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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1082431
審判番号 不服2001-12567  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-04-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-19 
確定日 2003-08-21 
事件の表示 平成 3年特許願第261631号「銅配線構造体の製造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 4月23日出願公開、特開平 5-102155]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年10月9日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】銅配線の露出表面にAl金属膜を形成する工程と、
熱処理を施して、銅配線の表面にCuとAlとから成りアルミニウム濃度が30%〜60%の合金膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする銅配線構造体の製造方法。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前日本国内に頒布された特開昭62-290150号公報(以下「刊行物3」という。)には、「半導体装置及びその製造方法」(発明の名称)に関して、「1.第1の絶縁膜(2)と第2の絶縁膜(4)の間に配設される銅配線(3)の側面及び上面に銅・アルミニウム化合物層(5)が形成されてなることを特徴とする半導体装置。
2.半導体基板(1)上を覆う第1の絶縁膜(2)上に銅配線(3)を形成し、該銅配線(3)形成面上にアルミニウム層(6)を被着し、熱処理を施して該銅配線(3)の表面に銅・アルミニウム化合物層(5)を形成し、残留アルミニウム層(6)を選択的に除去し、該銅配線(3)形成面上に第2の絶縁膜(4)を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。」(特許請求の範囲)であって、「第1図は本発明に係る半導体装置の一実施例における要部を示す模式側断面図で、第2図(a)〜(d)は本発明に係る製造方法の一実施例を示す工程断面図である。
全図を通じ同一対象物は同一符合で示す。
本発明に係る半導体装置は例えば第1図に示すように、素子(図示せず)及び下層配線(図示せず)等が形成された半導体基板1上に気相成長により形成された例えばSiO2よりなる第1の絶縁膜(層間絶縁膜)2上に、厚さ50〜200 Å程度のCuを主成分とするCuxAly組成のCu・Al化合物層5を表面即ち側面及び上面に有する厚さ1μm、幅2μm程度の単一組成よりなるCu配線3が配設され、該配線形成面上に気相成長によるPSG膜等よりなる第2の絶縁膜(被覆絶縁膜)4が形成されてなっている。
そして上記構造を有する半導体装置は、以下に第2図(a)〜(d)及び第1図を参照して説明する本発明に係わる製造方法によって形成される。
第2図(a)参照
即ち、通常の半導体装置の製造方法によって図示しない素子の形成、下層絶縁膜の形成、下層配線(Alよりなる)の形成を終わった半導体基板1上にモノシラン(SiH4)を反応ガスとして用いる通常の化学気相成長(CVD)法により厚さ6000〜8000Å程度のSiO2膜よりなる第1の絶縁膜(層間絶縁膜)2を形成し、次いで第1の絶縁膜2に通常のリソグラフィ技術により下層配線を表出する図示しないコンタクト窓を形成し、次いで蒸着若しくはスパッタリング法により第1の絶縁膜2上に厚さ1μm程度の単一組成のCu層を形成し、塩素系のガスを用いるリアクティブ・イオンエッチング(RIE)処理、或いはアルゴンによるスパッタエッチング処理等を用いる通常のリソグラフィ手段により該Cu層のパターンニングを行って、前記図示しないコンタクト窓において図示しない下層配線に接続する幅2μm程度の上層のCu配線3を形成する。
第2図(b)参照
次いで上記配線形成面上に蒸着若しくはスパッタリング法により厚さ例えば500〜1000Å程度のAl層6を形成する。
第2図(c)参照
次いで該基板を不活性ガス例えば水素(H2)-窒素(N2)混合ガス中において 450℃程度の温度に所定の時間加熱し、Cu配線3とAl層6との接触面においてCuとAlを反応せしめ、Cu配線3の表面に50〜200Å程度の厚さのCuを主成分しCuxAly組成を有するCu・Al化合物層5を形成せしめる。(この際Cuがリッチであるので、CuAl2が形成される場合が多い。)
第2図(d)参照
次いで燐酸処理等により残留Al層6を選択的にエッチング除去し、表面がCu・Al化合物層5に覆われたCu配線3が形成される。」(第2頁右下欄第4行〜第3頁右上欄第18行)ことが、第1図、第2図と共に記載されている。
以上の記載から、刊行物3には、「銅配線形成面上にアルミニウム層を形成する工程と、熱処理を施して該銅配線の表面に銅・アルミニウム化合物層(この際Cuがリッチであるので、CuAl2が形成される場合が多い。)を形成する工程と、を備えた、表面が銅・アルミニウム化合物層に覆われた銅配線の製造方法」が示されている。

3.対比
本願発明と上記刊行物3に記載された発明を対比すると、上記刊行物3に記載された発明の「銅配線形成面上にアルミニウム層を形成する工程」は、本願発明の「銅配線の露出表面にAl金属膜を形成する工程」に相当し、上記刊行物3に記載された発明の「表面が銅・アルミニウム化合物層に覆われた銅配線」は、本願発明の「銅配線構造体」に相当し、また、上記刊行物3に記載された発明の「銅・アルミニウム化合物層」と、本願発明の「CuとAlとから成る合金膜」とは、いずれもCuとAlとから成る膜であるから、
両者は、「銅配線の露出表面にAl金属膜を形成する工程と、
熱処理を施して、銅配線の表面にCuとAlとから成る膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする銅配線構造体の製造方法。」の点で一致し、
銅配線の表面に形成するCuとAlとから成る膜として、本願発明では、アルミニウム濃度が30%〜60%の合金膜を形成するのに対して、上記刊行物3に記載された発明では、銅・アルミニウム化合物層を形成するものであり、この際Cuがリッチであるので、CuAl2が形成される場合が多い点(以下、「相違点」という。)で相違している。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
上記刊行物3に記載された発明は、銅・アルミニウム化合物層を形成するものであり、この際Cuがリッチであるので、CuAl2が形成される場合が多いのであるが、本願明細書の発明の詳細な説明の【0010】段落を参照すると、
「【0010】このように、合金相がCuAl2(45.9重量%Al)になるような条件で銅配線上に銅-アルミニウム合金相を形成することが望ましいが、10%程度のアルミニウムの濃度差があっても、問題となる程度の抵抗上昇(銅膜中に拡散するアルミニウムに起因するものと銅の酸化起因するものがある)を生じないことから銅-アルミニウム中のアルミニウム濃度としては30〜60%とすることにより、上記作用を奏する。」という記載があり、この記載によれば、銅-アルミニウム合金相としてCuAl2が望ましいのであるから、合金膜と化合物層との違いはあるものの、上記刊行物3に記載の銅・アルミニウム化合物層としてCuAl2が形成される場合は、アルミニウム濃度に関しては、本願発明の合金膜の数値範囲内にあるものと認められる。
また、CuとAlとから成る膜として合金膜を形成するか、化合物層を形成するかは、当業者が適宜選択できた程度のことと認められる。

5.むすび
したがって、本願発明は、上記刊行物3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-06-20 
結審通知日 2003-06-24 
審決日 2003-07-08 
出願番号 特願平3-261631
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井関 守三河合 章  
特許庁審判長 松本 邦夫
特許庁審判官 橋本 武
朽名 一夫
発明の名称 銅配線構造体の製造方法  
代理人 小林 博通  
代理人 志賀 富士弥  
代理人 橋本 剛  

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