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審決分類 審判 全部申し立て 産業上利用性  G06F
管理番号 1083003
異議申立番号 異議2001-73541  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-11-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-12-28 
確定日 2003-05-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3184192号「電子化データ授受用記憶媒体」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3184192号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続きの経緯
本件特許第3184192号は、平成4年3月16日に出願した特願平4-58048号の一部を平成12年3月21日に新たな出願とし、その発明について、平成13年4月27日に特許権の設定の登録がされたものであって、その後、平成13年12月28日に上口道代より、平成14年1月9日に田村典子より、それぞれ、本件の請求項1ないし2に係る特許の全てについて特許異議の申立てがされ、これにより、当審における合議の結果、前記請求項1ないし2に係る特許について、平成14年6月13日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年8月26日に明細書についての訂正の請求がされたものである。

第2 訂正の適否
1.訂正の要旨
平成14年8月26日にされた訂正の請求に係る訂正の要旨は、当該訂正請求書の「7.請求の理由(3)訂正事項」の欄に記載されたとおりの次のものである。

「a.特許請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】 電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、
前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、
前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、
前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、
を格納したことを特徴とする電子化データ授受用記憶媒体。」
と訂正する。

b.発明の詳細な説明について
上記aに示す特許請求の範囲の訂正に伴い、この特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、【課題を解決するための手段】および【発明の効果】の欄を下記のように訂正する。
(a) 段落0012の記載を
「【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る電子化データ授受用記憶媒体は、電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、を納したことを特徴とする。」
と訂正する。
(b) 段落0013の記載を
「【0013】
この請求項1の発明によれば、電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、電子化データ暗号鍵に対応し暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報とを格納することとしたので、正規の媒体固有番号を有する記憶媒体に格納された暗号化電子化データのみを使用者側装置で使用することができ、また、記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することができる。」
と訂正する。
(c) 段落0085の記載を
「【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、電子化データ暗号鍵に対応し暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報とを格納することとしたので、正規の媒体固有番号を有する記憶媒体に格納された暗号化電子化データのみを使用者側装置で使用することができ、また、記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することが可能な電子化データ授受用記憶媒体が得られるという効果を奏する。」
と訂正する。」(訂正請求書2頁9行目ないし4頁4行目)

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1) 訂正事項aについて、
ア この訂正は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「暗合鍵」を「暗号鍵」に、「前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて暗号化した許諾情報」を「前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報」と訂正しようとするものであって、その内容からして、前者は、誤記の訂正に相当し、後者は、特許請求の範囲の減縮に相当するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号ないし第2号に掲げる事項を目的とするものである。

イ また、暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報は、願書に添付した明細書又は図面の記載から明白に読み取れることであるから、この訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合するものである。

ウ 更に、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した発明が解決しようとする課題ないし発明の効果を本質的に変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではないから、特許法第120条の4第3項において準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第126条第2項の規定に適合するものである。

(2) 訂正事項bについて、
ア この訂正は、発明の詳細な説明の欄の段落0012,0013および0085の各記載を前掲のとおり訂正するというものであって、訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴い、該特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとり、明りょうでない記載の釈明に相当するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。

イ また、この訂正は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてされていると共に、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項において準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第126条第1項ただし書き及び同第2項の規定に適合するものである。

(3) 独立特許要件
前記(1)に認定のとおり、訂正事項aの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号の場合に該当するものであるが、当該訂正は、特許異議の申立てのされた請求項についてのものであるから、同法第120条の4第3項において準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第126条第3項の規定に適合するものであるか否か、即ち、独立特許要件を満たすものであるか否かの検討は要しないものである。

(4) 以上のとおりであって、平成14年8月20日付け訂正の請求については拒絶すべき理由が見当たらないから、当該訂正は認める。

第3 本件の請求項に係る発明
(1) 請求項1に係る発明
本件の請求項1に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次の事項により構成されるものである。

「電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、
前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、
前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、
前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、
を格納したことを特徴とする電子化データ授受用記憶媒体。」

(2) 請求項2に係る発明
本件の請求項2に係る発明は、訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりの次の事項により構成されるものである。

「それぞれ異なる電子化データ復号鍵により復号される複数の暗号化電子化データと、前記複数の暗号化電子化データのうちの使用を許諾した暗号化電子化データに対応する許諾情報とを格納したことを特徴とする請求項1に記載の電子化データ授受用記憶媒体。」

第4 当審で通知した取消理由
当審における合議の結果、平成14年6月13日付けで通知した取消理由は次のとおりである。

「理由1)本件出願の請求項1および2に係る特許に関する技術は、下記2の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。
・・・(略)・・・ 」

第5 当審の判断
情報の提示(提示それ自体、提示手段、提示方法など)に技術的特徴があるものは、技術思想で、産業上利用できる発明であり、その一方で、情報の単なる提示(提示される情報の内容にのみ特徴を有するもの)は、技術思想でなく、産業上利用できる発明ではない。

そこで、請求項1および2の記載を参照(3(1),(2)より)して、請求項1および2に記載のものの情報の提示に技術的特徴があるかどうかについて検討する。

請求項1および2に記載のものにおいては、
a)提示される情報は、媒体固有番号、暗号化電子化データおよび許諾情報であり、
b)これらの情報は、電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データとして授受されるものであるから、情報の提示は、本件においては、「電子データを授受するための情報の提示」であり、
c)情報の提示の手段、方法は、媒体固有番号、暗号化電子化データおよび許諾情報を電子化データ授受用記憶媒体に格納する手段、方法である、
と言える。

