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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04R
管理番号 1083159
異議申立番号 異議2002-71802  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-04-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-07-22 
確定日 2003-09-01 
異議申立件数
事件の表示 特許第3248711号「スピーカ装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 特許第3248711号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
出願 平成8年9月17日
(特願平8-266684号)
登録 平成13年11月9日
(特許第3248711号)
異議申立 平成14年7月22日
(異議2002-71802号)
異議の決定 平成14年12月27日
東京高裁出訴 平成15年2月17日
(平成15年(行ケ)第55号)
訂正審判請求 平成15年3月31日
(訂正2003-39062号)
訂正審判取下 平成15年5月9日
訂正審判請求 平成15年5月9日
(訂正2003-39092号)
訂正審決 平成15年6月24日
東京高裁判決 平成15年7月15日

第2 東京高裁判決の要旨
訂正審決の確定によって,異議の決定は,結果的に本件発明(請求項1ないし4)の要旨の認定を誤ったことになり,異議の決定を取り消す。

第3 訂正審決の要旨
1 本件訂正発明
本件審判請求の要旨は,特許第3248711号発明の明細書を審判請求書に添付した全文訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。

(1)特許請求の範囲の請求項1に係る「外径が長方形状または長円形状のフレームと,」を「前記振動板を支持しこれを収納する外形が長方形状または長円形状のフレームと,」と訂正する。

(2)特許請求の範囲の請求項1に係る「前記トッププレート及び板状マグネットには前記センターポールが貫通する孔が形成され,前記トッププレート,板状マグネット及びバックプレートは,その短径方向の幅が前記フレームの短径方向の幅と同じか又はそれより小さい」を「前記トッププレート及び板状マグネットには前記センターポールが貫通する孔が形成され,前記トッププレート上に載置された前記フレームの底には,前記トッププレートの孔と前記センターポールとの間に形成される磁気ギャップに前記ボイスコイルを挿通するための孔が形成され,前記トッププレート,板状マグネット及びバックプレートは,その短径方向の幅が前記フレームの短径方向の幅と同じか又はそれより小さく,その長径方向の幅が前記フレームの長径方向の幅より小さく,磁性体からなるケース内に収納されて,前記トッププレートが前記ケースの蓋になる」と訂正する。

2 独立特許要件の判断
本件訂正審判により訂正しようとする発明は,訂正明細書の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「【請求項1】長円形状に形成された振動板と,振動板の中心に取り付けられるボイスコイルと,前記振動板を支持しこれを収納する外形が長方形状または長円形状のフレームと,磁気回路とから構成されるスピーカ装置であって,前記磁気回路は,長方形状のトッププレートと,長方形状の板状マグネットと,長方形状のバックプレートと,該バックプレートに立設されたセンターポールとを備えるとともに,前記トッププレート及び板状マグネットには前記センターポールが貫通する孔が形成され,前記トッププレート上に載置された前記フレームの底には,前記トッププレートの孔と前記センターポールとの間に形成される磁気ギャップに前記ボイスコイルを挿通するための孔が形成され,前記トッププレート,板状マグネット及びバックプレートは,その短径方向の幅が前記フレームの短径方向の幅と同じか又はそれより小さく,その長径方向の幅が前記フレームの長径方向の幅より小さく,磁性体からなるケース内に収納されて,前記トッププレートが前記ケースの蓋になることを特徴とするスピーカ装置。」(以下,「本件訂正発明」という。)

(1)刊行物に記載された発明
特許異議の申立てにおいて提示された刊行物1及び2には以下の事項が開示されている。

刊行物1:特開昭63-278496号公報
「本発明は,省スペース化,薄型化を目指す楕円形,あるいは矩形等の真円形状以外の振動板形状を有する動電形スピーカに関するものである。」(産業上の利用分野)

「一般に,薄型化を維持しながら高効率化等を得るためには,磁気回路の長径と短径の比を振動板のそれとほぼ一致させるのが適当である。マグネット形状を楕円形,長方形等にし,中心付近に貫通孔を設けた変形のドーナツ形状マグネットとする事により,実現する方法を考えられるが,この方法であると,使用するボイスコイルの直径がマグネットの短径の1/2程度以上になると,短径と中心孔の大きさが同程度になるため,マグネット製造上及び,マグネット強度の点より対応が困難となる。」(2頁右上欄17行〜左下欄7行)

刊行物2:実願昭61-31221号(実開昭62-143398号公報)のマイクロフィルム
「この考案に係るスピーカーの駆動部,具体的には該駆動部を構成するボイスコイル又はマグネットの形状を,矩形状の平板振動板の長軸方向に対して長軸を有する長円又は楕円形状にしたものである。」(問題点を解決するための手段:4頁12〜16行)

「第1図乃至第3図において,符号(1)は矩形状の平板振動板端径状の平板振動板であり,フレーム(2)によって支持されている。(3)はマグネットであり,前記平板振動板(1)の長軸に対して長軸を有する楕円形状のものである。このマグネット(3)は磁気回路を構成している。(4)はボイスコイル(図示ぜず)が巻回されたボイスコイルボビンであり,平板振動板(1)の長軸に対して長軸を有する楕円形状に形成されている。(5)は平板振動板(1)に一端縁部が接着されたサブコーンであり,他端縁部はボイスコイルボビン(4)に接着されている。(6)はボイスコイルボビン(4)をフレーム(2)に支持するスパイダーである。また,前記マグネット(3)とボイスコイルとにより駆動部が構成されている。」(5頁9行〜6頁2行)

(2)対比・判断
本件訂正発明は,トッププレート,板状マグネット及びバックプレートが,磁性体からなるケース内に収納されて,トッププレートが前記ケースの蓋になる構成要件を備えることで,板状マグネットから飛び出した漏洩磁束がケースによってガードされ,このケースの蓋として配置されたトッププレートに導かれることになるので,フレームに対して有効な面積に設定した長方形状の板状マグネットによって形成される磁束密度を効果的に磁気ギャップに導いて駆動力として利用することができ,感度向上をより確実なものにすることができる,という顕著な作用効果を奏する。

刊行物1及び2並びに刊行物3(特許異議申立の証拠として提示された特開平5-276589号公報)には,磁性体からなるケース内に収納する手段は,開示も示唆もされておらず,他の構成との関係で自明の事項とすることもできないから,本件訂正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。
また,請求項2ないし4に記載された発明は,いずれも請求項1の構成をすべて引用するものであるから,請求項1と同様に,特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

3 むすび
したがって,本件審判の請求は,特許法126条1項1号ないし3号に揚げる事項を目的とし,かつ,同条2項ないし4項の規定に適合する。

第4 特許異議申立人の主張についての検討
異議申立人は,申立の理由で,請求項1に係る発明は,上記刊行物1及び2の発明から当業者が容易に発明できたものであると主張しているが,上記訂正審決で判断しているように訂正された請求項1の発明は,刊行物1及び2の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず,また,訂正された請求項2ないし4の発明は,刊行物1及び2の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。

第5 むすび
以上,特許異議申立の理由及び証拠によっては,訂正された請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に訂正された請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-12-27 
出願番号 特願平8-266684
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H04R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松澤 福三郎  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 小林秀美
酒井朋広
登録日 2001-11-09 
登録番号 特許第3248711号(P3248711)
権利者 東北パイオニア株式会社 パイオニア株式会社
発明の名称 スピーカ装置  
代理人 小橋 信淳  
代理人 小橋 信淳  
代理人 小橋 立昌  
代理人 小橋 立昌  

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