(S143)。そして、管理装置400からの応答(ACK)を受け取る(S144)と、玉数表示器163と金額表示器162の表示を「0」にクリア(S145)してから、ユニットメモリ170内のパチンコ機稼動情報を「フリー」に変更(S146)し、カードリーダ180に対してカード排出指令を出し(S147)、カードリーダからカードを排出させる(S740)。しかる後、アナログ表示器164を持玉量の表示から「客待ち」表示に変更する(S148)。
【0265】
図86に、遊技終了スイッチ114がオンされた場合の制御ユニット160における処理の手順を示す。
遊技終了スイッチ114がオンされ、それを制御ユニット160が確認(S151)すると、ユニットメモリ170内のカード状態を「遊技中」から「フリー」状態に変更(S152)してから、“終了スイッチ”パケットを形成して管理装置400へ送信する(S153)。そして、管理装置400からその応答(ACK)を受け取る(S154)と、玉数表示器163と金額表示器162の表示を「0」にクリア(S155)してから、ユニットメモリ170内のパチンコ機稼動情報を「フリー」に変更(S156)し、カードリーダ180に対してカード排出指令を出し(S157)、カードリーダからカードを排出させる(S750)。しかる後、アナログ表示器164を持玉量の表示から「客待ち」表示に変更する(S158)。
【0266】
図87には、制御ユニット160における打止処理と打止解除処理の手順を示す。
制御ユニット160は、例えばパチンコ機100の制御装置150からの各種遊技球の検出信号に基づいて差数(回収玉数-出玉数)を演算し、それが予め定められた打止数に達すると、打止発生と判定して(S161)、ユニットメモリ170内のカード状態を「遊技中」から「フリー」および「打止」に変更(S162)し、“打止”パケットを形成して管理装置400に送信する(S163)。そして、管理装置400から応答(ACK)を受け取る(S164)と、玉数表示器163と金額表示器162の表示を「0」にクリア(S165)してから、ユニットメモリ140内のパチンコ機稼動情報を「打止」に変更(S166)し、カードリーダ180に対してカード排出指令を出す(S167)。すると、カードリーダ180は、カードを排出し、以後カードを受付けない状態に移行する(S761,S762)。また、制御ユニット160は、アナログ表示器164の持玉量表示を止めて、ランプを点滅させて「打止め」表示を行なう(S167)。
【0267】
しかして、その後管理装置400からパチンコ機100の制御ユニット160に対して“打止解除”パケットが送信され、制御ユニットがそれを受信すると(S171)、ユニットメモリ170内のパチンコ機稼動情報を「打止」から「フリー」状態に変更(S172)してから、カードリーダ180に対してカード受付け許可指令を与え(S173)、カードリーダ180がカード受付け可能な状態に移行する(S770)。また、制御ユニットは、アナログ表示器164の表示を「打止」表示(点滅)から「客待ち」表示に変更する(S174)。
【0268】
図88には、制御ユニット160における遊技処理(図82参照)の一例としての遊技球演算処理と、持玉購入処理の手順を示す。
制御ユニット160は、パチンコ機100に設けられている発射センサ135,136やファウルセンサ134、アウトセンサ132、セーフセンサ131,133等の遊技球検出センサからの検出信号を制御装置150から受け取ると、発射センサがオンされた場合(発射センサ135から136への打球の移動を検出した場合)には持玉数を1つ減算し、ファウルセンサがオンされた場合および戻り玉を検出した場合(発射センサ136から135への打球の移動を検出した場合)には持玉数を1つ加算する(S811,S812)。また、アウトセンサ132がオンされたときにはアウト玉数を1つ加算し、差数(回収玉数-出玉数)を1つ加算する(S813)。さらに、セーフセンサ131がオンされたときには、持玉数と出玉数(累積値)にメイン賞球数を加算し、差数を演算する(S814)。またセーフセンサ133がオンされたときには、持玉数と出玉数にサブ賞球数を加算し、差数を演算によって求める(S815)。この差数が前述の打止の判定(S161)に使用される。
【0269】
一方、パチンコ機100に設けられた購入スイッチ113がオンされ、制御ユニット160がこれを確認する(S821)と、ユニットメモリ170からそのカードの未使用金額を読み出してきてゼロでないことを確認する(S822)。そして、ゼロでないときは、予め定められた購入単位(例えば200円)分の金額を未使用金額から減算してそれを金額表示器162に表示させる(S823)。そして、上記購入単位に相当する玉数(例えば50個)を持玉数に加算してそれを玉数表示器163に表示させる(S824)。なお、上記持玉購入すなわち未使用金から持玉への変換処理によって、ユニットメモリ170内の未使用金額および持玉数も変更される。
【0270】
上記実施例の精算機においては、精算終了後にカードを没収するようにしているが、カードを遊技客に返却してそのカードと精算機で発行されたレシートとを用いて景品交換を行なわせるようにしてもよい。
また、上記実施例のパチンコ機にあっては、遊技中にカードをカードリーダ内に保持させておいて、遊技終了後もしくは中断時にカードを排出してフリー状態にさせるようにしているが、カード挿入による遊技開始時にカード番号等をカードリーダで読み取ってカードを排出させてから遊技を開始し、2度目のカード挿入により遊技を終了させるようなシステムを構成するようにしてもよい。そのようなシステムを構成した場合には、上記実施例の各遊技機に設けられている遊技終了スイッチ114が不要となる。
【0271】
次に、上記のごとく構成されたパチンコ遊技システムに適した管理装置400におけるCRTの画面制御方法について説明する。マイクロコンピュータを用いたシステムでは、システムが複雑化されればされるほど管理装置400による制御が多岐に渡り、オペレータが関与すべき処理も多くなる。従って、それらオペレータが関与する処理を分かり易くし、かつコンソールパネル406を容易に操作できるように支援するため、CRT表示装置405の表示画面の構成と、画面の制御手順が重要となる。
