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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L |
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管理番号 | 1085840 |
審判番号 | 不服2001-21604 |
総通号数 | 48 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-10-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-12-03 |
確定日 | 2003-10-20 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 71666号「光電変換装置の製造方法、透明樹脂封止用成形金型、透明樹脂封止装置、発光素子及び受光素子」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年10月 3日出願公開、特開平 7-254623]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成6年3月16日の出願であって、その請求項1〜6に係る発明は、平成13年10月9日付け及び平成15年7月25日付け手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜6に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項3に係る発明は、特許請求の範囲の請求項3に記載された次のとおりである。 「【請求項3】 光電変換素子を透明樹脂で封止するための透明樹脂封止用金型において、型面梨地に形成されると共に、上記光電変換素子と対面する型面部分に、当該光電変換素子が受光するレーザ光の口径に応じた大きさの鏡面仕上げされた露出部分を有する金型部品が交換自在に固定されたことを特徴とする透明樹脂封止用金型。」(以下、「本願発明3」という) 2.当審の拒絶理由 当審の拒絶の理由の概要は、 「本願の請求項3に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である特開平1-171252号公報(以下、「刊行物1」という)および特開平5-259309号公報(以下、「刊行物2」という)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」というものである。 3.刊行物の記載事項 (1)刊行物1(特開平1-171252号公報)には、 (1-1)特許請求の範囲に、 「受光用半導体チップ、リードフレームを透明樹脂の樹脂モールドパッケージ内に封止して構成した受光用半導体装置において、前記パッケージの表面一部に受光用半導体チップの光入射面と対面し合う凹状で、かつ鏡面を成す受光窓を形成するとともに、該受光窓を除くパッケージ表面を梨地面と成して構成したことを特徴とする樹脂モールドパッケージ形受光用半導体装置。」が記載されている。 (1-2)第1、2図および第2頁左下欄19行〜右下欄6行には、 「なお受光窓5a(前記「5a」は、第1、2図および明細書の他の記載からみて「4a」の誤記であると認められる)はパッケージ内に封止されたチップ1の寸法、形状に合わせて形成されている。また、上記下樹脂モールドパッケージ4をモールド形成するモールド金型の構造は第3図に示すごとくであり、金型5のキャビテイ面には前記の凹形受光窓4aに対応してその表面を鏡面に平滑加工した突起部5aを有し、かつ該突起部5aを除くキャビテイの面域5bが梨地状に粗面加工されている。」が記載されている。 (1-3)第3頁左上欄10〜20行には、 「受光用半導体チップ、リードフレームを透明樹脂の樹脂モールドパッケージ内に封止して構成した受光用半導体装置において、前記パッケージの表面一部に受光用半導体チップの光入射面と対面し合う凹状で、かつ鏡面を成す受光窓を形成するとともに、該受光窓を除くパッケージ表面を梨地面と成して構成したことにより、受光部となる受光窓の傷付き防止、並びにパッケージ周囲からの迷光による誤動作を良好に防止できて受光用半導体装置の信頼性の向上が図れる。」が記載されている。 (2)刊行物2(特開平5-259309号公報)には、 (2-1)特許請求の範囲の請求項2に、 「【請求項2】分割金型と、この分割金型で形成されるキャビティと、このキャビティに臨むように一方の金型に装備され、前記キャビティに面する端面にレンズ成形型が刻設されたエジェクターピンとを備え、前記キャビティ内に装填された半導体チップを透明樹脂によって封止,成形する半導体素子の製造装置において、前記エジェクターピンの端面に刻設されたレンズ成形型の表面に、イオン注入蒸着層を形成したことを特徴とする半導体素子の製造装置。」が記載されている。 (2-2)第【0001】欄〜第【0002】欄には、 「【産業上の利用分野】 本発明は、透明樹脂で封止,成形される半導体素子の製造装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、透明樹脂で封止,成形される半導体素子の製造装置としては、金型コストを低減し、機械稼動率を高めるため、エジェクターピンのキャビティに面する端面にレンズ成形型を刻設し、このレンズ成形型で半導体素子の表面にレンズを成形するものが特開平4-25185号公報で提案されている。」