ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 2項進歩性 訂正する A63B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A63B 審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する A63B 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A63B |
---|---|
管理番号 | 1085612 |
審判番号 | 訂正2002-39274 |
総通号数 | 48 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-08-12 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2002-12-24 |
確定日 | 2003-09-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2910707号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2910707号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第2910707号発明の明細書(以下、「特許明細書」という。)を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正すること、すなわち、下記(1)ないし(16)のとおりに訂正することを求めるものである(下線部が訂正個所である。)。 (1)訂正事項a 特許明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された「半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち1又は2以上の条件を満たすことを特徴とするゴルフボール。」を、 「半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボールの直径が42.7mmであり、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、ディンプル数が240〜620個であり、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3であり、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足し、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり、体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほは同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じないことを特徴とするゴルフボール。」と訂正する。 (2)訂正事項b 特許明細書の特許請求の範囲に記載された【請求項2】、【請求項3】及び【請求項6】を削除する。 (3)訂正事項c 特許明細書の特許請求の範囲に記載された「【請求項4】上記条件(A)〜(D)の全ての条件を満足する請求項3記載のゴルフボール。 【請求項5】Viの値が1.001〜1.025の範囲にある請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゴルフボール。」を、 「【請求項2】上記条件(A)〜(D)の全ての条件を満足する請求項1記載のゴルフボール。 【請求項3】Viの値が1.001〜1.025の範囲にある請求項1又は2記載のゴルフボール。」と訂正する。 (4)訂正事項d 特許明細書の段落【0008】(本件特許公報3頁左欄12行〜同頁右欄11行)に記載された「本発明は、上記目的を達成するため、半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって、成形されたゴルフボールにおいて、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち1又は2以上の条件を満たすことを特徴とするゴルフボールを提供するものである。」を、 「本発明は、上記目的を達成するため、半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボールの直径が42.7mmであり、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、ディンプル数が240〜620個であり、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3であり、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足し、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり、体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほぼ同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じないことを特徴とするゴルフボールを提供するものである。」と訂正する。 (5)訂正事項e 特許明細書の段落【0012】(本件特許公報4頁左欄4〜8行)に記載された「上記式(1)〜(4)によって得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niのうち、少なくともいずれか1つのシンメトリー指数が1を超える値となるようにディンプルを設計したものである。」を、「上記式(1)〜(4)によって得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niのうち、少なくとも上記(A)の条件を満たし、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすようにディンプルを設計したものである。」と訂正する。 (6)訂正事項f 特許明細書の段落【0017】(本件特許公報4頁右欄12〜15行)に記載された「本発明では、この体積シンメトリー指数Viが1を超える値に調整することが好ましく、特に1.001〜1.025となるようにすることが最適である。」を、 「本発明では、この体積シンメトリー指数Viが1を超える値に調整するもので、特に1.001〜1.025となるようにすることが最適である。」と訂正する。 (7)訂正事項g 特許明細書の段落【0027】(本件特許公報5頁左欄46〜50行)に記載された「従って少なくとも上記体積シンメトリー指数Viの値は1を超える値であることが好ましく、特に体積シンメトリー指数Viの値が1.001〜1.025となるようにディンプル設計を行うことが好ましい。」を、 「従って少なくとも上記体積シンメトリー指数Viの値は1を超える値とするもので、特に体積シンメトリー指数Viの値が1.001〜1.025となるようにディンプル設計を行うことが好ましい。」と訂正する。 (8)訂正事項h 特許明細書の段落【0028】(本件特許公報5頁右欄25〜32行)に記載された「このように、本発明においては、少なくとも上記体積シンメトリー指数Viを1を超える値、特に1.001〜1.025とすることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、体積シンメトリー指数Viが1以下であっても、他の条件、即ち面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li及び配列シンメトリー指数Niの少なくとも1つの条件を1を超える値、特に上記最適値に調整することにより、」を、 「このように、本発明においては、少なくとも上記体積シンメトリー指数Viを1を超える値、特に1.001〜1.025とするとともに、他の条件、即ち面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li及び配列シンメトリー指数Niの少なくとも1つの条件を1を超える値、特に上記最適値に調整することにより、」と訂正する。 (9)訂正事項i 特許明細書の段落【0029】(本件特許公報5頁右欄40行〜6頁左欄6行)に記載された「本発明のゴルフボールは、上述のように上記体積シンメトリー指数Vi、面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li、配列シンメトリー指数Niを指標として、ボールの真円度の歪を考慮してディンプル効果を調整したものであり、特に制限されるものではないが、更に全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上、特に65〜75%となるようにディンプルを設計することが好ましく、これにより上記各シンメトリー指数によるディンプル効果の調整がより効果的に行われ、弾道シンメトリー性が良好なゴルフボールをより確実に得ることができると共に、飛距離の増大を図ることができる。ここで、ディンプルの面積は上述した通りディンプルの平面面積である。なお、全ディンプル体積のボール体積に対する体積占有率は、特に制限されず、適宜設定することができ、通常0.6〜1.3%程度、特に0.7〜1.0%程度とすることができる。」を、 「本発明のゴルフボールは、上述のように上記体積シンメトリー指数Vi、面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li、配列シンメトリー指数Niを指標として、ボールの真円度の歪を考慮してディンプル効果を調整したものであり、更に全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上、特に65〜75%となるようにディンプルを設計することが好ましく、これにより上記各シンメトリー指数によるディンプル効果の調整がより効果的に行われ、弾道シンメトリー性が良好なゴルフボールをより確実に得ることができると共に、飛距離の増大を図ることができる。ここで、ディンプルの面積は上述した通りディンプルの平面面積である。なお、全ディンプル体積のボール体積に対する体積占有率は、0.7〜0.86%とする。」と訂正する。 (10)訂正事項j 特許明細書の段落【0033】(本件特許公報6頁右欄11〜13行)に記載された「また、ボールの直径及び重量等のボール性状はゴルフ規則に従って適宜設定することができる。」を、 「また、ボールの直径及び重量等のボール性状はゴルフ規則に従って適宜設定することができるが、本発明のボールの直径は42.7mmである。」と訂正する。 (11)訂正事項k 特許明細書の段落【0035】(本件特許公報6頁右欄18〜21行)に記載された「[実施例1〜5及び比較例1] ディンプルの設計を下記表1に示した通りとした以外は同様とした7種類のツーピースソリッドゴルフボール(実施例1〜5、比較例1)を公知の方法で製造した。」を、 [実施例1,2及び比較例1、参考例1〜3] ディンプルの設計を下記表1に示した通りとした以外は同様とした7種類のツーピースソリッドゴルフボール(実施例1,2、比較例1、参考例1〜3)を公知の方法で製造した。」と訂正する。 (12)訂正事項l 特許明細書の段落【0036】(本件特許公報7頁)の【表1】において、「実施例」及び「比較例」が記載されている1段目を削除し、2段目に記載されている「1」、「2」、「3」、「4」、「5」及び「1」を、それぞれ「参考例1」、「参考例2」、「実施例1」、「実施例2」、「参考例3」及び「比較例1」と訂正する。 (13)訂正事項m 特許明細書の段落【0036】(本件特許公報7頁)の【表1】において、16段目に記載されている「Vi値以外は実施例1と同一のボール。」を、「Vi値以外は参考例1と同一のボール。」と訂正する。 (14)訂正事項n 特許明細書の段落【0038】(本件特許公報7頁)の【表2】において、「実施例」及び「比較例」が記載されている1欄目を削除し、2欄目に記載されている「1」、「2」、「3」、「4」及び「5」を、それぞれ「参考例1」、「参考例2」、「実施例1」、「実施例2」及び「参考例3」と訂正する。 (15)訂正事項o 特許明細書の段落【0039】(本件特許公報8頁左欄5行〜同頁右欄2行)に記載されている「(2)実施例1及び実施例2のボールは、ポール部分及びシーム部周辺部のディンプル体積を大きくすることにより、体積シンメトリー指数Viを1を超える値に調整したものであり、これらのボールはポール打撃の方がシーム打撃に比べ若干ボール弾道が高く上がったが、飛距離はほぼ同等となり良好なシンメトリー性を示した。 (3)実施例3のボールは、各シンメトリー指数(Ni、Li、Si、Vi)のすべてを1を超える好適な値に調整したものであり、このボールはポール打撃、シーム打撃における弾道の違いは全くなく、優れたシンメトリー性を示した。 (4)実施例1のボールと比較例1のボールとは、体積シンメトリー指数Viが異なるだけでその他はほぼ同様のものであるが、比較例1のボールでは明らかに打撃方向によってボール弾道が異なり、飛距離に差が生じたが、実施例1のボールでは弾道の差はほとんどなく、飛距離にも差は生じなかった。従って、特に体積シンメトリー指数Viがシンメトリー性の向上に重要なファクターであることが認められた。 (5)実施例4及び実施例5のボールは、各シンメトリー指数(Ni、Li、Si、Vi)のうち体積シンメトリー指数Viを含む2条件を最適値に調整したものであり、いずれも良好なシンメトリー性を有するものであった。 (6)実施例2のボールは、表面占有率65%以下であるため、飛距離にやや劣るものであった。」を、 「(2)参考例1及び参考例2のボールは、ポール部分及びシーム部周辺部のディンプル体積を大きくすることにより、体積シンメトリー指数Viを1を超える値に調整したものであり、これらのボールはポール打撃の方がシーム打撃に比べ若干ボール弾道が高く上がったが、飛距離はほぼ同等となり良好なシンメトリー性を示した。 (3)実施例1のボールは、各シンメトリー指数(Ni、Li、Si、Vi)のすべてを1を超える好適な値に調整したものであり、このボールはポール打撃、シーム打撃における弾道の違いは全くなく、優れたシンメトリー性を示した。 (4)参考例1のボールと比較例1のボールとは、体積シンメトリー指数Viが異なるだけでその他はほぼ同様のものであるが、比較例1のボールでは明らかに打撃方向によってボール弾道が異なり、飛距離に差が生じたが、参考例1のボールでは弾道の差はほとんどなく、飛距離にも差は生じなかった。従って、特に体積シンメトリー指数Viがシンメトリー性の向上に重要なファクターであることが認められた。 (5)実施例2及び参考例3のボールは、各シンメトリー指数(Ni、Li、Si、Vi)のうち体積シンメトリー指数Viを含む2条件を最適値に調整したものであり、いずれも良好なシンメトリー性を有するものであった。 (6)参考例2のボールは、表面占有率65%以下であるため、飛距離にやや劣るものであった。」と訂正する。 (16)訂正事項p 特許明細書の【図面の簡単な説明】(本件特許公報8頁右欄15〜24行)に記載されている「【図1】実施例1及び比較例1のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図2】実施例2のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図3】実施例3のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図4】実施例4のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図5】実施例5のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。」を、 「【図1】参考例1及び比較例1のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図2】参考例2のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図3】実施例1のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図4】実施例2のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図5】参考例3のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 (1)上記訂正事項aについて 上記訂正事項aは、請求項1に係る発明において、「ボールの直径が42.7mmであり」、「ディンプル数が240〜620個であり」、「ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3であり」、「全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり」、「全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり、体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほは同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じない」という構成要件を付加するとともに、「下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足」するものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正事項aにおける、「ディンプル数が240〜620個であり」、「ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3」であり、「全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であ」る構成は、特許査定時の明細書の段落【0014】、【0029】及び請求項6に記載されており、「下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足」するという構成は、請求項2,3に記載されている。 また、ディンプルの「体積占有率が0.7〜0.86%」である構成は、段落【0029】及び特許査定時の明細書における実施例3,4を根拠とするものであり、「スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてボール打撃とシーム打撃とを行った場合、トータル飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでもまぼ同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じない」は、特許査定時の明細書における【表2】の実施例3,4の記載及び段落【0007】、【0037】の記載に基づくものである。 さらに、「ボールの直径が42.7mmであり」の構成は、特許査定時の明細書における【表1】の実施例1〜5の記載から直接的かつ一義的に導かれるものである。すなわち、【表1】には、各ゴルフボールについて、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率(%)が記載されているが、この表面占有率は、ディンプル半径とそのディンプル数及びゴルフボールの半径とから計算されているから、【表1】に記載されている実施例1〜5において、表面占有率、ディンプル半径及びそのディンプル数に基づいてゴルフボールの直径を計算すると、42.7mmである。 また、ディンプルの体積占有率(%)は、ディンプル体積とそのディンプル数及びゴルフボールの半径とから計算されているから、【表1】に記載されている実施例1〜5において、体積占有率、ディンプル体積及びそのディンプル数に基づいてゴルフボールの直径を計算すると、42.7mmである。 したがって、「ボールの直径が42.7mmであり」の構成は、【表1】の実施例1〜5の記載から直接的かつ一義的に導かれるものであるといえる。 以上のとおりであり、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において訂正するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (2)上記訂正事項bについて 訂正事項bは、【請求項2】、【請求項3】及び【請求項6】を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)上記訂正事項cについて 上記訂正事項cは、上記訂正事項bの訂正による請求項の削除に伴い、請求項の番号とその引用する請求項の番号を整合させるための訂正であるから、明りようでない記載の釈明を目的としたものである。 (4)上記訂正事項dないしpについて 上記訂正事項dないしpは、上記訂正事項a及びbによる訂正と整合を図るために、発明の詳細な説明を訂正しようとするものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、且つ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 3.独立特許要件について 3-1.訂正明細書の発明 訂正明細書の請求項1ないし3に係る発明は、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボールの直径が42.7mmであり、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、ディンプル数が240〜620個であり、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3であり、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足し、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり、体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほは同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じないことを特徴とするゴルフボール。 【数1】 [条件] (A)Vi>1 (B)Ni>1 (C)Li>1 (D)Si>1 【請求項2】上記条件(A)〜(D)の全ての条件を満足する請求項1記載のゴルフボール。 【請求項3】Viの値が1.001〜1.025の範囲にある請求項1又は2記載のゴルフボール。」 3-2.刊行物記載の発明 (1)特開平6-114123号公報(以下、「刊行物1」という)には、次の事項が記載されている。 (1-a)「【産業上の利用分野】本発明はゴルフボールに関する。ことに本発明は、最新式のボールに関して改良されたプレイアビリティ特性を持つツーピース・ゴルフボールに関する。」(32頁左欄25〜28行) (1-b)「【発明の概要】本発明ゴルフボールは、従来提案されている過大寸法のゴルフボールの改良を行うものである。本発明ゴルフボールは、大きい方の直径が少なくとも1.70インチではあっても、標準のゴルフボールと実質的に同じ寸法の心を使い、ゴルフボールのカバーの付加厚さにより寸法差を生ずるのがよい。拡大ゴルフボールは、ゴルフボールの表面の少なくとも70%を覆うディンプルを備え、このようにしてボールの飛行特性を高める。大直径の浅いディンプルは、多数の小直径のディンプルの使用の場合に反してゴルフボールの飛行特性をさらに高めることが分った。 【0013】一層大きい直径のディンプルの使用ができるほかに、一層大きい直径のゴルフボールは普通のゴルフボールより大きいモーメントを生ずる。この一層大きいモーメントと本発明ボールの若干の実施例の特定の構造とによって、普通のゴルフボールに比べてクラブインパクト(impact)後に一層低いバックスピン割合を持つボールが得られる。このような一層低いバックスピン割合は、ボールを打ち損なったときに一層まっすぐなショットと、飛行中の一層高い効率と、地面との衝突の際の一層軽度なエネルギー損失とを得るのに役立つ。このことは、バックスピンが一層低い結果として生じる一層低い弾道によって、ウッドの場合にとくに言える。従ってゴルフボールは地面に一層急な鋭角で衝突し回転の増大を伴いすなわち距離が増大される。さらに本発明ボールの組成はその全性能に役立つ。 【0014】本発明ゴルフボールは、ゴルフボールの拡大寸法及びディンプル適用範囲とにより付加的なコントロールを提供すると共に標準ボールに比べて最高の性能標準を保つことができる。」(33頁左欄末行〜同頁右欄29行) (1-c)「【0017】ボールの直径は実質的に1.70ないし1.80インチである。異なる直径及び深さを持つディンプルを使うときは、次のパラメータに関して重みつき平均のディンプル直径を使う。・・・ボールを覆う各ディンプルの重みつき平均直径は実質的に0.100ないし0.190インチなるべくは0.135ないし0.170インチであり、好適な重みつき平均ディンプル直径は0.139ないし0.149インチである。ボールを覆う各ディンプルの重みつき平均深さは、0.005ないし0.015インチなるべくは0.009ないし0.013インチであり、好適とする深さは0.010ないし0.011インチである。全部の使用ディンプルが互いに同じ直径及び深さを持つときは、重みつき平均直径及び深さはそれぞれディンプル直径及び深さと同じである。」(33頁右欄38行〜34頁左欄4行) (1-d)「【0018】図1について標準ボールの直径に比べて過大直径Dを持つボールを説明する。このボールは、直径Cを持つ心と、厚さTを持つカバーとを備えている。前記のニュージーランド特許明細書に記載してあるような従来提案されているゴルフボールとは異なって、本発明は、拡大寸法のゴルフボールに拡大寸法の心を使用しない。例示のために使用する特定のボールでは、ボールの公称直径は1.717±0.005インチであり、心の直径は1.545±0.005インチであり、カバー厚さは0.086±0.005インチである。」(34頁左欄5〜14行) (1-e)「【0049】図6に示したパターンの変型は、ディンプル重なりを実質的になくすように各ディンプルの場所を調整することによって得られる。この変型ではボールは422のディンプルを持つ。全部のディンプルが0.143インチの同じ直径と0.0103インチの同じ深さとを持つ。この構成は図6について前記したのと実質的に同じである。 【0050】次は、1種類の寸法のディンプルを持ちディンプル重なりを含まない422個のディンプルを持つ変型によるディンプルパターンの座標である。」(58頁中段) (1-f)58頁〜63頁の【表35】〜【表40】には、ディンプルパターンの座標が示されている。 上記記載によると、【表35】〜【表40】に示されているゴルフボールは、 直径 1.717インチ(43.61mm)、 ディンプルの直径 0.143インチ(3.63mm)、 ディンプルの深さ 0.0103インチ(0.262mm)、 ディンプルの数 422 であり、これらの値から計算すると、 ディンプルの体積は、0.966mm3、 ディンプル体積占有率 0.939% ディンプル表面占有率 73.2% が算出される。 また、ディンプルパターンの座標等によって上記「3-1.訂正明細書の発明」における式(1)〜(4)を計算すると、各シンメトリー指数が、 (A)Vi=1.0094 (B)Ni=1.0094 (C)Li=1.0094 (D)Si=1.0094 が算出される。 半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によってゴルフボールを成形することは常套手段であるから、刊行物1には、 半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボールの直径が43.61mmであり、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、ディンプル数が422個であり、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、ディンプル直径が3.63mm、ディンプル体積vjが0.966mm3であり、かつ上記「3-1.訂正明細書の発明」における式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数が、Vi=1.0094、Si=1.0094、Li=1.0094、Ni=1.0094であり、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が73%であり、体積占有率が0.939%であるゴルフボールが記載されていると認められる。 (2)特開平7-124273号公報(以下、「刊行物2」という)には、 (2-a)「【請求項2】 上記ゴルフボールのディンプル総容積が290mm3〜340mm3の範囲としている請求項1記載のゴルフボール。」(特許請求の範囲)、 (2-b)「ゴルフボールGの外径L2は従来と同一の42.75mmとし、かつ、ゴルフボールの重量は45.4gとして、従来と同一としている。」(3頁左欄33〜34行)、と記載されている。 上記ゴルフボールの直径及びディンプル総容積を基にゴルフボールに対するディンプルの体積占有率を算出すると、体積占有率は、0.71〜0.83%であることが記載されているといえる。 (3)特開平2-102681号公報(以下、「刊行物3」という)には、 (3-a)「1個のゴルフボールに設けるディンプルの総数は240〜600の範囲としており・・・ディンプルの空間体積の1個のゴルフボールに示す総和Vは、 250mm3<V<400mm3の範囲に設定している。よって、1個ディンプル10の空間体積(v)はディンプル10の大きさを種々変化させているために一定ではないが、下記の範囲内にすることが好ましい。 300mm3<V<400mm3 特に、300mm3<V<360mm3が好ましい。」(3頁左下欄12行〜同頁右下欄4行)、 (3-b)「ラージサイズ(直径42.8mmφ)」(4頁左上欄7行)と記載されている。 上記ゴルフボールの直径及びディンプルの空間体積の総和Vを基にゴルフボールに対するディンプルの体積占有率を算出すると、体積占有率は、0.61〜0.97%、好ましくは0.73〜0.97%、特に好ましいのは0.73〜0.88%であることが記載されているといえる。 3-3.対比・判断 3-3-1.