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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1084139
審判番号 不服2002-358  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-01-10 
確定日 2003-09-18 
事件の表示 平成 9年特許願第112187号「電話端末装置及び画像処理方法」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 2月20日出願公開、特開平10- 51584]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、昭和63年2月17日に出願した特願昭63-34224号の一部を平成9年4月30日に新たな特許出願としたものであって、平成10年6月24日及び平成13年1月22日付で手続補正がなされ、平成13年12月3日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成14年1月10日付で審判請求がなされた後、平成14年2月7日付で手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年2月7日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】紙等の上に書かれた文字や絵等の画像を読み取る画像取り込み手段を備えたイメージスキャナと、
上記イメージスキャナによる画像の取り込みの際に操作する操作手段と、
上記イメージスキャナより取り込んだ画像情報を蓄積する画像情報蓄積手段と、
上記画像情報蓄積手段から出力される画像信号を電話回線にて送出可能な信号に変調する画像信号変調部と、
電話回線を介して送られてきた変調済の画像信号を復調する画像信号復調部と、
スピーカ等の音声出力部と、
マイク等の音声入力部と、
電話回線が前記音声出力部並びに前記音声入力部に接続されている状態で、電話回線を到来する信号中に、通信相手側より映像信号の送出に先行して電話回線へ送出された特殊信号を検出する検出手段と、
電話回線が前記音声出力部並びに前記音声入力部に接続されている状態で、前記検出手段が前記特殊信号を検出した場合に出力される信号により、電話回線と前記音声出力部及び前記音声入力部との通話を不可能とし、且つ、電話回線と前記画像信号変調部及び画像信号復調部との通信を可能とする手段とを備え、
上記イメージスキャナは、前記画像信号変調部と前記画像信号復調部を含む装置本体に対して、非固定状態にて使用可能に構成してなる電話端末装置。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開昭61-242456号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の各記載がある。
ア.「1.手書き画像を入力するための描画入力装置と、該描画入力装置から入力されて変調された画像信号と電話機から入力された音声信号とを多重化して電話回線に出力する多重回路とを備えた描画像通信装置において、
画像を光学的に読取って画像信号を出力する画像読取り装置と、
前記描画入力装置及び画像読取り装置が出力する画像信号を変調する低速変調装置及び高速変調装置と、
前記描画入力装置及び前記画像読取り装置からの画像信号を、前記高速変調装置にて変調して電話回線に、または前記低速変調装置にて変調して前記多重回路を介して電話回線に、選択的に出力する切換回路と、
該切換回路を制御する制御装置と
を備えたことを特徴とする描画像通信装置。」(第1頁下左欄第4〜20行、特許請求の範囲1.)
イ.「〔産業上の利用分野〕
本発明は、一般の電話回線を用いて音声と共に手書き描画像を送信し、また受信するための描画像通信装置に関し、更に詳述すれば、これに加えて、作成されている画像をスキャナにて読取り、これを高速にて送信し得るように構成された描画像通信装置に関する。」(第1頁下右欄第2〜8行)
ウ.「第1図は本発明に係る描画像通信装置の回路構成を示すためのブロック図であり、1は制御部5の多重分離回路59に接続された通常の電話機、2は制御部5のインタフェイス53に接続されたスキャナ、3は制御部5のインタフェイス52に接続された描画パッド、4は制御部5のR.G.B.メモリ51に接続されたカラーモニタテレビ、5は制御部であり、この制御部5は加入者線路(一般の電話回線)6と電話機1との間に介装される状態で設置される。
制御部5は制御中枢であるマイクロプロセッサ54により制御されている。」(第2頁下右欄第3〜14行)
エ.「スキャナ2は、本発明装置の一括送信モードにおいて、予め描かれた描画像または比較的単純な印刷物等を光学的に読取ってドットパターンの形として電気信号に変換し、インタフェイス53を介してマイクロプロセッサ54に与える。
