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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1086270
審判番号 不服2002-11562  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-12-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-24 
確定日 2003-11-06 
事件の表示 平成11年特許願第189393号「遊技機」拒絶査定に対する審判事件[平成12年12月 5日出願公開、特開2000-334143]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年7月3日(国内優先権主張 平成11年3月19日出願)の出願であって、平成14年6月11日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月1日付で手続補正がなされたものである。
2.平成14年7月1日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年7月1日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入賞口に入賞又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御基板と、該主制御基板により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に画面上の画像を変動表示した後、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す当否画像で静止表示するよう制御する画像制御基板とを含む遊技機において、前記主制御基板に、前記抽出される乱数値に基づき前記画面上に静止表示される前記当否画像の種類及び該当否画像を静止させるまでの画像の変動時間を決定する当否画像条件決定手段と、該当否画像条件決定手段により決定された当否画像の種類及び変動時間に係るデータを前記画像制御基板に送信するデータ送信手段とを備え、前記画像制御基板に、前記送信手段により送信される前記当否画像の種類及び変動時間に係る前記データに基づき前記当否画像を変動表示する当否画像表示制御手段と、前記送信手段により送信される前記当否画像の種類に係る前記データに基づき遊技者に有利なゲーム回数又は有利でないゲーム回数を算出し、該算出された回数に従って前記当否画像以外の画像を作成し表示する背景画像作成制御手段とを備え、前記主制御基板から前記画像制御基板への送信回路を、前記主制御基板からのみ送信可能な一方向通信回路として構成したことを特徴とする遊技機。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「当否画像を変動表示する当否画像表示制御手段」に、「送信手段により送信される前記当否画像の種類及び変動時間に係る前記データに基づき」行うとの限定を付加し、同じく「当否画像以外の画像」について、「送信手段により送信される前記当否画像の種類に係る前記データに基づき遊技者に有利なゲーム回数又は有利でないゲーム回数を算出し、該算出された回数に従って」作成し表示するとの限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-24135号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、
【請求項1】 表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、前記可変表示装置の可変表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合に所定の遊技価値を付与可能となる遊技機であって、前記遊技機の遊技状態を制御するための遊技制御手段と、該遊技制御手段からの指令信号を受けて、前記可変表示装置を表示制御する可変表示制御手段とを含み、該可変表示制御手段は、複数種類の表示モードにより前記可変表示装置を可変表示制御可能であり、かつ、各表示モードについて複数種類の画像状態を表示制御可能であり、前記指令信号は、前記複数種類の表示モードのうちどの種類の表示モードを選択して表示制御するかを指定するモード指定データと、前記複数種類の画像状態のうちどの種類の画像状態を選択して表示制御するかを指定する画像状態指定データとを含むことを特徴とする、遊技機。
【請求項2】前記可変表示制御手段は、前記可変表示装置を表示制御するための複数種類の表示制御用プログラムを記憶している表示制御用プログラム記憶手段を含み、前記表示制御用プログラムは、前記複数種類の表示モード別に分類された大分類と、前記複数種類の画像状態別に分類された小分類とに従って、分類された状態で前記表示制御用プログラム記憶手段に記憶されており、前記可変表示制御手段は、前記遊技制御手段からの指令信号に含まれているモード指定データに従って前記表示モード別の大分類の中から指定された大分類を選択し、前記指令信号に含まれている画像状態指定データに従って前記選択された大分類の中から前記画像状態別の小分類を選択し、当該選択された小分類に属する前記表示制御用プログラムに従って前記可変表示装置の可変表示制御を行なうことを特徴とする、請求項1記載の遊技機。
