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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B25J
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 B25J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B25J
管理番号 1085916
審判番号 不服2001-16233  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-12 
確定日 2003-10-24 
事件の表示 平成11年特許願第254040号「4足型ロボット及び高運動歩容の制御方法」拒絶査定に対する審判事件[平成13年3月27日出願公開、特開2001- 79787]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
平成11年 9月 8日 特許出願
同 12年 2月15日 拒絶理由通知
同 12年 4月24日 意見書提出
同 13年 8月 3日 拒絶査定(原査定)
同 13年 9月12日 本件審判請求

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、おおよそ以下のとおりである。
1 理由1
本件出願の請求項1,3,5及び7に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(1) 特開平6- 99369号公報
(2) 特開平8-155864号公報
[備考]
上記刊行物(1)及び(2)には、4足型ロボットが記載されており、当然歩く際には、支持力、摩擦力が必要となる。
2 理由2
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。

特許請求の範囲の請求項1ないし7においてどのような脚の動作(制御)を行っているのか明確でない。また、詳細な説明においても明確でない。

第3 当審の判断
1 理由1について
(1) 本件発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし7については、その記載内容が一部明りょうでないものや引用請求項の番号が適当でないものがあるものの、請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1記載された事項により特定されるとおりの以下のものであると認める。
「【請求項1】 2体の前脚と2体の後脚をもつ4足型ロボットであって、前記後脚は鉛直方向には支持力を発生し床との摩擦力を使ってロボットを加速可能であり、前記前脚は床との摩擦力を使ってロボットを減速可能であることを特徴とする4足型ロボット。」
(2) 引用例記載の発明
これに対して、第2の1(1) 及び(2)に示す各刊行物(以下、両者とも「引用例」という。)には、それぞれ「2体の前脚と2体の後脚をもつ4足型ロボット」が記載されていると認める。
(3) 対比
本件発明1と引用例記載の発明とを対比すると、本件発明1と引用例記載の発明とは、以下の一致点及び相違点を有しているということができる。
ア 一致点
2体の前脚と2体の後脚をもつ4足型ロボット、である点。
イ 相違点
本件発明1では、後脚は鉛直方向には支持力を発生し床との摩擦力を使ってロボットを加速可能であり、前脚は床との摩擦力を使ってロボットを減速可能であるのに対して、引用例記載の発明ではそのようになっていない点。
(4) 相違点についての検討
2体の前脚と2体の後脚をもつ4足型ロボットにおいて、ロボットが起立し、歩行を開始し、また、歩行を停止するためには、脚は、「鉛直方向に支持力を発生」すること、「床との摩擦力を使ってロボットを加速可能」であること、また、「床との摩擦力を使ってロボットを減速可能」であることが当然必要となる。(もし、そうなっていないとすると、ロボットは、起立すること、歩行を開始すること、また、歩行を停止することができない。)
そして、2体の前脚と2体の後脚をもつ4足型ロボットにおいて、どの脚に上記各機能を担わせるかは、4足型ロボットにどのような歩行を行わせるかに応じて適宜選択すればよい事項であり、本件発明1のように構成することに格別の困難性は見当たらない。
したがって、本件発明1は、引用例記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができる。
2 理由2について
(1) 特許請求の範囲の請求項2,4及び6項には、それぞれ「前記摩擦力の
必要最低限の摩擦力はカウンタバランスの調節によって行う」と記載されているが、これについて発明の詳細な説明には何等記載されておらず示唆もされていない。
(2) 同請求項3に「前脚または後脚と床との摩擦力を使ってロボットに加減速を生じさせて転倒モーメントを生じさせ、バウンス歩容等において転倒モーメントによって脚の離着床を制御する」と記載されているが、どのようにして転倒モーメントを生じさせるのかが明確でない。単に、前脚または後脚と床との摩擦力を使ってロボットに加減速を生じさせるだけでは、転倒モーメントを生じさせることはできない。
(3) 同請求項5に「後脚まわりのモーメント
【数2】
Iθ(ツードット)=-mx(ツードット)z+mgx
(Iはロボット本体の後脚まわりの慣性モーメント)
において
【数3】
|mx(ツードット)|>|mgx|
とすることにより、前脚が着床したときの減速力から後脚を持ち上げて離床脚とする転倒モーメントを生じさせ」と記載されているが、どのようにして|mx(ツードット)|>|mgx|とするのか、また、そうすることにより、どのようにして「前脚が着床したときの減速力から後脚を持ち上げて離床脚とする転倒モーメントを生じさせ」るのか発明の詳細な説明を参照しても明確でない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1が特許法第29条の規定により特許をすることができないものであり、また、本件出願が同法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていないことを理由とする、本件出願についてなされた拒絶をすべき旨の原査定は、妥当である。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-26 
結審通知日 2003-08-26 
審決日 2003-09-08 
出願番号 特願平11-254040
審決分類 P 1 8・ 536- Z (B25J)
P 1 8・ 121- Z (B25J)
P 1 8・ 537- Z (B25J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 正章  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 宮崎 侑久
神崎 孝之
発明の名称 4足型ロボット及び高運動歩容の制御方法  

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