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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1084680
審判番号 不服2000-6806  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-08 
確定日 2003-10-09 
事件の表示 平成10年特許願第229159号「コンテンツ登録装置、方法、および、そのプログラムを記録した記録媒体」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 2月25日出願公開、特開2000- 59590]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯

本願は、平成10年8月13日の出願であって、平成12年4月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成12年5月8日付で拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

II.本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」.....という。)は、平成11年8月16日付手続補正書により補正された明細書から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】ウェブ・サーバを用いたコンテンツ登録装置であって、音声ファイルを記憶するための記憶手段と、電話機より送られる音声をデジタル出力する手段と、通信前情報通知サービスにより送れる発呼元の電話番号を取得し、出力するナンバー取得手段を備えたモデムと、前記ナンバー取得手段より得られる発信元の電話番号を利用して、前記記憶手段において登録・更新対象となる音声ファイルを特定するコンテンツ操作手段と、電話機より送られる音声を前記モデムを介してデジタルデータとして取得し、該取得したデジタルデータをブラウザで処理可能な音声ファイルに変換し、前記コンテンツ操作手段で特定された音声ファイルとするコンテンツ登録手段とを備えたことを特徴とするコンテンツ登録装置。」

III.引用例の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された各引用例には、それぞれ以下の事項が記載されている。

III-1.特開平9-212561号公報(引用例1)
記載事項(1-1)
「本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、コンピュータのような特別の端末を使用せず、かつ、ホームページの記述方法を知らなくても、インターネットなどのコンピュータネットワークによって、空き情報を、迅速に提供することができるようにするものである。」(段落【0009】)
記載事項(1-2)
「【課題を解決するための手段】請求項1に記載の情報処理装置は、端末から送信されてくるプッシュボタン信号またはダイヤルパルスを受信する受信手段と、受信手段によって受信されたプッシュボタン信号またはダイヤルパルスに基づいて、所定のものが利用可能かどうかを表す空き情報を生成する生成手段と、生成手段により生成された空き情報を、コンピュータネットワークを介して提供する提供手段とを備えることを特徴とする。」(段落【0010】)
記載事項(1-3)
「以上のように構成されるネットワークシステムにおいては、ホテルや航空会社において、その経営者などが、電話機6により、公衆網5を介して、IPサーバ4にアクセスすると、IPサーバ4において、ホテルや航空機が利用可能かどうかを表す空き情報(例えば、空室や空席がどの程度あるかを表す情報)の入力を促す、例えば音声のメッセージが、電話機6に送信される。そして、経営者が、そのメッセージにしたがい、電話機6を操作すると、電話機6からIPサーバ4に対し、その操作に対応するプッシュボタン信号またはダイヤルパルス(以下、適宜、両方含めて、電話機信号という)が送信される。
IPサーバ4では、電話機6から送信されてくる電話機信号が受信され、その電話機信号に基づいて、空き情報が認識される。さらに、IPサーバ4では、その空き情報を掲載したホームページ(以下、適宜、空き情報ホームページという)が生成されて記憶される。その後、SPサーバ2およびインターネット3を介して、端末1から空き情報ホームページのアクセス要求があると、IPサーバ4は、その空き情報ホームページを、インターネット3およびSPサーバ2を介して、端末1に送信することで、ユーザに、空き情報を提供する。」(段落【0024】〜【0025】)

III-2.特開平7-95372号公報(引用例2)
記載事項(2-1)
「【作用】本発明では、例えばLANで相互に接続された複数の電子ファイリング装置のうち、特定の電子ファイリング装置に対して、ISDNアドレスによって任意の電子ファイリング装置を指定して画像デ-タを送信する。そして、画像デ-タを受信した電子ファイリング装置において、ISDNアドレスを解析し、指定された電子ファイリング装置に画像デ-タを送信し登録する。本発明では、このように特定の電子ファイリング装置をセンタ-として使用し、画像デ-タの中継をさせることで、複数の電子ファイリング装置に画像デ-タを登録する際の手続きの簡略化を図ることができる。」(段落【0008】)

III-3.特開平9-321894号公報(引用例3)
記載事項(3-1)
「(1)全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係る情報ネットワークのサーバーを示すブロック図である。このサーバー1は、電話回線網を介してユーザー端末と通信し、また必要に応じてインターネット2を介して他のサーバーと通信する。これによりこのサーバー1は、ユーザー端末からの要求に応じて、通常のインターネットサーバーが提供するサービスに加えて、種々のサービスを提供する。」(段落【0021】)
記載事項(3-2)
「データ形式変換部8は、ユーザーの要求等に応じて中央処理部9により制御されて動作を切り換え、電話回線網接続部3を介して得られる音声データ、ファクシミリ装置のイメージデータ等をインターネット上のデータに変換してインターネット接続部7に出力し、またこれとは逆にインターネット接続部7を介して得られるデータを電話回線網に適合した音声信号等に変換して出力する。」(段落【0024】)

IV.判断

本願発明1と引用例1に記載された発明(以下「引用発明1」という。)とを対比すると、引用発明1における電話機信号は、IPサーバにより受信されることから、IPサーバにはモデム機能を有する構成を当然有していると解され、本願発明1の「モデム」に対応させることができる。また、引用発明における「IPサーバ」は、本願発明1の「記憶手段」、「デジタル出力する手段」及び「コンテンツ登録手段」に相当する。以上のことから、両者は、「ウェブ・サーバを用いたコンテンツ登録装置であって、ファイルを記憶するための記憶手段と、電話機より送られるファイルをデジタル出力する手段と、モデムと、電話機より送られるファイルを前記モデムを介してデジタルデータとして取得し、該取得したデジタルデータをブラウザで処理可能なファイルに変換しファイルとするコンテンツ登録手段とを備えたコンテンツ登録装置」で一致するが、以下の点で相違する。

a.本願発明1では、登録・更新の対象とするものが音声ファイルであるのに対して、引用発明1では、電話機信号である点
b.本願発明1では、取得した発信元の電話番号を利用して、更新対象のファイルを特定しているのに対して、引用発明1では、その点について記載されていない点

そこで、上記相違点について検討する。

(相違点aについて)
インターネットのコンテンツとして登録する情報として、画像データや音声データを扱うことは慣用技術であり(例えば引用例3の記載(3-2)参照)、引用発明1において当該慣用技術を適用し登録・更新の対象として音声ファイルを用いることは、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(相違点bについて)
一般にデータ転送技術の分野において、データ転送先の対象を特定するために、転送元の電話番号等のアドレスを利用して行うことは、出願前周知(例えば引用例2の記載参照)であり、引用発明1において当該周知の事項を適用し、取得した発信元の電話番号を利用して更新対象のファイルを特定するようにすることは、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

V.まとめ

以上のとおり、本願発明1は、本願出願前に頒布された刊行物である引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-29 
結審通知日 2003-08-05 
審決日 2003-08-28 
出願番号 特願平10-229159
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 川嵜 健
特許庁審判官 仲間 晃
千葉 輝久
発明の名称 コンテンツ登録装置、方法、および、そのプログラムを記録した記録媒体  
代理人 西 和哉  
代理人 村山 靖彦  
代理人 青山 正和  
代理人 渡邊 隆  
代理人 鈴木 三義  
代理人 村山 靖彦  
代理人 西 和哉  
代理人 高橋 詔男  
代理人 渡邊 隆  
代理人 高橋 詔男  
代理人 志賀 正武  
代理人 鈴木 三義  
代理人 志賀 正武  
代理人 青山 正和  

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