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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1086132
審判番号 不服2001-192  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-09-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-09 
確定日 2003-10-29 
事件の表示 平成 9年特許願第 65394号「保持剤塗布包装袋」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 9月14日出願公開、特開平10-245074]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成9年3月4日の出願であって、平成11年11月9日付け拒絶理由通知書に対してなされた平成12年1月12日提出の手続補正書に係る手続きが、その応答期限経過後の提出であったため、当該手続補正書に係る手続きについて平成12年5月9日付け手続却下の処分がなされたものであり、本願の請求項1〜5に発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項3に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項3】ミネラル、酵素、炭素等を成分とする保持剤をシ-トの片面に塗布したことを特徴とする保持剤塗布シ-ト。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された特開平7-41056号公報(平成7年2月10日出願公開。以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(記載ア)「【請求項1】ゼオライト等の多孔性鉱物及び陶石の適量を粉砕して混合し、これに脱水素酵素の適量を添加して混合させて醗酵させ、次いで加熱焼結すると共に膠化体に粉砕し、この後印刷用インクと混合して特殊印刷用インクを調製し、この特殊印刷用インクを金属箔の片面あるいは金属蒸着シートの金属層と反対面に塗布して鮮度保持層を形成し、この鮮度保持層にガス透過性のラミネート層を積層して鮮度保持用材を構成し、この鮮度保持用材を金属箔あるいは金属層側で箱本体の内面に貼着して成ることを特徴とする鮮度保持用箱。」(特許請求の範囲請求項1)
(記載イ)「【産業上の利用分野】本発明は、食品や生花などの鮮度を保持するための箱に関する。」(第0001段落)
(記載ウ)「・・・・金属蒸着シート1としては、熱光線による分子の活性化が反復して高められることからアルミ箔あるいはアルミ蒸着シートが好ましい。・・・・」(第0009段落)
(記載エ)「【発明の効果】本発明にあっては、ゼオライト等の多孔性鉱物及び陶石の適量を粉砕して混合し、これに脱水素酵素の適量を添加して混合させて醗酵させ、次いで加熱焼結すると共に膠化体に粉砕し、この後印刷用インクと混合して特殊印刷用インクを調製し、この特殊印刷用インクを金属箔の片面あるいは金属蒸着シートの金属層と反対面に塗布して鮮度保持層を形成し、この鮮度保持層にガス透過性のラミネート層を積層して鮮度保持用材を構成し、この鮮度保持用材を金属箔あるいは金属層側で箱本体の内面に貼着しているので、水素を始め、塩素、硫黄、炭素、鉄分及びカルシウムあるいはアミノ酸等の無機質及び有機質を還元あるいは分解する作用を有する脱水素酵素が鮮度保持層からラミネート層を通して内側へ徐々に揮散され、長期間に亘って、鮮度保持機能を奏することができると共に多孔性鉱物の優れた吸着性能との相乗効果により食品などから発生するエチレンガス、アンモニアガス、あるいは魚肉の分解ガスを吸着し、食品等の有用なアミノ酸に変換することにより変質や腐敗の促進を効果的に抑制し、鮮度保持と悪臭の発生防止に著しい効果を発揮するものである。しかも、脱水素酵素は金属箔あるいは金属層により外部へ放散されることはなく、効率よく活用され、さらに、鮮度保持層はラミネート層により保護されて、食品等の収納の際に破損してしまうことがないものである。」(第0014段落)
(記載オ)図3には、アルミ層2、アルミ蒸着シート1、鮮度保持層3、ラミネート層4の順に積層されたシートの形態をした鮮度保持用材5が記載されている。
そして、上記記載アの事項のうち、「ゼオライト等の多孔性鉱物及び陶石の適量を粉砕して混合し、これに脱水素酵素の適量を添加して混合させて醗酵させ、次いで加熱焼結すると共に膠化体に粉砕し、この後印刷用インクと混合して特殊印刷用インクを調製し」との記載から、当該特殊印刷用インクは、ゼオライト等の多孔性鉱物と脱水素酵素とを成分としているといえる。