請求項1に係る発明について 訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正明細書の発明」という)と刊行物1記載の発明とを対比すると、 訂正明細書の発明では、ボールの直径が42.7mmであり、全ディンプルの体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほは同じ弾道が得られるのに対し、刊行物1記載の発明では、ボールの直径が43.61mmであり、全ディンプルの体積占有率が0.939%である点で両者は構成が相違する。 上記相違点について検討する。 刊行物1記載の発明は、大きい直径のデインプルを設けることができ、普通のゴルフボールより大きいモーメントが生ずる、少なくとも1.70インチ(4.32mm)以上の過大寸法のゴルフボールを改良することを目的とし、標準のゴルフボールと同じ寸法の心を使い、ゴルフボールのカバーを標準のゴルフボールより厚くすることにより、過大寸法のゴルフボールを構成し、その表面の少なくとも70%を覆うようにデインプルを設けることにより、ゴルフボールの飛行特性を高め、バックスピンを少なくすることによりゴルフボールの距離を増大するようにしたものである(上記(1-b)参照)。 すなわち、刊行物1記載の発明は、標準のゴルフボールと同じ寸法の心を使い、ゴルフボールのカバーを標準のゴルフボールより厚くすることにより、過大寸法のゴルフボールとすることが刊行物1記載の発明の特徴の一部であるから、刊行物1記載の発明において、ゴルフボールの直径を標準のゴルフボールの直径に変更することは発明の目的に反することであり、また、ゴルフボールの直径を変更すると、デインプル直径等にも影響を及ぼすものであるから、刊行物1記載の発明において、ゴルフボールの直径を標準のゴルフボールの直径に変更することは当業者が容易にできることではない。 しかも、刊行物2に、直径42.75mmのゴルフボールにおいて、ディンプルの体積占有率を0.71〜0.83%とすることが、また、刊行物3に、直径42.8mmのゴルフボールにおいて、ディンプルの体積占有率を0.73〜0.88%とすることが開示されているが、刊行物1ないし3の発明は、訂正明細書の発明の目的である「ポール打ちとシーム打ちとで同じ弾道が得られ、ショット箇所により飛び性能にバラツキを生じるようなことのないシンメトリー性に優れたゴルフボール」とすることについては何ら配慮されておらず、結局、刊行物1ないし3には、訂正明細書の発明の「スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差がlm以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほは同じ弾道が得られ」る点が記載されていない。 そして、訂正明細書の発明は、訂正明細書記載の効果を奏するものであるから、訂正明細書の発明が刊行物1に記載された発明である、あるいは、刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 3-3-2.請求項2及び3に係る発明について 請求項2及び3に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、上記「3-3-1.請求項1に係る発明について」に記載した理由により当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書、同条第2項及び同条第3項の規定に適合している。 よって、結論のとおり審決する。。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ゴルフボール (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボールの直径が42.7mmであり、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、ディンプル数が240〜620個であり、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3であり、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足し、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり、体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差が1m以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほぼ同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じないことを特徴とするゴルフボール。 【数1】 [条件] (A)Vi>1 (B)Ni>1 (C)Li>1 (D)Si>1 【請求項2】 上記条件(A)〜(D)の全ての条件を満足する請求項1記載のゴルフボール。 【請求項3】 Viの値が1.001〜1.025の範囲にある請求項1又は2記載のゴルフボール。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明が属する技術分野】 本発明は、シンメトリー性に優れたゴルフボールに関し、特にポール打ちとシーム打ちで同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキのない、空気力学的性能に優れたゴルフボールに関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 ゴルフボールにおいて、ディンプル配列やディンプル形状(直径、深さ、断面形状等)はゴルフボールの飛び特性に大きな影響を与えるため、従来からゴルフボール表面に多数のディンプルを均等に或いは密に配列させる配列法が種々提案されている。このようなディンプル配列法としては、従来、正多面体配列及び半球をその中心より1〜7等分割する方法などが知られており、特に3〜6等分割する方法が一般的である。 【0003】 また、ディンプル形状を調整し、ゴルフボールをポール打ち(回転軸が赤道面)した場合とシーム打ち(回転軸がポールを結ぶ線)した場合とで、ディンプルの実効総容積がほぼ同じとなるようにする試みもなされている(特公平6-7875号公報)。 【0004】 しかしながら、ゴルフボールは、互いに2等分に分割された割型を分離可能に接合することにより内部に球状キャビティを形成した成型用金型により成形されており、軸対称に成型加工するため、両金型のキャビティ内の頂点間を結んだ線に相当するポール軸の回りについては真円度が高くなり、逆に金型の割面に相当するシームラインで囲まれた面上に存在する軸の回りについては真円度が低くなる傾向がある。このため、従来のゴルフボールは、その真円度の違いから、ショットする位置の違いにより飛び性能に差が生じる場合があり、ルールによって特別の場合以外はボールを動かすことができず、あるがままの状態でボール打撃しなければならないゴルフ競技にあっては、上記飛び性能のバラツキは大きな問題となる。 