【0037】基本回路46は、制御用プログラムに従ってパチンコ遊技機の各種機器を制御する。メイン基本回路46の内部には、制御用プログラムなどを記憶しているROM(ReadOnlyMemory)と、その制御用プログラムに従って制御動作を行なうためのCPU(CentralProcessingUnit)と、CPUのワーク用メモリとして機能するRAM(RandomAccessMemory)と、I/O(Input/Output)ポートと、クロック発生回路とが設けられている。本実施の形態では、特にCPUを半導体チップで構成したMPU(MicroprocessorsUnit)で構成している。なお、基本回路46の内部構成については詳細な図示を省略する。
【0040】LCD回路48は、基本回路46から出力される制御信号に従って、可変表示装置24に含まれるLCD表示装置35を駆動制御するための回路である。LCD回路48からLCD表示装置35に送信される信号の中には、コマンド信号としてのCD0〜CD7と、初期化信号であるINTとが含まれる。さらに、LCD回路48とLCD表示装置35とを接続する信号線には、電源供給のための+13V線と、+5V線と、-8V線と、-20V線と、グランド信号線であるGND線とがある。
【0041】LCD表示装置35には、LCD回路48から出力されるコマンド信号CD0〜CD7を受信し、受信したコマンドに応答した画像データを生成するための制御を行なうCPU(図示省略)と、該CPUが受信した前記コマンドに対応する画像データを指定し該CPUの動作を制御するための制御用プログラムが記憶されているROM(図示省略)、前記CPUが前記ROMのプログラムに基づいて指定した画像データを生成するVDP(VideoDisplayProcessor)などから構成されるLCDコントロール回路と、前記VDPにより生成された画像を表示するためのLCD表示部が含まれている。
【0053】図7は、本実施の形態のパチンコ遊技機において特別図柄の表示制御用に用いられるランダムカウンタの種類とその内容を示す説明図である。図7に示すランダムカウンタは、可変表示装置24における特別図柄の変動表示の制御に用いられる乱数をカウントするカウンタである。本実施の形態では、WCRND1、WCRND_L、WCRND_C、WCRND_R、WCRND_ACTの5種類のランダムカウンタが用いられている。これらのランダムカウンタの値がパチンコ遊技中の所定タイミングで読出され、その値に基づいて可変表示装置24の変動表示動作が制御される。ランダムカウンタのカウント値の読出処理は、基本回路46(図5参照)の内部に備えられたCPUが制御用ROMの制御用プログラムに従って実行する。
【0055】WCRND_L、WCRND_C、WCRND_Rは、可変表示装置24の特別図柄の変動表示の結果、大当り以外とすることが事前に決定された場合に、左側、中央、右側の特別図柄表示領域のそれぞれにおいて停止表示させる特別図柄の種類を決定するためのランダムカウンタである。WCRND_L、WCRND_C、WCRND_Rのカウント範囲は、0〜14である。WCRND_Lは、0.002秒ごとに1つずつカウントアップする。WCRND_Cは、割込処理の余り時間に実行され、所定のタイミングで1つずつカウントアップする。WCRND_Rは、WCRND_Cの桁上げのとき1つずつカウントアップする。
【0058】大当りとするかまたは大当り以外とするかは、WCRND1の値を判別することにより決定される。大当りとなるWCRND1の値の範囲は、確率変動時と確率変動時以外の通常時とで異なる。確率変動時以外の通常時には、WCRND1の値が、「3」であれば大当りとし、「3」以外であれば大当り以外とすることが事前に決定される。確率変動時には、WCRND1の値が、「3」,「67」,「173」,「251」,「331」であれば大当りとし、それ以外の値であれば大当り以外とすることが事前に決定される。大当りとすることが決定された場合は、引続いてWCRND_Lの値を判定することにより、大当りを発生させるための特別図柄の種類が決定される。一方、大当り以外とすることが決定された場合は、引続いて、WCRND_L、WCRND_C、WCRND_Rの各値が判別されることにより、左側、中央、右側の特別図柄表示領域において停止表示させる図柄(以下「停止図柄」という)の種類がそれぞれ決定される。なお、大当り以外とする場合に、WCRND_L、WCRND_C、WCRND_Rの各値に基づいて決定された特別図柄の組合せ配列が偶然、大当りとなる特別図柄の組合せとなる場合は、WCRND_Cの値から「1」を減算し、強制的にはずれとなる特別図柄の組合せ配列で停止表示するように調整する。
【0062】図11および図12は、リーチ以外またはリーチではずれのとき(以下、「はずれ時」という)における特別図柄の変動表示の制御手順を示すタイミングチャートである。なお、以下に示す各タイミングチャートの時間管理用のデータは、基本回路46のRAMの時間テーブルに記憶されている。図11を参照して、始動口5(図1参照)に打玉が入賞すると、その入賞玉が始動玉検出器6(図1参照)により検出される。その検出パルスが立上がるタイミングで、基本回路46(図6参照)のCPUにより、WCRND1およびWCRND_Lの値がそれぞれ抽出され、RAMに格納される。
