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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1086286
審判番号 不服2001-21233  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-29 
確定日 2003-11-06 
事件の表示 平成 6年特許願第 55940号「メニュー表示装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年10月13日出願公開、特開平 7-261968]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成6年3月25日に特許出願されたものであって、平成13年10月22日付けで、平成13年5月10日付けの手続補正を却下する決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成13年11月29日に不服の本件審判請求がなされ、明細書について平成13年12月17日付けで手続補正書が提出されたものである。

【2】手続補正について
平成13年12月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)について、以下のとおり決定する。

[結論]
平成13年12月17日付けの手続補正を却下する。
[理由]
本件補正は、少なくとも特許請求の範囲を補正するものであって、この補正により、補正前の特許請求の範囲の請求項4は、新たな請求項3として以下のように補正されたものである。
「【請求項3】 ユーザが指定することができる項目を、選択ボタンとしてメニュー表示するメニュー表示装置において、上記選択ボタンがどのような意味を持っているかを説明した文を表示するとともに、上記自然言語による文の中に、上記選択ボタンを、ユーザが指定することができる単語として、予め配置したことを特徴とするメニュー表示装置。」
上記新たな請求項3に係る補正内容は、補正前の請求項4の構成要件である「ユーザが選択することができる項目を、選択項目としてメニュー表示する」について、「ユーザが指定することができる項目を、選択ボタンとしてメニュー表示する」と限定し、同じく「自然言語による文の中に選択項目を単語として配置した」について、「選択ボタンがどのような意味を持っているかを説明した文を表示するとともに、上記自然言語による文の中に、上記選択ボタンを、ユーザが指定することができる単語として、予め配置した」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正により補正された前記請求項3に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか否か)について、以下に検討する。

