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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B05D
管理番号 1084829
異議申立番号 異議2002-72819  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-11-26 
確定日 2003-07-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3285082号「塗膜形成方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3285082号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 l.手続の経緯
(1)本件(特許第3285082号)の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成10年4月15日に出願され、平成14年3月8日にそれらの発明について特許権の設定登録がなされた。
(2)平成14年11月26日に、特許異議申立人日本ペイント株式会社(以下、「申立人」という。)より、請求項1,2に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがなされた。
(3)当審において、平成15年2月17日付け(発送日:平成15年2月28日)で取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年4月25日に訂正請求がなされるとともに、意見書が提出された。

ll.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
特許権者が求める訂正の内容は以下のとおりである。(下線は、対比の便のために当審で付したものである。)
(1)訂正事項a
特許権設定登録時の願書に添付した明細書(以下、「原明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1、2に、
「【請求項1】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)又は繊維素系樹脂(C)及びそれ以外の樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に5〜100重量%含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法
【請求項2】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)又は繊維素系樹脂(C)及びそれ以外の樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に5〜100重量%含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法。」
とあるのを、
「【請求項1】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法
【請求項2】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法。」
と訂正する。
(2)訂正事項b
原明細書の段落【0007】に、
「【0007】
すなわち本発明は、
1)被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)又は繊維素系樹脂(C)及びそれ以外の樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に5〜100重量%含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法、
2)被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)又は繊維素系樹脂(C)及びそれ以外の樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に5〜100重量%含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法、であり、上記構成とすることにより、塗膜物性に問題がない、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成できるようにしたものである。」
とあるのを、
「【0007】
すなわち本発明は、1)被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法、2)被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法、であり、上記構成とすることにより、塗膜物性に問題がない、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成できるようにしたものである。」
と訂正する。
(3)訂正事項c
原明細書の段落【0009】に、
「【0009】 本発明に用いられる塗料組成物は、溶剤、微小金属箔(A)、繊維素系樹脂(C)又は繊維素系樹脂(C)及び樹脂(B)からなる塗膜形成樹脂から少なくとも構成されている。そして、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下、好ましくは0.02〜0.06μmで、かつ平均粒径が5〜40μm、好ましくは5〜20μmであり、樹脂(B)は、繊維素系樹脂(C)以外の樹脂であり、かつ微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40、好ましくは1対1〜1対20であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%含有し、本塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%である。 微小金属箔(A)としては、蒸着(真空蒸着を含む)法、無電解法およぴスパッター法等により製造された上記厚さの金属箔を上記平均粒径に粉砕することにより得られたものが挙げられる。市販品としては、例えばMetalure(AVERY DENNISON社製)、Metasheen(WOLSTENHOLME INTERNATIONAL LTD製)等が挙げられる。 微小金属箔(A)の素材としては、Al、Mg、Cu、Au、Ag等が例示されるが、特に制限されるべきものではない。」