この発明は、以下のようにして画面制御を行なうことにより、それほど経験を有しないパチンコ店の係員でも容易にシステムを稼動できるようにバックアップしている。
【0272】
図89に、開店前の操作に関する画面制御フローを示す。
管理装置400および各端末機の電源が投入されると、ハードディスク装置HDDからプログラムが読み込まれてシステムがスタートする。すると、先ずネットワークを使った回線テストが開始され、CRT表示画面上には回線テスト中であることを示すメッセージと日付が表示される(ルーチンR101)。そして、回線テストが終了し、異常なしと判定する(ルーチンR102)と、ルーチンR103へ進み開店の準備ができたこと、すなわちテスト終了を示すメッセージと開店スイッチ421のオン操作を促すメッセージが表示される。なお、この際CRT画面上には、このとき操作することのできるスイッチ(設定スイッチ432、ビルトイン・スイッチ438および日時設定スイッチ439)のメニューも表示されるようになっている。
【0273】
一方、回線テストの結果、異常を発見したときには、ルーチンR104へ進んで異常のある端末機の番号をCRT画面上に表示する。しかして、この実施例では、回線異常端末があっても開店スイッチ421をオンすることでシステムをスタートさせることができるようにされており、その旨の表示もなされる。
【0274】
上記ルーチンR103またはR104によりメッセージが表示されている状態で、コンソール背面のビルトイン・スイッチ438(図17参照)がオンされると、ルーチンR105でYES(スイッチオン)と判定してルーチンR111へ進み、購入玉レート、識別コード、NAU台数、パチンコ機台数、発行機台数、精算機台数、賞球数等の設定可能なデータのメニューを示す画面が表示され、画面の指示に従った初期値の変更処理が実行される。しかも、この実施例では、賞球数を複数台ごとに設定できるようにするため、図98に示すように、現在の設定状態を示す欄LTR1と、設定範囲(台番号)と設定値(メイン賞球数およびサブ賞球数)のインプットを示唆する欄LTR2とからなる画面が表示されるようになっている。
【0275】
また、上記ルーチンR103またはR104によりメッセージが表示されている状態で、コンソール上の設定スイッチ432がオンされると、ルーチンR106でYES(スイッチオン)と判定してルーチンR112へ進み、打止数を設定するための画面と打止モードを設定するための画面が表示され、その画面の指示に従った設定内容の変更処理が実行される。なお、上記打止数および打止モードの設定のための画面は、図98に示したものと同じく2つの欄から構成されており、これによって複数台ごとに設定変更を行なえるようになっている。
【0276】
一方、上記ルーチンR103またはR104によりメッセージが表示されている状態で、日時設定スイッチ439がオンされると、ルーチンR107でYES(スイッチオン)と判定してルーチンR113へ進み、日時設定用の画面が表示され、画面の表示に従った日時(年月日と時刻)の変更処理が実行される。
【0277】
さらに、上記ルーチンR103またはR104によりメッセージが表示されている状態で、開店スイッチ422がオンされると、ルーチンR108でYES(スイッチオン)と判定して開店処理フローA(図90参照)へ移行するようになっている。なお、上記処理実行中常に通信回線(ネットワーク)を監視していて、発行機200のカードなし状態あるいは精算機300のつり銭切れ等の緊急情報を知らせる割込みが入ってきたと判定すると(ルーチンR109)、割込みメッセージを各処理画面の下欄(図98では第19行目)に表示するようになっている。
【0278】
図90には、上記開店後の処理フローの一例を示す。
開店スイッチ421がオンされると、先ずCRT表示画面には作業メニューの表示(以下、ノーマル表示と称する)がなされる(ルーチンR121)。この場合、作業メニューの表示は、例えばこの画面表示中に受付け可能な有効スイッチの種類を表示することで行なう。有効スイッチとしては、 所望の稼動データをCRTに表示させるための「表示メニュー」スイッチ、 所望の稼動データをプリンタにより印字させるための「印字メニュー」スイッチ、 コンソールからの入力により打止解除指令を与える「打止解除」スイッチ、 所望の端末機の動作を強制的に停止させるための「強制終了」スイッチ、 強制終了させた端末機の動作を再開させるための「終了解除」スイッチ、 カード復活処理を開始させるための「カード復活」スイッチ、 閉店指令を与えるための「閉店」スイッチがある。
【0279】
上記ノーマル表示状態(ルーチンR121)において、表示メニュースイッチ428がオンされると、ルーチンR122でスイッチオンと判定してルーチンR201へ移行して先ず表示可能な稼動データの種類を示すメニュー選択画面(図99参照)が表示される。ここで、テンキー425を使って選択枝として「1」が入力されると、打止台(パチンコ機)の番号および各台ごとの打止回数、出玉数、アウト玉数、差数(回収玉数-出玉数)、持玉数、売上額、遊技客数等のデータの一覧表が表示される(ルーチンR211)。
【0280】
一方、選択枝「2」が入力されると、特定台のデータ表示画面に変わり、台番号を入力することによりその台に関する稼動データが表示される(ルーチンR212)。
【0281】
また、選択枝「3」が入力されると、パチンコ機の全台に関する稼動データの一覧表が表示される(ルーチンR213)。選択枝「4」が入力されると、出玉数が回収玉数よりも多いいわゆる「赤字台」の台番号とその稼動データが、また選択枝「5」が入力されると、回収玉数が出玉数よりも多いいわゆる「黒字台」の台番号とその稼動データがそれぞれ表示される(ルーチンR214,R215)。
【0282】
さらに、選択枝「6」が入力されると、全発行機の台番号と各機ごとの受入金額、預り金額(発行カードの総額)、払出金額(つり銭総額)、発行回数、モニタ情報等の稼動データの一覧表が表示される(ルーチンR216)。
【0283】
選択枝「7」が入力されると、全精算機の台番号と各機ごとの精算全額、精算玉数、精算回数、モニタ情報等の稼動データの一覧表が表示される(ルーチンR217)。
【0284】