【0063】続いて、CPUは、始動口5への打玉の入賞が検出されてから0.002秒後に、検出パルス立下がりのタイミングで、RAMに格納されているWCRND1の値を読出し、読出した値に基づいて、変動表示の結果を大当りとするか否かを事前に決定する。大当りとするか否かを事前に決定する処理は、図8に示した手順で行なう。WCRND1の値の読出しと判定処理を行なった後、この場合ははずれ時なので、CPUは、WCRND_C、およびWCRND_Rの値を抽出する。さらに、抽出したWCRND_C、WCRND_R、および事前に抽出しているWCRND_Lの値によりリーチが成立したとき、WCRND_ACTの値を抽出する。
【0064】はずれ時において、左側、中央、右側の停止図柄の変動表示の具体的な手順は以下のとおりである。基本回路46は、CPUによる決定結果に基づいてLCD回路48に制御指令を送り、LCD回路48は、この制御指令に基づいて表示制御信号をLCD表示装置35へ出力する。この結果、表示部32において始動口5への打玉の入賞が検出されてから0.004秒が経過した時点で、左側、中央、右側の特別図柄表示領域において特別図柄の変動表示が開始される。
【0065】左側の特別図柄表示領域では、前述した特別図柄の可変表示制御時間を短縮させる短縮条件が成立していない場合、変動を開始してから4.600秒間は変動状態Aの表示制御より一定の速度で特別図柄が変動する。一方、短縮条件が成立している場合、通常時ではこの時間が3.100秒に短縮され、確率変動時には1.000秒に短縮される。変動状態Aの変動表示が終了した時点で、WCRND_Lの値により事前に決定された停止図柄(以下「予定停止図柄」という)の図柄配列における3図柄分手前の図柄が停止位置にセットされ、その後、変動状態Bの表示制御が行なわれる。変動状態Bの表示制御は、1.250秒間行なわれ、その間に3図柄分の変動が行なわれて、最終的に予定停止図柄が停止表示される。
【0066】右側の特別図柄表示領域では、短縮条件が成立していない場合、変動を開始してから5.850秒間は変動状態Aの表示制御により一定の速度で特別図柄が変動する。一方、短縮条件が成立している場合、通常時では、この時間が4.350秒に短縮され、確率変動時には2.250秒に短縮される。変動状態Aの変動表示が終了した時点で、WCRND_Rの値により事前に決定された停止図柄の図柄配列における3図柄分手前の図柄が停止位置にセットされ、その後、変動状態Bの表示制御が行なわれる。変動状態Bの表示制御は、1.250秒間行なわれ、その間に3図柄分の変動が行なわれて、最終的に予定停止図柄が停止表示される。
【0117】次に、図29および図30を参照して、表示部32の画面表示例について説明する。図29および図30は、特別図柄の変動表示の表示例を示す画面構成図である。まず、図29(A)の表示画面が表示部32に表示される。表示部32上には、第1背景画像60、第2背景画像61、第1キャラクタ画像62と第2キャラクタ画像63、第3キャラクタ画像64、第4キャラクタ画像65、左図柄66、右図柄67、中図柄68が表示される。第1キャラクタ画像62は、遊技者のレーシングカーである。第2キャラクタ画像63は、左図柄66に対応したレーシングカーであり、第1キャラクタ画像62と第2キャラクタ画像63とが衝突した場合に、左図柄66の可変表示が終了し、所定の図柄が左図柄66として表示される。第3キャラクタ画像64は、右図柄67に対応したレーシングカーであり、第1キャラクタ画像62と第3キャラクタ画像64とが衝突した場合に可変表示が停止され、右図柄67に所定の図柄が表示される。第4キャラクタ画像65は、中図柄68に対応したレーシングカーであり、第1キャラクタ画像62と第2キャラクタ画像65とが衝突した場合に、中図柄68の可変表示が停止され、所定の図柄が中図柄68に表示される。図29の(A)では、第1ないし第4キャラクタ画像62〜65ともに走行状態にあり、左図柄66が変動表示されている。
【0119】次に、図29の(C)を参照して、決定された左図柄66aは、実線で示す左図柄66として表示される。次に、レースがさらに進行し、第1キャラクタ画像62と第3キャラクタ画像64とが衝突すると、右図柄67の可変表示が停止され、右図柄67の上部に、決定された右図柄67aが破線で表示される。次に、図30の(A)を参照して、破線で表示された右図柄67aは、右図柄67として実線で表示される。また、この図では、第1キャラクタ画像62がスピンしている状態を示している。第1キャラクタ画像62がスピンするか否かは、後述するコマンドデータにより決定され、スピンしない場合もある。
【0132】以下、一例として図33に示す最上段の場合について説明する。条件1のとき、WCRND_ACTの値が0〜6のとき、リーチ1が対応し、かつ、スピンありの状態が対応する。このリーチが発生する確率は、7/128である。また、このとき転送されるCOM0は、「25H」であり、COM4のbit4は「1」であり、bit3、2は「00」であり、bit1、0は「01」であり、また、COM5のbit6は「1」であり、bit5は「0」であり、bit4は「1」であり、bit3は「0」であり、bit2〜0は「100」である。以降、条件1のとき、WCRND_ACTの値により、リーチ種類およびスピンのありなしが決定され、所定のコマンドデータCOM0、COM4、COM5が転送される。条件2についても条件1とほぼ同様である。また、条件3は、リーチ1についてのみ指定しているため、リーチ2〜リーチ5に関しては表示されていない。また、図33中「※1」は、図中に示した値がセットされるが、このビットは実際には使用されていないので、他の値がセットされてもよい部分を示している。図35も同様である。
