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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1086211
審判番号 不服2002-7590  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-07-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-30 
確定日 2003-11-04 
事件の表示 平成 3年特許願第332184号「情報販売端末装置,情報販売システムおよびそれらの方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 7月 2日出願公開、特開平 5-165782]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯等
本願は平成3年12月16日の出願であって、平成15年4月14日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、「情報販売端末装置,情報販売システムおよびそれらの方法」に関するものと認める。

2.当審の拒絶理由
これに対して、当審において平成15年2月19日付けで通知した2つの拒絶の理由のうち、理由A)の概要は、「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項、5項第1号ないし第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。」というものであって、下記の不備を指摘している。

1)本願明細書第46段落の記載、第67段落ないし第79段落の記載は以下の点で不明である。
・第46段落の照合用登録パスワードとはどのようなものか不明である。
・第71段落の演算パスワードと第72段落のパスワードは同じものであるのか、第72段落のパスワードに何らかの演算をして演算パスワードが得られるのか不明である。
・第77段落の入力の演算パスワードとシステムパスワードの合成とは具体的にどのような処理をしているのか不明である。
・第78段落ないし第79段落で、なぜシステムパスワードメモリ204からの照合用登録パスワードと、作成の照合用パスワードについて一致判定が得られるのか不明である。
・本願明細書の記載では、演算パスワード、演算パスワードとシステムパスワードの合成、照合用登録パスワードが各々どのようなものか不明である。その結果、第79段落の一致判定は、例えば、その内容として図3(200)のCD-ROMシステムの正当性を判定しているのか、第69段落に記載された、購入したいプログラムの販売の可否を判定しているのか不明である。
2)(省略)
3)(省略)
4)(省略)
5)(省略)
6)(省略)

3.請求人の主張
請求人は、当審で通知した拒絶の理由の上記2.の記1)に対して、平成15年4月14日付の意見書において、以下の主張をしている。
「A-1):0046、0067〜0071の記載について
段落0046の照合用登録パスワードは、CD-ROMシステムが正規か否か、販売契約が結ばれたか否かおよび記憶媒体が正規か否かを判定するために使用する2つのパスワードの1つです。(明細書の段落0078参照)
ホスト装置がCD-ROMシステムに対して送信する演算パスワードはテーブル(段落0072)に記載された複数の(演算)パスワードの中から検索により1つが抽出されれます。なお、この「パスワード」の表現がまぎらわしいのであれば、「演算パスワード」と補正するのにやぶさかではありません。ご指示くださいますようお願いします。演算パスワードは演算で得られるのではなく、上述のように検索により得られます。
代表的な周知の合成例では1つ目のパスワード(演算パスワード)を上位ビットに2つめのパスワード(システムパスワード)を下位ビットとする照合用パスワードを合成することができます。実際に使用されている合成方法はセキュリティに関係しますので開示はご容赦願います。
演算パスワード、システムパスワード、演算パスワードおよびシステムパスワードの合成に関しては上述の補足説明にて理解していただければ幸いです。なお、ご不明の点があれば、面談等にて説明に伺いたく存じます。
パスワード照合は上述のとおり、正規の販売契約(注文)が行われたか否か(注.演算パスワードが正規のものと異なるとパスワード照合では不一致判定となる)、CD-ROMシステムが正規のものか(パスワード照合ではシステムパスワードが正規のものと異なると不一致判定となる)および携帯用記憶媒体が正規のものか否か(パスワード照合では照合用登録パスワードが正規のものと異なると不一致判定となる)の3つの判定を目的としたものです。」
そして、請求人は上記主張において、パスワードの合成に関する説明はしているが、なぜ照合用登録パスワードと、合成された照合用パスワードについて一致判定が得られるのかについては何ら説明していない。

4.明細書記載事項
演算パスワード等のパスワードに関して、本願明細書には以下の事項が記載されている。
イ.「【請求項1】 有料で販売する有料情報を予め記憶した携帯用記憶媒体が配布されており、前記携帯用記憶媒体を装着し、ユーザのパーソナルコンピュータに対して前記携帯用記憶媒体に記憶された有料情報を転送する情報販売端末装置であって、
当該装着された携帯用記憶媒体から前記有料情報を読出すための情報読出し手段と、
前記ユーザのパーソナルコンピュータから前記有料情報についての注文情報を受付けて前記公衆回線を介して有料情報販売会社のホスト装置に送信する注文情報送信手段と、
前記ホスト装置は前記注文情報に対応した、前記有料情報の引き渡しのための第1のパスワードを与え、前記ホスト装置から与えられた第1のパスワードを公衆回線を介して受信するパスワード受信手段と、
第2のパスワードを記憶した記憶手段と、
前記携帯用記憶媒体には登録パスワードが記憶されており、前記パスワード受信手段において受信された第1のパスワードと前記記憶手段に記憶された第2のパスワードとを合成して照合用のパスワードを作成し、当該作成した照合用のパスワードと予め定められた前記携帯用記憶媒体上の登録パスワードとの照合を行うパスワード照合手段と、
当該パスワード照合の結果、前記照合用のパスワードおよび前記登録パスワードの一致判定が得られた場合にのみ、前記有料情報の引き渡しのために前記情報読出し手段による前記有料情報の読出しを許可する制御手段と
を具え、前記読出し許可に応じて前記読出し手段により読み出された有料情報を前記パーソナルコンピュータに転送することを特徴とする情報販売端末装置。」

