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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L
管理番号 1084452
審判番号 不服2001-5738  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-12 
確定日 2003-10-02 
事件の表示 平成7年特許願第240345号「ダイレクトコンバージョン受信機」拒絶査定に対する審判事件[平成9年3月28日出願公開、特開平9-83595]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年9月19日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年6月30日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「信号を受信する空中線と、前記空中線により受信された信号を前記受信信号から周波数をずらした局部発信信号を用いて周波数変換する直交復調器と、前記直交復調器から出力される信号に対し不要周波数成分を除去するアナログローパスフィルタと、前記アナログローパスフィルタから出力される信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器により変換されたディジタル信号に受信信号からずらした周波数成分を乗算するディジタル乗算器と前記ディジタル乗算器の出力を加算するディジタル加算器によって構成される隣接チャネル波除去回路と、前記隣接チャネル波除去回路から出力されるベースバンド信号に対し波形整形を行なうルートナイキストフィルタとを備え、前記A/D変換後の信号に対し隣接チャネル波除去回路により、希望信号に重畳された隣接チャネル波を除去するとともに、前記直交復調器によりずらせた周波数だけ周波数変換することを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。」

2.引用例
(1)これに対して、当審の拒絶理由に引用された特開平6-181475号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【0003】
【従来の技術】
図5は従来の直交復調回路の一例のブロック図を示す。同図中、入力端子10に入力された例えばQAM方式で変調されたディジタル変調波信号は乗算器11及び12に夫々供給され、ここで発振器13及びπ/2移相器14により得られた、互いに直交する位相をもつ2つの復調用搬送波と乗算される。
【0004】
上記の発振器13の発振周波数である復調用搬送波は入力ディジタル変調波信号の搬送波に近い固定周波数であり、乗算器11及び12よりそれらの差の周波数の、2つのアナログベースバンド信号が復調信号として取り出される。一旦復調して得られた上記のアナログベースバンド信号は、アナログ回路の低域フィルタ41,42を通してA/D変換器43,44へ供給されてアナログ・ディジタル変換される。
【0005】
低域フィルタ41及び42は後続のA/D変換器43及び44のクロック周波数(サンプリング周波数)fS の1/2 倍の周波数を除去するアナログフィルタ回路で、A/D変換器43及び44の出力ディジタル信号中に折り返しノイズ(エイリアシングノイズ)が含まれないようにするために設けられた、所謂アンチエイリアシングフィルタと称されるフィルタ回路である。
【0006】
A/D変換器43,44より別々に取り出されたサンプリング周波数fS のディジタル信号はディジタル低域フィルタ23,24で不要高周波成分が除去された後位相回転回路25に供給される。上記のディジタル低域フィルタ23及び24は入力ディジタル信号にロールオフ特性を与えるロールオフフィルタで、I信号とQ信号を夫々出力する。
【0007】
位相回転回路25はその出力信号を比較器26で比較して得た位相誤差信号が、ループフィルタ27を通して制御コードとして供給される制御発振器(VCO)28よりの発振周波数に基づいて、入力I信号及びQ信号の信号空間上での信号点の回転をなくす方向に位相回転処理して出力端子29及び30へI信号とQ信号の復調信号を出力する。
【0008】
このようにして、搬送波を再生することなくディジタル変調波信号を復調する準同期検波方式の直交復調回路は、大規模半導体集積回路(LSI)化に適している。」(2頁2欄13行目〜3頁3欄2行目)

ロ.「【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、位相回転を除去した後で波形整形フィルタにディジタル信号を入力することができる。」(3頁4欄4〜6行目)

以上の記載及び添付図面(図5)ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、
上記「乗算器11及び12」と「発振器13及びπ/2移相器14」はいわゆる「直交復調器」を構成しており、上記「ディジタル低域フィルタ23,24」は不要高周波成分を除去するとともに、入力ディジタル信号にロールオフ特性を与える、いわゆる「ロールオフフィルタ(波形整形フィルタ)」である。
また、上記「入力I信号及びQ信号の信号空間上での信号点の回転をなくす方向に位相回転処理して出力」する「位相回転回路」は位相回転回路を用いて直交復調器によりずれた周波数を元に戻す処理を行うものである。
したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「受信された入力ディジタル変調波信号を前記入力ディジタル変調波信号の搬送波に近い固定周波数である復調用搬送波を用いて周波数変換する直交復調器と、前記直交復調器から出力される信号に対し不要周波数成分を除去するアナログローパスフィルタと、前記アナログローパスフィルタから出力される信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器により変換されたディジタル信号に対し不要周波数成分を除去する波形整形フィルタと、前記波形整形フィルタから出力される信号を制御発振器(VCO)28よりの発振周波数に基づいて、入力I信号及びQ信号の信号空間上での信号点の回転をなくす方向に位相回転処理して出力する位相回転回路と、前記A/D変換後の信号に対し位相回転回路により、前記直交復調器によりずらせた周波数だけ周波数変換することを特徴とする直交復調回路。」