【0005】 即ち、ゴルフボールを打撃するとクラブの番手により回転数は異なるもののいずれも所謂バックスピンが生じ、この場合図6(A),(B)に示したようにボールの打撃箇所によって、ゴルフボールaのシームラインb上に互いに対向する2点c,c、及び中心点dの3点を結ぶ直線eを回転軸とするバックスピンを生じるようにボールaを打撃fする所謂ポール打撃(A図)と、ボールaのシームラインbを円周線とする円形平面gと直交し、かつボールaの中心dを通る直線hを回転軸とするバックスピンを生じるようにボールaを打撃iする所謂シーム打撃(B図)とに大別されるが、上述したように上記ポール打ち(A図)の場合は回転軸eの回りが真円でないため、余計な揚力や抗力を受けやすく、一方シーム打ち(B図)の場合は回転軸hの回りが真円に近いため、ゴルフボールに余計な揚力や抗力がほとんど生じることがなく、このため単にポール打撃とシーム打撃とでディンプルの効果が等しくなるように設計した場合には、ポール打ちの方が真円度の乱れによりディンプルの効果が大きくなり、ゴルフボールに余計な揚力や抗力が生じ、シーム打撃した場合とは飛び性能が異なることとなり、ショット箇所による飛び性能にバラツキが生じることとなる。 【0006】 従って、ショット箇所による飛び性能にバラツキのないシンメトリー性に優れたゴルフボールを得るためには、ボールの形状、即ちボールの真円度をも考慮してディンプル配置、ディンプル形状を設計し、ディンプル効果を最適化することが望まれるが、未だ十分に要望に応えるには至っていない。 【0007】 本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ポール打ちとシーム打ちとで同じ弾道が得られ、ショット箇所により飛び性能にバラツキを生じるようなことのないシンメトリー性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】 本発明は、上記目的を達成するため、半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形されたゴルフボールにおいて、ボールの直径が42.7mmであり、ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、ディンプル数が240〜620個であり、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとした場合、ディンプル直径が2.0〜4.5mm、ディンプル体積vjが0.3〜1.5mm3であり、下記式(1)〜(4)から得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niについて、下記条件(A)〜(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満足し、全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上であり、体積占有率が0.7〜0.86%であり、スイングロボットでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打撃とを行った場合、飛距離の差が1m以内であり、ポール打撃とシーム打撃とでほぼ同じ弾道が得られ、ショット箇所による飛び性能にバラツキを生じないことを特徴とするゴルフボールを提供するものである。 【0009】 【数2】 [条件] (A)Vi>1、好ましくは1.001≦Vi≦1.025 (B)Ni>1 (C)Li>1 (D)Si>1 【0010】 即ち、本発明のゴルフボールは、ポール打撃した場合とシーム打撃した場合とでディンプルの効果に差が出ないようにするため、上述の真円度の相違に起因してポール打撃時とシーム打撃時とでディンプル効果に差が生じることに鑑みて、ディンプルの体積、面積、エッジ長、配列からなるディンプル設計そのものをポール打撃時とシーム打撃時でディンプル効果が異なるようにし、真円度が低いことに起因してディンプルの効果がより発揮され易いポール打撃時にはディンプルそのものの効果が低く、かつポール打撃時に比べてディンプル効果が生じにくいシーム打撃時にはディンプルそのものの効果が高くなるように設計し、上記真円度の相違によるディンプル効果の増減によりディンプルそのものの効果の差が相殺されて全体として均一なディンプル効果が得られるようにしたものである。 【0011】 この点につき更に詳述すれば、上記各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niはいずれもゴルフボールのシームライン側と、該シームラインを赤道と仮定したときの両極側とでディンプルの対称性を比べそれを数値化したものであり、それぞれディンプルの体積、面積、エッジ長、配列についての対称性を示すものである。この場合、これらのシンメトリー指数が1になるときが、シームライン側と極側とのディンプル性能が等しくなるものであり、各指数が1より大きければ極側よりもシームライン側のディンプル体積が大きく、面積が大きく、エッジ長が長く、又は配列がシーム側に偏ることとなって、設計上はシーム打撃時のディンプル効果がポール打撃時より高くなり、逆に各指数が1よりも小さければシーム側よりも極側のディンプル体積が大きく、面積が大きく、エッジ長が長く、又は配列が極側に偏ることとなって、設計上はポール打撃時のディンプル効果がシーム打撃時よりも高くなるものである。そして、本発明では、これら各シンメトリー指数が1よりも大きくなるように設定することにより、真円度が低いためにディンプル効果が高くなり易いポール打撃時のディンプル性能をシーム打撃時のディンプル性能よりも設計上低く設定することにより、ディンプル設計上のディンプル効果の差により、真円度の相違によるディンプル効果の増減を相殺し、ポール打撃でもシーム打撃でも同様のディンプル効果を発揮させて良好な弾道シンメトリー性が得られるようにしたものである。 【0012】 以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明のゴルフボールは、上述のように、ボール表面の金型の分割線に当たる部分を赤道、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し、ボール表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj、φj)で示すと共に、そのディンプルの半径をrj、体積をvjとし、上記式(1)〜(4)によって得られる各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niのうち、少なくとも上記(A)の条件を満たし、かつ(B)〜(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすようにディンプルを設計したものである。 【0013】 ここで、上記各ディンプルの座標点(θj、φj)は、上述のように、ボール表面の金型の分割線に当たる部分、即ちシームラインを赤道とし、該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定して、ボール上の緯度及び経度として表すが、この場合ボール上の緯度として示されるθjは、北極-ボール中心-南極を結ぶ軸とディンプル中心位置とボール中心とを結ぶ線とがなす角度をラジアン単位で表わしたものとする。従って北半球では一般に用いられる極座標のことを示す。なお、経度として示されるφjは上記各シンメトリー指数の計算に用いられることはないので、通常の度の単位で表してもよい。 【0014】 また、上記ディンプル半径rjはmmで表され、特に制限されるものではない。通常、ディンプル直径は2.0〜4.5mm、特に2.4〜4.1mmとされる。なお、深さは通常0.05〜0.3mm、特に0.08〜0.24mmとされる。更に、上記ディンプル体積vjはmm3で表され、特に制限されるものではないが、通常は0.3〜1.5mm3、特に0.4〜1.25mm3とされる。ここで、本発明のゴルフボールでは、上記半径rj、体積vj或いはその両方が異なる複数種のディンプルを有していてもよいが、通常は1〜6種のディンプルを有するゴルフボールとすることができ、またディンプルの総数は、特に制限されず適宜選定することができるが、通常は240〜620個、特に318〜500個とすることが好ましい。 