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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L |
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管理番号 | 1082821 |
審判番号 | 不服2002-17301 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-12-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-09-06 |
確定日 | 2003-09-08 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第155684号「細径配管による接続固定物およびその固定方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年12月10日出願公開、特開平 4-357388]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成3年5月30日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年10月2日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という。)。 「予め鍍金処理を施した継手部材側の接続筒壁部に、予め鍍金処理を施した配管の端部附近の環状凹溝部に組付けた弾性シールリング部位を挿着して、継手部材側の接続筒壁部および該接続筒壁部に挿入された配管の重合周面をカシメして接続構成した接続固定物。」 2.引用例 (1)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-108106号(実開昭64-15889号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。) 引用例1には、図面とともに、次の記載がある。 ・「弾性シールリング部材や押圧部材の挿着、組付を容易とし、連結時の加熱鑞熔着作業を一切不要とし、予め鍍金処理を施した相手部材並びに配管の使用を可能として連結後の鍍金処理を不要とし、」(第4頁第12-16行)(第9頁第2-5行にも同様の記載がある。) ・「(1)は軸心内部の流通孔(2)に連なって連接方向に段付き拡径口(2´)を有する筒壁(1´)を備えた所望形状の継手本体或いは基体等からなる相手部材、(3)は予め鍍金処理を施した配管(P)の先端部分に形成された拡径部(P´)の端部に設けた二重折り曲げ等による外方への環状突起壁であって、該突起壁の背面にゴム、樹脂等からなる弾性シールリング部材(4)を係合せしめ、更にその外側にリング状もしくはスリーブ状からなる押圧部材(5)を組込んだ状態で、連結端部附近を前記相手部材(1)側の段付き拡経口(2´)の内部に挿着せしめてなるものであり、且つ前記押圧部材(5)を前方へ押圧した後に、拡径口(2´)をなす筒壁(1´)の端周部(1″)を内方に屈曲し、前記弾性シールリング部材(4)を圧縮して対向する拡径口(2´)側の口周面と配管(P)側の拡径した外周面とに密接係合してなるものである。」(第6頁第2-18行) したがって、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。 「予め鍍金処理を施した相手部材側の筒壁部に、予め鍍金処理を施した配管の端部附近の外周に組み込んだ弾性シールリング部材と押圧部材の部位を挿着して、筒壁の端周部を内方に屈曲して接続構成した接続固定物。」(以下、「引用例1発明」という。)。 (2)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-28741号(実開昭63-135091号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。) 引用例2には、図面とともに、次の記載がある。 ・「この拡径部2の外周に環状溝3が形成され、該環状溝3にオーリング4が嵌入されている。」(第3頁第19行-第4頁第1行) ・「被挿入孔7は、外方が円形の管部9となっていると共に、その反開口端側(奥端)に段部10が形成されている。」(第4頁第8-10行) ・「このような、パイプ1とコネクタ6とを結合させるには、まず、パイプ1の先端の拡径部2をコネクタ6の被挿入孔7内に、その拡径部2の端部が前記被挿入孔7の段部10に当接するまで挿入する。そして、複数のかしめ爪11によりコネクタ6の管部9上からかしめる。(中略)このかしめ作業により、管部9及び拡径部2にかしめ部12及び13が生じ、この実施例では8ヶ所が形成される。」(第4頁第13行-第5頁第3行) 3.対比 本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「相手部材」は本願発明の「継手部材」に相当し、同様に、「筒壁」は「接続筒壁」に、また、「弾性シールリング部材」は「弾性シールリング」にそれぞれ相当するから、両者は、 「予め鍍金処理を施した継手部材側の接続筒壁部に、予め鍍金処理を施した配管を挿着して、接続構成した接続固定物。」 の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 配管の「接続構成」について、 本願発明では、「継手部材側の接続筒壁部に、配管の端部附近の環状凹溝部に組付けた弾性シールリング部位を挿着して、継手部材側の接続筒壁部および該接続筒壁部に挿入された配管の重合周面をカシメして接続構成」するのに対して、 引用例1発明では、「継手部材側の接続筒壁部に、配管の端部附近の外周に組み込んだ弾性シールリングと押圧部材の部位を挿着して、接続筒壁の端周部を内方に屈曲して接続構成」する点。 4.判断 上記相違点について検討する。 引用例2には、コネクタの管部に、パイプの端部附近の環状溝に組付けたオーリング部位を挿着し、かしめ作業により管部及びパイプの拡径部にかしめ部を形成する「接続構成」が記載されている。 そして、引用例2に記載された上記接続構成を引用例1発明に適用し、 「継手部材側の接続筒壁部に、配管の端部附近の外周に組み込んだ弾性シールリングと押圧部材の部位を挿着して、接続筒壁の端周部を内方に屈曲して接続構成」することに代えて、 上記相違点に係る接続構成とすること、すなわち、「継手部材側の接続筒壁部に、配管の端部附近の環状凹溝部に組付けた弾性シールリング部位を挿着して、継手部材側の接続筒壁部および該接続筒壁部に挿入された配管の重合周面をカシメして接続構成」することは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。 そして、本願発明の作用効果も、引用例1の記載、及び、引用例2の記載から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-07-15 |
結審通知日 | 2003-07-16 |
審決日 | 2003-07-30 |
出願番号 | 特願平3-155684 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F16L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 嘉章 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
久保 克彦 岡本 昌直 |
発明の名称 | 細径配管による接続固定物およびその固定方法 |
代理人 | 押田 良輝 |