そこで、
a)を踏まえ、提示される情報についてみるに、3つの情報は、それぞれ技術的関係があり、技術的特徴を有していると言えないこともないが、

b)を踏まえ、情報の提示についてみるに、請求項1および2の記載の授受をするための事項としては、電子化データ授受用記憶媒体を備え、電子化データを電子化データ授受用記憶媒体に格納することであるが、この点には何等の技術的特徴も認められない。したがって、情報の提示それ自体は、技術的特徴を有しておらず、

c)を踏まえ情報の提示の手段、方法についてみるに、前記格納する手段、方法については特に記載されておらず、また、電子化データを書き替えできない態様で格納することは、情報を格納する周知慣用技術の一つであり、そのような態様で格納することが、技術的特徴を有するとは認められないから、この点にも技術的特徴を有していない。そして、さらに検討してみても、情報の提示に関し、その他の技術的特徴を有する事項も認められない。

このように、請求項1および2に記載のものの情報の提示(提示それ自体、提示手段、提示方法など)には技術的特徴が認められないから、請求項1および2に記載のものは技術思想ではなく、したがって、産業上利用できる発明ではない。

第6 特許権者の主張と検討
1.特許権者の主張
特許権者は、平成14年8月26日付けの特許異議意見書(以下、単に特許異議意見書と言う。)において、

(主張1)「上記a.b.の点で、審判官殿は記録媒体自体、記録媒体に格納された情報、記憶媒体への格納方法の何れにも技術的特徴がないとご認定されておりますが、本件特許発明の電子化データ授受用記憶媒体は、単なるデータを複数格納したものではなく、3種類のデータ(暗号化電子化データ、許諾情報および媒体固有番号)を後述する態様で格納したものであり、かかる態様を採用することで「記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することができる」という特殊な作用効果を奏することができるものであり、上記審判官殿のご指摘に承服することはできません。」(特許異議意見書2頁22行目ないし29行目)

(主張2)「「媒体固有番号」については、使用者側装置で書き替えできない態様で記録されていると明確に記述しており、これはまさに、「情報の記録方法」に技術的特徴があるものであることは明らかであります。審判官殿は、「記録媒体」として「CD-ROM」を用いた場合は、「使用者側装置で書き替えできない」ことは、自明な事項であって、このような形態が、本件において技術的特徴を有する者とは認められない旨、ご認定されておりますが、かかる審判官殿のご認定は、一般の記録媒体で書き替えできない態様で記録することが容易に実現できることを示しているに過ぎず、「媒体固有番号」を使用者側装置で書き替えできない態様で記録すること自体が本件特許発明における技術的な特徴であることを否定するものではなく、実現手法が容易であるか否かという観点とどのような情報をどのような態様で記録媒体に格納するかという観点とは異なる次元の議論であり、本件特許発明では「媒体固有番号」の記録媒体への格納態様に技術的な特徴がある以上、それを実現する手法の容易性が「発明の進歩性」の議論でもない特許法第29条1項の柱書きの規定に該当するか否かに関係する議論ではないと思料いたします。」(特許異議意見書3頁7行目ないし21行目)

(主張3)「「暗号化電子化データ」と「許諾情報」は、暗号対象物と復号鍵の関係にあり、「許諾情報」は、「暗号化電子化データ」の復号鍵を「使用者側装置で書き替えできない態様で記録媒体に格納した媒体固有番号」で暗号化したものであり、この点において本件特許発明の記録媒体は「情報の記録の仕方それ自体」に技術的な特徴を有する者であります。審判官殿は、これらの情報相互の関係に技術的な特徴を有しているとは認められないとご認定されておりますが、後述する【請求項1に係る発明の特徴】の項で詳述しているように、特に「媒体固有番号」の記録媒体への格納方法と、「許諾情報」の作成格納方法に本件特許発明の技術的な特徴があるものであり、かかる審判官殿のご認定には明白な誤りがあると思料いたします。」(特許異議意見書3頁22行目ないし4頁2行目)