電話機1は前述の如く制御部5の多重分離回路59に接続されており、通常の電話機の操作同様に通信の相手方を呼出し、また音声信号の入出力に使用される。」(第3頁上左欄第15行〜同頁上右欄第3行)
オ.「R.G.B.メモリ51はスキャナ2から入力されるドットパターンの形の画像信号及び加入者線路6から入力される相手方からの画像信号を、三原色それぞれに分離してそれぞれに対応するページ(記憶領域)に記憶し、またこれをカラーモニタテレビ4に合成出力することにより、画像のカラー表示を行う。」(第3頁上右欄第19行〜同頁下左欄第5行)
カ.「低速モデム58は、従来の描画像通信装置においても備えられているモデム(変復調器)であり、従来の描画像通信装置同様 300bps(bit/second)の送信能力を有している。
高速モデム57は、上述の低速モデム58とは異なり、4800baud程度の高速処理能力を有し、低速モデム58と高速モデム57とはマイクロプロセッサ54によりモデム切換器56a,56bが制御されて切換えられる。なお、この高速モデム57が使用されるモード(後述する一括送信モード)においては、電話回線周波数帯域の全域が画像信号の送信に使用されるため、音声信号の送信は行われない。
多重分離回路59は、マイクロプロセッサ54からモデム切換器56a,低速モデム58を介して与えられる画像信号と、電話機1から入力される音声信号とを多重化してモデム切換器56bを介して加入者線路6に出力し、また逆に受信に際しては加入者線路6からモデム切換器56bを介して与えられる入力信号を画像信号と音声信号とに分離し、画像信号は低速モデム58,モデム切換器56aを介してマイクロプロセッサ54に、音声信号は電話機1にそれぞれ与える。」(第3頁下左欄第10行〜同頁下右欄第11行)
キ.「一方、一括送信モード下におけるスキャナ2からの画像の読取りに際して、上述の高速転送モードではなく蓄積モードが選択された場合には、まずスキャナ2による画像の読取りが行われた後、通常の蓄積モードと同様の処理が行われる。
即ち、上述の高速転送モード同様にマイクロプロセッサ54はまずモデム切換器56a,56bを制御して高速モデム57をマイクロプロセッサ54及び加入者線路6に接続する。次に、マイクロプロセッサ54は、スキャナ2からドットパターンの形で入力された画像をR.G.B.メモリ51に転送して一旦記憶させ、これを白黒表示にてカラーモニタテレビ4に表示する。
・・・・・(中略)・・・・・
そして、たとえば操作ボタン等の操作により蓄積モードの終了が指示されると、R.G.B.メモリ51及び蓄積メモリ55に記憶されている画像信号の一括送信が行われる。」(第4頁下右欄第6行〜第5頁上左欄第13行)
ク.高速モデム57は、加入者線路6を介して送信されてきた変調済の画像信号を復調することも可能なものである。(第1図、特に信号の流れを示す矢印に注意)
これらの記載からみて、引用例には、
「予め描かれた描画像または比較的単純な印刷物等を読み取ってドットパターンの形として電気信号に変換する手段を備えたスキャナと、
上記スキャナより入力される画像信号を記憶するR.G.B.メモリと、
上記R.G.B.メモリから読出される画像信号を電話回線にて送出可能な信号に変調する高速モデムと、
電話回線を介して送信されてきた画像信号を復調する高速モデムと、
音声信号の入出力に使用される電話機と、
電話回線が多重分離回路を介して前記電話機に接続されている状態から、電話回線と前記電話機との通話を不可能とし、且つ、電話回線と前記高速モデムとの通信を可能とするモデム切換器と、
上記モデム切換器を制御するマイクロプロセッサとを備え
上記スキャナは、前記高速モデムを含む制御部に対して、接続されてなる描画像通信装置。」の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されている。

4.対比
そこで、本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、
引用例記載の発明の予め描かれた描画像または比較的単純な印刷物等を読み取ってドットパターンの形として電気信号に変換する手段を備えた「スキャナ」は、撮像素子などの画像取り込み手段を備えることは明らかであるから、本願発明の紙等の上に書かれた文字や絵等の画像を読み取る画像取り込み手段を備えた「イメージスキャナ」に相当し、引用例記載の発明の「R.G.B.メモリ」は本願発明の「画像情報蓄積手段」に相当し、引用例記載の発明の「高速モデム」は画像信号の変調及び復調を行うものであるから、本願発明の「画像信号変調部」及び「画像信号復調部」に相当し、引用例記載の発明の「電話機」は音声の入力部と出力部を有することは明らかであるから、本願発明のスピーカ等の「音声出力部」及びマイク等の「音声入力部」に相当し、さらに、引用例記載の発明の「制御部」は本願発明の「装置本体」に相当する。また、引用例記載の発明の「スキャナ」においても、画像の取り込みの際に、その取り込み開始等を指示するために操作する押圧スイッチ等の操作手段が設けられることは自明なことであるから、