とあるのを、
「【0009】 本発明に用いられる塗料組成物は、溶剤、微小金属箔(A)、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなる塗膜形成樹脂から少なくとも構成されている。そして、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下、好ましくは0.02〜0.06μmで、かつ平均粒径が5〜40μm、好ましくは5〜20μmであり、樹脂(B)は、繊維素系樹脂(C)以外の樹脂であり、かつ微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40、好ましくは1対1〜1対20であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、本塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%である。微小金属箔(A)としては、蒸着(真空蒸着を含む)法、無電解法およぴスパッター法等により製造された上記厚さの金属箔を上記平均粒径に粉砕することにより得られたものが挙げられる。市販品としては、例えばMetalure(AVERY DENNISON社製)、Metasheen(WOLSTENHOLME INTERNATIONAL LTD製)等が挙げられる。微小金属箔(A)の素材としては、Al、Mg、Cu、Au、Ag等が例示されるが、特に制限されるべきものではない。」
と訂正する。
(4)訂正事項d
原明細書の段落【0010】に、
「【0010】 繊維素系樹脂(C)としては、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオレート、酢酸セルロース等、通常塗料用として使用されている繊維素系樹脂を使用できる。特にセルロースアセテートブチレートが好適である。繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に5〜100重量%、特に、本発明の未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する場合、10重量%以上含有することが好ましい。繊維素系樹脂(C)の配合率が塗膜形成樹脂中に5重畳%よりも低い場合、塗装時に微小金属箔(A)の配向性が乱れ、メッキ調外観性が低下する。また、本発明の未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式でクリヤー塗料を塗装すると、クリヤー塗料中の溶剤が浸透し、微小金属箔(A)の配向が乱れてメッキ調外観性が低下する。」
とあるのを、
「【0010】 繊維素系樹脂(C)としては、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオレート、酢酸セルロース等、通常塗料用として使用されている繊維素系樹脂を使用できる。特にセルロースアセテートブチレートが好適である。繊維素系樹脂(C)は、本発明の未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する場合、10重量%以上含有することが好ましい。繊維素系樹脂(C)の配合率が塗膜形成樹脂中に5重畳%よりも低い場合、塗装時に微小金属箔(A)の配向性が乱れ、メッキ調外観性が低下する。また、本発明の未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式でクリヤー塗料を塗装すると、クリヤー塗料中の溶剤が浸透し、微小金属箔(A)の配向が乱れてメッキ調外観性が低下する。」
と訂正する。
(5)訂正事項e
原明細書の段落【0011】に、
「【0011】 塗膜形成に使用し得る繊維素系樹脂(C)以外の樹脂(B)としては、通常塗料用として使用されている樹脂を制限無く使用できる。例えばアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等を単独あるいは組み合わせて非架橋のラッカータイプとすることも、例えば、イソシアネート化合物、メラミン樹脂等の架橋剤と組み合わせて架橋硬化型とすることもできる。」
とあるのを、
「【0011】 塗膜形成に使用し得る繊維素系樹脂(C)とアクリル樹脂(B)を組み合わせて非架橋のラッカータイプとする。」
と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項aについて
上記訂正事項aは、請求項1、2に係る発明を特定するために必要な事項である「・・・霧化塗装する塗膜形成方法」を、それに含まれる「・・・霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法」に、「塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)又は繊維素系樹脂(C)及びそれ以外の樹脂(B)からなり」を、それに含まれる「塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり」に、「繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に5〜100重量%含有し」を、それに含まれる「繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し」に、それぞれ訂正するものである。しかも、「霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法」については、原明細書の段落【0011】、【0020】に、「塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり」については、原明細書の段落【0011】、【0020】〜【0022】に、「繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%含有し」は、原明細書の段落【0010】、【0020】及び【0021】に、それぞれ記載されている。そして、「(但し、100重量%は除く)」は、先行技術と重なる部分を排除するものである。
したがって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(2)訂正事項b〜eについて
上記訂正事項b〜eは、特許請求の範囲を訂正したことに伴い、発明の詳細な説明の記載を、それと整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