と意見を述べているが、第5で論じたとおりであるから、いずれにしても、請求項1および2に記載のものは特許法第29条第1項柱書きの規定を満たしておらず、出願人の意見を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、特許権者の主張はいずれも理由が無く、かつ、再度検討しても、請求項1および2に記載のものは特許法第29条第1項柱書きの規定を満たさないとすべきものであるから、本件請求項1および2に係る特許は取り消すべきものである。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子化データ授受用記憶媒体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、
前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、
前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、
前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、
を格納したことを特徴とする電子化データ授受用記憶媒体。
【請求項2】 それぞれ異なる電子化データ復号鍵により復号される複数の暗号化電子化データと、前記複数の暗号化電子化データのうちの使用を許諾した暗号化電子化データに対応する許諾情報とを格納したことを特徴とする請求項1に記載の電子化データ授受用記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記憶媒体に格納したコンピュータソフトウエアや電子出版物などの不正使用を防止する電子化データ保護システムで利用する電子化データ授受用記憶媒体に関する。
【0002】
ソフトウェアは一般的にコピーが容易である。また、これらの不正コピー行為は、頻繁に行われており、これがソフトウェアベンダーの正当な利益を阻み、その結果、ソフトウェアの価格も高めに設定せざるを得ないといった悪循環が生じている。また、近年の電子出版物が盛んに出版されるようになってきており、著作権の問題は更に重要となり、これらのプログラムやデータの不正コピーを防止することが求められている。
【0003】
【従来の技術】
従来、プログラムや電子出版物、特にソフトウェアを保護する保護方式として、図14に示すように、ユーザ固有のユーザ固有番号91を用いて許諾情報72を生成する方式がある。この従来の方式は、ユーザ固有番号91として例えば装置番号(計算機に付与された固有の装置番号)を用いる。ソフトウェアは、暗号化してソフトウェア格納媒体71に格納する。また、許諾情報72として、ユーザ固有番号91からユーザの固有鍵を生成し、この固有鍵でソフト復号鍵82を暗号化して当該許諾情報72を生成し、ソフトウェア格納媒体71に格納する。ユーザは、ソフトウェア格納媒体71に格納された暗号化ソフトウェア73と許諾情報72の販売を受けることにより、暗号化ソフトウェア73を平文のソフトウェアに復号し、これを実行する。以下図14の従来の構成および動作を簡単に説明する。
【0004】
図14は、従来技術の説明図を示す。図14において、ソフトウェア格納媒体71は、暗号化した暗号化ソフトウェア73およびソフト復号鍵82を暗号化した許諾情報72を格納する媒体、例えば光磁気ディスクであって、ユーザが販売側から購入する対象の媒体である。許諾情報72は、暗号化ソフトウェア73を復号して平文のソフトウェアにする情報であって、ソフト復号鍵82を暗号化したものである。暗号化ソフトウェア73は、ソフトウェアを暗号化したものである。許諾情報の販売側には、個別鍵生成81、ソフト復号鍵82および暗号化回路83などがある。個別鍵生成81は、ユーザ計算機のユーザ固有番号(例えば装置番号)91をもとにユーザ固有の個別鍵を生成するものである。
【0005】
ソフト復号鍵82は、暗号化ソフトウェア73を元の平文のソフトウェアに復号するための鍵である。暗号化回路83は、ソフト復号鍵82を、個別鍵生成81によって生成したユーザ固有の個別鍵によって暗号化した許諾情報72を生成する回路である。また、ユーザ側のユーザ計算機には、ユーザ固有番号91、個別鍵生成92、復号回路93、ソフト復号鍵94、および復号回路95などがある。ユーザ固有番号91は、ユーザ計算機が持つ固有の番号であって、例えば装置番号である。
【0006】
個別鍵生成92は、ユーザ固有番号91をもとに、ユーザ固有の個別鍵を生成するものである。復号回路93は、購入したソフトウェア格納媒体71から読み出した許諾情報72を復号し、ソフト復号鍵94を生成するものである。ソフト復号鍵94は、暗号化ソフトウェア73を復号して平文のソフトウェアに復号するための鍵である。復号回路95は、ソフト復号鍵94をもとに、ソフトウェア格納媒体71から読み出した暗号化ソフトウェア73を復号し、元の平文のソフトウェアにするものである。この平文のソフトウェアを、ユーザ計算機の主記憶にローディングし、実行する。
【0007】
つぎに、動作を説明する。
(1)許諾情報の許諾側は、ユーザ計算機の持つユーザ固有番号91をもとに、個別鍵生成81がユーザ固有の個別鍵を生成する。この生成した個別鍵をもとに、暗号化回路83がソフト復号鍵82を暗号化し、許諾情報72としてソフトウェアを暗号化した暗号化ソフトウェア73が格納されたソフトウェア格納媒体71に書き込む。
【0008】
(2)ユーザは、(1)で許諾情報72および暗号化ソフトウェア73の書き込まれたソフトウェア格納媒体71を購入し、ソフトウェア格納媒体71をユーザ計算機に装着する。個別鍵生成92がユーザ計算機の持つ固有のユーザ固有番号(例えば装置番号)91をもとに、ユーザ固有の個別鍵を生成する。復号回路93がこの生成したユーザ固有の個別鍵をもとに、購入したソフトウェア格納媒体71から読み出した許諾情報72を復号し、ソフト復号鍵94を生成する。つぎに、復号回路95がこの生成したソフト復号鍵94をもとに、ソフトウェア格納媒体71から読み出した暗号化ソフトウェア73を復号し、平文のソフトウェアを生成する。この生成した平文のソフトウェアを主記憶にローディングし、実行する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図14の構成の従来の保護方式は、ユーザ固有番号91を用いており、通常は計算機の固有番号あるいは携帯可能なハードウェアの固有番号を用いている。計算機の固有番号を用いた場合には、許諾情報72は、計算機に対して実行の許諾を与えていることとなり、この計算機でしか実行できなくなるため、正当なユーザであっても、異なる計算機上では実行が不可能となるという問題が生じている。また、ソフトウェアの譲渡もできない。
【0010】
また、携帯可能なハードウェアの固有番号を用いた場合には、ハードウェア自体および計算機とのインタフェースを設ける必要があり、実施に伴うコストが増加するために実施が困難になるという問題が生じている。
【0011】
