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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1082381
審判番号 不服2001-5803  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-08-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-12 
確定日 2003-08-22 
事件の表示 平成10年特許願第15705号「電話発信を可能とする情報端末と、電話発信方法と、電話発信のためのプログラムを記録した記録媒体」拒絶査定に対する審判事件[平成11年8月6日出願公開、特開平11-215221]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年1月28日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年5月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「複数のウィンドウ画面をディスプレイに表示できるオペレーションシステム(OS)を有する情報端末による電話発信方法において、
電話発信を制御するための第1のウィンドウを表示し、
前記第1のウィンドウとは別に前記OSで起動され表示されている第2のウィンドウ上でユーザにより選択された文字列を記憶し、記憶された前記文字列から数字を抽出し、抽出した前記数字を前記第1のウィンドウに表示し、該第1のウィンドウに表示させた前記数字を電話番号として回線に発信することを特徴とする電話発信方法。」

2.引用例
(1)これに対して、当審の拒絶理由に引用された特開平8-125724号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【0011】
【実施例】
図3を参照すると、本発明のパーソナル通信装置の表示装置10は、画面下部の電話アイコン26をユーザが押すことによって、ユーザが装置2をセルラ電話として使用できるようにする、電話画面を有するように選択できる。
・・・
【0012】
画面の下部のアイコン28に触れると、図4に示した移動オフィス画面が表示される。図から分かるように、装置2のデータ処理システムが使用できるいくつかの異なるアプリケーションがある。たとえば、装置2は、装置自体のカレンダとメモ帳ならびにファイラと住所録を有する。さらに、「メール」という名称のアイコンにより電子メール操作が、また「ファックス」という名称のアイコンによりファクシミリ操作が可能である。」(4頁5欄46行目〜6欄18行目)

ロ.「【0027】
マーク・モードの終りに、図9に示すように、マークされたテキストがポップアップ・ウィンドウ70に表示される。ポップアップ画面は、適切なテキストがマークされたという確認をユーザに提供する。ポップアップ画面70の他にも、画面上にいくつかの機能キーが現れる。様々な機能キーはそれぞれ、マークされたテキストに関して選ぶことのできるオプションを提供する。たとえば、ユーザが、Joe Smithの電話番号として正しいテキストがマークされたと判断した場合は、次に「ダイヤル」機能キー72を押すことにより、その番号に電話をかけるようシステムに指示することができる。また、ユーザの気が変わった場合は、機能キー74に触れることによってそのテキストをマーク解除することもできる。さらに、後ろ向きの矢印アイコンを押すことによって、マークされたテキストを取り消すこともできる。したがって、本発明では、何も書き留める必要なしに、ユーザは、単に所望の電話番号をマークし、次いで「ダイヤル」機能キーを押すことによって、何かに直接電話をかけることができる。」(6頁9欄19〜37行目)

