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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1085925
審判番号 不服2001-6379  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-02-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-20 
確定日 2003-10-24 
事件の表示 平成9年特許願第194470号「フリップチップ実装された半導体素子の封止方法及び該方法でなる半導体装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年2月12日出願公開、特開平11-40589]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年7月18日の出願であって、その請求項1〜5に係る発明(以下、「本願発明1〜5」という。)は、平成13年2月19日付手続補正書、平成13年5月21日付手続補正書、及び平成15年4月21日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】表面に突起電極としてバンプが設けられた半導体素子を配線基板の上に載置すると共に配線基板の電極にバンプを接合させるフリップチップ実装によって、配線基板に半導体素子を搭載し、開口部を設けて形成したマスクを開口部の内側に半導体素子を位置させて配線基板に重ね、マスクの上に供給された封止材料を減圧条件下でスキージで擦ることによってマスクの開口部を通して封止材料を印刷塗布し、常圧に戻した後に封止材料を硬化させることによって、封止材料で半導体素子を封止することを特徴とするフリップチップ実装された半導体素子の封止方法。
【請求項2】加温雰囲気下で上記の印刷を行なうことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装された半導体素子の封止方法。
【請求項3】封止する部分を加温しながら上記の印刷を行なうことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装された半導体素子の封止方法。
【請求項4】半導体素子の上面とマスクの上面が面一になるようにマスクを配線基板に重ねて印刷を行なうことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフリップチップ実装された半導体素子の封止方法。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれかの方法で配線基板上に半導体素子が封止されて成ることを特徴とする半導体装置。」

[2]当審の拒絶理由の概要
当審において平成15年2月14日付で通知した拒絶理由の概要は、本願の請求項1〜5に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物1〜3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

刊行物1:特開平5-175260号公報
刊行物2:特開平5-114620号公報
刊行物3:特開昭54-11696号公報

[3]刊行物の記載事項
(1)刊行物1
上記刊行物1の特開平5-175260号公報には、回路基板上にフリップチップボンディングにより搭載された半導体チップを樹脂封止する封止方法に関する発明が図1とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
「回路基板11上に搭載された・・・半導体チップ13を封止材17で封止する場合には、・・・印刷用マスク18を回路基板11の上面に位置合わせして、つまり印刷用マスク18の各開口部20内の中央部に各半導体チップ13が位置するようにして、載置する。次に、スキージ19で・・・樹脂からなる封止材17を印刷用マスク18の各開口部20内に印刷する。すると、印刷された・・・樹脂からなる封止材17は、印刷用マスク18の開口部20の壁面と半導体チップ13の外側面との間の隙間を通って半導体チップ13と回路基板11との間に進入しながら、これらの隙間の空気をすべて回路基板11の空気逃げ孔16を介して印刷用スキージ12の空気逃げ孔16内に強制的に排除し、印刷用マスク18の開口部20の壁面と半導体チップ13の外側面との間の隙間および半導体チップ13と回路基板11との間の隙間に順次充満された後、回路基板11の空気逃げ孔16内に進入する。そして、印刷された・・・樹脂からなる封止材17が硬化する」(2頁右欄42行〜3頁左欄14行)
「印刷用ステージ12の空気逃げ孔16をチューブを介して真空ポンプに連結し、封止材17を印刷するとき、回路基板11の空気逃げ孔15を真空ポンプで吸引するようにしてもよい。このときは、封止材17を印刷するとき、半導体チップ13と回路基板11との間の隙間の空気を回路基板11の空気逃げ孔15を介して強制的に排除することができる」(3頁左欄39行〜右欄3行)
「半導体チップと回路基板との間の隙間に封止材が進入していく際、この隙間の空気を回路基板の空気逃げ孔を介して強制的に排除することができ、この隙間に進入した封止材中に気泡が残存しないようにすることができ」(3頁右欄19〜23行)
「印刷用ステージ12にヒータを取り付け、例えば高粘度樹脂からなる封止材17を印刷するとき、ヒータにより回路基板11を介して封止材17を加熱し、これにより封止材17の粘度を下げてもよい。」(3頁右欄6〜9行)