【0134】次に、上記のコマンドデータの転送方法について説明する。図36は、コマンドデータの転送方法を説明するためのタイミングチャートである。基本回路46は、LCD回路48を介してLCD表示装置35へ、上記の所定のコマンドを発行して、LCD表示装置35の動作を制御する。基本回路46からLCD表示装置35へのコマンドデータの転送は1方向の転送であり、LCD表示装置35は、基本回路46へ自己のステータスを送信できない構成となっている。しかしながら、基本回路46は、シーケンシャルなステータスを常に発行するように構成されており、LCD表示装置35側では、常にステータスの取込みを行ない、現在実行中のステータスでないものが送信された場合に、送られてきたステータスを実行するように構成されている。この結果、LCD表示装置35側で何らかのトラブルが発生しても、新たなステータスの取込みには、常に通常動作に復帰することができる。したがって、上記の構成により、LCD表示装置35側での誤動作を防止するとともに、簡便なデータ転送を行なうことができ、回路構成およびデータバス構成を簡略化することが可能となっている。
【0137】次に、上記の転送方法による大当り状態の時の表示例について説明する。図37の(A)および(B)は、大当り状態のときの表示例を示す画面構成図である。図37(A)は、繰返し継続制御による1回目の特定遊技状態(開放中)にある場合に表示されるデモンストレーション画面である。図37(A)を参照して、大当り状態のとき、画面の左上に大当りとなった停止図柄である大当り図柄71が表示され、画面の右上方に、コース図72が表示され、画面の右下方にラウンド数73が表示されている。本実施の形態では、大当り図柄71として、「777」が表示されている。コース図72は、大当り当初10個の白丸を連結したコース図が表示されており、入賞個数に応じて白丸部分が点灯し(図中斜線で示す)、遊技者に入賞個数を報知する。また、ラウンド数73には、アルファベット文字のRとラウンド回数を示す数字、ここでは「1」が表示され、表示画面が1R(ラウンド)目のデモンストレーション画面であることが示されている。上記の表示例は、前述したCOM0およびCOM6のコマンドデータが、基本回路46からLCD表示装置35へ転送されることにより表示されるものである。COM0には「50H」が、COM6には「5H」がそれぞれ指定されている。
【0228】さらに、図5に示した基本回路46により、前記遊技機の遊技状態を制御するための遊技制御手段が構成されており、LCD表示装置35により、該遊技制御手段からの指令信号を受けて、前記可変表示装置を表示制御する可変表示制御手段が構成されている。・・・
【0234】可変表示装置24の可変表示制御時間を短縮するか否かを決定するための基準値は、基本回路46内に構成されているROMに記憶されている。第1の実施の形態では、この基準値は可変表示装置24が可変表示開始する直前の始動記憶数であり、開成翼片102が開成する確率が高く、かつ、開成状態にある時間が長く調整される確率変動時には、始動記憶数が2以上で可変表示制御時間の短縮制御がなされる。一方、開成翼片102の開成する確率が低く、かつ、開成時間が短い通常時には、始動記憶数が4となって始めて可変表示制御時間の短縮制御がなされる。また、第5の実施の形態では過去2分間の始動入賞回数が前記基準値となる。第1の実施の形態と同様に、始動入賞確率の異なる確率変動時と通常時とで、その基準値が異なるように構成されている。
【0235】第1の実施の形態あるいは第5の実施の形態に示した基準値に従って可変表示装置24の可変表示制御時間が、基本回路46により短縮制御される。すなわち、基本回路46により、基準値に従って前記可変表示制御時間を変動調整する可変表示制御時間変動調整手段が構成されている。
【0250】本実施の形態では、図31および図32に示すコマンドデータに対応した各画像を指定するデータがLCD表示装置35内に構成されるROM(図示省略)内に記憶されている。前記コマンドデータがLCD回路48を介して基本回路46からLCD表示装置35へ送信されると、LCD表示装置35内のCPU(図示省略)は、前記ROMの制御プログラムに基づいてLCD表示装置35内に構成されているVDP(図示省略)へ画像制御指令信号を送出し、前記VDPは画像制御指令信号に基づいて画像データを生成する。このように、LCD表示装置35により、前記遊技制御手段からの指令信号を受けて、前記可変表示装置を表示制御する可変表示制御手段が構成されている。
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例1には、
「始動口5への打玉の入賞が検出されてから、乱数を読出し、読出した値に基づいて、変動表示の結果を大当りとするか否かを事前に決定するCPUを備える基本回路46と、該基本回路46から出力される制御信号に従って、LCD回路48は可変表示装置24に含まれるLCD表示装置35を駆動制御するためのコマンドデータを出力し、該コマンドデータにより指定した画像データを生成するLCDコントロール回路を有するLCD表示装置35とを含む遊技機において、前記基本回路46は、可変表示装置24における特別図柄の変動表示の制御に用いられる乱数により大当りとするかまたは大当り以外とするか決定し、引続いて、左側、中央、右側の特別図柄表示領域において停止表示させる図柄の種類をそれぞれ決定するとともに、基準値に従って可変表示制御時間を変動調整する可変表示制御時間変動調整手段と、表示装置にコマンドデータを送る手段とを備え、LCD表示装置35のLCDコントロール回路は、受信したコマンドデータに応答した画像データを生成し、表示部32上には、入賞個数、ラウンド数、第1背景画像60、第2背景画像61等の背景が表示され、基本回路46からLCD表示装置35へのコマンドデータの転送は1方向の転送であり、LCD表示装置35は、基本回路46へ自己のステータスを送信できない構成となっている遊技機。」