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2ー133819号公報(以下「引用例」という。)には、その実施例及び図面とこれに係わる記載を参酌すると、以下のような技術的事項が記載されている。
(a)「第1図は本発明を適用した日本語ワードプロセッサの構成を示すブロック図であり、1は文字等の入力を行うキーボードや操作対象を指示するマウス等のポインティングデバイス、その他の入力装置による入力部、2は文字、図形等を表示するCRTディスプレイなどによる表示部、3は半導体メモリや磁気記憶装置等による記憶部であり、作成した文書内容が記憶される。4は前記各部の制御を行うためのマイクロプロセッサなどによる制御部であり、入力制御部5、アイコン管理部6、作業メニュー部7、編集作業部8、システム管理部9により構成される。本実施例において文書の作成ならびに編集は、編集作業部8にて行う。」(第6頁右下欄第4〜16行、第1図参照)
(b)「第2図は表示部2に表示される画面の一例を示す。画面20は、1次的な作業メニューとしてのアイコンを内包する作業メニューウインドウ28の表示を指示するための作業メニューエリア22、編集作業部8を起動させるための専用アイコンエリア24、編集作業エリア26、起動された編集プログラムに応じた2次的なメニューを表示するメニューエリア23から構成される。専用アイコンエリア24の右側空白部は、文書作成時等にはワークエリアあるいはガイダンスエリアとして利用される。編集作業部8内の各編集プログラムは、編集作業エリア26にそれぞれ独自に矩形の枠(以下ウインドウと呼ぶ)内にデータを表示し、そのウインドウ内において個別に文書データの編集を行う。専用アイコンエリア24には、編集作業部8の編集プログラムを表現する絵文字(以下アイコンと呼ぶ)が表示され、オペレータの指示によりアイコンが選択されると対応する編集プログラムが起動される。作業メニューウインドウ28には、編集プログラムを表現するアイコンと、その編集プログラムの編集内容について簡単な説明文を記入する。」(第6頁右下欄第17行〜第7頁左上欄第19行、第1、2図参照)
(c)「第3図に入力部1の構成の一例を示す。本実施例においては、作業の指示をキーを用いて行うキーボード10と、表示部2に表示した画面20上で直接作業の指示を行なうマウス15がある。」(第7頁左上欄第20行〜右上欄3行、第3図参照)
(d)「マウス15は第3図に示すように、例えば操作対象、機能等を選択する実行ボタン150(以下、マウス左ボタンと呼ぶ)、選択した操作対象を取り消すための取消ボタン152(以下、マウス右ボタンと呼ぶ)から構成される。第2図におけるマウスカーソル29はオペレータがマウス15を移動させる動作に追従して画面20内を移動し、画面20内の操作対象等を指示するために使用する。」(第7頁右上欄第16行〜左下欄第4行、第2、3図参照)
(e)「起動した作業メニュー部7は、第7図に示すごとく、処理702にて、第2図に示すように、1次的な作業メニューを表示するための作業メニューウインドウをオープンし、処理704にて、アイコンとアイコン指示キーカーソル27の表示、処理706にてアイコンの説明文の表示、処理708にて、その時点でのシステムの特記事項を表示する。アイコンの説明文としては、後述する第14図のアイコンテーブルのアイコン説明文のポインタをもとにして、各アイコンの説明文を取りだし、第2図に示すように各アイコンに付随して表示する。その内容としては、アイコンが指示、選択された場合に実行する編集作業内容を記述する。このようにアイコンの作業内容を記述することにより誤動作が少なくなり、作業効率が大幅に改善される。」(第8頁右上欄第13行〜左下欄第8行、第2、7、14図参照)
(f)「第2図の表示状態で、ユーザがマウス15を用いてマウスカーソル29を作業メニューウインドウ内にあるアイコンの左上から2番目のアイコンに移動し、マウス左ボタン15を押した状態が第11図の表示状態である。」(第10頁左上欄第11〜15行、第2、11図参照)
(g)「本実施例ではマウスによるアイコンの指示は、マウスカーソル29がアイコンのエリア内か否かにより判定したが、対応する説明文のエリアも含めて判定し、説明文を指示した場合にもそのアイコンを指示したと判定するようにしてもよい。」(第10頁右上欄第12〜16行、第2図参照)
(2)対比
本願補正発明と上記引用例に記載された発明とを対比すると、引用例における「アイコン」は、編集メニューウインドウ(28)のメニュー或いはサブメニューの画面において、オペレータ(ユーザ)から「マウス(15)によるマウスカーソル(29)で指示される」ものであって、該オペレータ(ユーザ)がマウス(15)をクリックすることにより当該処理が選択されるものであるから、本願訂正発明における「選択ボタン」に対比させることができ、両者は「ユーザが指定することができる項目を、選択する指定領域」である点で共通するものと認められる。また、引用例における「アイコン」も、前記摘記した事項(g)から、これがどのような意味を持っているかを自然言語による説明文として表示するとともに、この自然言語による説明文をもユーザが指定することができる指定領域として予め配置したものであるから、本願補正発明における「単語」にも対比させることができる。そして、引用例における「表示部(2)等から成るデータ処理装置」は、本願補正発明における「メニュー表示装置」に相当するので、両者は、以下のとおりの一致点及び相違点(i)を有するものと認められる。
(一致点)
「ユーザが指定することができる項目を、選択する指定領域としてメニュー表示するメニュー表示装置において、上記選択する指定領域がどのような意味を持っているかを説明した文を表示するとともに、上記自然言語による文の選択する指定領域を、ユーザが指定することができる領域として、予め配置したメニュー表示装置。」
(相違点)
(i)メニュー表示に関して、選択する指定領域を、本願補正発明にあっては、ユーザが指定することができる項目を、選択ボタンとし、また文の中にユーザが指定することができる単語として、予め配置したものであるのに対して、引用例にあっては、ユーザが指定することができる項目を、アイコンとこの説明文の指定領域として、予め配置したものであって、単語を選択ボタンとしてはいない点、
(3)検討
上記相違点(i)について検討すると、前記引用例においても「本実施例ではマウスによるアイコンの指示は、マウスカーソル29がアイコンのエリア内か否かにより判定したが、対応する説明文のエリアも含めて判定し、説明文を指示した場合にもそのアイコンを指示したと判定するようにしてもよい。」(前記摘記事項g)と記載されているように、「説明文のエリア」も選択できる項目となしているものであり、またメニュー表示装置において、ユーザが指定することができる項目、例えば「検索」「登録」等の単語を、選択ボタンとしてメニュー表示することは、本願明細書の従来技術としても例示するように従来より周知の技術的事項であると認められる。そして、メニュー表示の選択ボタンをどのように配置するかは当業者が適宜に定めうる設計上の事項と認められるので、上記引用例に記載された発明においても、アイコンによるメニュー表示を、前記周知の技術的事項を参酌して、自然言語の説明文の中の単語(のみ)を選択するような選択ボタンとすることにより、本願補正発明のように構成することは当業者が容易になし得ることと認められる。
したがって、本願補正発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