(2)刊行物2
上記刊行物2の特開平5-114620号公報には、基板上に搭載された電子部品を孔版印刷手段を適用して樹脂封止するに際し、スキージ作動による孔版通孔への樹脂の押込み充填を真空下で行なうことで、空気巻込みや残存空気にもとづく気泡発生を防止できる発明が図1〜4とともに開示されている。

(3)刊行物3
上記刊行物3の特開昭54-11696号公報には、フリップチップ形半導体装置の上方からレジンを滴下した後、この半導体装置を真空容器内に挿入し、真空ポンプで真空容器の排気を行うことによって、電極部と配線導体層との連結部や電子部品と配線基板との間の空隙部等にもレジンを十分浸透させて完全に封止を行なう発明が第1、2図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
「レジン5は・・・半導体装置1、金属バンプ2と配線導体層4との連結部および配線導体層4の全面を覆う。次に半導体装置1および配線基板3を真空容器内より取り出し、恒温槽によりレジン5を硬化させることによって、封止が完了する。」(2頁右上欄19行〜左下欄5行)

[4]対比・判断
本願発明1と上記刊行物1に記載の発明とを対比すると、両者は、「表面に突起電極としてバンプが設けられた半導体素子を配線基板の上に載置すると共に配線基板の電極にバンプを接合させるフリップチップ実装によって、配線基板に半導体素子を搭載し、開口部を設けて形成したマスクを開口部の内側に半導体素子を位置させて配線基板に重ね、マスクの上に供給された封止材料をスキージで擦ることによってマスクの開口部を通して封止材料を印刷すると共に封止材料で半導体素子を封止するフリップチップ実装された半導体素子の封止方法」の点で一致するものの、a)本願発明1が封止材料を減圧条件下でスキージで擦るのに対し、刊行物1に記載の発明はそのようなものではない点、及びb)本願発明1が常圧に戻した後に封止材料を硬化させるのに対し、刊行物1に記載の発明はそのようなものではない点でそれぞれ相違する。

そこで、上記相違点a)、b)について以下検討する。
相違点a)について:本願発明1は、封止材料を減圧条件下でスキージで擦ることにより、空気が封止材料に巻き込まれて封止材料中に気泡が発生するのを防止するものであるが、フリップチップ実装した半導体素子と配線基板との間の隙間に封止樹脂を充填するに際し、真空下で封止樹脂を充填することにより気泡の発生を防止することは、上記刊行物2、3に開示されているように周知の技術にすぎない。そして、刊行物1に記載の発明も、隙間の空気を回路基板の空気逃げ孔を介して真空ポンプで強制的に排除することにより、隙間に進入した封止材中に気泡が残存しないようにしているから、この空気逃げ孔に替えて真空下で封止材料を充填する上記周知の技術を適用して、封止材料中の気泡の発生を防止するようなことは容易に想到することができたものである。
相違点b)について:本願発明1は、常圧に戻した後に封止材料を硬化させることにより、常圧に戻すときに未硬化状態の封止材料を介して、半導体素子と配線基板との間の隙間と大気との間に生じる差圧を利用して、隙間に封止材料を浸透させて充填するものであるが、刊行物3に記載の発明も、半導体装置と配線基板を真空容器内より取り出してからレジンを硬化させる方法を採用している以上、真空から常圧に戻すときに半導体装置と配線基板との間に残存する隙間には封止材料が浸透して充填されることは明らかであり、しかもこの方法を採用する場合の封止材料の充填の仕方は、真空容器内で行なうものであれば、刊行物3に記載のレジンの滴下に限らずどのような充填の仕方(たとえば、刊行物1に記載のようなスキージによる充填)でもよいから、上記相違点a)において検討したように、刊行物1に記載の発明において真空下で封止材料を充填する周知の技術を適用する場合に、常圧に戻した後に封止材料を硬化させる方法を採用する程度のことは容易に想到することができるものである。
そして、本願発明1の上記相違点a)、b)に係る構成は顕著な効果を奏するものであるとすることもできない。
したがって、本願発明1は刊行物1、2に記載の発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[5]むすび
以上のとおりであるから、本願発明2〜5については検討するまでもなく、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-25 
結審通知日 2003-08-26 
審決日 2003-09-10 
出願番号 特願平9-194470
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 貢田代 吉成  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 市川 祐司
伊藤 明
発明の名称 半導体装置の製造方法及び半導体装置  
代理人 西川 惠清  
代理人 森 厚夫  

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