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審決分類 |
審判 一部申し立て 特29条の2 H01R |
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管理番号 | 1083032 |
異議申立番号 | 異議2001-70681 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-05-06 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-28 |
確定日 | 2003-06-30 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3083982号「ケーブルアセンブリ」の請求項1、2、4ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3083982号の請求項1、2、4ないし6に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.訂正の適否 (1)補正の適否 平成15年5月20日付け手続補正書による訂正請求書及び訂正明細書の補正は、明らかな誤記を補正するものであって、請求書の要旨を変更しない範囲での軽微な瑕疵の補正と認められるから、上記手続補正書による補正は特許法第120条の4第3項において準用する第131条第2項の規定に適合する。 (2)訂正の内容 上記のとおり補正が認められるので、特許権者が求めている訂正の内容は以下の訂正事項a及びbのとおりである。 ア.訂正事項a 請求項1の、「可撓性平形ケーブルと、これを接続するためのコネクタとから成るケーブルアセンブリであって、前記可撓性平形ケーブルは、絶縁性のベースフィルム(10)と、該ベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群(20,30)と、該導体群を覆う絶縁性のカバー層(40または40,50)とからなり、該ケーブルの端部(60または60’)は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部(21,31)を有し、かつその導体接触部が各導体群ごとに、ケーブルの幅方向に整列し、前記コネクタは、コネクタ本体(100)と、押さえプレート(110)とからなり、コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト(130,140)を実装し、コネクタ本体と押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、該ケーブルの前記導体接触部(21,31)とこれに対応して設けたコンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、該ケーブル前記接地用導体接触部(23,33)と押さえプレートとを互いに電気的に接触させて電気的に接続するケーブルアセンブリ。」なる記載を「可撓性平形ケーブルと、これを接続するためのコネクタとから成るケーブルアセンブリであって、 前記可撓性平形ケーブルは、絶縁性のベースフィルム(10)と、該ベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群(20,30)と、該導体群を覆う絶縁性のカバー層(40または40,50)とからなり、該ケーブルの端部(60または60’)は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部(21,31)を有し、かつ前記導体接触部が導体群ごとに、前記ケーブルの幅方向に整列し、 前記コネクタは、コネクタ本体(100)と、押さえプレート(110)とからなり、前記コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト(130,140)を実装し、前記コネクタ本体と前記押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、前記ケーブルの前記導体接触部(21,31)とこれに対応して設けた前記コンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、前記ケーブルの接地用導体接触部(23,33)と前記押さえプレートとを互いに電気的に接触させて電気的に接続し、 前記コネクタ本体と前記押さえプレートとは、両者の間に前記可撓性平形ケーブルを挟着した状態で、互いを係止するための係止手段(150)を有し、該係止手段は、前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなることを特徴とするケーブルアセンブリ。」と訂正する。 イ.訂正事項b 特許請求の範囲の請求項7及び8を削除する。 (3)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.訂正事項aのうち、「前記コネクタ本体と前記押さえプレートとは、両者の間に前記可撓性平形ケーブルを挟着した状態で、互いを係止するための係止手段(150)を有し、該係止手段は、前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなることを特徴とする」という訂正は、訂正前の請求項1の発明特定事項である「コネクタ本体と押さえプレート」の構成を限定しようとするものと認められる。 上記訂正は、願書に添付した明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明の段落番号【0014】に「更に、コネクタ本体と押さえプレートとは、両者の間にケーブルを挟着した状態で互いを係止するための係止手段150を有する。