【3】本願発明について
平成13年12月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至5に係る発明は、平成13年2月15日付け手続補正書により全文補正された明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであって、当該請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)及び請求項4に係る発明は、以下のとおりのものである。(なお、平成13年5月10日付けの手続補正は原審において却下の決定がなされ、本件不服審判の請求にあたって、この補正の却下の決定についての不服は申立てられていない。)
「【請求項1】 複数の選択項目を表示していずれかの項目を選択させるメニュー表示装置において、上記選択項目を文を構成する単語として他の文字とともに文中に表示する表示手段を備えたことを特徴とするメニュー表示装置。
【請求項4】 ユーザが選択することができる項目を、選択項目としてメニュー表示するメニュー表示装置において、上記自然言語による文の中に選択項目を単語として配置したことを特徴とするメニュー表示装置。」
(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物(前記と同様、「引用例」という。)及びその記載事項は、前記【2】(1)項に記載したとおりであるから、これを引用する。
(2)対比
本願発明と上記引用例に記載された発明とを対比すると、引用例における「アイコン」は、編集メニューウインドウ(28)のメニュー或いはサブメニューの画面において、ユーザーから「マウス(15)によるマウスカーソル(29)で指示される」ものであって、該ユーザーがマウス(15)をクリックすることにより当該処理が選択されるものであり、また該「アイコン」は、前記摘記した事項(g)から、これがどのような意味を持っているかを自然語による説明文として表示するとともに、自然語による説明文をユーザが指定できる指定領域として予め配置したものであるから、この引用例における「アイコン」とこのアイコンの「説明文」は、本願発明における複数の「選択項目」とこの選択項目を文を構成する「単語」として他の文字とともに(文中に)表示するものに対比させることができ、両者は、ユーザが指定できる「選択項目」と「選択領域」といえるものである点で共通する。さらに、引用例における「作業メニュー部(7)による作業メニューが画面(20)に表示される表示部(2)」及び「表示部(2)等から成るデータ処理装置」は、それぞれ本願発明における「表示手段」及び「メニュー表示装置」に相当するので、両者は、以下のとおりの一致点及び相違点(ii)を有するものと認められる。
(一致点)
「複数の選択項目を表示していずれかの項目を選択させるメニュー表示装置において、上記選択項目を文を構成する選択領域として他の文字とともに表示する表示手段を備えたメニュー表示装置。」
(相違点)
(ii)本願発明にあっては、複数の選択項目を表示し、この選択項目を文を構成する単語として他の文字とともに文中に表示するものであるのに対して、引用例にあっては、複数のアイコンとこのアイコンを説明する説明文を表示して選択領域とするものであって、文を構成する単語(のみ)として文中(のみ)に表示するものではない点、
(3)検討
上記相違点(ii)について検討すると、前記引用例においても「本実施例ではマウスによるアイコンの指示は、マウスカーソル29がアイコンのエリア内か否かにより判定したが、対応する説明文のエリアも含めて判定し、説明文を指示した場合にもそのアイコンを指示したと判定するようにしてもよい。」(前記摘事事項g)と記載されているように、「説明文のエリア」も選択項目となる選択領域としているものであるが、通常、メニュー表示装置において、選択項目の選択領域をどのように表示するかは設計上に事項と認められ、例えば、メニュー表示における選択項目の選択領域を単語(のみ)として表示すること、すなわち、ユーザが指定することができる選択項目として「検索」「登録」等の単語をメニュー表示することは、本願明細書の従来技術としても例示するように従来より周知の技術的事項であると認められる。
したがって、上記引用例に記載されたものにおいても、前記周知の技術的事項を参酌することにより、メニュー表示をアイコンとこの説明文全体を選択領域として表示するものに代えて、当該説明文の文を構成する単語(のみ)として他の文字とともに文中に表示するようにし、本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることと認められる。
また、本願発明により奏する作用効果も、当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。
(4)本願の請求項4に係る発明について
本願の請求項4に係る発明は、前記【2】の独立特許要件で検討した本願補正発明からその構成の限定事項を除いて構成したものである。
してみると、本願の請求項4に係る発明の構成を全て含み、さらに限定する構成を付加したものである前記補正発明が、前記したとおり上記引用例に記載された発明に基づい当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の請求項4に係る発明も、前記補正発明と同様に、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、その理由も同様であるからこれを引用する。
(5)むすび
以上のとおりであって、本願発明及び請求項4に係る発明は、いずれも上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-02 
結審通知日 2003-09-09 
審決日 2003-09-24 
出願番号 特願平6-55940
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 千葉 輝久
東森 秀朋
発明の名称 メニュー表示装置  
代理人 池上 徹真  
代理人 竹内 三明  
代理人 小原 寿美子  
代理人 山地 博人  
代理人 溝井 章司  
代理人 波田 啓子  

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