lll.特許異議申立てについての判断
1.本件発明
上記ll.のように訂正が認められるから、本件の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、当該訂正により訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法
【請求項2】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法。」

2.刊行物記載の発明(事項)
(1)刊行物1
当審において通知した取消しの理由で引用され、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭53-9836号公報(申立人が提出した甲第1号証。以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。
(a)「本発明は揮発性キャリヤー、金属微粒子および結合剤から成る顔料を含まない組成物に関する。さらに詳しくは、本発明の組成物は、その組成物を表面に塗布することによって該表面上に連続光線反射皮膜を生成するのに適している。また該組成物は、その金属微粒子が1000オングストローム以下の厚さを有する金属小板の形状に概して不規則に造形されており、かつ、結合剤が結合剤対金属小板の比率が0.05対1〜10対1となる様な量で存在することを特徴としている。
アルミニウムの様な金属粉末はキャリヤーおよび結合剤と混合して表面塗装用の組成物を生成することができることが知られている。・・・アルミニウムフレークまたはアルミニウムチップスはプラスチック組成物即ちペイントに添加され塗布表面に斑点状の外観をもたらす。」(第1頁右下欄第2行〜第2頁左上欄第2行)
(b)「金属フレ-クは少なくとも片面、好ましくは両面が実質的に平面的な表面と不規則な周囲を有する。前記フレークの厚さは好ましくは600オングストロームである。好ましくは少なくとも200オングストロームである。より好ましくは、350-450オングストロームである。より厚いフレークも使用できる。しかしながら、仕上皮膜の外観は前述した好ましい厚さの範囲内にある薄いフレークを含有する皮膜以上には実質上改善されない。好ましい最大寸法、即ち、各金属フレークの長さ、あるいは幅員は1200ミクロン以下である。最も好ましいフレークの最大寸法は少なくとも30〜1000ミクロンの範囲内である。吹付可能な塗料用フレークは好ましくは平均して30〜200ミクロンの範囲内の最大寸法を有する。」(第2頁左下欄第11行〜右下欄第5行)
(c)「当業者に知られている多数の結合剤が本発明の組成物中で使用できる。前記結合剤の例としては、例えば、エチルセルロース、メタアクリル酸メチル共重合体、メチル-ブチル-アクリレート共重合体、イソブチル-メチル-アクリレート共重合体・・・特にメチルセルロース結合剤などが水キャリヤーと共に組成物中で使用するのに適している。」(第3頁右下欄第9〜20行)
(d)「申し分のない反射性の連続的金属様外観を有する塗装表面は結合剤対金属フレークの比率が0.05対1〜10対1の範囲内となる様に十分な結合剤を使用することによって得られる。」(第4頁第14〜17行)
(e)「実施例1
厚さ1.2ミルのポリスチレン1000gをアルミニウムの厚さ450オングロストロームの層で通常の蒸着法によりメッキし、寸断し、それから、容器中でトルエン9500gと混合した。その混合物を攪拌し、そして、30分よりも短い時間内にトルエンでポリスチレンを溶解した。容器中の1/3の容積を占める粗雑に充填された沈降物中にゆっくりと沈降された小さな鏡面様のフレークとしてアルミニウムを分離した。24時間経過後、澄明なトルエンーポリスチレン混合物をデカント法によって容器から除去した。残ったトルエン-ポリスチレン混合物の大部分は遠心分離法によって除去した。
分離したアルミニウムフレークをトルエンと混合し、即ち、トルエンで洗浄し、依然として金属に付着しているポリスチレンを実質的に完全に除去した。アルミニウムフレークの4又量は3.3gであった。各フレークの肉眼的に観察される光沢即ち反射性の外観を有しており、その厚さは450オングストロームであった。
十分な量のトルエンを洗浄のすんだアルミニウムフレーク200mgと混合し、アルミニウム固形分0.8wt%を含有する流動性混合物を得た。それから、この混合物イソプロピルアルコールおよびエチルセルロース結合剤の溶液と混合し、アルミニウム0.4wt%およびアルミニウム対結合剤の重量比が1対1である塗料組成物を得た。
かくして得られた塗料組成物を、アルミニウムフレーク1gで約30〜40平方フイートのガラス表面の等積を塗装するのに十分な量で、平滑で透明なガラス表面上に通常の道具で吹き付け塗布した。アルミニウム塗料組成物の暴露面は光沢のある、一般に鏡面様の外観表面を有していた。」(第4頁右上欄第5行〜左下欄第18行)
(f)「実施例8-12・・・結合剤対アルミニウム小板の重量比が1対1、2対1、3対1、5対1および8対1である顔料を含まない塗料組成物を調整した。」(第6頁左上欄第2-12行)
(g)第8頁表4には、実施例21〜26として、アルミニウムwt%が0.21〜0.50、結合剤対アルミニウム比率が0.5:1〜10:1のものが示されている。
上記記載事項(e)によれば、刊行物1の実施例1には次の発明が記載されているものと認められる。
「ガラス表面に、トルエン及びイソプロピルアルコール、アルミニウムフレーク並びにエチルセルロース結合剤を含む塗料組成物を吹き付け塗布する方法において、アルミニウムフレークは厚さが450オングストロームで、エチルセルロースが結合剤の全てであり、アルミニウムフレーク対エチルセルロースの重量比率が1対1であり、通常の道具で吹き付け塗布する方法」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
当審において通知した取消しの理由で引用された「明治のスプレーガンF100/F200」のカタログ(特許異議申立人が提出した甲第2号証の1。以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されているものと認められる。
「F100-S10T〜S18T及びF100-G10T〜G18Tのエアスプレーガンの塗料ノズル口径が1.0〜1.8mmであり、吹付空気圧力が1.5〜3.0kgf・cm2(147〜294kPa)であること」
