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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1086246
審判番号 不服2000-352  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-06-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-13 
確定日 2003-11-07 
事件の表示 平成 6年特許願第312424号「可撓性防音床板」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 6月 4日出願公開、特開平 8-144486]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年11月21日の出願であって、平成11年12月7日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成12年1月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成12年6月16日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成12年6月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年6月16日付けの手続補正を却下する。
[理由]
上記補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「板状体の平行に対向する両端面に夫々雌雄実部が設けられていると共に該板状体の裏面に一辺に対して斜め方向に傾斜し、且つ上記雄実部の上面を越える深さに達する多数条の斜行溝が互いに平行に刻設され、直角に連なる雄実部に上記多数条の斜行溝の端部を上下面間に亘って貫通させていることを特徴とする可撓性防音床板。」から、
「板状体の平行に対向する両端面に夫々雌雄実部が設けられていると共に該板状体の裏面に一辺に対して斜め方向に傾斜し、且つ上記雄実部の上面を越える深さに達する多数条の斜行溝が互いに平行に刻設され、直角に連なる雄実部に上記多数条の斜行溝の端部を上下面間に亘って貫通させていると共に隣接する斜行溝間に存在する上記板状体の肉厚部分によって幅方向及び長さ方向に対する曲げ強度を増大させて折損を防止するように構成していることを特徴とする可撓性防音床板。」
と補正された。
上記特許請求の範囲の補正において、「と共に隣接する斜行溝間に存在する上記板状体の肉厚部分によって幅方向及び長さ方向に対する曲げ強度を増大させて折損を防止するように構成している」という事項を追加することは、特許法第17条の2第3項各号に規定するいずれの事項を目的とするものでもない。
したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成12年6月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された以下のとおりのものである。
【請求項1】 板状体の平行に対向する両端面に夫々雌雄実部が設けられていると共に該板状体の裏面に一辺に対して斜め方向に傾斜し、且つ上記雄実部の上面を越える深さに達する多数条の斜行溝が互いに平行に刻設され、直角に連なる雄実部に上記多数条の斜行溝の端部を上下面間に亘って貫通させていることを特徴とする可撓性防音床板。
【請求項2】(記載を省略)
【請求項3】(記載を省略)
【請求項4】(記載を省略)
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭63-107649号公報(以下、「引用文献1」という)には、特許請求の範囲の「(1)木質化粧板の裏面にシート状物を積層一体化すると共にシート状物の裏面に基板を積層一体化し、基板に切溝を設け、この基板の裏面に弾性体を積層一体化して成ることを特徴とする床材。」、1頁左下欄14,15行の「本発明は、防音及び防振機能を備えた床材に関する。」、2頁右上欄7行〜同左下欄5行の「切溝4は基板3の裏面側から上方に向けて切り込んであり、シート状物2に至るまで切り込んだり、あるいはシート状物2に至らない状態まで切り込んだりするものである。・・・・また切溝4は・・・・第7図(d)に示すように床板6の長手方向に対して斜め方向に1乃至複数個設けてもよく、あるいは第7図(e)に示すように床材6の長手方向に対して斜めとなった斜め格子状に設けたりしてもよいものである。また、切溝4としては溝巾及び溝深さは任意でよいが、特に下記の条件の場合にその防振性が顕著に発揮される。溝深さ…基板3の厚みの1/2以上」、2頁右下欄12,13行の「床板6には長手方向の一側に嵌合突部8が突設してあり、他側に嵌合凹部9が凹設してある。」、3頁左上欄13〜16行の「また基板に切溝を入れたので、・・・床材そのものの反りをおさえることができ、床面(例えばコンクリート面)へのなじみ性もよくなるものである。」及び第1,2図、第7図の特に(d)(e)の記載を参照し、「切溝を入れたので、・・・床面(例えばコンクリート面)へのなじみ性もよくなる」ということは、可撓性があるといえ、また、床材の長手方向に対して斜めとなった切溝は「斜行溝」であるといえるから、「木質化粧板の裏面にシート状物を積層一体化すると共にシート状物の裏面に基板を積層一体化し、この基板の裏面に弾性体を積層一体化して成る床材の、基材の平行に対向する両端面に夫々嵌合突部と嵌合凹部が設けられていると共に該基材の裏面に一辺に対して斜め方向に傾斜し、且つ基板の厚みの1/2以上でシート状物に至る深さを含む多数条の斜行溝が互いに平行に刻設されている可撓性防音床板」という発明(以下「引用文献1記載の発明」という。)が開示されていると認めることができる。
