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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61M
管理番号 1083221
異議申立番号 異議2002-72028  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-03-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-12 
確定日 2003-09-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第3257998号「中空糸膜型透析器」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3257998号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「筒状のハウジング内に、中空糸膜の束と、該中空糸膜で隔てられた第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析および限外濾過を行う透析器であって、該第2の流路の途中に狭窄部を設け、該狭窄部の透析液上流側と下流側とで透析液の圧力差(圧力損失)の平均値が30〜70mmHgであることを特徴とする中空糸膜型透析器。」

2.異議申立人提出の証拠に記載された発明
刊行物1:特開平5-115548号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証)
刊行物1の「側面に透析液入口ノズル及び透析液出口ノズルを有する円筒状容器に中空糸膜束が挿入されてなる中空糸膜型血液透析器において、透析液入口ノズル及び透析液出口ノズルが円筒状容器と接続する部分のノズル内側に該ノズル内断面を仕切りによって実質的に2以上の開口部に分割する断面形状を有し、且つ該開口部の合計面積がノズル内断面積の30%以上85%以下である仕切り板が設けられていることを特徴とする中空糸膜型血液透析器。」(特許請求の範囲)、「中空糸膜型血液透析器では中空糸膜の内側に血液を、外側に透析液を流して血液と透析液とを膜を介して接触させ透析を行う」(第1欄第29〜31行)の記載及び図面の記載によれば、刊行物1には、「円筒状容器内に、中空糸膜の束と、該中空糸膜で隔てられた第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる血液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析を行う透析器であって、透析液入口ノズル及び透析液出口ノズルが円筒状容器と接続する部分のノズル内側に該ノズル内断面を仕切りによって実質的に2以上の開口部に分割する断面形状を有し、且つ該開口部の合計面積がノズル内断面積の30%以上85%以下である仕切り板が設けられている中空糸膜型血液透析器」という発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
本件発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1の「円筒状容器」は、その機能と構造からみて、本件発明の「筒状のハウジング」に相当し、刊行物1の「血液」は、本件発明の「体液」に含まれる。
そうしてみると、両者は、「筒状のハウジング内に、中空糸膜の束と、該中空糸膜で隔てられた第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析を行う透析器」である点で一致し、以下の点で相違している。

(A)刊行物1に記載された発明は、本件発明の「第2の流路の途中に狭窄部を設け、該狭窄部の透析液上流側と下流側とで透析液の圧力差(圧力損失)の平均値が30〜70mmHgである」という構成を有しない点。

そこで、上記相違点(A)について検討する。刊行物1には、透析液入口ノズル及び透析液出口ノズルが円筒状容器と接続する部分のノズル内側に仕切り板を設け、ノズル内断面を仕切によって実質的に2以上の開口部に分割させ、かつ開口部の合計面積をノズル内断面積の30〜85%にしたものが記載されている。なお、この仕切り板は、透析液の流路抵抗として機能しており(刊行物1の表1参照)、本件発明の「狭窄部」に対応するものと一見みられるが、その作用、効果において両者は全く異なるものである。
また、本件発明の「第2の流路」とは、筒状のハウジング内にあり、第1の流路(体液の流路)と中空糸膜で隔てられている透析液の流路を指している。してみると、刊行物1における「第2の流路」は、円筒状容器内の、中空糸膜と隔てられて接している透析液の流路がこれに相当している。そして、刊行物1の仕切り板は、「第2の流路」の外に当たる「第2の流路」の出入口に設けられたものであり、「第2の流路」の途中に設けられたものではなく、「第2の流路」において流路抵抗として機能するものでもない。
したがって、刊行物1には、本件発明の「第2の流路の途中に狭窄部を設け」たという構成についての記載がなく、本件発明は、刊行物1に記載された発明ではないことは明らかである。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-08-25 
出願番号 特願平11-266417
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A61M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 稲村 正義杉江 渉  
特許庁審判長 増山 剛
特許庁審判官 一色 貞好
石川 好文
登録日 2001-12-07 
登録番号 特許第3257998号(P3257998)
権利者 旭メディカル株式会社
発明の名称 中空糸膜型透析器  

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