本発明は、これらの問題を解決するため、電子化データの媒体に媒体固有番号を持たせ、この媒体固有番号に対して使用する許諾を与え、正規の媒体に格納され、かつ許諾の与えた電子化データのみ実行可能とすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る電子化データ授受用記憶媒体は、電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、を格納したことを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明によれば、電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、電子化データ暗号鍵に対応し暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報とを格納することとしたので、正規の媒体固有番号を有する記憶媒体に格納された暗号化電子化データのみを使用者側装置で使用することができ、また、記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することができる。
【0014】
また、請求項2の発明に係る電子化データ授受用記憶媒体は、請求項1の発明において、それぞれ異なる電子化データ復号鍵により復号される複数の暗号化電子化データと、前記複数の暗号化電子化データのうちの使用を許諾した暗号化電子化データに対応する許諾情報とを格納したことを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば、それぞれ異なる電子化データ復号鍵により復号される複数の暗号化電子化データと、複数の暗号化電子化データのうちの使用を許諾した暗号化電子化データに対応する許諾情報とを格納することとしたので、一つの記憶媒体に複数の電子化データを格納する場合にも対応することができる。
【0016】
具体的には、図1は、本発明の原理構成図を示す図であり、図1において、媒体1は、暗号化した暗号化電子化データ14、当該媒体固有の一意の媒体固有番号12および許諾情報13を格納するものである。
【0017】
個別鍵生成21、31は、媒体固有番号12から媒体個別鍵を生成するものである。暗号化23は、媒体個別鍵によって電子化データ復号鍵22を暗号化するものである。復号32は、媒体個別鍵によって許諾情報13を復号して電子化データ復号鍵33を生成するものである。復号34は、電子化データ復号鍵33によって暗号化電子化データ14を復号し、平文の電子化データを生成するものである。
【0018】
本発明は、図1に示すように、媒体1に予め一意の媒体固有番号12と共に暗号化した暗号化電子化データ14を書き込んでおき、許諾側で個別鍵生成21が媒体1の一意の媒体固有番号12をもとに媒体固有鍵を生成し、暗号化23がこの媒体固有鍵によって電子化データ復号鍵22を暗号化し、この暗号化したデータを媒体1に書き込み、使用側で個別鍵生成31が媒体1から読み込んだ媒体固有番号12をもとに媒体固有鍵を生成し、復号32が許諾情報13を媒体固有鍵によって復号して元の電子化データ復号鍵33を生成し、復号34がこの電子化データ復号鍵33によって読み込んだ暗号化電子化データ14を復号し、平文の電子化データにするようにしている。
【0019】
また、1つの媒体1に格納する暗号化電子化データ14毎に異なる電子化データ復号鍵22を対応づけ、許諾側で使用を許可する暗号化電子化データ14の電子化データ復号鍵22のみを媒体固有鍵によってそれぞれ暗号化し、許諾情報13として媒体1に書き込み、使用側で受信した許諾情報13に対応する暗号化電子化データ14のみを復号し、平文の電子化データにするようにしている。
【0020】
また、媒体固有の一意の媒体固有番号12を使用側で書き替え不可能な形態で書き込むようにしている。また、暗号化電子化データ14として、計算機を動作させるソウトウェアあるいは各種データ(文字、画像、音声データなど)を暗号化するようにしている。
【0021】
また、暗号化電子化データ14を格納する媒体1に一意の媒体固有番号12を書き替え不可能な形態で持たせ、この媒体固有番号12に対して電子化データを使用する許諾を与えることにより、正規の媒体1に格納され、かつ許諾の与えた暗号化電子化データ14のみの使用を可能とすることができると共に、媒体1に格納されている電子化データの譲渡を可能とし、別の電子計算機に当該媒体1を装填して使用することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
つぎに、図2から図13を用いて本発明の実施例の構成および動作を詳細に説明する。ここで、図1で説明した電子化データの例として、計算機に使用するソフトウェアを例に以下説明する。
【0023】
図2は、本発明の1実施例構成図を示す。図2において、ソフトウェア格納媒体11は、許諾側が使用側に許諾するソフトウェアを格納する媒体であり、例えば光磁気ディスク(数百Mバイトないし数Gバイトの容量を持つディスク)などの媒体である。このソフトウェア格納媒体11には、図示のように、書き替え不可な媒体固有番号12、使用側にソフトウェアの許諾を与える許諾情報13、およびソフトウェアを暗号化した暗号化ソフトウェア15を格納する。
【0024】
媒体固有番号12は、ソフトウェア格納媒体11に書き替え不可な一意な媒体固有の番号である。この媒体固有番号12は、ユーザが書き替え不可能な領域に書き込み、OSが管理するようにしてもよいし、また、OSといえども書き替え不可能な形で予め書き込んだり、一度書き込んだら修正不可のものでもよい。
【0025】
許諾情報13は、許諾側が使用側にソフトウェアの許諾を与える情報であって、ここでは、暗号化ソフトウェア15を復号する暗号データである(図6、図7を用いて詳述する)。
【0026】
暗号化ソフトウェア15は、ソフトウェアを暗号化したものである(図3から図5を用いて詳述する)。許諾側の計算機には、個別鍵生成21、ソフト復号鍵24、暗号化23などを設ける。
【0027】
個別鍵生成21は、ソフトウェア格納媒体11から読み出した媒体固有番号12をもとに媒体個別鍵を生成するものである(図6を用いて詳述する)。暗号化23は、個別鍵生成21によって生成された媒体個別鍵によって、ソフト復号鍵24を暗号化するものである。この暗号化した暗号データは、ソフトウェア格納媒体11に許諾情報13として格納する。
【0028】
使用側の計算機には、個別鍵生成31、復号32、ソフト復号鍵35、復号34などを設ける。個別鍵生成31は、ソフトウェア格納媒体11から読み出した媒体固有番号12をもとに媒体個別鍵を生成するものである(図6を用いて詳述する)。これは、許諾側の個別鍵生成21と同じ、媒体個別鍵を生成する。
【0029】
復号32は、個別鍵生成31によって生成された媒体個別鍵により、ソフトウェア格納媒体11から読み出した許諾情報13を復号し、ソフト復号鍵35を生成するものである(図8を用いて詳述する)。
【0030】
復号34は、ソフト復号鍵35によって、ソフトウェア格納媒体11から読み出した暗号化ソフトウェア15を復号し、平文のソフトウェアを生成するものである(図8を用いて詳述する)。この生成した平文のソフトウェアを実行する。
【0031】
