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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1084300
審判番号 不服2003-963  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-16 
確定日 2003-09-25 
事件の表示 特願2000-149910「マンション売買支援システム及び支援センタ用機器とデータセンタ用機器並びに記録媒体」拒絶査定に対する審判事件[平成13年11月30日出願公開、特開2001-331681]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成12年5月22日の出願であって、その請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「支援センタ用機器とでマンション売買支援システムを構成するデータセンタ用機器であって、
各種物件の事例データを格納するデータベース部と、支援センタ用機器からの事例データ検索依頼を受ける検索依頼受付部と、検索依頼物件の事例データを検索する検索部と、検索結果の事例データを返送する検索結果返送部と、を備えることを特徴とするデータセンタ用機器。」
2.引用例に記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-137736号公報(平成12年5月16日公開、以下「引用例1」という。)には次の事項が記載されている。
1)「図1は、本発明の全体構成を示す。又図2は端末装置1の構成を示すブロック図である。1はパーソナルコンピュータを用いた端末装置1であり、この装置本体にキーボード117、ポインティングディバイス(マウス)121、この発明に係る不動産業務支援用のプログラム及びその他のデータが格納されているCD-ROMを読み出すCD-ROMリーダ125、ディスプレイ124、プリンタ128、通信用モデム等I/F131を接続している。」(段落番号【0015】。)
2)「ホスト・コンピュータ200の管理するデータベース(以降、データベースはDBと省略して記載する。)を次に説明する。物件データベース203は各物件の情報は複数の業者のそれぞれの端末から入力され登録されたものである。物件としては土地、一戸建住宅、マンション等、住宅以外の建物全部、或いは一部、住居用賃貸、事業用賃貸といた複数種別あるが一括して物件データベース203として構築される。また、公開レベルに関する物件として自社内のみ閲覧できる非公開物件、グループ契約業者として登録されたグループ業者内のみ公開物件、契約された業者に公開する物件、及び不特定多数の一般顧客へ公開する物件の指定があるが、データベース中の各レコード中に1フィールドを設けてこれらの指定を設定することにより、検索時に設定毎に取り出すことができる様になっている。なおこの実施例ではホスト側では非公開レベルの物件は管理しないことになっている。」(段落番号【0022】。)
3)「同様に、物件DB203から成約があった物件のレコードの情報に成約日、手数料収入、相手業者名、担当者名、(インターネットで成約した等の)備考事項を追加したデータからなる独立した成約物件DB206がある。このデータは取引の相場を決定するのに必要なデータとなる。」(段落番号【0024】。)
4)「成約物件データは端末側で契約が成立して削除された分も、「成約情報」として、インターネット30を通じて一般顧客は「みれない」設定になっているがセンターにおけるホスト・コンピュータ200に成約物件DB206が蓄積されている。成約物件データ・及び削除物件データは期間を定めて自社分(自端末装置1)のものを抽出したり、現在ダウンロードしている物件データベースから該当件を削除することに使用される。
」(段落番号【0029】。なお、「成約物件DB204」は「成約物件DB206」の誤記であることが明らかであるから、上記の通り修正して認定した。)
5)「前記ステップS308での個別表示に成約ボタンがあり、顧客との契約が成立した場合には成約ボタンをクリックして成約情報の入力を行う。成約情報は成約日(自動的に当日が設定される。)自社立場として、売り手、買い手、両手の何れかに設定を行う。売り手は自社の物件を他社の店で販売したことを示し売り手数料が入ることを意味している。買い手は他社物件を自店の顧客に販売したことにより買い手(顧客)から手数料を貰うことを示し、両手は自社のお客さんの物件の販売の仲介が自店で成立したことを示し、売り手と買い手からの双方から手数料が入る取引を示す。その時の売買価格、手数料、相手方業者名、担当者名、その他の記事を登録することになっている。この情報は、不動産物件情報管理センターのホスト・コンピュータ200にアップロードされて成約物件DB206に記憶される。
」(段落番号【0063】。なお、「意味している。、買い手は」は「意味している。買い手は」の誤記であることが明らかであるから、上記の通り修正して認定した。)
6)「そして、この成約物件DB206と削除物件DB207に格納された内容は各端末装置1がアップロード及びダウンロードを行うときに強制的にダウンロードを実行させて端末装置1側の不動産物件DB103を更新する。つまり、成約した物件データと削除されたデータはDB103から削除され、成約DBと削除DBに追加登録される。
」(段落番号【0065】。)
7)「また、この成約情報は過去の成約取引をみることができることによって、実勢価格を客に提供するのに役立つものである。」(段落番号【0066】。)
8)「【図1】ホスト・コンピュータと端末装置からなる不動産業務支援システムを説明する図である。」(【図面の簡単な説明】。)

上記記載1)、記載8)及び図1からみて、不動産物件情報管理センターはホストコンピュータ、成約物件DB206等からなる機器を有していることは明らかであるから、引用例1には端末装置とで不動産業務支援システムを構成する不動産物件情報管理センター用機器が記載されている。
上記記載3)乃至記載5)によれば、不動産物件情報管理センター用機器が有する成約物件DB206は成約情報を格納するものである。そして、上記記載6)及び記載7)における成約DBは図1の成約物件DB106と認められるから、成約物件DB206のデータは、ホストコンピュータにより成約物件DB106にダウンロードされており、成約情報から過去の成約取引を見ることができる。

