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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1082920 |
審判番号 | 不服2002-14948 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-03-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-08-08 |
確定日 | 2003-10-03 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第320397号「画像信号復号化装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 3月12日出願公開、特開平 5- 63997、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成3年12月4日(優先権主張平成3年1月10日)の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年9月17日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、次のとおりのものである。 「画像データを所定の画素数以下の各画像領域に対応する複数のブロックに分割し、この分割されたブロック毎に空間周波数成分に分解する直交変換を行なってから、この変換出力を量子化し、その後この量子化出力を可変長符号化することにより圧縮された画像データを復号化する可変長符号デコード手段と、 前記可変長符号デコード手段からの復号化出力を逆量子化する逆量子化手段と、 前記逆量子化手段からの逆量子化出力を逆直交変換する逆直交変換手段と、 前記逆直交変換手段からの変換出力に対して歪除去フィルタリング処理を行う歪除去手段と、 前記復号化出力から得られる各ブロック毎の上記空間周波数成分に分解されたときの各成分の係数たる変換係数を非零または所定の閾値より大きい値を持つ有意な係数とそうでないものとに分ける係数判定手段と、 前記係数判定手段からの上記有意な係数の水平方向および垂直方向の最高周波数をそれぞれ求めることで、ブロック毎に有意な係数の周波数帯域を求め、その周波数帯域に基づいて、前記歪除去手段の歪除去フィルタの特性を前記周波数帯域が実質的な通過帯域となるように変化させる歪除去特性決定手段と を具備することを特徴とする画像信号復号化装置。」 2.引用例 原審の拒絶理由で引用した刊行物である「井沢裕司、‘画像のブロック符号化における帯域保存ポストフィルタ’、電子情報通信学会論文誌B-I、 社団法人 電子情報通信学会、平成2年9月25日、 第J73-B-I巻、第9号、p.707-715」(以下、「引用例1」という。)、特開平1-311782号公報(以下、「引用例2」という。)、特開平2-33285号公報(以下、「引用例3」という。)、及び、原審の拒絶査定で周知例として引用した刊行物である特開平2-224489号公報(以下、「引用例4」という。)、特開平2-154571号公報(以下。「引用例5」という。)、特開平1-114278号公報(以下、「引用例6」という。)、特開昭63-121373号公報(以下、「引用例7」という。)、「太田睦(外1名)、‘動き補償フレーム間ハイブリッド符号化方式における各種不等長符号化の比較’、昭和61年度電子通信学会通信部門全国大会講演論文集、社団法人 電子通信学会、昭和61年8月15日、分冊1、p.1-206」(以下、「引用例8」という。)には、次のことが記載されている。 引用例1には、切り出した画像を離散コサイン変換して空間周波数スペクトルを求め、この各変換係数に対して通過域と阻止域を設定し、逆離散コサイン変換を行うことが記載されている。 引用例2には、符号化側においてDCT処理されたブロックのうち高次の変換係数を切り捨て、復号化側で逆DCT処理をした後歪み除去を行うものに関して、符号化側で切り捨てた変換係数の情報を復号化側の歪み除去時に与えることが記載されている。 引用例3には、符号化側で周波数制限量子化を行い、その情報を復号化側に伝送し、復号化側の逆DCT後の後処理として用いることが記載されている。 引用例4には、直交変換を用いた符号化復号化装置において、係数行列の周波数成分を検出する部分を附加し、その情報を逆直交変換器に与えることにより、係数行列のうち有効要素(零でない要素)についてのみ演算をするようにして、無駄な演算を行わずに一画面の処理時間を短縮することが記載されている。 引用例5には、逆量子化された変換係数の0でない最終位置を求め、この位置以降については乗算を省略して、逆直交変換の演算速度をあげるようにすることが記載されている。 引用例6には、直交変換における係数の符号化効率を高めるために、変換した2次元の係数を1次元のデータ列に変換し、有意係数のみを、前記有意係数からの1次元空間での距離情報とその値を符号化し伝送することが記載されている。 引用例7には、ブロック毎に2次元線形変換を行い変換係数を得て、その変換係数としきい値とを比較してその大小を判定し、ブロック毎の変換係数伝送範囲を決定して符号化するものとしないものとを分類することが記載されている。 引用例8には、有意係数の分布するゾーンを検出し、ゾーン内部のみを符号化の対象とすることにより符号化の効率を高めることが記載されている。 3.本願発明と引用例との対比・判断 本願発明と引用例1ないし8を対比・検討すると、引用例1ないし8には、次に掲げる本願発明の主要な事項の記載も示唆もない。 「デコード手段からの復号化出力により得られる各ブロック毎の空間周波数成分に分解されたときの各成分の係数である変換係数を非零または所定の閾値より大きい値を持つ有意な係数とそうでないものとに分け、上記有意な係数の水平方向および垂直方向の最高周波数をそれぞれ求めることによりブロック毎に有意な係数の周波数帯域を決定し、歪除去フィルタの特性を前記周波数帯域が実質的な通過帯域となるように変化させる歪除去を行う」点。 これにより、「画像信号の符号化装置は従来構成のままで、復号化装置への工夫のみで高速にブロック歪を除去することができ、また歪除去の程度を自由に設定することができる」といった引用例1ないし8にはない顕著な効果を有している。 4.むすび したがって、本願発明は引用例1ないし8の記載に基いて当業者が容易に発明することができたとする原査定の理由によっては、拒絶することはできない。 また、他に本願発明を拒絶する理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-09-17 |
出願番号 | 特願平3-320397 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 長谷川 素直、山崎 達也、梅本 達雄 |
特許庁審判長 |
新宮 佳典 |
特許庁審判官 |
小林 秀美 酒井 朋広 |
発明の名称 | 画像信号復号化装置 |