以下図2の構成および動作を順次詳細に説明する。図3は、本発明のソフトウェア格納時のフローチャートを示す。これは、ソフトウェアを作成して暗号化した暗号化ソフトウェア15および暗号化した許諾情報13を、ソフトウェア格納媒体11に格納する時のフローチャートである。
【0032】
図3において、S1は、ソフトウェアを作成する。これは、メーカがソフトウェア格納媒体に格納するソフトウェア(各種業務プログラム)を作成する。S2は、ソフトウェア暗号鍵の作成を行う。
【0033】
S3は、ソフトウェアに対応づけ、暗号鍵管理テーブルに格納する。これは、S1で作成したソフトウェアのソフトウェア名と、S2で作成した暗号鍵とを、例えば図5のソフトウェア暗号鍵管理テーブル4に図示のように対応づけて格納し、統括して管理する。
【0034】
S4は、指定したソフトウェアに対応したソフトウェア暗号鍵の取り出しを行う。これは、ソフトウェア格納媒体に格納するソフトウェア名に対応するソフトウェア暗号鍵を、図5のソフトウェア暗号鍵管理テーブル4から取り出す。
【0035】
S5は、S4で取り出したソフトウェア暗号鍵で、平文のソフトウェアを暗号化し、暗号化ソフトウェアを生成する。これは、例えば図4に示すように、作成したソフトウェア名とソフトウェア本体のうちソフトウェア本体の部分を、暗号化鍵によって暗号化を行い、図示のようにソフトウェア名と暗号化ソフトウェア本体を作成する。このときの暗号は、DESなどを用い、下段に説明したように、換字とビット転置を繰り返して暗号化する。
【0036】
S6は、メーカ側の格納媒体に暗号化ソフトウェアを格納する。これにより、一度暗号化した暗号化ソフトウェアを保存し、次回以降は、この保存した暗号化ソフトウェアを取り出し、暗号化を省略する。
【0037】
S7は、暗号化ソフトウェアを読み込み、ソフトウェア格納媒体11に格納する。S8は、ソフトウェア格納媒体11に格納する暗号化ソフトウェアが終わったか判別する。YESの場合には、終了する。NOの場合には、S7を繰り返し行い、指示されたソフトウェア名の暗号化ソフトウェアをソフトウェア格納媒体11に順次格納する。
【0038】
以上によって、ソフトウェアを作成してこれを暗号化した暗号化ソフトウェアにし、これをソフトウェア格納媒体11に格納する。図4は、本発明のソフトウェアの暗号化の例を示す。
【0039】
図4の(a)は、ソフトウェアの暗号の様子を示す。ここで、ヘッダには、識別子としての役割を行うソフトウェア名などを格納する。このヘッダは、暗号化の対象としない。ソフトウェア本体は、暗号化の対象とし、暗号化鍵によって暗号化して暗号化ソフトウェア本体を作成する。このときの暗号化は、例えば図示のように、DES(Data Encryption Standard)を用いる。このDESは、換字とビット転置を繰り返し、暗号を行う。
【0040】
図4の(b)は、暗号化の様子を示す。暗号化は、DESによれば、図示のように64bitのビット列について、暗号化鍵によって暗号化を行い、同じ64bitのビット列を生成する。復号は、復号鍵によって元の64bitのビット列に復号する。
【0041】
図5は、本発明の暗号化ソフトウェアの格納例を示す。図5において、ソフトウェア暗号鍵管理テーブル4は、図3で既述したように、作成したソフトウェア名と、作成した暗号鍵とを対応づけて統括管理するテーブルである。このソフトウェア暗号鍵管理テーブル4には、ソフトウェアが暗号化されていることを表す″ENC″を付与したソフトウェア名と、それぞれ64ビットの暗号鍵をペアにして格納する。
【0042】
以下動作を説明する。
(1)ソフトウェア格納媒体に格納しようとする平文ソフトウェアについて、ソフトウェア暗号鍵管理テーブル4からソフトウェア暗号鍵を取り出す。
【0043】
(2)暗号化回路41が渡されたソフトウェア暗号鍵によって、平文ソフトウェアを暗号化する。暗号化は、例えば図4のDESを用いて暗号化する。
【0044】
(3)暗号化した暗号化ソフトウェアをソフトウェア格納媒体11に図示暗号化ソフトウェア15として格納する。これを指定された全ての平文ソフトウェアについて終了するまで繰り返し行う。この際、一度、暗号化した暗号化ソフトウェアを保存すれば、次回以降からこの保存した暗号化ソフトウェアを取り出してソフトウェア格納媒体11に格納すればよい。また、媒体固有番号12は、既述したようにソフトウェア格納媒体11に固有な一意な番号であって、書き替え不可の形で書き込まれている。また、ソフトウェア暗号鍵管理テーブル4に格納した暗号鍵は、暗号化のアルゴリズムに対象鍵番号を用いた場合には、復号鍵と当該暗号鍵とは一致する。
【0045】
以上によって、平文ソフトウェアについて、ソフトウェア暗号鍵管理テーブル4から該当するソフトウェア暗号鍵を取り出し、これを用いて暗号化を行って暗号化ソフトウェアを作成し、ソフトウェア格納媒体11に格納する。
【0046】
図6は、本発明の許諾情報の生成フローチャートを示す。これは、許諾しようとするソフトウェアの暗号化した許諾情報13を生成し、ソフトウェア格納媒体11に格納するフローチャートである。
【0047】
図6において、S11は、許諾しようとするソフトウェア名を入力する。
S12は、復号鍵管理テーブル5より、ソフト復号鍵を取り出す。これは、図7のソフトウェア復号鍵管理テーブル5から許諾を与えようとするソフトウェア名の復号鍵を取り出す。
【0048】
S13は、媒体固有番号の取り出しを行う。これは、許諾情報を書き込もうとする、ソフトウェア格納媒体11の媒体固有番号を読み出す。S14は、媒体個別鍵の生成を行う。これは、右側に記載したように、ソフトウェア格納媒体11から読み出した平文の媒体固有番号12について、秘密鍵によって暗号化した媒体個別鍵を生成したり、あるいは平文の媒体固有番号12について、秘密アルゴリズムによって暗号化した媒体個別鍵を生成したりする。
【0049】
S15は、媒体個別鍵によって、ソフト復号鍵を暗号化し、許諾情報を生成する。これは、右側に記載したように、平文のソフト復号鍵について、S14で生成した媒体個別鍵により暗号化し、許諾情報を生成する。
【0050】
S16は、S15で生成した暗号化した許諾情報をソフトウェア格納媒体11に格納する。
【0051】
以上によって、暗号化ソフトウェア15を格納したソフトウェア格納媒体11から媒体固有番号12を読み出して媒体個別鍵を生成し、ソフト復号鍵についてこの媒体個別鍵で暗号化し、暗号化した許諾情報13を生成してフトウェア格納媒体11に格納する。これにより、暗号化ソフトウェア15および暗号化した許諾情報13をソフトウェア格納媒体11に格納したこととなる。
【0052】
図7は、本発明の許諾情報の生成説明図を示す。図7において、ソフトウェア復号鍵管理テーブル5は、暗号化ソフトウェア15を復号して平文のソフトウェアに復号する際に必要なソフト復号鍵を、ソフトウエァ名に対応づけて管理するものである。このソフトウェア復号鍵管理テーブル5には、図5で説明したソフトウェア暗号鍵管理テーブル4と同様の復号鍵を格納する。ここには、暗号化されていることを表す″ENC″を付与したソフトウェア名と、それぞれのソフトウェアに対応して64ビットのソフト復号鍵をペアに格納する。動作を説明する。