ロ.「【0046】
システムパスワードメモリ204にはシステムパスワードおよび照合用登録パスワードを記憶している。照合用登録パスワードは、本発明に関わるパスワード照合に用いられる。」

ハ.「【0069】
CPU101はモデム203を制御してソフトウエア・データベース販売会社の電話受付オペレーションセンタ300へ電話をかける。このとき、モデム203は電話受付オペレーションセンタ300の自動音声応答機303との間でメッセージ通信を実行し、注文情報を送信する(図9のステップS315)。注文情報としては代金支払に必要なクレジットナンバ,購入の意志を示す識別番号,購入したいプログラムまたはデータの識別番号,システムパスワードが用意されている。
【0070】
自動音声応答交換機303は本発明の注文情報受信手段として上述の注文情報を受信する毎に受信のユーザ関連情報を第1サブコンピュータ302に転送する。
【0071】
第1サブコンピュータ302はホストコンピュータ301に登録されているユーザ情報および予め定めた販売条件に基づき、販売を許可するか否かの判定を行う。販売を許可する場合は、第1サブコンピュータ302から自動音声応答交換機303に、販売プログラムまたは販売データに対応する演算パスワードおよび販売料金をユーザ側のモデム203に通信するように指示する。
【0072】
なお、第1サブコンピュータ302内のメモリには有料情報の識別番号と有料情報の引き渡しに用いるパスワードをテーブル形態で格納しており、第1サブコンピュータ302のCPUの検索により、注文を受けた有料情報の識別番号に対応のパスワードを検索により抽出する。」

ニ.「【0076】
このようにして、モデム203は電話受付オペレーションセンタ300から有料情報引き渡しのための演算パスワードを受信すると、CPU101に対して演算パスワードを入力する(図9のS320)。
【0077】
CPU101はCD-ROMシステム本体内のシステムパスワードメモリ204から専用インタフェースボード201を介してシステムパスワードを読出す。次に、CPU101は入力の演算パスワードと上記システムパスワードを合成し、照合用パスワードを作成する(図9のステップS330)。
【0078】
CPU101は、システムパスワードメモリ204から照合用登録パスワードを読出し、合成された照合用パスワードとの一致比較を行う(図9のステップS340→S350)。
【0079】
正規の販入手続により演算パスワードが知らされた場合は、上記両パスワードについては一致判定が得られるので、CPU101は、専用インタフェースボード201上の暗号解読用IC201Aを起動させる(ステップS350→S360)。」

ホ.「【0083】
また、演算パスワードはソフトウエア・データベース販売会社とユーザとの間で販売契約が成立しないとCD-ROMシステム200へ送信されない。このため、たとえば、CD-ROM205をユーザが保有していてもCD-ROM205上の販売プログラム上は演算パスワードの入力がない限り、取り出すことはできない。」

ヘ.「【0085】
さらに、CD-ROMシステム200内に格納された、ユーザの知ることができないシステムパスワードが電話受付オペレーションセンタ側のユーザの調査に用いられるので、CD-ROMシステム200以外の端末装置を用いて演算パスワードを悪意的にユーザが知ろうとしても、演算パスワードを知ることはできない。」

ト.「【0099】
(5)第1実施例ではシステムパスワードメモリ204にシステムパスワード,照合用(登録)パスワードを記憶させているが、照合用登録パスワードをCD-ROM205上に格納しおくと、CD-ROM205の配布毎に照合用登録パスワードを変えることができ、販売用プログラムの機密性がさらに高まる。」

チ.「【0105】
この場合、本発明のパスワード入力手段,パスワード照合手段はパーソナルコンピュータではなくCD-ROMシステム本体に設ける。」

以上の記載からみて、請求項1の、第1のパスワード、第2のパスワード、登録パスワードは、各々発明の詳細な説明の、演算パスワード、システムパスワード、照合用登録パスワードに該当する。
そして、第46段落の記載、図3の記載及び第99段落の記載からみて、照合用登録パスワードは、CD-ROMシステム200又はCD-ROM205上に記憶されており、請求項1の「前記携帯用記憶媒体には登録パスワードが記憶されており、」という記載から、請求項1の記載は、照合用登録パスワードがCD-ROM205上に記憶されている場合に該当する。
また、第64段落の、ユーザは試行したい試行プログラムの識別名等をキーボード104から指示入力する旨の記載、図8のS200でプログラム選択をする点、図9のS310で販売プログラムの指定入力をする点からみて、有料情報である販売プログラムはCD-ROM205上に複数存在するものと解される。