この係止手段は、具体的には、コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起151と、該突起と対応する押さえプレートの位置に設けた係合孔152とからなる。」と記載され、図1には押さえプレート110の対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に係合孔(152)を形成することが示されているから、上記訂正を含む発明は特許明細書に記載されているものと認められる。したがって、上記訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。 また、訂正事項aのうち、上記訂正以外の訂正は、「前記」なる用語を加え、あるいは、不統一であったものを統一して、各構成要素の引用関係を明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当しない。 イ.訂正事項bは、請求項7及び8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。 そして、訂正事項a及びbのいずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (4)独立特許要件について 請求項1を訂正する訂正事項aは、上記(3)で示すように、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正を含むものであるところ、特許異議の申し立てが行われていない請求項3に係る発明は、請求項1を引用するものであるから、請求項3に係る発明についても実質的に特許請求の範囲の減縮を目的として訂正するものである。ところで、後述するとおり訂正後の請求項1に係る発明は拒絶すべきものとは認められないから、その全てを引用する請求項3に係る発明についても特許出願の際独立して特許を受けることができるものであると認められる。したがって、上記訂正は特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定にも適合する。 (5)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 2.特許異議申立について (1)本件発明 上記1.で示したように上記訂正が認められるから、特許第3083982号(平成7年10月23日出願、平成12年6月30日設定登録、優先日平成7年8月18日)の請求項1、2及び4〜6に係る発明(以下、「本件発明1、2及び4〜6」という。)は、それぞれ、訂正明細書の請求項1、2及び4〜6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 (本件発明1) 「可撓性平形ケーブルと、これを接続するためのコネクタとから成るケーブルアセンブリであって、 前記可撓性平形ケーブルは、絶縁性のベースフィルム(10)と、該ベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群(20,30)と、該導体群を覆う絶縁性のカバー層(40または40,50)とからなり、該ケーブルの端部(60または60’)は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部(21,31)を有し、かつ前記導体接触部が導体群ごとに、前記ケーブルの幅方向に整列し、 前記コネクタは、コネクタ本体(100)と、押さえプレート(110)とからなり、前記コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト(130,140)を実装し、前記コネクタ本体と前記押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、前記ケーブルの前記導体接触部(21,31)とこれに対応して設けた前記コンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、前記ケーブルの接地用導体接触部(23,33)と前記押さえプレートとを互いに電気的に接触させて電気的に接続し、 前記コネクタ本体と前記押さえプレートとは、両者の間に前記可撓性平形ケーブルを挟着した状態で、互いを係止するための係止手段(150)を有し、該係止手段は、前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなることを特徴とするケーブルアセンブリ。」 (本件発明2) 「請求項1に記載のケーブルアセンブリにおいて、前記二組の導体群(20,30)は、前記ベースフィルム(10)の両方の面にそれぞれ設け、該導体群のそれぞれをカバー層(40,50)で覆い、前記ケーブルの端部(60)の一方の面において、当該面に係る一方の導体群の導体を部分的に直接露出して前記導体接触部(31)を形成し、他方の導体群については、該導体群とバイヤーホール(22)にて電気的に接続した前記導体部分を露出して前記導体接触部(21)を形成したことを特徴とするケーブルアセンブリ。」 (本件発明4) 「請求項1乃至3のいづれかに記載のケーブルアセンブリであって、更に、該ケーブルの幅方向に一体に突きだした遮蔽部(80,90)を少なくとも一つ設け、該遮蔽部は、該ケーブルに重なるように折り返し自在であって、かつ、該ケーブルの導体群のいずれかの導体と導通する導体面(81,91)を有することを特徴とする、ケーブルアセンブリ。」 (本件発明5) 「請求項4に記載のケーブルアセンブリにおいて、該ケーブルは、前記導体接触部(21,31)を設けた面と反対側の面に、前記遮蔽部の導体面を部分的に直接露出させ、もしくは該導体面と電気的に接続した導体部分を露出させて接地用導体接触部(23,33)を形成したことを特徴とするケーブルアセンブリ。」 (本件発明6) 「請求項1に記載のケーブルアセンブリにおいて、前記複数個のコンタクトの各々は、前記導体接触部に対応した位置で、コネクタ本体から突き出した接点部(131,141)を有することを特徴とするケーブルアセンブリ。」 (2)特許異議申立ての概要 特許異議申立人・坂本聡は、証拠方法として 甲第1号証(特開平8-203626号公報)、 甲第2号証(特開平6-111634号公報)、 甲第3号証(特開平5-242736号公報) を提出し、 本件の請求項1及び5〜8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一のものであり、請求項2及び4に係る発明は、甲第1号証に記載されて発明を甲第2号証又は甲第3号証に記載された公知の技術手段を用いて具体化したにすぎず、実質的に同一のものであって、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1、2及び4〜8についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認められ、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、取り消されるべきものである旨主張していると認める。 (3)当審で通知した取消理由の概要 請求項1,2,6,7及び8に係る発明は、特願平7-13431号(特開平8-203626号公報参照)(以下、「引用出願」という。)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であるから特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないというものである。 (4)引用出願等 引用出願の願書に最初に添付された明細書又は図面(甲第1号証参照)には、可撓導通部材用コネクタに関して、図1〜11とともに以下の記載がある。 「【従来の技術】従来、この種のコネクタとして図10に示すFPC用コネクタ1が知られている。・・・FPC5はインシュレータ3の基板とは反対側に置かれ、FPC5の裏面に位置する金属の板状部材6が両端でホルダー7に係合することにより、コンタクト2の接点4に押し付けられる。こうして接続を得た状態を図11に示す。」(段落番号【0002】)、 「【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の一実施例による可撓導通部材用コネクタとしてのFPC用コネクタ10をFPC5とともに示した分解斜視図・・・である。」(段落番号【0007】)、 「図1〜図4において、FPC用コネクタ10は、第1の種の多数の導電性コンタクト11と、第2の種の多数の導電性コンタクト12と、これらのコンタクト11,12を保持したインシュレータ13と、このインシュレータ13の上面側に着脱され得る金属製カバー14とを含んでいる。」(段落番号【0008】)、 「第1の種のコンタクト11と第2の種のコンタクト12は上下に対となって各々左右方向に間隔をおいて並べられている。第1の種のコンタクト11は,インシュレータ13の前面13aの比較的上部から外部に露出した外部接点11aと、凹部16の後側内面に露出した内部接点11bとを有している。第2の種のコンタクト12は,インシュレータ13の前面13aの比較的下部から外部に露出した外部接点12aと、凹部16の前側内面に露出した内部接点12bとを有している。第1の種のコンタクト11と第2の種のコンタクト12とインシュレータ13は合わせてコネクタ本体を構成する。」(段落番号【0009】)、 「カバー14は、金属板を曲げて下面を開放したような横断面略コの字形に作られたものであり、互いに対向した前側板部分14a及び後側板部分14bを有する。FPC5を接続するには、まず図7に示すようにFPC5をカバー14の前側板部分14aの裏面に当ててインシュレータ13の前部をカバー14内に入れ、その後、インシュレータ13の後部を徐々にカバー14内に押し込む。こうしてカバー14をインシュレータ13の上面側に装着すると、その前側板部分14a及び後側板部分14bがインシュレータ13をFPC5とともに前後から弾力的に挟み込み、これによりFPC5の多数の導体5aを第1の種のコンタクト11の外部接点11aと第2の種のコンタクト12の外部接点12aとに押圧接触させる。」(段落番号【0010】)、 「カバー14にはまた、前側板部分14aの左右端下部から後方に延出した係合部17と、上板部分14cの左右端からそれぞれ下方に延出した弾性バネ部18とを設けている。係合部17は図8に示すようにFPC5を接続する際にFPC5の逃げ部5bに挿入されてインシュレータ13に係合し、これによりカバー14及びFPC5の離脱を係止するためのものである。」(段落番号【0011】)、 「FPC5の裏面、即ち、カバー14に対向した面にも導体を例えばベタアースとして設け、カバー14を介して金属部材15aにも導通させてアースをとるようにしている。」(段落番号【0012】)、 「図9は本発明の他の実施例によるFPC用コネクタ20にFPC5を接続した状態を示す外観斜視図である。このFPC用コネクタ20においては、第1の種のコンタクト21と第2の種のコンタクト22がインシュレータ23の前面及び後面にそれぞれ露出し、したがってFPC5がインシュレータ23に巻き付くように延出して、これらのコンタクト22,23に接続されている。この場合、カバー14の前側板部分14a及び後側板部分14bがそれぞれFPC5をコンタクト22,23に圧接する。」(段落番号【0014】)。 また、図1、2及び8には、前側板部分14aの左右端下部から後方に延出した係合部17がインシュレータ13の左右端部に係合すること、 図9にはカバー14の前側板部分14a及び後側板部分14bがそれぞれFPC5をインシュレータ23の前面及び後面にコンタクト22,23に圧接すること、が示されている。 