なお、最終頁右下の「930600010KS」の記載のうち「9306」は印刷又は発行の時期を示すとも解され得ること、及び、申立人が平成15年4月28日付けで提出した回答書(以下、「回答書」という。)に添付された甲第5号証の1(本カタログが1993年6月に印刷され、頒布されたことの証明書)、甲第6号証の1(本カタログが1993年6月に印刷された後2ヶ月以内に日本ペイント株式会社に配付されたことの証明書)からみて、刊行物2は、本件出願前である、1993年6月からそう遅くない時期に頒布されたものと認めることができる。

(3)刊行物3
当審において通知した取消しの理由で引用された「明治のタッチアップスプレーガンF100-G13TU」のカタログ(特許異議申立人が提出した甲第2号証の2。以下「刊行物3」という。)には、次の事項が記載されているものと認められる。
「タッチアップスプレーガンF100-G13TUが、1.3mmの塗料ノズル口径を有し、吹付空気圧力1.0〜2.0kgf・cm2(98〜196kPa)で用いること」
なお、最終頁右下の「1994 05 新」の記載は1994年5月に印刷又は発行されたことを意味するものとも解され得ること、回答書に添付された甲第5号証の2(甲第2号証の2のカタログが1994年5月に印刷され、頒布されたことの証明書)、甲第6号証の2(甲第2号証の2のカタログが1994年5月に印刷された後2ヶ月以内に日本ペイント株式会社に配付されたことの証明書)からみて、刊行物3は、本件出願前である、1994年5月からそう遅くない時期に頒布されたものと認めることができる。

(4)刊行物5
当審において通知した取消しの理由で引用された「明治の低圧霧化スプレーガンF100L-P/F200AX-P」のカタログ(特許異議申立人が提出した甲第3号証の1。以下、「刊行物5」という。)には、次の事項が記載されているものと認められる。
「低圧霧化スプレーガンF100L-P06〜13の塗料ノズル口径が0.6〜1.3mmであり、空気使用量300〜550リットル/minで使用されること」
なお、最終頁右下の「1994 07 新」の記載は1994年7月に印刷又は発行されたことを意味するものとも解され得ること、回答書に添付された甲第5号証の4(甲第3号証の1のカタログが1994年7月に印刷され、頒布されたことの証明書)、甲第6号証の4(甲第3号証の1のカタログが1994年7月に印刷された後2ヶ月以内に日本ペイント株式会社に配付されたことの証明書)などからみて、刊行物5は、本件出願前である、1994年7月からそう遅くない時期に頒布されたものと認められる。
なお、本件発明2の実施例(実施例2)において「F100L-P、明治機械社製、圧送式低圧スプレーガン」が使用されている。

(5)刊行物6
当審において通知した取消しの理由で引用された「低圧スプレーガン(低圧スプレーガン総合)」のカタログ(特許異議申立人が提出した甲第3号証の2。以下、「刊行物6」という。)には、次の事項が記載されているものと認められる。
「低圧スプレーガンLPH-90-121〜12A41(塗料ノズル口径1.2〜1.4mm)、LHP-95-161(塗料ノズル口径1.3〜1.6mm)、LPH-94-131〜161(塗料ノズル口径1.3〜1.6mm)、LPA-90-121〜142(塗料ノズル口径1.2〜1.4mm)、及びSG-790-12A21〜12A41(塗料ノズル口径1.2mm)が、400〜550リットル/minの空気使用量で用いること」
なお、最終頁右下の「199704」の記載は1997年4月に印刷又は発行されたことを意味するものとも解され得ること、回答書に添付された甲第5号証の5(甲第3号証の2のカタログが1997年4月に印刷され、頒布されたことの証明書)、甲第6号証の5(甲第3号証の2のカタログが1997年4月に印刷された後2ヶ月以内に日本ペイント株式会社に配付されたことの証明書)などからみて、刊行物6は、本件出願前である、1997年4月からそう遅くない時期に頒布されたものと認められる。

3.対比・判断
3-1.本件発明1について
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、後者の「ガラス表面」は、その機能・作用からみて、前者の「被塗物」に相当し、以下同様にして、後者の「トルエン及びイソプロピルアルコール」は前者の「溶剤」に、後者の「アルミニウムフレーク」は前者の「微小金属箔」に、後者の「エチルセルロース結合剤」は前者の「塗膜形成樹脂」に、後者の「吹き付け塗布する」は前者の「塗装する」に、それぞれ相当する。また、後者の「エチルセルロース結合剤」は「繊維素系樹脂」であり、後者の「アルミニウムフレークは厚さが450オングストローム」は、前者で規定する「微少金属箔は、厚さが0.08μm以下」を充足し、後者の「アルミニウムフレーク対エチルセルロースの重量比率が1対1」は、前者で規定する「微少金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40」を充足する。
してみると、両者の一致点、相違点は、次のとおりとなる。
〈一致点〉「被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を塗装する塗膜形成方法において、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂を含んでおり、微少金属箔は、厚さが0.08μm以下で、微少金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40である塗膜形成方法」
〈相違点1〉本件発明1は、塗料組成物を、霧化塗装してなる未硬化塗膜上に、ウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装するものであるのに対し、刊行物1記載の発明は、塗料組成物を、単に吹き付け塗布するものである点。
〈相違点2〉微小金属箔が、本件発明1においては、「平均粒径が5〜40μm」のものであるのに対し、刊行物1記載の発明においては、平均粒径が明らかでない点。
〈相違点3〉塗膜形成樹脂が、本件発明1においては、「繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、」「繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有」するものであるのに対し、刊行物1記載の発明においては、「エチルセルロース結合剤」である点。
〈相違点4〉本件発明1においては、塗料組成物の塗装時固形分が0.1〜10重量%であるのに対し、刊行物1記載の発明においては、塗料組成物の塗装時固形分について明らかでない点。