選択枝「8」が入力されると、端末機の種類ごとの稼動データの総計(例えば、パチンコ機については出玉数とアウト球数、差数、持玉数の各合計、発行機については預り金額とカード発行枚数の各合計、精算機については精算金額と精算玉数と精算カード枚数の各合計)が表示される(ルーチンR218)。
【0285】
選択枝「9」が入力されると、特定カードのデータ表示画面に変わり、カードの発行通し番号nを入力することにより、図100に示すように、そのカードに関する来歴データ(受付け端末の番号、残高すなわち持玉への交換がなされていない金額、持玉数、時刻)が表示される(ルーチンR219)。
【0286】
選択枝「10」が入力されると、図101に示すようなカードの明細を表示する画面、すなわち開店後から現時点までに発行したすべてのカードの発行通し番号と各々のカードの残高、持玉数、所定端末番号等の稼動データの一覧表およびそれらの全カードの稼動データの現時点での合計を表示する画面に変わる(ルーチンR220)。しかも図101のカード明細表示画面では、表示の末尾に全カードの状態の分布をカード枚数で示すデータ表示欄LTR3が設けられている。
【0287】
選択枝「11」を入力すると、カード合計表示画面に変わり(ルーチンR211)、全発行カードのカード枚数、残高合計、持玉合計および遊技中、中断中、精算終了、フリー状態、帰零、復活等の各状態のカードの枚数がそれぞれ表示される。
【0288】
選択枝「12」を入力すると、中断カードに関するデータ(残高、持玉数、中断した端末機の番号、中断時刻、中断経過時間)をカード番号ごとに表示する画面に変わる(ルーチンR222)。
【0289】
上記画面のうち、打止台表示(ルーチンR211)、全台表示(ルーチンR213)、赤字台表示(ルーチンR214)、黒字台表示(ルーチンR215)、発行機データ表示(ルーチンR216)、特定カード表示(ルーチンR219)、カード明細表示(ルーチンR220)、中断カードデータ表示(ルーチンR222)の各表示画面はスクロールが可能にされている。しかも、本実施例のシステムでは、1秒ごとに各端末機から稼動データを収集しており、上記各画面表示中対応するデータは収集データに応じて刻々と更新される。
【0290】
次に、上記各画面表示中(ルーチンR211〜R222)またはメニュー選択画面表示中(ルーチンR201)に、コンソール上のCRTクリアスイッチ427がオンされると、ルーチンR121へ復帰する。
【0291】
さらに、上記各処理実行中に、発行機200におけるカード切れやつり銭切れ、打止台発生等の緊急情報を知らせる割込みが通信回線より入ってくると、ルーチンR203で割込みありと判定してルーチンR233へ移行して例えば表示画面の割込み表示欄(図99の第19行目)に割込み表示を行なう。
【0292】
次に、作業メニューを表示するノーマル表示(ルーチンR121)に戻って、ここで印字メニュースイッチ430がオンされると、図91のルーチンR123でスイッチオンと判定されてルーチンR301へ進み、印字メニュー選択画面が表示される。印字メニューの内容は表示メニューの内容と全く同じであり、画面を見ながら各選択枝の番号をテンキーを用いて入力すると、対応する稼動データの印字(ルーチンR311〜R322)が実行される。
【0293】
各稼動データの印字が終了し、または印字メニュー選択画面表示中(ルーチンR301)に、コンソール上のCRTクリアスイッチがオンされると、ルーチンR121のノーマル表示画面に戻る。
【0294】
また、上記各処理実行中に、通信回線から割込みが入ってくると表示画面の割込み表示欄に割込み表示を行なう(ルーチンR303,R323)。
【0295】
次に、再びノーマル表示(ルーチンR121)に戻り、ここでコンソール上の打止解除スイッチ433がオンされたとする。すると、図92のルーチンR124からルーチンR401へ移行し、図102に示すような打止解除用の画面が表示される。この画面には打止台の台番号とその稼動データが表示され、最後の列(画面の右端)には打止状態にあることを示す符号として「打」なる文字が表示される。
【0296】
この画面の表示中に、下欄のメッセージに従って台番号を入力すると、指定された台番号のパチンコ機の打止状態が解除され、画面上の指定台番号の表示行の右端の「打」なる文字が「空」に書き換えられる(ルーチンR411)。そして、次の台番号が入力されたときあるいは一旦ノーマル表示に戻って再び打止解除画面が表示されたときに、「空」のついている台番号が表示画面のリストから外されるようになっている。
【0297】
また、上記打止解除画面が表示されているときに、CRTクリアスイッチがオンされると、ルーチンR121に復帰してノーマル表示がなされ、打止解除画面表示中に通信回線から割込みが入ってくると、所定の欄(図102第19行目)に割込み表示がなされる(ルーチンR413)。
【0298】
一方、ノーマル表示に戻ったところでコンソール上の強制終了スイッチ434がオンされると、ルーチンR125からルーチンR402へ進み、強制終了メニュー画面がCRTに表示される。このメニューの内容は、パチンコ機、発行機および精算機であり、画面のメッセージに従って選択枝「1」を入力すると、強制終了させたいパチンコ機を指定するためのパチンコ機強制終了画面が表示される(ルーチンR421)。ここで、コンソールのテンキーを使って所望のパチンコ機の台番号を入力してやると、指定されたパチンコ機が強制終了され、画面の表示が更新される(ルーチンR422)。なお、この実施例では強制終了を各台ごとに実行できるのはもちろん台番号として「0」を入力すると全台を対象とした強制終了を実行できるようになっている。この強制終了表示画面は、図102の打止台表示と略同じ構成でよく、各行の末尾の「打」の代わり強制終了を示す「強」の符号を表示させるようになっている。
【0299】
また、ルーチンR402の強制終了メニュー画面表示中に選択枝「2」を入力すると、強制終了させたい発行機を指定するための発行機強制終了画面が表示される(ルーチンR431)。ここで、テンキーを使って所望の発行機の台番号を入力してやると、指定された発行機が強制停止され、画面の表示が更新される(ルーチンR432)。この場合にも、各端末機ごとの強制終了の他、全機を一括して強制停止させることができるようになっている。