との発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されていると認めることができる。
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-127886号公報(以下、引用例2という。)には、図面とともに、
「【0008】そこで本発明は、過去の遊技結果に関する主要な情報(例えば、特別停止態様までの始動条件の成立回数および特別停止態様に関連した表示データ)を表示可能な遊技機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請求項1記載の発明による遊技機は、複数の識別情報を表示可能な画像表示装置を備え、始動条件の成立に基づき可変表示遊技を行い、該可変表示遊技の結果が特別停止態様になったことに基づいて特別遊技状態を発生可能な遊技機において、前記画像表示装置の表示制御を行う表示制御手段と、前記特別停止態様の発生に基づき、該特別停止態様に関連した表示データを記憶する表示データ記憶手段と、前記始動条件の成立回数を計数する始動条件計数手段と、前記始動条件計数手段により前記特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数が計数されたとき、その計数された計数データを記憶する計数データ記憶手段と、前記特別遊技状態の発生に基づき前記始動条件計数手段をリセットするリセット手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記表示データ記憶手段に記憶された表示データと、前記計数データ記憶手段に記憶された計数データとを表示することを特徴とする。
【0010】また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、前記表示データ記憶手段および前記計数データ記憶手段は、過去に発生した所定回数の特別遊技状態に基づき、それぞれデータの記憶が可能であるようにしてもよい。例えば請求項3記載のように、前記特別停止態様が所定の特別停止態様での発生であった場合には、前記特別遊技状態の終了後、特別遊技状態の発生を容易にする特定遊技状態が発生可能であり、前記表示制御手段は、特定遊技状態中における始動条件の成立回数を計数した計数データを識別して表示するように制御するようにしてもよい。例えば請求項4記載のように、前記特定遊技状態に関連して発生した特別遊技状態を計数する特定計数手段を備え、前記表示制御手段は、前記特定遊技状態に関連して発生した特別遊技状態の計数結果を表示するように制御するようにしてもよい。された計数データとを表示するように制御することを特徴とする。
【0015】また本発明では、遊技盤における遊技領域はどのようなものでもよく、画像表示装置(ここでは特別図柄表示装置4)を使用してその表示領域4aに複数の識別情報を可変表示可能であり、始動条件の成立(例えば、始動入賞口あるいは始動ゲートへの遊技球の入賞)に基づき可変表示遊技を行い、可変表示遊技の結果が特別停止態様(例えば、「2」、「2」、「2」のゾロ目図柄)になったことに基づいて特別遊技状態(例えば、大当り状態)を発生可能な遊技機であれば、任意の構成を取り得る。例えば、画像表示装置の図柄内容を変化させてゲームを行うもので、画像表示装置の表示態様が予め定められた表示態様になった場合に、変動入賞装置を開放し内部の権利発生入賞口へ入賞があったときに大当りの権利が発生する「第3種」に属するパチンコ機、あるいは画像表示装置の表示態様が予め定められた表示態様になった場合に、所定数の変動入賞装置の連動動作の開始条件を付与する他種タイプに属するパチンコ機であっても、本発明を適用することができる。なお、本実施例ではいわゆる「第1種」に属するタイプのものに、本発明を適用した例を説明する。
【0016】B.制御系の構成
次に、遊技機における制御系の構成について説明する。図2は遊技機における制御系の全体構成を示すブロック図である。図2において、この制御系は大きく分けると、役物制御回路100と、表示制御回路200とによって構成される。役物制御回路100は、マイクロコンピュータを含む回路で、例えば遊技盤1の裏面に取付けられたボードユニットにより実現されている。また、表示制御回路200は、例えば遊技盤1に設けられた特別図柄表示装置4の裏面側に取付けられた回路基板により実現されている。