(2)また、当審の拒絶理由に引用された特開平7-176994号公報(以下、「周知例1」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【産業上の利用分野】本発明は自動周波数制御回路に関し、特にデジタル無線受信機に用いられる自動周波数制御回路に関する。」(2頁1欄19〜21行目)

ロ.「【0011】
準同期検波後のベースバンド信号を位相回転回路1で位相回転を施すことにより周波数誤差を補正し、フィルタ2を通して遅延検波回路3に入力する。遅延検波回路3から復調出力が得られる。」(2頁2欄24〜27行目)

ハ.「【0012】
図2に位相回転回路1の構成を示した。
【0013】
位相回転回路1は、入力される準同期検波後のベースバンド信号をZ=X+jY、位相誤差算出回路5の出力である位相回転量をφとすると
W=I+jQ=Z・exp(jφ) (1)
なる演算を施す回路である。
【0014】
exp(jφ)=cosφ+jsinφ (2)
であるから、位相回転回路1はφの余弦、正弦を求める回路7、8と複素乗算回路6で構成できる。位相回転量φの正弦、余弦情報を得るのにはsinROM7およびcosROM8を用いた。複素乗算回路6の詳細は図7に示した。この回路は入力信号の実部X、虚部Yにsin情報、cos情報を掛ける
W=I+jQ=Z・exp(jφ)
=(Xcosφ-Ysinφ)+j(Xsinφ+Ycosφ)(3)
を実行している。」(2頁2欄40〜3頁3欄2行目)

ニ.「【図3】
図2の位相回転回路に用いられる複素乗算回路のブロック図。」(3頁4欄21〜22行目)

上記周知例1の記載及び添付図面(図2,図3)ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、準同期検波方式の「デジタル無線受信機」に使われる上記「位相回転回路」が「準同期検波後のベースバンド信号に位相回転を施すことにより該ベースバンド信号の周波数誤差を補正する」回路であることは周知のことであり、該「位相回転回路」を「ディジタル信号に周波数誤差信号を乗算するディジタル乗算器と前記ディジタル乗算器の出力を加算するディジタル加算器」からなる「複素乗算回路」で構成することは単なる慣用手段である。(以下、「慣用手段1」という。)

(3)また、当審の拒絶理由に引用された特開平6-276243号公報(以下、「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【従来の技術】
従来、QPSK、π/4QPSK方式等の線形変調を用いてディジタル通信を行う無線機器の受信装置において、伝送特性を最適化する目的で送信側、受信側にそれぞれルートナイキストフィルタを入れ、送受合わせてナイキスト特性が実現される構成をとっている。」(2頁1欄29〜34行目)

ロ.「【課題を解決するための手段】
第1の発明は、線形変調された高周波信号を受信してベースバンド信号の生成・復調を行う受信装置において、前記受信ベースバンド信号の波形整形を行うナイキストフィルタと、受信信号レベルを検出する受信レベル検出手段と、前記受信レベル検出手段から出力される検出値と所定の基準値とを比較し、該所定の基準値を越えたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定により前記検出値が前記基準値を越えた場合は前記ナイキストフィルタを切り離す切替手段とを具備したことを特徴とする。」(3頁3欄19〜28行目)

上記周知例2の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、「ディジタル通信を行う無線機器の受信装置において、受信ベースバンド信号の波形整形を行うルートナイキストフィルタを入れる」ことは単なる慣用手段であり(以下、「慣用手段2」という。)、また、例えば特開平6-97848号公報(以下、「周知例3」という。)2頁1欄段落【0002】の「一般に、ディジタル位相変調信号を情報伝達手段とする通信方式においては限られた周波数帯域を有効に利用するため、伝送信号のスペクトルを帯域制限フィルタで整形して伝送することが行われている。この帯域制限フィルタは受信信号に符号間干渉を生じないように伝達特性はナイキストコサインロールオフ特性が選ばれる。このとき送信機側の帯域制限フィルタおよび受信機側の帯域制限フィルタとして、ナイキストロールオフ特性を送受均等に分担したルートナイキストロールオフフィルタを用いる構成が一般に使用される。」という記載によれば、前記「受信ベースバンド信号の波形整形を行うルートナイキストフィルタ」は一般に用いられる「ロールオフフィルタ」に他ならないものである。