【0300】
さらに、ルーチンR402の強制終了メニュー画面表示中に選択枝「3」を入力すると、強制終了させたい精算機を指定するための精算機強制終了画面が表示される(ルーチンR441)。ここで、テンキーを使って所望の精算機の台番号を入力してやると、指定された精算機が強制停止され、画面の表示が更新される(ルーチンR442)。全精算機を一括して強制停止させることも可能である。
【0301】
なお、上記各強制終了画面表示中(ルーチンR421,R431,R441)において、通信回線から割込みが入って来ると所定の欄に割込み表示がなされ、またCRTクリアスイッチがオンされるとルーチンR121のノーマル表示に戻る。
【0302】
さらに、強制終了メニュー画面表示中(ルーチンR402)においても、割込みが入ってくると画面上に割込み表示がなされ、(ルーチンR451)、CRTクリアスイッチがオンされると、ルーチンR121のノーマル表示に戻る。
【0303】
そして、ノーマル表示に戻ったところで、コンソール上の終了解除スイッチ435がオンされると、図93に示すようにルーチンR126からルーチンR403へ進み、強制終了状態を解除するためのメニュー画面がCRTに表示される。このメニューは上述した強制終了メニューと全く同じであり、各選択枝を入力すると、図92のルーチンR421〜R423,R431〜R433,R441〜R443に対応するルーチンR461〜R463,R471〜R473またはR481〜R483が実行され、強制終了中の端末機が再び動作状態にされる。また、表示画面上では指定された台番号の行の末尾の「強」が消去されてブランクになってから、リストから外される。
【0304】
この強制終了解除の場合にも、各端末の種別ごとに一括して解除することができる。また、通信回線から割込みが入ってくると、画面上に割込み表示がなされ(ルーチンR491)、CRTクリアスイッチがオンされると、ルーチンR121のノーマル表示に戻る。
【0305】
再びノーマル表示に戻ったところで、コンソール上のカード復活スイッチ424がオンされると、図94のルーチンR127からルーチンR405へ進み、図103に示すようなカード復活を実行するための画面(初めは上から3行目までの欄LTR4)が表示される。ここで、画面のメッセージに従って先ず復活したいカードの発行通し番号n(図2に示したように、カードの表面に印刷されている)を入力すると、そのカードの現在の未使用金額と持玉数とともに、カードの来歴データが表示される(ルーチンR501)。そこで、この画面のデータを見てカードを復活してもよいかどうかオペレータが判断して、画面下方のメッセージに従って管理装置に設けられたカードライタ407の挿入口に白紙のカード(裏面は磁気面)を挿入してから再度カード復活スイッチ424をオンさせると、年月日、識別コードおよびカード番号を記録した復活カードが発行される。CPUは磁気面に記録したコードのベリファイを行ない、一致すると“OK”の表示を、また一致しなかったときは“エラー”の表示を行なう(ルーチンR502)。それから、CRTクリアスイッチがオンされるとルーチンR121のノーマル表示に戻る。また、上記カード復活処理画面(ルーチンR405)または復活カードのデータ表示画面(ルーチンR501)が表示されているときに、通信回線から緊急情報の割込みが入ってくると、画面上の割込み表示欄(第19行目)に割込み表示がそれぞれなされる(ルーチンR503,R504)。
【0306】
一方、ルーチンR121のノーマル表示に戻ったところで、コンソール背面のテストカードスイッチ437がオンされると、図94のルーチンR128からルーチンR406へ進み、“テストカード発行”中を示す文字と次の操作を示すメッセージからなるテストカード発行処理画面が表示される。この画面の指示に従って、先ず白紙のカードをカードライタ407に挿入してから、テストカードスイッチ437を再度押圧すると、例えば金額にして1000円分の遊技が可能なテストカードが発行される。このとき、カードライタがベリファイを行なって一致が得られなかったときは、CRT画面上にエラー表示がなされる(ルーチンR601)。そして、CRTクリアスイッチがオンされた時点でルーチンR121のノーマル表示に戻る。
【0307】
なお、上記テストカード発行処理画面表示中に、通信回線から緊急割込みが入ってくると割込み表示が成される(ルーチンR602)。
【0308】
ノーマル表示(ルーチンR121)に戻ったところで、コンソール上の閉店スイッチ422がオンされた場合には、ルーチンR129でYESと判定されて図95に示す閉店処理へ移行する。また、上記ノーマル表示(ルーチンR121)による作業メニュー画面が表示されている間に通信回線から緊急割込みが入ってきた場合にも割込み表示がなされる(ルーチンR130,R131)。
【0309】
図95には、上記ルーチンR129において、閉店スイッチがオンされたと判定された場合の画面制御手順が示されている。すなわち、閉店スイッチ422がオンされると、ルーチンR129からR170へジャンプし、有効スイッチの種類を示す閉店メニューの画面が表示される。閉店メニューの画面に表示される有効スイッチは、「表示メニュー」と「印字メニュー」と「終了」の3つのスイッチである。この閉店メニュー画面の表示中において、表示メニュースイツチ428がオンされると、ルーチンR171でスイッチオンと判定されてルーチンR701へ進み、メニュー選択画面が表示される。ここで、メニュー選択画面に表示されるメニューの種類は、開店中の処理Aにおいて、ルーチンR121のノーマル表示中に表示メニュースイッチがオンされた場合(図90参照)と同じである。ただし、図90における各種データの表示は、システム稼動中に定期的(1秒間隔)で収集される可変データであるのに対し、閉店スイッチオン後における表示データは既に確定したデータである点が異なる。
【0310】
メニュー選択画面表示中(ルーチンR701)において選択枝の番号「1」〜「12」を入力して所望のデータを表示させる処理(ルーチンR711〜ルーチンR722)および表示中にCRTクリアスイッチがオンされた場合(ルーチンR702)、割込みが入った場合の処理(ルーチンR703,R723)の手順は図90の場合と同様であるので説明を省略する。