また、甲第2号証(特開平6-111634号公報)には、フレキシブル配線シートに関して、図1〜5とともに「下面側の複数本の導体14a〜14cは、ベースシート12の端部において、端面を経由して上面側に至るように延ばされている。すなわち、図4に導体14cを代表して示すように、導体14cの一端は、ベースシート12の端面12cを経由して上面に至るように延ばされている。これは、フレキシブル配線シート11を外部と接続する際に、ベースシート12の上面側のみを用いてコネクタ等への接続を可能とするためである。」(段落番号【0014】)と記載されている。 さらに、甲第3号証(特開平5-242736号公報)には、シールド付きフラットケーブルに関して、図1〜3とともに「(2)折り返し用接地導体の折り返し 次に前記折り返し用接地導体4auを絶縁フィルム1aの両端部から該絶縁フィルム1a表面に折り返した( 但し、図1(a)では片端の折り返し用接地導体4auは折り返す前の状態を示す)。また、絶縁フィルム1aの両端部の該当する部分を切開し、前記折り返し用接地導体4buを露出させる切込み部7a, 7bを設け、該切込み部7a, 7bの端部より前記折り返し用接地導体4buを前記絶縁フィルム1a表面に折り返した。このようにして前記折り返し用接地導体4au, 4buが折り返されたフレキシブルフラットケーブルの構造を図1(a)に示す。なお、本発明は前記折り返し用接地導体4au, 4buを前記絶縁フィルム1a表面に折り返す方法として上記2つの方法を用いているが、特に限定されるものではなく、どちらか1つの方法のみを用いてもちろん良い。なお、折り返し用接地導体とシールド層との接触面積を考慮すると、切込み部を設けてから折り返すのが好ましい。 (3)フレキシブルフラットケーブルにシールド層の形成 金属箔ラミネートフィルム10の金属箔9外面に縞状熱融着性接着剤11を塗布してなる図2に示す構造の電磁シールドフィルム12を、図1(a)に示す構造のフレキシブルフラットケーブル(但し、片端の折り返し用接地導体4auを折り返し後)の絶縁フィルム1a, 1bの外周を覆うよう金属箔9面を内側にして図1(b)のように包み、これを加熱,圧着することにより、金属箔ラミネートフィルム10の金属箔9面の縞状接着剤11と絶縁フィルム1a, 1b面とを接着固化させシールド付フレキシブルフラットケーブル13とする。このとき、縞状接着剤11が塗布されていない金属箔9面と折り返された接地導体4au, 4buとが電気的に接触した状態となるので、金属箔ラミネートフィルム10によりフレキシブルフラットケーブルのシールド層が形成される。なお、電磁シールドフィルム12でフレキシブルフラットケーブルの絶縁フィルム1a, 1b外周を囲包するとき、電磁シールドフィルム12の端部が重ね合わさるように包むことがシールド効果を高める上で有効である。なお、前記縞状接着剤11として導電性を有する熱融着性接着剤を用いれば折り返し用接地導体とシールド層との電気的接触をより確実に行うこともできる。」(段落番号【0010】〜【0011】)と記載されている。 (5)対比・判断 ア.本件発明1について 本件発明1と引用出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違している。 コネクタ本体と押さえプレートとの両者の間に前記可撓性平形ケーブルを挟着した状態で、互いを係止するための係止手段に関して、本件発明1が、「該係止手段は、前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなる」のに対して、引用発明においては、前側板部分14a(本件発明1の「プレート片」に相当する。以下同様。)の左右端下部から後方に延出した係合部17がインシュレータ13(「コネクタ本体」)の左右端部に係合する点。 そこで上記相違点につき検討する。 上記相違点の構成について、引用出願の図1〜8の構成は、カバー14の前側板部分14aによりインシュレータ13の前面13aの外部接点11a,12aにFPC5を圧接するものであって、まず係止部のある前側板部分14aにて前面13aにFPC5を圧接し、その後、インシュレータ13の後部を徐々にカバー14内に押し込むものであり、本件発明1の前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなるものとは異なる。 また、図9に示されるものも、単に、カバー14の前側板部分14a及び後側板部分14bがそれぞれFPC5をコンタクト22,23に圧接するというのみであって、係止部に関する記載はなく、当該係止部の構成を示唆する記載もない。 そして、本件発明1は、その構成により、明細書の段落番号【0032】〜【0034】に記載の効果を奏するものである。 なお、当該係止手段に関する上記「前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなる」という構成は、甲第2及び第3号証にも記載されていない。 したがって、本件発明1は引用発明と同一であるとすることはできない。 イ.本件発明2及び4〜6について 本件発明2及び4〜6は、本件発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものであるから、上記3.(5)ア.で記載したと同様の理由により、いずれも引用出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一とすることはできない。 (6)むすび 以上のとおりであるから、本件の請求項1,2及び4〜6に係る発明の特許は、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては取り消すことはできない。 