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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1082284 |
審判番号 | 不服2001-18174 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-01-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-11 |
確定日 | 2003-08-18 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第146660号「金融商品処理システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 1月24日出願公開、特開平 7- 21285]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願の発明 本願は、平成5年6月18日に出願したものであって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成15年4月24日付けの手続補正によって補正された明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。 「請求項1 金融商品に対応した処理を行う金融商品処理システムにおいて、 金融商品種類毎に、少なくとも、日数に基づいて利息を計算するか月数に基づいて利息を計算するかの利息計算方法を示す値と、単利で利息を計算するか複利で利息を計算するかの約定利息方法を示す値を管理する金融商品特性テーブルと、 実行指示に対応して指定されている金融商品種類に対して前記金融商品特性テーブルにおいて対応付けられている利息計算方法が、日数に基づいて利息を計算することを示す値である場合、利息計算に用いる日数を利息計算の計算期間として設定する手段と、 実行指示に対応して指定されている金融商品種類に対して前記金融商品特性テーブルにおいて対応付けられている利息計算方法が、月数に基づいて利息を計算することを示す値である場合、利息計算に用いる月数を利息計算の計算期間として設定する手段と、 実行指示に対応して指定されている金融商品種類に対して前記金融商品特性テーブルにおいて対応付けられている約定利息方法が、単利で計算することを示す値である場合、設定されている計算期間を用いて単利で利息計算する手段と、 実行指示に対応して指定されている金融商品種類に対して前記金融商品特性テーブルにおいて対応付けられている約定利息方法が、複利で計算することを示す値である場合、設定されている計算期間を用いて複利で利息計算する手段と を有する金融商品処理システム。」 2.引用例に記載の発明 これに対して、当審の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開平5ー61891号公報(以下「引用例」という。)には、以下の(1)及び(2)の事項が図面とともに記載されている。 (1)【産業上の利用分野】本発明は、取引に伴う税処理を行なう税処理システムに関する。(【0052】) (2)図7に、本第3実施例に係る税処理テーブルの構成を示す。521〜525は前記第1実施例(図4)において、同一符号で示したものと同じで、521は税番号、522は税率、523は税名称、524は税区分を示し、値0が外税、値1が内税であることを示すこととする。 525は税での丸め処理を示し、値0が切捨て、値1が四捨五入、値2が切上げを示すこととする。 528は、税処理テーブルの返品時に用いるレコードを示す税番号であり、返品時にはこの返品時の税番号528の値を得て、再度税処理テーブル52の該当レコードを得、そのレコードのデータによって税処理する。 以下、本第3実施例に係るPOS端末装置の動作について説明する。 今、税番号521が1、税率522が3%、税名称523がTAX1、税区分524が値0すなわち外税、税の丸め処理525が値0すなわち切捨て、返品時の税番号528が2のレコードと、税番号521が2、税率522が3%、税名称523がTAX2、税区分524が値0すなわち外税、税の丸め処理525が値2すなわち切上げのレコードが登録されているものとする。 このとき、税処理番号が1である商品データが入力されると次のようになる。「販売」時には、税番号521が1の税処理テーブル52上のレコードを用いて丸め処理すると、値が0だから切捨てとなる。また、「返品」時には、税番号521が1の税処理テーブル52上のレコードから返品時の税番号528が2という値を得て、税処理テーブル52上の税番号521が2のレコードを得、それによって丸め処理すると、値が2だから、切上げとなる。(【0097】〜【0103】) 上記(1)の記載から、引用例に記載の発明は、商品の取引に伴う税処理を行なう商品の税処理システムにに関するものである。 上記(2)の記載から、税番号毎に、税区分として外税で計算するか、内税で計算するかを示す値(外税が0、内税の値が1)と、税の丸め処理として切捨て、四捨五入、切上げで計算するかを示す値(切捨ての値が0、四捨五入の値が1、切上げの値が2)を管理する税処理テーブルが記載されていると共に、税番号に対して前記税処理テーブルにおいて対応付けられている税区分を示す値を用いて計算し、丸め処理の計算を示す値を用いて計算することが引用例に記載されている。 