さらに、上記記載アの事項のうち、「この特殊印刷用インクを金属箔の片面あるいは金属蒸着シートの金属層と反対面に塗布して鮮度保持層を形成し」との記載及び記載ウの金属蒸着シートはアルミ蒸着シートが好ましいとの事項から、特殊印刷用インクはアルミ蒸着シート(金属蒸着シート)の片面に塗布されているといえる。
そうすると、結局、引用刊行物には、上記記載ア〜オの事項及び図面からみて、「ゼオライト等の多孔性鉱物、脱水素酵素等を成分とする特殊印刷用インクをアルミ蒸着シ-トの片面に塗布した鮮度保持用材。」の発明(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

3.対比
次に、本願発明と引用刊行物記載の発明を対比する。
引用刊行物記載の発明の「ゼオライト等の多孔性鉱物」は、一般に「鉱物」が、「ミネラル、無機物」という意味で用いられていること(「広辞苑」等参照。)から、本願発明の「ミネラル」に相当する。
また、引用刊行物記載の発明の「脱水素酵素」、「アルミ蒸着シート」、「鮮度保持用材」は、本願発明の「酵素」、「シート」、「保持剤塗布シート」にそれぞれ相当し、引用刊行物記載の発明の「特殊印刷用インク」は、ミネラル、酵素を成分として含む特殊印刷用インクが金属蒸着シートの金属層と反対面に塗布されて鮮度保持層を形成しており(上記記載ア、エの事項参照。)、本願発明の鮮度等を保持する作用を有する「保持剤」に相当する。
したがって、両者は「ミネラル、酵素等を成分とする保持剤をシ-トの片面に塗布した保持剤塗布シ-ト。」である点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点
本願発明は、保持剤の成分として、「ミネラル、酵素、炭素等」とし、「炭素」を含んでいるのに対して、引用刊行物記載の発明は、保持剤の成分として、「ミネラル、酵素等」とし、「炭素」を含んでいない点。

4.相違点の判断
そこで、上記相違点について検討する。
本願発明の目的は、生鮮食料品等の食品を包装する場合に、食品の初期の鮮度保持を行うことにある(本願明細書第0005段落参照。)。
一方、生鮮食品等の食品を包装する場合に、初期の鮮度保持を行うために、炭素粉末、活性炭等を食品を包装するシートに含ませて、食品から発生する鮮度保持に悪影響を及ぼすガスを取り除くことは、本願の出願前に周知の技術的事項である(必要であれば、実願平2-404474号(実開平6-21743号)のCD-ROM、特開平9-29853号公報、実願昭63-128772号(実開平2-49884号)のマイクロフィルム、特開昭63-110186号公報、特開平2-212137号公報等参照。)。
そうすると、引用刊行物記載の発明において、シートに塗布する保持剤(特殊印刷用インク)の成分として、食品包装における食品の鮮度保持の機能を果たす「ミネラル、酵素等」に加え、引用刊行物記載の発明と同一の技術分野に属するとともに食品包装において鮮度保持の機能を果たす成分として上記した本願の出願前に周知の技術的事項である炭素粉末、活性炭等の「炭素」を成分として加えて、食品の鮮度保持のさらなる向上を指向することは、当業者が容易になし得たことである。
なお、請求人は、審判請求書において、「(3)本願明細書の記載中に不明瞭な記載がありますので、明確にしたいと考えておりますので、明細書を補正できる機会を下さるよう御願い申し上げます。
(イ)明細書中の【0006】を以下のように補正する必要があると考えております。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、中間材の片面に炭素、ミネラル、酵素等を成分とする保持剤を塗布したことを特徴とする保持剤塗布包装袋及び中間材の両面に保持剤を塗布したことを特徴とする保持剤塗布包装袋の構成とした。
(ロ)明細書中の【0012】を以下のように補正する必要があると考えております。 ・・・・(中略)・・・・
(ル)明細書中の【符号の説明】を以下のように補正する必要があると考えております。
【符号の説明】1 保持剤塗布包装袋」(審判請求書第5頁〜第8行)旨主張するが、仮に当該補正をしたとしても、請求項について補正をするものではなく、上記したとおり、本願発明は当業者が容易に発明をすることができたものであるので、新たに補正の機会を与える必要を認めない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び従来周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-02 
結審通知日 2003-09-03 
審決日 2003-09-17 
出願番号 特願平9-65394
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 溝渕 良一  
特許庁審判長 鈴木 公子
特許庁審判官 山崎 勝司
杉原 進
発明の名称 保持剤塗布包装袋  
代理人 中川 邦雄  
代理人 中川 邦雄  
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