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審決分類 |
審判 補正却下不服 判示事項別分類コード:11 H04N |
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管理番号 | 1082391 |
審判番号 | 補正2003-50023 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-08-13 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-08 |
確定日 | 2003-09-08 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第 12936号「画像記録装置」において,平成15年3月31日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は平成4年1月28日の出願であって,その後,平成13年9月3日付けで明細書を補正する手続補正がなされたが,この補正は,平成15年3月31日付で決定をもって却下された。 2 原決定の理由 原決定の理由は概ね以下のとおりである。 (1)請求項2には,「前記操作手段は,前記モード切換手段の切り換えに応じた自動焦点調節の動作指示も行う」と記載されている。 しかし,願書に最初に添付された明細書及び図面には,「自動焦点調節の動作指示」が「モード切換手段の切り換え」に応じたものであるという表現の記載はない。 (2)出願人は平成15年1月14日付意見書において, 「本願発明における“共通の操作手段”が『前記モード切換手段の切り換えに応じた自動焦点調節の動作指示を行う』という補正箇所は, 1.【図2】に示すSV(静止画記録)モードにおいて,ステップS5(トリガー全押し?)がYES判定のとき,ステップS6にてAF(自動焦点調節制御)を禁止する,という処理を行うのに対して, 2.【図3】に示すMV(動画記録)モードにおいて,ステップS15(トリガー全押し?)がYES判定のとき,ステップS16にてAF(自動焦点調節制御)を実行する,という処理を行うことに対応します。」 と主張している。 しかし【図6】には,MVモードにおいてステップS55(トリガー全押し?)がYES判定のときは,ステップS54にて選択されたAF(自動焦点調節制御)を禁止した状態で動画記録指示を行う実施例も記載されており,願書に添付された明細書及び図面全体からみて,MVモードにおいて全押しされるトリガ(共通の操作手段)とAFの実行とを対応させておくという技術思想が記載されていたとは認められない。 したがって,出願人のこの指摘箇所からは,「自動焦点調節の動作指示」が「モード切換手段の切り換え」に応じたものであることが記載されているということはできない。 また,上述の点は当業者にとって自明なこととも認められない。 したがって,この補正は,明細書の要旨を変更するものと認められ,特許法第53条第1項の規定により,上記結論の通り決定する。 3 当審の判断 願書に最初に添付した明細書及び図面(以下,「出願当初の明細書」という。)には,「自動焦点調節の動作指示」が「モード切換手段の切り換え」に応じたものであるという直接の表現がないことは,明らかである。 そこで,この内容が出願当初の明細書に,実質的に記載されているに等しいか否か検討する。 出願当初の明細書の図2,図3及び図6には,原決定に記載されたとおり,次の事項が認められる。 (1)【図2】に示すSV(静止画記録)モードにおいて,ステップS5(トリガー全押し?)がYES判定のとき,ステップS6にてAF(自動焦点調節制御)を禁止する。 (2)【図3】に示すMV(動画記録)モードにおいて,ステップS15(トリガー全押し?)がYES判定のとき,ステップS16にてAF(自動焦点調節制御)を実行する。 (3)【図6】には,MVモードにおいてステップS55(トリガー全押し?)がYES判定のときは,ステップS54にて選択されたAF(自動焦点調節制御)を禁止した状態で動画記録指示を行う実施例も記載されている。 原決定は,請求項2の「前記操作手段は,前記モード切換手段の切り換えに応じた自動焦点調節の動作指示も行う」と記載されている内容を,「自動焦点調節の動作指示」が「モード切換手段の切り換え」に1対1に対応したものであること,すなわち,例えばMVモードにおいてトリガーを全押しの場合AFを実行し,SVモードにおいてトリガーを全押しの場合AFを禁止すること,のみを表しており,本願の場合,MVモードにおいてトリガーを全押しの場合,図3ではAFを実行するのに対し,図6ではAFを禁止する,相異なる動作が示されていることから,モードと動作指示が1対1に対応しておらず,かつ,1体1に対応しない場合を含めて「切換に応じた」という表現が出願当初の明細書に記載されていないから,この補正は,明細書の要旨を変更するもの,と解していることが,決定の全体から把握できる。 しかし,当初明細書の図6の実施例は,図3とは別の実施例を示すものであることは,明細書中に「【0042】実施例3 記録モードがMVモードにセットされている場合には,記録を行う時(すなわち,トリガー全押し状態投入時)のAFの実行と禁止はそれまでのAFの状態(トリガーの開放,半押し状態)に従うよう構成することも可能である。 【0043】 そこで第3の実施例では,図6に示すように」と明記されていることから明らかである。 そうすれば,MVモードにおいて全押しされるトリガと対応させるものとして,AFの実行と,AFの禁止とが別の実施例として示されているものであり,両者を含めた表現として,上位概念で表した場合,モードに応じた動作指示といえることは,通常の表現として許容されるものである。 モードと動作指示が,複数の実施例のすべてにおいて1対1に対応していなければならないとすることは,実施例の記載を極端に制限することとなり,制度の趣旨にも馴染まないものである。 したがって,「前記操作手段は,前記モード切換手段の切り換えに応じた自動焦点調節の動作指示も行う」と表現されている内容は,モードと動作指示が1対1に固定的に対応していない場合も含めた表現と理解することが自然であり,出願当初の明細書又は図面の記載には,これを妨げる記載も見あたらないから,上記補正は実質的に出願当初の明細書に記載されていた範囲のものであり,明細書の要旨を変更するものではない。 4 むすび 以上のとおりであるから,これを却下すべきものとした原決定は失当である。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-08-13 |
出願番号 | 特願平4-12936 |
審決分類 |
P
1
7・
11-
W
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 坂東 博司、伊東 和重 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
新宮佳典 原 光明 |
発明の名称 | 画像記録装置 |
代理人 | 谷 義一 |
代理人 | 阿部 和夫 |