【0017】この役物制御回路100は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる役物用IC111と、水晶の発振周波数を分周して役物用IC111の基本クロックを得る分周回路113と、役物用IC111等に必要な電源を供給する電源回路114と、各種情報信号を受け入れるローパスフィルタ115と、ローパスフィルタ115からの信号をバス116を介して役物用IC111に出力するバッファゲート117と、役物用IC111からの信号をバス116を介して受ける出力ポート118と、出力ポート118を介して入力される制御信号をドライブして各種駆動信号を生成して各機器に出力するドライバ119と、遊技に必要な効果音を生成する(あるいは音声合成を行ってもよい)サウンドジェネレータ120と、サウンドジェネレータ120からの音声信号を増幅して遊技機の所定箇所に配設されたスピーカー121aに出力するアンプ121と、役物用IC111から出力される制御信号に基づいて表示制御回路200に対する表示制御信号を出力するインターフェース回路122と、役物用IC111から出力される遊技データ信号を外部情報端子123に出力するインターフェース回路124とによって構成される。なお、外部情報端子123はホールの管理装置や島設備に配置された呼出装置に接続される。なお、役物用IC111は、演算処理を行うCPU131、ワンチップマイコンからなる役物用IC111が正規のものであるかどうかのセキュリティ性をチェックするセキュリティプログラムを格納しているROM132、役物制御の制御プログラム等を格納している制御ROM132およびワークエリアの設定や制御に必要なデータの一時記憶等を行うRAM134を内蔵している。
【0019】表示制御回路200は、役物用IC111からこの場合8ビットの表示用制御信号(リセット信号(1ビット)、ストローブ信号(1ビット)、コマンド信号(6ビット))を受けて特別図柄表示装置4の制御を行うもので、図3に示すように、画像表示制御用のCPU201と、ROM202と、RAM203と、DMA204と、VDP205と、フォントROM206と、γ補正回路207と、クロック回路208と、インターフェース部209とよりなる。なお、表示制御回路200には役物用IC111から遊技データが出力される(例えば、コマンド信号(6ビット)で遊技データが送信)。CPU201は、インターフェース部209を介して通信割り込みによって役物用IC111から表示用制御信号を受けて、VDP205に画像生成を指令し、特別図柄表示装置4により後述するような画像表示制御を行うものである。VDP205は、スプライトRAM、パレットRAM、V-RAMを内蔵しており、CPU201から送られる画像生成指令を受けて、フォントROM206に登録されている図柄データ(例えば、特図の図柄データ)を読み出して所定の画像信号を生成し、この画像信号を画像のガンマ補正を行うγ補正回路207を介して特別図柄表示装置4に出力するとともに、水平同期信号(H_SYNC)および垂直同期信号(V_SYNC)を形成して特別図柄表示装置4に出力するものである。
【0020】なお、フォントROM206には特別図柄表示装置4に出力する画像信号(例えば、RGB信号を含む)を生成するための全ての画像情報(キャラクタ、識別図柄、背景及び配色等に関する全て情報)が登録されている。また、特別図柄表示装置4には大当り図柄(特別停止態様に関連した表示データ)、大当りの発生までの始動回数(特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数)、過去に発生した大当りに関する大当り図柄および各大当りの発生までの始動回数(過去に発生した所定回数の特別遊技状態に基づく特別停止態様に関連した表示データと、過去に発生した所定回数の特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数)、確率変動中(特定遊技状態中)における大当りの発生までの始動回数(特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数)、確率変動中における大当り回数(特定遊技状態に関連して発生した特別遊技状態)を表示する制御が行われる。なお、確率変動中における大当り回数とは、初回の確率変動大当りを含めた確率変動中における大当り回数の計数値のことであるが、これに限らず、例えば初回の確率変動大当りを含めずに大当り回数を計数してもよい。
【0022】ここで、役物用IC111、分周回路113、インターフェース回路122および表示制御回路200は、全体として表示制御手段、表示データ記憶手段を構成する。表示制御手段は特別図柄表示装置4(画像表示装置)の表示制御を行う。表示データ記憶手段は特別停止態様の発生(例えば、大当りの発生)に基づき該特別停止態様に関連した表示データ(例えば、大当り図柄)を記憶する。また、役物制御回路100は始動条件計数手段、計数データ記憶手段、リセット手段および特定計数手段を構成する。始動条件計数手段は始動条件の成立回数(例えば、特図のスタート回数)を計数する。計数データ記憶手段は始動条件計数手段により特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数(例えば、大当り発生までの特図のスタート回数)が計数されたときその計数された計数データを記憶する。リセット手段は特別遊技状態の発生に基づき始動条件計数手段をリセットする。なお、上記各手段を表示制御回路200で実現するようにしてもよい。
【0023】また、表示制御手段は、表示データ記憶手段に記憶された表示データと、計数データ記憶手段に記憶された計数データとを特別図柄表示装置4(画像表示装置)に表示するように制御する。表示データ記憶手段および計数データ記憶手段は、過去に発生した所定回数の特別遊技状態に基づきそれぞれデータの記憶が可能である。また、本実施例の遊技機は、特別停止態様が所定の特別停止態様での発生(例えば、確率変動図柄:「7、7、7」での発生)であった場合には、その特別遊技状態の終了後、特別遊技状態の発生を容易にする特定遊技状態(例えば、確率変動状態)を発生可能であり、表示制御手段は、特定遊技状態中における始動条件の成立回数を計数した計数データを識別して表示するように制御する。また、特定計数手段は特定遊技状態に関連して発生した特別遊技状態を計数し、表示制御手段は、特定遊技状態中に関連して発生した特別遊技状態の計数結果を表示するように制御する。