【0311】
次に、図96には、ルーチンR170の閉店メニュー表示中において、コンソール上の印字メニュースイッチ430がオンされた場合の画面制御手順を示す。印字メニュースイッチ430がオンされると、ルーチンR172からR801へジャンプし、メニュー選択画面の表示を行なう。
【0312】
メニューの種類は、開店処理中のデータ印字(図91)と同じであり、かつ選択枝の番号を入力して所望の収集データを印字させる処理(ルーチンR〜R822)および表示中にCRTクリアスイッチがオンされた場合(ルーチンR802)、割込みが入った場合(ルーチンR803,R823)の処理も図91と同じである。
【0313】
一方、ルーチンR170の閉店メニュー表示中において、終了スイッチ423がオンされると、ルーチンR173からルーチンR180へ進み、マスタコンピュータの電源遮断の確認および電源スイッチをオフすべき旨のメッセージからなる画面を表示する。また、閉店メニュー画面表示中に割込みが入った場合にも、画面の割込み表示欄(第19行目)に割込み表示がなされる(ルーチンR174,R190)。
【0314】
次に、図97には、上記図89〜図96における割込み表示処理(ルーチンR114,R223,R323,R412,R423,R433,R443,R451,R463,R473,R483,R491,R503,R504,R602,R131,R723,R823,R190)のより具体的な制御手順を示す。
【0315】
通信回線から割込みが入ってくると、先ずコンソール内のブザー440を鳴動(ルーチンR901)させてから、端末機の種別ごとに割込みの原因を解析して、対応する割込み表示へ移行する。ここで、割込みの要因がパチンコ機における打止の発生によるものである場合には、ルーチンR902にて打止発生時刻と打止台の番号と打止回数とをCRTの画面上に割込み表示させる。また、割込みの発生源がカード発行機であった場合には、その割込み要因を解析して、発生時刻と台番号および割込み要因の種類を表示させる(ルーチンR903)。
【0316】
カード発行機における割込み要因としては、つり銭用の紙幣切れ、発行前の白紙カード切れ、購入紙幣のタンクの満杯等がある。一方、割込みの発生源が精算機であった場合にも、割込み要因を解析して発生時刻と台番号および割込み要因の種類を表示させる(ルーチンR904)。精算機における割込み要因としては、未使用金払戻し用の紙幣切れと硬貨切れ、レシート用紙切れ、カード回収用のタンクの満杯等がある。
【0317】
上記各割込み表示は、特に限定されるわけではないが、この実施例では前述したように、各種メニュー表示画面やデータ表示画面の第19行目において行なうようになっている。また、これらの割込み原因はプリンタ408により直ちに印字される。
【0318】
また、管理装置のCPUに対する上記割込みは、パチンコ機の打止については、“打止”パケットを用いて、またカード発行機および精算機からのものは、“モニタ異常”パケットを用いて行なわれる。
【0319】
そして、上記各ルーチンR902〜R904による割込み表示中にコンソール上のブザーストップスイッチ436がオンされると、ルーチンR905でブザーの鳴動を停止させてからもとのルーチンへ復帰する。
なお、図99に示すように、表示画面の第20行目にタイマ割込みによる収集データに基づく営業統計データを表示させるようにすることもできる。
【0320】
前記実施例では、磁気カードを記憶媒体とし、識別符号(カード番号)でデータを管理するようにした遊技システムについて説明したが、ICカード等の電子カードその他のカードを記憶媒体とする遊技設備に広く適用することができる。さらに、実施例では一例としてこの発明を、パチンコ機を遊技装置とする遊技設備に適用した場合のものについて説明したが、この発明はそれに限定されるものではなく、遊技装置としてはアレンジボールやスロットマシン等においても適用することができる。また、実施例では一例として封入球機構を利用した遊技装置について説明したが、この発明はそれに限定されるものではなく、封入球機構を利用しなくても、例えば記憶媒体の有する金額情報を所要の変換レートの下で所定数の遊技媒体(実遊技媒体を含む)に変換して遊技媒体を借り入れ、この借り入れた遊技媒体によって遊技を行うように構成された遊技装置を用いた遊技設備においても利用することができる。
【0321】
なお、上記実施例では、カード復活機能を管理装置に持たせるようにしているが、カード発行機に持たせてもよいし、専用の装置として構成するようにしてもよい。また、カード復活機能を有する装置を利用して、データがゼロになって無効となったカードを投入して有効なデータを書き込むことでカードの再利用を図るようにすることも可能である。
また、上記実施例ではカードに識別符号(カード番号)のみを記憶させカードが保有すべき有価データは管理装置の側で管理するようにしているが、カードに識別符号とともに有価データを記憶させるようにしてもよい。
【0322】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、所要の情報を記憶可能な情報記憶部を有する記憶媒体が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置と、記憶手段を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置とを備え、上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備において、上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報を記憶させ、上記遊技装置には、上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段と、上記記憶媒体の金額情報を表示する金額情報表示手段と、上記記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段と、少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段とを設け、上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなるので、記憶媒体の信憑性を向上させることにより不正記憶媒体の使用を未然に防止することができるとともに、記憶媒体の使用動向を把握することも可能となるため、遊技店の経営者が記憶手段に記憶されている記憶媒体の所要の情報を参照することによって、適切な営業方針を決定することも可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は本発明が適用されたパチンコ遊技システム全体の構成を示すシステム構成図、
