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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1085993
審判番号 不服2001-17891  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-31 
確定日 2003-11-07 
事件の表示 平成7年特許願第59621号「密閉槽の連結の間に於ける、水、気転換型蒸留装置」拒絶査定に対する審判事件[平成8年8月27日出願公開、特開平 8-215670]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.経緯・本願発明
本願出願は、平成7年2月13日に特許出願され、平成11年11月29日に手続補正がなされたものであって、その請求項に係る発明は、蒸留装置に関するものである。

II.原査定の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「平成11年11月29日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

この手続補正により補正された水、気転換型蒸留装置は、回転ドラムに被処理液を滴化し、これを蒸発させて転換水を得る方式であり、黒色蒸発皿に供給した被処理水を太陽光等を利用して蒸発する方式とは全く異り、当初の明細書の記載から直接的かつ一義的に導き出せるものではない。」
なお、上記「滴化」は、当該補正後の請求項4及び段落0004の記載からみて、「滴下」の誤記と認められる。

III.当審の判断
原査定の拒絶の理由は、要するに、平成11年11月29日の補正は、蒸留装置において、「黒色蒸発皿に供給した被処理水を太陽光等を利用して蒸発する方式」を、「回転ドラムに被処理液を滴下し、これを蒸発させる方式」に補正するものであり、この補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という)に記載した事項の範囲内においてしたものでないということにある。
そして、当該「回転ドラムに被処理液を滴下し、これを蒸発させる方式」に係る補正事項は、当該補正後の明細書において、次のとおりである。
(1)「この滴下された被蒸留液は、回転ドラムの片側で受け、その重さで緩やかに回転し、直電熱管の熱を受けて、蒸発、回転を繰り返す。」(請求項4)
(2)「下部槽の中には上から、ガラス製懸下一時受け槽、その淵を跨いだ数本のU字状細管、布製円筒(ドラム)、更にその芯には電熱直管が通っている。この電熱直管は下部遍芯であって、両端はピローベァリングを貫き支持枠で、固定されている。布製円筒(ドラム)は回転するが、電熱直管は回転しない。」(請求項1の抜粋)
(3)「細管からの滴下水を片側に受けるように、水平にセットされたドラムはその芯に下部を向けて熱を当てるようにセットされた直電熱管が通って、塞がっており、ドラムと直電熱管は互いに独立して固定されておるのであるから、滴下水による重さと、内部からの熱で回転、蒸発を繰り返す。」(段落0004の抜粋)
(4)「布製回転ドラムから落ちる濃縮残留液量、槽内循環速度 即ち転換水収集量は、は加える熱量と注ぎ込む被蒸溜液量との関係によるところが大きいが、槽内減圧加減、外壁の傾斜、縦への伸び具合にもよります。」(段落0005の抜粋)
〔以上の(1)〜(4)の記載内容を、以下、それぞれ、本件補正事項(1)〜本件補正事項(4)という〕

