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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01D
管理番号 1084123
審判番号 不服2002-17124  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-05 
確定日 2003-09-18 
事件の表示 平成 6年特許願第 60432号「高温脱硝装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年10月17日出願公開、特開平 7-265666]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成6年3月30日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年7月4日付け手続補正書により補正された明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】500℃以上の窒素酸化物を含む排ガスをアンモニアの存在下に脱硝触媒と接触させて脱硝処理する選択的接触還元脱硝装置であって、脱硝装置内に配設する触媒層を多段に設け、アンモニアの注入点を触媒層の上流と多段触媒層の間に配置してなることを特徴とする高温脱硝装置。」
2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献には、次の事項が記載されている。
(1)引用例1:特開昭53-66868号公報:拒絶理由通知の引用文献1
(a)「1.窒素酸化物を含有する燃焼排ガス中に、アンモニア、アミン類、及びアミド類から選定された還元剤を注入し、触媒と接触させて窒素酸化物を還元分解する脱硝装置において、触媒層を排ガスの流れ方向に複数段に分割して設置し、かつ前記還元剤を注入する装置を各触媒層ごとに分割して設置したことを特徴とする窒素酸化物の接触還元脱硝装置。」(特許請求の範囲第1項)
(b)「5.還元剤がアンモニアであり、触媒がチタン系触媒であって、かつ排ガス温度が250℃〜450℃である範囲に触媒層を設置したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の接触還元脱硝装置。」(特許請求の範囲第5項)
(c)「また各段に注入する還元剤の注入量は、各段における脱硝率と還元剤注入量の関係、および脱硝プラントに要求される脱硝率の関係から、還元剤消費量が最少となる如く調整して注入することとなる。」(第4頁右下欄第8〜12行)
(d)「第6図は本発明をガスタービンの排ガス処理に採用した例であり、17は圧縮機、18は燃焼器、19はガスタービン、20は本発明による脱硝装置を内装した排気ダクトである。この場合、排気ダクト20におけるガス温度は普通の発電用ガスタービンで450℃〜550℃であるから、尿素又はアンモニア脱硝方式を採用する。ガスタービン19を出た排ガス7は15%程度の高濃度の酸素を含有しているが、この脱硝装置は還元剤が選択的にNOxと反応するので、酸素濃度の影響はほとんどない。」(第5頁左上欄第第14行〜右上欄第4行)
(e)「従来の脱硝装置に比較して脱硝率が向上し、かつ還元剤消費量が低減するので、経済的かつ高性能の脱硝装置を提供することが可能となる。」(第5頁右上欄第18行〜左下欄第1行)
(f)第6頁第6図には、ガスタービン19からの排ガスは排気ダクト20に導入され、該ダクト中で、排ガス7は、還元剤注入ノズル6a、触媒層2a、還元剤注入ノズル6b、触媒層2bを通過することが記載されている。
(2)引用例2:実願平3-26894号(実開平4-122633号)のマイクロフィルム:拒絶理由通知の引用文献2
(a)「400〜650 ℃の燃焼排気ガスが通る通路の上流側にアンモニア等の還元剤を注入する還元剤注入部を設け、下流側に触媒層から成る反応器を設けた乾式排煙脱硝装置において、上記還元剤注入部と反応器を接続するダクトをステンレス鋼で成形したことを特徴とする排煙脱硝装置。」(請求項1)
(b)「ところで、燃焼排気ガス温度が 400〜650℃といった比較的高い温度になると、脱硝反応以外にアンモニアの酸化、分解反応が進行し、脱硝反応率が低下することになる。・・・そのため、還元剤注入部の上流側に熱交換器を設けて燃焼排気ガス温度を低下させてアンモニアの酸化、分解反応を抑制することも考えられるが、その場合、装置が大型化したり、製造コストが高くなるといった問題が生じてくる。」(第3頁第21行〜第4頁第1行)
(3)引用例3:特開平2-259223号公報:拒絶理由通知の引用文献3
(a)「約300〜600℃の温度範囲で脱硝反応を行う請求項1記載の排ガス脱硝方法。」(請求項2)
(b)「第5図においてディーゼルエンジン1で発生した排ガスはライン11を経て、脱硝反応器2に送られる。排ガスライン11にアンモニアタンク61からバルブ62を介してアンモニアが供給される。脱硝反応器2において窒素酸化物がアンモニアで還元され窒素にされた後、ライン22を経て消音器3に送られ、消音ライン23より大気に放出される。」(第2頁右上欄第7〜13行)