(4)また、当審の拒絶理由に引用された特開平7-95110号公報(以下、「周知例4」という。)には、次の事項が記載されている。
イ.「【0015】
概略的には、ダイレクトコンバージョン受信方式は受信した高周波(Radio Frequency )信号を、これと略同じ周波数の基準信号によって、一回の周波数変換操作でベースバンドに周波数変換して検波を行う無線方式であり、送信方式、受信方式は信号の流れから見れば逆の操作であるため、ここではまず受信方式について詳しく説明する。
アンテナ部101より受信された高周波信号は高周波増幅器102aで増幅され、高周波フィルタ103aを通過した後、2チャネルに分けられ、周波数変換器104a1 、a2 において、基準信号源106からの受信高周波信号とほぼ同じ周波数の搬送波とミキシングされる。基準信号源106は90°移相器105aを介して、第1の周波数変換器104a1 、第2の周波数変換器104a2 にそれぞれ接続されている。受信された高周波信号は第1、第2の周波数変換器104a1 、104a2 によって90°の位相関係にある基底周波数信号に変換され、ローパスフィルタ108a1 、108a2 を通過後、ベースバンドアンプ109a1 、109a2 によって増幅され、A/D変換器110a1 、110a2 によってディジタル信号に変換された後、ディジタル復調部111aで通常の直交検波で用いられる検波方式、例えば遅延検波等によって検波される。この後、通信路符号化(復号)112a、音声符号化(復号)113a等によって音声が再生される。」(3頁4欄34〜4頁5欄7行目)

ロ.「【0024】
図2上段には、この通信システムにおける送信、受信周波数の割当ての例を示す。この例では移動局から無線基地局への通信を上り周波数帯、無線基地局から移動局への通信を下り周波数帯で行なうこととする。例えば移動局側からすると、図2の201が受信帯域、202が送信帯域として割り当てられる。203は送信、受信周波数間隔を示す。そして204は受信周波数帯域201における1つの受信チャネルであり、205は送信周波数帯域202における1つの送信チャネルである。」(4頁5欄27〜36行目)

上記周知例4の記載及び添付図面(図1、図2)ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「周波数変換器104a1 、a2 、基準信号源106」はいわゆる「直交復調器」を構成しており、該「直交復調器」を含む「直交復調回路」は「空中線」を備える「ダイレクトコンバージョン受信機」に普通に用いられるものであり、該「ダイレクトコンバージョン受信機」は複数の隣接チャネルを有する「マルチキャリア」方式で動作するものである。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、引用発明の「直交復調回路」がディジタル通信の受信装置における信号受信回路の一部であることは当業者にとって自明のことであるから、引用発明の「入力ディジタル変調波信号」はいわゆる「受信信号」であり、本願発明の「受信信号」と変わりがない。また、引用発明の「入力ディジタル変調波信号の搬送波に近い固定周波数である復調用搬送波」と本願発明の「受信信号から周波数をずらした局部発信信号」も同じ信号である。
また、本願発明の「ベースバンド信号に対し波形整形を行なうルートナイキストフィルタ」は当該フィルタが「波形整形フィルタ」であるという点で引用発明の「不要周波数成分を除去する波形整形フィルタ」と同じフィルタである。
また、引用発明の「信号を制御発振器(VCO)28よりの発振周波数に基づいて、入力I信号及びQ信号の信号空間上での信号点の回転をなくす方向に位相回転処理して出力する位相回転回路」と本願発明の「ディジタル信号に受信信号からずらした周波数成分を乗算するディジタル乗算器と前記ディジタル乗算器の出力を加算するディジタル加算器によって構成される隣接チャネル波除去回路」はいずれも「直交復調器によりずれた周波数を元に戻す」ための「直交復調器によりずらせた周波数だけ周波数変換する」回路であるから、両者は「周波数補正回路」であるという点で一致している。
また、引用発明の「直交復調回路」は信号受信回路の一部であり、「回路」は「装置」の一種であるから、当該構成と本願発明の「ダイレクトコンバージョン受信機」はいずれも「受信装置」であるという点で一致している。