同じく、実公平4-3067号公報(以下、「引用文献2」という)には、実用新案登録請求の範囲第1項の「床板主体1の相対向する側端面の一方に、凹条溝よりなる雌実部3が設けられていると共に他方の側端面には上記雌実部3と嵌合可能な複数の突出片2からなる雄実部が、該突出片2,2の間に適宜間隔の空間部4を設けて断続的に突設されており、且つ床板主体1の下面には複数の溝などによる空気が流動可能な適宜幅の空気通路が形成されてなり、この空気通路5の端部を前記突出片2間の空間部4に連通させたことを特徴とする床仕上材。」、2頁4欄10〜15行の「1は表面に化粧層1aを設けている積層合板等よりなる長方形状の床材主体で、その長さ方向及び幅方向の一側端面には、所定間隔ごとに切欠きによる空間部4を介して同一突出長さの突出片2,2……2よりなる雄実部が形成されている」、3頁6欄8〜24行の「本考案の床仕上材によれば、床板主体1の相対向する側端面の一方に、凹条溝よりなる雌実部3が設けられていると共に他方の側端面には上記雌実部3と嵌合可能な複数の突出片2からなる雄実部が、該突出片2,2の間に適宜間隔の空間部4を設けて断続的に突設されており、且つ床板主体1の下面には複数の溝などによる空気が流動可能な適宜幅の空気通路5が形成されてなり、この空気通路5の端部を前記突出片2間の空間部4に連通させているので、床仕上材Aに衝撃力が作用した場合に、該床仕上材Aと床下地間の空気が圧縮、流動して雄実部の突出片2,2間の空間部4から室内側に流出し、床仕上材Aの下面通路5内の空気圧が増加することがないから床下地側に伝達する衝撃力を緩和して衝撃音の発生を抑制することができるものである。」及び図面の記載を参照すると、防音床板において、「床板主体の平行に対向する両端面に夫々雌雄実部が設けられていると共に該床板主体の裏面に複数の溝などによる空気が流動可能な空気通路が形成されてなり、この空気通路の端部を直角に連なる雄実部に適宜間隔で設けた空間部に連通させている」ことが記載されていると認めることができる。

(2)対比・判断
本願発明と、上記引用文献1記載の発明を比較すると、引用文献1記載の発明の「木質化粧板の裏面にシート状物を積層一体化すると共にシート状物の裏面に積層一体化した基板」、「嵌合突部と嵌合凹部」は、本願発明の「板状体」、「雌雄実部(雄実部と雌実部)」に相当するから、両者は、「板状体の平行に対向する両端面に夫々雌雄実部が設けられていると共に該板状体の裏面に一辺に対して斜め方向に傾斜する多数条の斜行溝が互いに平行に刻設されている可撓性防音床板」の点で一致し、下記の点で相違している。
相違点a:斜行溝の深さが、本願発明では、雄実部の上面を越える深さであるのに対し、引用文献1記載の発明では、基板の厚みの1/2以上でシート状物に至る深さを含むものである点。
相違点b:本願発明では、直角に連なる雄実部に多数条の斜行溝の端部を上下面間に亘って貫通させているのに対し、引用文献1記載の発明では、嵌合突部が直角に連なっておらず、かつ、切溝を斜行溝とした時の斜行溝の端部と嵌合突部との関係に関して明記されていない点。
相違点aについて検討すると、引用文献1記載の発明において、少なくともシート状物に至る深さの場合、第2図をみても明らかなように、溝の深さは嵌合突部上面を越えているといえ、上記相違点aに係る本願発明のようにすることは、当業者が適宜なしうることである。
相違点bについて検討するために引用文献2をみると、引用文献2には、本願発明や引用文献1記載の発明と同様の防音床板において、「床板主体(本願発明の「板状体」に相当)の平行に対向する両端面に夫々雌雄実部が設けられていると共に該床板主体の裏面に複数の溝などによる空気が流動可能な空気通路(本願発明の「斜行溝」に対応)が形成されてなり、この空気通路の端部を直角に連なる雄実部に適宜間隔で設けた空間部に連通させている」ことが記載されており、「空気通路の端部を直角に連なる雄実部に適宜間隔で設けた空間部に連通させている」ことは、「直角に連なる雄実部に多数条の溝の端部を上下面間に亘って貫通させている」ことになるから、この技術を、引用文献1記載の発明の斜行溝の端部と嵌合突部との関係に採用し、上記相違点bに係る本願発明のようにすることは、当業者が適宜なしうることである。
そして、本願発明の作用効果も、引用文献1および2記載の発明から当業者が予測できる範囲のものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1および2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-25 
結審通知日 2003-09-02 
審決日 2003-09-16 
出願番号 特願平6-312424
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04F)
P 1 8・ 572- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠夫長島 和子深草 誠  
特許庁審判長 鈴木 憲子
特許庁審判官 木原 裕
山口 由木
発明の名称 可撓性防音床板  
代理人 山本 拓也  
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