【0015】 上記体積シンメトリー指数Viは、各ディンプルの中心点座標(θj、φj)及び体積vjから下記式(1)により求められるものであり、この体積シンメトリー指数Viはボール表面に形成されたディンプルの体積について、ボールの赤道(シームライン)側と両極側とのシンメトリー性を示すもので、この指数Viが1であればボール全体にわたってディンプル体積が均一に分布していることとなり、1よりも大であれば両極側よりも赤道(シームライン)側の方が相対的にディンプル体積が大きく、1よりも小であれば逆に赤道(シームライン)側より両極側の方が相対的にディンプル体積が大きいことを示す。 【0016】 【数3】 【0017】 本発明では、この体積シンメトリー指数Viが1を超える値に調整するもので、特に1.001〜1.025となるようにすることが最適である。これにより、シーム打撃時とポール打撃時でのディンプル効果が均一化し、弾道の安定化が図られる。なおこの場合、体積シンメトリー指数Viが1.030を超えると、他のシンメトリー指数の条件にもよるが、シーム打撃時のディンプル効果がポール打撃時のディンプル効果に比べて高くなりすぎてディンプル効果を均一化することができなくなる場合がある。 【0018】 上記面積シンメトリー指数Siは、各ディンプルの中心点座標(θj、φj)及び半径rjから下記式(2)により求められるものであり、この面積シンメトリー指数Siはボール表面に形成されたディンプルの面積について、ボールの赤道(シームライン)側と両極側とのシンメトリー性を示すもので、この指数Siが1であればボール全体にわたってディンプル面積が均一に分布していることとなり、1よりも大であれば両極側よりも赤道(シームライン)側の方が相対的にディンプル面積が大きく、1よりも小であれば逆に赤道(シームライン)側より両極側の方が相対的にディンプル面積が大きいことを示す。なお、ディンプル面積は、ディンプルを平面に投影した場合におけるその平面面積を意味し、例えばディンプルの平面形状が円形状である場合、ディンプルの半径をrとするとπr2で表される。 【0019】 【数4】 【0020】 本発明では、この面積シンメトリー指数Siが1を超える値に調整することが好ましく、特に1.001〜1.025となるようにすることが最適である。これにより、シーム打撃時とポール打撃時でのディンプル効果が均一化し、弾道の安定化が図られる。なおこの場合、面積シンメトリー指数Siが1.030を超えると、他のシンメトリー指数の条件にもよるが、シーム打撃時のディンプル効果がポール打撃時のディンプル効果に比べて高くなりすぎてディンプル効果を均一化することができなくなる場合がある。 【0021】 上記エッジ長シンメトリー指数Liは、各ディンプルの中心点座標(θj、φj)及び半径rjから下記式(3)により求められるものであり、このエッジ長シンメトリー指数Liはボール表面に形成されたディンプルのエッジ長について、ボールの赤道(シームライン)側と両極側とのシンメトリー性を示すもので、この指数Liが1であればボール全体にわたってディンプルのエッジ長が均一に分布していることとなり、1よりも大であれば両極側よりも赤道(シームライン)側の方が相対的にディンプルのエッジ長が長く、1よりも小であれば逆に赤道(シームライン)側より両極側の方が相対的にディンプルのエッジ長が長いことを示す。なお、ディンプルのエッジ長とは、ディンプルエッジの周囲長さを意味し、例えばディンプルが平面円形状である場合、ディンプルの半径をrとするとディンプルのエッジ長は2πrで表される。 【0022】 【数5】 【0023】 本発明では、このエッジ長シンメトリー指数Liが1を超える値に調整することが好ましく、特に1.001〜1.025となるようにすることが最適である。これにより、シーム打撃時とポール打撃時でのディンプル効果が均一化し、弾道の安定化が図られる。なおこの場合、エッジ長シンメトリー指数Liが1.030を超えると、他のシンメトリー指数の条件にもよるが、シーム打撃時のディンプル効果がポール打撃時のディンプル効果に比べて高くなりすぎてディンプル効果を均一化することができなくなる場合がある。 【0024】 上記配列シンメトリー指数Niは、各ディンプルの中心点座標(θj、φj)から下記式(4)により求められるものであり、この配列シンメトリー指数Niはボール表面に形成されたディンプル配列、即ちディンプルの分布状態について、ボールの赤道(シームライン)側と両極側とのシンメトリー性を示すもので、この指数Niが1であればボール全体にわたってディンプルが均一に分布していることとなり、1よりも大であれば両極側よりも赤道(シームライン)側の方が相対的にディンプルが偏って分布しており、1よりも小であれば逆に赤道(シームライン)側より両極側の方が相対的にディンプルが偏って分布していることを示す。 【0025】 【数6】 【0026】 本発明では、この配列シンメトリー指数Niが1を超える値に調整することが好ましく、特に1.001〜1.015となるようにすることが最適である。これにより、シーム打撃時とポール打撃時でのディンプル効果が均一化し、弾道の安定化が図られる。なおこの場合、配列シンメトリー指数Niが1.020を超えると、他のシンメトリー指数の条件にもよるが、シーム打撃時のディンプル効果がポール打撃時のディンプル効果に比べて高くなりすぎてディンプル効果を均一化することができなくなる場合がある。 【0027】 本発明のゴルフボールは、上記体積シンメトリー指数Vi、面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li及び配列シンメトリー指数Niの少なくともいずれか1つのシンメトリー指数が上記好ましい値となるように、即ち、各シンメトリー指数の内の少なくともいずれか1つが1を超える値となるようにディンプルの設計を行うことにより、シーム打撃時とポール打撃時とでディンプル効果に差が生じないように調整し、安定的な弾道が得られるようにしたものである。この場合、体積、面積、エッジ長及び配列からなるディンプル条件のうちでも、特にディンプル体積の変化がディンプル効果に及ぼす影響が大きく、従って少なくとも上記体積シンメトリー指数Viの値は1を超える値とするもので、特に体積シンメトリー指数Viの値が1.001〜1.025となるようにディンプル設計を行うことが好ましい。 【0028】 このように、本発明においては、少なくとも上記体積シンメトリー指数Viを1を超える値、特に1.001〜1.025とするとともに、他の条件、即ち面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li及び配列シンメトリー指数Niの少なくとも1つの条件を1を超える値、特に上記最適値に調整することにより、シーム打撃でもポール打撃でも同様のディンプル効果が発揮されるようにすることができ、弾道シンメトリー性を向上させて本発明の目的を達成することが十分可能である。なお、本発明ゴルフボールの最も好適な態様は上記各シンメトリー指数Vi、Si、Li、Niの全てが1を超える値、特に上記好ましい値に調整されたものである。 【0029】 本発明のゴルフボールは、上述のように上記体積シンメトリー指数Vi、面積シンメトリー指数Si、エッジ長シンメトリー指数Li、配列シンメトリー指数Niを指標として、ボールの真円度の歪を考慮してディンプル効果を調整したものであり、更に全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上、特に65〜75%となるようにディンプルを設計することが好ましく、これにより上記各シンメトリー指数によるディンプル効果の調整がより効果的に行われ、弾道シンメトリー性が良好なゴルフボールをより確実に得ることができると共に、飛距離の増大を図ることができる。