ハ.「【0031】
テキストをマークし次いでダイヤルする動作を、図10のフローチャートに示す。図示した通り、動作は走査画面サービス・ルーチンから始まる。これは、システムのEPROM36に記憶されたルーチンの1つであり、装置上で稼働する全部でなくとも大部分のアプリケーションで使用される。このルーチンに入るとすぐに、走査画面サービスが、画面の領域64に表示されたボタン(または機能キー)およびアイコン、ならびに画面の領域62に表示されたテキストを監視する。ボタン押圧ルーチン802で、機能キーまたはアイコンの1つが押されたかどうかが判定される。ブロック804で、図6の62のようなテキスト領域が押されたかどうかが判定される。テキスト領域が押された場合は、ブロック806Aで、押された位置にカーソルが移動する。同時に、ブロック806Bで、カウンタ42またはシステム・クロックであるタイマがセットされる。その後、ブロック808で、テキスト領域が押されたかどうかさらに判定が行われる。押されていない場合は、ブロック802に戻り、機能キーまたはアイコンが押されたかどうかを判定する。
【0032】
テキスト領域が確かに押された場合は、ブロック810で、新しいカーソル位置かどうか判定が行われる。新しいカーソル位置の場合は、プロセッサは、システムがカーソル・スライド・モードのままであると判定し、プロセスはブロック806aおよび806bに戻って、カーソルを新しい位置に移動させタイマをリセットする。カーソル位置が移動しなかったと判定された場合、すなわちユーザが指を画面上の同じ位置に保持していた場合は、ブロック812で、プロセッサにより所定期間が経過したかどうか判定が行われる。ユーザが指を画面上の同じ位置に保持しなかった場合、システムは再度、ブロック808でテキスト領域が接触され続けたかどうかを判定し、ブロック810でユーザが指を移動したかどうかを判定することになる。
【0033】
カーソルが同じ位置に維持された状態で所定の期間が経過したと判定された場合は、ブロック814で、トーン発生器44によって生成されたビープ音が鳴ってマーク・モードに進む。システムはタッチ検知表示装置を走査し続けて、ブロック816で、テキスト領域が接触され続けているかどうかを判定する。接触され続けている場合は、ブロック818で、マーク・モードが始まった点から接触点までの画面の領域が、マークされたテキストを強調表示または反転表示することによってマークされる。これは、テキスト領域が触れられなくなったことをシステムが検知するまで、すなわちユーザが表示画面を押すのを止めるまで続く。接触の解除により、ブロック820で、トーン発生器44によって第2のビープ音が提供され、マーク・モードが終了したことをユーザに知らせる。
【0034】
同時に、マークされたテキストの始まりを示すポインタならびに文字カウント数、すなわちマークされたテキストが、別のアプリケーションで使用するためにRAM34などの記憶装置に提供される。
【0035】
前述のように、アプリケーションの1つは、図9に示した発呼アプリケーションである。発呼アプリケーションの始まりによって、マークされた番号がポップアップ・ウィンドウ70に表示されたときに、ブロック822aで、ブロック814および820で出力されたビープ音とは異なる別のビープ音がトーン発生器44によって提供される。ブロック822bで、ポップアップ・ウィンドウ70は確認と見なされる。次にブロック824で、マークされたテキストが正しいかどうかシステムが確認を行う。正しい場合は、ブロック826でキー72に触れて、確認された電話番号を呼び出す。正しくない場合は、ブロック828で、ユーザはマーク解除ボタン74に触れることによって、マークしたテキストをマーク解除することができる。その後、システムは、ブロック830で、呼走査画面サービスに戻る。」(6頁10欄19行目〜7頁11欄36行目)

以上の記載及び添付図面(特に図9、図10)ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、
上記「表示装置」はいわゆる「ディスプレイ」であり、
上記「システム」は「電話」、「メール」、「カレンダとメモ帳ならびにファイラと住所録」等のアプリケーションを操作するいわゆる「オペレーションシステム」であり、「電話画面」、「移動オフィス画面」、「ポップアップウィンドウ」を含む複数の画面を表示可能なものである。ここで、上記「ポップアップウィンドウ」はダイヤルキー72を備えているから「電話発信を制御するためのウィンドウ」でもある。
また、上記「パーソナル通信装置」は「セルラ電話として使用できる」いわゆる「情報端末」である。
また、上記「テキストをマークし次いでダイヤルする動作」は「電話発信方法」に他ならないものである。
したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「複数の画面をディスプレイに表示できるオペレーションシステムを有する情報端末による電話発信方法において、
表示されている画面上でユーザにより選択されたテキストを記憶し、
発呼アプリケーションを開始し、前記テキストを電話発信を制御するためのポップアップウィンドウに表示し、該ポップアップウィンドウに表示させた前記テキストを電話番号として回線に発信することを特徴とする電話発信方法。」

