• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1084001
審判番号 不服2001-21987  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-07 
確定日 2003-09-17 
事件の表示 平成 9年特許願第527115号「保険料を決定するための自動車監視システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 7月31日国際公開、WO97/27561、平成11年10月 5日国内公表、特表平11-511581]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年1月17日(優先権主張 平成1996年1月29日、米国)の出願であって、当審において、平成14年6月21日付けの拒絶理由を通知し、平成15年2月5日付けの手続補正書が提出されものであって、その本願発明は、平成15年2月5日付けの手続補正によって補正された明細書と図面の記載からみて、「保険料を決定するための自動車監視システム」に関するものと認める。

2.当審の拒絶理由
当審の拒絶の理由は、「明細書の発明の詳細な説明の項には、請求項3(平成15年2月5日付けの手続補正書の請求項1に相当)に係る発明を特定する各手段に対応する技術的手段が抽象的に記載されているだけで、それらを具現するために必要な事項が、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。特に、「集合された前記選択された未処理データ要素を、自動車操作の安全性の程度を示す所定の保険統計的クラスと関連付ける手段」と「前記データ収集期間中の保険料を生成する手段」を具現するために必要な事項の記載が不十分であり、両手段がどのようにして具現できるのかを理解することができない。」ので、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないというものである。

3.請求人の主張
それに対して、請求人は以下のように主張している。
「本願発明では、車載された記憶装置に記録されているファイルのデータを基にしてこの保険統計的クラスの各項目のそれぞれについてランク付けを行い、保険統計的クラスを生成し、これにより保険料を計算するものですが、図2ではステップ212および214の処理がこの段階を示しております。これが請求項1における「安全度の度合いを示す保険統計的クラスのそれぞれと関連付ける」段階であります。
請求項1のシステムは、図4に例示されるようなシステムにおいて実行できるものであり、また一部のデータソースの例が具体的に例示されております。このようなブロック図で例示したことにより、システムの構成に必要な具体的な装置やセンサ、具体的なシステムや使用するコンピュータおよびそのプログラムは、当業者である保険関係者や車両のモニタシステムの設計者には本願明細書の記載の範囲内で容易に設計できる筈であり、本願明細書の記載が不十分なものとはいえないものです。また本願発明において説明している車両のモニタシステム自体は特に本願発明に特有のものではなく、また保険統計的クラスによって保険料金を決定する方法も、前述のように従来の保険料金の計算方法と異なっている必要はありません。したがってこれらの点についての実施例の記載がないから当業者が実施できないということはありません。」

4.当審の判断
当審の拒絶理由通知で通知した「集合された前記選択された未処理データ要素を、自動車操作の安全性の程度を示す所定の保険統計的クラスと関連付ける手段」(補正書の「記憶された前記選択されたデータ要素を、予め決められている、自動車の運転操作の安全度の度合いを示す保険統計的クラスのそれぞれと関連付ける手段」)と「前記データ収集期間中の保険料を生成する手段」を具現するために必要な事項の記載が不十分であり、両手段がどのようにして具現できるのかを理解することができない。」との記載内容を以下に詳細に説明する。
発明の詳細な説明の欄には、自動車の操作状態および運転者の行動を複数のセンサから複数のデータ要素として取り出し、その複数のデータ要素のうち、安全基準と特定の関係を有すると判断された場合に、その判断された複数のデータ要素、例えば、速度制限を超過した自動車の速度、を車載記憶装置の自動車記録ファイル内に記憶することは記載されているものの、保険統計的クラスとは具体的にどの様に構成されているものなのか、そして、その判断された複数のデータ要素(例えば、自動車の速度等)を保険統計的クラスのそれぞれとどの様な手段によって関連付けられるのかを示す記載がない。
請求人は、意見書において「図2ではステップ212および214の処理がこの段階を示しております。これが請求項1における「安全度の度合いを示す保険統計的クラスのそれぞれと関連付ける」段階であります。」と主張するが、発明の詳細な説明の欄には、図2のステップ212および214の処理に関しては、「ステップ214で、ステップ210から取得された統合ファイル情報、およびステップ212で取得された全体の保険契約者プロファイルを結合し、追加料金または値引きアルゴリズムファイルに対して処理し、そのアルゴリズムファイルは様々の使用パターンおよびトリガイベントについての特定の係数を含む。追加料金および値引きは、示された運転行動に関連する損失結果に基づいて継続的に調整される。」(明細書第17頁第8〜12行)と記載されているだけであり、また、明細書中の他の記載を検討してみても、判断された複数のデータ要素(例えば、自動車の速度等)を保険統計的クラスのそれぞれと関連付けるために、どの様な手段によって行われるのかを示す記載がない。
また、請求人は、「車両のモニタシステム自体は特に本願発明に特有のものではなく、また保険統計的クラスによって保険料金を決定する方法も、前述のように従来の保険料金の計算方法と異なっている必要はありません。したがってこれらの点についての実施例の記載がないから当業者が実施できないということはありません。」と主張しているが、従来の保険統計的クラスは、自動車の操作状態および運転者の行動を複数のセンサから各種信号(複数のデータ要素)によって保険料を算出するものではなく、本願発明が該各種信号(複数のデータ要素)に基づいて、本願発明の保険統計的クラスと関連づけられる以上、その保険統計的クラスが具体的にどの様な構成のものであり、該保険統計的クラスと該各種信号(複数のデータ要素)とがどの様にして関連付けられるのかが説明されていなければ、本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。

5.むすび
したがって、本願は、前記手続補正よっても、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないので、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-04-08 
結審通知日 2003-04-15 
審決日 2003-05-02 
出願番号 特願平9-527115
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 久保田 健
岡 千代子
発明の名称 保険料を決定するための自動車監視システム  
代理人 鈴木 弘男  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