また、他に請求項1,2及び4〜6に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件の請求項1,2及び4〜6に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものとは認めない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ケーブルアセンブリ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 可撓性平形ケーブルと、これを接続するためのコネクタとから成るケーブルアセンブリであって、 前記可撓性平形ケーブルは、絶縁性のベースフィルム(10)と、該ベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群(20,30)と、該導体群を覆う絶縁性のカバー層(40または40,50)とからなり、該ケーブルの端部(60または60’)は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部(21,31)を有し、かつ前記導体接触部が導体群ごとに、前記ケーブルの幅方向に整列し、 前記コネクタは、コネクタ本体(100)と、押さえプレート(110)とからなり、前記コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト(130,140)を実装し、前記コネクタ本体と前記押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、前記ケーブルの前記導体接触部(21,31)とこれに対応して設けた前記コンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、前記ケーブルの接地用導体接触部(23,33)と前記押さえプレートとを互いに電気的に接触させて電気的に接続し、 前記コネクタ本体と前記押さえプレートとは、両者の間に前記可撓性平形ケーブルを挟着した状態で、互いを係止するための係止手段(150)を有し、該係止手段は、前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなることを特徴とするケーブルアセンブリ。 【請求項2】 請求項1に記載のケーブルアセンブリにおいて、前記二組の導体群(20,30)は、前記ベースフィルム(10)の両方の面にそれぞれ設け、該導体群のそれぞれをカバー層(40,50)で覆い、前記ケーブルの端部(60)の一方の面において、当該面に係る一方の導体群の導体を部分的に直接露出して前記導体接触部(31)を形成し、他方の導体群については、該導体群とバイヤーホール(22)にて電気的に接続した前記導体部分を露出して前記導体接触部(21)を形成したことを特徴とするケーブルアセンブリ。 【請求項3】 請求項1に記載のケーブルアセンブリにおいて、前記二組の導体群(20,30)は、前記ベースフィルム(10)の一方の面に、所定の間隙(70)を空けて対向するように配設するとともに、該二組の導体群を絶縁性のカバー層(40)で覆い、かつ前記間隙に近接する位置で折曲げて端部(60’)を形成し、該端部は、前記間隙の両側に、前記二組の導体群の導体をそれぞれ部分的に直接露出して前記導体接触部(21,31)を形成していることを特徴とする、ケーブルアセンブリ。 【請求項4】 請求項1乃至3のいづれかに記載のケーブルアセンブリであって、更に、該ケーブルの幅方向に一体に突きだした遮蔽部(80,90)を少なくとも一つ設け、該遮蔽部は、該ケーブルに重なるように折り返し自在であって、かつ、該ケーブルの導体群のいずれかの導体と導通する導体面(81,91)を有することを特徴とする、ケーブルアセンブリ。 【請求項5】 請求項4に記載のケーブルアセンブリにおいて、該ケーブルは、前記導体接触部(21,31)を設けた面と反対側の面に、前記遮蔽部の導体面を部分的に直接露出させ、もしくは該導体面と電気的に接続した導体部分を露出させて接地用導体接触部(23,33)を形成したことを特徴とするケーブルアセンブリ。 【請求項6】 請求項1に記載のケーブルアセンブリにおいて、前記複数個のコンタクトの各々は、前記導体接触部に対応した位置で、コネクタ本体から突き出した接触部(131,141)を有することを特徴とするケーブルアセンブリ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本願発明は、可撓性平形ケーブル(例えばFPC(可撓性プリント回路基板))とこれを接続するためのコネクタとからなるケーブルアセンブリに関する。 【0002】 【従来の技術】 この種のケーブル及びコネクタは、例えば、ケーブルの端部のリード(または電極)の露出した部分を、コネクタに設けた収納溝に挿入し、そこに実装されているコンタクトと接触を図る構成のものが用いられていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 この場合、ケーブルのリードの数が多くなるほど、対応するコネクタのコンタクトの配列ピッチも狭くなり、それだけ製造上の精度を要求され、また必要な強度を得ることが難しくなる。更に、ケーブルのリードとコンタクトとの接触面積も狭くなり、接触不良が生じ易い等の不都合があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本願発明は、従来の、コネクタの収納溝の中でケーブルのリードとコンタクトとを接続する構成ではなく、押さえプレートを用いて、ケーブルのリードとコンタクトの接続を行うようにして、上記従来の問題点を解消することを目的とする。 【0005】 そのために、本発明に係るケーブルアセンブリは、絶縁性のベースフィルムと、このベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群と、この導体群を覆う絶縁性のカバー層とからなる可撓性平形ケーブルであって、ケーブルの端部は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部を有し、かつその導体接触部が各導体群ごとに、ケーブルの幅方向に整列していることを特徴とする可撓性平形ケーブルを提供する。 