5.当審の判断
(1)そこで、演算パスワード、演算パスワードとシステムパスワードの合成、照合用登録パスワードが各々どのようなものであり、なぜCD-ROM205上に記憶された照合用登録パスワードと、合成された照合用パスワードについて一致判定が得られるのかが、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に本願明細書の発明の詳細な説明に記載されているか否か及び特許請求の範囲の請求項1には、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項が記載されているか否かについて、請求人の主張を参酌しつつ検討する。

(2)仮に、販売情報がP種類で、p種類目(1≦p≦P)の「演算パスワード」をApとし、CD-ROMシステム200がQ台で、q台目(1≦q≦Q)の「システムパスワード」をBqとし、CD-ROM205がR枚で、r枚目(1≦r≦R)の「照合用登録パスワードをCrとし、上記3.で請求人の主張する、演算パスワードを上位ビットに、システムパスワードを下位ビットとする周知の合成演算を「+」で表す。
この場合、合成された照合用パスワードはAp+Bqとなる。
そうすると、「照合用パスワード」とCD-ROM205上の「照合用登録パスワード」が一致するためには、任意のp,q,rに対して、Cr=Ap+Bqとなることが条件となる。そこで、当該条件を満たすようにr枚目のCD-ROM205上に照合用登録パスワードCrを格納できるかについて検討する。

(3)まず、CD-ROM205上に、システムパスワードBqを格納できるかについて検討する。
第1に、システムパスワードBqは、q台目のCD-ROMシステム205上に格納されているものであり、これを予め知ることができる構成は発明の詳細な説明には記載されていない。したがって、CD-ROM205上にシステムパスワードBqを格納することはできない。
第2に、任意のqに対してCr=Ap+Bqが成立するためには、q1台目とq2台目のCD-ROMシステム205(1≦q1≦Qであり、1≦q2≦Qであり、q1≠q2である任意のq1,q2)のシステムパスワードBq1,Bq2についてBq1=Bq2、即ちシステムパスワードは全CD-ROMシステムで共通である必要があるが、発明の詳細な説明にはそのような事項は記載されておらず、むしろ、Bq1≠Bq2と解するのが自然である。そうすると、q1台目のCD-ROMシステム205で照合用パスワードと照合用登録パスワードが一致する場合には、q2台目のCD-ROMシステムでは一致しないことになる。
以上第1、第2の理由により、CD-ROM205上に、システムパスワードBqを格納することはできない。

(4)次に、CD-ROM205上に、演算パスワードApを格納できるかについて検討する。
「照合用登録パスワード」CrはCD-ROM205上に記憶されているのだから、CD-ROM205に対応した1つの情報であるのに対して、有料情報Apは4.のとおりCD-ROM205上に複数存在するものと解され、1つのCrに対して複数の有料情報(例えばAp1,Ap2)が対応することは、発明の詳細な説明の記載及び請求人の主張からは考えられない。したがって照合用登録パスワードが有料情報に対応した情報Apを有しているとはいえない。

(5)してみると、CD-ROM205上の「照合用登録パスワード」Crは、有料情報に対応した演算パスワードAp、当該CD-ROMシステム200に対応システムパスワードBqの少なくとも一方は有していない。
また、発明の詳細な説明を参酌しても、ApとBq以外の情報からAp+Bqを合成できる事情も認められない。
したがって、発明の詳細な説明では、なぜ一致判定ができるのか、即ちCr=Ap+Bqとなるのか不明である。

(6)また、上記4.のとおり、請求項1の第1のパスワード、第2のパスワード、登録パスワードは、各々発明の詳細な説明の、演算パスワード、システムパスワード、照合用登録パスワードに対応しているのだから、上記と同様の理由により、請求項1の構成でなぜ一致判定が得られるのか不明である。

(7)ところで、請求項1に係る発明は、第1のパスワードと第2のパスワードの合成について、請求人が例示する手法に限定されたものではない。 しかしながら、上記(1)乃至(6)で述べたように、請求人が例示する手法においても、なぜ一致判定が得られるのか不明であるのみならず、請求人が意見書で述べた周知の合成例以外の合成については発明の詳細な説明に記載されておらず、当該合成がどのようなものか不明であり、なぜ一致判定ができるのかも不明である。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第4項、第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていないので、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-09 
結審通知日 2003-09-09 
審決日 2003-09-24 
出願番号 特願平3-332184
審決分類 P 1 8・ 534- WZ (G06F)
P 1 8・ 531- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮司 卓佳  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 平井 誠
村上 友幸
発明の名称 情報販売端末装置,情報販売システムおよびそれらの方法  
代理人 谷 義一  
代理人 阿部 和夫  
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