【0053】
(1)許諾情報を使用側に販売する場合、まず、ソフトウェア格納媒体11から媒体固有番号12を読み出す。この読み出した媒体固有番号12を個別鍵生成回路211に入力し、媒体個別鍵を生成する(図6のS14参照)。
【0054】
(2)つぎに、販売しようとするソフトウェアのソフト復号鍵をソフトウェア復号鍵管理テーブル5から取り出して暗号化回路231に入力し、媒体個別鍵で暗号化し、図示許諾情報13を生成する。この許諾情報13は、ENCという暗号化した旨を表す識別子を付与したソフトウェア名と、暗号化した許諾情報とをペアにし、ソフトウェア格納媒体11に許諾情報13として格納する。ここで、ソフトウェア復号鍵と、個別鍵生成回路211のアルゴリズム(あるいは秘密鍵)は、安全な手段によって保護する。
【0055】
以上によって、許諾側は、ソフトウェア格納媒体11から読み出した媒体固有番号12をもとに媒体個別鍵を生成し、この媒体個別鍵をもとに、ソフト復号鍵を暗号化してソフトウェア格納媒体11に許諾情報13として格納する。
【0056】
図8は、本発明のソフトウェア復号のフローチャートを示す。これは、使用側が購入したソフトウェア格納媒体11を計算機に装着し、ソフトウェアを主記憶にローディングして実行するときのフローチャートである。
【0057】
図8において、S21は、ソフトウェアの実行命令を受け取る。S22は、ソフトウェア格納媒体11から媒体固有番号12の取り出しを行う。
【0058】
S23は、媒体個別鍵の生成を行う。これは、右側に記載したように、S22でソフトウェア格納媒体11から取り出した媒体固有番号12について、秘密鍵により暗号化した媒体個別鍵を生成する。あるいは秘密アルゴリズムにより、媒体固有番号12から暗号化した媒体個別鍵を生成する。
【0059】
S24は、S23で生成した媒体個別鍵で、ソフトウェア格納媒体11から読み出した許諾情報13を復号し、ソフト復号鍵を生成する。これは、右側に記載したように、S23で暗号化した媒体個別鍵で、暗号文である許諾情報13を復号化して平文のソフト復号鍵35を生成する。
【0060】
S25は、ソフトウェア格納媒体11から暗号化ソフトウェア15の読み込みを行う。S26は、ソフト復号鍵で、S25で読み込んだ暗号化ソフトウェア15を復号し、平文のソフトウェアを生成する。これは、右側に記載したように、暗号文の暗号化ソフトウェア15について、S24で生成したソフト復号鍵35で復号し、平文のソフトウェアを生成する。
【0061】
S27は、ソフトウェア実行する。以上によって、ソフトウェア実行命令に対応して、ソフトウェア格納媒体11から取り出した媒体固有番号12から媒体個別鍵を生成し、この媒体個別鍵をもとにソフトウェア格納媒体11から取り出した許諾情報13を復元してソフト復号鍵35を生成し、このソフト復号鍵35によって、ソフトウェア格納媒体11から取り出した暗号化ソフトウェア15を復号して平文のソフトウェアを生成する。この平文のソフトウェアを主記憶にローディングし、実行することが可能となる。
【0062】
図9は、本発明のプログラムの場合の説明図を示す。これは、電子化データとしてプログラムの場合の説明図である。図9の(a)は、全体構成図を示す。
【0063】
図9の(a)において、光磁気ディスク6は、暗号化プログラムなどを格納するものであって、図2のソフトウェア格納媒体11に対応するものであり、媒体固有番号12、許諾情報13、および暗号化プログラム16を格納する媒体である。この光磁気ディスク6は、許諾側から購入し、光磁気ディスク装置に装着する。この光磁気ディスク6の他に、光ディスク、CD-ROM、FD、HD、磁気テープ、カセットテープなどの記憶媒体であってもよい。
【0064】
プログラムローダ61は、プログラム命令実行時に、光磁気ディスク6から該当する復号したプログラムを主記憶63にローディングし、実行可能な状態にするものであって、ここでは、既述した鍵生成(個別鍵生成31)、復号(復号32、34)などを備えた処理部である。
【0065】
主記憶63は、プログラムローダ61が光磁気ディスク6から取り出して復号した平文のプログラムを展開するためのRAM(読み書き可能なメモリ)である。
【0066】
つぎに、図9の(b)のフローチャートに示す順序に従い、図9の(a)の構成の動作を説明する。図9の(b)において、S31は、プログラム命令実行を受け取る。
【0067】
S32は、プログラムローダ61が実行プログラムを見つけて取り出し、復号する。S33は、主記憶上にメモリ展開する。これは、S32で復号した平文のプログラムを、主記憶63上に展開し、動作可能な状態にする。
【0068】
S34は、プログラム実行する。S33で主記憶63上に展開された平文のプロウラムを実行する。図9の(c)は、ユーザ計算機でのソフトウェア(プログラム)の実行説明図を示す。
【0069】
(1)ユーザ計算機がソフトウェア格納媒体11から媒体固有番号12を取り出して個別鍵生成回路311に入力し、暗号化した媒体個別鍵を生成する(図8のS23参照)。
【0070】
(2)復号回路321が、ソフトウェア格納媒体11から取り出した図示のような許諾情報13について、(1)で生成した媒体個別鍵により復号し、図示のようなソフトウェア復号鍵351(ソフト復号鍵35に対応する)を生成する。
【0071】
(3)復号回路341が、ソフトウェア格納媒体11から取り出した暗号化ソフトウェア15について、(2)で生成したソフトウェア復号鍵351により復号し、平文のソフトウェア(プログラム)を生成する。この平文のソフトウェア(プログラム)を主記憶63に展開し、実行する。
【0072】
ここで、許諾情報13が格納されていない暗号化ソフトウェア15は復号することができず、実行不可能である。また、ソフトウェア格納媒体11を他の媒体の不正にコピーした場合には、媒体固有番号12が無い、あるいは異なるため、許諾情報13から正しいソフトウェア復号鍵351を復号できず、結果として暗号化ソフトウェアを平文のソフトウェアに復号できず、実行不可能である。尚、ユーザ計算機上では、個別鍵生成回路311のアルゴリズムあるいは秘密鍵、生成したソフトウェア復号鍵、復号した平文ソフトウェアは安全な手段によって保護する。
【0073】
図10は、本発明のデータの場合の説明図を示す。これは、電子化データとしてデータ、例えば出版物などの文字データ(テキスト)、記号、画像データ、更に音声データなどの場合の説明図である。
【0074】
図10の(a)は、全体構成図を示す。図10の(a)において、光磁気ディスク6は、暗号化データなどを格納するものであって、図2のソフトウェア格納媒体11に対応するものであり、媒体固有番号12、許諾情報13、および暗号化データ17を格納する媒体である。この光磁気ディスク6は、許諾側から購入し、光磁気ディスク装置に装着する。この光磁気ディスク6の他に、光ディスク、CD-ROM、FD、HD、磁気テープ、カセットテープなどの記憶媒体であってもよい。
【0075】
R/Wモジュール64は、リード命令実行時に、光磁気ディスク6から該当する復号したデータを主記憶63に格納するものであって、ここでは、既述した鍵生成(個別鍵生成31)、復号(復号32、34)などを備えた処理部である。