したがって、本願発明と引用発明は、
「受信された信号を前記受信信号から周波数をずらした局部発信信号を用いて周波数変換する直交復調器と、前記直交復調器から出力される信号に対し不要周波数成分を除去するアナログローパスフィルタと、前記アナログローパスフィルタから出力される信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、周波数補正回路と波形整形フィルタを備え、前記A/D変換後の信号に対し周波数補正回路により、前記直交復調器によりずらせた周波数だけ周波数変換することを特徴とする受信装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
(1)「受信装置」に関し、本願発明は「空中線」を備える「ダイレクトコンバージョン受信機」であり、該「空中線」から「受信信号」を得るのに対し、引用発明は単に受信された「受信信号(入力ディジタル変調波信号)」を直交復調する「直交復調回路」である点。
(2)「周波数補正回路」と「波形整形フィルタ」に関し、本願発明は「A/D変換器により変換されたディジタル信号に受信信号からずらした周波数成分を乗算するディジタル乗算器と前記ディジタル乗算器の出力を加算するディジタル加算器によって構成される隣接チャネル波除去回路と、前記隣接チャネル波除去回路から出力されるベースバンド信号に対し波形整形を行なうルートナイキストフィルタ」からなり、「希望信号に重畳された隣接チャネル波を除去するとともに、前記直交復調器によりずらせた周波数だけ周波数変換する」ものであるのに対し、引用発明は「A/D変換器により変換されたディジタル信号に対し不要周波数成分を除去する波形整形フィルタと、前記波形整形フィルタから出力される信号を制御発振器(VCO)28よりの発振周波数に基づいて、入力I信号及びQ信号の信号空間上での信号点の回転をなくす方向に位相回転処理して出力する位相回転回路」からなる点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点(1)の「受信装置」について検討するに、例えば上記周知例4に開示されているように、「直交復調器」を含む「直交復調回路」は「空中線」を備える「ダイレクトコンバージョン受信機」に普通に用いられるものであるから、引用発明の「直交復調回路」を「ダイレクトコンバージョン受信機」に適用するとともに、前記「空中線」から「受信信号」を得るように構成する程度のことは容易なことである。

ついで、上記相違点(2)の「周波数補正回路」と「波形整形フィルタ」について検討するに、例えば上記周知例1の記載によれば、準同期検波方式の「デジタル無線受信機」に使われる「位相回転回路」が「準同期検波後のベースバンド信号に位相回転を施すことにより該ベースバンド信号の周波数誤差を補正する」回路であることは周知のことであり、該「位相回転回路」を「ディジタル信号に周波数誤差信号を乗算するディジタル乗算器と前記ディジタル乗算器の出力を加算するディジタル加算器」からなる「複素乗算回路」で構成することは単なる慣用手段(慣用手段1)であるから、準同期検波方式の周波数補正に使われる引用発明の「位相回転回路」を、上記慣用手段1に基づいて、「ディジタル信号に周波数誤差信号を乗算するディジタル乗算器と前記ディジタル乗算器の出力を加算するディジタル加算器」で構成するとともに、前記「周波数誤差信号」を本願発明の周波数誤差信号である「受信信号からずらした周波数成分」として、本願発明にかかる「周波数補正回路」を構成する程度のことは単なる設計的事項に過ぎないものである。
そして、上記周知例4の記載によれば、前記「ダイレクトコンバージョン受信機」は複数の隣接チャネルを有するマルチキャリア方式で動作するものであるところ、上記引用発明の「受信装置(直交復調回路)」をマルチキャリア方式に適用した場合、引用発明の「周波数補正回路(位相回転回路)」が、周波数を補正することにより、「隣接チャネル波除去回路」としても機能することは当業者であれば自明のことである。したがって、本願発明にかかる「周波数補正回路」を「希望信号に重畳された隣接チャネル波を除去する」機能を有する「隣接チャネル波除去回路」として構成する程度のことも単なる設計的事項である。
また、引用発明の「波形整形フィルタ」は「ロールオフフィルタ」であるから、当該「波形整形フィルタ」を、例えば上記周知例2又は3に開示されているように、「ロールオフフィルタ」として周知の「ルートナイキストフィルタ」で構成するとともに、「波形整形フィルタ」と「位相回転回路」の関係を、「位相回転を除去した後で波形整形フィルタにディジタル信号を入力することができる」という引用例の記載に基づいて、「位相回転を除去した後に波形整形フィルタを挿入する」構成に変更して本願発明のように構成する程度のことも当業者であれば容易に想到し得ることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明ならびに上記周知例1〜4に記載された慣用手段ないしは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-30 
結審通知日 2003-08-05 
審決日 2003-08-18 
出願番号 特願平7-240345
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高野 洋  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 吉田 隆之
浜野 友茂
発明の名称 ダイレクトコンバージョン受信機  
代理人 蔵合 正博  

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