ここで、ディンプルの面積は上述した通りディンプルの平面面積である。なお、全ディンプル体積のボール体積に対する体積占有率は、0.7〜0.86%とする。 【0030】 また、ディンプルの配列態様としては、正8面体配列、正12面体配列、正20面体配列、半球上をその中心より1〜7等分割する対称配列等、公知の配列を採用することができ、更にディンプルの配列によりボール表面に形成される模様もスクウェアー形、ヘキサゴン形、ペンタゴン形、トライアングル形等の種々の模様とすることができる。 【0031】 更にまた、一のボール表面に形成されるディンプルの種類は、1種類でも2種類以上のディンプルが混在していてもよいが、特に1種又は2〜6種類のディンプルを配列することが好ましく、またディンプルの平面形状は特に制限されず種々の形状とすることができるが、通常は円形ディンプルとすることが好ましい。 【0032】 本発明のゴルフボールは、ディンプルの設計を上記各シンメトリー指数を指標として上述したように調整したものであればよく、ボールの構造には特に制限はなく、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、3層構造以上のマルチピースゴルフボール等のソリッドゴルフボールとしても、糸巻きゴルフボールとしてもよいが、この場合本発明のゴルフボールは、半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合して内部に球状のキャビティを形成する成形金型を用いた射出成形法又は圧縮成形法によりカバー層を形成したツーピース以上のソリッドゴルフボールや糸巻きゴルフボール、或いは同様の射出成形法又は圧縮成形法により成形されたワンピースソリッドゴルフボールなど、ポール軸回りとシームラインに囲まれた面上の軸の回りとで真円度に差が生じるゴルフボールに適用されるものである。 【0033】 なお、本発明のゴルフボールを製造する場合、ソリッドゴルフボール、糸巻きゴルフボール等のボール構造に応じて、公知の材料を使用して公知の方法により製造することができる。また、ボールの直径及び重量等のボール性状はゴルフ規則に従って適宜設定することができるが、本発明のボールの直径は42.7mmである。 【0034】 【実施例】 以下、実施例,比較例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。 【0035】 [実施例1,2及び比較例1、参考例1〜3] ディンプルの設計を下記表1に示した通りとした以外は同様とした7種類のツーピースソリッドゴルフボール(実施例1,2、比較例1、参考例1〜3)を公知の方法で製造した。なお、表1中Viは体積シンメトリー指数、Siは面積シンメトリー指数、Liはエッジ長シンメトリー指数、Niは配列シンメトリー指数であり、各ゴルフボールのディンプル配列は図1〜5に示した通りである。 【0036】 【表1】 【0037】 次に、表1の各ゴルフボールにつき、スイングロボットでクラブとしてドライバー(#W1)を用い、ヘッドスピード45m/secでポール打撃(図6(A)の打撃方向)とシーム打撃(図6(B)の打撃方向)とを繰り返し、キャリー,ラン,トータル飛距離を測定すると共に、弾道の比較を行った。結果を表2に示す。なお、単位はすべてメートル(m)である。 【0038】 【表2】 【0039】 表2に示されているように、打撃テストの結果は以下の通りであった。 (1)比較例1は、ポール打撃の方がシーム打撃に比べボール弾道が高くなり、キャリー、トータル飛距離にも差が生じた。また、見た目でも明らかにポール打撃とシーム打撃とでボール弾道が異なっていた。 (2)参考例1及び参考例2のボールは、ポール部分及びシーム部周辺部のディンプル体積を大きくすることにより、体積シンメトリー指数Viを1を超える値に調整したものであり、これらのボールはポール打撃の方がシーム打撃に比べ若干ボール弾道が高く上がったが、飛距離はほぼ同等となり良好なシンメトリー性を示した。 (3)実施例1のボールは、各シンメトリー指数(Ni、Li、Si、Vi)のすべてを1を超える好適な値に調整したものであり、このボールはポール打撃、シーム打撃における弾道の違いは全くなく、優れたシンメトリー性を示した。 (4)参考例1のボールと比較例1のボールとは、体積シンメトリー指数Viが異なるだけでその他はほぼ同様のものであるが、比較例1のボールでは明らかに打撃方向によってボール弾道が異なり、飛距離に差が生じたが、参考例1のボールでは弾道の差はほとんどなく、飛距離にも差は生じなかった。従って、特に体積シンメトリー指数Viがシンメトリー性の向上に重要なファクターであることが認められた。 (5)実施例2及び参考例3のボールは、各シンメトリー指数(Ni、Li、Si、Vi)のうち体積シンメトリー指数Viを含む2条件を最適値に調整したものであり、いずれも良好なシンメトリー性を有するものであった。 (6)参考例2のボールは、表面占有率65%以下であるため、飛距離にやや劣るものであった。 【0040】 以上の結果から、本発明のゴルフボールは、ポール打ちとシーム打ちとで同じ弾道が得られ、ショット箇所により飛び性能にバラツキを生じるようなことのないシンメトリー性に優れたゴルフボールであることが確認された。 【0041】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、ボールの真円度の差に起因する打撃箇所による弾道の差を是正して、打撃箇所によって飛行特性に差が生じるような不都合を生じることのないシンメトリー性に優れたゴルフボールを確実に得ることができるものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 参考例1及び比較例1のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図2】 参考例2のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図3】 実施例1のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図4】 実施例2のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図5】 参考例3のゴルフボールのディンプル配列パターン図である。 【図6】 ゴルフボールをショットする場合の打撃方向を説明する説明図であり、(A)はポール打撃、(B)はシーム打撃を示す。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2003-09-02 |
出願番号 | 特願平8-317107 |
審決分類 |
P
1
41・
832-
Y
(A63B)
P 1 41・ 841- Y (A63B) P 1 41・ 856- Y (A63B) P 1 41・ 121- Y (A63B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石井 哲 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 中村 和夫 村山 隆 瀬津 太朗 |
登録日 | 1999-04-09 |
登録番号 | 特許第2910707号(P2910707) |
発明の名称 | ゴルフボール |
代理人 | 重松 沙織 |
代理人 | 小島 隆司 |
代理人 | 小林 克成 |
代理人 | 小島 隆司 |
代理人 | 小林 克成 |
代理人 | 重松 沙織 |