【0076】
主記憶63は、R/Wモジュール64が光磁気ディスク6から取り出して復号した平文のデータを格納するためのRAM(読み書き可能なメモリ)である。
つぎに、図10の(b)のフローチャートに示す順序に従い、図10の(a)の構成の動作を説明する。
【0077】
図10の(b)において、S41は、アプリケーション実行する。
S42はデータ読み込み命令を実行する。
S43は、R/Wモジュール64がデータを見つけ、読み込み復号する。
S44は、主記憶上に格納する。
S45は、データの表示、再生を行う。
【0078】
以上によって、S42でデータの読み込み命令があったときに、R/Wモジュール64が、光磁気ディスク6から暗号化データ17を取り出して復号して平文のデータを生成し、これを主記憶63に格納する。そして、主記憶63から取り出してディスプレイ上に出版物の文字列として表示したり、画像を表示したり、音声として発生したりする。つぎに、R/Wモジュール64の動作を詳細に説明する。
【0079】
図10の(c)は、ユーザ計算機でのデータの表示/再生説明図を示す。
(1)ユーザ計算機がデータ格納媒体111から媒体固有番号12を取り出して個別鍵生成回路311に入力し、暗号化して媒体個別鍵を生成する(図8のS23参照)。
【0080】
(2)復号回路321が、データ格納媒体111から取り出した図示のような許諾情報13について、(1)で生成した媒体個別鍵により復号し、図示のようなデータ復号鍵352(ソフト復号鍵35に対応する)を生成する。
【0081】
(3)復号回路341が、データ格納媒体111から取り出した暗号化データ17について、(2)で生成したデータ復号鍵352により復号し、平文のデータ(文字データ、画像データ、音声データなど)を生成する。この平文のデータを主記憶63に格納し、ディスプレイ上に出版物の文字列、画像、記号として表示したり、音声として発生したりする。
【0082】
図11は、ROM/RAM混在型光磁気ディスクに適用した場合を示す。ROM/RAM混在型の光磁気ディスクは、図示のように、ユーザ書換え不可能な領域、読み書き可能領域、読み出し専用領域/読み書き専用領域がある。従って、これら領域に図示のように媒体固有番号12、許諾情報13、暗号化ソフトウェア15を格納する。これにより、ユーザ書換え不可能な領域に、媒体固有番号12を書き込むため、当該光磁気ディスクの固有な媒体固有番号を与え、本発明の保護を図ることができる。
【0083】
図12は、本発明の許諾情報を他の格納媒体に格納する場合の例を示す。この場合には、図示のように、ソフトウェア格納媒体に固有な一意の媒体固有番号と、暗号化ソフトウェアのみを予め格納する。そして、許諾情報を別の許諾情報格納媒体に格納する。これは、CD-ROMなどの書き込む領域を持たない媒体に媒体固有番号および暗号化ソフトウェア(暗号化データ)を予め書き込んでおき、当該CD-ROMなどのうちの許諾を与える許諾情報を別の書き込み可能な許諾情報格納媒体(例えばFLOPPYなど)に書き込む場合の実施例である。
【0084】
図13は、本発明の複数のソフトを1枚の媒体に格納する場合の説明図を示す。これは、複数のソフト(あるいはデータ)を1枚の大容量の媒体(光磁気ディスク、CD-ROMなど)に格納し、個別販売する場合の実施例である。この場合には、ソフト復号鍵1、2・・・Nについて、それぞれ媒体固有鍵によって暗号化した許諾情報1、2・・・Nを生成してソフトウェア格納媒体11に格納する。そして、ユーザは、ソフトウェア格納媒体11に格納されている暗号化ソフト1、2・・・Nのうち、購入希望のソフトウェア名を許諾情報販売側に通知すると、許諾情報販売側はソフトウェアに対応するソフト復号鍵を媒体固有番号から生成した媒体個別鍵で暗号化し、これを許諾情報としてソフトウェア格納媒体11に格納する。ユーザは、このソフトウェア格納媒体11を装着し、購入した暗号化ソフトウェアを復号して平文のソフトウェアにし、使用する。一方、ユーザは、許諾情報のないソフトウェアを利用しようとしても暗号化ソフトウェアを復号できず、使用できない。また、他のソフトウェア格納媒体11の許諾情報をコピーしても、ソフトウェア格納媒体11の媒体固有番号がコピーできないため、正しい復号ができない。これにより、ソフトウェアの個別販売を行うことが可能となる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、電子化データ暗号鍵に対応し暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報とを格納することとしたので、正規の媒体固有番号を有する記憶媒体に格納された暗号化電子化データのみを使用者側装置で使用することができ、また、記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することが可能な電子化データ授受用記憶媒体が得られるという効果を奏する。
【0086】
また、請求項2の発明によれば、それぞれ異なる電子化データ復号鍵により復号される複数の暗号化電子化データと、複数の暗号化電子化データのうちの使用を許諾した暗号化電子化データに対応する許諾情報とを格納するよう構成したので、一つの記憶媒体に複数の電子化データを格納する場合にも対応することが可能な電子化データ授受用記憶媒体が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の原理構成図である。
【図2】
本発明の1実施例構成図である。
【図3】
本発明のソフトウェア格納時のフローチャートである。
【図4】
本発明のソフトウェアの暗号化の例である。
【図5】
本発明の暗号化ソフトウェアの格納例である。
【図6】
本発明の許諾情報の生成フローチャートである。
【図7】
本発明の許諾情報の生成説明図である。
【図8】
本発明のソフトウェア復号のフローチャートである。
【図9】
本発明のプログラムの場合の説明図である。
【図10】
本発明のデータの場合の説明図である。
【図11】
ROM/RAM混在型光磁気ディスクに適用した場合である。
【図12】
本発明の許諾情報を他の格納媒体に格納する場合の例である。
【図13】
本発明の複数ソフトを1枚の媒体に格納する場合の説明図である。
【図14】
従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1:媒体
2:回線
11:ソフトウェア格納媒体
111:データ格納媒体
12:媒体固有番号
13:許諾情報
14:暗号化電子化データ
15:暗号化ソフトウェア
16:暗号化プログラム
17:暗号化データ
21:個別鍵生成
211:個別鍵生成回路
22:電子化データ復号鍵
23:暗号化
231:暗号化回路
24:ソフト復号鍵
31:個別鍵生成
311:個別鍵生成回路
32:復号
321:復号回路
33:電子化データ復号鍵
34:復号
341:復号回路
35:ソフト復号鍵
351:ソフトウェア復号鍵
352:データ復号鍵
41:暗号化回路
6:光磁気ディスク
61:プログラムローダ
63:主記憶
64:R/Wモジュール
 