【図2】
図2(A),(B)は本発明に係るシステムに使用されるカードの構成を示す正面図および背面図、
【図3】
図3は本発明に係るシステムに使用されるカード発行機の構成例を示す正面図、
【図4】
図4はカードリーダの構成例を示すもので、(A)は発行機用、(B)はパチンコ機用、(C)は精算機用そして(D)は管理装置用のカードリーダの概略構成図、
【図5】
図5はカード発行機の制御系の構成例を示すブロック図、
【図6】
図6はパチンコ機の構成例を示す正面図、
【図7】
図7はパチンコ機の制御ユニットの構成例を示す斜視図、
【図8】
図8はパチンコ機の裏面の構成例を示す背面図、
【図9】
図9はパチンコ機の裏面の封入球循環装置の構成例を示す背面図、
【図10】
図10(A),(B)は封入球循環装置の玉抜き部の詳細を示す拡大図および封入球循環装置の玉送り部の詳細を示す斜視図、
【図11】
図11はパチンコ機全体の制御系の構成例を示すブロック図、
【図12】
図12はパチンコ機の制御装置の構成例を示すブロック図、
【図13】
図13は精算機の構成例を示す正面図、
【図14】
図14は精算機の制御系の構成例を示すブロック図、
【図15】
図15は管理装置全体の構成例を示す斜視図、
【図16】
図16は管理装置自身のシステム構成例を示すブロック図、
【図17】
図17は管理装置のコンソールの構成例を示す平面図、
【図18】
図18は本発明の遊技システム内でのカードの状態遷移を示す説明図、
【図19】
図19は本発明の遊技システムにおける伝送系の構成例を示すブロック図、
【図20】
図20は各端末機のユニットコントローラと伝送路(ネットワーク)との間のデータ送受信の制御を行なう制御ユニットの構成例を示すブロック図、
【図21】
図21はネットワーク上でのデータ転送制御を行なうNAU(ネットワークアダプタユニット)の構成例を示すブロック図、
【図22】
図22は“定時データ要求”パケットの構成図、
【図23】
図23は高層ネットワークにおいて管理装置からNAUに送られる“定時データ要求”応答パケットの構成図、
【図24】
図24は高層および低層ネットワークにおいて制御ユニットから管理装置に送られる“カードイン”パケットの構成図、
【図25】
図25は高層ネットワークにおける“カードイン”パケットに対する肯定応答パケットの構成図、
【図26】
図26は低層ネットワークにおける“カードイン”パケットに対する肯定否定応答パケットの構成図、
【図27】
図27は高層および低層ネットワークにおける“カードイン”パケットに対する否定応答パケットの構成図、
【図28】
図28は管理装置およびNAUの初期化およびネットワークの回線テストの手順を示すシステムフローチャート、
【図29】
図29は管理装置によるNAUを介した各端末機の初期化およびネットワークの回線テストの手順を示すシステムフローチャート、
【図30】
図30は管理装置における伝送アドレスファイルの作成手順を示すシステムフローチャート、
【図31】
図31は“テーブル要求”パケットに対する応答パケットの構成図、 【図32】
図32は管理装置による各端末機への初期値設定の手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図33】
図33は管理装置による各端末機への初期値設定の手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図34】
図34は管理装置による各端末機からの定時データ収集の手順を示すシステムフローチャート、
【図35】
図35は管理装置による各端末機への開店指令の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図36】
図36は各端末機での開店処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図37】
図37は管理装置による各端末機への閉店指令の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図38】
図38は各端末機での閉店処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図39】
図39はパチンコ機へのカード挿入から遊技開始までの手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図40】
図40はパチンコ機へのカード挿入から遊技開始までの手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図41】
図41は遊技中にパチンコ機の中断スイツチがオンされた場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図42】
図42は遊技中にパチンコ機の中断スイツチがオンされた場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図43】
図43は中断中のパチンコ機にカードが挿入された場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図44】
図44は中断中のパチンコ機にカードが挿入された場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図45】
図45は遊技中にカードの持玉数と金額がともにゼロになった場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図46】