このことから、引用例には、対応付けられている税区分を示す値が外税である場合、外税で計算する手段と、対応付けられている税区分を示す値が内税である場合、内税で計算する手段と、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている丸め処理の計算を示す値が切捨ての値である場合、切捨てで計算する手段と、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている丸め処理の計算を示す値が四捨五入の値である場合、四捨五入で計算する手段と、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている丸め処理の計算を示す値が切り上げの値である場合、切り上げで計算する手段が記載されていることは明らかである。 したがって、引用例には、 「商品に対応した処理を行なう商品の税処理システムにおいて、商品毎に、税区分を示す値と、丸め処理の計算を示す値を管理する商品の税処理テーブルと、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている税区分を示す値が外税である場合、外税で計算する手段と、対応付けられている税区分を示す値が内税である場合、内税で計算する手段と、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている丸め処理の計算を示す値が切捨ての値である場合、切捨てで計算する手段と、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている丸め処理の計算を示す値が四捨五入の値である場合、四捨五入で計算する手段と、指定された税番号に対して前記商品の税処理テーブルにおいて、対応付けられている丸め処理の計算を示す値が切り上げの値である場合、切り上げで計算する手段とを有する商品の税処理システム」の発明(以下「引用例に記載された発明」という。)が記載されているものと認められる。 3.本願発明と引用例に記載された発明との対比 引用例に記載された発明(以下「後者」という。)は、金融商品ではない一般的な商品を対象にしている点は、本願発明(以下「前者」という。)と異なるものの、両者は、商品毎に計算の仕方を示す2つの値を管理するテーブルを用いてその2つの値に応じて計算する手段を有する処理システムである点で一致し、 (1)後者が一般の商品を対象にしているのに対して、前者は、金融商品を対象にしている点、 (2)テーブルが管理する値に関して、 後者が商品毎に税区分を示す値と丸め処理の計算を示す値を管理するのに対して、前者は商品種類毎に利息計算方法を示す値と約定利息方法を示す値を管理する点、 (3)後者が日数又は月数を計算期間として設定する手段を有していないのに対して、前者は、日数又は月数を計算期間として設定する手段を有する点、 (4)後者の計算する手段が計算期間を用いて計算していないのに対して、前者の計算手段は、計算期間を用いて計算している点、 で両者は相違する。 4.当審の容易性の判断 相違点(1)に対して、 商品に対応した計算処理をコンピュータで行なうことは一般常識であり、その商品として金融商品を対象に計算処理することも従来から行なわれていたことである。 したがって、後者の一般の商品を金融商品に代えて本願発明の構成のようにすることは当業者が容易に推考できたものと認める。 相違点(2)に対して、 相違点(1)で述べたように、商品として金融商品を対象に計算処理することが従来から行なわれており、更に、利息計算方法及び約定利息方法を用いて金融商品を計算することは一般常識であるから、商品毎に計算の仕方を示す2つの値を管理するテーブルが記載された引用例に接した当業者にとって、その計算の仕方を示す2つの値に代えて利息計算方法を示す値と約定利息方法を示す値を用いて前者の構成のようにすることは当業者が容易に推考できたものと認める。 相違点(3)に対して、 利息の計算の仕方として日数か月数に基づいて利息を計算する利息計算の仕方、及び、単利で利息を計算するか複利で利息を計算するかの約定の利息計算の仕方は、多くの人に知られていることであり、そして、コンピュータで利息の計算をするには日数又は月数の計算期間が必要なことも多くの人に知られていることであるから、本願件発明の構成のようにすることは、当業者が容易に推考できたものと認める。 相違点(4)に対して、 相違点(3)で述べた理由と同様に、本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に推考できたものと認める。 そして、本願発明の効果は、引用例に記載の発明の効果から予測できる範囲内のものと認める。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-06-06 |
結審通知日 | 2003-06-17 |
審決日 | 2003-06-30 |
出願番号 | 特願平5-146660 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小山 満 |
特許庁審判長 |
佐藤 荘助 |
特許庁審判官 |
平井 誠 辻本 泰隆 |
発明の名称 | 金融商品処理システム |
代理人 | 岡田 守弘 |