そこで、本件補正事項(1)〜(4)について、当初明細書等の記載において、それらと関連があると認められる記載を摘記すると、以下のとおりとなる。
(a)「気密化した2個の槽を、水の落下に沿って、連結配置する間に、黒色蒸発皿を、終日の太陽光線を充分に受けるように、水平に置いた蒸留装置であって、被蒸発液の蒸発作用の促進のために、ガラスの気密槽を作成して、この黒色蒸発皿を覆い、熱及び、蒸発水蒸気の拡散を防ぎ、併せてその水蒸気が結露して、落下生成される転換水が外気に触れるのを防いで、より高度の転換水を、下部槽のなかに置いた、転換水収集器のなかに、収集するものである。」(請求項1)
(b)「・・・被蒸留液を、ホースで、第2槽のなかに水平に設置した、黒色蒸発皿のなかに導く。その導き方は、第1槽に繋いだホースのなかを下りてきた被蒸発液が、この黒色蒸発皿のなかで、あくまで、広く、薄く、そして満遍なく広がるようにする。そのためには、黒色蒸発皿のなかに導いて下ろした、このホースの他端を、黒色蒸発皿の水平底盤から、僅かの間隔を開けて、この黒色蒸発皿に固定する。」(請求項2)
(c)「この黒色蒸発皿は、底盤が二重の密閉構造となっていて、そのなかに暖まり易く、そして冷えにくい物体の封入をはかる。」(請求項3)
(d)「この黒色蒸発皿のなかには、綿、ヘチマ等植物繊維で出来た、黒色の、洋タオル、或いはモップ等を入れて、被蒸発液の浸透を図る。」(請求項5)
(e)「本発明は、太陽光が本装置に当たることによって機能するのであるが、被蒸発液が、蒸発の後に、結露してガラス板に付着した水滴に太陽光の充分な照射が遮られて、思うように機能しない。よって、やむを得ず、電灯、或いは電磁ヒーターを装置の内部に取り込み、太陽光の代用を図った。勿論両者の併用が、この厄介な現象の貫徹には、最も効果的であることには変わりない。しかしながら、加えるエネルギーを出来るだけ少なくして、いかに効果的に、この転換現象の貫徹を図るかが、本願の眼目とするところである。」(段落0003)
(f)「次ぎに、蒸発作用は、水面の広さに比例するので、この水面を広げる意味で、そして又、円形黒色蒸発皿の中の被蒸発液が、水蒸気と成り易くするために、黒色の植物繊維で出来た、洋タオル、或いはモップ状のものを、この被蒸発液の中に浸して、繊維に浸透させる。」(段落0004の抜粋)
(g)「本願装置は白日の太陽光線のもとにさらすことによって本来作用するものであるが、補足的に電灯の照射の助けを借りるものとする。蒸発作用は、水面の広さに比例し、水溜まりの深さ(暖まりにくさ)に反比例する。この観点から、円形黒色蒸発皿の中に、黒色の植物繊維で出来た、綿の洋タオル、或いはモップなどを浸して、植物繊維に浸透させて、蒸発の促進を図り、被蒸発液を、薄く広げることによって、この全体温度を上げて、併せて蒸発促進に役立てる。ガラス丸棒をとんがり帽子状に組んで置いたのも、蒸発現象の早期回転を図ったものである。他の、円形黒色蒸発皿を二重にして、異物体を封入したことも、槽内を減圧化したことも、総べて、被蒸発液の温度を上げ、蒸発の促進を、更に促し、もってこの厄介な転換現象を、低廉に、しかも早く貫徹するための工夫である。この一連の工夫によって、装置を拡大したり、200vの電磁ヒーターを仕込んで、いかほどの、我々の期待するだけの水量がえられるかが、これからの課題である。」(段落0005)
(h)「23 電線、24 裸電球」(図1及び2)

これらの記載によれば、本件補正事項(1)〜(4)は、当初明細書等には記載されていない。
そして、当初明細書等には、蒸留装置における蒸発手段である円形黒色蒸発皿の中に、「蒸発作用は、水面の広さに比例するので、この水面を広げる意味で、そして又、円形黒色蒸発皿の中の被蒸発液が、水蒸気と成り易くするために、綿、ヘチマ等植物繊維で出来た、黒色の、洋タオル、或いはモップ等を入れること」〔上記(d)及び(f)〕が示されているとしても、そのことから、上記の本件補正事項(1)〜(4)における、回転ドラム、布製円筒(ドラム)、ドラム、及び、布製回転ドラムを設けることが、直接的かつ一義的に導き出せるものでもない。
また、当初明細書等には、蒸留装置において、「電磁ヒータを設ける」〔上記(e)及び(g)〕ことが示されるが、そのことから、上記の本件補正事項(1)における「被蒸留液は、直電熱管の熱を受けて蒸発、回転を繰り返す」こと、上記の本件補正事項(2)における「布製円筒(ドラム)の芯には電熱直管が通っている」こと、及び、上記の本件補正事項(3)における「ドラムは直電熱管が通っている」ことが、直接的かつ一義的に導き出せるものでもない。

したがって、本件補正事項(1)〜(4)は、当初明細書に記載した範囲外の事項を記載したものであるから、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した範囲内においてなされたとすることができない。

IV.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第2項の規定により、同法第17条の2第1項の場合に準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-01-28 
結審通知日 2003-02-04 
審決日 2003-02-17 
出願番号 特願平7-59621
審決分類 P 1 8・ 55- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥井 正樹真々田 忠博杉江 渉  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
発明の名称 密閉槽の連結の間に於ける、水、気転換型蒸留装置  
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