と記載されていることが認められる。
(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを比較すると、
引用発明1の「基本回路46」は、本願補正発明の「主制御基板」に相当し、「LCDコントロール回路」は「画像制御基板」に、それぞれ相当する。
引用発明1の「基本回路46」は、「可変表示装置24における特別図柄の変動表示の制御に用いられる乱数により大当りとするかまたは大当り以外とするか決定し、引続いて、左側、中央、右側の特別図柄表示領域において停止表示させる図柄の種類をそれぞれ決定するとともに、基準値に従って可変表示制御時間を変動調整する可変表示制御時間変動調整手段と、表示装置にコマンドデータを送る手段とを備え」るものであるので、本願補正発明の「主制御基板」における「当否画像条件決定手段」及び「データ送信手段」を備えているものと認められる。
また、引用発明1は「表示部32上には、入賞個数、ラウンド数、第1背景画像60、第2背景画像61等の背景が表示されるものである」ので、「当否画像以外の画像を作成し表示する背景画像作成制御手段」を備えているものと認められる。
そして、引用発明1の「基本回路46からLCD表示装置35へのコマンドデータの転送は1方向の転送であり、LCD表示装置35は、基本回路46へ自己のステータスを送信できない構成」は、本願補正発明の「主制御基板から前記画像制御基板への送信回路を、前記主制御基板からのみ送信可能な一方向通信回路として構成」に相当するものと認められる。
そうすると、両者は、
「遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入賞口に入賞又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御基板と、該主制御基板により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に画面上の画像を変動表示した後、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す当否画像で静止表示するよう制御する画像制御基板とを含む遊技機において、前記主制御基板に、前記抽出される乱数値に基づき前記画面上に静止表示される前記当否画像の種類及び該当否画像を静止させるまでの画像の変動時間を決定する当否画像条件決定手段と、該当否画像条件決定手段により決定された当否画像の種類及び変動時間に係るデータを前記画像制御基板に送信するデータ送信手段とを備え、前記画像制御基板に、前記送信手段により送信される前記当否画像の種類及び変動時間に係る前記データに基づき前記当否画像を変動表示する当否画像表示制御手段と、
前記当否画像以外の画像を作成し表示する背景画像作成制御手段とを備え、前記主制御基板から前記画像制御基板への送信回路を、前記主制御基板からのみ送信可能な一方向通信回路として構成したことを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
相違点1・・背景画像作成制御手段が、本願補正発明は、前記送信手段により送信される前記当否画像の種類に係る前記データに基づき遊技者に有利なゲーム回数又は有利でないゲーム回数を算出し、該算出された回数に従って当否画像以外の画像を作成し表示するのに対し、引用発明1では、このような表示を行っていない点。
相違点2・・本願補正発明が、主制御基板から画像制御基板にデータを送信するのに対して、引用発明1ではLCD回路を介してデータを送信している点。
(4)判断
・相違点1について
引用例2には、遊技状態に関する情報、即ち特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数(本願補正発明における遊技者に有利でないゲーム回数)や特別遊技状態の成立回数(本願補正発明における遊技者に有利なゲーム回数)を計数する手段は、表示制御回路により実現しても良いことが記載されている。(以下、「引用発明2」という。)そして、この引用発明2も遊技機の表示装置に関するものであるので、この点を引用発明1の背景画像作成制御手段に適用することに当業者が格別な困難性を要するものとはいえない。そして、表示制御回路(本願補正発明における画像制御基板)側で上記計数を、画像制御基板側に送られてくる当否画像を表示するために送られてくる当否画像の種類に係るデータに基づき行うことは、当業者の設計的事項程度のことである。即ち、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かは抽出された乱数値によって決められるのであり、この乱数値によって決められた当否画像の種類に係るデータがあれば、そのデータにより遊技者に有利なゲーム回数又は有利でないゲーム回数の算出ができることは、当業者であれば当然に理解し得るものであるから、このようにすることに格別な困難性があるものとはいえない。
したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明1に引用発明2を組み合わせて当業者が容易に想到しえたものというべきである。