(2)また、当審の拒絶理由に引用された特開平9-55815号公報(以下、「周知例1」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【0084】図7に示すページネーションキー2-2には、いわゆる、マルチ・ウインドウ機能により複数の処理画面が表示可能であり、いずれか一つのウインドウをアクティブ状態にして、そのウインドウに係る処理を電話端末装置1-1が実行するものである。なお、図7においては、本発明に係る電話機能を提供するディーリング処理画面(ディーリング・ウインドウ)25-1と、パソコンのアプリケーションソフト画面(PCアプリケーション・ウインドウ)25-2と、パソコンのファイル管理画面(ファイルマネージャ・ウインドウ)25-3とが表示されている例を示している。
【0085】なお、各ウインドウについて、画面いっぱいの最大表示、画面の表示サイズ変更、及び、アイコン化が可能であるが、これらの機能は周知であるので、その詳細な説明は省略する。」(9頁15欄3〜17行目)

上記周知例1の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、「電話端末装置において、マルチ・ウインドウ機能により複数の処理画面を表示し、いずれか一つのウインドウをアクティブ状態にして、そのウインドウに係る処理を実行する」ことは単なる慣用手段である。(以下、「慣用手段1」という。)

(3)また、当審の拒絶理由に引用された特開平8-139624号公報(以下、「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【0015】
文字情報記憶部2は、FM多重放送復調部1から供給された図形・文字情報を記憶する。
電話番号抽出部3は、文字情報記憶部2に記憶された文字情報から、「電話」や「TEL」等の電話番号を示唆する文字列を常時比較検出し、その後に続く数字9桁乃至10桁を電話番号として抽出し、電話番号抽出部3が管理するメモリ(図示せず)に一時記憶する。
【0016】
電話番号抽出部3により抽出された電話番号は、文字情報表示部4に供給され表示される。又、電話番号以外の情報も文字情報記憶部2から文字情報表示部4に供給され表示される。文字情報表示部4では例えば、「リクエストの電話番号は 03―3456―7890 です」と表示される。
文字情報表示部4に表示されたリクエストの電話番号に電話をかける場合、本FM多重放送受信装置の操作者は、ダイヤル指示入力部5のダイヤル指示釦を押す。ダイヤル指示釦が押されると、ダイヤル指示入力部5から主制御部7にダイヤル指示信号が出力される。」(3頁4欄26〜43行目)

ロ.「【0025】
尚、電話番号抽出部3に於ける電話番号の抽出時に、電話番号の情報に”(”や”)”、”-”が付加されている場合、これらを取り除くものとする。」(4頁6欄27〜29行目)

上記周知例2の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、「電話番号抽出部に於ける電話番号の抽出時に、電話番号の情報に”(”や”)”、”-”が付加されている場合、これらを取り除いて、記憶部に記憶するとともに文字情報表示部4に供給して表示する」ことは単なる慣用手段である。(以下、「慣用手段2」という。)
なお、上記「表示部」には「リクエストの電話番号は 03―3456―7890 です」と表示される例が記載されているが、これは「電話番号以外の情報も文字情報記憶部2から文字情報表示部4に供給され表示される」結果であって、「電話番号抽出部3により抽出された電話番号は、文字情報表示部4に供給され表示される」ものであることにかわりはない。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明の「ウィンドウ画面」は「画面」の一種であるから、この点で引用発明の「画面」と一致している。
また、本願発明の「文字列」と引用発明の「テキスト」は両者が同様の表記による電話番号を指しているから同じものであり、本願発明の「第1のウィンドウ」と引用発明の「ポップアップウィンドウ」は、いずれのウィンドウも「電話番号を表示し、電話発信を制御するためのウィンドウ」であるから同じものであり、本願発明の「第1のウィンドウ」に表示させる「数字」と引用発明の「ポップアップウィンドウ」に表示させる「テキスト」は、いずれも「電話番号としての番号列」であるという点で一致している。
また、本願発明の「第1のウィンドウとは別にOSで起動され表示されている第2のウィンドウ」と引用発明の「表示されている画面」はいずれも「電話番号選択画面」であるという点で一致している。

