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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47B
管理番号 1084095
審判番号 不服2002-5666  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-04 
確定日 2003-09-17 
事件の表示 特願2001-183036「ロッカー」拒絶査定に対する審判事件[平成14年2月19日出願公開、特開2002-51857]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成9年11月14日に出願した特願平9-314070号の一部を平成13年6月18日に分割して出願したものであって、平成14年2月21日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年4月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月30日付で手続補正がなされた。

【2】平成14年4月30日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年4月30日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、その請求項1を次のとおりに補正することを含むものである。
「テーブルを適宜集合させて必要な環境を整えることができるなどの自席を限定しない形態のオフィス、または、机やテーブル等の什器が不特定多数者の利用に供され自席を限定しない形態のオフィスに適用するためのものであって、
内部に収納空間を有するロッカー本体と、このロッカー本体の収納空間を開閉する位置に配設される施錠機構を備えた鏡板と、この鏡板に開口している投函口とを具備してなり、
ファイルや書類などの置き場を確保すべくワークエリアの妨げにならない位置に複数配列されるとともに、携帯電話やノート型のパーソナルコンピュータ端末等に対して充電のための給電等を行うことができるようにロッカー本体内部に配線機能を備えることを特徴とするロッカー。」(以下、「補正発明」という。)

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された、実願平3-98561号(実開平5-30390号)のCD-ROM(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
「【請求項1】錠前付き保管庫(1)の開閉部(3)に、投入口(2)を設け、開閉部(3)の内側で、投入口(2)の周辺部に、投入口扉(6)をバネ蝶番(7)を介して蝶着し、さらに開閉部(3)の内側で、投入口(2)の周辺部に、開放禁止金具(9)を設けた、投入口付き保管庫。」
「【0007】図5は、ロッカー1の開閉部3すなわち扉に投入口2を設けた本考案の他の実施例で、扉の幅が狭いので投入口2は縦長が望ましい。この実施例は、複数の従業員が勤務する事業所等で、各個人あてに、不在時に、大切な配布物を投入、配布を可能にする。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、特開平6-38838号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
「〔0001〕
〔産業上の利用分野〕本発明に係るシステムキヤビネツトは、中小企業を対象とした日常経理・会計事務の合理化を目的とし、フアシリテイマネージメントに適した経理・会社方式を構成するための業務支援型システムキヤビネットに関する。」
「〔0006〕
〔実 施 例〕本発明の実施例を中小企業向の経理・会計業務に適用した場合を用いて説明する。図1は企業活動に伴つて発生する売上関係の証憑情報の流れを示した図であり、図2は支払関係の証憑情報の流れを示す図である。図3は本発明の業務支援型システムキヤビネツトに書憑類を収容する場合の一例を示している。
〔0007〕この業務を遂行するに当つて担当者若しくは関係者が用いる証憑類、什器、器具、備品類には多種多様なものが存在し、現金・印紙等より証憑、磁気媒体からいわゆる文房具に到る担当者用具をリストアップしたのを下表1に示す。
……(表1の記載を省略)……
〔0008〕これらの担当者用具のうち、筆記用具等のいわゆる文房具類は従来通りに事務机の引出し等に収容・保管できるが、金種印紙具、書証類、磁気媒体は、従来は共用管理型が採用され、共同利用の形態が踏襲されて今日に到つている。大企業であるならば書証類も多数のため、目的別・用途別に区分して保管することは可能であるが、中小企業の場合は書証類の多品種少量保管であるから、共用管理型の採用は困難で、専用管理型に移行せざるを得ない。又、最近一部の企業でサテライトオフイスや在宅勤務者の制度を採用され始めている。これらの従業員には共同管環(注:「管理」の明白な誤記と認める。)型よりも、個人若しくは担当者用の専用管理型キヤビネツトが求められ、多品種・多サイズ・少量の紙媒体や磁気媒体の混在管理を可能とするキヤビネツトの必要性が増大している。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、実願昭59-55078号(実開昭60-167549号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物3」という。)には、以下の記載がある。
「内部に電源,通信用等のコードを収納し、内外側の所要個所にその出入口を設けた収納庫。」(1頁4〜5行)
「この収納庫は上記の如き構造であるから……収納庫の内側に設けた取出口(8)におけるコード(5)には棚板(14)に載置した電気機器を接続して使用することができる。」(3頁4〜9行)