〈相違点5〉塗膜形成方法について、本件発明1においては、ノズル口径が3mm以下のエアスプレーガンを用いてエアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaで霧化塗装するのに対し、刊行物1記載の発明においては通常の道具で吹き付け塗布するとしている点。
上記相違点について検討する。
〈相違点1〉について
金属様外観を得るための塗膜形成の分野において、金属箔を含有した塗料を霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリアー塗料を塗装することは、例えば、特許異議申立人が提出した甲第4号証の1である特開昭63-256168号公報、同じく甲第4号証の2である特開平2-68179号公報にも見られるように、本件出願前に周知の事項である。
したがって、上記〈相違点1〉に係る本件発明1の構成は、刊行物1記載の発明に、上記周知の事項を単に付加したに過ぎないものというべきであり、刊行物1記載の発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易になし得たものである。
〈相違点2〉について
微小金属箔の平均粒径について、刊行物1には、「吹き付け可能な塗料用フレークは好ましくは平均して30〜200ミクロンの範囲内の最大寸法を有する。」と記載されているように(上記摘記事項(b)参照)、本件発明1の「5〜40μm」と一部範囲が重複するものが開示されており、また、5〜40μmという範囲にも臨界的な意義は認められないことを勘案すると、微小金属箔の平均粒径を5〜40μmとした点は、当業者が適宜になし得た事項というべきである。
したがって、上記〈相違点2〉に係る本件発明1の構成は、刊行物1記載の発明から当業者が容易に想到できたものである。
〈相違点3〉について
刊行物1に、「結合剤の例としては、例えば、エチルセルロース、メタアクリル酸メチル共重合体、メチル-ブチル-アクリレート共重合体、イソブチル-メチル-アクリレート共重合体・・・」と記載されており(上記摘記事項(c)参照。)、結合剤の例として、繊維素系樹脂であるエチルセルロース、メチルセルロースとともに、メタアクリル酸メチル共重合体、メチル-ブチル-アクリレート共重合体、イソブチル-メチル-アクリレート共重合体等のアクリル樹脂が開示されていることからすれば、刊行物1記載の発明における結合剤としての繊維素系樹脂の一部をアクリル樹脂に置換することは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。そして、繊維素系樹脂の塗膜形成樹脂に対する含有割合を10〜100重量%(但し、100重量%は除く)とした点に臨界的な意義を見出すこともできない。
してみると、結合剤として、繊維素系樹脂であるエチルセルロースとアクリル樹脂の組み合わせを選択し、その割合(結合剤全体に対するエチルセルロースの重量比)を、10〜100重量%(但し、100重量%は除く)とすることは、当業者が容易になし得たことというべきである。
したがって、上記〈相違点3〉に係る本件発明1の構成は、刊行物1記載の発明から、当業者が容易になし得たものである。
〈相違点4〉について
刊行物1には、「十分な量のトルエンを洗浄のすんだアルミニウム固形分0.8wt%を含有する流動性混合物を得た。それから、この混合物イソプロピルアルコールおよびエチルセルロール結合剤の溶液と混合し、アルミニウム0.4wt%およびアルミニウム対結合剤の重量比が1対1である塗料組成物を得た。」と記載されている(上記摘記事項(e)参照)。そして、アルミニウムと結合剤以外のトルエン、イソプロピルアルコール等は乾燥後蒸発してしまうと考えられるから、アルミニウムと結合剤が塗装時固形分に相当する。そして、該記載から算出すると塗料組成物中のアルミニウムと結合剤の重量比率は0.8重量%である。これは、本件発明1の、塗料組成物の塗装時固形分が0.1〜10重量%を充足する。
また、刊行物1には、アルミニウムの重量%及びアルミニウムと結合剤の重量比について種々のものが開示されており(摘記事項(f)(g)参照)、これらは計算すると、アルミニウムと結合剤、すなわち塗装時固形分の重量比が0.8重量%(実施例1)〜3.42重量%(実施例25)であって、やはり、本件発明1における「0.1〜10重量%」を充足する。そして、「0.1〜10重量%」という範囲にも臨界的な意義は認められない。してみると、塗装時固形分を「0.1〜10重量%」とした点は、当業者が容易になし得たことというべきである。
したがって、上記〈相違点4〉に係る本件発明1の構成は、刊行物1記載の発明と実質的には相違しないものであるか、又は、刊行物1記載の発明から当業者が容易になし得たものである。
〈相違点5〉について
刊行物1記載の発明においては、「・・・塗料組成物を通常の道具で吹き付け塗布する」としていることから、特定の塗布方法を要求しているものでないことは明らかである。そして、刊行物2、3には、本件発明1で特定する「ノズル口径が3mm以下」、「塗装空気圧力が45〜245kPa」を満たす条件でエアースプレーガンにより塗装することが記載されている(上記「2.(2)刊行物2」、「2.(3)刊行物3」を参照。)。また、「ノズル口径が3mm以下」、「塗装空気圧力が45〜245kPa」とした点に臨界的な意義は認められない。
してみると、刊行物1記載の発明における塗料組成物を塗布するに際し、刊行物2、3に記載されたような条件のもとでエアスプレーガンを用いることは、当業者が容易になし得たものというべきである。
したがって、上記〈相違点5〉に係る本件発明1の構成は、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3の記載事項から当業者が容易に想到できたものである。

そして、本件発明1が奏する作用効果も、刊行物1記載の発明、上記周知の事項及び刊行物2、3の記載事項から、当業者が予測できる程度のものであって、格別なものではない。
よって、本件発明1は、刊行物1記載の発明、上記周知の事項技術及び刊行物2、3の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-2.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項の一部である「塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装してなる」を「塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装してなる」に、「エアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPa」を「低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/min」に、それぞれ置き換えたものである。