図46は遊技中にカードの持玉数と金額がともにゼロになった場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図47】
図47は遊技中に打止が発生した場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図48】
図48は、遊技中に打止が発生した場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図49】
図49は管理装置のコンソールから打止解除指令が入った場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図50】
図50は管理装置のコンソールから打止解除指令が入った場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図51】
図51は管理装置のコンソールから強制終了指令が入った場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図52】
図52は管理装置のコンソールから強制終了指令が入った場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図53】
図53は強制終了中の端末機の終了を解除する場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図54】
図54は強制終了中の端末機の終了を解除する場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図55】
図55は遊技中にパチンコ機の遊技終了スイッチがオンされた場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図56】
図56は遊技中にパチンコ機の遊技終了スイッチがオンされた場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図57】
図57は中断中のカードが精算機において精算された場合の中断終了処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図58】
図58は中断中のカードが精算機において精算された場合の中断終了処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図59】
図59はカード発行機に購入紙幣が挿入された場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図60】
図60はカード発行機に購入紙幣が挿入された場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図61】
図61は精算機にカードが挿入された場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図62】
図62は精算機にカードが挿入された場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図63】
図63は端末機の側で強制終了要因が発生した場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図64】
図64は端末機の側で強制終了要因が発生した場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図65】
図65は管理装置が端末機のデータの異常を検出した場合のデータ復旧処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図66】
図66は管理装置が端末機のデータの異常を検出した場合のデータ復旧処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図67】
図67は各端末機に対するデータ復旧処理後に再スタートさせる場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図68】
図68は各端末機に対するデータ復旧処理後に再スタートさせる場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図69】
図69は端末機の側でモニタ異常を検出した場合の処理手順(低層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図70】
図70は端末機の側でモニタ異常を検出した場合の処理手順(高層ネットワーク)を示すシステムフローチャート、
【図71】
図71は低層ネットワークの異常を検出した場合の処理の手順を示すシステムフローチャート、
【図72】
図72は低層ネットワークの異常を検出した場合の制御ユニットにおける処理の手順を示すシステムフローチャート、
【図73】
図73は準備中におけるカード発行機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図74】
図74は営業中におけるカード発行機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図75】
図75はカード発行機における動作手順を示すフローチャート、
【図76】
図76は準備中における精算機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図77】
図77は営業中における精算機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図78】
図78は精算機における動作手順を示すフローチャート、
【図79】
図79は準備中におけるパチンコ機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図80】
図80は営業中におけるパチンコ機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図81】
図81は同じく営業中におけるパチンコ機と管理装置との相互関係に関する動作手順を示すフローチャート、
【図82】