したがって、本願発明と引用発明は、
「複数の画面をディスプレイに表示できるオペレーションシステムを有する情報端末による電話発信方法において、
電話番号選択画面上でユーザにより選択された文字列を記憶し、電話番号としての番号列を電話発信を制御するためのウィンドウに表示し、該ウィンドウに表示させた番号列を電話番号として回線に発信することを特徴とする電話発信方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
(1)「画面」に関し、本願発明は「ウィンドウ画面」であるのに対し、引用発明は「ポップアップウィンドウ」を除き、「ウィンドウ画面」であるか否か不明である点。
(2)「電話発信を制御するためのウィンドウ」に関し、本願発明は「第1のウィンドウ」であり、該ウィンドウを最初に表示するのに対し、引用発明は「ポップアップウィンドウ」であり、該ウィンドウを「テキストを選択した後、発呼アプリケーションを開始する」ときに表示する点。
(3)「電話番号選択画面」に関し、本願発明は「第1のウィンドウとは別にOSで起動され表示されている第2のウィンドウ」であるのに対し、引用発明は「表示されている画面」である点。
(4)「電話番号としての番号列」に関し、本願発明は「記憶された文字列から抽出された数字」であるのに対し、引用発明は「記憶されたテキスト」そのものである点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点(1)の「画面」について検討するに、「電話端末装置において、マルチ・ウインドウ機能により複数の処理画面を表示し、いずれか一つのウインドウをアクティブ状態にして、そのウインドウに係る処理を実行する」ことは、例えば上記周知例1に開示されているように、単なる慣用手段(慣用手段1)であるところ、引用発明における複数の「画面」のひとつは「ポップアップウィンドウ」という「ウィンドウ画面」であるから、引用発明の他の画面についてもこれらを全て「ウィンドウ画面」とするとともに、上記慣用手段1に基づくマルチウィンドウ機能を付加し、本願発明のように構成することは容易なことである。

ついで、相違点(2)の「電話発信を制御するためのウィンドウ」と相違点(3)の「電話番号選択画面」について検討するに、上記マルチウィンドウ機能の「複数の処理画面を表示し、いずれか一つのウインドウをアクティブ状態にして、そのウインドウに係る処理を実行する」とは、「処理の実行順序にかかわらず複数のウィンドウ画面を起動・表示させておくことができる機能」のことであるから、引用発明の複数の画面に上記マルチウィンドウ機能を付加する際、それら複数のウィンドウの表示時期を、本願発明のように、最初に「電話発信を制御するための第1のウィンドウ」を表示するとともに、「電話番号選択画面」を「第1のウィンドウとは別にOSで起動され表示されている」ものとする程度のことは、単なる設計的事項に過ぎないものである。

また、相違点(4)の「電話番号としての番号列」について検討するに、回線に送出する電話番号はハイフンやカッコを含まないものであることは当業者にとって自明のことであり、引用発明において「番号列(記憶されたテキストそのもの)を電話番号として回線に発信する」場合、何等かの手段により発信前に当該番号列からハイフンやカッコが除去されることも当業者にとって自明のことである。また、そうしなければ有効な発呼とはならないものである。
してみると、本願発明は番号列表示前に「ハイフンやカッコを含む」文字列(テキスト)から数字を抽出するのに対し、引用発明は表示後に抽出する点で実質的に相違することになる。そこで検討するに、「電話番号抽出部に於ける電話番号の抽出時に、電話番号の情報に”(”や”)”、”-”が付加されている場合、これらを取り除いて、記憶部に記憶するとともに文字情報表示部4に供給して表示する」ことは上記周知例2に開示されているように単なる慣用手段(慣用手段2)であるから、引用発明の数字抽出時点を、番号記憶時に変更するとともに表示する内容を数字のみとして本願発明のような構成とする程度のことは、上記慣用手段2に基づいて、当業者であれば容易に成しえたことである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用例に記載された発明ならびに上記慣用手段1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-06-23 
結審通知日 2003-06-25 
審決日 2003-07-08 
出願番号 特願平10-15705
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山中 実  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 浜野 友茂
桂 正憲
発明の名称 電話発信を可能とする情報端末と、電話発信方法と、電話発信のためのプログラムを記録した記録媒体  
代理人 後藤 洋介  
代理人 京本 直樹  
代理人 河合 信明  
代理人 池田 憲保  
代理人 福田 修一  
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