【0006】 また本発明に係るケーブルアセンブリは、前記可撓性平形ケーブルであって、更に、ケーブルの幅方向に一体に突きだした遮蔽部を少なくとも一つ設け、遮蔽部は、該ケーブルに重なるように折り返し自在であって、かつ、ケーブルの導体群のいずれかの導体と導通する導体面を有する可撓性平形ケーブルを提供する。 【0007】 また本発明に係るケーブルアセンブリは、前記可撓性平形ケーブルを接続するためのコネクタであって、コネクタ本体と、押さえプレートとからなり、コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクトを実装し、コネクタ本体と押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、ケーブルの前記導体接触部と、これに対応して設けたコンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、コンタクトと電気的に接続する導体接触部とは別にケーブルの反対側に設けた接地用導体接触部と、押さえプレートとを互いに接触させて電気的に接続するコネクタを提供する。 【0008】 【実施例】 図1乃至図3は、本発明に係る可撓性平形ケーブルとこれを接続するコネクタの一実施例を示す。図1は、ケーブルとコネクタの接続前の状態を示し、図2は、接続を完了した状態を示し、図3はそのときのコネクタの断面図を示す。なお図1におけるケーブルは、ケーブルのパターン面が見えるようにその端部を屈曲して示してある。 【0009】 図示実施例のケーブルは、FPCで構成され、絶縁性のベースフィルム10の面上に、複数本の並列した導体から成る導体群20,30を設け、更に、導体群の上にこれを覆う絶縁性のカバー層40,50を設ける。ケーブルの一方の端部60には、導体群の導体を部分的に直接露出しまたは導体と電気的に接続した導体部分を部分的露出して形成した導体接触部21,31を、ケーブルの幅方向に整列するように設ける。 【0010】 なお図1乃至図3の実施例では、導体群は二組あり、ベースフィルムの両方の面に設けているが、一方の面だけにこれらの導体群を設けても良い。 図示実施例において、ケーブルの他方の端部は、接続する電子部品(例えばディスプレイ)と接続することのできるよう多数の電極を設けてある。 ケーブルの詳細は、他の実施例とともに後述する。 【0011】 図1乃至図3において、可撓性平形ケーブルを接続するためのコネクタは、コネクタ本体100と、押さえプレート110とからなる。コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト130,140を実装する。前記可撓性平形ケーブルは、コネクタ本体と押さえプレートとの間で挟着される。このとき、コネクタ本体の両側に実装されたコンタクトは、ケーブルの前記露出した導体接触部21,31と接触し電気的に接続する。 【0012】 コネクタの各コンタクトは、コネクタ本体から突き出した接点部131,141を有し、前記押さえプレートとこの接点部との間で、ケーブルの前記露出した導体接触部21,31を挟着し、確実に該接点部とケーブルの導体接触部が接触して電気的接続を果たす。図示実施例では、この接点部は、コネクタ本体の互いに対向しかつ平行なコーナー部分(側面の上辺部)に位置する。 【0013】 押さえプレートは、横断面が略コ字状を呈し、コネクタとの間でケーブルを挟着するが、特に、ケーブルの露出した導体接触部を接点部に接触し保持するための、対向する一対のプレート片111,112(リーフスプリングとして作用する)を有する。 【0014】 更に、コネクタ本体と押さえプレートとは、両者の間にケーブルを挟着した状態で互いを係止するための係止手段150を有する。この係止手段は、具体的には、コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起151と、該突起と対応する押さえプレートの位置に設けた係合孔152とからなる。 【0015】 なおコネクタ本体の頂面にはガイド・ポスト101が設けてあり、コネクタとケーブルを接続するとき、このガイドポストに、押さえプレート、ケーブルのそれぞれに設けたガイド孔を貫通させる。 【0016】 次に、図4及び図5は、図1乃至図3のケーブルの詳細を示す。 図示の如く、二組の導体群20,30は、ベースフィルム10の両方の面にそれぞれ設け、導体群のそれぞれをカバー層40,50で覆う。ケーブルの端部60の一方の面において、その面の側に設けた一方の導体群の導体を部分的に直接露出して導体接触部31を形成する。他方の導体群については、該導体群とバイヤーホール22で電気的に接続した導体部分を露出して導体接触部21を形成する。 【0017】 なお図5から分かるように、このケーブルでは、バイヤーホールで一方の導体群と接続した導体部分(その露出した部分が導体接触部21を形成する)と、他方の導体群(その一部が露出して導体接触部31を形成する)とは互いに導通しないようにギャップを設けてある。 【0018】 次に図6は本件ケーブルの別の実施例を示す(展開図)。このケーブルは、絶縁性のベースフィルム10の一方の面に、所定の間隙70を空けて二組の導体群20,30を対向するように配設する。これらの導体群は絶縁性のカバー層40で覆われる。導体群の各々は、複数本の並列した導体から成る。 【0019】 ケーブルの端部60’は、この二組の導体群の間に設けた間隙に近接する位置で折曲げて形成する。この端部は、前記間隙の両側に、導体群の導体をそれぞれ部分的に露出した部分21,31を有し、かつその露出した部分がケーブルの幅方向に整列している。 【0020】 次に図7ないし図9は、本発明に係るケーブルの別の実施例を示す。