3.対比・判断
引用例1の第6図の装置については、上記(1)(f)のとおり「ガスタービンからの排ガスは排気ダクトに導入され、該ダクト中で、排ガスは、還元剤注入ノズル6a、触媒層2a、還元剤注入ノズル6b、触媒層2bを通過する」ことが記載されていると云える。
ここで、上記「ダクト」は、上記(1)(a)の記載からみて、「還元剤を注入し、触媒と接触させて窒素酸化物を還元分解する脱硝装置」と云える。また、第6図の装置について、上記(1)(d)には、「排気ダクト20におけるガス温度は普通の発電用ガスタービンで450℃〜550℃であるから、尿素又はアンモニア脱硝方式を採用する。」と記載されているところから、排ガスの温度が「450℃〜550℃」であることや、還元剤として「アンモニア」を採用することが記載されていると云える。
これら記載事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には、「450℃〜550℃のガスタービンからの排ガスにアンモニアを注入し、触媒と接触させて窒素酸化物を還元分解する脱硝装置であって、ダクト内に触媒層2aと触媒層2bを設け、アンモニアの注入ノズルを触媒層2aの上流と、触媒層2aと触媒層2bの間に配置してなる脱硝装置」という発明(以下、「引用例1発明」という)が記載されていると云える。
そこで、本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「ガスタービンからの排ガス」、「脱硝装置」は、本願発明の「窒素酸化物を含む排ガス」、「選択的接触還元脱硝装置」にそれぞれ相当し、また、引用例1の「脱硝装置」も「450℃〜550℃」の排ガスを取り扱うのであるから「高温脱硝装置」であると云え、また引用例1発明もダクト内で触媒層が連設されていることから、「多段触媒層」となっていると云え、その際、アンモニアの注入ノズルの位置からみて、引用例1発明においても「脱硝装置内に配設する触媒層を多段に設け、アンモニアの注入点を触媒層の上流と多段触媒層の間に配置」していると云える。
してみると、両者は「窒素酸化物を含む排ガスをアンモニアの存在下に脱硝触媒と接触させて脱硝処理する選択的接触還元脱硝装置であって、脱硝装置内に配設する触媒層を多段に設け、アンモニアの注入点を触媒層の上流と多段触媒層の間に配置してなることを特徴とする高温脱硝装置。」という点で一致し、次の点が相違していると云える。
相違点:本願発明では、窒素酸化物を含む排ガスが「500℃以上」であるのに対して、引用例1発明では、「450℃〜550℃」である点
次に、この相違点について検討する。
先ず、引用例1の上記(1)(b)に「還元剤がアンモニアであり、触媒がチタン系触媒であって、かつ排ガス温度が250℃〜450℃である範囲に触媒層を設置」するという記載があることから、請求人は、還元剤がアンモニアの場合、引用例1は排ガス温度250℃〜450℃の領域を想定していることを主張している(請求人提出平成14年10月7日付け手続補正書第4頁第11〜14行)。
しかしながら、上述したように上記(1)(d)に「アンモニア脱硝方式」、「450℃〜550℃」の記載があるということは、アンモニアを採用する場合の排ガス温度が450℃以上の場合を想定しているのは明らかであるから、上記(1)(b)の「250℃〜450℃」の記載は、アンモニアを採用した場合の排ガス温度の最適な温度範囲を示した記載にすぎないと云え、450℃以上の温度では脱硝剤としてアンモニアを採用できないと云ういわゆる阻害要件を記載したものであるとまでは云うことはできない。
この前提の上に立って、上記相違点を検討すると、窒素酸化物を含む排ガスをアンモニアの存在下に脱硝触媒と接触させて脱硝処理する選択的接触還元脱硝技術において、従来、500℃以上では脱硝処理を行ってこなっかたと云うことならばともかく、500℃以上の排ガス温度で脱硝処理することは普通に行われてきたことであるから(必要ならば、引用例2、3、特開平3-174223号公報参照)、刊行物1発明において、500℃以上の排ガスを脱硝処理することは、当業者が容易に想到し得ることであると云える。
そして、引用例1に記載された「脱硝率の向上」、「還元剤消費量が低減」等の効果からみて(上記(1)(e))、本願発明の効果は予測される範囲を出るものとは云えない。
したがって、本願発明は、引用例1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-15 
結審通知日 2003-07-22 
審決日 2003-08-04 
出願番号 特願平6-60432
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 雅博  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 野田 直人
山田 充
発明の名称 高温脱硝装置  
代理人 内田 明  
代理人 萩原 亮一  
代理人 加藤 公清  
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