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審決分類 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1084081
審判番号 不服2001-40  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-04 
確定日 2003-09-18 
事件の表示 平成6年特許願第278255号「バイデジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」拒絶査定に対する審判事件[平成8年5月7日出願公開、特開平8-112287]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.経緯
本願は、平成6年10月18日の出願であって、原審において拒絶査定(H12.11.27日付け)がなされ、拒絶査定不服審判請求(H13.1.4日)後に手続補正書(受付日H13.1.16)が提出され、当審から拒絶理由通知(H15.4.11日付け)がなされたところ、請求人より意見書が提出されたものである。

2.当審からの拒絶理由通知の概要は次のとおりである。
「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。

[1]手続補正書(受付日13.01.16)によれば、本件の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】2個の金属端子の基部を絶縁材よりなる筒状ケースの両端にそれぞれ止着して金属端子の各先端を筒状ケースの外に突出すると共に、両金属端子間に並列に2個のダイオードを互いに逆方向に接続し、これらのダイオードを前記筒状ケース内に収容してなるバイデジタルO-リングテスト用ダイオード触診器。」(以下、「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」と言う。)
[2]本件明細書の【0001】乃至【0015】の記載では、「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」は、金属棒(従来の触診器)によるO-リングテストを前提としているが、そもそも、金属棒(従来の触診器)によるO-リングテストや【0001】乃至【0010】に記載されたことの根拠となっている自然法則が不明である。また、【0001】乃至【0010】の記載は当業者の技術常識では理解することができず、当業者が容易に実施することもできない。
[3]同様に、「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」によって、本件明細書(【0001】乃至【0010】)に記載されたことができる根拠となっている自然法則が不明である。当業者の技術常識では理解できず、当業者が容易に実施することもできない。
[4]「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」によって、本件明細書(【0011】乃至【0024】)に記載されたことができる根拠となっている自然法則が不明である。また、【0011】乃至【0024】の記載を当業者の技術常識では理解することはできず、容易に実施することもできない。
さらに、「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」が、金属棒(従来の触診器)によるO-リングテストと異なる結果を生じるということや異なるO-リングテストとなる、と記載している根拠となっている自然法則が不明である。そのような相違を当業者の技術常識では理解できず、容易に実施することもできない。
[5]平成13年3月19日付け手続補足書添付の臨床例報告書(報告者;大村恵昭和)と報告書(報告者;下津浦康裕)をみるに、大村恵昭の報告と下津浦康裕の報告によるダイオード棒を使用した臨床例、症例と言うものが記載されているが、それら報告をみても、上記[2]乃至[4]の本件明細書の記載不備(特36条の拒絶理由)を解消していない。
(1)2つの報告書をみても、金属棒(従来の触診器)によるO-リングテストやバイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」によるO-リングテスト、本件明細書(【0001】乃至【0012】、【0011】乃至【0024】など)に記載されたことの根拠となっている自然法則が不明である。当業者の技術常識では理解できず、当業者が容易に実施することもできない。
(2)2つの報告書をみても、引用文献1乃至4(特公昭39-7226号公報、特公昭41-11581号公報、実願昭50-152163号(実開昭52-65471号)のマイクロフィルム、特開昭60-140745号公報)の構造や回路と対比して、「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」が本願の発明者大村恵昭が知見した診断法のバイデジタルO-リングテスト用であるという根拠となっている自然法則が不明である。当業者の技術常識では理解できず、容易に実施することもできない。」