してみると、本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者の一致点は、本件発明1と刊行物1記載の発明の一致点と実質的に同じであって、本件発明2と刊行物1記載の発明の相違点は、本件発明1と刊行物1記載の発明の〈相違点1〉〜〈相違点4〉と実質的に同じものに加えて、次の点で相違する。
〈相違点5’〉塗膜形成方法について、本件発明2においては、ノズル口径が3mm以下の低圧スプレーガンを用いて塗装空気量が400〜600リットル/minで霧化塗装するのに対し、刊行物1記載の発明においては、通常の道具で吹き付け塗布する、としている点。
このうち〈相違点1〉〜〈相違点4〉と実質的に同じものについては、上記「〈相違点1〉について」〜「〈相違点4〉について」で検討したとおりである。
〈相違点5’〉について
刊行物1記載の発明においては、「・・・塗料組成物を通常の道具で吹き付け塗布する」としていることから、特定の塗布方法を要求しているものでないことは明らかである。そして、刊行物5,6には、本件発明2で特定する「ノズル口径が3mm以下」、「塗装空気量が400〜600リットル/min」を満たす条件で低圧スプレーガンにより塗装することが記載されている(上記「2.(4)刊行物5」、「2.(5)刊行物6」を参照。)。また、「ノズル口径が3mm以下」、「空気量が400〜600リットル/min」とした点に臨界的な意義は認められない。
してみると、刊行物1記載の発明における塗料組成物を塗布するに際し、刊行物5,6に記載されたような条件のもとで低圧スプレーガンを用いることは、当業者が容易になし得たものというべきである。
したがって、上記〈相違点5’〉に係る本件発明2の構成は、刊行物1記載の発明及び刊行物5,6の記載事項から当業者が容易に想到できたものである。

そして、本件発明2が奏する作用効果も、刊行物1記載の発明、上記周知の事項及び刊行物5,6の記載事項から、当業者が予測できる程度のものであって、格別なものではない。
よって、本件発明2は、刊行物1記載の発明、上記周知の事項及び刊行物5,6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1,2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
したがって、本件発明の特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
塗膜形成方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法
【請求項2】被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッキ調の外観性を有する塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から塗膜に光輝性のメタリック感を与える塗装方法として、脂肪酸とともにボールミルにて粉砕処理された、厚さ0.1〜1μm、平均粒径5〜60μmのアルミフレーク顔料を含む組成物が使用されている。
【0003】
これらのメタリック塗料に光輝剤として配合されるアルミフレークは、その性質によりリーフィング型とノンリーフィング型に分類されている。リーフィング型アルミフレークはステアリン酸とともに粉砕処理されるため、その表面張力が低く、メタリック塗膜の上層面に浮上し、基材と平行に配列した状態で連続したアルミニウム面をつくりやすい。しかしながら、上層面に浮上したアルミフレーク顔料は塗膜硬化後においても塗膜に固定化されておらず、指触により容易に取り除かれる。また、未硬化の状態でウエットオンウエット方式にてクリヤー塗料を塗装すると、アルミフレークの配向が乱れて外観性が低下する。一方、メタリック塗膜を加熱硬化後にクリヤー塗料を塗装すると、クリヤー塗膜との密着性が確保できないという問題点を有している。よって、工業用塗料に適応されているのは主に後者のノンリーフィング型アルミフレークである。
【0004】
ノンリーフィング型アルミフレークを含むメタリック塗料は、一般に、エアスプレーガンを用いて霧化塗装する場合、塗料の微粒化を向上させ、アルミフレークの配向性を増すために、通常のエアスプレーガンにおいては、エアキャップにおける塗装空気圧力を290〜490kPa、低圧スプレーガンにおいては塗装空気量を400〜800リットル/minという条件にて塗装されている。ノンリーフィング型アルミフレークはメタリツク塗膜の上層面に浮上する事なく、塗膜内部に分散するため、クリヤー塗膜との密着性は良好であるが、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成できないという問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の塗膜形成方法においては、リーフイング型アルミフレークを用いた塗膜形成方法は、クリヤー塗料を塗装しない場合、耐薬品性、耐擦り傷性等の塗膜表面物性に、クリヤー塗料を塗装する場合には、外観性、層間密着性等の問題がある。一方、ノンリーフイング型アルミフレークを用いた塗膜形成方法は、塗膜性能に問題を生じないが、光輝剤として配合したアルミフレークの厚さが厚く、エナメル塗膜内部に分散するため、アルミフレークの重なりが肉眼にて観察され、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成できないという欠点を有していた。本発明の目的は、耐薬品性、耐擦り傷性、外観性、層間密着性等の塗膜物性に問題がなく、かつメッキ調の外観性を有する塗膜を形成することができるエアスプレーガンまたは低圧スプレーガンを用いた塗膜形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のこのような問題点に着目してなされたもので、特定の塗料組成物を、特定のノズル口径を有するスプレーガンを用いて、特定の塗装条件にて塗装することにより、塗膜物性に問題がない、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成できるようにしたものである。
【0007】