(3)対比・判断
補正発明と、上記刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「保管庫(1)」、「錠前」、「開閉部(3)」、及び「投入口(2)」は、補正発明の「ロッカー」、「施錠機構」、「鏡板」、及び「投函口」にそれぞれ相当するから、両者は、
「内部に収納空間を有するロッカー本体と、このロッカー本体の収納空間を開閉する位置に配設される施錠機構を備えた鏡板と、この鏡板に開口している投函口とを具備している、ロッカー」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:補正発明のロッカーは、テーブルを適宜集合させて必要な環境を整えることができるなどの自席を限定しない形態のオフィス、または、机やテーブル等の什器が不特定多数者の利用に供され自席を限定しない形態のオフィスに適用するためのものであって、ファイルや書類などの置き場を確保すべくワークエリアの妨げにならない位置に複数配列されるものであるのに対し、刊行物1記載のロッカーは、どのような形態のオフィスで使用されるものであるのか不明であり、その配列場所についても記載されていない点

相違点2:補正発明のロッカーは、携帯電話やノート型のパーソナルコンピュータ端末等に対して充電のための給電等を行うことができるようにロッカー本体内部に配線機能を備えているのに対し、刊行物1記載のロッカーは内部に配線機能を備えていない点

上記各相違点について検討する。

<相違点1について>
従業者の自席が限定されず、且つ、各従業者専用の資料・備品・消耗品等を保管する個々のロッカーを備えた形態のオフィス空間は、本願の原出願の出願前に、外勤の多い企業の営業部門などで採用されていたことが例を示すまでもなく従来周知である。あるいは、刊行物2の上記「最近一部の企業でサテライトオフイスや在宅勤務者の制度を採用され始めている。これらの従業員には共同管理型よりも、個人若しくは担当者用の専用管理型キヤビネツトが求められ」という記載から容易に想起し得る事項にすぎない。そして、それらロッカー類をワークエリアの妨げにならない位置に複数配列することは当業者が当然に配慮する程度のことに過ぎないから、相違点1として摘記した本願発明の構成は、何ら格別なものではない。

<相違点2について>
刊行物3には上記のとおり、収納庫(補正発明の「ロッカー」に相当。)の内部に置いた電気機器に接続して使用するコード(補正発明の「配線機能」を達成するための具体的手段に相当。)を設ける技術が記載されており、該技術に基づいて、相違点2として摘記した補正発明の構成を当業者が想起することには何らの困難性も認められない。

そして、補正発明が奏する作用効果も、当業者が予期し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、補正発明は、上記刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によりその特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。

【3】本願発明について
(1)本願発明
本願の各請求項に係る発明は、平成14年4月30日付手続補正が上記のとおり却下されたので、平成13年12月3日付手続補正書により補正された明細書、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるとおりの次のものと認める。
「【請求項1】テーブルを適宜集合させて必要な環境を整えることができるなどの自席を限定しない形態のオフィス、または、机やテーブル等の什器が不特定多数者の利用に供され自席を限定しない形態のオフィスに適用するためのものであって、
内部に収納空間を有するロッカー本体と、このロッカー本体の収納空間を開閉する位置に配設される施錠機構を備えた鏡板と、投函口とを具備してなり、
ファイルや書類などの置き場を確保すべくワークエリアの妨げにならない位置に複数配列されるとともに、携帯電話やノート型のパーソナルコンピュータ端末等に対して充電のための給電等を行うことができるようにロッカー本体内部に配線機能を備えることを特徴とするロッカー。
【請求項2】〜【請求項5】(記載を省略)」
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

(2)引用刊行物
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された各刊行物、及び、その記載事項は、上記【2】(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した補正発明から「投函口」の限定事項である「鏡板に開口している」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が上記【2】(3)に記載したとおり、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-01 
結審通知日 2003-07-08 
審決日 2003-07-22 
出願番号 特願2001-183036(P2001-183036)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47B)
P 1 8・ 575- Z (A47B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渋谷 知子横井 巨人  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 木原 裕
山口 由木
発明の名称 ロッカー  
代理人 井上 敬子  
代理人 赤澤 一博  

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