従って引用例1には、
「過去の成約取引をみることができる端末装置とで不動産業務支援システムを構成する不動産物件管理センター用機器であって、
成約情報を格納する成約物件DB206と、成約物件DB206のデータを前記端末装置の成約物件DB106にダウンロードするホストコンピュータとを備えたことを特徴とする不動産物件管理センター用機器。」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明を対比する。
引用例1に記載された発明の「端末装置」と本願発明の「支援センタ用機器」とは、データを受け取る機器である点で一致し、引用例1に記載された発明の「不動産業務支援システム」と本願発明の「マンション売買支援システム」は、不動産に関する支援システムである点で一致し、引用例1に記載された発明の「不動産物件情報管理センター用機器」は本願発明の「データセンタ用機器」に相当する。
引用例1に記載された発明の「成約物件DB206」と本願発明の「データベース部」は、各種物件のデータを格納するデータベース部である点で一致し、引用例1に記載された発明の「成約物件DB206のデータを前記端末装置の成約物件DB106にダウンロードするホストコンピュータ」と本願発明の「支援センタ用機器からの事例データ検索依頼を受ける検索依頼受付部と、検索依頼物件の事例データを検索する検索部と、検索結果の事例データを返送する検索結果返送部」とは、データを受け取る機器に必要なデータを送信する処理部である点では一致している。
従って両者は、「データを受け取る機器とで不動産に関する支援システムを構成するデータセンタ用機器であって、各種物件のデータを格納するデータベース部と、データを受け取る機器に必要なデータを送信する処理部とを備えたことを特徴とするデータセンタ用機器。」である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
不動産に関する支援システムが、本願発明では「マンション売買支援システム」であるのに対して、引用例1に記載された発明では「不動産業務支援システム」である点。
(相違点2)
データを受け取る機器が、本願発明では「支援センタ用機器」であるのに対して、引用例1に記載された発明では「端末装置」である点。
(相違点3)
データベース部の各種物件のデータが、本願発明では「各種物件の事例データ」であるのに対して、引用例1に記載された発明では「成約情報」である点。
(相違点4)
データを受け取る機器に必要なデータを送信する処理部が、本願発明では、「支援センタ用機器からの事例データ検索依頼を受ける検索依頼受付部と、検索依頼物件の事例データを検索する検索部と、検索結果の事例データを返送する検索結果返送部」であるのに対して、引用例1に記載された発明では、「成約物件DB206のデータを前記端末装置の成約物件DB106にダウンロードするホストコンピュータ」である点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
不動産業務には、不動産業者が売り手と買い手の要望を聞いて売買を仲介する業務が含まれ、該業務を支援することは一種の売買支援である。また、引用例1の不動産物件にマンションが含まれているように(上記2.の記載2)参照)、マンションは不動産の一種であり、対象とする不動産をマンションに限定することに格別の技術的意義はない。したがって、引用例1に記載された発明である不動産業務支援システムを、マンション売買支援システムとすることは格別のものではない。
なお、手続補正書により補正された本願明細書第15段落の記載を参酌して、本願の売買支援を入札の支援と解したとしても、不動産における仲介業務による売買に代えて、周知の売買手法である入札を採用することは、当業者が適宜なし得たことであるから、相違点1は格別のものではない。
(相違点2について)
引用例1に記載された発明の不動産業務支援システムをマンション売買支援システムとすることが格別のものではないことは、「相違点1について」で述べたとおりである。この場合、端末装置が設置される不動産業者は支援センタと同等の役割を担うことになるのだから、端末装置は支援センタ用機器といえる。したがって相違点2は格別のものではない。
(相違点3について)
引用例1に記載された発明では、成約情報から過去の成約取引を見ることができ、成約取引のデータには物件の売買価格が含まれているのだから、引用例1に記載された発明の成約情報は実質的には本願発明の事例データといえる。よって成約情報と事例データは、表現は異なるものの実質的には格別相違しない。
(相違点4について)
データベースのデータをみるためには検索を伴うのが通常であるから、引用例1に記載された発明においても、成約物件DB206からダウンロードした成約物件DB106を検索するものと解される。また、引用例1には従来技術として、遠隔地にあるデータベースを持ったホスト・コンピュータに接続してデータを検索することが記載されている(引用例1第5段落)。
してみると、引用例1に記載された発明のダウンロードした成約物件DB106を検索することに代えて、前記従来技術を採用して不動産管理センターの成約物件DB206を検索するように変更することは当業者が適宜なし得たことである。
また、検索の際にホスト・コンピュータが検索依頼を受け付け、該依頼に基づいて検索し、検索結果を返送することは、検索における通常の処理であり、当該処理を行うのであればホストコンピュータは、検索依頼受付部、検索部、検索結果返送部を当然備えることとなる。したがって、相違点4は格別のものではない。
また、本願発明の効果も格別のものではない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-23 
結審通知日 2003-07-29 
審決日 2003-08-11 
出願番号 特願2000-149910(P2000-149910)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 岡 千代子
平井 誠
発明の名称 マンション売買支援システム及び支援センタ用機器とデータセンタ用機器並びに記録媒体  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  

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