すなわち本発明は、1)被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物をエアスプレーガンを用いて霧化塗装してなる未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつエアスプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、エアキャップにおける塗装空気圧力が45〜245kPaであることを特徴とする塗膜形成方法、2)被塗物に、溶剤、微小金属箔及び塗膜形成樹脂を含む塗料組成物を低圧スプレーガンを用いて霧化塗装してなる未化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法において、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmであり、塗膜形成樹脂は、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなり、微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中に10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%であり、かつ低圧スプレーガンは、ノズル口径が3mm以下で、かつ塗装空気量が400〜600リットル/minであることを特徴とする塗膜形成方法、であり、上記構成とすることにより、塗膜物性に問題がない、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成できるようにしたものである。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【発明の実施の形態】
【0009】
本発明に用いられる塗料組成物は、溶剤、微小金属箔(A)、繊維素系樹脂(C)及びアクリル樹脂(B)からなる塗膜形成樹脂から少なくとも構成されている。そして、微小金属箔(A)は、厚さが0.08μm以下、好ましくは0.02〜0.06μmで、かつ平均粒径が5〜40μm、好ましくは5〜20μmであり、かつ微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率が、1対0.3〜1対40、好ましくは1対1〜1対20であり、繊維素系樹脂(C)は塗膜形成樹脂中10〜100重量%(但し、100重量%は除く)含有し、本塗料組成物は、塗装時固形分が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%である。微小金属箔(A)としては、蒸着(真空蒸着を含む)法、無電解法およびスパッター法等により製造された上記厚さの金属箔を上記平均粒径に粉砕することにより得られたものが挙げられる。市販品としては、例えばMetalure(AVERYDENNISON社製)、Metasheen(WOLSTENHOLME INTERNATIONAL LTD製)等が挙げられる。微小金属箔(A)の素材としては、Al、Mg、Cu、Au、Ag等が例示されるが、特に制限されるべきものではない。
【0010】
繊維素系樹脂(C)としては、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオレート、酢酸セルロース等、通常塗料用として使用されている繊維素系樹脂を使用できる。特にセルロースアセテートブチレートが好適である。繊維素系樹脂(C)は、本発明の未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式にてクリヤー塗料を塗装する場合、10重量%以上含有することが好ましい。繊維素系樹脂(C)の配合率が塗膜形成樹脂中に5重畳%よりも低い場合、塗装時に微小金属箔(A)の配向性が乱れ、メッキ調外観性が低下する。また、本発明の未硬化塗膜上にウェットオンウェット方式でクリヤー塗料を塗装すると、クリヤー塗料中の溶剤が浸透し、微小金属箔(A)の配向が乱れてメッキ調外観性が低下する。
【0011】
塗膜形成に使用し得る繊維素系樹脂(C)とアクリル樹脂(B)を組み合わせて非架橋のラッカータイプとする。
【0012】
微小金属箔(A)対塗膜形成樹脂の重量比率は、前述した通り1対0.3〜1対40、特に1対1〜1対20が好ましい。塗膜形成樹脂の配合率が前記範囲の下限より低い場合、密着性試験において凝集剥離を生じる。また、塗膜形成樹脂の該配合率が前記範囲の上限を越えて配合した場合、微小金属箔(A)の配向性が充分でなく、メッキ調外観性が低下する。
【0013】
本発明においては、塗料組成物の塗装時固形分を0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%にて塗装を行う。塗装時固形分が10重量%を越えると塗料の微粒化が十分でなく、メッキ調外観性が低下する。
【0014】
本発明における塗料組成物には、必要に応じてその他の顔料、各種添加剤などを配合することができる。顔料としては従来から塗料用に常用されているものが用いられ、例えば有機系としてはアゾレーキ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料等を挙げる事ができ、無機系としては黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。添加剤としてはベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド系等の紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系等の酸化防止融、シリコーン系等のレベリング剤、ワックス、有機ベントナイト等の粘性制御剤、硬化触媒等が挙げられる。
【0015】
本願請求項1の発明において使用されるエアスプレーガンは、エア圧により塗料を霧化するタイプのもので、ノズル口径が3mm以下、好ましくは0.8〜2mmのものが望ましい。ノズル口径が3mmを越えるものは塗料の微粒化が劣り、メッキ調外観性が低下する。
【0016】
エアスプレーガンへの塗料供給方式は、従来公知の重力式、吸上式、圧送式等のいずれのタイプでも適応可能である。
【0017】