が記載されている。 (2-3)図11〜図16および第【0020】欄には、 「【0020】 さらに、前述の実施例ではいずれも柱状レンズ14を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、図11および図12に示すように、フレネルレンズ15を形成する場合に適用してもよく(第7実施例)、図13および図14に示すように、各種曲率の凸レンズ16を形成する場合(第8実施例)、あるいは、図15および図16に示すように、レンズなしの光半導体素子13を製造する場合(第9実施例)に適用してもよい。」が記載されている。 4.対比・判断 記載事項「3(1)(1-1)〜(1-3)」を総合すれば、 刊行物1には、 「受光用半導体チップ、リードフレームを透明樹脂の樹脂モールドパッケージ内に封止した受光用半導体装置を製造するためのモールド金型において、当該金型は、キャビテイ面に、前記パッケージの表面の一部に受光用半導体チップの光入射面と対向し合う、凹形受光窓に対応してその表面を鏡面に平滑加工した突起部をパッケージ内に封止されたチップの寸法、形状に合わせて形成し、かつ該突起部を除くキャビテイの面域が梨地状に粗面加工されたものであるモールド金型」の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という)が記載されているといえる。 (1)本願発明3と刊行物1記載の発明とを対比すると、 刊行物1記載の発明の「受光用半導体装置」、「モールド」、「突起部を除くキャビテイの面域が梨地状に粗面加工」、「キャビテイ面には前記の凹形受光窓に対応してその表面を鏡面に平滑加工した突起部」は、本願発明3の「光電変換素子」、「封止」、「型面梨地」、「光電変換素子が受光する鏡面仕上げされた露出部分」に相当するから、両者は、 「光電変換素子を透明樹脂で封止するための透明樹脂封止用金型において、型面梨地に形成されると共に、上記光電変換素子と対面する型面部分に、鏡面仕上げされた露出部分を有することを特徴とする透明樹脂封止用金型。」で一致し、以下の点で相違している。 相違点1:本願発明3が、型面部分の鏡面仕上げされた露出部分を「光電変換素子が受光するレーザ光の口径に応じた大きさ」としているのに対し、刊行物1記載の発明では、当該露出部が「受光用半導体チップの光入射面と対面し合い、かつパッケージ内に封止されたチップの寸法、形状に合わせた」ものである点。 相違点2:本願発明3が、露出部分を有する金型部品が「交換自在に固定」されたとしているのに対し、刊行物1記載の発明は、このことに対し明記がない点。 以下、各相違点について検討する 相違点1について、 刊行物1には、受光対象をレーザ光とすることは、記載されていないが、この点は、単に受光対象を光の一帯域に限定したに過ぎず、周知の技術である。 また、刊行物1の記載事項「3.(1)(1-3)」には、「受光用半導体装置において、前記パッケージの表面一部に受光用半導体チップの光入射面と対面し合う凹形受光窓に対応して、該受光窓を除くパッケージ表面を梨地面と成して構成したことにより、パッケージ周囲からの迷光による誤動作を良好に防止する」との記載があり、当該記載は、「迷光を通過させず有効光のみを通過させる」ことを示唆しているといえる。 してみれば、鏡面仕上げされた露出部分を、「パッケージ内に封入されたチップの寸法、形状に合わせる」に代えて「受光するレーザ光の口径に応じた大きさ」とすることは当業者が適宜なし得たことである。 相違点2について、 「3.(2)(2-3)」には、図11〜図16に例示した、「柱状レンズ」、「フレネルレンズ」、「各種曲率の凸レンズ」、「レンズなし」を構成することのできるエジェクタピンが記載されており、当該記載から、金型部品であるエジェクタピンが交換自在に固定された状態であるものといえる。よって、刊行物1記載の発明において、露出部分を有する金型部品を交換自在とすることは当業者が適宜なし得たことである。 そして、本願発明3の構成による格別な効果も認められない。 5.まとめ 上記のとおりであるから、本願発明3は、引用刊行物1、2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 6.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1、2、4〜6に係る発明について検討するまでもなく、本願発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-08-25 |
結審通知日 | 2003-08-29 |
審決日 | 2003-09-09 |
出願番号 | 特願平6-71666 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川真田 秀男 |
特許庁審判長 |
城所 宏 |
特許庁審判官 |
中西 一友 市川 裕司 |
発明の名称 | 光電変換装置の製造方法、透明樹脂封止用成形金型、透明樹脂封止装置、発光素子及び受光素子 |
代理人 | 田辺 恵基 |