訂正の要旨 a.特許請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】 電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、
前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、
前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、
前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、
を格納したことを特徴とする電子化データ授受用記憶媒体。」
と訂正する。
b.発明の詳細な説明について
上記aに示す特許請求の範囲の訂正に伴い、この特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、【課題を解決するための手段】および【発明の効果】の欄を下記のように訂正する。
(a) 段落0012の記載を
「【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る電子化データ授受用記憶媒体は、電子化データを使用する使用者側装置と、該電子化データの使用を許諾する使用許諾者側装置との間で電子化データを授受するための電子化データ授受用記憶媒体であって、前記電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、前記使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、前記電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、前記電子化データ暗号鍵に対応し前記暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を前記媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報と、を格納したことを特徴とする。」
と訂正する。
(b) 段落0013の記載を
「【0013】
この請求項1の発明によれば、電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、電子化データ暗号鍵に対応し暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報とを格納することとしたので、正規の媒体固有番号を有する記憶媒体に格納された暗号化電子化データのみを使用者側装置で使用することができ、また、記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することができる。」
と訂正する。
(c) 段落0085の記載を
「【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、電子化データ授受用記憶媒体を一意に特定し、かつ、使用者側装置で書き替えできない媒体固有番号と、電子化データを所定の電子化データ暗号鍵で暗号化した暗号化電子化データと、電子化データ暗号鍵に対応し暗号化電子化データを復号する電子化データ復号鍵を媒体固有番号に基づいて使用者固有番号に依存することなく暗号化した許諾情報とを格納することとしたので、正規の媒体固有番号を有する記憶媒体に格納された暗号化電子化データのみを使用者側装置で使用することができ、また、記憶媒体に記憶した暗号化電子化データを他の記憶媒体に複写する不正使用を防止することが可能な電子化データ授受用記憶媒体が得られるという効果を奏する。」
と訂正する。
異議決定日 2003-03-19 
出願番号 特願2000-79014(P2000-79014)
審決分類 P 1 651・ 14- ZA (G06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 梅村 勁樹  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 大橋 隆夫
前田 典之
登録日 2001-04-27 
登録番号 特許第3184192号(P3184192)
権利者 富士通株式会社
発明の名称 電子化データ授受用記憶媒体  
代理人 酒井 宏明  
代理人 酒井 宏明  

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