本発明においては、エアスプレーガンのエアキャップにおける塗装空気圧力を45〜245kPa、好ましくは90〜200kPaにするのが望ましい。塗装空圧力が45kPa未満では塗料の微粒化が劣り、メッキ調外観性が低下する。また245kPaを越えると塗料中の光輝剤が変形して塗着し、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成し難い。尚、この場合の塗装空気量は、通常、200〜600リットル/min、好ましくは200〜500リットル/minの範囲である。一方、本願請求項2の発明において使用される低圧スプレーガンでは、ノズル口径は請求項1の発明と同様であるが、塗装空気量を400〜600リットル/min、更には400〜500リットル/minにて塗装するのが好ましい。ここで低圧スプレーガンとは、米国カリフォルニア州規定1151条のガイドラインに定められた塗装空気圧力0.1〜10psiの法規制に対応したスプレーガンである。本発明においては、塗装空気圧力は、好ましくは0.5〜10psiの範囲である。低圧スプレーガンにおいて、塗装空気量を400リットル/min未満とすると塗料の微粒化が劣り、メッキ調外観性が低下する。また、塗装空気量が600リットル/minを越えると塗料中の光輝剤が変形して塗着し、連続なメッキ調外観性を有する塗膜を形成し難い。
【0018】
本発明が適応される被塗物としては、鉄、アルミニウム、銅もしくはこれらの合金を含む金属類、ガラス、コンクリート等の無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、アタリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等の樹脂成形品および各種FRPなどのプラスチック材料、木材、紙などが挙げられる。なお、これら被塗基材に予め適宜なアンダーコートやプレコート処理を施すことは任意である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの例になんら限定されるものではない。なお各例中、特に断らない限り、部は重量部、%は重量%を表す。
【0020】
実施例1、比較例1〜4
住友ダウ(株)製ABS基材、クララスチックMVをイソプロピルアルコールを用いて脱脂し、被塗物とした。次に、表1に示す塗料組成物の各成分にてメタリック塗料を調製し、エアスプレーガンとしてW-90-18N5P(岩用塗装機社製、圧送式エアスプレーガン、ノズル口径1.8mm)を用い、エアキャップにおける塗装空気圧力を170kPa、塗装空気量を280mリットル/minとして、乾燥膜厚8μmとなるように塗装し、室温で5分間放置した。この塗板に、アクリル樹脂/ウレタン樹脂系の二液型クリヤー塗料、ハイウレタンNo.6500クリヤー(登録商標、日本油脂(株)製)を乾燥膜厚35μmとなるように塗装した。室温にて約10分間放置した後、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。これらの塗装板を用いて、塗膜外観性、密着性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0021】
【表1】

【0022】
表1の注
*1 Metalure〔AVERY DENNISON社性、微小アルミ箔、加熱残分10%、商標〕
*2 アクリデイックA-190〔大日本インキ(株)社製、アクリル樹脂、加熱残分50%、商標〕
*3 CAB381-0.5〔イーストマン ケミカルズ社製、セルロースエステル、商標〕
*4 Metalureの固形分/(CAB381-0.5の重量+アクリデイツクA-190の固形分)
*5 100×(CAB381-0.5の重量)/(CAB381-0.5の重量+アクリデイツクA-190の固形分)
【0023】
(1)メッキ調外観性は、目視評価にて、以下のように評価した。○はメッキ調に仕上がっている。△はわずかにメッキ調に仕上がっている。×は通常のシルバーメタリック調またはモドリムラが発生している。
【0024】
(2)密着性は、カッターナイフにて素地に達するようにカット線を入れ、1mm×1mmの正方形100個を描き、その表面にセロハンテープを貼りつけ、それを急激に剥離した後の塗面状態を観察した。○はゴバン目塗膜の剥離が全く認められない。×はゴバン目塗膜の剥離が10個以上認められたことを示す。
【0025】
実施例2、比較例5〜8
住友ダウ(株)製ABS基材、クララスチックMVをイソプロピルアルコールを用いて脱脂し、被塗物とした。次に、実施例1に示した塗料組成物を、表2に示した塗装条件にて、乾燥膜厚8μmとなるように塗装し、室温で5分間放置した。この塗板に、アクリル樹脂/ウレタン樹脂系の二液型クリヤー塗料、ハイウレタンNo.6500クリヤー(登録商標、日本油脂(株)製)を乾燥膜厚35μmとなるように塗装した。室温にて約10分間放置した後、75℃で30分間焼き付け、塗装板を得た。これらの塗装板を用いて、塗膜外観性、密着性を評価した。評価結果を表2に示した。
【0026】
表2中のスプレーガン種は下記の通りである。
a:「W-90-18N5P」、岩田塗装機社製、圧送式エアスプレーガン
b:「59A×241-P1」、ビンクス社製、圧送式エアスプレーガン
c:「F100L-P」、明治機械社製、圧送式低圧スプレーガン
【0027】
【表2】

【0028】
表1から、塗装条件が本発明範囲であっても、塗料組成物が本発明範囲内になければ、メッキ調外観性及び密着性を両立させることはできないことが分かる。表2から、塗料組成物が本発明範囲であっても、塗装条件が本発明範囲内になければ、良好なメッキ調外観性は得られないことが分かる。一方、両者を満足する実施例は、メッキ調外観性及び密着性共に優れている。
【発明の効果】
本発明の塗膜形成方法によれば、塗膜物性に問題のない、メッキ調の外観性を有する塗膜を形成することができる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-05-28 
出願番号 特願平10-104997
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (B05D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 村山 禎恒  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 亀井 孝志
鈴木 充
登録日 2002-03-08 
登録番号 特許第3285082号(P3285082)
権利者 日本油脂BASFコーティングス株式会社
発明の名称 塗膜形成方法  
代理人 本多 弘徳  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 本多 弘徳  
代理人 目次 誠  
代理人 小栗 昌平  
代理人 宮▲崎▼ 主税  
代理人 高松 猛  
代理人 市川 利光  
代理人 高松 猛  
代理人 市川 利光  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 小栗 昌平  

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