この実施例は、シールド対策を施したケーブルである。 このケーブルは、図4及び図5のケーブルと基本的な構成は同様である。違うのは、ケーブルの幅方向に一体に突きだした遮蔽部80,90を少なくとも一つ設ける点である(図示実施例では、遮蔽部はケーブルの表裏両面にそれぞれ設ける)。遮蔽部は、ケーブルに重なるように折り返し自在であって、かつ、この遮蔽部には、ケーブルの導体群のいずれかの導体と導通する導体面81,91を有する(図示実施例ではケーブルの表裏に設けた導体群の一部とそれぞれ導通する)。 【0021】 図7は、遮蔽部を折り返す前の状態を示し、図8は遮蔽部をケーブル本体の側に折り返した状態を示す。図9はそのときの断面を示す。なお図示実施例では、遮蔽部は一対あって、ケーブルの表裏両面に折り返し可能であるが、遮蔽部が一つだけで、それをケーブルの一方の面にのみ折り返し可能とする構成とすることもできる。 【0022】 次に図10は、押さえプレート(導電性の材質で形成される)とケーブルの遮蔽部とを電気的に接続して接地を施すことのできる実施例を示す。 【0023】 可撓性平形ケーブルの一方の面には、上述の実施例と同様に、導体接触部(21,31)を設けるが、更に、これと反対側の面に、遮蔽部の導体面を直接露出させて、もしくは該導体面と電気的に接続した導体部分を露出させて接地用導体接触部(23,33)を形成する。 【0024】 押さえプレートにより、該プレートとコネクタ本体との間にケーブルを挟着すると、図示の如く押さえプレートと接地用導体接触部が接触し電気的に接続する。 【0025】 図11乃至13は、本発明の他の実施例を示す。 この実施例では、押さえプレートの両端部(四隅)に設けた接触片113が、コネクタ本体の両端部に実装した接地/固定用のコンタクト(図示実施例ではコネクタ本体の四隅で2本ずつ、合計8本)を、可撓性平形ケーブルを介在させずに直接押圧・接触するよう構成する(図13参照)。こうすることにより、押さえプレートの接地を接地/固定用コンタクトを介して確実にとることができる。更に、コネクタ本体をプレート基板上に実装する際に、押さえプレートの接触片が該コンタクトを直接押圧することでコネクタ本体をプリント基板から浮かないように固定することができる(即ち、コンタクトを基板上に確実にハンダ付けすることができる)。 【0026】 図示実施例では、接触片は、押さえプレートの短手方向に設けた割り溝114によって、押さえプレート本体とは区別して形成されている。こうすることにより、押さえプレートとは別個に固定用パッド等を設けることなく、押さえプレートの一部で接地/固定用コンタクトを押圧することができる。 【0027】 なおこの実施例では、押さえプレートには、図12に示すように、その長手方向に沿って、適宜の間隔で窓孔116が設けてある。また本実施例を含み、本願の図示の各実施例においては、ケーブルとコネクタにおける電極(リード及びコンタクト)の数は便宜的なもので、必ずしもその数は一致していない。 【0028】 本実施例の押さえプレートは、更に、その両端部に、長手方向に突き出した係合片115を設ける。これに対し、コネクタ本体は、その両端部に、押さえプレートの前記係合片と係合する凹部102を設ける。 【0029】 図14及び15は、押さえプレートの接触片と係合片の別の実施態様を示す。即ち、押さえプレートの係合片は、下方に傾斜して突き出し、前記割り溝側の内側(押さえプレートの中央軸に寄った側)より外側が広くなるように、該接触片の側片をカットした形状にする。 【0030】 押さえプレートの係合片を下方に傾斜して突き出すと、押さえプレートをコネクタ本体から外すときに、図15に示す如く、押さえプレートの係合片の面が平らである場合と比較して支点が遠くなる。従って、押さえプレートのコネクタ本体に対する開き角度が小さく、それだけ押さえプレートをコネクタ本体から外し易くなる。 【0031】 接触片の割り溝を内側より外側が広くなるようにすると、押さえプレートをコネクタ本体から外すときに、図15に示す如く、押さえプレートがプレート本体に対し傾斜したとしても、押さえプレートの接触片がカットされている分、ケーブルを逃げ、該接触片によってケーブルを傷つけることがない。 【0032】 【作用効果】 本願に係る可撓性平形ケーブルは、二組の導体群をベースフィルムの一方あるいは両方の面に設けることによって、導体の集約度を向上させ、しかもケーブルの端部の同じ面に、各導体群ごとに、導体が部分的に露出した部分(リードもしくは電極となる)を整列させるから、それぞれの導体群について、アクセスが容易となる。 【0033】 また、ケーブルの幅方向に一体に遮蔽部を延設する構成を持つ例では、遮蔽部の導体面を、ケーブルの接地導体と導通させることによって、ケーブルをシールドすることができる。 【0034】 本願発明に係るコネクタは、コネクタ本体の長手方向に沿った両側にそれぞれ複数個のコンタクトを実装し、このコネクタ本体と押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着することによって、コネクタのコンタクトと、ケーブルの、前記導体の露出した部分とを電気的に接続する。従って、ケーブルのリード(電極)の数が多くなっても、対応するコネクタのコンタクトの配列ピッチを必要以上に狭くすることなく、その結果、充分な機械的強度を保持し、またケーブルのリードとコンタクトとの接触面積も充分確保して、接触不良が生じることなくケーブルとコンタクトを接続することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係るケーブルとコネクタの一実施例の接続前の状態を示す斜視図である。 【図2】 図1に係るケーブルとコネクタの接続を完了した状態の斜視図である。 【図3】 図2の、接続を完了した状態のケーブルとコネクタの断面図である。 【図4】 図1のケーブルの詳細を示す平面図である。 【図5】 図4のケーブルの縦断面図である。 