また、請求人は、「画像制御基板で遊技履歴を演算し、且つ一方向通信回路の構成を採用したことにより初めて発揮される相乗効果を無視・・」と主張しているが、主制御基板とサブ制御基板間でノイズや不正防止のために一方向の通信手段を採用することは引用発明でも採用されているように周知の技術事項(引用発明以外にも特開平8-224339号公報、特開平10-113438号公報参照)であって、遊技機において極めて普通に採用されている。そうすると、上記引用発明2に特別遊技状態の成立回数を計数する手段は、表示制御回路により実現しても良いことが示されている以上、上記のとおり相違点1に係る本願補正発明の構成は当業者が容易に想到しえたものというべきである。
・相違点2について
本願補正発明では、主制御基板が引用発明1におけるようにLCD回路を介してデータを送信していないが、主制御基板が各種のコマンドデータを送信していることから、上記LCD回路に相当する機能を備えているものであると認められる。そうすると、本願補正発明は引用発明1においてLCD回路を基本回路に含ませて一つの基板にしただけのことであり当業者の設計的事項程度のことというべきである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1、2から当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
なお、請求人は、「本願発明と引用発明との差異がいまだ明確でない場合には、当初明細書の段落0074に記載の「大当り回数又は高確率中の大当り回数を主制御基板30は算出することなく、記憶することなく、更には送信することなく、」に相当する発明特定事項を請求項1に追加する用意がある」旨審判請求書において述べているが、このような点を発明特定事項として追加したとしても、審判請求書における主張を単に明確化する程度のことで、新たな構成要件を限定するものとは認められず、上記当審の判断に影響を与えるものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
3.本願発明について
平成14年7月1日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年10月3日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入賞口に入賞又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御基板と、該主制御基板により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に画面上の画像を変動表示した後、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す当否画像で静止表示するよう制御する画像制御基板とを含む遊技機において、前記主制御基板に、前記抽出される乱数値に基づき前記画面上に静止表示される前記当否画像の種類及び該当否画像を静止させるまでの画像の変動時間を決定する当否画像条件決定手段と、該当否画像条件決定手段により決定された当否画像の種類及び変動時間に係るデータを前記画像制御基板に送信するデータ送信手段とを備え、前記画像制御基板に、前記送信手段により送信されるデータに基づき前記当否画像を変動表示する当否画像表示制御手段と、前記送信手段により送信される前記データに基づき前記当否画像以外の画像を作成し表示する背景画像作成制御手段とを備え、前記主制御基板から前記画像制御基板への送信回路を、前記主制御基板からのみ送信可能な一方向通信回路として構成したことを特徴とする遊技機。」
(1)引用例
原査定の拒絶の理由において、請求項1に対して引用された引用例1の記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明と、前記2.で検討した本願補正発明を対比すると、
請求項1を引用する本願発明は、「当否画像以外の画像を作成し表示する背景画像作成制御手段」の限定事項である「当否画像の種類に係る前記データに基づき遊技者に有利なゲーム回数又は有利でないゲーム回数を算出し、該算出された回数に従って」とする構成を省き、「送信手段により送信されるデータに基づき前記当否画像を変動表示する当否画像表示制御手段」における「データ」の限定事項である「当否画像の種類及び変動時間に係る」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明は、実質的に本願補正発明と引用発明1の相違点1に係る構成を省いたものであり、前記「2.(4)」に記載したとおり、その相違点2に係る本願発明の構成は引用発明1に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであるから、本願発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-08 
結審通知日 2003-09-09 
審決日 2003-09-24 
出願番号 特願平11-189393
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 英司  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 中村 和夫
鈴木 寛治
発明の名称 遊技機  
代理人 足立 勉  

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