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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04D
管理番号 1086207
審判番号 不服2002-847  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-07-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-01-17 
確定日 2003-11-05 
事件の表示 平成 9年特許願第359763号「縦葺き外装構造」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 7月13日出願公開、特開平11-190106]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成9年12月26日の出願であって、その請求項1ないし8に係る発明は、平成15年6月25日付けで方式補正された平成15年6月13日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、請求項1に記載された発明を「本願発明」という。)は次のとおりである。
【請求項1】 流れ方向に沿って下地に複数の保持部材を固定し、左右方向に隣接する前記保持部材間に採光体又は太陽電池パネルを配置し、流れ方向に沿う流水空間内にて、採光体又は太陽電池パネル、或いはその両方と保持部材とを係合又はビス止めにより取り付けたことを特徴とする縦葺き外装構造。
【請求項2】〜【請求項8】省略。

2.引用例
これに対して、当審において平成15年4月9日付けで通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平7-189432号公報(以下、「引用例1」という。)には、縦葺き屋根構造に関して、段落番号【0016】に「樋部材13は、図示したように上方に開放した略U字形断面形状を有し、流れ方向に長尺な定尺部材として鋼板等を曲げ加工して形成されている。これに対して、吊子部材14はアルミニウム合金、硬質樹脂などの短尺な押出型材からなっており、樋部材13上にその流れ方向に沿って複数個のものが要所に配設され、その外側に形成されたフランジ部14aを図示しないビス等の固定具を介して野地材11に締着することにより固定される。」、段落番号【0018】〜【0020】に「屋根板17は塗装鋼板等の金属板材を曲げ加工して構成されており、その両端の側縁部17aの下端を内側に折り返して形成された係合部17bを吊子部材14の中央部に形成された被係合部14bに係合させた・・・カバー部材18は屋根板17と同様に金属薄板材を曲げ加工して、前記シール部材19ともども屋根の流れ方向に長尺な定尺材として形成されており、シール部材19に嵌装した状態で屋根面の体裁を整えると共に隣接する屋根板17,17の継ぎ目の防水を図っている。この発明では、例えばこのような屋根構造において、内層材15の上面にシート状の防水材20を敷設する。この防水材20は例えばアスファルト系あるいは合成樹脂系の防水性シート材料から形成されている。この防水材20は、図1または図2に示したように、内層材15よりも幅広として、その桁方向の端部が樋部材13の排水空間13aに臨むように設定してある。このような構成としたことにより、仮に屋根板17の裏面側に結露水が生じたとしても、これが内層材15に染み込むのを防水材20を介して確実に阻止し、かつ結露水を防水材20の桁側端部から樋部材13の排水空間13aへと排除できるので、内層材15及びその下方の部材への浸水に原因する性能の劣化を確実に回避することができる。」と記載されており、これらの記載及び図1、図2を参照すると、引用文献1には、「流れ方向に沿って野地材に複数の吊子部材を固定し、左右方向に隣接する前記吊子部材間にその両端の側縁部の下端を内側に折り返して係合部を形成した金属板材から構成される屋根板を配置し、流れ方向に沿う排水空間内にて、屋根板と吊子部材とを係合により取り付け、吊子部材を挟んで配置される屋根板の側縁部間にカバー部材を配した縦葺き屋根構造」という発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。
同、特開平6-49963号公報(以下、「引用例2」という。)には、採光体と太陽電池パネルとを組み合わせて用いることが記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「野地材」、「吊子部材」、「排水空間」、「縦葺き屋根構造」は、それぞれ、本願発明の「下地」、「保持部材」、「流水空間」、「縦葺き外装構造」に相当し、引用例1記載の発明の「屋根板」と、本願発明の「採光体又は太陽電池パネル、或いはその両方」とは、「外装材」で共通するから、両者は、流れ方向に沿って下地に複数の保持部材を固定し、左右方向に隣接する前記保持部材間に外装材を配置し、流れ方向に沿う流水空間内にて、外装材と保持部材とを係合により取り付けた縦葺き外装構造の点で一致し、下記の点で相違している。
相違点:外装材が、本願発明では、採光体又は太陽電池パネル、或いはその両方であるのに対し、引用例1記載の発明では、金属板材から構成される屋根板である点。
しかしながら、外装材、特に屋根板として、採光体又は太陽電池パネルを用いることは、例をあげるまでもなく周知技術にすぎず、また、引用例2には、採光体と太陽電池パネルとを組み合わせて用いることが記載されており、引用例1記載の発明の金属板材から構成される屋根板に替えて上記周知技術又は引用例2記載のものを採用し、上記相違点に係る本願発明のようにすることは、当業者が容易になしうることにすぎない。
そして、本願発明によってもたらされる効果も、引用例1、2記載の発明および周知技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別なものとはいえない。

4.むすび
以上のように、本願発明は、引用例1記載の発明および周知技術又は引用例2記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-07-22 
結審通知日 2003-07-29 
審決日 2003-09-08 
出願番号 特願平9-359763
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E04D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽七字 ひろみ吉岡 麻由子  
特許庁審判長 鈴木 憲子
特許庁審判官 田中 弘満
長島 和子
発明の名称 縦葺き外装構造  
代理人 福田 賢三  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  

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