【図6】 本発明に係るケーブルの別の実施例のを示す展開図である。 【図7】 本発明に係るケーブルの更に別の実施例において、その遮蔽部を折り返す前の状態を示す平面図である。 【図8】 図7のケーブルにおいて、その遮蔽部を折り返した状態を示す平面図である。 【図9】 図8のケーブルの縦断面図である。 【図10】 本発明に係るケーブルの更に別の実施例を、コネクタと接続した状態を示す断面図である。 【図11】 本発明のケーブルとコネクタの別の実施例の接続前の状態を示す斜視図である。 【図12】 図11の実施例における押さえプレートを示す平面図である。 【図13】 図11の実施例において、押さえプレートの接触片とコンタクトの接続状態を示す断面図である。 【図14】 本発明の別の実施例に係る押さえプレートをコネクタ本体に装着した状態を示す断面図である。 【図15】 図14の実施例において、押さえプレートを外すときの状態を示す断面図である。 |
訂正の要旨 |
a.特許第3083982号の明細書中の特許請求の範囲の請求項1乃至8において、特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項7及び8を削除する。 b.同上特許の明細書中の特許請求の範囲の請求項1において、 「【請求項1】 可撓性平形ケーブルと、これを接続するためのコネクタとから成るケーブルアセンブリであって、前記可撓性平形ケーブルは、絶縁性のベースフィルム(10)と、該ベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群(20,30)と、該導体群を覆う絶縁性カバー層(40または40,50)とからなり、該ケーブルの端部(60または60’)は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部(21,31)を有し、かつその導体接触部が各導体群ごとに、ケーブルの幅方向に整列し、前記コネクタは、コネクタ本体(100)と、押さえプレート(110)とからなり、コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト(130,140)を実装し、コネクタ本体と押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、該ケーブルの前記導体接触部(21,31)とこれに対応して設けたコンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、該ケーブル前記接地用導体接触部(23,33)と押さえプレートとを互いに電気的に接触させて電気的に接続するケーブルアセンブリ。」 とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、 「【請求項1】 可撓性平形ケーブルと、これを接続するためのコネクタとから成るケーブルアセンブリであって、 前記可撓性平形ケーブルは、絶縁性のベースフィルム(10)と、該ベースフィルムの一方の面あるいは両方の面に設けた、それぞれ複数本の並列した導体から成る少なくとも二組の導体群(20,30)と、該導体群を覆う絶縁性のカバー層(40または40,50)とからなり、該ケーブルの端部(60または60’)は、その一方の面において、前記導体群の導体を直接部分的に露出しまたは該導体と電気的に接続した導体部分を部分的に露出して形成した導体接触部(21,31)を有し、かつ前記導体接触部が導体群ごとに、前記ケーブルの幅方向に整列し、 前記コネクタは、コネクタ本体(100)と、押さえプレート(110)とからなり、前記コネクタ本体は、その長手方向に沿った両側の各々に複数個のコンタクト(130,140)を実装し、前記コネクタ本体と前記押さえプレートとの間で前記可撓性平形ケーブルを挟着するとともに、前記ケーブルの前記導体接触部(21,31)とこれに対応して設けた前記コンタクトとを互いに接触させて電気的に接続し、及び必要に応じ、前記ケーブルの接地用導体接触部(23,33)と前記押さえプレートとを互いに電気的に接触させて電気的に接続し、 前記コネクタ本体と前記押さえプレートとは、両者の間に前記可撓性平形ケーブルを挟着した状態で、互いを係止するための係止手段(150)を有し、該係止手段は、前記コネクタ本体の短手方向の両側の各々に設けた突起(151)と、該突起と係合する、前記押さえプレートの対向する一対のプレート片(111,112)の間の板部から延びる片に形成された係合孔(152)とからなることを特徴とするケーブルアセンブリ。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2003-06-09 |
出願番号 | 特願平7-274231 |
審決分類 |
P
1
652・
16-
YA
(H01R)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 稲垣 浩司 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
千壽 哲郎 平上 悦司 |
登録日 | 2000-06-30 |
登録番号 | 特許第3083982号(P3083982) |
権利者 | トーマス アンド ベッツ コーポレーション |
発明の名称 | ケーブルアセンブリ |
代理人 | 岡部 讓 |
代理人 | 岡部 譲 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 岡部 正夫 |
代理人 | 井上 義雄 |
代理人 | 藤野 育男 |
代理人 | 井上 義雄 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 藤野 育男 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 岡部 正夫 |