3.上記当審からの拒絶理由通知に対する意見書において請求人は概略、
「本願発明は、バイデジタルO-リングテスト用のダイオード触診器で、バイデジタルO-リングテストは、米国特許第5188107号にも記載されているとおりのものであり、多少の習熟はいるが誰もが同じ方法により同じ診断結果を得ることができます。この診断方法が間違いのないものであることは臨床結果などからも明らかです。
また、バイデジタルO-リングテストに関する装置が特許されている事実があります(特許第1679969号及び特許第3360947号)。
本願の発明者が鋭意研究した結果、2個の金属端子の基部を絶縁材よりなる筒状ケースの両端にそれぞれ止着して金属端子の各先端を筒状ケースの外に突出すると共に、両金属端子間に並列に2個のダイオードを互いに逆方向に接続し、これらのダイオードを前記筒状のケースに収容したものを使用したら、同じ薬が体内の残っている場合であっても、誤診を生じないことを知見し本発明に至ったものです。
このバイデジタルO-リングテスト用ダイオード触診器が、当業者により容易に実施できるものであり、また当業者の技術常識で理解できるものであることは、平成13年3月19日付で提出した報告書(下津浦医師による診断結果を示すもの)により実証できたものと思料します。
この報告書に示すとおり、一定の手段(バイデジタルO-リングテスト用ダイオード触診器を使用した診断)により常に一定の効果(診断結果)を達成するものであるので、学術的な意味において正確かつ完全な自然法則の認識の必要はないと思料します(平成3年(行ケ)80号の判決 参照)。
上記のごとく本願発明は、明細書に記載されている一定の手段により常に一定の効果を達成するものであるので、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしたものと思料します。」
と意見を述べている。

しかしながら、古くから多種多様な金属棒が存在することは当業者のみならず一般人にも周知の事実であって、そのような周知の金属棒について本件明細書に記載されたような現象が起こることを当業者が理解することはできない。
仮に、本件明細書の記載を前提としたとしても、本件「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」は、金属棒(バイデジタルO-リングテストの従来の触診器)と異なる現象が起こることを明細書に記載しており、それらの記載が当業者に理解できなければ、従来の触診器と異なるものであると説明してあることを理解することはできず、実施することもできない。
また、仮に、本件明細書の記載を前提としたとしても、本件「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」を、金属棒(バイデジタルO-リングテストの従来の触診器)と比較すると、「両金属端子間に並列に2個のダイオードを互いに逆方向に接続」を主な相違とするので、そのようなダイオードの存在で、従来の金属棒(バイデジタルO-リングテストの従来の触診器)と異なる現象が起こると考えざるをえないが、ダイオードの存在を原因として本件明細書に記載されたような異なる現象が起こるとは当業者には理解困難なことである。
そして、平成13年3月19日付手続補足書に添付して提出された報告書には、臨床例、症例というものが記載されているが、単なる金属棒が本件明細書の【0001】乃至【0012】に記載された「バイデジタルO-リングテストの従来の触診器」と成りうるのか不明であるし(単なる金属棒は周知のものであり、本件明細書に記載されたような現象が起こることが不明である。)、同様に、単なる両金属端子間に並列に2個のダイオードを互いに逆方向に接続した構造が本件明細書に記載された「バイディジタルO-リングテスト用ダイオード触診器」と成りうるのか不明である。(単なる金属棒と同様に単なる金属端子、逆並列ダイオードも周知のものであり、それらを接続したとしても本件明細書に記載されたような現象が起こることが不明である。)
なお、特許第1679969号及び特許第3360947号に係る発明は、要するに2つの指に挟まれる空気袋や指ガイドの圧力、力を検出する装置であって、その装置に本件明細書でいう「生体固有の電磁場」などが作用するはずはなく、また、2つの指を挟む力がどのような原因で変化(あるいは開く)するかとは直接の関係がないものである。

4.以上のとおり、意見書をみても、本件出願は、明細書及び図面の記載が先の当審からの拒絶理由通知で指摘した点で不備のため、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていないものと認められ、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-18 
結審通知日 2003-07-22 
審決日 2003-08-04 
出願番号 特願平6-278255
審決分類 P 1 8・ 534- WZ (A61B)
P 1 8・ 531- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 春樹郡山 順  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 水垣 親房
後藤 千恵子
発明の名称 バイデジタルO-リングテスト用ダイオード触診器  
代理人 牧 哲郎  
代理人 菊谷 公男  
代理人 牧 レイ子  

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