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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D
管理番号 1082162
審判番号 不服2001-21876  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-06 
確定日 2003-08-15 
事件の表示 平成10年特許願第184324号「地盤改良体造成装置及びその工法」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月18日出願公開、特開2000- 17650]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年6月30日に出願されたものであり、その請求項1乃至5に係る発明は、平成13年8月20日受付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】高圧流体の流路である内管を具備する注入ロッドと、前記内管と連通し前記注入ロッド外周上に開口する噴射ノズルと、前記注入ロッド外周上から該注入ロッド軸に対して垂直に延びる攪拌翼とを有し、前記注入ロッドを回転かつ前進後退させつつ地盤中に硬化材を注入することにより地盤改良体を造成する地盤改良体造成装置において、前記攪拌翼の先端に取り付けられかつ前記噴射ノズルから高圧噴射される硬化材の進路を遮断する拡散防止部を設け、かつ、前記拡散防止部により進路を遮断される硬化材を高圧噴射する噴射ノズルが、前記注入ロッド外周上において前記攪拌翼の下側に配置されることを特徴とする地盤改良体造成装置。
【請求項2】(記載を省略)
【請求項3】(記載を省略)
【請求項4】(記載を省略)
【請求項5】(記載を省略)」
(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)
2.刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-296439号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の記載がある。
(1)「本発明の地盤改良装置は、図1〜図3の例では、1は図示しない地盤改良機、掘削機等の土木、建築作業機械に設けた駆動部(駆動装置)に設けられたかつその先端に刃11(必要に応じて設けられる。)を備えたケ-シングパイプで、このケ-シングパイプ1の先端やや内側に噴射口111を有する。またこのケ-シングパイプ1には、その先端でかつこのケ-シングパイプ1の放射方向に延設した掘削翼2と、この掘削翼2の下端にそれぞれ設けられた掘削用の多数の刃21と、前記掘削翼2の翼端2aに設けられた切削板兼反射板3と、前記ケ-シングパイプ1に設けたスタビライザ-兼撹拌翼6及び撹拌翼5と、がそれぞれ設けられている。(段落【0013】)
(2)「尚、前記噴射口111はケ-シングパイプ1の先端やや内側で、かつ前記切削板兼反射板3に向かって開口する構成となっており、この噴射口111を介してケ-シングパイプ1に供給された改良材は、当該掘削翼2の刃11、ケ-シングパイプ1の刃21、切削板兼反射板3の外刃31、内刃31a(後述する。)により掘削された掘削土壌に向って、しかも当該掘削土壌のセンタ-に向かって反射され、当該掘削土壌と撹拌混合され改良土が生成される。また前記掘削翼2の下端等に設けられた刃11、21、外刃31、内刃31aによって地中障害物を破砕し、掘削土壌とともに撹拌混合できる特徴を有する。」(段落【0014】)
これらの記載からみて、刊行物1には「改良材の流路である改良体供給パイプを具備するケ-シングパイプと、改良体供給パイプと連通し前記ケ-シングパイプ外周上に開口する噴射口と、前記ケ-シングパイプ外周上から該ケ-シングパイプに対して垂直に延びる掘削翼及び撹拌翼とを有し、前記ケ-シングパイプを回転かつ前進後退させつつ地盤中に改良材を注入することにより地盤改良体を造成する地盤改良装置において、前記掘削翼の先端に取り付けられかつ前記噴射口から高圧噴射される改良材の進路を遮断する切削板兼反射板を設け、かつ前記切削板兼反射板により進路を遮断される改良材を高圧噴射する噴射口を、前記ケ-シングパイプ外周上に設けた地盤改良装置。」が記載されているものと認められる。
また同じく原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された実願平3-6168号(実開平4-97935号)のマイクロフィルムには、次の記載がある。
(1)「先端に尖形部を有し適所に吐出孔を有する中空のロッドに、少なくとも、ツメを有する掘削翼を先端近傍に及びその上方に適当間隔で撹拌翼を、全体に螺旋状となるように突設してなる地盤改良機の撹拌装置において、翼の最上部位に位置しツメを有する掘削翼を引揚げ時に作用するように突設した地盤改良機の撹拌装置。」(請求項1)
(2)「図1において請求項1の実施例を示す。1は中空のロッドであって、先端は尖形部2に構成されている。前記ロッド1の中空内は固化液材の通路となり、固化液材は該ロッド1の適所、例えば先端近傍の吐出口6から吐出される。前記ロッド1の下端近傍にはツメ3aを有する掘削翼3が、その上方には適当間隔に撹拌翼4・・・が、最上部位にはツメ5aを有する掘削翼5が、全体に螺旋状になる如く突設されている。」(第5頁第7〜12行、図1〜5参照)
3.対比・判断
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「改良体供給パイプ」、「ケ-シングパイプ」、「噴射口」、「掘削翼」、「改良材」及び「切削板兼反射板」は、それぞれ本願発明の「内管」、「注入ロッド」、「噴射ノズル」、「攪拌翼」、「硬化材」及び「拡散防止部」に相当するから、両者は、「高圧流体の流路である内管を具備する注入ロッドと、前記内管と連通し前記注入ロッド外周上に開口する噴射ノズルと、前記注入ロッド外周上から該注入ロッド軸に対して垂直に延びる攪拌翼とを有し、前記注入ロッドを回転かつ前進後退させつつ地盤中に硬化材を注入することにより地盤改良体を造成する地盤改良体造成装置において、前記攪拌翼の先端に取り付けられかつ前記噴射ノズルから高圧噴射される硬化材の進路を遮断する拡散防止部を設けた地盤改良体造成装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本願発明は、噴射ノズルを注入ロッド外周上において攪拌翼の下側に配置したのに対し、刊行物1記載の発明はそのような構成を備えていない点。
そこで、前記相違点について検討する。
地盤改良体造成装置において、噴射ノズルを攪拌翼の下側に配置することは、刊行物2に明確に記載されており、かつ従来周知(例えば、実願昭56-149847号(実開昭58-54436号)のマイクロフィルム、特開昭52-99611号公報、特開昭57-169126号公報参照。)の技術である。
そうすると、上記相違点に係る本願発明の構成は、刊行物1記載の発明に刊行物2等記載の周知の技術を適用することにより、当業者ならば容易になし得たものであり、その作用効果も予測し得る程度のものである。
4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、上記各刊行物に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-06-05 
結審通知日 2003-06-10 
審決日 2003-06-24 
出願番号 特願平10-184324
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 斎藤 利久
藤原 伸二
発明の名称 地盤改良体造成装置及びその工法  
代理人 小島 高城郎  
代理人 小島 高城郎  
代理人 小島 高城郎  
代理人 小島 高城郎  

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