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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1083233
異議申立番号 異議2002-72873  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-03-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-11-27 
確定日 2003-08-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第3290109号「内視鏡」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3290109号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3290109号の請求項1に係る発明についての出願は、平成9年9月9日に特許出願され、平成14年3月22日にその発明について特許の設定登録がされた。その後、その特許について異議申立人、ペンタックス株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされた。
2.特許異議申立てについての判断
(1)本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
対物光学系と、撮像手段と、この撮像手段の電気信号を伝送する信号線と、照明用のライトガイドバンドルとを有する内視鏡において、
前記信号線を前記ライトガイドバンドルの内部に挿通しこのライトガイドバンドルの外表面を直接被覆して前記信号線とライトガイドバンドルとを挿通するチューブを設けたことを特徴とする内視鏡。
(2)引用刊行物
取消理由で引用した刊行物1(特開平5-303044号公報、以下、「引用例」という。)には、内視鏡に関する発明が記載されており、特に、次のような記載がある。
【0012】
「【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図2は、電子内視鏡の先端部の正面図であり、先端部本体1の中央部分に対物レンズ2が配置されている。そして、その左右に、照明用ライトガイドファイババンドル3の射出端面が配置されていて、そこから放出される照明光によって、対物レンズ2による観察視野が照明される。」
【0022】
「固体撮像素子26に入力される駆動信号及び固体撮像素子26から出力される画像信号を伝送するための信号ケーブル27は、固体撮像素子26の後端部分に接続されていて、湾曲部11内から挿入部内に全長にわたって挿通され、外部のビデオプロセッサ(図示せず)に接続されるように配置されている。」
【0023】
「照明用ライトガイドファイババンドル3は、図1に示されるように、左右に分けられてレンズ枠4及び素子枠7の両側部に沿って後方に至り、筒状部材10の後端部付近で内側に寄せられて、挿入部内においては信号ケーブル27に沿って配置されている。」
【0024】
「保護チューブ25は、例えばシリコンゴム等のように軟質で可撓性のある材料によって形成されており、挿入部内では全長にわたって照明用ライトガイドファイババンドル3と信号ケーブル27とが同じ保護チューブ25によって被覆されている。そして、筒状部材10の後端に突設された保護チューブ係止部10eに保護チューブ25の先端が被せられて緊縛固定されている。」
(3)比較・判断
刊行物1の【0012】【0022】等の記載からみて、刊行物1に記載された内視鏡は、対物レンズ2と、固体撮像素子26と、固体撮像素子26に入力される駆動信号及び固体撮像素子26から出力される画像信号を伝送するための信号ケーブル27と、照明用ライトガイドファイババンドル3とを有するものである。また、【0023】【0024】等の記載からみて、照明用ライトガイドファイババンドル3は、挿入部内において信号ケーブル27に沿って配置されており、挿入部内では全長にわたって照明用ライトガイドファイババンドル3と信号ケーブル27とが同じ保護チューブ25によって被覆されている。
本件発明と刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを比較すると、両者は、
対物光学系と、撮像手段と、この撮像手段の電気信号を伝送する信号線と、照明用のライトガイドバンドルとを有する内視鏡において、前記信号線と前記ライトガイドバンドルとを挿通するチューブを設けたことを特徴とする内視鏡、である点で一致し、次の点で相違する。
相違点
本件発明が、前記信号線を前記ライトガイドバンドルの内部に挿通しこのライトガイドバンドルの外表面を直接被覆して前記信号線とライトガイドバンドルとを挿通するチューブを設けた、構成を有するのに対し、引用発明はそのような構成を有するものか否か明らかでない点。
相違点について検討する。刊行物1の、照明用ライトガイドファイババンドル3は、挿入部内において信号ケーブル27に沿って配置されている、という記載及び図1の記載からみて、さらに、内視鏡において、照明用ライトガイドをリング状に配置し、その内部に画像情報伝送手段を挿通したものは、普通のものであること(例えば、取消理由で引用した刊行物2(特開昭62-85215号公報)にも記載されている。)からみて、刊行物1に明記がなくても、引用発明において、信号線をライトガイドバンドルの内部に挿通する構成を想定することは当業者にとって何ら困難なことではない。また、刊行物1には、図1を参照して、照明用ライトガイドファイババンドル3と信号ケーブル27とが同じ保護チューブ25によって被覆されていることが記載されている。したがって、引用発明において、相違点に係る構成のようにすることは当業者が格別の困難なくなしえることである。また、そのようにすることにより格別すぐれた効果が得られるものともいえない。
したがって、本件発明は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-07-04 
出願番号 特願平9-244249
審決分類 P 1 651・ 121- Z (A61B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 居島 一仁居島 一仁  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 河原 正
橋場 健治
登録日 2002-03-22 
登録番号 特許第3290109号(P3290109)
権利者 オリンパス光学工業株式会社
発明の名称 内視鏡  
代理人 三井 和彦  

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