両者は、
「紙等の上に書かれた文字や絵等の画像を読み取る画像取り込み手段を備えたイメージスキャナと、
上記イメージスキャナによる画像の取り込みの際に操作する操作手段と、
上記イメージスキャナより取り込んだ画像情報を蓄積する画像情報蓄積手段と、
上記画像情報蓄積手段から出力される画像信号を電話回線にて送出可能な信号に変調する画像信号変調部と、
電話回線を介して送られてきた変調済の画像信号を復調する画像信号復調部と、
スピーカ等の音声出力部と、
マイク等の音声入力部と、
電話回線が前記音声出力部並びに前記音声入力部に接続されている状態から、電話回線と前記音声出力部及び前記音声入力部との通話を不可能とし、且つ、電話回線と前記画像信号変調部及び画像信号復調部との通信を可能とする手段とを備え、
上記イメージスキャナは、前記画像信号変調部と前記画像信号復調部を含む装置本体に対して、接続されてなる電話端末装置。」
である点で一致し、次の点で相違しているものと認められる。
(相違点1)
電話回線が前記音声出力部並びに前記音声入力部に接続されている状態から、電話回線と前記音声出力部及び前記音声入力部との通話を不可能とし、且つ、電話回線と前記画像信号変調部及び画像信号復調部との通信を可能とする、すなわち電話回線の、音声出力部及び音声入力部から画像信号変調部及び画像信号復調部への切り換え接続が、本願発明では電話回線が音声出力部並びに音声入力部に接続されている状態で、電話回線を到来する信号中に、通信相手側より映像信号の送出に先行して電話回線へ送出された特殊信号を検出する検出手段を備え、該検出手段が前記特殊信号を検出した場合に出力される信号により行われるのに対し、引用例記載の発明ではマイクロプロセッサが制御すると記載されているにすぎない点。
(相違点2)
イメージスキャナが、本願発明では装置本体に対して非固定状態にて使用可能に構成してなるものであるのに対し、引用例記載の発明ではそのことが明示されていない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討すると、
(相違点1)について
音声信号と画像信号とを送受信する端末装置において、電話回線の、音声出力部及び音声入力部から画像信号変調部及び画像信号復調部への切り換え接続を、電話回線が音声出力部並びに音声入力部に接続されている状態で、電話回線を到来する信号中に、通信相手側より映像信号(あるいは画像信号)の送出に先行して電話回線へ送出された特殊信号を検出する検出手段を設け、該検出手段が前記特殊信号を検出した場合に出力される信号により行うことは、本願明細書でも従来技術して示され、さらに例えば特開昭60-183887号公報(マーカー信号を検出するマーカーデテクター部13を参照)、特開昭52-91316号公報(送像開始信号を検出する検出回路24を参照)に記載されているように周知の技術的手段であることから、引用例記載の発明においても、電話回線が音声出力部並びに音声入力部に接続されている状態で、電話回線を到来する信号中に、通信相手側より映像信号の送出に先行して電話回線へ送出された特殊信号を検出する検出手段を設け、該検出手段が前記特殊信号を検出した場合に出力される信号により、マイクロプロセッサを介するなどして電話回線の接続を音声出力部及び音声入力部から画像信号変調部及び画像信号復調部へ切り換えるように構成することは当業者であれば容易になし得ることと認められる。
(相違点2)について
装置本体に対して非固定状態にて使用可能に構成してなるイメージスキャナは、いわゆるハンデイタイプのイメージスキャナとして例えば原査定の拒絶の理由に引用された特開昭58-68362号公報、特開昭62-217764号公報に記載されているように周知のものであり、引用例記載の発明においても、イメージスキャナとしていわゆるハンデイタイプのものを採用し、装置本体に対して非固定状態にて使用可能に構成することは当業者が適宜になし得ることである。
そして、本願発明の構成に基づく作用効果についてみても当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものがあるとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-15 
結審通知日 2003-07-22 
審決日 2003-08-05 
出願番号 特願平9-112187
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 東 次男
特許庁審判官 井上 信一
加藤 恵一
発明の名称 電話端末装置及び画像処理方法  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  

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