図82はパチンコ機におけるカード挿入による遊技開始の動作手順を示すフローチャート、
【図83】
図83はパチンコ機におけるカード挿入による中断終了の動作手順を示すフローチャート、
【図84】
図84はパチンコ機における遊技の中断とカード精算による中断終了の動作手順を示すフローチャート、
【図85】
図85はパチンコ機における帰零の発生の場合の動作手順を示すフローチャート、
【図86】
図86はパチンコ機において終了スイッチがオンされた場合の動作手順を示すフローチャート、
【図87】
図87はパチンコ機において打止が発生した場合と、管理装置から打止解除指令があった場合の動作手順を示すフローチャート、
【図88】
図88はパチンコ機の制御ユニットにおける遊技処理の一例としての遊技球演算処理と持玉購入処理の手順を示すフローチャート、
【図89】
図89〜図97は管理装置におけるCRT表示装置の画面制御方法を示すもので、このうち図89は開店前の画面制御に関するフローチャート、
【図90】
図90は開店後に表示メニュースイッチがオンされた場合の画面制御に関するフローチャート、
【図91】
図91は同じく印字メニュースイッチがオンされた場合のフローチャート、
【図92】
図92は、打止解除スイッチまたは強制終了スイッチがオンされた場合のフローチャート、
【図93】
図93は強制終了解除スイッチがオンされた場合のフローチャート、
【図94】
図94はカード復活スイッチ、テストカードスイッチまたは閉店スイッチがオンされた場合のフローチャート、
【図95】
図95は閉店スイッチのオン後に表示メニュースイッチがオンされた場合のフローチャート、
【図96】
図96は閉店後に印字メニュースイッチがオンされた場合のフローチャート、
【図97】
図97は上記各処理中に通信回線から割込みが入った場合の処理フローチャート、
【図98】
図98は管理装置における初期値設定および変更用画面の構成例を示す表示画面構成図、
【図99】
図99は管理装置におけるメニュー選択用画面の構成例を示す表示画面構成図、
【図100】
図100は管理装置における特定カードのデータ表示用画面の構成例を示す表示画面構成図、
【図101】
図101は管理装置における発行済カードの明細表示用画面の構成例を示す表示画面構成図、
【図102】
図102は管理装置における打止台に関するデータ表示用画面の構成例を示す表示画面構成図、
【図103】
図103は管理装置におけるカード復活処理用画面の構成例を示す表示画面構成図である。
【符号の説明】
100 パチンコ機
110 遊技機本体
120 封入球循環装置
160 制御ユニット
170 ユニットメモリ
180 カードリーダ
190 ユニットコントローラ
200 カード発行機
210 紙幣識別機
220 カードライタ
230 残金払出器
250 制御ユニット
300 精算機
310 カードリーダ
320 紙幣払出器
330 プリンタ
350 制御ユニット
400 管理装置
510 低層ネットワーク
520 高層ネットワーク
530 NAU(ネットワーク・アダプタ・ユニット)
 
訂正の要旨 1.訂正の要旨
(ア)特許請求の範囲を特許請求の範囲の減縮を目的として以下のとおりに訂正する。
【請求項1】所要の情報を記憶可能な情報記憶部を有する記憶媒体が挿入されることに関連して所要の遊技が実行可能とされる遊技装置と、記憶手段を有し少なくとも上記記憶媒体の情報を管理する管理装置とを備え、上記遊技装置と上記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備において、
上記記憶媒体の情報記憶部には、少なくとも記憶媒体ごとに付与される固有の固有識別情報を記憶させ、上記遊技装置には、上記記憶媒体の情報記憶部の情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段と、上記記憶媒体の金額情報を表示する金額情報表示手段と、上記記憶媒体の金額情報に基づいて所要の金額から所定数の遊技媒体に変換させる指令を与える変換操作手段と、少なくとも上記記憶媒体読取手段を制御する制御手段と、を設け、上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、上記管理装置は、上記固有識別情報の受信に基づいて当該記憶媒体の所要の情報を上記記憶手段に記憶媒体ごとに時系列的に記憶するように構成されてなることを特徴とする遊技設備。
(イ)明細書の発明の詳細な説明の訂正
平成9年11月5日付手続補正書第5頁7行目〜10行目の「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報を上記管理装置へ送信する送信手段(例えばユニットメモリ170)を設け、」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段(例えばユニットメモリ170)を設け、」と訂正する。
(ウ)明細書の発明の詳細な説明の訂正
同手続補正書第24頁27行目〜29行目の「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「上記制御手段には、上記記憶媒体読取手段によって上記記憶媒体より読み取られた当該記憶媒体の固有識別情報および上記遊技装置を特定する情報を上記管理装置へ送信する送信手段を設け、」と訂正する。
審理終結日 2001-09-03 
結審通知日 2001-09-07 
審決日 2001-10-18 
出願番号 特願平6-111363
審決分類 P 1 112・ 121- ZA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 二宮 千久
白樫 泰子
登録日 1998-03-27 
登録番号 特許第2761843号(P2761843)
発明の名称 遊技設備  
代理人 河野 登夫  
代理人 中尾 真一  
代理人 山上 和則  
代理人 河野 登夫  
代理人 稲岡 耕作  
代理人 河野 登夫  
代理人 鈴木 由充  
代理人 中尾 真一  
代理人 中尾 真一  
代理人 尾崎 英男  

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